先日アメリカ最高裁は州民投票で既決され法律となっていた結婚は一夫一婦制のみ認めるという提案8が違憲と裁断された地方裁判所の判決を不服として訴えていたカリフォルニア市民団体に対して、弁護団には控訴の資格がないと裁断したため、事実上、提案8は違憲であるという加州連邦高裁の判決が承認されることとなった。しかしこの裁断は同性結婚のみならず、今後の州民投票の存在を問う危険な裁断だったといえる。

カリフォルニア州で同性婚再開 連邦高裁が停止解除
 【ニューヨーク=中井大助】米カリフォルニア州の連邦高裁は28日、同州内の同性婚の停止を解除した。26日にあった連邦最高裁の判決を受けたもので、同州は即日、婚姻届の受理を開始した。米国内で同性婚が認められるのは13州目となる。
 カリフォルニア州は2008年6月から同性婚を認めたが、同年11月の住民投票の結果、再び禁止した。これに対し、2組のカップルが提訴。一、二審ともに「禁止は違憲」と勝訴したが、執行は停止されたままだった。26日に連邦法の「結婚防衛法」を違憲とした最高裁は同日、カ州の禁止の是非には触れないまま、住民投票の推進者たちの控訴は無効だったと判断。一審判決が認められるべきだとして、高裁に差し戻していた。
 高裁は当初、停止の解除まで少なくとも25日かかるとしていたが、ハリス州司法長官がすぐに判断するよう求めていた。

住民投票で法律となった提案8はまだ存在し覆されていない。たとえこの法律が違憲と裁断されたとしても、すぐさまその法律が無効になるというわけではない。法律を撤回するのであればそれなりの手続きを踏む必要があり、それがされないうちに同性結婚を施行してしまうのは違法であるはず。近日中にまた保守派団体から結婚届受理停止の訴訟が起きると予測される。
さて、カカシがこの裁断が危険だと言っている理由は、一市民による『特定の法律は違憲』という訴訟に対して、被告側の州(知事及び司法省)が弁護を放棄した場合、いったい誰がこの法律を守る事が出来るのか、という大事な問題が生じてしまったからだ。
つまり、もしも州民投票によって可決された法律に州政府が反対だった場合、法律に反対する市民をそそのかして訴訟を起こさせ、州知事自身が弁護を棄権すればその法律は違憲となり無効となるというシナリオが成り立ってしまう。となれば過去に州民投票で通過したすべての法律が危険にさらされることになるのだ。(たとえば不動産税金の値上げを規制する提案13などがいい例だ。)
カリフォルニアの件のみならず、今回の同性結婚に関する最高裁の決断には非常に失望した。


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