今日Xでイスラエルのネタニヤフ首相がこの戦争はイスラエルの完全勝利以外の道はないと熱弁を振るっていた。(1) Benjamin Netanyahu – בנימין נתניהו on X: “Total victory 🇮🇱 https://t.co/Q3Dz6ltH4f” / X (twitter.com)私も同意だ。ここまでやってハマスを生き延びさせたら、味方の戦死者の命が報われない、10月7日のハマステロ犠牲者にも申し訳が立たないだろう。それにしても、これまで何度となくハマスの攻撃を受け、時には地上戦も交えながら、それでもある程度の争いが終ると途中で引き揚げていたイスラエルが今度という今度は最後までやると言い張っているのは何故だろうか?

それは今度ばかりはハマスはやり過ぎたのだ。10月7日の大虐殺はユダヤ人にとってホロコースト以来の大量殺戮だった。しかもこれまでのような自爆テロや乱射事件でせいぜい十数人の犠牲者をだしたのではなく、想像を絶する拷問の末の虐殺だった。そしてイスラエルは今度こそ学んだのだ。ハマスが生きている限りこのような攻撃は二度三度と起きる、ハマスがすでにそう宣言している。2~3人のハマス首領の家をちょっとやそっと空爆した程度のことでは収まらない。もしイスラエルが独立国として平和に存続したいのであればハマスは徹底的に潰さなければならない。イスラエルにとってこの戦争は国の存亡をかけた生きるか死ぬかの戦いなのだ。

私が拙ブログを書き始めたのは2006年の6月だが、その最初のいくつめかのブログポストが6月28日から始まったイスラエルとハマスの戦争真夏の雨作戦Operation Summer Rains Hebrew: מבצע גשמי קיץ Mivtza Gishmey Kayitz)の話題だった。イスラエルがガザから完全撤退した2005年から一年後にはもうハマスはトンネルを使ってイスラエル領に入り込み国境警備のイスラエル兵を二人殺害しGilad Shalitという兵士を拉致した。それでイスラエル側もハマステロリストを何人も逮捕し、結局地上戦にまで拡大した。この間ハマスはイスラエルに向かってカッサムロケット弾を何発も打ちこんだ。この戦争は11月まで続き秋の雲作戦と名前を変えて続行された。その年の11月26日、エジプトの仲介で人質とハマステロリストの交換の交渉が破綻したまま一時停戦となったが、翌年ハマスが停戦を破ってロケット攻撃を始めたので、イスラエルも応戦した。

とまあ今となってはもうお馴染みになった、ハマスによるテロ、イスラエルの反撃、停戦、ハマスが停戦を破る、の繰り返しが17年も続いてきたのだ。イスラエルが壁を作る前まではガザから越境してきたハマステロリストによる自爆テロやブルカを着た女が突然刃物でIDF兵や警官に襲い掛かったり、車で引き殺そうとしたりというテロが数々あった。当時からイスラエル在住の人たちの話によれば、バス内部での自爆テロが多発したため、信号待ちでバスが横に居るだけで怖かったと話していたほどだ。

実は私はその頃から、何故イスラエルはガザを更地にしてしまわないんだろうと思っていた。もし他の国がこんなテロ行為をしょっちゅうやられたら、それこそ今イスラエル批判をしている専門家が言うような無差別空爆を躊躇なくやっていただろう。

にもかかわらず、イスラエルはガザ攻撃よりも、壁を建て、アイアンドームを建設し、個々の民家に防空壕を設置しという防衛に力を入れて来た。ハマスが民間人を人間の盾にすることを最初から念頭に置いてせっせとトンネルを掘っていた頃、イスラエルは国民の安全を確保するため必死の努力をしてきたのである。

それでもイスラエル内部にはパレスチナ人を支援しようという動きがあった。パ人には労働ビサが発行され何万人もイスラエルで出稼ぎが許されていたし、大虐殺のあったキブツの住民の多くがボランティアでパレスチナとイスラエルの友好関係を作ろうと長年活動している人たちだった。実をいえばイスラエルこそがUNRWAの支援を積極的に支持していた。イスラエルの考えはガザ民が豊かな暮らしが出来ればイスラエルのことは放っておいてくれるというものだったのだろう。

もしガザ民がその気になれば、ガザは半永久的に国際社会からのお恵みで世界中の人がうらやむような豊かな暮らしをすることが可能だった。ガザを美しリゾート地にして大儲けも可能だったのだ。

だがそれは不可能だった。ハマスによるガザ民への小さい頃からの洗脳で彼等の念頭にあるのはイスラエル殲滅だけ。自分らの豊かな将来すらどうでもいい。彼等はユダヤ人皆殺し以外のものに情熱を傾けることが出来ない民族なのだ。だからイスラエルへの攻撃は彼等が生きている限り続くのだ。

イスラエルこそ世界でもっとも平和主義な国だと思う。彼等こそ一番戦争を好まない国民だ。だがパレスチナ人(というよりイスラム教徒)には温情も同情も通用しない。ジュデオクリスチャンの優しさや寛容を弱さだと考え、相手の優しさに漬け込むことが賢い行為だと思ってる。

しかし今回ハマスは大変な誤算をした。彼等の目的はエイブラハム合意のようなアラブ諸国とイスラエルの通常外交設立を阻止することにあった。そのためには国際社会が絶対に許せないと思う行為をイスラエルのさせる必要があった。だがイスラエルは長年にわたる防衛体制があるため、ちょっとやそっとの攻撃ではイスラエルによる大規模迎撃は望めない。やるなら徹底的にユダヤ人の精神を揺さぶるやり方をしなければならない、ホロコーストを思わせるような、、

ハマスはイスラエルによる大規模空襲に自分らは生き延びられると考えていた。彼等にとってガザ民がどれだけ犠牲になるかは問題じゃない、いや、むしろ犠牲は多ければ多い方がいい。自分らはトンネルに閉じこもって空爆を逃れ、地上戦になったらガザ中に張り巡らせたトンネルを使って移動しIDF軍相手のゲリラ戦を遂行すればいいのだ。そして戦闘が激しくなればなるほど国際社会によるイスラエルへの圧力が強まり、アラブ諸国もイスラエルとの外交平常化など諦め、イスラエルも撤退せざる負えなくなる。国際社会からの支援金も増える。自分らはそれまで持ちこたえられる。そう思ったのだろう。

確かにハマスはイスラエルの逆鱗に触れることに成功した。平和的なイスラエル人の心を十分に揺さぶることが出来た。だが彼等は計算違いをしていた。イスラエルは本気を出してしまったのだ!

ハマスはこれまでイスラエルがどれだけ自制していたかを理解していなかった。彼等はイスラエルがガザ民を文字通り民族浄化せず支援までするのはイスラエルが弱気だからだと思っていた。以前にパレスチナの誰かが言っていた。イスラエルは命を愛する、パレスチナは死を愛する、だからパレスチナはイスラエルに勝てると。

ハマスも国際社会もイスラエルの激しい迎撃に驚いている。まさかイスラエルがここまでやるとは思っていなかったのだろう。いつものように途中で引き下がると思ったのだろう。世界中でパレスチナ支持のデモが起きれば、イスラエルもいい加減引き下がるに違いないと思ったのだろう。

だがもう遅い。イスラエルはここまでやったからには完全勝利以外の選択肢はない。ハマスはすでに拘束していた31名の人質を殺害していた。IDFの発表によれば確認できない20体の遺体があるという。ハマスは人質を生きて返す気などさらさらない。だから人質奪回は力づくでやる以外不可能だろう。

ハマスを応援していなかったガザ民には非常に気の毒だが、ガザは一旦更地にして一から始めるしかない。そして今度こそテロリスト支配を逃れて平和な自治区を建設してほしい。イスラエルも国際社会もそのためならいくらでも支援する用意はある。ハマスを撲滅してもそれに代わるテロ組織が生まれるのであれば全く意味はない。

いよいよ大詰めだ。

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