先週起きたマウイ島を襲った大火災は、現地からの映像がどんどん公開されるにつれ、その惨状が明らかになってきている。すでに100人を超す死亡者が確認されており、全体数は1000人に届く可能性があるという。ハワイ史上始まって以来の災害被害である。

こちらのサイトに火事の前と後の劇的な差を示した幾枚にもわたる写真が掲載されているので是非ご参照のこと。

Before and after images showing damage to a section of Front Street

拙ブログを昔からお読みの読者諸氏はご存じだが、私は仕事柄過去20年近くハワイにはしょっちゅう行っていた。主にオアフ島だがマウイ島にも行ったことがある。マウイはオアフに比べてあまり商業的な島ではなく、マウイに来る観光客はどちらかというと野外活動が好きな人が多いきがする。ダイビングとか釣りとかウォータースキーとか。数年前にマウイに行った時はウォーフから毎朝多くの観光客がボートに乗って沖に出かけて行くのを見た。私は仕事なのでボートに行って沖に停泊していた船まで毎朝通勤。観光客が羨ましかったのを覚えている。私は観光ならオアフより断然マウイだなと思ったものである。

うちにはテレビがないのでテレビニュースは観ていないのだが、火事の原因は未だ不明だが、火の手があっという間に広まったこと、警報が鳴らなかったこと、ハリケーンで学校が閉鎖され(ハワイではこの季節でも夏休みではなかった)子供たちは親の居ない自宅に返されていたこと、逃げ道となる道路が閉鎖されていたことなど、何かわけのわからない話を聞いている。

マウイは島ということで津波警報設備がきちんとしており、毎週その警報のテストが行われるのだそうだ。毎週やっているくらいだから警報機が作動しなかったわけではなく、警報が鳴らなかったのは意図的なものだった。本日(8月18日)になって、マウイの非常時統括局のハーマン・アンダヤ局長が責任を取らされて辞任。アンダヤは警報を鳴らしていたとしても人々の命は救えなかった。鳴らさなかったことを後悔していないと語っている。

しかし命からがら逃げおうせた人々の証言を聞いていると、警報が鳴らなかったせいで逃げるのが遅れたと証言している人が非常に多い。ある人は朝自宅付近でボヤがあったのを見たが、すでに消防隊が来ていたので、自分の家に飛び火しないようにと茂ってい木を切り倒して二時間ほど庭掃除をして疲れたので昼寝をしたという。しかし煙の臭いで目を覚まして、外に出ると熱風に見舞われたという。急いで取るものだけとって車で逃げたと言う。もし早めに警報が鳴っていれば、彼は早く逃げられたはずである。「最初のボヤがきちんと鎮火されてなかったに違いない」と男性は言っていた。

マウイは強風のため電柱が倒れるなどして停電していた。インターネットの接続も切れており、電話もつながらなかった。避難警報は携帯電話で行われたようだが、多くのお年寄りは携帯電話を持っていない。ツイッターであがっていた動画の中で、誰からも避難命令は出なかったが火の手が迫っていたので独自の判断で荷物を車に詰め込んで逃げたと言う家族がいる。その間家族は動画を撮り続けており、煙と火の粉のなかをなんとか抜けきって青空が見えた場所まで行けた時は「やった、逃げ切った」と話している声が聞こえる。ところがなぜかフロントストリートの交差点に来た時に、警察が道を塞いでいて、それ以上行かれなかった。これは他の証言者も同じことを言っていたが、なぜそこで交通が遮断されていたのか誰にもわからない。仕方なく車を降りて徒歩で逃げたという男性は、警官に何故道を塞いでいるのかを聞いたが、警官は単に上からの命令だというだけで理由を説明してもらえなかったという。警官が塞いだ道の先には特に何も起きていなかったとその老人は語っており、未だに理由は不明だ。

道を塞がれた人々はすぐ傍まで火が迫ってきたため、車を捨てて海の方へ向かい、火の粉を振り払うように海のなかに入って火を避けた。頭の上から野球のボール並の火の玉が飛んできて、近くにいたひとの髪の毛に火がついたのを見たと言う。それでみんなで髪の毛を濡らして頭を抱えていたそうだ。

こちらが海に逃げたひとたちの動画。https://youtu.be/5Z0beYjT6ko

規模は違うが、この話を聞いていて東京大空襲を体験した人が、東京湾に逃げたという話を思い出してしまった。マウイの火事は人為的なものではない(かどうかは不明)が、まるで戦争でも起きたみたいである。

さて、これだけの被害を受けたマウイなので、連邦政府からFEMAや赤十字や州軍が現地救済にあたっているのかと思いきや、行方不明者の捜索の映像はみたが、救援物資の配給は一般市民が自発的にやっており、政府からの救援物資は全く届いていないという。いったいどうなっているのか?

どっかのビーチで甲羅干しをしていたバイデン大統領は記者からマウイについての質問をされると「ノーコメント」といってまるで興味がないという顔をしていた。もしこれが共和党の大統領だったら、もう今頃はメディアから猛攻撃を受けているところだが、バイデンなので誰も何も言わない。ハリケーンカトリーナの時に迅速な対応をしたにもかかわらず地元知事や市長の不能で多くの犠牲者を出した時も、地元の民主党政治家らではなくブッシュ大統領が批判されたのとは大違い。

ところでハワイ在住の邦人ツイッタラーさんが、マウイの救援には赤十字などを通じての募金に寄付しないでくれと言っていた。それというのもハワイ州の政治家は腐敗しており、寄付金を横領して被害者の手には届かない可能性が高いからだそうだ。なので何かしたいと思っている人は、これからマウイへ出かける人に直接なにか物資を渡して欲しいということだった。

実際に現地で救援活動をしている個人が居るので、そういう人が募っている募金に直接寄付した方が約に立つだろう。こちらが救援物資の配給をおこなってる民間人、サーファーのケリ・レニーのインタビュー。https://youtu.be/udTLQ09-boI 政府機関の人を全く見かけないと語っている。


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