先日お話したプラネットフィットネスという全国チェーンの運動ジム、男性が女子更衣室で髭を剃っていたのを見た女性がフロントに苦情を入れたら、反対にメンバーシップをキャンセルされてしまった事件がソーシャルメディアで大炎上。ハッシュタグ「プラネットフィットネスをボイコットしよう」でメンバーシップをキャンセルする人が続出している。そのせいかここ一週間でPFの株は7%も下がったそうだ。

苦情を言った女性はあっちこっちのニュースメディアからインタビューを受けている。私はXに載ったLibsofTikTokのインタビューを見た。

拙ブログで以前に私はPFの不思議なビジネスモデルについて書いたことがある。もともとPFは真面目に運動をしたい人が行くようなジムではなく、ボディービルダーやフィットネスモデルはお断りという態度を全く隠さない。かえって自らのテレビコマーシャルでボディービルダーを使って、「ここはあなたのジムではない」とはっきり言ってるくらいだ。

また、重たいバーベルなどをうなりながら持ち上げたりすると警報がなり、「うなるのは禁止だ」と従業員から言われたり、スタイルのいい女性が体の線がくっきり出るようなレオタードなどを着ていると、ジムを追い出されてしまったりする。ともかく従業員が失礼なので悪名高いジムなのだ。何故そんなことをするのかというと、PFはなるべくまじめな会員にジムに来てもらいたくないからなのである。下記は私が2015年に書いたエントリーから抜粋。

普通のジムでは年初めになると今年こそはと思った人々が多く入会するが、バレンタインズデーくらいになると会費だけ払ってこなくなる人が結構居る。実はレギュラーメンバーが比較的安い会員費でジムの使用が出来るのも、欠席会員がいるからなのだ。もしもメンバー全員がレギュラーみたいに毎日せっせとジム通いをしたら、機械にしろマットにしろシャワーにしろすぐに駄目になってしまい修理費がかさむ。だからジムとしては会費だけ払ってめったに来ない客のほうが好ましいわけだ。

PFの狙いはこの最たるもの。PFはコマーシャルからして「ここはジムではありません、プラネットフィットネスです」といううたい文句で、筋肉もりもりやフィットネスモデルには来ないでくださいといわんばかりの宣伝をしている。PFの会員費は月々たった10ドル(2015年当時)という安価。それでどうやってもとを取るのかといえば、それは数で勝負する。

もちろん入会した会員がみんなで押し寄せたらとてもやっていけないのは承知。だからまじめに通ってくる会員はかえって迷惑というわけ。250キロもつかってベンチプレスなんかやるムキムキマンは迷惑このうえない。フィットネスモデルもカーディオマシンを使いすぎるから駄目。だからまじめに運動しているメンバーに言いがかりをつけて辞めさせたり会員権を剥奪するのは計画的な行為だというのである。

こんなやり方でやっていけるのかと思うが、実は1992年創業以来営業成績は良好である。2015年のエントリーでも書いたが、当時も更衣室に男がいると苦情を言った女性が会員権を剥奪されるという今回と全く同じ事件が起きた。しかし当時は数日間テレビニュースで取沙汰された程度で、PFをボイコットしようなどという動きは見られなかった。前回と全く同じ事件なのに、なぜ当時は大して騒がれずに終わり、今回はこんなに大騒ぎになっているのだろうか?

私はこれはバドライト効果が原因だと思う。去年ディラン・モルベイニーという偽トランスジョセーがバドライトのコマーシャルを自分のTikTokで行ったところ、バドライトファンの逆鱗に触れ一斉にボイコットが始まった。最初は数週間もすれば人びとも飽きるだろうと思われたが、何とボイコットは終わることをしらず一年経った今でも続いている。続いているというよりバドライトから別のビールに変えたひとたちはもうバドライトには戻ってこないだろう。低価格であの程度の味のビールなどいくらもあるので、何も今更バドライトに戻る理由もない。

このボイコットの成功により、人々は学んだことが二つある。それは第一にトランスジェンダリズムにの押し付けに嫌気がさしているのは自分だけではないこと、第二に大企業に対して一介の消費者にも力があるということだ。

バドライトのボイコットが成功したのは他にいくらも代わりになるビールがあったからだが、同じことがPFの場合にも言える。ジムはなにもプラネットフィットネスだけではない。多少会費は高くなっても他にいくらも近所にジムはあるだろう。それに、プラネットフィットネスのメンバーの多くが会費だけ払って実は全然通っていないゴーストメンバーだ。こういう人たちは、どうせい行かないのだし、今まで惰性で会費を払っていたけど、この際だから辞めてしまおうとなるかもしれない。そういう人が続出したらPFもかなりの痛手を被るはずである。

ポッドキャスターのコータリングのジェラミーも言っていたが、このせいでPFが潰れるということはないだろうが、痛い目を見ればすこしは態度が変わるかもしれない。


Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *