元々イスラエルに憎悪を持っている人たちは別として、欧米諸国や日本ではイスラエルに関して誤った見解を持っている人が多いのは仕方ないことだと思う。しかしここ数週間Twitter(X)を読んでいて日本人でもこの問題に非常に詳しい人が結構いること、しかも専門家と言われる東大の大先生方なんかよりもずっと博学で洞察力のある人たちが多くいることを知って非常に感動している。そのなかのおひとりミルトスさんのノート(「パレスチナ問題」を考える際に押さえておきたいポイント|ミルトス (note.com)「パレスチナ問題」を考える際に押さえておきたいポイント|ミルトス (note.com))を紹介したい。彼のプロファイルは下記の通り。

東京都足立区にある出版社ミルトスです。イスラエル、ユダヤ、中東、聖書、ヘブライ語などに関連する書籍を出版しています。https://myrtos.co.jp/

先ずノートの目次を見てみよう。

  1. パレスチナ難民問題の背景
  2. 過疎地パレスチナ
  3. 増加したアラブ人口
  4. 難民定義の問題点
  5. 領土問題の捉え方
  6. 1. シオニズムは植民地主義か
  7. 2. 西岸地区の法的な帰属
  8. 3. 入植活動は国際法違反か
  9. イスラエル国防軍の対応
  10. ガザの戦闘員と非戦闘員の関係

どれも非常に興味深い内容で、これはイスラエルとパレスチナについて学びたい人は是非とも押さえておきたいポイントだ。しかし今日は最初の見出しにもあるようにイスラエルが植民地政策をとっておりアパルトヘイト国家であり国際法に違反しているという三つの点に焦点をあてたいと思う。

以下引用

1. シオニズムは植民地主義か

 一般的に「植民地主義」と言うとき、次の3つの特徴がある。

 ①宗主国、つまり郷土が別の場所にある。
 ②入植した地とは歴史的に関係がない
 ③入植地を搾取し、その富を宗主国に持ち帰る。

 これらがシオニズムにあてはまるかというと、

  • ①ユダヤ人に宗主国はなく
  • ②イスラエルの地との歴史的関係は現存する他のどの民族よりも古く、そして、
  • ③入植地を搾取するどころかユダヤ人の開拓が発展と余剰を生み、アラブ人を含むより多くの移民流入を可能にした

従って、どの特徴にも当てはまらない。実際、シオニスト会議がウガンダ案を否決(つまり歴史的関係のあるイスラエルの地にしか帰還するつもりはないと決議)した時点で、シオニズムが植民地主義ではないことを表明したことになる。

6.1.イスラエルはアパルトヘイト国?

 イスラエルは、南アフリカのような「アパルトヘイト国家」だという主張をよく見かける。逆説的ながら、仮にイスラエルが南アフリカのような人種差別政策を実行していたなら、パレスチナ人による市営バスやレストランでの自爆・殺傷テロは起こらなかっただろう。アパルトヘイト国家では出自別のバスやレストランを使用しなければならず、パレスチナ人はユダヤ人が使うバスやレストランには入れないことになるからだ。

 また、イスラエルにはアラブ系の大学教授国会議員最高裁判事がいることも、この紛争の本質人種差別ではないことを裏付けている。なおパレスチナ民族運動は、南アフリカのアフリカ民族会議の目標とは異なり、イスラエルの市民権獲得を望んではいない。と言うのも、市民権獲得はイスラエル国の正当性を承認することになるからだ。同運動が市民権獲得を拒否していること自体、イスラエルがアパルトヘイト国家でないことを意味している。

8.3. 入植活動は国際法違反か

 西岸地区のユダヤ人入植活動は国際法違反と言われることがある。その根拠としてジュネーヴ第4条約の第49条が示されるが、実はこの条項は占領地への強制移住に関するもので、国民が自らの意志で集落を築く入植活動には本来該当しない。同条項は、第二次大戦中にドイツ、ソ連、ウクライナ、ポーランド、ハンガリーの住民が経験したような強制移住が繰り返されないために定められたからだ。

アラブ側はこの条項をイスラエルの入植活動に当てはまるよう巧みに解釈して、ロビー活動によって国連や国際刑事裁判所などに普及させた経緯がある。この解釈の問題は、その正当性を厳密に検証することなく用いていること、およびユダヤ人にだけ適用されていることだ。自発的な入植活動は、例えば北キプロスを占領したトルコ、レバノンを侵攻したシリア、西サハラを領有したモロッコの国民がそれぞれの地域で行なっているが、この解釈が用いられたことは一度もない。そもそも、占領地に関する条項を「係争中の地域」である西岸地区に適用すること自体に問題がある

ーーー引用終わりーーー

Twitter(X)でイスラエルの入植行為は継続的に長年にわたってなされており、これは国際法違反であるからハマスの蛮行よりも罪が重いなどというバカげたことを言っている人がいた。こういう人は口で何と言おうと本心はユダヤ人憎しの偏見で話しており、なんとかイスラエルを悪者にしようと必死なので議論は無駄な行為だ。しかし上記のことを良く弁えておくと、のちのちイスラエルは~と言い出す人たちとの議論には役に立つだろう。

カウボーイが教える「イスラエルがパレスチナの土地を奪った」と主張する人に返す言葉

これに関連して先日面白い動画を見つけたのでその内容をちょっと紹介する。

1500人近いイスラエル人が襲撃された地域は酪農地だったが、ハマスやそれに混じってやってきたガザの民間人が農園を荒らし家畜を盗んでいた。そこでアメリカのオクラホマやアーケンサス州が酪農のプロのカウボーイたちがイスラエルに助っ人に出向いた。そのカウボーイの一人がイスラエルはパレスチナの土地を奪ったという人にどう対応すればよいかという教えを説いているので引用しよう。

読者諸氏もよくご存じの通り、パレスチナ人などという民族はイスラエルが建国されるまで存在しなかった。あの土地にはユダヤ人や多種のアラブ人が住んでいたが、イスラエル建国直後アラブ連合軍がイスラエルに攻め入り、戦乱に巻き込まれたくないアラブ人の多くが一時的に避難した。しかしイスラエルが勝ってしまったので避難したアラブ人は帰ってこれなくなり、彼等は難民となってしまったわけだが、アラブ諸国は彼等をパレスチナ難民と呼び、イスラエルに問題を起こすために、イスラエルによって土地を追われた可哀そうな民族という建前で残されたのだ。

だから今度誰かがイスラエルは違法にパレスチナの土地に居座っているのだという人がいたら、いくつかこんな質問をしてみようとカウボーイは言う。

  • パレスチナ国家が設立されたのは西暦何年のことですか?
  • パレスチナの国境はどこまでで、何時失くなったのですか?
  • パレスチナの通貨は何だったのですか?何故どの歴史にも残っていないのですか?
  • アラファトの前のパレスチナのリーダーは誰ですか?

ところで話はちょっと変わるが、この間ロンドンで親パレスチナの行進に参加していたイギリス人大学生二人が街角でこんなインタビューを受けていた。

質問「10月7日にハマスがイスラエルに侵略した際、あなたの最初の感想はどのようなものでしたか?」

女学生1「え?そんなことしてないでしょ?したの?ハマスが?」

女学生2「してないんじゃないの?このことについて良く知らないから、私にはその質問に答える資格はないと思う。」

おいおいおい、イスラエルが何故ガザに侵攻しているのか知らないで何に抗議してるんだ?全く近頃の大学生はしょうがないな。実はこのような学生は珍しくない。ヒジャブを被ったムスリム女性や髭面のムスリム男性のようにあからさまにイスラエルを憎んでいる人は別として、ごく普通のイギリス人やアメリカ人が街角に貼られたイスラエルの拉致被害者のポスターを剥がす理由を聞いてみると、「これはイスラエルがでっちあげたプロパガンダだ」とか「これは実在人物ではなくAIの写真だ」とか「ハマスは人質などとっていない」とか平気でいう人がいるのだ。ハマスは10月7日の攻撃を誇らしく思い自慢げに自分らでソーシャルメディアに掲載したくらいなのだ。それなのにこれらの人びとはそうした事実を全くしらないのである。

しかし知らずにイスラエルが悪いと思い込んでいるのだとしたらまだ希望はある。つまりメディアがきちんと真実を報道すればいいのである。しつこいくらいに10月7日の悲劇を報道し続けるのだ。女子供が凌辱した上に焼き殺されたり拉致されたりしたこと。男たちは首をはねられた手足をもぎ取られたり首をはねられたりしたこと、赤ん坊がオーブンで焼かれたこと、妊婦の腹がかっさばられて退治の首をはねられたこと。などなどなどを何度も繰り返して報道すればいいのだ。そうしたら今イスラエルが一方的に悪いと思っているひとたちもハマスの極悪さをしることになるだろう。

毎日のようにガザでがれきの下で下敷きになる子供の写真ばかり報道していないで、イスラエルの学校や病院に撃ち込まれているハマスのロケット弾の話をちゃんと報道しろ。そうすればほとんどの人はハマス支持などしないはずだ。


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