レバノン憂鬱な夏再び

去年もレバノンで戦争があったのは夏だった。確か7月だったように思うが。私は一年以内にレバノンでは再び戦火が始まるものと考えていたが、しかし今回はイスラエルによる攻撃ではなくアルカエダ系のテロリストとパレスチナ民兵による蜂起。3週間目に入ったテロリスト対レバノン軍の交戦は100人近い死者を出しながら、にらみ合いが続きまだまだ終わる気配を見せない。
6月3日付けのYaLibnanによると、An-Nahar新聞がアルカエダはレバノンにおいて911並のテロ行為をする計画だったことが明らかになったと報道したという。

「この情報は逮捕されたファタ・アル・イスラムのメンバーから入手したものです」と匿名の関係者は語ったとアン・ナハーは書いている。

同新聞によると、レバノンで二番目に大きな都市で、レバノン軍が攻撃しているナハーアル・バレド難民キャンプの南にあるトリポリで発見された爆弾はシリアから来たのもであると報道している。
「ファタ・アル・イスラムは首都の大ホテルを自爆トラックテロを使って昔西ベイルートの大使館を襲ったように攻撃するつもりだった」と同紙は書いている。

シリアは二年前にレバノンの前大統領を暗殺したことでレバノン人の反感を買い、占領軍を撤退せざる終えなくなった。今回は国連でその責任を問われて苦しくなったシリアは、アルカエダのテロリストを使ってレバノンを再び奪い取ろうという魂胆らしい。しかしレバノン軍は必死でテロリストと戦っており、そう簡単に国を明け渡すものかという姿勢を崩さない。
レバノンの長年の苦しみは一重にシリアにある。イスラエルがレバノンに攻め入ったのも、レバノン在住のシリアの手先がイスラエルを攻撃してレバノンに逃げ込んだことにある。レバノンの長年にわたる内乱もすべてシリアの仕掛けてことだ。レバノンはシリアが隣国にいる限り平和に暮らすことは難しい。
しかしシリアの背後にはイランがある。イランと言えばイラクでシーア派民兵に武器調達や人員援護をしているのもイランだ。イスラエルを核兵器で襲ってやると脅かしているのもイラン。パレスチナのテロリストどもにシリアを通じて資金援助をしているのもイラン。
ここはひとつ、イラン対策を急速に進めて行く必要があるだろう。(私はさっさと攻めるべきだと思うけどね。)


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タリバン勢力が増すパキスタン北西部

ビル・ロジオによるとアフガニスタンから追い出されたタリバン連中はパキスタンの北西部で勢力を増強させているようだ。しかも彼らの活動はパキスタンの政治家によって支持されている。
パキスタンの有力政党Jamiat-i-Ulema Islam(Fazl)は、この間NATO軍に殺されたタリバンの司令官の追悼式をパキスタンのKilli Nalaiで主催し、一万人の支持者達があつまった。殺された司令官ムラー・ダドゥーラの座は弟のダドゥーラ・マンスーア、またの名をムラー・バカー(Dadullah Mansoor [also known as Mullah Bakr]、ええ~?まじで?)が継いだ。
ここで問題なのは、このタリバンの集会を主催したのがパキスタン政権(the Muttahida Majlis-e-Amal (or MMA))の有力政党であることだ。
党の有力メンバーである元議員のMaulana Abdul Ghaniや現役の国会議員であるMaulana Noor Muhammad、元上院議員のHafiz Fazal Muhammad Bareechなどがこの集会に参加した。集会では故ムラー・ドゥラーへの追悼と共に、タリバンの対アメリカ運動を掲げる「ムラー・オマー万歳、オサマ・ビンラデン万歳、タリバン運動万歳」といったスローガンが繰り返された。

「我が弟の血は無駄にはしない。我々は弟や他の殉教者の犠牲を決して忘れない」とダドゥーラ・マンスーアは群集に向かって録音で声明文を語った。「我々はアメリカを追放しアフガニスタンを開放すると言うダドゥーラの任務を完了させるのだ。」

アフガニスタンのタリバンはNATO軍の敵ではない。何度も攻撃を仕掛けてはその度に惨敗して大量の戦士を失っている。にも関わらずアフガニスタンでタリバンの勢力が衰えないのはパキスタンからの援助があるからだ。
以前に私はゲリラ先方はいずれ武器、必需品、人員の不足から正規軍には必ず負けると書いたことがある。だが、それが実現するためにはゲリラの供給ラインを切断せねばならない。タリバンの強みはパキスタンという供給ラインが常に存在していることにある。パキスタンの北西部はほぼタリバンが統括してしまっている。
困難なのはNATOはパキスタンのムシャラフとは協力関係にあるため、パキスタンからやってくるタリバン戦士をパキスタンまで追いかけていって攻撃するということが簡単にはできない。なにしろこのあたりの自治体はおもむろにムシャラフの命令に背き、タリバンに味方しているからだ。それでもムシャラフ大統領はタリバンやライバル党の政治家から何度も命を狙われたことで、タリバン退治には一時期よりは積極的になってはいる。しかしまだまだ不十分だ。
私が思うに、ムシャラフ大統領は長くはもたないだろう。近いうちに暗殺されるか失脚するかのどちらかになる可能性が高い。そうなった場合、アメリカは即座にパキスタンをタリバンから守るという口実で北部から一斉にタリバンへの攻撃を仕掛ける必要がある。そしてタリバンに協力的な政治家は即座に暗殺しなければならない。パキスタンは実際に核兵器を所持する国である。これがテロリストの手に渡ったらとんでもないことになる。この際奇麗事はいっていられない。
アメリカ軍にその用意が出来ていることを願うばかりだ。


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愛憎が混乱するアメリカとメキシコの不思議な関係

先日メキシコシティで行われたミスユニバース大会で四位になったアメリカ代表のレイチェル・スミス嬢(22歳)が舞台に上がって審査員から質疑応答を受けた際、メキシコ人の観客から一斉に野次が飛んだ。スミス嬢は野次にも怯まず笑顔を忘れずはきはきと質問に答え、最後には丁寧に「ブエノスノチェスメキシコ」とスペイン語の挨拶までして退場した。
アメリカのお隣であるメキシコ市民がいったいどういう訳でここまで反米意識をあからさまにするのだろうか? 
今アメリカでは先日ブッシュ大統領と民主党のジョージ・ケネディが提案した新しい移民法の話題で保守派の間ではかなり血走った討論がされている。ブッシュ大統領はすでにアメリカに在住している違法移民(主にメキシコ人)に対して何らかの合法手段を取り入れる必要があると呈しているのだが、これがバリバリの保守派の間では「違法移民への恩赦だ!」と非常な反感を買っているわけだ。
そこへもってきて、肝心のメキシコはその膨大な数の違法移民でアメリカの経済や治安を脅かしているにもかかわらず、反米意識丸出し。「そんなにアメリカが嫌いなら来ないでちょうだい!」とアメリカ保守派がいいたくなるものよくわかる。
メキシコ人がアメリカに大量に移住したがる理由は経済的な理由がほとんどだ。メキシコは日本とは打って変わって資源や気候にも恵まれており、たまに起きる地震以外にはほとんどこれといった天災もない。にもかかわらず市民の生活が貧しい理由は一重に腐敗した政治体制にある。
メキシコでは政府が市民にアメリカへの移住方法を教えたり、アメリカが移民法を厳しくするとメキシコ国内で批判のデモが起きたりと、自分達の国の責任というものを全く考えていないかのような行動が多すぎる。
私は個人的にはアメリカにとって移民は大切な資源だと考える。メキシコ人は働き者だしアメリカ人がやりたがらない仕事をやてくれるので、アメリカ経済には欠かせない労働力である。であるから今回の移民法改正で出稼ぎのメキシコ人をもっと能率よく受け入れ、犯罪者を締め出すことが出来ればそれは非常に好ましいことだと思う。
だが、メキシコ人がミスユニバースのような場を使って、アメリカ人をコケにするような行動を取り続けるのは、メキシコにとって良い結果を生まないだろう。なにしろメキシコがアメリカを必要にしているほどアメリカはメキシコを必要としていないのだから。無論、メキシコ人たちはそんなことは百も承知だ。自分らの情けない政府のためにアメリカに頼って生きていかなければならないことの不満がこんなところで現れているだけなのかもしれない。
だとしたら哀れな国だ、メキシコは。


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JFK空港テロ未遂事件さらに詳細

昨日ご紹介したJFK空港へつながる燃料パイプライン爆破テロ未遂事件について、CNNジャパンに日本語の記事が載ったので、掲載しておこう。

JFK空港狙ったテロ計画摘発、4人起訴

ニューヨーク(6・3・07)──米国土安全当局と連邦捜査局(FBI)、司法省は2日、ニューヨークのジョン・F・ケネディ(JFK)空港の燃料タンクとパイプラインを爆破するテロ計画を摘発し、4人を起訴したと発表した。
JFK空港には現在、テロの脅威はない。犯行計画は技術的に実行不可能とみられ、旅客機は標的ではなかった。
主犯格は南米ガイアナ出身で、以前JFK空港で貨物処理スタッフとして働いていたラッセル・デフレイタス容疑者(63)。FBIの電話盗聴記録によると、同容疑者は「米国人が好きなケネディを攻撃すれば、米国は最大の打撃を受ける」などと語っていた。2日には同容疑者の罪状認否が行われた。
共犯はガイアナの元議員アブドゥル・カディル容疑者と、同じくガイアナ出身のアブデル・ヌール容疑者、トリニダード・トバゴ出身のカレーム・イブラヒム容疑者の3人。ヌール容疑者は現在も逃亡中。
容疑者らは、1990年にトリニダード・トバゴのクーデター未遂に関与したイスラム武装勢力JAMなど、南米やカリブ海地域の過激派とのつながりが指摘されている。…

この記事だけでは詳細ははっきりしないが、この記事が計画の段階で暴露された理由というのも、どうやら内部通告があったかららしい。
この通報者の話では、彼は2006年の8月、主犯のガヤナ出身のデフレイタスとニューヨークのブルックリンで落ち合った。その当時起きていたレバノン戦争の話題が持ち上がったとき、デフレイタスはこういう時に犠牲になるのはいつもイスラム教徒でユダヤ人は罰せられないという話になった。その時デフレイタスは911など足元にも及ばないテロを企てていると通報者に打ち明けたのである。その時はそれ以上詳しい話にはならなかったが、その後デフレイタスはアラブのイスラム教徒だけが戦っているような印象を受けるが諸国のイスラム教徒が戦う意志をもっていると語ったと言う。
デフレイタスはJFK空港で働いていたことがあり、空港のどの部分の守りが甘いかを知っていると自慢げに通報者に語った。そしてニューヨークで信用できる共謀者を探しているとも語った。また損害の規模についても空港全体が崩壊し中にいる人間のほとんどは逃げられいだろうとし、クイーンの一部も破壊されると予測した。ケネディ空港を狙う理由は故ケネディ大統領はいまだに国民から慕われており、その名前をつけた空港を破壊することはケネディ大統領を二度暗殺するほどの意味があるからだと説明したという。
FBIの調べによると、このグループはJFK空港のあちこちで偵察用撮影を詳細に行っており、その計画は綿密だったようだ。しかし空港警備に当たっているニューヨーク警察やパイプラインのバックアイパイプライン社の話によると、デフレイタスが空港で勤めていた時に比べ空港の警備はずっと厳しくなっており、またパイプラインの爆破はこのグループが考えるほど簡単なものではないという話だ。パイプの一部を爆破しただけでは連鎖反応で全体に爆発や火が回るということはないようだ。
こういう計画で一番の要となる爆発物調達だが、これが一番肝心で一番困難な過程である。空港全体を崩壊しクイーン市の一部を焼け野原にしようとなれば、莫大な量の爆発物が必要となる。それだけの爆発物をFBIなどから疑われずに調達するというのは容易なことではない。誰もが簡単に手に入れられる代物ではないので、必然的に部外者の強力を求めなければならなくなる。こういうところでFBIの覆面捜査官が爆発物の仲買人として現れることが多いようだ。
無論、FBIや国土安全保障局はどういういきさつで事件が暴露されたのかということについては、今後の捜査もあることなので詳細は明らかにしていない。
JFK国際空港はアメリカでも一番交通量のある空港だ。

JFK空港はアメリカの海外旅行者の17%が使用しており、毎日5万人の利用者がある。JFKとロンドンのヒースロー空港へは2000年には2百9十万の乗客が利用した。当空港からはそのほかにもパリ、、東京、フランクフルトなど50カ国に渡り100の空港へと空路がつながっている。

またJFK空港は国内線の乗り継ぎ用ハブ空港としても有名で、2005年には4千百万人の国内旅行者が利用している。

また当空港は人間だけでなく貨物などの輸送にも大いに利用されている。この空港が長期にわたって機能不能になったときのことを考えるとまったく背筋が寒くなる思いだ。この恐ろしいテロが未然に防がれて本当に良かった。今後も国土安全保障局やFBIには多いに頑張ってもらいたいものだ。


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『苺畑より』創設一周年!

読者の皆様、おかげさまで6月3日をもちまして、苺畑カカシの日本語ブログは開設して満一年となりました。いよ〜!
関係ないですが、カカシとミスター苺の結婚記念日も6月です。何故かジューンブライドだったカカシ。ははは、、、
残念ながらこの記念日も仕事で海の上。リアルタイムでのネットアクセスは不能です。しかし海の上から一年間ご愛読頂きました皆様に感謝の意を表させていただきます。今後とも末永くよろしくお願いいたします。


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ニューヨーク、JFK空港パイプライン爆破陰謀を未然に防ぐ

金曜日夜遅く丘に戻ってきたが、月曜日からまた五日間ほどネットアクセス不能になる。しかしこの週末はミスター苺が出張先まで遊びに着ていてスケジュールがぎゅうづめ。来週分のブログを書き溜める時間はゼロ。というわけで今週はエントリー更新がちょっと希薄になる可能性があるが、ご了承いただきたい。
本日のニュースによると、ニューヨークにあるJFK国際空港につながるジェット燃料のバイプラインを吹っ飛ばす陰謀を企てていたイスラム教テロリストの計画が暴露され未然に防がれるという事件があった。犯人は元ガヤナ政府の男を含むガヤナ人二人とトリニダード人二人の四人組で、そのうちの二人は元空港従業員だったという。
四人の陰謀は一年以上に渡って捜査がされ、計画の段階で阻止された。犯人の三人が逮捕され一人はトリニダードで指名手配になっている。

「この計画が成功したときの多大なる被害は想像を絶します。」と合衆国検察官ロスリンR・マウスコフ氏。「考えただけでも非常な寒気のする事件のひとつです。」と氏は記者会見で語った。

被害の規模は空港及びパイプラインが通っているクイーン市内にまで及ぶはずだったとか。もし成功していれば死傷者や被害は911どころの騒ぎではない。また空港と市街地破壊による二次的な経済的被害も無視できない。
犯人たちは動機としてアメリカ及びイスラエルへの憎悪から何かしてやりたいと思ってやったと言っている。どうしてニューヨークの空港を吹っ飛ばすことがイスラエルに打撃を与えることになるのか不思議だが、ま、テロリストの考えることに理屈は成り立たない。
幸いなことに、犯人グループは爆発物を得るところまでは行かなかった。911以後厳しくなった警備体制により、犯人グループの陰謀はすぐさま当局の知るところとなったからだ。
当局の話によるとトリニダード人の二人はジャマートアルムスリミーン(Jamaat al Muslimeen)というトリニダード国内の過激派イスラムグループに所属しているという。このグループは1990年に反乱を起こしたが失敗に終わり24人の死者を出している。
もう一人の男、ガヤナ人は去年までガヤナ政府で大臣をしていたと男だというから驚く。しかもガヤナはイスラム教徒は全体の人口の9%にしかならず、そのほとんどがスンニ派である。
このパイプラインはバックアイパイプライン社(Buckeye Pipeline Co.)に所属するもので、ニュージャージー市のリンデンからニューヨークのJFK空港まで飛行機の燃料を輸送するために使われている。そのほかにもラガーディアやニューアーク空港にもパイプラインは引かれている。,
バックアイの報道官によると社によるパイプラインは国中にいたるところに引かれており、テロリストに狙われる可能性については以前から当局より警告を受けていたという。それでその警備は念入りにしていると語っている。
ニューヨークでは数ヶ月前にもトンネルを爆破しようとしていたテログループの計画が阻止された。今回も国内の対テロ政策は効を成したようである。
911があってすでに6年。人々の記憶からあの恐ろしいテロ事件が薄れつつある今こそ、我々は決して油断してはならないことを改めて思い知らされる事件であった。この次に民主党議院が対テロ政策として作成された愛国法を覆そうとしたら、共和党議員たちは今回のような事件を持ち出して、テロとの戦いは一時たりとも気を許してはならないのだということを彼らに思い出させてもらいたいものだ。


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ガザ、イスラエルの苦しい選択

本日は現在イスラエルがガザ対策として苦しい立場に立たされている話を、ジョシュアパンディット(Joshuapundit)のエントリーを参考にしながら紹介していきたい。l
いっこうに減る様子を見せないガザからのミサイル攻撃に対応すべく、イスラエルも空爆を始めたとはいえ、イスラエルは全面的な空爆ではなく、過去において結果がまちまちなだったテロリスト指導者を標的にした暗殺攻撃を続けることに決めたようだ。とはいってもすべての指導者ではなく、アッバス率いるファタのメンバーは今のところオフリミットのようだ。
二年前にガザから全面的撤去をしたイスラエルは今になって難しい立場に立たされているとジョシュアはいう。なにしろ今になってイスラエル軍がハマスの本拠地であるガザへ全面攻撃をして、ついでにアッバスのファタらによる統一政府をつくるとなると、国連や国際社会のパレスチナグルーピーたちが悲鳴を上げて批難するだろうし、かといって自制した攻撃をいつまでも繰り返していれば、イスラエルの南部はゴーストタウンになってしまう。
ブッシュ大統領は前者を望んでいるようだが、オルメルト首相は条件付で後者のやり方を選んだようだ。つまり、限られたハマスへの攻撃をしながらファタによる統一政府を確立するというもの。

昨日イスラエルはハマスのリーダーであるKhalil al-Haysのガザの自宅を狙って攻撃し8人が死亡した。先週ハマスがミサイル攻撃を急増させてから、これによってイスラエル空爆による死亡者の数は合計35人となった。

イスラエル公共保安大臣の(Public Security Minister) Avi Dichter氏は、ハマスとイスラミックジハドのリーダー達を狙った暗殺は引き続き行われるということだ。「テロに関わる者はすべて今の隠れたほうがいい」とDichter氏はチャンネル2テレビで語った。もちろんマハムード・アッバスとファタは別だが。

イスラエルの攻撃の直接の結果として、内輪もめをしてきたハマスとファタは今のところ一時休戦状態にある。武器を持って街中を闊歩していた武装集団が影をひそめたので、家々に閉じこもっていた市民はやっと外出して必需品の買い物ができるようになったという。
一方ハマスとファタは共同で国際社会にイスラエルのこの「犯罪」を止めさせるよう圧力をかけてくれと訴えかけている。特にハマスの高官Nizhar Riyanは、ハマスはイスラエルと妥協する気はさらさらないことを改めて強調した。氏は「イスラエルは地図上からかき消す」と語り、パレスチナによって支配され最後のユダヤ人が追放されるまで戦いは止めないと語った。
無論ハマスはミサイル攻撃をつづけており、21日の朝にはカッサムが乗用車に直撃して女性一人が殺され乗客の男性が軽傷を負った。もっともジョシュアによるとイスラエルメディアのいう「軽傷」という表現は曲者で、腕を失うとか体中切り傷を負うとかいうものまで含まれるそうだから実際どのうような傷を負ったのかは定かではない。なんでイスラエルのメディアはハマスからの攻撃を過小評価する必要があるのだろうか? どこの国も左翼メディアが支配するとこういうことになるのかもしれない。
さらにハマスはウエストバンクへの攻撃も、狙撃や誘拐などの手段を使って激化させると脅迫している。アッバスはウエストバンクのTanzimやアルアクサ殉教旅団なんかのチンピラに金を払って悪行をさせているという噂だ。
言うまでも無いがオルメルト政府のこの効果の上がらないやり方はイスラエルでは全く支持がない。なにせこのやり方は過去に何度も失敗しているのだから。オルメルト政権は政治的にもかなり危ない状態にあり、先週の日曜日イスラエルベイテヌ党のAvigdor Lieberman大臣(Strategic Affairs Minister)が政権から離脱するといきまいている。「ハマスが崩壊するか我が政府が崩壊するかのどちらかだ」と氏は語っている。
ジョシュアはハマスだけをやっつけてみても話は収まらないと言う。一応現在ハマスはパレスチナ政府であり、ファタは単なるジュニアパートナーだ。ここでイスラエル軍がハマスだけに攻撃を集中させてファタの勢力を野放しにしておくのは、レバノンの状態なども考えると非常に危険だ。

イスラエルがすべきことはパレスチナがやってるゲームを自制抜きでもっとうまくプレイすることにある。先ずはじめに、ガザは比較的狭い地域でありイスラエルは比較的簡単にその出入りを規制できることを思い出してもらいたい。またイスラエルはガザの機能もコントロールできる。なにしろイスラエルはガザに水力も電力も売っているのだから。もしイスラエルが栓を抜けばハマススタン(ハマスがコントロールするガザ)は日々の生活に即座に支障を来たし、非常に居心地の悪い場所となるだろう。

イスラエル軍は今の状態で全面攻撃をするのではなく、一方でメンバーやリーダーたちを探し出して殺す傍ら、規模の小さい覆面特別部隊と空爆でパレスチナのインフラ、武器庫、供給そして指令本拠を標的に破壊すべきだ。 そしてイスラエルはアッバスに対し彼らの警備隊によってハマスを取り締まるか問題の一部として取り締まられるかどちらかを選べと要求すべきだ。

ジョシュアはガザのインフラが崩壊し日々の暮らしが機能不能となった時点でイスラエル軍による全面攻撃をすべきだと言う。

早い話がイスラエルはオスロでおきた基本的な間違いに気がつくべきなのだ。国境にテロリストのアジトを容認するなどあってはなrないことなのであり、アラブパレスチナ独立国家創立は当地において永遠に続く混乱と戦争を招く以外の何者でもないのである。

結局イスラエルは、平和に隣り合って暮らす意志を見せる政府を迎えるか、この際イスラエルへの脅威を完全に終わらせるためパレスチナ政府を崩壊させるか、そのどちらかしかない。その時点で難民をどこへ居住させるか最終的国境をどこに引くかといった話し合いをイスラエルはエジプトとヨルダンと始めることが出来る。

パレスチナがイスラエルとの平和共存を拒絶する限り、イスラエルがとる道は二つに一つ。パレスチナ完全崩壊か、イスラエル崩壊だ。パレスチナはすでにイスラエルと共存するくらいなら独立国などいらないとはっきりした態度を示している。イスラエルには選択の余地はない。


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