アメリカでは最近肥満体を受け入れようという動きが活発だ。それについて書こうと思っていたのだが、「苺畑より」ではかなりのトピずれ(懐かしい言葉)かなと思ってダイエットブログ専門のルナおばさんのところで掲載してもらった。しかしルナおばさんのブログは零細すぎて読者がほぼゼロというだけでなく、何故かダイエットの話に政治がからんできたことでもあるので、せっかくだからこちらに転載させてもらう。
以下ルナおばさんのサイトより。
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最近肥満大国のアメリカでは「太っていてもいいじゃないか」という肥満体型を受け入れようという運動が流行っています。もうここ2~3年そういう運動がおきていて、プラスサイズのモデルとかネットでも人気者がいるし、ファッション雑誌やスポーツ雑誌ですらプラスサイズのモデルがフィーチャーされています。モデ痩せだけが美ではないという風潮が受け入れ始めたのはよいことだとは思いますが、どんなサイズでも健康でいられると言って、それが健康美を目指すことへの妨げとなってしまうとこれはかなり問題があると思います。
アメリカでいう肥満というのは日本でちょっとぐらい太っているといった程度ではないのです。特に肥満受け入れ運動に積極的な人というのは100%以上の超肥満、つまり標準体型の二倍の体重といった人が圧倒的に多いのです。日本人の女性で身長160センチの標準が60キロとしたら超肥満は120キロですよ!こんな体型で健康体を保てるはずがありません。
それでもアメリカは自由な国なので個人が自分の体重が多いことに満足しているというなら、それはそれで本人の勝手で済みます。でも実際はそうではないのです。「肥満受け入れ運動」は自分が太っていることを容認するという意味ではなく、自分が太っていることを社会に無理やり認めさせるという運動なのです。これが問題になる理由はおのずと明確になります。
もっとプラスサイズの洋品店を増やせとか就職の際に太っているからといって差別するなとかいう程度ならまだしもですが、もっと現実的に理不尽な要求につながります。たとえば
健康保険及び生命保険の掛け金
就職先で入れる団体保険ではなく個人的に入る健康保険の場合は、本人の健康度によって掛け金が変ります。病気になりやすいと判断される人の掛け金は割り高になるのは当然。タバコを吸う人や危険な仕事をしている人や肥満な人は掛け金が高めになります。同じ理屈で早死にする可能性の高い人の生命保険の掛け金も割高になります。肥満受け入れ運動家たちは肥満者の保険料が高いのは肥満差別だから止めるべきだと訴えるのです。
飛行機の座席料
飛行機のエコノミークラスで一つの座席に納まらないほど太っている人は二席分の座席を購入することが勧められています。空席が多い機なら別ですが、満席の機に乗りたいなら二席分購入は義務です。しかしこれは肥満者への差別であるとてして、航空会社はもっと大きな座席を作り、料金は普通のエコノミーと同じにしろという要求です。
洋品店などがプラスサイズ専門のコーナーを設けるのは商業的に有益な作戦かもしれません。ファッション雑誌やスポーツ雑誌がプラスサイズモデルを起用するのも雑誌の売り上げ増加につながるかもしれません。でも保険会社や航空会社のような一般企業に利益の見合わない要求をするのは理不尽というものです。割高料金を払いたくないなら本人が痩せればいいだけの話なので、その自己責任を棚に上げて企業や社会にその責任を負わせるというのはどんなものでしょうか?
肥満受け入れ運動家たちの要求はこうした社会機構だけでなく人々の言動にまで広がっており、それが非常な言論弾圧にもつながっています。 次ページに続く。


続きですが、最近肥満受容認運動家たちによるフィットネス派への攻撃が猛烈になってきています。以前にも「何故肥満を自慢するの?」と問いかけて大批判を受けたマリー・カングさんの話をしましたが、パーソナルトレーナーとか栄養士とかお医者さんたちは健康体を促進するのが仕事です。それが最近は「健康な生活習慣を身につけ健康な身体を作ろう」というメッセージを「ファットシェイミング(肥満を恥かしめる行為)」といって批判する人が増えています。
そういう肥満容認傾向に腹を立てたのが元陸軍新入兵の教官で今は民間人フィットネスインストラクターのジョン・バークという人。一年ほど前バークさんのユーチューブビデオがちょっとした話題になりました。彼はビデオのなかで、『太っていることはオーケーじゃない!太っている人の姿を見るのは不快だ気持ちが悪い。肥満体は自己規制のきかない象徴だ!病気などで太ってしまう人もいるが大抵の肥満者は怠慢なだけだ。肥満を受け入れるのは単に怠慢でいたいだけのいい訳だ!』というようなことを五分間に渡って教官の口調で怒鳴り散らし肥満人を罵ったのです。
彼が言いたかったのは言い訳ばかりしていないでフィットネスへの努力をしろということで、そのメッセージはもっともなことなのですが、その言い方がかなり厳しいということでこれをみた多くの人々が彼に反感を覚えネット上で炎上してしまったというわけ。軍隊では兵士のフィットネス度が生死の境になるわけですから、その鍛え方は一般人を鍛えるのとは違います。言葉使いも口調も厳しいものになるのは当然のことです。でもそのやり方が一般人に通用するかといえばこれは議論の余地ありでしょう。
しかし私が脅威を覚えたのはバークさんのビデオよりもバークさんへの異常なまでもの批判と糾弾です。2~3年前にマリー・カングさんが「あなたの言い訳は何?」というポスターで批判を受けた時もひどかったけど、バークさんへの批判も相当なものでした。どうしてこんなにもフィットネス派のモチベーションスピーチに批判が集まるのでしょうか?
人にはそれぞれモチベーションの受けかたが異なります。三児の母なのに美しいガングさんの体を見て「あ、三児のママでもあんなふうになれるんだ。私も頑張ろう」と思う人もいれば、「あんな体には絶対になれない。気が滅入った。やけ食いしよう」となる人もいるでしょう。また陸軍教官に怒鳴られて「畜生!あんなこと言われて悔しい。がんばるぞ!」とやる気の起きる人もいれば、「怒鳴られて腹たった。やけ食いしよう」となる人もいるでしょう。
なんですぐやけ食いになっちゃうのかという不思議さもありますが、相手にやる気を起させようとするやり方には色々あるはずで、ひとつのやり方だけが正しいとはいえません。でも他人のやり方が気に入らないからといって、それが正しくないとは決め付けられないはずです。現にこのやり方は軍隊では断然効果があるわけですから。
一般的に肥満体の人に恥をかかせるような言動は失礼であり、すべきではないと思います。聞かれてもいないのにダイエットのアドバイスとか余計なお世話もしてほしくありません。しかし自分の商売が肥満体の人に痩せるようやり気を起させることが目的となれば話しは別です。相手を奮起させるやり方は千差万別であり恥をかかせるのも一つのやり方として受け入れるべきだと思います。そういうインストラクターが好みでないなら別なインストラクターに行けばいいだけの話です。バークさんのようなやり方が人気がなければバークさんはフィットネスインストラクターとして成功しないでしょう。彼のことをいろいろ批判せずとも自然に彼の商売は成り立たなくなります。市場に任せればいいのです。
私が一番嫌なのは自分が肥満であることを批判されたくないからといって肥満は不健康だという意見や健康体をつくるために努力すべきだという意見を弾圧しようという動きです。自分が太っていることで満足しているならそれはそれでいい。でもその生活習慣を正当化しないでほしい。フィットネスを目指している人々の努力を妨害しないでほしい。フィットネスを促進する人々の言論を弾圧しないでほしい。
それだけです。


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