ウォークアウェイ運動先駆け、後退派左翼を見限った男

最近、ストラカが始めたウォークアウェイ運動が話題になっているが、過激化する後退派左翼を見限って立ち去る宣言をしたのは彼が最初ではない。拙ブログでもそういう元左翼を何人か紹介してきたが、そのなかでもデイブ・ルービンのスピーチは再掲の価値があるので、過去ログから拾って転載することにした。元のエントリーは旧苺畑よりのこちら。カカシ注:これはカカシによる概訳であって全面的な翻訳ではない。

最近の左翼を後退派左翼と呼ぶ人が増えた。私自身は旧リベラル思想を信じているが、最近の左翼はリベラルでもなければ革新派でもない。彼らの考えは後退のみである。このように「後退派」としっかりしたラベルを張るのも彼らの思想を理解するうえには必要なことだ。

後退派左翼は今勢力を増しているように見える。しかし最近になってやっと、新しい思想に寛大なリベラルたちが団結できるようになった。トランプが好き嫌いに関わらずトランプの勝利はアイデンティティーポリティクスへの断固たる拒絶であった。後退派左翼を打ち倒すためには元来のリベラル思想の真髄にある言論の自由、個人の人権、そして人類の自由を取り戻す必要がある。今日の西洋文化の基盤への最大の脅威は後退派左翼なのだ。

後退派左翼はトランプを悪者に仕立て上げ暴力を正当化している。彼らはアイデンティティーポリティクスに基盤を置く。人々の変えようのない人種だの性別だのを元に誰が一番道徳的に崇高かを決めているのだ。この被害者オリンピックによって一番差別の被害を受けているとされるグループが絶対的に道徳優先権を持ち、被害が少ないとされるグループ弾圧の権限を主張する。 たとえばブラックライブスマター(BLM)がゲイパレードで抗議したり、大学のLGBTQ委員会が白人ゲイ男性を疎外したり、妊娠人口中絶反対の女性たちが女性行進から参加を拒否さえるといったように。この後退的考えは左翼が決め付ける各少数派団体のステレオタイプにきちんとはまらない個人を拒絶し沈黙させ断固弾圧する。

左翼に迎合しないこれらのリベラル達を勇敢と賞賛するのは、なんと右翼という信じられない状況が生じているのだ。.

アメリカの左翼(レフト)に私に残された(レフト)ものはない。私は今でもリベラルだ。同性婚や妊娠人工中絶の合法やマリワナ合法などのリベラル政策を支持している。

だが、私は被害者オリンピックには反対する。安全地帯だの引き金警告だのにも反対だ。自分と反対する人を偏狭者とか人種差別者とか決め付けるのにも反対だ。自分の意見に挑戦する様々な意見に耳を傾け、それらの意見と討論することが必要な大学という場では特にそうだ。

自分は州の権利を尊重し憲法を守り人々が自由に生きられるよう限られた政府を支持する。今やこうした自分のリベラル思想を守ることが保守派の立場になってしまった。 他の保守派評論家たちも自分たちはリベラルだから保守派になったと言っている。自分が一番大事にしている言論の自由は個人の自由のための限定政府、という考えは今や左翼とは全くかけ離れた思想となってしまった。

 

 


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昔々、僕はリベラルだった、、ウォークアウェイ発足者のスピーチ日本語訳

先日、拙ブログでも紹介したウォークアウェイ運動の発足者ブランドン・ストラカのビデオスピーチを完全日本語訳してくれた人が居たので紹介したい。訳者のツイッターハンドルは@tarafuku10。こちらがまとめサイト。元の画像や英文も含んでシーンごとに丁寧に訳してくれているのでぜひご参照されたし。下記は私個人の記録のため文章のみの転載。

昔々、私はリベラルだった。実のところ、1年前の今頃でさえ私はまだリベラルだった。私がリベラルになった理由は、自分が大切だと思う価値を共有する仲間を見つけたと思ったからだ。私は、あらゆる種類の人種差別を強く拒む。性別や性的指向に基づき人を疎外することを拒む。専制的な集団思考を拒む。

言論の自由を抑え込み、虚偽のストーリーを紡ぎ、真実を冷酷に押しつぶすために、功名心とデマにまみれた独善的な暴徒の存在を許すシステムを拒む。イデオロギー的な計略を押し進めるエセ科学や迷信を受け入れることを拒む。憎悪を拒む。

それが私がリベラルになった理由だ。そして、まさしく同じ理由で、私は立ち去ろうとしている。

左翼は、不寛容で、柔軟性がなく、非論理的で、憎悪にあふれ、見当違いで、知識不足で、非アメリカ的で、偽善的で、威嚇的で、無慈悲で、無知で、心が狭く、ときにあからさまにファシスト的な行動とレトリックへと退化した。私はそれをここ何年にもわたって目撃してきた。

リベラル主義は、それが立ち向かっていると主張するまさにその性質に取り込まれ、吸収されてしまった。私はここ何年にもわたって、左翼の人々が彼ら自身の偏見と頑迷さ、そして彼らの価値に共鳴する周りの人々の偏見と頑迷さに麻痺していくのを目撃してきた。

人種差別を拒むと主張する、かつては感受性豊かだったこれらの人々が、白い肌をもつすべての人々を一様に憎み、社会のすべての問題を彼らのせいにするという原則を信奉するようになったのを目撃した。男女平等の支援が、男性と男性性へのあからさまな憎悪と不寛容に変容するという皮肉を目撃した。

LGBT コミュニティに対して平等な社会を目指すという、かつては真剣だった闘いが、異性愛規範を非論理的に悪魔化し、ジェンダーに関する従来の概念の批判と攻撃を推進するように変化したのを目撃した。

こうした自称「不寛容の犠牲者」は、彼らの主張を押し進めるためにかつては寄り添っていたゲイ・コミュニティに牙を剥いて、ゲイの人々を「特権的」と呼び、自分たちのことは不正の「犠牲者」と呼ぶようになった。

偏見を固めるためなら事実/証拠/事象をも捻じ曲げる社会正義戦士により、虚偽のストーリーと結論が不朽のものとなり、左翼がそれを催眠術に掛かるように信じ込むのを私は目撃した。彼らの偏見だらけの結論を受け入れない者や、彼らの命令に従わない者は、差別主義者、偏狭、ナチ、白人至上主義者……同性愛嫌い、イスラム教嫌い、外国人嫌い、女性嫌い、オルトライト過激主義者と呼ばれた。反撃するすべての人々を怖がらせ、脅迫し、いじめ、黙らせ、攻撃し、職を奪い、ブラックリストに載せ、破壊するために、ぞんざいに割り当てたこうした冷酷なレッテルを貼るのを私は目撃した。

彼らは私を狙いに来るだろう。その次はおそらくあなただ。最悪なことに、民主党とリベラルメディアは、このカルト的イデオロギーを信奉し、お墨付きを与え、支援し、けしかけている。

私がかつて愛した民主党は、票の獲得と権力維持のために極左と手を結んだ。民主党とリベラルメディアは、不正に生み出した結論を信じ込み、気味の悪いことに彼らだけが社会の悪を退治する方法を知っているのだと決め込んた。左翼は、人種差別を強めることで、米国の人種関連の問題を解決すると決めた。

左翼は、あるグループを攻撃し、侮辱し、非人間的に扱うことで、他のグループの地位を向上させることができると信じている。左翼は、ニュースを伝える際、目的が手段を正当化するのだから、嘘をつき、真実を省略し、事実を歪めることは無限に許されると信じている。

左翼は、認められるべき観点は彼らの観点のみであり、開かれた議論を抑圧/検閲/禁止することは美徳で進歩的だと決めてしまった。民主党は、アイデンティティに基づき人々をグループ化した上で「犠牲者」と「抑圧者」に分けるという有害な思考体系を、なんの疑念もなく喜び勇んで採用した。

もしあなたが、有色人種、LGBT、女性、または移民なら、民主党はあなたが犠牲者であり、ずっと犠牲者のままの運命にあるのだと思い込ませようとするだろう。彼らは、あなたがあなたに不利になるように仕組まれたシステムの中で存在し続ける犠牲者であり、制度的な抑圧の犠牲者であり、あなたの置かれた環境の犠牲者であり、どんなに勤勉に働いても、どんなにやる気を出しても、あなたの犠牲者的立場や周りの人の特権を覆すことはできないと主張するだろう。おそらくこれが、民主党の最も狡猾で最大の嘘だ。

あなたが今アメリカに住むマイノリティの1人なら、左翼政治家とリベラルメディアはこの嘘をあなたに見破られることだけは避けたいと考えている。だからこそ彼らは、あなたが危険に晒されていて、成功することなどないというストーリーを塗り固めるための情報をあなたに浴びせ続ける。

あなたの恐怖と不安を操るために、あなたは不利な条件におかれ、権利を奪われ、彼ら以外のすべての人に使い捨てにされる存在なのだと言うだろう。あなたには彼らが必要なのだと言うだろう。彼らの庇護の下でのみあなたは安全だと言うだろう。あなたを縛るすべてから解き放ってあげると約束するだろう。

そして、彼らはあなたのためにまったく何もしない。

昔々、私はリベラルだった。しかし、リベラル主義は変容した。私は、調和、平等な機会、向上心、思いやり、愛といった私の価値と矛盾するすべてを代表するイデオロギーや政党の一部であることをやめた。私は立ち去る。そして、すべての皆さんに私と同じ行動を取るように勧めたい。立ち去ろう。

#Walk Away

ウォークアウェイと呼びかけたのはストラカが最初だが、近年左翼及び民主党から立ち去った人々は結構いる。ここで付けたそうと思ったが長くなるので次回に続く。


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リベラルが民主党を見放す時、ウォークアウェイ運動に同調するリベラル達

数日前にはじめてウォークアウェイ運動なるものがあることを知った。ウォークアウェイとはWalk Away – 立ち去れ、と言う意味。ブランドン・ストラカというニューヨークのゲイ美容師がユーチューブビデオで自分は嫌悪に満ちた民主党を支持することは出来ない、立ち去ることにした。という内容の動画を発表。これが瞬く間に話題になりフェイスブックでは2.2百万回も再生されているという。彼に感化された元民主党支持左翼リベラル達がこぞって自分のウォークアウェイ証言動画をストラカが設立したウォークアウェイフェイスブックページに#Walkawayのハッシュタグで次々に投稿しはじめた。

「昔々、僕はリベラルだった」といってはじまるストラカのビデオは、自分がリベラルになった理由は、人種や性嗜好や性別による差別や独裁的な思想や言論弾圧を拒絶するからだとし、今自分がリベラル及び民主党を去るのは、それと全く同じ理由からだと説明する。

二年前にトランプが共和党の候補に決まりつつあったころから、民主党支持でありながらヒラリーやバーニーに投票せずにトランプを支持するようになったリベラル達が増えた。以前にも拙ブログにおいて民主党は本当の意味でのリベラル思想からかけ離れてしまったと言って保守派に転向したデイブ・ルービンの話しや、チャドウィック・ムーアの話しで紹介したことがある。

私が今の左翼や民主党支持者を左翼リベラルとか革新派リベラルと言わずに「後退派左翼」と呼ぶようになったのは、今の左翼はおよそリバティー(自由)にも革新にも全く興味がない独裁主義だからである。

現在の左翼たちは徒党を組んで覆面して保守派の講演会を暴力で阻止する。自分と違う意見は徹底的に弾圧する。左翼思想に従わないものは道端で出くわしても、レストランでも、小売店の店先でも大声で罵ったり暴力をふるったりする。これが差別反対とか少数派の人権擁護とか言ってた奴らのすることか?

こういう世の中なので、今までリベラル派でそういう付き合いしかしてこなかった人間が突然自分は保守派に転向するなどと言ったら、周りから受ける反撃は半端なものではない。友達を失い家族からも見放され下手すれば仕事も失うなどということになりかねないからである。

ストラカのビデオに励まされて実は自分も保守派だと「カミングアウト」したグラミー賞受賞者の作曲家ブランドン・コンティは、保守派としてカムアウトするのは何年か前にゲイとしてカムアウトしたときより勇気が要ったと言っている。なにしろ彼の所属している音楽界は普通以上にリベラルに独占されている社会だ。保守派としてカムアウトなどすれば失うものも大きい。だが驚いたことに彼の事務所は彼にとても支持的だった。彼のウォークアウェイビデオに寄せられたコメントは1000以上で、後から後から続き三日間止まらなかったという。しかもウォークアウェイ宣言によって彼のCD売れ行きが急増した。「いったいどれだけの人が同じことを考えているんだろう?」とコンティは言う。

しかし無論バックラッシュがあることも忘れてはならない。後退派左翼たちは自分たちへの支持が減り始めていると意識したら、保守派への攻撃が激化することは間違いない。げんにウォークアウェイの発起人であるストラカは近所のカメラ屋さんで店員からサービスを拒絶されたとテレビインタビューで語っている。だが同時にストラカはカメラ屋を名指しで非難することもせず、絶対にカメラ屋に嫌がらせをしないでくれと訴えていた。数日後カメラ屋の本社から店員の態度は会社の方針を代表するものではないとして謝罪発表があった。ストラカは名指ししていないのに何故本社がそれを知るに至ったのかは不明だ。

この運動が極左翼と化した民主党崩壊へとつながるかどうかはわからない。だが、ポリコレの独裁に嫌気をさした普通のリベラルたちが今の気違いじみた社会風潮から立ち去る時はすでに訪れたのかもしれない。


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議事堂乱入事件で政治犯扱いされて起訴された保守派活動家ブランドン・ストラカが沈黙を破る

以前に私はイギリスでパキスタン人移民たちによる未成年少女グルーミングギャングの裁判の際に、裁判所の前でリポートしていたトミー・ロビンソンが逮捕された事件を紹介したことがある。ロビンソンはイギリス警察が隠蔽してきたギャングたちの行動をことごとく暴露してきたため、裁判所の敷地内でリポートしたという口実で逮捕され数か月投獄された。彼が実際どんな犯罪を犯したかなどということはどうでもよく、真実は彼が政権に対して恥になるようなリポートをしたことが問題だった。つまりロビンソンは政治犯だったのだ。

あの事件が起きた時、まさかアメリカでも現政権と反対意見を持っているというだけの善良な一般市民が逮捕され起訴もされず裁判も行われないまま一年以上も牢獄に閉じ込められるなどということがおきるとは思いもよらなかった。だが実際にそれがおき、まだ裁判を待って拘束されている人が100人以上いる。

ブランドン・ストラカも議事堂乱入事件当日に議事堂付近に居たことで逮捕され起訴された中の一人である。彼は去年罪を認め、最近三か月の自宅軟禁と三年の執行猶予という刑に処されると判決がくだった。

ストラカはトランプ政権設立当時にウォークアウェイという運動を始めた保守派の活動家だ。ゲイで美容師という典型的ステレオタイプの民主党リベラルだったストラカは、なにかの拍子に自分が信じている党は自分の価値観を反映しないと気が付いた。そこで彼はたった一人でウォークアウェイ(立ち去る)という民主党から立ち去ろうという運動を始めたのだ。

近年の民主党の過激化は目に余るものがあり、多くの保守派民主党登録者たちの間でも懸念されるようになっていた。それでストラカのもう民主党は見放そうという運動は人気を得て、ストラカは一躍保守派活動家として重要な人物となった。

あの運命の日、2021年1月6日、トランプ応援ラリーがワシントンDCで開かれた時、ストラカも一人のスピーカーとして演説。「絶対にあきらめない、最後まで戦おう」と観衆を沸かせた。トランプ大統領がみんなで平和的に議事堂まで行進しようと呼びかけた後、ストラカは地下鉄を使って議事堂の東側に近づいた。彼が議事堂に着いた頃にはすでに何千という群衆がひしめいており、議事堂付近に囲いもなく警官の姿もなかった。ストラカはその場に10分くらい居て、様子をビデオに撮った後ホテルに戻った。

問題はここからだった。ストラカによると、そしてストラカのビデオからも明らかなのだが、議事堂の東側に居た群衆は全く暴力的ではなく、壁によじ登ったり窓ガラスを割ったりしている人は一人も居なかった。その時ストラカは西側でそのような暴力行為が起きていたことを全く知らなかったという。

ストラカがホテルに戻ってテレビをつけると、議事堂付近で暴動が起きているというニュースが入ってきたため、ストラカは自分達の行動は暴動などではないことを証明するために、自分が撮ったビデオを諦めるなといったメッセ―ジと共にツイッターに上げた。ところがだんだんと、西側の暴動の様子がテレビで報道されるようになり、これはまずいと思ったストラカはすぐにツイッターのメッセージを削除したが、時すでに遅し。

二週間後、ストラカは夜明けにスワットチームに叩き起こされ手錠をかけられて連行され、二日間留置場に入れられたという。

私は彼が逮捕されたと聞いた時、結構楽観的に考えていた。ストラカによれば彼は議事堂の外側に居ただけで、別に乱暴行為を働いたわけでもないし暴力を煽ったわけでもないので、すぐ保釈され、せいぜい罰金程度で終るだろうと思っていたのだ。2020年夏中繰り広げられたもっと暴力的な暴動でも、逮捕されたほとんどがすぐ保釈されて軽い刑で済んでいたからだ。多分ストラカもそう思ったことだろう。

だが現実はもっと厳しいものだった。ストラカのスタッフが弁護士を雇い、なんとか保釈はされたものの、ストラカに課された罪は非常に重いものだった。トランプを憎むバイデン政権はトランプ支持者に対して物凄い復讐をし始めたのである。ストラカは有名であったがために見せしめとされたことは間違いない。

ストラカは知らなかったのだが、議事堂の階段に立つこと自体がすでに建築物不法侵入とみなされるのだそうだ。しかしそれが本当なら、何故首都警察は当日議事堂の周りには柵を張って警察官を待機していなかったのか。首都警察が「議事堂の階段に登るのは違法行為です。議事堂の階段に登らないで下さい」と放送していたら、ほとんどの人は言うことを聞いたはずだ。右翼保守はたいていの場合左翼過激派のような行為には出ないからだ。

ともかく階段に登っていたくらいで手錠をかけて逮捕とかやりすぎだろうと思うが、ストラカの罪状はテロ行為誘発、警官への暴行、器物破損、などなどあり得ない刑事犯罪が羅列されていた。しかしストラカの撮ったビデオには、ストラカがそのような行為をしている映像が全く映っていない。

だったら何故ストラカは罪を認めたのか、裁判をやって無実を貫き通せばよいではないか、と思われるかもしれないが、ことはそう簡単には行かない。裁判となれば時間もお金もかかる。裁判に勝てるという保証はない。もし起訴罪状がすべて有罪になれば数年の禁固刑は免れない。これは検察が良く使う手だが、最初に重罪で起訴をし、罪を軽減する代わりに容疑者に罪を認めさせるというもの。検察側も裁判などやりたくないので、大抵の犯罪はこの示談で終るのである。容疑者が罪を認めたからといって、実際本人が自分を有罪だと信じているとは限らない。しかし裁判になってお金と時間と労力をついやして禁固刑になる危険をおかすより、軽い罪を認めて執行猶予にしてもらった方がよいと判断する人は少なくない。

私はマーク・レビンによるストラカのインタビューを観た。ストラカが罪を認めたのは群衆を煽ったこと、警官から盾を奪う行為に加担したことなどだが、ストラカのビデオを観る限り、彼がそのようなことをしている映像はない。

無論ビデオを撮っているのはストラカ自身なので、彼の顔は一瞬しか映ってないが、カメラのこちら側で「ゴー、ゴー」と言っている彼の声は聞こえてくる。ストラカによると自分の前に立っていた若い女性がその場から立ち去ろうとしていたが、後ろからどんどん人が集まってきたため身動きが取れなくなっていたのを助け、道が開いた時に「いけ、いけ」と彼女に促したのだという。無論罪状を認めているので自分が群衆を煽らなかったとテレビインタビューで発言は出来ないので、そうはっきりと言ったわけではない。だがビデオを観る限り、それは明らかである。

警官の盾についても、その映像は写っているが、ストラカが居た場所からはずっと遠くの方で起きており、彼は警官から盾を取り上げろとも言っていない。議事堂のドアが何者かによって開けられた時も、ストラカは議事堂の警備員がドアを開けたのだと思ったという。しかし誰かが「中には入るな、戻れ」とメガホンで言い始めたので、ストラカを含めほとんどの人が議事堂から離れ始めた。

検察はストラカが無罪なのは重々承知だっただろう。だが、トランプ支持のインフルエンサーとしての彼を罰することはバイデン政権にとって非常に大事なことだったのだ。だからわざとあり得ない重罪を覆いかぶせ、示談で有罪を認めさせたのである。

さて、アメリカのビッグテックが一様に左翼なのはもう何度となく書いてきたが、ストラカは弁護に必要な経費の資金調達にも非常に苦労した。なぜならアメリカで募金活動をする企業がことごとくストラカとの関係を断ち切ったからである。また、ストラカは左翼やメディアの攻撃は予測範囲だったとしながらも、それまで一緒にトランプ支持活動をしてきた右翼保守の人たちからも一斉に見放されたと語る。

これは私も含め、もしトランプが結果的に負けてバイデンが大統領になったとしても、共和党支持者たちは街に繰り出して暴動を起こすなどということは絶対にしないと信じていた。だから1月6日の騒動は我々保守派にとっても非常な汚点となったのである。それで保守派の間では、あの事件から距離を置こうとする傾向が強くあった。民主党がBLM・ANTIFAの略奪放火行為を全く恥じないどころか誇りとさえ思っているのと違って共和党は議事堂乱入事件を非常に恥べき行為だと思っているからだ。それで、あの事件に少しでも加担したと思われる人たちとは一緒にされたくないという気持ちが働いたのだろう。

共和党議員や保守派の悪いところはこういうところだ。何故自分らを応援してくれた人たちを守らない?何故主流メディアや民主党のいう「謀反」などという言葉をそのまま受け入れるのだ?

議事堂乱入は良くない行為だった。窓ガラスを割ったり壁をよじ登ったりするのは良くなかった。しかし、その場の雰囲気に飲まれて、ちょっと行き過ぎな行為をしたとはいうものの、2016年のトランプ大統領就任式の日に起きた左翼たちの暴動や、その後に起きたBLM/ANTIFAの暴動に比べたら、ほんの数時間議事堂内を歩き回った程度のことで共和党や保守派はビビるべきではないのだ。

カマラ・ハリスを筆頭にBLM/ANTIFAの逮捕者の保釈金を払ってやってる民主党議員を見習って、共和党も議事堂乱入容疑者たちの保釈金集めくらいすべきである。一年以上も独房に拘束されてる人もまだ何人もいるのだ。あの事件は恥かしい行為だったかもしれない。だが、ここまで虐待されるほどの罪なのか?

私は今、議事堂事件容疑者に手を差し伸べない共和党議員にも保守派団体にも非常に腹を立てている。


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元後退派左翼運動家の告白、「私は昔モブだった、自分がモブに襲われるまでは」

元後退派左翼が左翼連中の暴挙に嫌気がさして立ち去るウォークアウェイという運動については何度か書いてきたが、今回は元左翼ネットモブの一員だった男性の体験談を紹介しよう。彼はついこの間まで社会正義運動家という名目の後退派左翼ネットモブの一員だった。しかしちょっとしたことから仲間から睨まれ、突然村八分になっただけでなく、仕事も追われ、本名で活動すると攻撃の対象になるため、この告白記事も偽名で書かざる負えなくなったという。

私がネットモブとしたのは、本当の暴力を振るうモブと区別するためだ。モブという英語は群衆と言う意味で、主に好ましくないことをする群衆のことを指す。著者のバーレット・ウイルソン(仮名)がやっていたことは、有名人にしろ一般人にしろ、自分が社会正義に反すると判断した人間に対して、ネット上で「それは差別だ!」「ヘイトだ!」と決めつけて仲間を煽る行為だ。それに扇動されて他のユーザーたちが「そうだ、そうだ、お前はレイシストだ!」とよってたかって犠牲者をいじめまくる。ウイルソンは自分のツイートやコメントに他人から「いいね」をたくさんもらったり「君は勇敢だ」「そんなヘイターを指摘してくれてありがとう」などと言われると非常な興奮を覚えたという。

しかしその彼がひょんなことから攻撃の対象となってしまった。彼が何を言ったのかは問題ではない。実際この記事にも彼の行為自体は書かれていない。問題なのは彼が告発されたということだけだ。無論彼は有罪だった、告発された人間はすべて有罪なのだ。モブの攻撃に公正な裁判などない。一旦悪者と指摘されると、人々は彼の過去のコメントやツイートを掘り出してきて、過去にも同じようなことを言っていたと指摘する。結果ウイルソンは職場でも有害な環境を何年も前から作っていたとか、彼のマイクロアグレッション(些細な攻撃性)で回りに非安全な空間を作って来たと責められた。

社会正義というのは偵察文化だ、告げ口文化だ。同僚や友達による執拗な警戒が私を失業に追い込んだ。それで私はスシやピザの配達をしている。いや、文句を言っているじゃない。これはまっとうな仕事だ。この仕事は現実社会で他人とどうやって付き合うべきかを再発見させてくれた。以前のようにSNSで他人のことを「親切」じゃないとか「敬意」を示さないと責めるようなことをしなくなったことで、 今の私は以前より親切で他人に敬意を払える人間になった。

私は以前から後退派左翼の中に居る人達の方が我々保守派より不安定な状況にいるのではないかなと思っていた。もともと私はツイッターなどで自分はネトウヨです!とか極右翼です!とか言ってるので、今更私が同性婚反対!とかトランスジェンダーに屈するな!などと言ったからと言って誰も驚かないし興味も持たれない。だが普段から自分は敬虔なリベラルだと自称している人間が、すこしでも同性愛者を馬鹿にした(と取られる)言動を取ったとか、セクハラの冤罪を着せられたりしたら、彼/彼女らの左翼としてのキャリアは終わりである。

他人の人生をネット攻撃で台無しにしてしまうことは、それ自体自分に何かすごい力があるような錯覚を持たせる。ウイルソンが感じていた興奮というのはその力なのだろう。だが、それは何時か自分にも牙をむく。そしていままでトモダチだった人たちは一斉に自分に襲い掛かってくるのだ。



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