先日陸軍は新しい志願者勧誘コマーシャルを発表したが、その内容が伝統的なマッチョなもので、昔ながらの”Be all you can be, in the army”というスローガンが使われていたことが話題になっている。これは陸軍で自分の最高の可能性に挑戦しようという意味。

背後に流れている音楽は”Be all you can be”の歌で、米陸軍がコマーシャルにずっと使って来た歌だ。今回はメロディーだけで少しメランコリーな調子になっているが、私が若い頃にしょっちゅうテレビや映画館で流れていたのでよく覚えている。

このコマーシャルは一見何気ないものだ。軍隊のCMだから格好いい軍人が格好いいことをしているのを見せるのは当然。しかしここ最近のポリコレな陸軍CMと比べるとまるで違う。先ず登場人物がすべて白人男性。女性は愚か黒人や他の人種が観られない。もしこのCMが1970年代に流れたとしても全く違和感はなかっただろう。

以前に私はアメリカ陸軍は深刻な志願兵不足に悩んでいるという話を何回かしたことがある。そしてその理由として陸軍のWOKEお目覚め主義文化に問題があるのではないかとも書いた。アメリカ陸軍、志願兵激減の危機 – Scarecrow in the Strawberry Field (biglizards.net) バイデン政権になってからというもの、軍隊ではトランスジェンダーが許可され同性愛者や女性の志願兵もどんどん募られるようになった。志願兵の枠を広げレベルを落とすことで数を増やそうと考えたのだとしたらこの作戦は完全な誤算だった。だいたい軍隊に志願しようなんて男たちはポリコレになど興味がない。いや、かえってそんなところは敬遠するだろう。それで、いまや1973年に徴兵制度が禁止されてから最低の志願兵数へと落ちてしまったのだ。添付記事内でも紹介したが、これが去年起用されたポリコレCM。二人の母親に育てられゲイパレードにも参加したという女性兵士の話だ。

去年発表された陸軍リクルートコマーシャル

ご覧の通り、これのどこが陸軍なんだと思うような内容。

さて、ではどうして陸軍は突然伝統的なマッチョなコマーシャルに切り替えたのだろうか?実はこれは、もしかしたらアメリカは再び戦争をやる気だからではないかという噂が流れている。平和時であれば多様性だのLGBTQ+だのと言ってる余裕はあるが、実際に戦争するとなると頼りになる男たちが必要である。戦場に行って命を懸けて闘ってくれる頼もしいマッチョマンが必要なのだ。ではいったいそんな男たちをどこから集めるのかといえば、やはり伝統的に軍隊文化のあるテキサスや南部の州からだろう。そうしてこうした州の若者で軍隊に入ろうなどと考えるのは保守的な白人男性達が圧倒的に多い。だからそうした男たちにアピールできるコマーシャルといえば、伝統的な”Be all you can be.”なのである。

しかし戦争ってどの戦争だ?まさかバイデン政権は米軍を中東に派遣しようというのではないだろうな。一般的に共和党の方が鷹派だという印象をもつが実はそうでもない。ベトナム戦争は共和党のアイゼンハワー政権の時アメリカはアドバイザー的な存在だったが、民主党のケネディー政権を経てジョンソン政権の時に米軍が出動されて拡大した。コソボ・ボスニア戦争もクリントン政権の戦争である。アフガニスタン・イラク戦争は共和党のブッシュ大統領の時に始まったが、同じく共和党のトランプ大統領が終結させた。バイデンが引き揚げを完全に失敗してタリバンにアフガニスタンを獲られてしまうという体たらくだったが。

つまり米国は民主党も共和党も戦争を始めている。最近の政権で戦争を始めずに世界平和に貢献した大統領は共和党のレーガン大統領とトランプ大統領だけだ。

それはともかく、我々がイスラエルとパレスチナの紛争に気を取られている間にも、中東では色々な問題が起きている。イラクではアメリカ大使館がすでにモスリム過激派によって襲撃されているし、米軍の護衛艦はイエメンからのミサイル攻撃を受けているのだ。バイデン政権は外交が下手すぎるのでイランにも中国にも舐められている。このままだと中国が台湾を襲撃するのは時間の問題だ。そうなったらアメリカは二つも三つも戦線をもつことになるのである。

しかしバイデン政権で軍隊に入りたいなどと思う人がどのくらいいるだろうか?アフガニスタンの無様な撤退劇を見ていると、私が親なら共和党政権になるまでは軍隊に入るなと言うだろうな。

ちなみにこちらが1980年代の陸軍のコマーシャル


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