いよいよ今年も後半期に入ったが、アメリカは7月と言えば7月4日は独立記念日。今年は記念日が火曜日ということもあって、金曜日あたりから休暇を取っていつか連休夏休みを取ってる人が多いようだ。夏と言えばなんといっても野外バーベキュー。とくに独立記念日はバーベキューの日と言って過言ではない。苺畑家も明日のためにホットドッグとハンバーガーを仕入れて来た。(いつもは自家製ポテトサラダを作るのだが、今年は手抜きして既製品。)そしてもちろんバーベキューに欠かせないのがビールである。ビール会社にとって夏は稼ぎ時。すでに明日のバーベキューのためにビールを買うお客さんでスーパーや酒屋さんでは長蛇の列ができている。

しかしそのなかで一社、バドライトだけは冷蔵戸棚の場所も失い、生暖かいまま床の上に積まれて寂しく売れ残っている。3月にトランスジェンダーティックトッカ―のディラン・モルベイニーを宣伝に起用したバックラッシュで始まったボイコットは、なんと四か月経った今も収まりを見せない。7月になっても売り上げを取り戻すことが出来なければバドライトはもうダメだろうと専門家たちは言っている。はっきり言って私は今までこんなに大成功したボイコットを見たことがない。

ニュースウィークの記事から読んでみよう。ボイコット前のバドライトはライトビア市場ナンバー1の売り上げを誇っていた主流ブランドだった。元アナハイザーブッシュの重役アンソン・フレリック(Anson Frericks)氏は独立記念日を待つまでもなく、もうバドライトは終わっていると痛烈に批判しアナハイザーブッシュの最高取締役CEOブレンダン・ウィットワース(Brendan Whitworth)氏は辞任すべきだとデイリーメイルのインタビューに答えている。 フレリック氏はモルベイニーを起用したことは誤った判断だったと指摘。この決断は同社になんと2兆ドルの損害を与えたと言う。

ウィットワース氏は6月30日に「私たちは今後、私たちが最も得意とすること、つまり、すべての人のために素晴らしいビールを醸造し、消費者にとって重要な瞬間に私たちの居場所を獲得することに集中していきます」と声明文を出したが、フレリック氏は「予想通り、優柔不断だ」と批判する。

「どういう意味ですか?何の意味もない。アンハイザー・ブッシュの株主と取締役会は、ウィットワースにこの判断を仰ぐべき時であることは明らかだ。「アンハイザー・ブッシュの株主と取締役会は、ウィットワースに退陣を求める時です。」

最近ウィットワース氏は色々なメディアに出演したが、6月28日にCBSモーニングの番組で、モルベイニー起用を後悔しているかという質問に直接答えず次のようにお茶を濁した。

今、大きな社会的対話が行われており、ビッグブランドはその渦中にいます。私たちの業界やバドライトに限ったことではありません。だから、私たちが理解しなければならないのは、消費者であり、彼らが何を求め、何に関心を持ち、ビッグブランドに何を期待しているのかということを、深く理解し、評価することなのです。

なんだこの答えにならない答えは?こんなんで消費者に許してもらえると思っているのか?しかもバドライトは懲りずにプライドイベントのスポンサーを大々的に続けていた。

バドライトの業績不良は色々なところですでに影響が出ており、バドライトを主流顧客にしていたボトル工場が二つ閉鎖され600人からの従業員がリストラされてしまった。単なる休業ではなく閉鎖されたということは全く見通しが立たないことを意味する。すでにディストリビューターたちの間では仕事がなくなり失業者もたくさん出ている。アナハイザーブッシュは大企業であるから、もしこのまま経営が傾き続ければ、どれだけの人が職を失うか解らない。もし立て直しを本気で考えているなら、CEOの辞任は免れないだろう。

ウィットワース氏は本当に馬鹿である。ボイコットが始まった当初、ビール広告に政治色を混ぜるべきではなかった、申し訳ないと一言謝ってしまえば済んだものを、大企業だから乗り越えられると消費者をバカにして高をくくったのが運の付だ。もう今更彼が辞めたくらいでは持ち返せないかもしれないところまで来てしまっている。

この問題の渦中にいる当のディラン・モルベイニーは問題が起きてからバドライトからは何の応援のメッセージ受け取っていないと発言。LGBT界隈もモルベイニーにだけ責めを負わせたとして批判されているという有様。どっちつかずのおかしなことをやるから双方から叩かれてしまったというわけ。

今回のボイコット成功は色々な意味で意義があった。今回のことでトランスジェンダーに批判的な人々にも力があるということが解った。今まで、多くの常識ある人々がトランスジェンダリズムはおかしいと思いながらも声を上げられずにいた。そう思っているのは自分だけなのではないか、自分ひとりが声を上げてみても何も変わらないのではないか、差別者だと糾弾されてしまうのではないか、と思っていた人々が、ボイコットが成功するにつれ自分は一人ではないと悟るようになった。そしてこれまでポリコレを喉に押し込まれてきた人々が自分らにも反論する権利はあるのだと知ったのだ。

バドライトボイコットの成功がターゲットボイコットへと結びつき、スタバや他の企業がLGBTQ+界隈への迎合に消極的になることに繋がった。今後もどんどん企業がLGBTQ+に迎合することはビジネスにとって害毒であると言う風潮が広まって欲しい。大企業がLGBTQ+を見放せば、ここ10年近く過激になって図に乗っているTRA運動も一気に廃れるだろう。


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