先月29日(6/29/12)、米最高裁判所は国民皆保険強制加入は合憲であるという決断を下した。ただ、強制加入に従わない国民に罰金を課す制度は国民への税金であると見なし、税金であるならば議会にはその権利があるという解釈は、オバマ政権が罰金制度は税金ではないと主張していたことと完全に矛盾しているだけでなく、最高裁判長のジョン・G・ロバーツ裁判長がオバマ政権からの圧力に屈服して違憲判決を土壇場で覆したという事実が明るみにでるなどして波紋を呼んでいる。
低迷するアメリカ経済の中、何一つ功績を残していないオバマ政権にとって、初期に国民の大反対を押し切って通した俗にオバマケアと呼ばれる国民皆保険制度の合憲は多いに意義のあるはずだった。
だが、この判決は一見してオバマ政権の勝利であるように見えるが、カカシから言わせれば、かえってこの判決によって保守派及び共和党支持者は、これだから民主党に政治は任せられない、なんとしてでも政権及び議会の多数議席を取り戻さねばならないと奮起するのではないかと思う。現に世論調査では定評のあるラスマソンによれば、保守派の怒りは頂点に達しているという

「これは保守派の熱意を高めただけです。」と月曜日のインタビューでラスマソン氏は語った。「今回の選挙に対する保守派の関心はすでに穏健派やリベラル派より高いものでした。しかし判決後の関心は気象圏外のレベルにまで高まっています。この傾向がずっと続くのか、ニュースサイクルによる一時的なものなのかは解りませんが。」

ラスマソンによれば、経済低迷が続くアメリカにおいて、オバマケアがさらに国民の負担を大きくするものだと解釈されれば、今回の合憲判定はかえって共和党の有利になるという。特に最高裁による罰金は税金であるから合法という解釈は、ではやはりオバマケアは共和党がずっと主張していた通り、国民の医療保険を口実とした単なる増税に過ぎなかったのだということになる。となると、オバマが年収25万ドル以下の中流層の増税は断じてしないとした誓約を完全に破ることになるのである。
だからオバマ政権はずっと保険強制加入違反者に課せられる金は罰金であり税金ではないと主張して来たのだ。
つまりこれで、オバマ政権にとってはにっちもさっちもいかないジレンマが生じたのである。強制加入が違憲だということになれば、オバマ政権の第一期は完全な無駄だったということになる。だが、税金だから合憲だという解釈だと、中流層の増税はしないという公約を破ることになる。
これはまずいと気がついたのはオバマ政権や民主党のみならず、今や民主党選挙運動員と成り下がって久しいリベラルメディアである。なかでもワシントンポストなどは、オバマケアに関するオバマ政権の矛盾を指摘するのではなく、オバマケアに対する共和党大統領候補のミット・ロムニーの見解が矛盾していると攻撃しはじめた。
ロムニーは、最高裁の判決が出た月曜日、強制加入違反者への課金が税金であるという判断には賛成できないと主張していた。だが、水曜日になると税金であるという判定を受け入れると発表した。このことについてポストは、ロムニーが保守派支持者からの圧力に負けて見解を覆したと批判しているのだ。
だが、ロムニーが言った事をきちんと読んでみると、ロムニーは最高裁の判定には賛成できない、自分は今でも違反者への課金は「違憲な罰金」であると考えているとしながらも、最高裁の判定は受け入れるとしているだけだ。

「最高裁には最終決定権があるのであり、その判定がオバマケアが税金だと言っているのだから税金なのだ。最高裁が合憲だと決めたのであるから、これは税金なのであり合憲なのである。」

これは別に矛盾でも何でもない。それより、罰金は税金ではないと言い張って来たオバマ政権が最高裁によって税金であれば合憲だと言われた途端に、これは税金だと言い変えることのほうがよっぽどもご都合主義である。第一オバマは中流層に対する史上最高の増税をしたことになってしまったということのほうが、ロムニーがオバマケアをどのように解釈しているかなんてことよりずっと深刻な問題である。
それに、オバマケア強制加入が税金だということになると、次議会が共和党で多数議席を占めた場合、議会はこの税金を廃止する権限を持つことになり、予算案は絶対多数で決められるため民主党の票は必要ない。そうなれば、ロムニーが大統領となり上院議会が共和党多数議席を握れば、オバマケアを事実上撤回する事が出来るのである。
なんとしてでも選挙には勝たねばならない!


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