共和党でトランプと並んでビジネス界から大統領に立候補しているカーリー・フィオリナ女史は、この間の共和党候補者討論会での活躍で人気が急上昇中である。女性蔑視のトランプは何かとフィオリナ女史を侮辱しているが、フィオリナ側は挑発に乗らずにマイペースを守っているのが好感を呼んでいるようだ。
立候補当初、政治体験のまるでないフィオリナは主流メディアからは完全無視されていた。フィオリナの考えには同調できる保守派ですら、フィリナが有力候補になる可能性は疑っていた。しかし討論会後フィオリナの人気は15%も上昇。今やトランプについで支持率ナンバー2となっている。それに比べてトランプはかろうじて一位の座を保っているとはいいながら、その支持率は24%も下降。そろそろ不人気の兆しが見えはじめたようだ。
22日にサウスカロライナで行なわれたイベントでも、フィオリナはトランプの名をほんの数回しか口にしなかった。「ドナルド・トランプは心配になってきてるようですね。」トランプについての質問でフィオリナは答えた。「私は彼の神経を逆撫でしてるのかもしれません。」
ところでトランプについては目障りなことがもうひとつ起きている。クラブフォーグロウス(Club for Growth )という保守派団体が、過去のトランプの姿勢を強調して反トランプの政治コマーシャルを発表したのである。
このCMではトランプが国民健康保険や税金や他の政策について民主党寄りであることを指摘。しかもトランプ自身が昔、自分はどちらかというと民主党に同調すると語った映像も写し、トランプは共和党候補にふさわしくないことを強調している。ひとつのCMではトランプがクリントン夫婦と一緒に写っている写真を出し、トランプは外部者どころか実はどこにでもいる内部政治家に過ぎないと締めくくっている。
「実は(トランプ)は最低の政治家です。」クラブフォー、、のスポークスマンのDoug Sachtleben氏は言う。「彼は当選するためには何でも約束しますが、選ばれたら最後その全く反対のことをやるのです。」クラブフォー、、はこの広告キャンペーンはまだまだ序の口で、他の保守派団体とも協力して今後も反トランプ運動を拡大していくつもりだと語っている。
昨日トランプはこの団体に対して名誉毀損で訴訟を起すと声明文を送った。しかし大統領に立候補している立場のトランプはいわゆる公共人。候補者としての資格を批判されるのは当たり前なので、この団体が虚実の発言をしてトランプに害を与えているのでない限り、訴訟など起しても意味がない。第一、この程度の批判も受け止められずに金の力で(訴訟には金がかかるので)反対意見を弾圧させようという行為はトランプをかえって不利な立場に追い込む可能性がある。
私個人はフィオリナ贔屓だが、トランプもフィオリナも共和党候補にはならないと思う。ただ、フィオリナの場合は副大統領や国務長官になる可能性はかなり強い。トランプは周りと協力するということをしないので、候補にならなければ政権に残るということは先ず考えられない。


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