この記事を読むまで、どうして最近になってLGBTQのQとかQ+についてる+ってどういう意味なのかという話がツイッター上で上がってくるようになったのか分からないでいた。しかし記事を読んで納得がいった。LGBTQについての過去記事を巡り、複数のネットユーザーが「異常性愛を肯定」と問題視という記事によると、「埼玉県からLGBTQ(※1)事業を委託された事業者の代表が、SNS上で多数の個人に『法的措置を行う』とメッセージを送信、波紋が広がっている。」とのこと。このENCOUNTの記事を紹介していたツイッタラーさんのところへもこのメッセージが届いたという。

問題なのは埼玉県が事業を委託したこのJobRainbowという企業が自分らの雑誌に掲載した過去の記事「LGBTPZN(※2)とは?」のなかにペドフィリアを含むいくつかの変態的性嗜好を肯定するような内容があったことから、この事業が変態的性嗜好を促進する事業なのではないかと埼玉県民の間からも不安の声が上がっており、SNSでそれらを指摘する投稿が多くあったため、JobRainbownoの代表が投稿者に訴訟をちらつかせた威嚇メッセージを送ったようだ。

(※1)LGBTQ:レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字に、それ以外の性自認や性的指向を示すQを加えた用語。Qは「クィア(規範的ではない包括的な性の在り方全般)」または「クエスチョニング(性自認や性的指向が定まっていない状態)」を表す。クィアに明確な定義はなく、後述のPZNを含めるか否かは議論が分かれる。

(※2)LGBTPZN:レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字のLGBTと、ペドフィリア(小児性愛)、ズーフィリア(動物性愛)、ネクロフィリア(死体性愛)の頭文字のPZNを足した用語。一般に、LGBTは性自認や性的指向、PZNは精神障害に分類される。

埼玉県はQが何を意味するのか曖昧なまま条令にQという頭文字を使ってしまったため、JobRainbowがそのQに何を含めようが彼等の判断次第ということになってしまう。後にJobRは元記事を修正したらしいが、修正前の記事がこちらの記事に掲載されているのでちょっと読んでみよう。

この記事では性行為は相手の同意が必要であるが、小児性愛や動物性愛や死体性愛の場合は相手の同意を得ることが難しいとしたうえで、(強調はカカシ)

しかし日本では思想の自由が認められています。性愛感情を抱くことは罪ではありません。「ペドフィリアは精神障害に認定されているじゃないか」という意見に関しては「同性愛」もかつて「障害」とされていたことを忘れてはいけません。

性的感情と性行為が結び付けられ、なにもしていなかろうがペドフィリア・ズーフィリア・ネクロフィリアだから犯罪者だ、と思われ苦しむ人がいるのも事実です。

「LGBTとPZNは違う一緒にするな」「いや広い意味ではマイノリティーとして連帯していくべきだ」と言った対立が数多くみられますが、それこそが「LGBTPZN」を利用して内部分裂を図ろうとした人の思うツボでしょう。

まずはどのような嗜好であっても、感情に止める限りは、簡単に他者によって否定されてはならないのではないか、と慎重に検討するべきかもしれません。

と述べている。もしもこれがJobRの公式な見解であるのならば、これは由々しき問題だ。こんな業者に県の事業を委託した埼玉県には大いにはきちんとした釈明が必要だ。当のJobRはこの件について下記のように説明している。

「現在、インターネット上で、弊社が掲載しております『LGBTPZNとは?』の記事につきまして、『LGBTQにはPZNが含まれる』やJobRainbow社がこういった概念を広げようとしている、との誤った情報が拡散されております」「今回の誤った情報拡散を受け、弊社としてこのような誤った情報が再度広まらないように、注意喚起とともに加筆修正を行いましたが、その修正以前の記事においても、弊社がLGBTQにPZNが含まれていると主張したことや、PZNという概念を広げようとする趣旨を記載したことは一切なく、変わらず、性的な加害は許されざる行為であること、このワードが差別と分断を目的として作られたことを解説しております」

いやいや、これは非常に苦しい言い訳だろう。もしも最初の「LGBTPZNとは?」の記事が、単に同事業への投稿記事であり同社の志向とは無関係だというのならともかく、そうした説明もなく同社の志向であるかのように掲載されており、おかしいのではないかと指摘されるまでそのままになっていたことを考えると、少なくとも彼等は「PZN」が変態嗜好であるとは考えていないと解釈することが出来る。

これについて埼玉県側は何を言っているかというと、

 埼玉県県民生活部人権・男女共同参画課の担当者は、「JobRainbowが公開している『LGBTPZNとは?』の記事に関する件については把握しております。当課でも修正前の記事を確認しましたが、P:ペドフェリア(小児性愛)、Z:ズーフィリア(動物性愛)、N:ネクロフェリア(死体性愛)を肯定しているものではありませんでした。同社からは、ツイッターで、該当記事の一部文言を切り取って、誤った印象を与えるような情報拡散が行われていたことから、同社が加筆修正あるいは削除したものであり、デマを拡散されたとの認識から法的措置を含めた対応をする旨をツイッターで情報を拡散した人物に通告したと聞いております」と回答。

「このこと自体は私人同士の意見の相違についてSNS上でやりとりをしているものと認識しており、県として何か言うべきものではないと考えております。県としては、JobRainbowがLGBTQにPZNを含めている、あるいはPZNという概念を広げようとしているとは認識しておらず、また、本事業を実施する能力を有していると判断しております」としている。

として引き続き、この事業にこの企画を委託する姿勢を変えていない。JobRの元記事を読んでJobRがPZNを肯定しているものではないと判断できる神経はどうかしている。もしもJobRにその意図がないなら、なぜLGBTの後にPZNを連ねたのだ?LGBTと無関係な嗜好なら、なぜその並びで一緒に語り、PZNはLGBTとは違うとかマイノリティーとして連帯していくべきだという議論自体が「内部分裂を図る」ものになると主張したのだ?明らかにPZNを含むとした考えも内部の考えであるという主張ではないか?

JobRがこの修正前の記事のなかでQという言葉を使っていないことも興味深い。埼玉県はLGBTとせずにあえてQという嗜好を加えている。そのなかに何が含まれるのか、埼玉県もJobRも明確にしていない以上、何を言われても文句は言えない。

埼玉県の公金はこうやってその作為がQuestionable(怪しげ)な企業の利権のために使われていくのだ。


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