この間、民主党アドバイザーのヒラリー・ローゼン女史が共和党大統領候補有力指名のミット・ロムニーのアン夫人を「一生のうち一度も働いたことがない」と言って批判した件で、コメンターのマックさんが、「最近の女性は、フェミニズムを間違った捉え方してる女性が多い。」というコメントを引用し、「私もそう思います。女性が男性化する事が、本来のフェミニズムだとは、私は思えません。」と書いてくれたが、この傾向は最近というより、フェミニズムが左向きになった20年以上も前から起きていたことだ。
このことについては旧フェミニズムの母とも言える、クリスティーナ・ホフ・ソマーズが1995年に発行されたWho Stole Feminism?「フェミニズムを乗っ取ったのは誰か」という本のなかで、アメリカのフェミニズムが左翼思想に乗っ取られた経過を書いている。(カカシもホフ・ソマーズ女史についてはここで触れている。)
現在のアメリカフェミニスト達及び左翼リベラルが何故ロムニー夫人をこうも嫌うのか、ブックワーム(文字通り「本の虫」という意味)というブログがおもしろいことを書いている。
先ずヒラリー・ローゼンが『子育ては仕事ではない』宣言をした後、フェミニストの女性達が次々にローゼンの弁護をツイートしたが、その内容がこぞって、お金を貰っていなければ仕事とは言えないというものだった。

私はある程度の歳なので覚えているが、男達が家事を馬鹿にして、給料をもらっていなければ本当の「仕事」とは言えない、などと言えばフェミニスト達がいきりたって激怒した時代があった。つまり、ローゼンのコメントを弁護しようとする女達は、1960年代70年代によく言われた悪名高い”male chauvinist pigs”(熱狂的男尊女卑主義の豚)と言われた男達が女達に向って言った言葉をそのまま使うはめになってしまったのだ。これによって革新派ほど後退派だということが、またもや証明されたのである。

アメリカのフェミニスト達は、日本でもそうなのかもしれないが、個々の女性の地位向上などには興味がない。彼女たちの目的は全体的な女性という集団の権力拡大である。フェミニストや左翼リベラルが言う「女性問題」というのは、いかに政府が女性という集団の左翼化を援助するかという問題であり、日々の生活のなかで個々の女性達が直面する苦労をいかにして緩和するかなどという問題ではない。
つまり、言ってみれば、子育ては誰の責任なのか、という根本的な問題がここにある。
全体主義のフェミニストの立場からすれば、政府ではなく個々の母親が子育てをするということ自体が許せない事実なのだ。何故なら個々の母親に育てられた子供達は、政府が望むような左翼主義者になるとは限らないからだ。彼女たちが一番嫌うのは個人主義。アン・ロムニーや、家庭教育をしているコメンターのマックさんみたいな母親は、政府や主流メディアのいいなりになる歩兵を育てることを邪魔する恐るべき存在なのである。
左翼のアン・ロムニーへの敵意は彼女の夫の富や彼女/彼らの共和党という立場や、アン・ロムニーが外へ出て働くより子育てを選んだということなどを通り越している、とブックワームは言う。左翼連中にとって、アン・ロムニーは個人主義の最たる者であり、全体主義者のフェミニスト達にとっては最も脅威なる宿敵なのである。
どうりで左翼はアン・ロムニーを毛嫌いするわけである。


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