高まるイギリスの反ユダヤ思想 その2

さて、昨日に引き続きイギリスで起きているイスラエルボイコット運動についてお話しよう。今回はジャーナリストたちによるイスラエルボイコットである。これについて政治的にはかなりリベラルで左よりだが、ことイスラエルに関しては正当な意見を述べているユダヤ系アメリカ人弁護士のアラン・M・ダーシュウィッツ氏(Alan M. Dershowitz)のコメンタリーから読んでみよう。

最近投票されたイギリスの全国ジャーナリスト協会(NUJ)の偽善はベネズエラの独裁者ヒューゴ・チャベズの反左翼政府メディアを弾圧する方針に全く沈黙しながらイスラエルだけをボイコットするという提案によって完全に明かになった。 パキスタンのムシャラフも多大なるメディア弾圧をおこなっている。左翼が好むキューバ、中国、イラン、北朝鮮、そしてズィンバブエといった国々では日常的にメディアが弾圧されジャーナリストが拘束されるなど普通である。しかしこうした民主主義や自由主義を弾圧し独裁政権をもつ国々に関しては、崇拝するかのように、イギリスのジャーナリスト協会からは一言の苦情もでない。世界でも数少ない報道の自由を保証しているイスラエルだけが、処罰の標的になるのだ。アラブ人やイスラム教徒のジャーナリストでさえイスラエル国内では他のアラブ諸国よりもよっぽども自由である。パレスチナテロリストがジャーナリストを殺害したり誘拐したりして脅迫しているというのに、イギリスのジャーナリスト協会は言論の自由を弾圧するハマスに牛耳られているパレスチナ政権を(批判の対象から)除外する。その理由は明らかだ。イギリスのジャーナリスト協会はジャーナリストの報道の自由を保証することなどより、ユダヤ民族国家を盲目的に糾弾することしか興味がないのだ。

全く同じことがイスラエルの学識者をボイコットする投票をしたイギリスの大学短大協会(UCU)にも言える。(中略)イスラエルはアラブやイスラムのどの国よりも世界のほとんどの国よりもイスラム教徒やユダヤ教徒に同じように学問の自由が認められている国だ。 イスラエルの科学者が人口比率からいえばどこの国よりも多くの救命医学を開発している。にもかかわらずイギリスの学会はイスラエルだけをボイコットするというのだ。これも学問の自由や科学的研究を守るなどという建前とは全く関係がない。これはすべて反イスラエルという差別意識によるものだ。

これじゃあまるでナチスドイツが「ユダヤ科学」と言ってドイツからアインシュタインを初め多くのユダヤ人科学者を追い出したのと全く変わりがないではないか。
しかし、イギリスのこのあからさまなイスラエル差別は世界中の科学者から反感を買っている。何千というアメリカの科学者たちは自分達は名誉イスラエル人であるとして署名を集めイスラエルの学者がボイコットされる集会には参加しないと宣言した。
現にノーベル賞受賞者のテキサス大学のスティーブン・ウエインバーグ教授(名前からいって多分ユダヤ系)は7月に予定されていた帝国ロンドン大学への訪問をキャンセルした。その理由について教授は次のように語っている。

人によってはこうしたボイコットはユダヤ民族に向けられたものではなく、単にイスラエルに向けられたものだとおっしゃるでしょう。しかし歴史的にイスラエルに向けられてきた攻撃や、弾圧的な中東諸国のことを考えた場合、イスラエルをボイコットすることは道徳上の盲目を意味しアンティセメティズム以外のどんな理由も考えられません。(但一つ考えられる他の理由はイギリス国内のイスラム教徒に対する迎合くらいです。)私はこのような傾向はガーディアン紙や、インディペンデント紙やBBCの報道に反映しているのをこれまでにも度々見てきました。ですからNUJがこのような行動をとることには別に驚きません。

しかしイギリスによるこのようなボイコットはかえって世界からイギリスのジャーナリズムや学会がボイコットされる結果になるのではないだろうか? 少なくともユダヤ系科学者の多いアメリカの学会を怒らせることはイギリスの学会にとってはかなりの痛手となるはずだ。
そうなったら自業自得だ。


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高まるイギリスの反ユダヤ思想

私の好きなイギリスのネオコンコメンテーター、メラニー・フィリップス女史が数回にわけてイギリスで高まっている反ユダヤ人思想について語っている。題して対ユダヤ人戦争(The war against the Jews)。
フィリップス女史によると、Bournemouth で先日行われたUniversity and College Unionというイギリスの大学と短大の学識者が設立した集会で、代表者たちは158対99でイスラエルの教育部門を国際社会の学問の世界からボイコットしようということで意見が一致した。彼等のいい分はイスラエルが昔の南アフリカのようなアパルタイト国家であるというものだ。
この集会を行ったUCUというグループはイギリスでもかなり左翼よりの学識者の団体のようだが、彼等の反イスラエル見解はアラブ社会が周到に広めている歴史の書き換えやパレスチナが一方的な犠牲者であるというプロパガンダを鵜呑みにしたものであり、調べればすぐに分かるような明らかな嘘をそのまま繰り返しているという。

アパルタイトとの比較など無論根拠のない醜悪な嘘である。そして実際にアパルタイトを体験したアフリカ人への侮辱でもある。このような比較はアパルタイト否定論とさえ取れる。しかし真実は反イスラエル派にとって意味のないものだ。彼等にとってはパレスチナの悲惨な運命はイスラエルのせいであり、イスラエルこそが攻撃者であり、パレスチナが犠牲者なのだ。真実はパレスチナこそが攻撃者でありイスラエルこそがテロ攻撃や自爆テロそして1400ものロケット弾を打ち込まれている被害者であるにも関わらずだ。イスラエルはパレスチナ独立を阻止しているかのように責められているが、実際には1937年、1948年、1967年、そして2000年と数度に渡ってパレスチナ独立に合意してきた、それをその度に拒絶して、イスラエル崩壊を唱えているのはパレスチナの方なのである。

イスラエルはアパルタイト国家だの民族浄化だの大量殺害だのと責められている。しかしイスラエルではアラブ人の学生がイスラエルの大学で学び、国会に議席をもち裁判所にも出席できる。そしてイスラエルの病院が一日たりともガザ内部紛争で負傷したパレスチナの子供たちを治療しない日はない。イスラエル市民の大量殺害を唱えているのはイランであり、独立したパレスチナ領ではユダヤ人の居住は許されないという民族浄化を唱えているのはパレスチナの方なのだ。(ボイコットを薦めている学会では新しく設立されるべきパレスチナ領にユダヤ人の居住区は全く認めていない。)

しかしUCUのメンバーたちはこのダブルスタンダードがアンティセメティズムと呼ばれるユダヤ民族差別ではないと主張している。「私は反シオニズムであり反ユダヤではない」とか、「イスラエルを批判しているのであってユダヤ人を差別しているのではない」といういい方はもう何十年も前から人種差別主義者の間で使われてきた建前上のごまかしに過ぎない。彼等のいってることをちょっと掘り下げればそこには根深い反ユダヤ民族への差別意識が必ず見つかる。もし民族浄化や大量殺害が悪行だから批判されなければならないというのであれば、なぜイスラム教徒がアフリカのダルフールで行っている民族浄化および大量虐殺が話題にされないのだ? なぜ派閥が違うというだけで殺しあいをしているパレスチナの武装勢力は罰せられないのだ? 毎日のようにイスラエルに打ち込まれるロケット弾はなぜ批判されないのだ? イスラエルのやっていることと比べたらこっちのほうが数百倍も悪いではないか。イスラエルをボイコットする暇があったら世界中で起きている悪行からまず取り組むべきだ。それをせずにイスラエルのあら探しをしてはイスラエルだけを罰するのはアンティセメティズム以外の何ものでもない。
イギリスでは数日中に「もうたくさん!」というスローガンで反イスラエル集会が行われる。しかしこの集会でハマスとファタ同士の殺しあいを「もうたくさん!」と批判する計画は提案されていない。


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トム・クランシーが予測できなかったイラク・イラン情勢

私は軍事オタクなのでトム・クランシーの著書が好きである。今年のはじめから日米開戦とその続編の合衆国崩壊を読んでいる。今読んでいる合衆国崩壊は1996年に書かれたものだが、冒頭の旅客機突撃テロから始まってイラク紛争へと展開する内容が911テロ事件から始まったイラクとの戦争という現在の状況と非常に重なる部分があって興味深い。その内容は本の帯に書かれた説明によると、、

日本ジャンボ機によるカミカゼ攻撃で崩壊した国会議事堂とともに、合衆国政府首脳は全滅した。呆然としながらも、二度目の建国という途方もない重責を果たす決心をしたライアン新大統領。一方イラン最高指導者ダリアイは、大統領が暗殺されて無政府状態となったイラクに侵攻し、イスラム連合共和国を作り上げた。最大の危機に見舞われた祖国を救うために、ライアンは孤軍奮闘する。

まず国会議事堂に突っ込んだカミカゼ攻撃はイスラム教徒によるテロではなく、前作の日米開戦で弟を失った旅客機パイロットの単独行動だったのだが、トム・クランシーがテロリストが旅客機を使ってアメリカを攻撃する可能性を911が起きる7年も前に考えていたということはおもしろい。テロリストはクランシーの小説を読んだのだろうか?
クランシーは中東を非常に理解している人間の一人ではあるが、彼でさえも1996年の段階でイラクやイランの関係を正確に把握できていなかったことがこの小説を読むと明らかである。無論当時中東の人間以外でイランやイラクといったイスラム教社会をきちんと理解できていた人間などどれだけいたのか疑問だが。
ネタばれ警報!!!!!
ここでちょっと最初の方の筋を明かすので、多少でもネタバレがあるのが嫌な人はここから先は読まないように。
話の本筋はイランの最高指導者ダリアイがイラクのサダムフセインを暗殺し、イラク政権のリーダーたちを買収してイラクから脱出させ、残った中堅の軍人や民間の政治家を大量処刑してイラクを乗っ取りに成功するというところからはじまる。クランシーはイラクもイランもシーア派であるからこの移譲は案外容易く行われるだろうと考えたのだろう。しかしフセイン政権を倒したアメリカが体験して分かったように、イラクという国はそんな単純な国ではない。
シーアといってもいろいろあり、アラビア人のイラク市民はペルシャ人のイランからは蔑まれており、イラク人はそのことでイラン人を快く思っていない。我々は忘れがちだがイスラム教社会では民族間の差別意識は我々が考えるほどずっと激しいし、ライバル意識も並大抵のものではない。
以前にアフガニスタンがソ連と戦っていた頃に後にタリバンに対抗して北同盟になったムジャハディーンのキャンプで取材をしていたアメリカ人記者がこんな話をしていた。アフガニスタンの部族はアラブ人ではないという意識が強いらしく、ソ連を戦うために諸外国から助っ人に集まった外国人戦士らを「アラブ人」と呼んで嫌っていた。この記者はこのアフガン人のこの部族と何か月も共同生活をしていたため部族の一員として認められるほどになっていた。そこへアラブ人の助っ人が現れ、キャンプにアメリカ人がいることに抗議した。すると部族の一人で記者と特に仲の良かったアフガン人が「おい、あのアラブ人殺してやろうか?お前がいやなら殺してやるよ。」と気軽に提案したという。記者は慌てて気にしてないからいいよと断ったそうだが、彼等の忠誠というのは非常に小さな部族単位のものであり、同じ宗教だとか同じ宗派だというだけで簡単に団結するなどというほど洗練された高度な文化ではないのである。
シーア派民兵の代表面をしているモクタダ・アルサドルでさえ、民兵全体をまとめる力などない。シーア派民兵はマフディとバーダーの二つに別れており、マフディ軍内部でも勢力争いがたえない。当初反米ということで一応協力関係にあったスンニ派の外国人テロリストのアルカエダとイラク人反乱分子も最近ではお互いに殺しあいをしている。
イランにはアメリカのような強い正規軍もなければ経済力もない。やたらにフセイン政権を倒してイラクを制覇しようなどとすれば、とたんにイラクのあちこちで起きる勢力争いに巻き込まれてイランそのものが破綻してしまっただろう。
ところでクランシーのイスラム教観察にはなるほどと思えることがいくつかある。その一つにイスラム教の法律であるシャリアの限界だ。例えばユダヤ・キリスト教の基本は十戒だが、十戒の教えは「汝〜をすべからず」という禁止の教えだ。ということは時代とともに変わっていく生活環境のなかでも十戒で「すべからず」と禁じられていない限りはやってもいいという柔軟性がある。またユダヤ教のタルムードというユダヤ教解釈を論じる文書では、昔はあてはまったことでも今現在の世の中にはあてはまらないこともあるという概念がきちんと記載されているため、ユダヤ教徒は「現代社会にはそぐわないから」といってタルムードの教えにひとつひとつ従わなくてもいいといういい加減さがある。(笑)聖書にしろタルムードにしろ何年にも渡って何人もの著者によって書かれているからあちこちで矛盾が生じているわけで、すべてに従うことなど不可能なのだから、この解釈は非常に重要だ。
ところが、私の理解した限りにおいて、コーランは「汝〜をするべし」という教えのようだ。そしてそこに書かれていないことはやってはいけないという解釈が強いらしい。しかし7世紀に書かれたコーランでは、現在の技術の発展は考慮に入れられていないわけだから、例えば女性は車を運転すべきなのか、といった問題には答えられない。
下っ端の役人は交通規則や服装基準にいたるまで、日常の細い判断をシャリア法に違反しないように判断するなどという責任を負うことはできない。なぜなら間違った判断したら最後、シャリアに逆らったとして厳重な罰を受けかねないからだ。ということは自由社会ならば地方レベルで解決できるお役所仕事が中央レベルでいちいち判断されなければならないという問題が生じる。非常に非能率的なシステムである。個人が個々の判断をすることを勧めない文化は発展しない。自由主義を用いないイスラム教諸国を見ていれば一目瞭然だ。
ここでもうひとつイスラム教の決定的な弱点をあげておこう。イスラム教は利子をつけた金の貸し借りを認めない。これでは資本主義の基礎である投資は不可能だ。
だから私はシャリア法が一部の過激派によって一時期人気を得たとしても、これが世界制覇をすることはあり得ないと考える。ソ連の共産主義がそうであったように金融機関が利益を得られない社会に経済発展の未来はない。しかもイスラム教諸国にはソ連のような組織力もない。といって私はこの社会の脅威を過小評価してもいいといっているわけではない。イスラム社会には我々にはまだまだ理解できないことがたくさんあるのだから。


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レバノンとガザ、暴力続くパレスチナ難民キャンプ

この間からずっと続いているレバノンとガザにおけるパレスチナ難民キャンプの状態は悪化する一方でまるで落ち着く様子が見えない。
まずはレバノンからYa Libnanより。

レバノン軍はアルカエダに感化された武装勢力が立て籠っているナハー・アルバレッドに引き続き攻撃を続けており、土曜日(6/9/07)の激戦では三人の兵士が戦死したと警備当局は語っている。

当局によるとマシンガンと砲弾を含めたキャンプの境界線で行われた早朝の戦いで21人の兵士が負傷した。…
「陸軍は民兵が軍隊を標的にしている位置の押さえようとしている」と軍関係の人間は語った。
「民兵らは時々攻撃を激化させ、また時々狙撃攻撃のためこれらの拠点を使っています」と関係者。
五月二十日に始まったこの戦闘で、すでに50人のレバノン兵と38人の民兵を含む少なくとも118人の死者が出ており、1975年から1990年まで続いた内乱以来、レバノン最悪の暴力沙汰となった。
人口比率の割合でいくとレバノンがたった三週間で失った人の数はイラク戦争4年間で失われた数よりも割合が高いという。

しかしアメリカの主流メディアがレバノン紛争は「泥沼化」しているとは報道しない。(笑)さて、パレスチナ難民キャンプの紛争といえば相も変わらずガザでは殺しあいが絶えないが、殺しあいをしているのはイスラエル軍対パレスチナテロリストどもではなく、パレスチナ内部のファタ対ハマスの勢力争い。(以下時事通信より

【エルサレム6日時事】パレスチナの人権団体PICCRは6日、ガザ地区を中心に続くアッバス自治政府議長の支持基盤ファタハと自治政府を主導するイスラム原理主義組織ハマスの抗争などパレスチナ内部の治安悪化により、昨年1月から今年5月までに600人以上が死亡したとする報告書を発表した。

また7日のBBCの記事によれば、ここ数日だけですでに50人が殺されているという。この数はイスラエル軍が時々標的をしぼって空爆する時に出るような犠牲者の数を大幅に上回る。
むろんその間にもイスラエルへのロケット攻撃はずっと続いている。
中東で問題を起こすのは常にイスラム過激派のジハーディストである。にもかかわらずBBCを初め国際メディアは常にイスラエルのあら探しばかりで、ジハーディストへの批判はしない。中東で罪のない市民を一番苦しめているのはいったい誰なのか?宗派が違うというだけで殺しあいをしているのは誰なのか?
今日こんにち、イスラエルという国がこの世から消え去ったとしても中東に平和など訪れないが、反対にパレスチナ民族がこの世から消え去ったなら、中東はどれだけ平穏になることだろう。私は人種差別で言っているのではない。パレスチナ難民やジハーディストたちが生まれつき心が腐っているとは思わない。私が嫌っているのは彼等の暴力を奨励し破壊を尊ぶ文化なのだ。
私はブッシュ大統領がイラクに民主主義を広めることで、中東の平和を築き上げようという計画には当初半信半疑だった。アメリカが他国に自分らの価値観を無理矢理暴力で押し付けることが懸命なやり方なのだろうかと自信がなかった。だが今私は確信する。アメリカはジハーディストの破壊的で暴力的な文化が世界制覇をする前にアメリカの自由な文化で世界制覇をすべきなのである。我々は正しい。我々の文化は彼等のそれに比べて優秀なのだ。そのことを謝罪する必要はない。
多様文化主義などくそくらえである。世の中には悪い文化と善い文化とが存在する。我々自由主義社会の文化は善い文化なのであり、断固これを広めるべきだ。
「でもカカシさん、あなたの正義とは世界がアメリカのような国になることなのですか?それってずいぶん手前勝手でごう慢じゃありませんか?」という批判もあるだろう。
だがそういう人たちに私は問いたい。世界がアメリカのようになるのと、パレスチナ難民キャンプやタリバン支配のアフガニスタンのようになるのと、あなたならどちらを選びますか?


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米統合参謀本部議長が更迭されたという歪曲報道

まったく何時ものこととは言え、この偏向ニュースのわい曲にはあきれる。まず6月9日付け読売新聞の記事から

米統合参謀本部議長、大統領が事実上の更迭

 【ワシントン=坂元隆】ブッシュ米大統領は8日、米軍制服組のトップで9月末に任期の切れるピーター・ペース統合参謀本部議長を再任せず、後任にマイケル・マレン海軍作戦部長を指名するとの声明を発表した。
 統合参謀本部議長が1期2年で退任するのはきわめて異例。ゲーツ国防長官は記者会見で、「ペース氏を再指名すると、上院の指名承認公聴会で過去のことで議論が百出し、国のためにならないと考えた」と述べ、泥沼化するイラク戦争の責任者の1人だった同氏を事実上更迭したことを明らかにした。ペース議長の退任にあわせ、副議長も交代し、ジェームズ・カートライト戦略軍司令官が後任に指名される。(強調はカカシ)
 ペース氏は2001年の米同時テロ直後から統合参謀本部の副議長を務め、アフガニスタンやイラクでの戦争遂行に深くかかわり、2005年9月に海兵隊出身としては初の議長に就任した。マレン氏は欧州駐留海軍司令官などを歴任した後、05年7月から作戦部長を務めている。

まったく左翼メディアは『泥沼化』という言葉が好きだ。何せイラク戦争が始まった二週目からすでに泥沼、泥沼、と騒ぎ立てているのだから今さら泥沼もなにもないだろうに。イラク戦争は100%成功しているとは言わないが、失敗しているわけではない。2月から始まった新作戦は遅いペースとはいえ進歩を見せている。そういう中で戦争の当初から関わってきたペース将軍を再任することは承認公聴会で民主党から袋だたきにあうだけだ。なにせブッシュ政権の任期は後2年足らず。戦争も過渡期を迎えており今が肝心な時。ここで大事な総合参謀本部議長の承認で手間どっている余裕はないとブッシュ政権は踏んだのだろう。ペース将軍が責任を取らされこう更送されたというわけではない。
民主党が多数議席を占めていることの悪影響がここで現れているわけだが、法務長官のアルベルト・ゴンザラスの場合はあまり効力のない長官として保守派の間からは批判も多いが、ここで民主党のいいなりになって辞任させれば後任には民主党が好む左翼よりの人間以外承認されない危険があるため、ブッシュ大統領はたとえゴンザラス長官をやめさせたいと思っていたとしてもそれができないという事態が生じている。
アメリカの大統領には非常な権限があるとはいえ、議会が反対党の場合には大統領の力にも限りがあるわけだ。やはり次回はなんとかして共和党の大統領に共和党の議会という具合に持っていかなければならない。そうでないととても効果的な政治は望めなくなる。


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イラン対アメリカ事実上戦闘状態

The Fourth Railのビル・ロジオによるとイラク内部においてイラン軍の特別部隊クッズ(Qods)とアメリカ・イラク連合軍は事実上すでに戦闘状態にあるようだ。
我々はもう一年以上も前からイラン政府がスンニとシーアの両方に資金及び武器援助をしてきていることは知っていたが、最近ではイラン軍の部隊そのものがイラクに潜入し直接アメリカ軍と交戦することが多くなっている。
今年の一月にカルバラで連合軍の基地がアメリカ軍に化けたテロリストらによって襲われ五人のアメリカ兵が拉致された上に殺された事件を読者のみなさんは覚えておられるだろうか?当時その洗練された攻撃からいってアルカエダのテロリストではなくイランの特別部隊によるものではないかと疑われていたが、衛星写真によってイラン国内にカルバラ基地の模型が存在することがはっきりした。どうやらイラン軍はこの建物を使って基地攻撃の訓練を行っていたようだ。
多国籍連合軍は4月の終わりからイラク国内にあるイランの秘密基地を攻撃し、すでに25人のメンバーを殺害、68人を拘束した。これらのメンバーはイランでクッズ特別部隊から直接訓練を受けきたシーア派テロリストたちで、イランの飼い豚サドルとも深い関係があるが、マフディ軍のなかでも過激な人間が集まったテログループらしい。彼等は協力な破壊力を持つEFPを使うことで悪名が高い。
ペトラエウス将軍の話ではすでに連合軍はSheibaniとQazaliというテロネットワークにたいしての攻撃について17回以上公式発表をしている。
しかし、アメリカ軍が直接イラン軍の特別部隊から攻撃を受け、しかも戦死者まで出しているということがはっきりしているなら、どうしてアメリカはイランに対して何らかの強行手段をとらないのであろうか? いくらイラク内部でテロネットワークに手入れをしてみても、イランからいくらでも資金、訓練、武器援助があるのではいつまでたってもいたちごっこである。
ベトナム戦争当時もカンボジアから攻めてくるベトコンをアメリカ軍がカンボジアまで追いかけていくことが出来ずにニクソン大統領がカンボジアまで戦闘を拡大するまでアメリカ軍はみすみす国境を越えていくベトコンを見逃さねばならない状態が続いた。イラクのイラン情勢にしろ、アフガニスタンのパキスタン情勢にしろ、この国境を超えたテロ攻撃が連合軍の行動を不必要に規制している。
アメリカにはイランを攻める覚悟があるのだろうか?


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カリフォルニアの中国人家族スパイ活動を認める

以前に暗躍する中国人スパイで紹介した米国籍を持つ中国人スパイの話を覚えておられるだろうか。7日の大紀元時報によると、その家族もスパイ行為を認めて拘束されたとある。

 【大紀元日本6月7日】米国の報道によると、スパイ罪が成立した米国籍華人・麦大智被告の家族は、中国当局に米国の国家機密を漏洩したことに関与したと認めた。専門家は、今回の摘発は氷山の一角に過ぎず、中国当局による米国でのスパイ活動は盛んに行われていると警鐘を鳴らした。

 BBCの報道によると、米国連邦検察官は、犯罪事実を認めたのは麦大智・被告の3人の家族と明らかにした。被告人の弟の麦大泓(音読み、別称、Tai Mak)氏や、その妻の李福衡(音読み、別称、Fuk Li)、その息子の麦友(音読み、別称、Billy Mak)である。
 検察官によると、米国国籍を取得した麦大智・被告は、勤務先の米国国防業務を請け負う企業Power Paragon社から数千ページの資料を入手し、その写しを弟の麦大泓・容疑者に介して、中国当局に渡した。
 裁判所の証拠資料によれば、中国の正体不明の共謀者が麦大智・被告に必要とする米国国防情報のリストを渡し、その中に、原子力潜水艦の研究資料などが含まれている。同被告は、1983年から米国の新型駆逐艦やイージス・システムなどの科学技術情報を中国当局に提供し始めたのを認めたという。
 報道では、麦大智・被告が現役中、または開発中の軍艦に関する技術資料を収集し、その妻と一緒にこれらの資料をディスクに収録したと報じている。
 検察官からの資料によれば、これらのディスクは後に麦大泓と李福衡両容疑者の荷物から発見された。発見当時は、彼らはロサンゼルスから中国行きの飛行機に乗ろうとしているところだった。
 麦大泓と李福衡両容疑者はその場で逮捕された。また、麦大智被告とその妻もカリフォルニア州の自宅で身柄拘束された。

ところで中国人スパイといえば、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの在外中国人団体には中共のスパイがうようよしていて、現地国の政治家などの弱みを握って中国の政治活動に悪用しているという話を陳さんとこの紹介で読んだ。これも大紀元時報の記事だが、

【大紀元日本6月9日】2年前に豪州政府に政治亡命した駐シドニー中国領事館の元政治参事官・陳用林氏(39)は6月6日、オタワのカナダ議会での記者会見の席で、中国当局はカナダで広範囲にわたるスパイ組織を構築し、駐カナダの華人団体を影で支配し、反体制勢力を抑圧させていると暴露した。欧米国家の政界要人の中で、中国当局に弱みを握られているため、脅かされ協力させられている者もいると明らかにした。…
 陳用林氏は、カナダを含め、各国の華人団体、例えば華人団体聨合会(略称、華聨会)、あるいは華人団体総会、中国平和統一促進会など、ほとんどは中国当局が背後で操縦し、結成させたと指摘し、カナダでの実例を挙げて説明した。「カナダでは、全カナダ華人聨合会(National Congress of Chinese Canadian, NCCC)という華人団体が存在、その団体はカナダの中国スパイ組織の最上部である。そのほかにも、豪州や米国、カナダなどの大学に置かれている中国学生会について、大半は中国教育部が設立し、当局の海外機構が資金援助している」と明かした。…
中共に弱みを握られ、協力者になるのを強要される欧米の政界要人
 欧米の政界要人や政府関係者への中国当局による工作方法について、陳用林氏は実例を挙げ、以下のように説明した。
 「豪州のある議員は、中国を訪れる際に、16歳未満の少女と性的関係を持った。後に身柄が拘束され、取調べを受け、自供記録が作成され、すぐに秘密裏に釈放された。その後、この議員は頻繁にテレビや、その他の公の場で、中国共産党(中共)政権を擁護する発言をした。他国の重要人物が中国を訪問する際、必ず監視されている。必要があれば、中国当局は罠を仕掛け、ターゲットを陥れる」

慰安婦問題でアメリカの下院議会にくだらないジャパンバッシングの提案をしたマイク本田なんていう米議員もこの口じゃないのかね。


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退役警官お手柄! 飛行機内のちんぴらを取り押さえる

う〜ん、カテゴリーを「どうでもいいニュース」としていいものかどうか、、でもちょっと不思議な事件なので読者の皆様に紹介しておこう。
先日(2007年6月4日)ミネアポリスからボストンへ向かうノースウエスト航空の機内で喧嘩をはじめたちんぴら二人を退役警察官と元海兵隊員が二人で取り押さえるという事件が起きた。

退役警察官のボブ・ハイデンさんはボストンとローレンスの警察署で長年勤めたベテラン警察官。ハイデンさんと奥さんはミネソタからノースウエスト航空でボストンへ帰宅する途中だった。

飛行機が離陸する前から、ハイドンさんによると、一人の男が通路を行ったりきたりしてスチュワーデスから何度も席につくように注意されていたがいうことを聞かないため、強制的に席につかされていたという。
ハイデンさんは離陸後になんらかの騒動が起きていることに気が付いた。さっきの男が何か叫んで通路に転げ落ちたのである。
最初ハイデンさんはこの男性は心臓マヒでも起こしたのかと思ったという。だがすぐにこの騒動はやらせなのではないかと思い付いた。ハイデンさんによると、二人の機内乗務員が男性を席に戻すのを手伝ってたが、男性は席にもどってからも叫び続けていた。
この騒ぎに周りの乗客たちはおびえて泣き出す人まで出たとハイデンさんは語る。
機長がローガン空港に近付いたことを放送すると、最初に騒いだ男性と二人めの男性が叫びあって通路へもつれて倒れた。この時、ハイデンさんは退役海兵隊員の助っ人で行動に出た。
ハイデンさんは最初の男をつかみ無理矢理座らせた。そして二人めの男を床に押し倒して乗務員が持ってきた手錠を男にかけた。ハイデンさんは飛行機が着陸して警察が現れるまで二人の男の横に座って待っていたという。

ハイデンさんは、この騒ぎはなにかほかの悪さをしようとしている人間から目をそらせるためのやらせだったのではないかと警戒したようだが、ほかには何も起こらず、今のところ犯人らの動機は分かっていない。もしかすると実際にハイジャックとかテロの計画があったのかもしれないが、ハイデンさんと海兵隊員の行動で計画がオジャンになった可能性は多いにある。こおの話、フォローアップが必要かもしれない。
ところでこの騒ぎが起きている間、ハイデンさんの42年来の奥さんは何をしていたかというと、騒ぎには目もくれずに推理小説に夢中になっていたという。旦那さんがチンピラ二人と格闘している時によく本など読んでいられるものだという周りの乗客からのコメントに対して、奥さんケイティさんは、

「ボブは撃たれたこともあるし、刺されたこともあけど、彼はいつもナイフや銃を取り上げてきたのよ。彼はこういう場合にどうすればいいかちゃんと心得ているの。だから今度もボブが誰かの首根っこを踏み付けて終わるだろうと思ってました。どういう結末かは明らかだったもの。でも小説の結末は分からないものね。」

さすが、何十年も警察官の妻をやってるだけのことある。根性座ってます、奥さん!


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JFK空港テロ未遂事件容疑者の数拡大

先日未遂事件で解決し四人の容疑者が逮捕されたJFK空港パイプライン爆破テロ事件は、捜査が続くにつ陰謀に関わった容疑者の数がどんどん増えている。FBIの関係者の話によると捕まった四人は氷山の一角であり、犯人グループはもっと大きいということだ。
さらに以前に事前に暴露されて未遂で終わったニュージャージーの陸軍基地フォート・ディグス攻撃陰謀に関わったとされる Adnan Shukrijumahなるテロリストの行方をFBIは未だに捜索中だ。この男、アルカエダにとって第二の(二回に渡る貿易センター攻撃を計画した)ラムジー・ユーセフなのかもしれない。容疑者は皆外国に逃げた模様。
一方アメリカの主流メディアはこのように重要な事件を大々的に報道せず、なぜかヒルトンホテル財閥のどら娘、、おっと令嬢が免停中に三回目の酔っ払い運転をして監獄行きになった話でもちきり。もっとも今回はいつものように両親が金を使って娘を釈放させるというやり方はうまくいかなかったらしく、一旦は刑務所の所長の一存で仮釈放になったものの裁判官が激怒してパリス嬢は刑務所へ逆戻り。車のなかで大騒ぎして「ママ!ママ!」と叫び出す始末。いい大人が何やってんだ!ま、親が甘やかし過ぎた結果がこれだわな。
なんてことはどうでもいい!テロリストが国内テロを企てているというのに金持ち令嬢のスキャンダルにばかりかまけているバヤイか!まったくアメリカ主流メディアはしょうがない。


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鯨とイルカに歓迎された海の旅

まだ船旅の途中なのだが金曜の夜から日曜日の朝までは途中下船で自由行動。久しぶりにネットアクセス回復。といっても正味二日だけど、、、
先々週から続いているこの船の旅、ずっと穏やかな海が続いていたのに突然おとといの夜、ものすごい揺れで私はもう少しでベッドから転げ落ちるところだった。幸いベッドの横についている安全ベルトのおかげで助かった。ベッドとはいっても以前にも書いた通り幅は一メートル弱、長さどうにか180センチ、高さは80センチくらいの三段ベッド。通称棺桶ベッドと呼ばれている。それに今回は最上段ではなく一番下だったことも幸いした。去年乗ってた船では最上階の上、安全ベルトがついていなくて荒波では落ちないように寝るのに苦労したものだ。
しかし、外の天気は全然荒れていないのになんでこんなに船が揺れるのかと思ったら、別の船と途中でランデブーするため波に逆らって向かい風に吹かれながらかなりの高速で走っているのが原因だったようだ。
数日前、船内放送でイルカの群れが船の横を泳いでいると告げた。手の開いてる乗組員は全員どたどたと甲板に出て「どこだ、どこだ」と目を凝らしていたら、いたいた数匹のイルカが船の斜め横から近付いてくるではないか。それにしても速いなあイルカってのは。二匹のイルカが船に垂直の角度で泳いできたかと思うと、突然姿を消してしまった。「船の下へもぐったよ。」と誰かがいうので、みんなで反対側に走りよると案の定反対側からイルカが顔をだしてフリッパーみたいに立ち泳ぎをして笑っていた。(というか、笑っているように見えた。)イルカってのは愛嬌のある犬みたいだ。もし人間が海で暮らす動物だったらイルカは最高のペットだろうな。
それから数日後、今度はクジラが横を泳いでいるという放送があった。またまた我々は団体で甲板に出てあっちだこっちだと指をさしながら、「え〜、どこどこ、みえないよ〜」と10分くらい騒いでいたら、百メートルくらい先で大きな潮が吹いた。しかもひとつではなく二つ同時に潮を吹いたのである。次の瞬間大きなクジラの背中が見えたと思うとちょっと体を横にするようにしてまた海の中に潜った。すると次に小さめの体があがって同じ動きを繰り返した。どうやら母親とその赤ん坊の二人、、ならぬ二頭ずれ。
大昔にクジラを見るための漁船でクジラを追いかけた時以来、初めて野生のクジラをまじかで見ることができて感激。なにかと退屈な船の旅にちょっとした色を添えてくれた。何せ私は豪華客船に観光で乗ってるわけではないから、エンターテイメントなんてものは他にない。(笑)
さてさて、船の旅も大詰めに迫ってきてあと十日ほど。なにもかもうまくいけば七日で帰宅できる予定。今夜と明日で来週分のエントリーを書きためねば、、、まだしばらくリアルタイムで最新情報をお届けするというわけにはいかないが、その分、中身のある分析をしたいと思うので乞うご期待、、なんて言って自分に圧力をかけ過ぎかな?


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