夜の桟橋、初冬のバージニア

読者の皆様、五日ぶりに再び丘に上がってきたカカシです。 留守中も当ブログをご愛読いただきまことにありがとうございます。
月曜日の予定が都合で金曜日帰港になり、しかも帰港したのが真夜中とあって宿を探すのに一苦労。 月曜日からとってあった宿は満室で入れず、その付近にある安ホテルを何軒か回った後、やっとこのゴミタメ安モーテルに落ち着いた。
ネットアクセスのある部屋は二階の喫煙部屋しかないと言われ、仕方なく臭さを我慢してその部屋をとった。 五日間も外の世界から遮断されていた私としては見知らぬ土地でネットアクセスのない生活をあと三日もするくらいなら、煙草の臭いなど我慢できる。
五日ぶりのバージニアはすっかり初冬らしく風が冷たい。 このあたりの気候は東京と似ていて、夏はじめじめと蒸し暑く、冬は乾燥していて寒いが、真冬でも雪は積もるほどは降らない。 この風の冷たさはやはり南カリフォルニアでは味わえない。 冬に備えて厚手のセーターを何枚か持ってきたのは正解だった。
さて、留守中にコメントをいただいたアセアンさんにコクナンさん、いつもながら丁寧なコメントをありがとうございます。 おふたりの今回のコメントはかなり中身の濃いもので情報も豊富なので、そのままブログポストになりますね。 またあらためてコメントさせていただきましょう。
本日はご挨拶まで。


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バージニア選挙戦不思議に絡む蜘蛛の巣(ウェッブ)

カカシが出張中のバージニア州上院議員選は民主党のジョージ・アレン(共和)とジム・ウェブ(民主)との戦いである。 ジョージ・アレン氏は元バージニア州知事、上院議員も一期勤めた経験があり、当初ウェッブ氏より10%以上もリードしていて確勝といわれていたが、数ヶ月前ライバル候補の黒人スタッフに対して差別用語を使ったとしてメディアにかなり叩かれたせいで、大幅リードがかなり狭まり今は僅か3%程度の優勢に留まっている。
しかし民主党の候補者ジム・ウェッブ氏は非常に不思議な人間なのだ。 以下ウィークリースタンダードに載ったアンドリュー・ファーガソンのコラムを参照に紹介しよう。(Tangled Webb、Cognitive dissonance in Virginia、by Andrew Ferguson)
ウェッブ氏はベトナム戦争体験軍人で、紫章を二つ、銀章、海軍十字章をもらっている申し分ない英雄である。 氏はレーガン大統領(共和)時代には海軍長官としてレーガン政権内部で勤めた経験もあり、一度は共和党員だったという噂もある。 特にウェッブ氏の一般市民による銃砲所持権利への熱烈な支持は民主党員としては問題である。またウェッブ氏は以前に左翼政治活動家が訴訟を悪用してアメリカの伝統を破壊しようとしているなどと書いたこともあり、はっきり言ってどうしてこんな極右翼が民主党の候補者になったのかと非常に不思議だ。
ウェッブ氏はまた戦争小説の作家でもあり、特に南北戦争では南部側への同情心を強くみせている。 彼は南部軍の英雄リー将軍にちなんで息子をロバートと名づけたくらいだ。 彼の小説では伝統的な価値観を持つスコッツアイリッシュ移民が左翼の多様文化主義者の犠牲者となりながら後に反撃していく姿が暴力的な戦闘シーンなどによって描かれているという。
どうもファーガソンのコラムを読む限りは、ウェッブ氏は民主党候補というより極右翼が行き過ぎて共和党からおいだされた、これもアイルランド移民の息子パット・ブキャナンとの共通点のほうがかなりあるように思えてならない。 ウェッブ氏はブキャナンと同じでアメリカ国内の労働者を外国人移民労働者や外国産業から守るという主義であり、資本主義にも批判的で大企業への政府からの税金免除などにもかなり批判的である。 この間も述べたようにこういう社会主義の右翼は、ファシストと通じるものがあって非常に危険だ。 
では何故このような社会主義右翼がリベラル民主党の候補者になったのかといえば、それは一重にウェッブ氏のイラク戦争反対の姿勢にある。 ウェッブ氏はイラク戦争がはじまる前の2002年からイラク戦争絶対反対の姿勢を貫き通している。 言ってみれば彼のキャンペーンは、イラク戦争全体反対以外には何もないのである。 民主党は本当に戦争中にただただイラク戦争反対、切捨て遁走を唱えるだけでポピュラーな共和党候補を破ることが出来るのであろうか? またイラク戦争反対というだけで、このような右翼を選んでしまうことがリベラル民主党にとって有利なことなのだろうか?
ところで、ウェッブ氏の小説にはかなり性的に変態的な描写が出てくるという。 しかも女性虐待描写が非常に多いという話である。 いくら小説に不思議なセックスシーンが出てくるからといって必ずしも著者に変な趣味があるという理屈にはならないが、ライバルのジョージ・アレン氏はこの小説の内容を利用して選挙運動に使ったようだ。 ま、やり方が汚いといえば汚いが、ウェッブ側のアレンに対する攻撃もかなり汚いからどっちもどっちといったところだろう。
バージニアでは上下議員の選挙だけでなく、州において結婚の定義を男女一人づつに限るという憲法改正案も出されているが、ウェッブ氏はこの改正案にも反対である。保守的なバージニア州でこのような意見がどれだけ支持を得られるかみものといったところだろう。 


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馬鹿サヨアメリカメディアにも基準はあるのだ!

私はアメリカの主流メディアが馬鹿サヨで、非国民だ、裏切り者だと何度も書いてきたので、こんな記事を読むと「え????」と目を疑いたくなる。
まずロイターによるとCNNテレビ局はブッシュ暗殺をテーマにしたあの悪趣味のイギリス映画、「大統領の死」の広告を放映しないことを明らかにした。 トロント映画祭では賞までもらった名作なのに、なんで~?とお思いの方々もおられるだろうが、あまりにも悪趣味であるというのが理由らしい。 またアメリカの公共ラジオ局、NPRもこの映画の宣伝はしないと発表した。 NPRは先に私が紹介した公共テレビのPBSと同じでコマーシャルは放映しないが、番組が誰による提供かは番組の前後で発表する。
そしてカカシが執着している元カントリー女性ボーカルグループ、デキシーチックスの新しい映画、「黙って歌え」の宣伝をアメリカの三大ネットワークテレビ局のひとつ、NBCとキリスト教ネットワークのCWが放映を拒絶したというニュースを読んだ。 (NBC Refuses Ads for Dixie Chicks Movie
産経新聞に日本語の記事があったので添付しておこう。

「暗殺」…上映拒否も 「反ブッシュ」政治映画、続々
 【ロサンゼルス=松尾理也】11月7日の米中間選挙を前に、ブッシュ大統領や現政権をこき下ろす「政治映画」が相次いで公開され、中にはブッシュ大統領が暗殺されるという筋書きをノンフィクション仕立てで映画化した作品もあり、上映を拒む映画館が出るなど論議を呼んでいる。
 27日から全米の映画館約100館で公開された「ある大統領の死」(ガブリエル・レンジ監督)は、2007年にシカゴでの演説中にブッシュ大統領が暗殺されるという架空のストーリーを、ノンフィクション仕立てで作品化したもの。後を継いだチェイニー副大統領が国家権力による市民生活への統制を強めていく-という内容だ。あまりの過激さに米大手映画館チェーン2社が上映を拒否。またロイター通信によると、CNNテレビや公共ラジオ放送NPRもCM放送を拒否した。
 また、「黙って歌え」(バーバラ・コプル監督)は、あるカントリー・ミュージックの歌手がイラク戦争開始直前にブッシュ大統領を厳しく批判したことと、その余波を描いたもの。ほかにもテロ容疑者を拘束しているキューバのグアンタナモ米軍基地を批判するドキュメンタリーなど複数の作品のDVDが、選挙前に発売になるという。
 上映が中間選挙直前という時期だけに政治的意図があるのではないかとの見方に「ある大統領の死」の配給元は、AP通信に対し「そのような意図はまったくないと断言できる」と述べた。(ご冗談でしょう、、思わずコーヒーを噴出してしまった。)

NBCとCWテレビネットワークが言論の自由に注目した映画の広告放映を拒否した理由として、 「大統領を侮蔑するような広告は受け入れられない」とNBCネットワークは発表した。  またCWネットワークは「当ネットワークはこのような広告を放映するにふさわしい番組を持ちあわせていない」と説明した。
私がリンクしたLibertyPost.orgというブログは明らかにリベラルなブログサイトなので、NBC、CWそしてNPRが言論の自由を弾圧しているという見解ではあるのだが、以前に言論の自由は私だけにでも書いたように、リベラルの連中は自分達はどれほど身勝手な意見を述べてもいいが、他人がその意見に反論すると言論弾圧だと言って大騒ぎをする。 これがアメリカでも日本でも馬鹿サヨの典型というものだろう。
それにしてもNBC, CNN, NPR,  CW がこれらの作品の宣伝を拒んだ本当の理由は何なのだろう。 私は彼らに道徳的基準があるなどとは最初から信じない。 だが彼らがここまで公に宣伝を拒否したとなると、これらの悪趣味な映画に対する悪評はかなりなものなのだと判断すべきだろう。 これらの映画を宣伝することでこれらの局が受ける損害は大きいという商業的判断がされたに違いない。
どうやら彼らは自分らの政治的偏向よりも金儲けを優先させたようだ。


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米中間選挙接戦地域の勝敗はいかに?

お断り: 下記はカカシがネットアクセス不能になる前の10月27日現在の予測です。
普通アメリカの中間選挙では大統領と反対の政党が議席を巻き返すということになっている。 前回2002年の中間選挙では共和党が議席を増やすという異例の事態が発生したが、これはアフガニスタン戦争中でイラク戦争直前という状態がもたらした特別な状況だったという判断が通常である。
今回の選挙ではイラク戦争があまりうまくいっていないという印象を国民が持っているだけでなく、任期6年目のブッシュ大統領への支持率が比較的低いということなども影響して、共和党は議席を失うだろうというのが通常の観方だ。
問題は共和党がどのくらいの議席を失うか、それによって与党としての座を上下議会で守り通すことができるかどうかということにある。
共和党内部の極右翼のあいだではブッシュ政権のイラク政策や違法移民問題への対策が軟弱すぎるという批判から、これらの人々が投票拒否をするのではないかという懸念がある。 それで悲観的な見方をするひとたちのなかには共和党が下院で25議席も失い、上院でも多数議席を失うと確信している人たちもいる。 だが、ミスター苺は状況はそこまで切羽詰ったものではないと結構楽観的にみている。
先ず下院。 確実に民主党が増えると思われるのは2議席。 多分民主党へ傾くだろうというのが7議席。 可能性があると思われるのが8議席。確実の2議席は民主党にやるとして可能性ありは半分こして4議席とすると、6議席となる。多分の議席は2/3から3/4が民主党にいくとして計算すると、合計で民主党の議席増加は10から12議席ということになる。 真ん中を取って11議席とすると、すれすれだが221:214で共和党がかろうじて多数議席を保てるという予測。
上院はというと、今問題になってるレースは13議席のみ。 そのうち当ブログが確実に民主党にいくと考える議席はペンシルベニアとオハイオの2議席と多分がロードアイランドの1議席。 どっちともいえないのがメリーランド、ミシガン、ニュージャージーの3議席。 ここは一歩譲ってこのうち2議席を民主党がとるとすると、合計で5議席増加。 しかしどっちともいえない議席のひとつかふたつを共和党が取れば、民主党の増加は3から4議席となり、上院もかろうじて共和党が多数議席を保つ。
この見解は楽観的すぎるというご批判もあるだろうが、Hugh Hewittのブログで書いてるディーン・バーネット氏の見解は当ブログの予測よりもさらに楽観的である。 ( The Smell of Victory, Posted by Dean Barnett )
バーネット氏はオハイオは駄目だが、バージニア、モンタナ、テネシー、ニュージャージー、マリーランド、ミズーリ、は共和党が勝てると宣言する。 ミスター苺が民主党確実と判断しているペンシルベニアや多分と判断したミシガンですらサントラム候補、やボーチャード候補の支持率高揚に期待が持てるという。 ロードアイランドはどっちともいえないが、現役のリンカーンチェイフィー氏は共和党とは名ばかりのリベラルなので、どっちかいうと負けて欲しいというのがバーネット氏の見解。
楽観的なミスター苺ですら、バーネット氏の予測は楽観的すぎると言っているが、さてさてどうなることやら。


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