昨日の木曜日はアメリカでは感謝祭だった。感謝祭というのはアメリカ特有の祭日で、日本のお彼岸のように家族が集まって祝うクリスマスに次いで大事な祝日である。だから今週の月曜日から水曜日まであらゆる交通機関は大混雑。私も日曜日にホノルルからかえってきたが朝から空港はごったがえしで、出発一時間半前に空港についたのに搭乗は最後のほうで滑り込みセーフだったくらいだ。
さて、アメリカ海軍のバトルグループキティホークは、感謝祭に香港へ入港する予定になっていた。感謝祭に地元へかえって来れない船は停泊地に家族が訪れるということはよくあることだ。私の乗っていた船も感謝祭は真珠湾に停泊しているので、乗組員の家族が各地からホノルルへやってきて感謝祭はハワイで過ごそうという人たちが大勢いた。わざわざ日本から子供連れできた奥さんたちも結構いた。それでキティホークの乗員たちとその家族も香港で落ち合って休暇を楽しもうと計画していた。
ところが中国政府が突然キティホークの寄港依頼を拒絶した。我々の船など乗組員はせいぜい数百人だが、キティホークはバトルグループ。水兵だけでなく戦闘機のパイロットなども大勢のっている。その家族たちが高い航空費を出してホテルやツアーの予約をして兵士らを楽しみに待っていたというのに、それが土壇場でキャンセル。おかげで8000人を超える水兵やパイロットやその家族たちがせっかくの感謝祭を台無しにされた。
中国がキティホークの寄港許可を拒否したのはキティホークが中国海域へはいる許可依頼を無線でした時。これでは家族たちが予定変更のできる余裕は全くなかった。昨日の木曜日になって中国はこの決断を取り消し、再びキティホークの入港を「人道的な理由で」許可すると発表したが時すでに遅し。キティホーク並びに護衛艦らは現在香港から300マイルの海域で台風をつっきりながら横須賀へ向かっている。いまさら引き返すことはできない。
どうやら中国は先週発表されたアメリカが台湾にペイトリアットミサイルIIのアップグレードを売る計画や、10月にブッシュ大統領がダリ・ラマと会見したことなどに腹を立て今回の拒否となったらしい。まったくせこい国だ。