この歳になるまで旧暦の常識を知らなかったというのもお恥かしい話なのだが、実は私は日本の旧正月がどのように決められているのかよく知らなかった。ただ、私の回りの東洋人が盛大に祝う旧正月が節分の前後に来ることには気がついていたので、旧正月と節分には何らかの関係があるのだろうくらいの知識くらいはあったが。
カカシの職場にはベトナム人や中国人が多く、彼らは新正月より旧正月のお祝いを盛大に行うので、何時が旧正月なのか知らないと困ることがある。(例えばベトナム人の同僚が一斉に休暇を取ったりするとか。)アメリカでは一般に旧正月のことをチャイニーズニューイヤー(中国の新年)と呼んでいたが、最近は他の東洋人たちから「新年は中国人だけのものではない」という苦情が出たのか出ないのか、ルーナーニューイヤー(陰暦新年)と呼ぶ人も多くなった。
さて、それで節分と旧正月はどういう関係になるのかという話だが、よく節分は旧正月の大晦日だと言われるが、それは厳密には正しくない。節分は立春の前日で、立春は年のはじめとされるが、旧暦1日は必ず朔(新月)でなければならないので、立春と新月が必ず一致するとは限らず、というより一致しないことの方が多いので、立春すなわち正月とはいかないわけだ。
中国の太陰太陽暦だと、旧正月は冬至から二番目の新月なんだそうだ。立春はその新月の前に来る事もあれば後に来る事もあるので、私が旧正月が節分の前後だと思ったのも当たり前の話。
で、立春が正月前か後かでそれぞれ年内立春、新年立春と呼ばれるのだそうだ。それで立春と旧正月が偶然重なった年は朔旦立春(さくたんりっしゅん)といって非常に縁起がよいとされた。
立春から新しい年が始まるという考えは昔からあったので、年内立春は昔の人も困惑したらしい。参照したウィキによると、『古今和歌集』の巻頭には、年内立春を詠んだ歌があるという。

ふるとしに春たちける日よめる、年のうちに 春は來にけり 一年(ひととせ)を去年(こぞ)とやいはむ 今年とやいはむ       —在原元方

『年が明けないうちに立春が来てしまった。昨日までの一年(一月一日から節分)を去年と言おうか、今年と言おうか』

ま、古今和歌集の人でも混乱するくらいだからカカシが混乱したのも無理はない。ま、ともかく立春おめでとうございます。


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