フランスの新しい首相、ニコラス・サルコージは本気でフランスの暴走している年金問題に取り組むと公約した。しかし前首相のシラクなども年金問題を改良すると公約しながら労働組合のストに会って怯んでしまった例もあり、サルコージがどれだけ強力なフランスの労働組合に立ち向かえるのか多くの市民がサルコージの信念の強さに疑問をもっていた。
そのサルコージの信念を試す時がついに訪れた。11月に入ってフランスでは鉄道労働組合を中心とする大規模なストライキが行われたのである。

パリ:フランスはもう一週間以上にわたってサルコージ首相の経済改革に抗議したストライキで麻痺状態にある。ノアの箱船よろしく労働組合の抗議はフランスでは通常の鉄道、公務員、教員、の他に看護婦、タバコ店経営者、空港職員、漁師や劇場の大道具係までが一緒になってのストである。

この木曜日、フランスの大学半分は抗議者によって休校となり、弁護士や裁判官らまでが仕事から離れると異議申し立てをしたほどだ。
デモ行進による交通混乱はまるで過去の革命を思い出させる。しかし今回はなにかが違っていた。

その違っているものとは何か? それはこのゼネストに一般市民からの支持がほとんど得られなかったということである。通勤の不便を感じているビジネスマンや中間試験を逃した大学生など、フランス市民はこれまでと違って、50歳でそれまでの給料相当の年金がもらえるようになる贅沢すぎる年金プログラムを維持しようという労働組合の姿勢にあからさまな反感を見せている。
フランスでは黒い11月(Black November)といわれ、政府が新しい方針を打ち出す度に労働組合による大規模なストライキがおき、政権はそれに負けてあきらめるというやり方が、1968年以降何度も繰り返されてきた。フランスの経済方針はこのやり方で何十年も続いてきたのである。
しかし今回はサルコージの全く怯みを見せない態度とそれを支持する市民の声に労働組合もじょじょにあきらめを見せ、22日の木曜日には多くの労働者がストをやめて職場にもどった

組合のリーダーたちは昨日敗北をみとめた。「我々は現実を見つめなければならない。事情が変わったのだ。ストライキはもう解決方法ではない。スト作戦では勝てない。」とパリの地下鉄従業員を代表しているサッド連合のリーダー、Philippe Touzet氏はブルームバーグニュースのインタビューで語った。

これはサルコージ首相の最初の大勝利である。フランスの労働者にストライキは解決方法ではないと認めさせるとは、フランス首相としては前代未聞である!
ストライキを破って政権の方針を貫き通した例としては、過去にイギリスのマーガレット・サッチャーやアメリカのロナルド・レーガンがあるが、サルコージの名はフランスの悪名高い労働組合のストを破った例として歴史に残るだろう。
フランスといえばストライキというイメージがあるほど、フランスの労働組合の強さは有名だが、昨今組合は結構フランス市民からの支持を失っているようだ。実際にフランスで組合に属している人口はたったの7%なのだそうだ。これならアメリカのそれよりずっと低い。しかも最近は組合のなかでも理想派と現実派でかなり分裂が起きているという。
大学などでも学生組合のメンバーはゼネスト参加に反対したにもかかわらず、過激な学生らによって学校全体が閉鎖された学校もあり、伝統的に左よりで労働組合に同情的だったフランスの学生らもフランス経済はこれまで通りではなだめだ、改革が必要だという現実路線に移行しているようだ。
むろんそういう背景があるからこそ、保守派のサルコージが首相に選ばれたわけだが、選挙時の公約と実際の方針とが噛み合ないのはよくあること。それをサルコージが先ず最初の試練に打ち勝ったというのは非常に大きな意味がある。


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