消えたスイング、リンディホップの再来

読者のみなさんはリンディホップという踊りをご存じだろうか。これは1920年代にアメリカはニューヨーク、黒人街のハーレムで発明されたジャズダンスだ。一応スイングの一種ということになっていて、ジャイブやジルバと似てはいるが、イーストコーストスイングとリンディホップでは月とスッポン。能と阿波踊りくらいの差がある。さすがに黒人の間で人気を呼んだ踊りだけあって、動きは激しく凄まじく早く、ラフで危険な動きが多数取り入れられている。

もともとは男女のペアは双方とも足を床につけたまま踊っていたが、1930年代になると相手の頭の上を飛び越えたり、男性が女性を持ち上げて放り投げたりするような動きがフランキー・マッスルヘッド・マニングというダンサーによって発明された。
リンディホップという名前の踊りの創設者であるショーティ・ジョージとビッグベンがリポーターからこの踊りはなんというものかと聞かれた時、丁度リンドバーグが大西洋横断に成功したニュースの見出しに「リンドバーグ(リンディ)大西洋を飛び越える(ホップス)!」と書かれていたのをみたショーティが「リンディホップさ!」と答えたが最初だと言われている。

口で説明するより見てもらったほうが早いので、1941年のHellzapoppin’という映画の一部に出てきたこのシーンをまず見ていただこう。振り付けはフランキー・マニングで、踊りはフランキーが結成したハーレム・コンガルーンズで、フランキー自身も踊っている。



これだけすばらしい踊りなのに、なぜか1950年代にはロックにおされてリンディホップはダンスフロアから消えてしまった。ロックの踊りはツイストとかマッシュポテトとかでパートナーを要しない一人でリズムにあわせて適当に踊るスタイル。誰でも踊れるせいなのか技術を要するリンディよりも人気が出てしまった。
もちろん1970年代になるとディスコの時代。ジョン・トラボルタがサタデーナイトフィーバーで一躍有名になった時代。ディスコはペアを組んでリフト(男性が女性を持ち上げる)のある面白い振り付けもあったにはあったが、リンディホップのようにパートナーを振り回したり放り投げたりするエネルギッシュな踊りとはかなりかけ離れたスタイルだった。

とろこが1980年代に不思議なことが起きた。ビデオ録画技術VCRの到来である。VCRによって古い映画を若い人たちが観ることが出来るようになると、誰かが埋もれていた昔の映画を掘り起こしてきてこの幻の踊りに出くわしたのである。そしてその古いビデオの映像だけをたよりに今まで見たこともない踊りを再現させようとしたわけだ。
幸運なことに、20年代から30年代にリンディの振りを多く振り付けしたエキスパート、フランキーはまだ生きていた!そこでリンディファンたちはフランキーの教えを受けリンディホップの再現に成功したのである!実はフランキーは今現在も93歳の若さで健在。やっぱり一生踊ってきたせいかな?

先週の木曜日、ミスター苺とカカシは近くのお寺で開かれた全国リンディホップ選手権の地区予選を見てきた。コンテストが開かれる前や審査中は一般人がダンスフロアに出て自分達で踊りを楽しめたので、我々苺畑夫婦もリンディに挑戦。しかしどう見ても周りで踊っているひとたちと同じスタイルの踊りには見えない。ダンス会場は満員で、私たち夫婦がえっちらこっちら習ったばかりのステップを踏んでいると、周りで回転しまくってる若い男女に蹴られるはふっ飛ばされるはで大変だった。さて、それではここで全国選手権の決勝戦の模様をお届けしよう。振り付けがほぼ昔のままであることに注目。

最初はハーレムの黒人街で生まれたリンディホップだが、新世代のファンはなぜか白人や東洋人ばっかり。ここ数年ヨーロッパでもリンディは人気があるという話だ。しかしよく見てみると黒人の間で始まったブレークダンシングのなかにもリンディの動きがかなり取り入れられていることが分かる。

最近はアメリカの人気テレビ番組でリンディホップが紹介されるなど、リンディは若いひとたちの間でもわずかながら知られはじめている。この間地区予選が行われたうちの近所のお寺では、毎週木曜日にリンディホップのパーティがある。入場料たった7ドルで8時から午前二時過ぎまで踊り放題。早くいけば無料レッスンも受けられる。
売ってるものはペットボトルの飲料水のみ。アルコールも食事も出ないのに会場はいつも満員。もっともこんな踊りを酔っぱらってやっていては危なくてしょうがない。
踊りが激しいので若い人たちばかりかと思うとそうでもなく、中年の苺畑夫婦より年上のカップルをいくらも見かける。先週の木曜日には60歳過ぎの男性が20代の女性を振り回していたのを見たが、あまりの激しい踊りに若い女性のほうがついていけないほどだった。

当然のことながら苺畑夫婦はここで紹介したような動きは何一つできないが、基礎ステップだけでも覚えて、自分なりに楽しめるようになりたいと思っている。それにしても若い人たちの間で失われた芸能が生まれ変われるというのは喜ばしいことだ。これからもリンディホップの人気があがることを願う。
追記:日本でもリンディホップファンはいるはずだと思って検索してみたら、東京スイングダンスソサエティーとかスイフルなんていうスタジオがあるみたいなので、興味のある人は覗いてみてはいかがかな?


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ブッシュ大統領の演説、イラク撤退はベトナムの二の舞いになると主張

先日ブッシュ大統領はミズーリ州のカンザスシティで退役軍人を相手にイラク駐留の大事さについて熱弁を振るった。私は帰宅途中のカーラジオで生放送を聞いていたのだが、ちょうどブッシュ大統領が日本の民主化の歴史について語っているところだった。CNN日本語版では大分演説の内容が割愛されているが一応背景として添付しておこう。

ブッシュ大統領は、ベトナム戦争で米軍が撤退したことにより、何百万人もの無実の市民が代償を払わされたと指摘。また、オサマ・ビンラディン容疑者が、米国人はベトナム戦争と同様にイラク政策にも反対して決起するべきだと発言したことを踏まえ、米軍撤退は米国の信頼性を傷つけ、テロリストを勢いづかせると主張した。

ブッシュ大統領はまた、…(マリキ)首相が続投するかは、ワシントンの政治家らが決めることではない」と、首相支持を強調した。
大統領はさらに、戦時中の日本や韓国やベトナムの共産主義者が、無慈悲な考えで米国人を殺害していたと述べ、アジアでの戦争とテロ対策が「イデオロギーをめぐる戦い」である点で似ているとコメントした。大統領は、戦後の米軍占領を経て自由社会に変貌した日本の前例を指摘し、イラク撤退論も誤りであることが歴史で証明されるだろうと語った。
米政権は、来週予定されている在郷軍事会での大統領演説を前に、イラク政策の進ちょく報告に関する議論に「より広範な文脈を与える」ことを狙ったとみられる。

この「より広範な文脈を与える」というのは、歴史的な面からイラク戦争を理解することが大切だという意味である。特に大統領がベトナム戦争を持ち出したのはアメリカがベトナムの呪いから解き放たれるためにも非常に大事なことだと思う。
私は以前にもベトナム戦争については何度か書いているが、ベトナム戦争は決して当時の左翼メディアが報道していたようなアメリカの軍事的大敗などではなかった。事実はその正反対だった。確かに当初は慣れないゲリラ戦に戸惑った米軍だが、すぐに米軍は適応し能率的な戦闘を繰り返していたのである。
ただ、以前にも書いたように対ゲリラ戦というのは正規軍同士の「とつげき〜!」という戦争とは違って時間がかかる。全体的に見れば第二次世界大戦の方がベトナムよりもよっぽども苦戦した戦争だったのだが、華々しい勝ち戦だったWWIIと違ってベトナムは地味でだらだらと長ったらしく続いた。しかもナチスや日本帝国といった目に見える敵が相手ではなく共産主義という漠然とした思想との戦いだったため、それと東南アジアのベトナムがどう関係があるのか多くの国民が理解出来なかった。アメリカは東南アジアを共産主義から守るどころか、かえって自分達がいることによって問題を大きくしているのではないか、という疑念が生まれたのも当然といえるだろう。ブッシュ大統領はそれをこう語る。

アメリカのインドシナにおける存在は危険だという考え方はかなり長い歴史があります。1955年、アメリカが戦争に参加するずっと以前に、グラハム・クリーンは「静かなアメリカ人」(The Quiet American, Graham Greene)という小説を書きました。主役はサイゴンに住むアルデン・パイルというアメリカ人スパイです。パイルはアメリカの愛国者の象徴です。危険で考えが甘い。別の登場人物がアルデンのことを「あの男ほど正しい動機であれほどの問題を起こす人間に会ったことがない」と説明しています。

ベトナム戦争にアメリカが参加した後、グラハム・グリーンの議論は勢いを増しました。実際多くに人々が我々がベトナムから撤退しても何の悪影響も及ぼさないと主張しました。
1972年、反戦派の上院議員は「遊牧民族や無教養なベトナムやカンボジアの農民にとって、統率者が軍事独裁者であろうが、皇族であろうが、見たこともない遥か彼方の土地にいる社会主義者であろうが、どんな違いがあるというのだろう。」といいました。ニューヨークタイムスのコラムニストもまた同じように、カンボジアやベトナムが共産主義の手に落ちようとしている時、「アメリカ人がいなくなれば、彼等の生活が良くなる以外の状況など想像できない。」と書きました。記事の見出しは「アメリカ人の居ないインドシナ、ほぼより良い生活」 でした。

無論、この考え方がどれだけ間違っていたかは後の歴史が証明している。カンボジアではカメアルージュが教養の高い人間を対象に理不尽な法律を通して大虐殺を行い、何十万という人々が殺された。当時の様子を描いた「キリングフィールド」という映画で助演してアカデミー賞まで得たカンボジア人の俳優は、当時自分は医者だったが病気の妻を救うにも自分が医者であることがばれれば家族もろとも虐殺されるため、妻を見殺しにせざる終えなかったと体験談を語っていた。
またベトナムでもアメリカ軍に協力した南ベトナムの市民は北ベトナム政府によって強制収容所に送られ虐殺拷問とひどい扱いを受けた。私の同僚にもボートピープルといってベトナムから逃げてきた難民が何人もいるが、皆口を揃えていうことは「なぜアメリカは我々を見捨てたのか?」ということだ。
ブッシュ大統領はアメリカ軍によるベトナム撤退が招いた直接の悲劇と並んで、もう一つの問題を指摘している。

ベトナムからの撤退のもう一つの代償は今日我々が直面する、2001年9月11日に、わが国にやってきて何千という我が国民を殺害した敵の口から聞くことができます。911攻撃についてパキスタンの新聞でのインタビューに応じたオサマ・ビンラデンは、「アメリカ人はベトナム戦争に反対して政府に対して立ち上がった。今日もまた同じことをしなければならない。」と宣言しました。

彼の右腕であるザワヒリもベトナム戦争を取り上げています。イラク作戦の幹部に当てた手紙のなかでザワヒリは「ベトナムにおけるアメリカ勢力の崩壊後にどんな風に彼等が手先を見捨てて逃げ去ったか」を指摘しています。
ザワヒリは後にもこの主題に戻り、アメリカは「勝利の希望はない。ベトナムの亡霊があらゆる道を塞いでいるからだ。」と宣言しています。アメリカ国内においては、我々のベトナム撤退は我々の信用度を落とす原因にはなっていないと主張する人がいますが、テロリストはそうは見ていません。

イラクが対テロ戦争の集結地であることは我々の敵がそう宣言していることなのだ。だからブッシュ大統領は敵が我々をどう見ているか、この戦争をどう考えているかに耳を傾けなければならないと主張する。敵が正念場だと考えているイラクから我々が撤退すれば、世界中に散らばる敵が我々がその正念場で大敗して退散したと考え、その後の我々への攻撃はさらにますこと間違いなしである。そう考えればイラク撤退が我々に及ぼす危険は悲劇的なものとなる、とブッシュは言っているのだ。
さらに我々がイラクを見捨てれば、テロリストどもは勝利を利用してもっと多くの志願者を集め、イラクを拠点として世界中にその魔の手を広げることになるだろう。
ブッシュ大統領のこの演説は、9月のペトラエウス将軍の報告を前に地盤を固めておくというものだが、こういう演説をもっと早期に頻繁にすべきであったという感は拭えない。ところで、今日ラジオで昨日も紹介した戦争支持広告を聴いた。911で叔父を失い、イラク戦争で夫を失った未亡人がイラク駐留の大切さを唱えていた。こうした戦争支持の運動はもっと以前から積極的にされるべきだったのだが、遅蒔きながら始まったということはいいことだろう。


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イラク新作戦の成功にうろたえる民主党反戦派

昨日も左翼オンライン雑誌のサローンがファルージャからのいいニュースを報道したばかりだが、今日はこちらもサローンほどではないにしろ多少左よりの主流新聞ワシントンポストが、イラク状況が良い方向へ向かっていることに対する民主党のうろたえぶりを報道している。
今、アメリカの議会は8月の夏休み中なのだが、この休みが始まる直前まで民主党はイラク即撤退を目指して拘束力のない反戦議案をいくつも通してみたり、時間制限付きの予算案を提案してはブッシュに否決されたりしていた。だが、民主党は8月一杯でイラク情勢がこれまで通り特に変化がなければ、9月に戻ってきた時には国中の反戦感情が高まった勢いで一気にイラク戦争の予算割り当て打ち切りの法案に取り組むつもりだった。
ところが実際はそうは問屋が卸さなかった。それというのもイラクからは新作戦が成功しているという都合の悪い良いニュースが立て続けに報道されはじめただけでなく、共和党は民主党が期待していたような守りの姿勢ではなく20もの州においてイラク帰還兵や戦死者の家族などを起用して「今は諦める時ではない!(国内で)政治争いをやってる場合ではない!」というスローガンを使った広告作戦を取るという積極的な攻めの姿勢にはいったからである。
民主党としてはイラクでのペトラエウス将軍の新作戦がうまくいきすぎて反戦派でも否定できないほどの成果をあげてきた今となっては、いくら民主党にとっては都合が悪くても、いつまでもイラク戦争は大失敗だったなどと繰り返していては国民からの信用を失う。なんとか国民の信用を保持して勝っているイラク戦争に負ける方法を考えなければならない。
そこで下院幹部会長のラーム・エマヌエル議員は昨日、イラク視察から帰ったばかりで、イラクからのいいニュースを報告した民主党の新人議員を対象に電話をかけまくり、民主党の新しいメッセージを指導した。この新しいメッセージとは、「イラクでの新しい軍事作戦は今のところ多少成果をあげている、、しかしイラクの中央政府はまだまだまとまりがない、中央政府のまとまりなくしてイラクでの成功はあり得ない」というものだ。
なにしろ民主党はイラク戦争を批判しながらもアメリカ庶民から人気のあるアメリカ軍を批判することは出来ない。その上に今度はイラク新作戦の成功まで考慮にいれて、それでも戦争反対を正当化する演説をしなければならないのだから、これは大統領に立候補している候補者たちとってはかなり難かしい綱渡りになっている。
無論そのことを十分にお見通しの共和党議員たちが、文章の最初の部分だけを抜粋して、「ほれみろ!民主党でさえ新作戦の成功を認めている!」と逆手に取っていることは言うまでもない。
「イラクにおいて我々は作戦を変更しはじめました。そして地域によっては、特にアンバー地区などでは(この作戦は)うまくいっています。」とヒラリー・クリントン上院議員は月曜日に退役軍人たちの前で演説した。またヒラリーのライバルであるバラク・オバマも「私の見解ではバグダッドに三万兵加えれば短期的な暴力は制御できると考える」などと言い出す始末。これでは民主党が大統領になっても議会を握っても必ずしもイラク撤退がおきるかどうか怪しくなってきた。
民主党の問題点は「イラク戦争反対」だけを唱えて議会の多数議席を取ったことにある。ほかにはこれといった公約がない。彼等はイラクが絶対に泥沼で大失敗に終わることに全てをかけてきたから、成功した場合の第二作戦が全くないのである。イラク戦争に勝ちはじめたからといって戦争を支持するようなことを言っては反戦派の過激派から見放されるし、かといって勝っている戦争を負けていると言い張っては中庸の支持を得ることができない。2008年の選挙まではまだ一年もあるのである。このままイラク戦争がうまくいったら民主党は本当に苦しい立場に立たされることになる。


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反戦左メディアまでもがイラクからのいいニュースを報告

今年の2月に俗に言うイラク米軍増派がはじまり、5月に入って本格的なペトラエウス将軍の対反乱分子新作戦(COIN)が始まって以来、イラクからは次々にいいニュースが入ってきている。ペトラエウス作戦はよっぽどうまくいっていると見えて、反戦色まるだしだったアメリカの主流メディアですらそのいいニュースを隠しきれなくなっている
本日8月21日(2007)付けのサローンというオンラインマガジンで、2004年に二回も大戦闘のあったファルージャの状況が非常に良くなっていると報道している。サローンといえばアメリカのオンラインでもかなり左翼で、ブッシュ政権には非常に批判的な思想を持つ雑誌である。
ファルージャ、ホッと一息(Fallujah catches its breath)と題するこの記事ではデイビッド・モリス記者がファルージャでの体験は「衝撃的」だと語っている。

私は西イラクを一か月近く旅しているが、私がこれまでに見てきたことは衝撃的だ。しかしそれは皆さんが思うような意味ではない。理屈や期待そして、これまでに私が学んだ全ての対反乱分子戦闘の軍事歴史に反して、イラクの一部は実際良くなっているように思える。

モリスは海兵隊に従軍してファルージャで五日ほど過ごしたが、そのうちの半分は防弾チョッキを着ないで過ごしたという。聞こえた銃声といえば、たまに勇み走ったイラク警察官が犬を撃ったりしている音だけだったという。

ファルージャといえば一時期はやることなすことうまくいかず、イラク米軍の失敗の象徴のような町だったが、それがいまやホッと一息ついているような気がする。商店の半分は開業している。いくつかの子供たちの群れが通り過ぎるアメリカ軍の車の列に熱烈に手を振っている。海兵隊員たちは毎晩地元の串焼きやファラフル(豆を潰して衣をつけて焼いたもの。コロッケに似ている)を買いに使いを出している。もう三か月以上も隊員は一人も殺されていない。ウィリアム・ムレン中佐によれば、2/6隊の管轄では「敵はあきらめてはいないが、瀕死の状態だ」と語る。

今日び、イラクからいいニュースを報道するのは不思議な気持ちだ。 ジョージ・ベンソン副隊長という口の悪いバージニア出身の将校が最初に、地元の人々が長蛇の列を作って海兵隊の設立した地元警備隊に志願したというような成功話を話はじめた時、私が猜疑心を持ったのは彼のせいではない。これまでブッシュ政権と陸軍幹部はイラクの状況をあまりにも長い間、多くのことについて、うやむやにして隠してきたので、多くの人々が(多分彼等自身ですら)希望的な結果を信じることが困難になっているのだ。

モリスは一か所だけを見てイラク全体を判断するのは軽卒だとし、ファルージャの場合はかなり運もあると語る。ファルージャでは2004年の戦闘以来、テロリストによる大規模な攻撃は少なくなっていたとはいえ、テロリストによる地元民への影響は残っていた。アルカエダが、アメリカ軍に協力していたとして地元警察官の葬式に爆弾ドラックを投入させて20人からの市民がを殺したのは、まだ最近のことだ。しかしアルカエダのこのような行為はかえって地元民からアルカエダへの敵意を生んだ。アメリカ軍はこの敵意をうまく利用して地元民からアルカエダ退治の協力を得たのである。

ファルージャにおける意外な成功は降って湧いた出来事ではない。ここでは比較的新しい作戦が起用されているのだ。それはイラク社会をもっと大きな目で見ることだ。地元市民を単に戦いに巻き込まれた罪のない市民として見る日は過ぎ去った。新しい作戦では、地域を物理的に区分けして隔離し、その地域の安全を計るという「新都市化」説を起用、そして地元戦力を手先として使うといった、反乱分子に対してより柔らかい非攻撃的な手段に焦点がおかれている。(後者はアフガニスタンで対タリバンに地元勢力を使用して成功した例を取り入れている)

モリス記者が自分で書いている通り本当に対反乱分子作戦(COIN)の歴史書をたくさん読んでいれば、ファルージャで起用されている作戦はまさに教科書どおりのものだということが分かるはずで、うまくいっていることが「意外だ」とか「驚くべきことだ」とか「衝撃的だ」などという感想を持つはずはない。ま、左翼ジャーナリストだから自分が学識あると思わせたいのは仕方ないだろう。
ファルージャの司令官のムレン中佐は、ファルージャへ出動する前に以前にハディーサでのパトロールなどで持っていた認識は捨て、新しい心構えで取り組むようにと隊員に言い聞かせたそうだ。モリス記者はここでハディーサ殺人事件の話を対照的な例として持ち出すが、そこはさすがに左翼ジャーナリスト、容疑者が証拠不十分で不起訴になり事件そのものの真実性が疑われていることは完全に無視している。
しかし、この記事に価値があるのは、モリスのような反米軍、反戦、反ブッシュ政権の左翼ジャーナリストですら、イラクでの新作戦が成果をあげていると認めざる終えないことにある。アメリカの一般市民がイラク戦争はやるべきではなかったとか、早急に撤退すべきだとかいう気持ちになっているのは、イラク戦争そのものに価値があるとかないとかではなく、イラク戦争に負けていることが気に入らないと言う気持ちからきているのである。
だから主流メディアがイラクからのいいニュースを無視できないほど、新作戦が成功を遂げ、イラクでの勝利は可能だとアメリカ市民が納得すれば、市民のイラク戦争観も自然に好意的なものにかわってくるはずだ。その場においても民主党が今年の前半にやってきたような勝てる戦争をなんとか負けるような行為をとり続ければ、アメリカ市民の民主党への考え方もかわってくるというものだ。
なんにしても9月15日に予定されているペトラエウス将軍による議会報告が楽しみになってきた。


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米イスラム評議会、テロ共謀者と名指しされ会員激減

アメリカ国内からテロリストに資金援助をしたとして裁判にかけられているthe Holy Land Foundationという市民団体の裁判において、米イスラム評議会(CAIR)が不起訴共謀者として名指しされたことに関して、CAIRは正式に裁判所に抗議の弁護要旨を提出した。現役の弁護士であるパワーラインのスコット・ジョンソンが、この要旨について説明しているので、それを参照してみたい。
スコットはCAIRの要旨はひどい文章で理屈もなにもなっていない長ったらしいものだとしながらも、興味深い点として、政府からテロリストの共謀者であると正式に名指しされて以来、CAIRは会員が減り、結果会員費や募金の大型減少が起きていると何度も苦情を述べていることをあげている。
CAIRのようにアメリカに住むイスラム系市民の人権擁護団体は人々からの寄付金に頼っているが、政府がCAIRを不起訴共謀者であると名指しして以来、テロリストに寄付など出来ないという市民やCAIRに協力して自分がテロリストと疑われるのを恐れた人々が増えて、寄付金や会員費が大幅に激減したとCAIRは泣き言をいっているのだが、その証拠として今年の6月11日にワシントンタイムスに掲載された記事を証拠文献として提示している。

CAIRの名前が不起訴共謀者であると名指しされて以来、すでにこの団体の行動には非常に凄まじい悪影響が起きている。不起訴共謀者と名指しされて以来、会員数は大幅に縮小された。さらにそれまで受け取っていた寄付金n金額は激減し評議会の行動に必要な月々の予算に全く足りなくなってしまった。

ところがスコットによると、ワシントンタイムスの記事が掲載された翌日の2007年6月12日にCAIRの声明文では、ワシントンタイムスの記事は嘘八百だという抗議の内容が発表されていたというのである。

CAIRは本日、ワシントンDC右翼新聞による政治目的の動機の報道で草の根運動の支持が減っているというあるがこれは虚偽であると批判した。CAIRによると本日のワシントンタイムス紙に載った記事は納税の金額を会員の数が減っているとわい曲して解釈したものであるという。

6月に会員数が減っているとワシントンタイムスが報道した時は、記事は嘘八百だと抗議しておきながら、今になって不起訴共謀者と名指しされてから会員数が減った証拠としてその記事を提示するとは、ご都合主義もここまでくると立派なものだ。
さすがイスラム教テロリストの二枚舌、恐れ入りました!


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英会話教師兼デートのお相手、西洋人男性エスコートは三時間で6万円!

Occidentalismこのサイトの話を読んだ時、冗談じゃないかと思ったのだがどうなのだろう?

従順で素敵な外国人男性 “My Yes Man” と楽しいひと時を過ごしませんか?

   女性の皆さん、外国語の上達を目指し外国語会話スクールで貴方の貴重な時間を無駄に過ごし ていませんか?貴方の貴重な時間を有効に活用し、目標をもっと高く持ちましょう。 
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 貴方は事務所を訪ねる必要もありません。 “My Yes Man” を貴方の元へ送ります。 如何ですか? さっそく ”My Yes Man” と楽しいひと時を過ごしてみませんか。
3時間から30日の間でご予約下さい。 さあ、エキサイティングな人生の始まりです。

値段のところをクリックしてみると、なんと三時間で6万円。そのあとの追加料金は一時間一万円!この値段はあまりにもばかだかい。京都あたりでバイトにバイトを重ねてひもじい思いをしている外国人留学生なら夕飯一回おごるくらいでいくらでもついてくるのにね。(注:私はそういうやり方でミスター苺と出会ったわけではないのであしからず!)
Occidentalismのマット曰く、ただでいくらも日本人女性とデートしたい外国人男性がいるというのに金を取るとは現金な!
それにしてもこの商売、うまくいってるのかな?


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百聞は一見に如からず、、ん? イラクからのねつ造記事色々

去年のレバノンでの戦争の時、私はレバノンから流れてくる多くの「ニュース」がねつ造記事だったことをここでもいくつか紹介した。だが、ねつ造記事はレバノン戦争で終わったわけではなく、イラク戦争でも敵側によるプロパガンダ作戦は常に続いている。
レバノンの泣き女、イラクでもゲスト出演?
数日前からブラックファイブが紹介している「魔法の銃弾」写真がそのいい例。

BulletLady1    BulletLady2

自宅に打ち込まれたという銃弾を掲げるイラク女性二人、上が数日前にAFPに掲載された写真、下は数週間前のもの。この二人別人のはずなのになんか似てない?


上の写真は8月14日付けのAFPに掲載されたもので、バグダッドにあるサドルシティへの連合軍による攻撃の際に、連合軍から自宅に何発も撃ち込まれたとして、老女が銃弾の二つを拾ってカメラマンに見せている姿だとある。AFPのカメラマンの名前はWissam al-Okaili。ところが数週間前にもこのカメラマン、同じような写真を別の場所で別の出来事として紹介しているのが下の写真だ。
二人の女性が同一人物に見えるのは私だけではあるまい。なんだかこれではレバノンの神出鬼没の泣き女と同じではないか。(笑)しかし、この写真を見てこれが嘘記事であることは一目でわかる。撃った後の銃弾が弾の先と殻がついたままであるはずがないからだ。
これと同じように、やはりAFPに載った写真に下記がある。もう色々なブログで掲載されたからご存じの方もあるかもしれない。

Granade and a puppy

手りゅう弾を加える子犬


この写真のキャプションには「サドルシティの動物シェルターに投げ込まれシェルターにいたかわいい子犬や子猫を大量に殺害してビルを破壊した手りゅう弾をくわえる子犬」となっているが、素人の私の目にもこの写真がおかしいことはすぐにわかった。なんで使用済みの手りゅう弾にピンがはまっているのだ? しかし、それよりもなによりも、使用済みの手りゅう弾なら爆発して粉々になってるはずとミスター苺に指摘され、そりゃそうだと笑ってしまった。これらの写真を見て武器に対する知識などほぼ無いに等しいカカシですらおかしいと気付くのに、プロのジャーナリストがこんな偽写真にころっと騙されるというのはどういうことだ?
プロパガンダビデオ
これとは別に、イラクには反米プロパガンダを製作しているテレビ局があるという話は以前から聞いていたが、彼等はプロパガンダ映像を撮影してはユーテゥーブなどにアップロードして紹介しているようだ。私がスコット・ビーチャムが書いたブラッドリー戦車で犬をひき殺す趣味の兵士の話はでっちあげだったという話をしていたら、どっかのお節介がご丁寧にアメリカ兵がイラク人のペット犬を殺したというビデオを紹介してくれた。
抗議が殺到したのか今は制限付きの視聴となっているので、あえてリンクはつけないが、ビデオは数人の米兵が半壊した建物にはいっていくところから始まる。その動作からパトロールの最中らしいことは察知がつく。背景で犬がうるさく吠える音がするが、音声が悪いためその後のことがよくわからない。カメラが建物のなかにいた米兵から外で横たわっている犬へと移る。犬はまだ生きていて悲痛な声をあげているが、そこへ地元のイラク人らしい若い男が空に手をあおぎながら近寄ってくる。米兵らしい男が「あっちへいけ」と言っている声がする。イラク人はしばらく犬の前でしゃがみ込んでいるが、すこしすると立ち上がって嘆いているように立ち去っていく、、というものだ。
この映像のメッセージが冷酷な米兵にいペット犬を殺されて嘆くイラク人男性というものであることは明白だが、事実は本当にそうなのだろうか? まずこのビデオでは実際に米兵が犬を撃っている映像はない。犬はカメラの視覚外でイラク人によって殺され、それを近くにいたイラク人が確かめにいっただけだったのかもしれない。それでアメリカ兵は危ないからそばへよるなと警告していたのかもしれない。こういう数分のビデオでは前後の状況が分からないので実際に何がおきたのか正しく状況を把握するのは難かしい。
それに、実際にアメリカ兵がこの犬を射殺したことが事実であったとしても、それが単にアメリカ兵が遊びで犬を殺したと言うことにはならない。いやそうでない可能性の方が高いのだ。私は以前にイラク帰還兵から聞いたことがあるのだが、イラク人は犬を忌み嫌っているため、凶暴な野良犬が市街地をうろうろしていることが多いそうだ。自爆テロなどの被害者の遺体にこれらの野良犬が集ったりすることもしばしばあったようで、一口に犬といっても我々が想像するような愛らしいペットの犬とは質が違うのである。また米兵はパトロール中に犬が吠えかけて敵に自分らの位置を知られるのを防ぐため、うるさい犬を射殺することがあるという。だからこのビデオの場合も任務の邪魔になった野良犬を射殺しただけだったのかもしれない。何にしてもこのビデオだけ見ていても、これが明かに冷酷な米兵の蛮行だと結論付けることには無理がある。
プロパガンダフィルムというのはまあ、えてしてこういうものだ。同じ映像でも前後の状況を全く変えて放映すれば、見る側の受ける印象は180度かわってしまうのである。だからユートゥーブのような映像だけ見てイラク状況を正しく判断するのは非常に難かしいということがわかるはずだ。


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ブルッセルは回教朝なのか? 反イスラム化のデモ行進許可おりず市民が抗議

先日オランダのカトリック司教が、今度からオランダでは神様のことは「アラー」と呼ぶことにしようとなどと、とんでもないことを提案した。神様は寛容なのでどういう名前で呼んでも構わないというのである。どっちでもいいなら、どうして神様じゃだめなのだ?オランダに住むイスラム教徒が自分らの神さんをどう呼ぼうと彼等の勝手だが、イスラム教よりも古いキリスト教徒らがオランダにおいて神の呼び名をイスラム教に合わせる必要がどこにあるのだ?言葉は思想の象徴である。言葉で妥協すれば、いずれは本質も妥協することになる。司教たるもの、一番にカトリックの教えを守らなければならない人がこんなことを言っててどうする?
さて、ヨーロッパのイスラム化を懸念する動きはヨーロッパ内部でも起きてはいるが、ヨーロッパ諸国の政府は、どうも事イスラム教対策となると及び腰でいけない。
オーストリアのブログGates of Viennaによると、本日デンマークはコペンハーゲンにあるベルギー大使館の前で数人の抗議者が集まった。それというのもベルギーのブルッセル市長が911に計画されていた「止めよう、ヨーロッパのイスラム化」(略してSIOE)のデモ行進の許可を拒絶したからである。
抗議に参加したSIOEの主催者であるAnders Gravers氏はドイツのパックス・ヨーロッパのDr. Udo Ulfkotte代表から電話で、ブルッセル当局は「911の行進はユダヤ人によって主催されたと」と公表したことを知らされたという。ベルギーにおける反ユダヤ人差別はかなりひどいらしい。
反イスラム化のデモ行進は禁止するベルギーだが、これが反米なら全く問題ない。ブルッセルジャーナルによると、

自らを「真実のための団結」(“United for Truth,” UfT)と称するする極左翼の反米陰謀論説グループはブルッセルにおいて9月9日にデモ行進を呼びかけている。グループはブルッセル北駅から南駅まで2001年にニューヨークとペンタゴンで起きた911事件における「ジョージ・ブッシュ」の関わりに抗議して抗議デモを行う。

私がたまたま見つけたドイツ人の書いているこのサイトでも、2005年の謝肉祭のパレードで、親米のメルケル首相を侮辱する信じられないほど下品なフロート(山車)が二台も展示されたにも関わらず、イスラム教を批判するテーマの車は厳禁されたと書かれている。(注:かなり下品な写真あり。)
この抗議に参加していたコペンハーゲンのブロガーSteenは、これに関連して、イギリスでもイギリスのあちこちの都市で、大量のイスラム教移民に地域を占領され、止む終えず国外へ逃亡するイギリス市民が増えているというデイリーメイルの記事を紹介している。
イギリス政府はイスラム系移民を怒らすのを恐れて、イスラム系移民が持ち込んだ犯罪や貧困について真剣な話し合いを避け続けている。そのため生活状況の悪化は深刻化するばかり。イギリスでは2004年に35万人の市民が国外へ移住したという。
イギリス人が逃げ出したい気持ちは分かるが、ヨーロッパをイスラム教徒にのっとられたくなかったら、逃げ出すのではなく、イスラム系移民による犯罪や社会問題の増加について真剣な取り組みが行われなければならない。第一イギリス人はイギリスを逃げ出してどこへいくというのだ?イスラム系移民の問題ならデンマークやドイツ、オランダ、ベルギー、フランスなどもイギリスと大差ない。カナダでも大学の生徒会が次から次へとイスラム教生徒らによって乗っ取られているし、アメリカでもミネソタの大学ではイスラム教徒専門の洗面所ならぬ洗足所が設置されるなど、イスラム教徒への迎合が進んでいる。
以前にも書いた通り、イスラム教は惜しみなく奪う。イスラム教徒に迎合すれば彼等はそれを感謝するどころか、それが自分らが異教徒よりも優れた人種であると異教徒が認めて屈服したと再確認するだけで、ことは悪化の一途をたどる。イスラム教に欧米を乗っ取られたくなかったら、地元市民が立ち上がって小さなことからすべて戦い続けなければならないのだ。


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戦争を知らないバラク・オバマ議員

民主党から大統領に立候補しているバラク・オバマ上院議員の失言については以前にもここで書いたが、オバマ議員がまたまたおかしなことを言った。

アフガニスタンで仕事を完了させなければなりません。それには十分な軍隊を必要とします。ただ単に空襲を続け村々を破壊し市民を殺すようなことをして、現地での圧力を大きくしていては駄目です。

ただ単に空襲をしてるって?オバマ議員はアフガニスタンでアメリカ軍の海兵隊員や陸軍及びNATO軍が強行な地上戦を繰り返し、圧倒的にタリバンに勝っているという事実を全くご存じないらしい。これからアメリカの大統領になろうって人がアフガニスタンでの我が軍の作戦に完全に無知なのである。戦争を知らない子供たちという戦後20年くらいに流行った歌は、もうすでに終わった太平洋戦争のことをさしていたが、今現在進行中の戦争状況を大統領候補者が知らないというのはどういうことだ?
これだから世間知らずとヒラリー・クリントンやジョン・エドワードといった民主党のライバルから批判されるのである。
それに第二次世界大戦じゃあるまいし、今時空襲の方が地上戦よりも一般市民の被害者が多く出るという考え方も古すぎる。いまや精巧な空爆(precision bombing)が出来る時代、お隣のビルが破壊されてもこちらは無傷などというくらい命中率の高い攻撃の仕方があることをオバマ議員は知らないのだろうか。かえって地上戦の方が、テロリストが一般市民の間に紛れ込んで市民を盾にしたりするから犠牲は増えるというのに。
この間から敵の首脳たちと無条件で会見するといってみたり、同盟国のパキスタンに攻め入るといってみたり、核兵器は絶対に使わないとか、外交未経験まるだしの無知ぶりをさらしているオバマ候補。自分の国がやってる戦争の状況すら正しく把握していないで、国の総司令官が勤まると思っているのだろうか。
オバマはヒラリーからすでに20%も差をつけられているが、この調子でや予選前に自滅かもしれない。


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イラク北部の自爆テロが意味するもの

昨日イラク北部で大規模な自爆テロがおき、APの記事によると、夜が明けて死者の数はすでに250人にのぼったとされている。下記は昨日の毎日新聞の記事より。

北部で車の自爆テロ、175人死亡 過去最悪規模

[ 08月15日 10時34分 ]
毎日新聞社
 【カイロ高橋宗男】イラク北部モスル西方のシリア国境に近いシンジャル近郊3地区で14日夜、燃料を積んだ複数のトラックがほぼ同時に爆発した。地元警察によると少なくとも175人が死亡、200人以上が負傷した。ロイター通信が伝えた。少数派ヤジディ教徒を狙ったイスラム教スンニ派武装勢力による自爆テロとみられる。イラクで一度に発生したテロとしては、過去最悪規模のテロとなった。
 ヤジディ教はイスラム教以前から存在する原始宗教で、イラクやシリアのクルド人らの一部が信仰している。
 モスルやシリア国境に近い地域は、国際テロ組織アルカイダ系のスンニ派武装勢力で組織する「イラク・イスラム国」が実効支配している。今年4月にヤジディ教からイスラム教に改宗した少女の「名誉殺人(親族による殺人)」が起きたことを機に、スンニ派武装勢力によるヤジディ教徒への攻撃が頻発していた。
 AP通信によると、「イラク・イスラム国」は今月上旬にシンジャルなどで「反イスラムのヤジディ教に対する攻撃が目前に迫っている」とのビラをまいていたという。
 一方、イラク駐留米軍が14日未明からバグダッド北東のディヤラ県でスンニ派武装勢力の大規模掃討作戦を開始したのに対し、武装勢力側がシンジャルでの同時テロで攻撃能力の誇示を狙ったとの見方もある。
 米軍のディヤラでの作戦は、県都バクバで過去数週間継続してきた作戦を拡大したもので、バクバを逃れた武装勢力の掃討が狙いとされる。スンニ派武装勢力は過去にも作戦地域から逃れ、周辺部で組織を再構築してきた経緯がある。

今年の2月にアメリカ軍による対テロリスト作戦が施行されてから、バグダッド市内とその付近での大規模な攻撃はやく五割ほど減少したと、この間軍当局が発表したばかりだった。この攻撃によってイラクでの新作戦は本当はアメリカ軍当局が発表したほどもうまくいってないという意味を持つのだろうか?
しかしこの攻撃が何処で誰に対して行われたかを考えると、変な言い方ではあるが、この攻撃こそアメリカ軍の新作戦がうまくいっている証拠ともいえるのである。
毎日新聞も指摘しているように最近米・イラク連合軍はディヤラ地方で厳しい取り締まりが始まっており、先日もディヤラでアメリカ軍による大規模攻撃があった。ディヤラ地方から追い出されたアルカエダは北部で体制を再び整え、米軍の攻撃と同時に自爆テロ攻撃をおこなったのである。しかし、攻撃がディヤラ内部ではなく外側の北部であったことから、これによってアルカエダにはアメリカ軍がいるディヤラ地方で大規模な攻撃を行うことができなかったことが暴露された。
またこの当たりはシリアとの国境線であり、シリアからの外国人テロリストがイラク侵入に使っていた通り道の付近だそうだ。ということは、外国人テロリストはイラクへ侵入したはいいものの、国境付近よりも先に進めず入り口で立ち往生したことになる。
しかも攻撃の対象となったのがクルド民族やシーアの有力者だとか、神聖なモスクだというかいうのならまだ話は分かるが、シーアともスンニともクルド俗とでさえ相容れない北東で孤立した少数派のヤジディ教徒相手だというのだから分からない。ヤジディ教は他のイスラム教徒から悪魔崇拝主義者として忌み嫌われており、こんな種族を殺してみても一般のイラク人にはほとんど無関係だし、戦力の誇示というにはほど遠い攻撃である。ただもともと数の少ないヤジディ派にしてみたら、最近のアルカエダによる攻撃は民族浄化を意味する。
だが、このアルカエダの狙いはこの攻撃によって直接的な軍事効果ではない。アルカエダの狙いは米国内の反戦派政治家らにあるのだ。このニュースを聞くや否や、反戦派の米民主党員らは早速イラク新作戦はうまくいってないではないか、撤退、撤退、いますぐ撤退!と大騒ぎを始めている。民主党はまんまとアルカエダの策略に乗せられているのである。
ところでこの事件について書かれているAPの記事の最後の方に、こんな一節があった。

バグダッドの北東部では、Buhrizで起きたモーター攻撃の容疑者と思われるアルカエダ関係の戦闘員を追跡する警察にイラク市民が参加した。この戦闘によって8人の武装勢力が殺され、6人の市民が戦死したと警察は発表している。

バグダッドでは一般市民が警察に協力して自らの命を失いながらもテロリスト退治に参加しているのである。どうりでアルカエダがバグダッドでの攻撃を避けるわけだ。


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