この第二部はトランス批判派(GC)がどのような詭弁を使っているかという例が箇条書きにされているのだが、敵もさるもの引っ搔くものというか、結構彼等も我々の論説を勉強しているようである。しかし、あまりにも我々の言い分を誠実に再現してしまったため、それに対する反論がいい加減なので、かえって自分らの主張を弱めてしまっているように思える。

記事はトランス批判派が使い古されたレトリックで話をすり替えていると語る。で、そのレトリックとは何かというと、「言語的な技巧のことです。詭弁のような論法であり、誤謬(ごびゆう)とも言えます」だそうで下記を羅列する。

  1. すべり坂論法
  2. 藁人形論法
  3. 極端な訴え(極論)
  4. フィアモンガリング
  5. 前後即因果の誤謬
  6. 自然に訴える論証
  7. 権威に訴える論証
  8. 無知に訴える論証
  9. 純粋さに訴える論証
  10. 燻製ニシンの虚偽
  11. トーンポリシング
  12. ホワットアバウティズム
  13. 誤った二分法
  14. 完璧主義者の誤謬(ニルヴァーナの詭弁)
  15. 事実誤認(早まった一般化)
  16. 擬似相関
  17. 多重質問の誤謬
  18. 思考を終わらせる常套句

下記の説明を読むと解るが、彼等がFallacy(誤謬)だとするその例が実はすべて正しい。例えば1番の滑り坂論法。「これは『Aをしてしまえば、次はBが起こるに違いない。だからAはするべきではない』というもので、実際はAとBに因果関係はありません。」と言いながら、その例として「ジェンダー・アイデンティティに基づくトイレ利用を認めれば、犯罪者が女性トイレに入ってくるに違いない。だからジェンダー・アイデンティティに基づくトイレ利用は認めてはいけない」が挙げられているのだが、実際にもうすでに性自認を認めた諸外国でそれが起きている。実際に起きていることを述べているのだから誤謬とはいえない。

いちいち反論も面倒くさいのでいくつかかいつまんでご紹介しよう。

2.藁人形論法:例 「トランスジェンダリズム活動家(TRA)は、ペニスのついた人でも女風呂に入れることが平等だと言っている。そんなのおかしいことです!」

(カカシ:ペニス付の男性が女子風呂に入れないのはトランス排除だと言ってるのは君たちだろ)

3.極端な訴え:例 「腕が2本の人が“私は腕が1本がいいから手術させてくれ”と言ってきたら医者のあなたは手術しますか? 性別適合手術もそれと同じく倫理に反しているでしょう?」

(健康な乳房や子宮や睾丸を切除する行為は極端な例ではないのか?)

4.フィアモンガリング(Fearmongering):例 「このままトランスジェンダリズムの好き勝手にさせてしまえば、女性やレズビアンの存在が滅ぼされてしまいます!」

(子供が性転換治療を受けないと自殺してしまうというのは恐怖を煽る行為ではないのか?)

6.権威に訴える検証:これは「権威によって裏付けられたものは、とにかく正しいに違いない」というものです。

(君らがやたらにWHOを持ち出すように?)

11.トーンポリシング:これは「何か声を上げた相手に対し、主張内容ではなく、相手の話し方、言葉づかい、態度、感情を批判することで、論点をずらす」というものです。

(トランスジェンダリズムを批判する人々を差別者だTERFだと言うように?)

14.完璧主義者の誤謬(Nirvana fallacy)」:これは「実際の物事を非現実的で理想化された選択肢と比べてしまう」というもので、この誤謬に陥った人は、どんな対案にも反発し、現実的な解決策を評価しません。

(女子トイレから男性を排除しても女子トイレでの犯罪を撲滅できるわけではない、と君らは何時も行ってるけどね。)

16.擬似相関(Spurious relationship):例 「性的暴行の加害者のほぼ99%は男性。トランスジェンダー女性は元は男性。つまりトランスジェンダー女性を性的暴行の加害者として想定するのは当然だ」

(性自認が女性の男性の性犯罪率が普通の男性より低いという根拠がない)

まあこんな調子である。やたらと英語圏のTRAが使うカタカナ英語が出てくることから考えて、この記事は英語で書かれたマニュアルの翻訳であると考えられる。それというのも日本人が聞いたこともないトーンポリシングだのホワットアバウティズムだの訳の分からないカタカナ英語が飛び交っているからだ。

さて、では彼等がこの「陰謀論」とやらを誰が広めていると思っているのかといえば、無論『「極右」「保守的な政治思想」「宗教右派」』が最前線だという。ま、彼等が我々保守派にその功績を与えようと言うなら異議は唱えないが、TRAに批判的なのは何も極右翼だけではない。もっともそれについては彼等も理解している。記事はイギリスではフェミニストが主体になってメディアで誤情報を流しているとし、TQ以外のLGB当事者ですら反トランス論者になっているとまるで四面楚歌という被害妄想を繰り広げている。

結局のところ、反トランスの論者や団体は、「極右」「保守的な政治思想」「宗教右派」「左派・リベラル」「包括性を支持しないフェミニズム団体・個人」「排外主義的な性的少数者団体・個人」「ちょっと面白そうかもと安易に手を出している人」などの極めて広範な連合体によって支えられており、これらは直接的に結束はしないのですが、陰謀論がこれらを緩く結合するのに一役買ってしまっている状態です。

こうした陰謀論的な勢力が、性犯罪などに不安を持っている真っ当な人たちさえも抱え込んで利用してしまう構図です。一部の「“トランスジェンダリズム”」危険主張はそうやってときに正当的に見せかけ、社会的地位を得ようとしています。

これだけ多種多様な人々が口々にトランスジェンダリズムが危険な概念であることを訴え始めたということは、これらの人びとがすべて陰謀論に惑わされたと考えるより、人々がトランスジェンダリズムの真実を知れば知るほど危険であることに気が付いたと考えるべきではないだろうか?

最後に私はこの記事に全面的に同意できるところがある。それは、

トランスジェンダーについて正しい情報を学びましょう。学び続けましょう。


1 response to 反トランスが使うというレトリックの解説、トランスジェンダリズムは陰謀論なのか、その2

苺畑カカシ12 months ago

私の他にもの反論している人が居たので、リンクを張っておこう。
https://note.com/000gwen/n/n862a628cc98b

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