今日見つけたCNNの記事、Opinion: What the anti-trans movement is all about (Jack Turban – Ziad Reslan)「反トランスジェンダー運動とはどんなものか」がおもしろそうなので読んでみたい。CNNに掲載された記事であるから親トランスジェンダリズムであることに間違いはないが、トランス支持者が今時我々ジェンダークリティカルと呼ばれるジェンダー論批判家たちのことをどのように理解しているのかを知るのも悪くはない。

拙ブログでも何度か書いているように、今アメリカでは未成年の性転換医療措置を違法化する動きがあちこちで起きている。先日もインディアナ州やアイダホ州で「ジェンダー肯定治療」とトランス支持者が呼ぶ児童の性器切除措置が違法となった。カンサス州議会は民主党のローラ・ケリー知事の拒否権を覆して、幼稚園から大学生まで男子の女子スポーツ参加を禁止した。そして先週は連邦下院議会が女性自認男子の女子スポーツ参加を禁止する法律を提案、上院議会で審議される予定である。

共和党議員らは、これらの法案は公平さと子供を守るためのものだと言っているが、コラムの共著者、ジャック・ターバンらは、これらの法律はそのようなことをするものではないと主張する。

ターバンらはこれと同じような理屈が1990年代に同性愛者を差別するために使われたという。ターバンは、共和党は単に同性愛者への差別政策を包装を変えてトランスジェンダーに置き換えただけだというのだ。

1980年から1990年にかけて、コロラド州の各地の市で同性愛差別禁止法が通り始めた。これに苛立った保守派はColorado for Family Values.「家族の価値のためのコロラド」という団体を設立した。

確かに私(カカシ)も90年代にはよくファミリーバリューという伝統的な家族の価値観という言葉をよく聞いた覚えがある。ターバンによれば、この団体は徐々に同性愛者たちに寛容になっていく有権者をどうやって説得するかを考えるために作られたものだったという。

その作戦には主となる二つの方法があった。一つは「平等さ」に訴える理論だ。つまり今まさに日本でも取りざたされているLGBT差別禁止法は、同性愛者を優遇するものであり平等の権利を与えるものではないという理論である。もう一つは同性愛者達は子供を腐敗させるグルーマーの集まりであるという理論。

これらの作戦は成功し、コロラド州では*補正案条項2と呼ばれる法律が通ってしまった。

*修正条項2は、1992年にコロラド州の有権者によって可決された投票条例で、同州がゲイ、レズビアン、バイセクシャルに対する反差別保護を制定することを禁止するものであった。コロラド州の有権者は、修正案2を承認したとき、法的・憲法的な闘いを開始した。この修正案が可決されたことで、ゲイ、レズビアン、バイセクシャルの権利をめぐる全米規模の議論が始まり、その後の法廷闘争は、同性愛者に関わる最初の訴訟として連邦最高裁判所に持ち込まれた。最高裁は最終的に修正条項を違憲とし、米国におけるLGBTの権利を求める現在の闘いの先例となった。

差別禁止法は異性愛者から何も奪わなかったにも関わらず、コロラドフォーファミリーバリューは公平さの理屈を使って有権者を説得してしまったのだとターバンは言う。そして今また同じ作戦がトランスジェンダーを差別するために使われているというのがターバンの主張だ。

読者諸氏もよく覚えていらっしゃるスール対コネチカット教育委員会の裁判(女子スポーツを救えるのは16歳の女子高生? – Scarecrow in the Strawberry Field (biglizards.net))では、Alliance Defending Freedom (自由を守る同盟)という団体が二人の女性自認男子生徒が生得的女子の陸上競技に参加するのは不公平であるとして州の運動競技委員会(Interscholastic Athletic Conference)を相手どって訴訟を起こした。ターバンは無論CNNであるから、二人の男子生徒が黒人だったこともあり、これは人種差別もあったのではないかなどと勝手な邪推をしている。二人の男子生徒は高校生であり、高校の女子競技ではホルモン値の規定すらない。単に自分らを女子だと自称しているだけの高校生男子が女子競技に参加して公平であるはずがない。

しかしターバンは二人のトランス自認男子は「シスジェンダー」(生得的女子)から何も奪っていないという。なぜならこの訴訟が起きた数日後に女子学生は男子学生に55メートル走で勝っているからだと。へえ~、訴訟が起きた数日後にトランス自認男子が負けるなんて随分都合がいいタイミングだね。残念ながらこの訴訟は棄却されてしまったが、その後また見直しがされることになったので、まだこの訴訟は続いている。

ターバンはトランス選手がタイトルを得ることは非常に稀であり、多くの政治家は自分が代表する州のトランス選手の名前を一人として挙げられず、せいぜい大学水泳競技で優勝したリア・トーマスを知ってるくらいだという。ターバンは保守派のいう公平なスポーツとはトランス選手が絶対に勝たない状況のことだなどという。

いや、我々はトランスジェンダーがスポーツに参加すべきではないとも、優勝してはいけないなどとも言ってない。彼等が自分の生得的性別に合った方の競技に参加してくれさえすればそれでいいのである。しかしターバンは男子選手禁止法は公平性とは無関係だと言い張る。これは単に保守派政治家が少数派市民が多数派から不公平に権利を奪っているという不誠実な理屈を使って有権者の票を獲得する企みなのだというのだ。

しかしこの理屈には無理がある。なぜなら男女の運動神経の差は歴然であり、誰がみてもこの競争は不公平である。陸上競技で男子エリート選手と女子とではその差はくらべものにならない。この二人の男子生徒もその前の年には男子競技に参加していた。そして州での順位は80位とかだった記憶がある。つまり男子では予選にすらひっかからないような選手だったのに、翌年女子枠に入ったらすんなり優勝をかっさらうという事実がすでに、如何に男子の運動能力が女子よりも優れているかを証明している。時々女子も勝っていたとしたら、この男子たちがその時だけさぼったか不調だったかのどちらかだろう。

さて、保守派の作戦の第二の方法として、LGBTQが子供を腐敗させるというのがあるとターバンは言う。確かに同性愛者に対する偏見が非常に大きかった頃は、同性愛者は子供を誘惑するとか、同性愛者はペドの集まりだなどと思われていたこともある。しかし多くのLGBの人たちが、その偏見を覆すために、同性愛者は単に性指向が同姓であるというだけで、変質者ではないというイメージを作ることに努力してきた。そしてそれは概ね受け入れられるようになっていた。

しかし今、LGBTQと呼ばれる人々は子供たちにとって危険な存在だという主張が保守派の間で言われるようになってきた。ターバンはこれもまたひと昔前に同性愛者にむけられた偏見と同じだと言いたいのだろう。だが残念なことに、これは偏見ではない。

確かに同性愛者が皆変質者の集まりで子供を誘惑し洗脳するという考えは概ね偏見だった。しかしこれには全く根拠がなかったわけではない。もう教育界ではLGBを正常化しようという動きはすでにあったし、水面下では同性婚の合法化の運動もすでに始まっていた。だから保守派たちが同性愛者全体を恐れたのも単なる被害妄想ではなかったのである。

しかし現在のLGBTQ活動は水面下どころかどうどうと幼稚園児から高校や大学に至るまで、何かといえばLGBTQ教育を押し付けている。

幼い子供に同性愛セックスの手ほどきをする本まで教材として使われている。家族向けといって幼稚園児の前で裸同然のドラアグクィーンが性行為を模写した踊りをする。ドラアグクィーンストーリーアワーなどといって、保育園児相手に同性愛やトランスジェンダーの話を読んで聞かせる。こうしたことが公然と行われているのだ。

これでは保守派にLGBTQは子供をグルーミングしていると言われても文句はいえない。なぜならそれが事実だからだ。にもかかわらずターバンは1990年代の保守派の理論が人々に恐怖をあおるプロパガンダだったのと同じで、今のLGBTQに対する批判も不誠実な虚偽の言い掛かりだというのである。

そしてもちろんトイレの問題。ターバンは保守派の、トイレは生まれた時に「割り当てられた」性別のトイレを使うべきであり、そうしないとトイレでの障害率が増えるというのは嘘だといいはる。それどころかトランスジェンダーの若者こそ性犯罪の被害者になる率は高いと主張する。はっきり言って私はこの調査は信じない。だいたいこの「性犯罪」が何なのか、そしてそれは誰によって行われたのかがはっきりしないからだ。

例えばこの調査では何とアメリカの中学一年から高校三年までの3673人のトランスジェンダーとノンバイナリの男女を対象に調査を行ったとある。アメリカ全土にそんなにもトランスやノンバイナリの生徒がいるということ自体がおかしいが、ま、それはいいとしよう。

2017年の一年間で、トランスジェンダーボーイズ(男子自認の女子)の27.0%、生得的女子のノンバイナリーの18.5%、女子自認男子の17.6%、生得的男子ノンバイナリの17.6%が何らかの性暴力にあったという。これらの若者は規制された更衣室やトイレを使った場合の方が、規制なしの場合よりも暴力を受ける率が高かったという。しかしノンバイナリを名乗る男子の場合は制限は特に問題なかったという。

私がこの調査を信じない理由は、先ず最初に述べた通り、2017年のアメリカで3673人ものトランスやノンバイナリが存在しているということ自体が嘘だと思うことと、女子トイレや更衣室を使った男子自認の女子の27%もが女子施設内で性暴力の被害を受けたとなどということは到底信じられない。女性の犯す性犯罪は極めて少なく、男子と比べて9:1以下の割合だ。にもかかわらず27%ものトランス自認女子が他の女子生徒から性加害を受けたというのか?信じられない。

だいたいこれらの加害は警察沙汰になったのか?なっていないなら何故なのだ?

これだけLGBTQが幅を利かせている世の中で、もしも本当にトランスジェンダー生徒が女子トイレや男子トイレで性加害を受けたなどということがあれば学校側が黙っているはずはない。なぜなら今の教育現場はLGBTQ一色であり、その活動に役に立つ事件なら大々的に発表するからだ。これが反対の場合、例えば女装男子が女子トイレで女子を襲ったとなると、学校側は必死で隠蔽しようとするが。

この調査はアンケートであるから、本人が被害に遭ったと言えば被害として数えているだけで、いったいどんな被害なのかもわからない。もしかしたら単に冷やかされたとか、多少どつきまわされたくらいのことかもしれない。明らかに強姦などの恐ろしい行為ではない。

しかし高校の女子トイレで女装男子に強姦された女子の事件は犯人は逮捕もされており、全くの事実である。

トランスの若者が性被害に遭う可能性が高いというのは本当だと思う。それはトランスの若者は他の子よりも危険なライフスタイルを持っているからである。以前にも話した通り、こうした子供たちはネットで子供を狙う多くの大人たちの餌食になることが多々あるのだ。トランスだから家族にわかってもらえないと悩み、ネットで出会った大人たちに誘惑されて会いにいって誘拐され売春させられるとか、女の子が男性ホルモンを摂取すると極度の性欲に耐え切れず、危険な性行為に及んでしまうとか、色々である。

ターバンは1990年代のコロラドのファミリバリューは過激な言葉で感情に訴えたことで成功した、そして近年の反トランスジェンダリズム運動も全く同じ手口が使われているのだという。特に効果的なのは「ジェンダー肯定治療」に対してである。保守派は「肯定治療」を「性器切除」と言い、児童虐待だと言って、主流の小児科医が奨励しているまっとうな治療を批判するのだという。

そしてターバンは、歴史を知らないと歴史は繰り返されると強調。今日の人びとは保守派がどんな汚い手を使ってトランスジェンダーを攻撃するか、1990年代に行わ多と同じ偽情報拡散やLGBTQ界隈に対して恐怖をあおる作戦を見破らなければならないという。補正条項2は結果的に最高裁によって却下されたが、今の保守派が多数を握る最高裁ではそれは望めないかもしれない。もし人々が目を覚まさずこの現実を見据えなければ、共和党の誤った感情的な理論に押し通されてしまうだろう。我々は恐ろしいアメリカの歴史の中に突入しつつあると締めくくる。

当たり前のことながら、同性愛者を差別すべきではないという法律に反対するのと、男女の差を無視して男子を女子施設に入れたり、男子を女子競技に参加させたり、子供の生殖器を切除するといった恐ろしい現実に反対するのとでは程度が違いすぎる。同性愛差別禁止法への反対は単なる同性愛者への偏見で片付けられたかもしれない。だが後者の場合は偏見ではなく事実だ。いったいターバンはなにをして保守派が偽情報を流しているというのだ?

ターバンの言葉を信じるなら、

  • 男女の運動神経には全く差がない。
  • 女子施設に男子を許容しても女子への性暴力など起きない。
  • 思春期前の子供の生殖機能を永久に奪うことは児童虐待ではない

という三つのことを真実としなければならないのだ。

しかしこの記事で解ることは、ターバンも認めている通り、今保守派は勝ちつつあるということだ。保守派のLGBTQ界隈の活動が如何に危険なものであるかというメッセージが多くの人に届きつつあるということだ。だからこそターバンのようなLGBTQ活動家達は恐怖を感じているのだ。

こういう時が一番危ない。敵(TRA)は必死だ。そして敵は手段を択ばない。彼等は大量殺人も含むテロ行為すらいとわない輩である。ここはジェンダークリティカルの我々にとっても正念場である。


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