これは先月掲載したエントリーだが、お爺ちゃん日記を日付順にするために再掲載する。

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お爺ちゃんは今年に入ってから週に2~3回デイケアセンターに通っていた。毎日家にいても退屈だろうし、介護をしている家族にも、お爺ちゃんの世話をしないでいい時間が出来るのは精神的にもやすらぎになるので私は歓迎していた。しかし、ここ何回か迎えに行く度にお爺ちゃんの機嫌が悪くなっており、なにかセンターの内部の人について文句を言っているような感じだった。もっともお爺ちゃんの言うことは私は半分以上意味が解らないので、具体的に何が起きているのか把握できずにいた。

そんなある日、デイに行く朝、お爺ちゃんが泣き出していきたくないとごねた。私はその日は出勤の日だったので、お爺ちゃんを家に置いて行きたくなかった。お爺ちゃんのことは私でないと解らないことが多いからだ。それで何とか説得してデイに連れて行ったのだが、その数日後、お爺ちゃんを迎えに行くと、デイセンターのマネージャーさんと看護婦さんに話があると言われ、別部屋に通された。

マネージャーさんによれば、お爺ちゃんは誰とも打ち解けず、どんな活動にも参加せず、何か言うと怒って怒鳴ったり机をたたいたりして、他のメンバーを怖がらせているという。介護士たちにも喧嘩腰で、今は暴力を振るようなことはないが、そのうち乱暴になるのではないかと恐れているというのだ。

通された部屋には大きな窓があり、それは一方通行の鏡になっており、向こうの部屋の様子がこちらから見えるようになっていた。そこで患者さん達は歌ったり踊ったり楽しそうにしていたが、ひとりお爺ちゃんだけはしかめっ面で何かぶつぶつ文句を言いながら歩き回っていた。

「最近、いつもあんな感じなんです。」

とマネージャーさんは言う。

「とても楽しんでいるようには見えません」

確かに。お爺ちゃんは何かに怒っているようだった。見ているのも心苦しくなったので、今日は連れて帰ると言うと、マネージャーさんから「うちではお爺ちゃんの役にたっているようには思えません。家に来てくれる介護士さんを雇った方がいいと思います」と言われた。

「私はあと2か月くらいで引退しますから、それまで預かって頂くわけにはいきませんか?」

「残念です」

はあ~。無理か~。

最初の頃はお爺ちゃんも楽しんでいるように見えたのだが、どうして駄目になってしまったのだろう。家ではそんなに変わった感じはしないのだが。

私は今年いっぱい働くつもりだったが、それも無理なようだ。仕方ない。さっさとやめて専業主婦になろう。お爺ちゃんのことは誰か介護の人に来てもらうしかないだろう。


2 responses to お爺ちゃんがデイケアセンターから追い出されてしまいました 2023年8月9日

よもぎねこ9 months ago

 大変ですね。
 カカシさんがこんなに献身的に介護されているのに、それでもやっぱり上手くいかないのですね。
 それにしてもやはりアメリカでも老人介護は家族が行う場合が多いのでしょうか?
 日本でも身内でここまで献身的に介護をする例は少ないと思うのですが。

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    苺畑カカシ9 months ago

    お気遣いありがとうございます。家で介護してる人多いですよ。私の同僚のお母さんは末期までお嬢さん二人が交替で面倒みてました。最後のほうはホスピスに入りましたが、入ってすぐ亡くなりました。息子である同僚はホスピスは気に入らなかったようですが、もう自宅では介護も限界だったようです。

    私が通ってる歯医者さんの衛生士のお父さんも末期の認知症で徘徊癖があり、お母さんが介護してたらしいですが、今はかなりひどくて寝たきりで、看護婦さんに通いで来てもらってるそうです。介護施設に入れるかどうか迷っているとか。

    うちもお爺ちゃんが一人でトイレに行かれなくなったらとても私では無理なので介護施設に入ってもらうつもりですが、どこへ入れたらいいのか解らない。お隣の亡くなったお母さんが入っていた介護施設を紹介してもらったので、お爺ちゃんを入れてもらえるかどうか聞いてみようと思ってます。でも認知症患者は敬遠されると言う話です。単に動けないだけの病人の方が施設側も楽なんでしょうね。

    家に来てくれる介護士さんはものすごく値段が高く、政府から補助金が出るかどうか今検討中です。

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