今夜の映画はJRRトールキン原作、ピータージャクソン監督の指輪物語(ロードオブザリング)の前編である「ホビットの冒険」の第一話「ホビットの思いがけない冒険」である。
カカシがこの原作を初めて読んだのは20年くらい前だが10年くらい前に読み直した。そして5〜6年前に今度は日本語でも読んでみた。ま、そういうわけだから原作には結構くわしいつもり。
原作を知らない人は、ジャクソン監督のロードオブザリングの前編だから、ロードと同じような雰囲気の作品を想像するかもしれないが、実はホビットは子供向けの小説として書かれたものなでロードとは全く違う代物だ。それに原作が三部作という長編のロードに比べ、ホビットは子供用の短い一冊の小説(邦訳は上下二冊)。ジャクソン監督はロードの成功を再現させようとホビットも三部作にしたようだが、ちょっと無理があるように感じた。
物語はロードでホビットのビルボ・バギンス(イアン・ホルム)が甥のフロド(イライジャ・ウッド)にバッグエンドと呼ばれる自分の家を託して110歳の誕生日に姿を消したあの運命の日から60年前の回想録として始まる。居心地のいいバッグエンドで刺激のない自適悠々な暮らしにすっかり満足していた若い(50歳!)ビルボ(マーティン・フリーマン)が自慢の家バッグエンドの前で煙管(キセル)タバコをふかしているところへ突然魔法使いのガンダルフ(イアン・マケラン)が現れる。ビルボに冒険の旅に出る気はあるかと、なにやら不思議なことを言い残して去って行ったガンダルフだが、翌日の晩、バッグエンドには続々と予期せぬ客たちが現れる。現れたのは見知らぬ小人たちで、口々に自己紹介をすると「どうぞよろしく」と言ってあたかも招待された訪問客のようにビルボの家のなかにずかずか入って来てビルボが慌てて出す食事をがつがつと食べ始める。
実は、こうやってビルボの家に現れた13人の小人達は、大昔に竜に奪い取られた小人の王国を取り戻そうと冒険を計画している勇士らで、冒険に参加する14人目の勇士に会うためにガンダルフの紹介でバッグエンドに現れたのだった。しかもその14人目の勇士というのが自分だと知ったビルボはびっくり。小人達にビルボは「忍びの者」として有名だとガンダルフから聞いていると言われ、またまたびっくり。とまあ色々あってビルボは13人の小人達とガンダルフと一緒に冒険の旅に出る事になる。
映画は、この冒頭のシーンから途中でトロルに出会うとこくらいまでは結構原作の筋に沿っている。特に小人達がビルボの家で飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎをするところや、小人の王子トーリン(リチャード・アーミテージ)が昔を忍んで歌を歌うシーンは感動的である。
しかしながら、原作の冒険だけだと戦いのシーンが少な過ぎるとでも感じたのか、ジャクソン監督はトーリンの祖父の時代にゴブリンと大戦争をした回想シーンや、オークらに追跡されるシーンを加えたりで、とにかく格闘に続く格闘で忙しいったらない。しかも3Dということで、やたらにカメラワークが激しく目が回る。私は3Dでは観なかったが、3Dで観たひとたちは乗り物酔いのような気分になったと語っていた。
原作の良いところは、冒険など性に合わないと言っていたビルボが腕力ではなく機転を効かせてあらゆる場面でドワーフ達を危機から救うところにある。映画でもビルボが頭を使って危機から脱出する場面は非常に良い。特にゴラム(アンディ・サーキス)との運命的な出会いやビルボが指輪を発見するいきさつなど、原作に忠実な場面は非常に面白い。
ロードを観た時、是非ジャクソン監督にホビットも作ってもらいたいと思った。そしてその際にはイアン・ホルム主演でイアン・マケランのガンダルフにアンディ・サーキスのゴラムが適役だと思っていた。しかし若いビルボを演じるマーティン・フリーマンは非常にいい。ホルムがもっと若かったら是非とも若いビルボも演じて欲しかったのだが、フリーマンの演技も味があるのでこれは良い配役だと思う。
エルフの村リバンデールでエルロンド(ヒュー・ウィービング)やサルマン(クリストファー・リー)やガラドリエル(ケイト・ブランシェット)達が集まって会議を開くシーンは映画ファンとしてはうれしい再会ではあるが、原作にはなく、よって話の展開にはあまり意味をなさない。
ビルボの出て来るシーンは原作に沿っていて面白いが、ドワーフ達の格闘シーンは後で加えたものだけに筋が進まず時間稼ぎという感が拭えない。ただ、それぞれのドワーフ達の個性が出ているし演技もすばらしいので、それはそれなりに観る価値はある。
ただ、ジャクソン監督は英雄的な格好いい役柄が必要だとでも思ったのか、アーミテージのトーリンは小人としてはちょっと恰好良過ぎるし、若いフィリとキリを演じるディーン・オゴーマンとアイダン・ターナーはティーンエイジアイドルみたいで可愛いすぎる。
と色々批判はあるが、全体的には面白い映画だと思う。私はすでに二回観たが、二回目の方が面白く感じたので、一応おすすめ。


1 response to 活劇が多過ぎて目が回るホビットの思いがけない冒険

In the Strawberry Field5 years ago

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現在日本でも放映中のピータージャクソン監督、JRRトールキン原作のホビット三部作の完結編「決戦のゆくえ」を観て来た。実を言うと私はジャクソン監督の前シリーズ「ロードオブザリングス(指輪物語」は大好きだったが、今回のホビットシリーズは一作目の思いがけない冒険にも二作目の「竜におそわれた王国」にも失望していた。一作目については活劇が多すぎて目が回るでも書いた通り、原作の筋から離れすぎてドッタバッタが多すぎて目が回った。二作目は時間稼ぎで筋がなくLOTRの再現をしようと短い話を無理やり三部作にするために不…

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