ツイッターでは何度も書いたのだが、今回の南カリフォルニアの雨季は長かった。カリフォルニアには季節がないという人がいるが、実はそんなことはない。カリフォルニアは大きく分けて乾季と雨季がある。乾季は3月から11月くらいまでで、雨季は12月から2月くらい。とはいえ加州は砂漠気候なので、雨季といっても大した降雨量はなく、年によっては全然雨が降らずに春が来てしまうこともしばしばである。ところが今回の雨季は12月の下旬から雨が降り出し、3月下旬まで何度も嵐が訪れ、その度に大雨が数日間続いた。(そして気温も摂氏5度から10度程度の日がずっと続いていた。おかげで暖房費が例年の5倍以上!)それで去年の8月にすっかり綺麗になっていた裏庭と前庭が物凄いことになってしまった。

苺畑家は裕福ではないので庭師を雇っていない。多分ケーブルテレビに払ってるお金を庭師に回せばいいのだろうけど、ミスター苺が庭くらい自分でやると大見得切ったので、長年庭掃除はミスター苺の担当になっていた。しかし数年前に難病にかかったミスター苺には、すでにそんな体力はない。それで去年私が大病をして入院した頃には、裏庭はまるでジャングルのような凄まじい状態になっていた。

そして現れたのがコヨーテ様である。

お隣のセキュリティーカメラにうちの庭とお隣の庭の間をうろうろするコヨーテ様の姿が映っていたと、お隣さんから聞いた。そして主人が久しぶりに草むしりでもしようかと庭に出た時に、コヨーテ様と遭遇したと言っていたことから考えて、もしやコヨーテ様はうちの裏庭にお住まいなのでは思い始めた。そしてついに私も裏庭に出た時にコヨーテ様に遭遇。私が悲鳴を上げるとコヨーテ様は庭の茂みの間に飛び込んでしまった。

この話を日本の友達にしたら、コヨーテがどんな動物か想像がつかないと言われたので、こちらの動画を見ていただこう。この動画はテキサスの家庭のセキュリティーカメラに写っていたものだが、ペットの猫がコヨーテに襲われて勇敢に戦う図である。大丈夫。猫は逃げ切った。この動画でもわかるように、コヨーテは中型の犬くらいの大きさで、犬と言うより大きなキツネといった感じである。野生動物で案外獰猛であり、小型のペットが狙われるので、コヨーテの居る地域では外でペットを飼う場合はきをつけなければいけない。人間を襲うことは先ずないが、狂犬病などを持っていると気が狂っているため何をしでかすか解らない危険な動物である。

Coyote on the prowk a fascinating coyote behavior

↑コヨーテ様

私は即座に市のアニマルコントロールに電話をしてコヨーテ様を退治して欲しいと要請したが、そういうサービスはしていないので、自分で始末してくれれば死骸は取りに行くと言われた。始末って、いったいどうしろというのだ?まさか住宅街で銃を発砲するわけにはいかない。

そこへやってきたのが庭師のアミーゴ。彼は近所を回って庭掃除が必要そうな家を探しては、仕事を売り込んでいたのだ。私は退院したばかりで体力もなかったので、少額で済むなら裏庭の雑草を何とかしてほしいと頼んだ。しかしコヨーテがでるかもしれないので気を付けて、とは言っておいたが。

アミーゴはそのまたアミーゴを連れて数日後にやってきて裏庭のジャングルを掃除してくれた。そして案の定裏庭にお住まいのコヨーテ様に遭遇したという。しかも芝刈りを始めたら二匹も飛び出して来たという! しかし二人の男たちがカマを使ってどんどん草を刈っていったのに恐れをなしてか、二匹のコヨーテ達はアミーゴたちがいる間は姿を見せなくなった。そのうち一番ひどかったジャングルはすっかり綺麗になり、そのほかの雑草も一応全部刈られて裏庭は更地に戻った。

ここで止めておけばよかったのだが、私はアミーゴの口車に乗せられ、今後雑草で裏庭がジャングルにならないように、砂利を敷いてはどうかという提案に同意してしまった。ついては砂利代、労働費用などが必要と、なんだかんだと言われてちょこちょこ払っているうちにかなりの大金を渡してしまった。ところが、もうこれ以上お金は払えないから、早く仕事を始めてくれと言ったら、仲間が病気になっただの車が事故にあっただのと言い訳が続き、いつになっても砂利は届かず、そのうちいくら電話してもアミーゴとは連絡がとれなくなり、結局更地になった裏庭はそのままで雨季が来てしまった。その間ときどき思い出したように向こうから電話がかかってきたが、なぜ仕事が出来ないのかという言い訳と共に、ずうずうしくも、さらなるお金の無心をしてくるので、いい加減腹が立って「あんたは未だに私に借金がある。その分の仕事をさっさとやれ!」と言ってからは電話もかかってこなくなった。

せっかく綺麗に更地になった裏庭が、再びジャングルにならないように、私は砂利を敷くために厚手のビニールタープを購入。以前コヨーテ様の巣となっていた場所にタープを敷き、雑草が生えてこないように大石で留めた。それでも広い庭全体にタープを敷くわけにはいかないので、ともかく目の届かないところだけタープを敷いて、コヨーテ様が戻って来れないようにした。

雨季が終って裏庭が再び草ぼうぼうになってしまっても、タープを敷いたところだけは草が生えず更地のまま。見栄えは悪いがこれならコヨーテ様のお帰りはないだろう。しかし他の場所の雑草も、あまり背が高くならないうちに刈っておかないと小動物の巣窟となってしまう可能性があるので、雨が終ったことでもあり、一段奮起してここ数日雑草狩りにいそしんだ。ウィードワッカー(雑草狩り機)は結構重たく、電池が持つのは一時間弱だが、その間ずっとの作業が結構大変。でもそれが出来るだけ健康を取り戻したのだと思えば、まあ運動のつもりで頑張った。

おかげで本日は腰が痛い。でも庭は何とか平らになった。大きい庭のゴミ用ゴミ箱が満杯になった。重たくて私では運べないので、ゴミ収集の日はお爺ちゃんに運んでもらおう。あの人は体力だけは残ってるから。

というわけで、気を良くして朝の涼しい時間に散歩でもしようと外へ出たところ、道を横切る大きなコヨーテ様に遭遇。向こうから犬の散歩をしている男性が近づいてきたので、「コヨーテがいましたよ。気を付けて」と一言。通りかかった公園にも「コヨーテに注意」の看板が出ていた。

コヨーテ様たちよ、山へお帰り。雨のおかげではげ山も緑になったし、もう下界に来る必要はないんだよ。


2 responses to コヨーテ様の思い出と庭の芝刈り

よもぎねこ1 year ago

 コヨーテと言うと子供の頃読んだ「シートン動物記」を思い出します。 コヨーテは「シートン動物記」に始終出てくるので、ホントにアメリカ大陸ならどこにでも沢山いる動物なんでしょうね。
 
 カカシさんの庭には二匹いたと言うなら、きっと夫婦で巣を作って子育てする心算だったのでしょう。
 「さすがアメリカ!!」「シートン動物記の世界そのまま!!」と感動してしまったけれど、でも真面目に考えると物騒な話ですね。 
 
 

ReplyEdit
    苺畑カカシ1 year ago

    二匹で子育てを計画していたと考えると恐ろしいです。危機一髪というところでした。でも本当にこの辺コヨーテが多いのです。うちの裏には山があるのですが、その山にはヤマネコなどの野生動物も棲息しています。

    親戚のおばちゃんはコヨーテが出るので一人では犬の散歩にも行きません。

    ところで、よもぎねこさんがよくお話になっているシートン動物記ですが、アニメシリーズを見つけたので、コヨーテのエピソードを観てみました。これはコヨーテ側から見た話なので、コヨーテの賢さについて描かれていますが、実際野生動物と人間が遭遇してよいことは起きません。特にコヨーテは家畜を襲いますからね。でも野生動物への尊敬心というものはわすれてはいけないと思います。

    ReplyEdit

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *