今日、産経新聞の「タリバン、春に大攻勢へ アフガン駐留外国部隊が標的」という記事を読んでカカシが大学生の、パキスタンの留学生との会話を思い出した。ある時私はパキスタンとインドがカシミアを巡ってまた戦闘を始めたようだねという話をしたら、パキスタン空軍でパイロットをしていたこともある彼は、「あ~春だからね」と退屈そうに答えた。彼に言わせるとカシミアあたりは冬は寒くて雪もつもり山岳地帯での戦闘はほぼ不可能。暖かくなってくるとお互い何発か打ち合って形だけの戦闘をやるのが習慣なんだそうだ。これじゃまるで日本の春闘とおんなじだなとカカシは苦笑いをしてしまった。(今でもあるのかな、春闘って?)

3月3日8時0分配信 産経新聞
 【バンコク=岩田智雄】イスラム武装勢力タリバンが、アフガニスタンに駐留する米軍など外国部隊に対し、春の大攻勢に向けて戦力を整えつつある。米国やアフガン政府は、テロの司令塔はパキスタン国内に潜伏しているとしており、米軍による直接攻撃の可能性も示唆し始めた。
 アフガンでは昨年だけで139件の自爆テロが発生。一昨年の21件から急増した。
 現地からの報道によると、タリバンのダドゥラー司令官は先月21日、新型の対空火器を入手したと明らかにするとともに、現在6000人のタリバン兵が、間もなく1万人になると主張。ゲリラ活動が容易になる雪解け後の攻勢が始まると宣言した。別のタリバンのカーン司令官も先月28日、アフガンで自爆要員2000人を確保し、うち1000人を、治安が比較的安定している同国北部へ移動させたと述べた。

実はアフガニスタンでタリバンはすでに何度もNATOへの総攻撃を試みており、今年にはいって200人からのタリバン武装勢力がカナダ・イギリス軍を中心にしたNATO軍に殺されている。
実は先月、ニューヨークタイムスは2006年にアフガニスタンでは4000人が殺されたと報道した 。しかしこの記事では殺された「人々」が一般市民だったのか敵側のタリバンだったのかはっきりされていなかった。 もし殺されたほとんどがタリバンだったとしたらタリバンの総攻撃は大失敗だったということになる。これは調べてみる価値があると思った。 その結果驚くべき事実がはっきりした。
タリバンの戦死者数を調べるにあたり、カカシはCounterTerrorism blogThreatsWatch に載せられたアフガニスタンに関する記事からタリバンの死者数を月別に数えてみた。9月の数はNATOの公式発表の数を使った。
2006年月別タリバン戦死者数は書きの通り。

2006年、タリバン戦死者数
戦死者数
一月 16
二月 (No data)
三月 43
四月 45
五月 412
六月 515
七月 708
八月 122
九月 900
十月 105
十一月 20
十二月 165
2006 合計 3051


これで解るように去年一年間でアフガニスタンでの戦死者4000人のうちなんと四分の三はタリバンだったことがはっきりしたのである。
これらの数は公式発表ではない。私が記事に書かれた戦死者数をいちいち数えたもので多分実際にはもっと多いはずだと考える。たとえば9月は私の勘定だと319人だったが、公式発表では900人となている。
どういうわけかイラクでのアメリカ兵の戦死者やイラク市民の犠牲者の数には異常なほど興味を示す主流メディアはアフガニスタンでどれだけ悪者が退治されても全く興味がないらしい。
ここでメディアが全く認識しないカナダ、フランス、イギリス軍の英雄たちに拍手と声援を送ろう。また9月に勇敢な戦いをしたアメリカ陸軍特別部隊にも脱帽!
確かにタリバンは完全に崩壊したわけではない。まだまだ残党がいる。しかしこれまでの何百回という戦闘でもわかるように、タリバンはNATO軍に総攻撃をかけるたびに大惨敗しているのである。去年の死者のうち2000人はタリバンが攻撃を激化させた後半の四ヶ月で出た数だ。 であるから春先のアメリカ軍への攻撃においても突然タリバンが圧倒的な勝利を得るなどという可能性は低い。
ただ問題なのはタリバンがアフガニスタンでままならぬ勢力をパキスタンに伸ばしていることである。前出の産経新聞によると、

米軍、パキスタンで直接攻撃を示唆
 イスラマバードの消息筋によると、タリバンは、最高指導者オマル師の指揮下にあり、同師の周辺にはダドゥラー氏ら30人の司令官がいる。タリバンのほかにも10以上のテロ組織があり、かつてタリバンと敵対した反米イスラム原理主義者、ヘクマティアル元首相らのグループが活動している。
 米国はこれまで、タリバンの指導者がパキスタンのアフガニスタン国境に近い部族地域などに潜伏し、国際テロ組織アルカーイダが訓練キャンプを再構築していると指摘してきた。
 消息筋によると、チェイニー米副大統領は先月、パキスタンのムシャラフ大統領との会談で、アルカーイダナンバー2のザワヒリ容疑者とタリバンのダドゥラー司令官の殺害あるいは拘束を具体的に求めたという。米国は、2人が春の大攻勢を主導し、現在パキスタンとアフガニスタンの間を自由に往来しているとの情報を得ているといい、チェイニー副大統領はテロリストの動きが止まらない場合、米軍がパキスタンで直接、武力行使する可能性を示唆したとされる。
 ムシャラフ大統領としては、パキスタン軍がタリバンを攻撃すれば、同政権がテロの標的になりかねないため、対応に苦慮しているもようだ。

ムシャラフ大統領はアメリカ政府に協力したいのはやまやまだが、自分も何度も暗殺の対象になった身でもあり、厳しい取締りをしたくてもそれだけの権力がないというつらさがある。だが、テロリストと妥協は出来ない。
ムシャラフ政権が倒れた後のことも見越して、アメリカ政府がパキスタンにある核兵器がテロリストの手に渡らないようにすでに手を打ってあることを祈るのみである。
関連記事:
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アフガニスタン:どうなったのタリバン春の大攻撃?


2 responses to 何がタリバン春の大攻撃だ!

アラメイン伯16 years ago

フランス軍は首都の周辺だけしか活動してないようですよ。
イギリスみたいに増援もださないし。
イギリス陸軍は正規兵だけなら日本の陸上自衛隊より規模が小さいですから、なかなか大変だと思います。
他のNATO諸国は何してるのでしょう?
日本もアフガニスタンに派兵すべきだと思います。
いずれにしてもタリバンが正面から戦ってNATOの精鋭に勝てるとは思えませんね。

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scarecrowstrawberryfield16 years ago

アラメインさん、
日本がアフガニスタンへ行くとなると、戦闘は避けられません。必然的に犠牲者も出るでしょう。
今の憲法のままでは無理だと思いますね。
カカシ

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