オバマ政権のことをギャングスター政府と呼んだジャーナリストがいたが、オバマ王のやることは何から何までえげつない。ライバル候補の業績や政策などを批判するのならともかく、選挙とは直接関係ない個人的な話を持ち出し相手の性格を攻撃したり、ライバルを支持し献金した一般人を名指しで攻撃するなど、なんとかこの不景気に関する自分の不能ぶりから話題を変えようと必死だ。
数週間前には宗教上避妊を認めていない教会や学校などの経営者に避妊の保険を強制させようとし、それに反発した保守派や共和党を「対女性戦争を射かけた」と言って責め立てた。
先日は、オバマ王が同性結婚を支持すると公言。そしてその直後、ワシントンポストはロムニーが高校生の頃、ゲイの学生の長髪を無理矢理切り落としたという、いわゆる「ロムニーはいじめっ子だった」という記事を第一面で掲載。(なんたる偶然!)
リベラルによる「ロムニーはいじめっ子」キャンペーンが始まった。
しかしだ、実際にロムニーが高校生の頃にガキ大将だったということが本当だったとしても、そんな40何年も前の話なんかどうでもいいと感じる人のほうが大半だろう。第一、十代の頃の行動が問題になるというなら、高校時代にマリワナを吸っていたと自叙伝に書いてるオバマ王の過去はどうなるのだ?
十代のロムニーより大人の政治家としてのロムニー、現在のロムニーの人格のほうがよっぽども重要なはずだ。そういう面では、大人のロムニーに色々お世話になったという近所の人たちの証言はいくらでもある。
アメリカ市民の大半は失業率がブッシュ時代の2.5倍である事実、ガソリン代の高騰やインフレといった経済低迷に焦点をあてている。こう言っちゃ何だが、一般市民にとって、女子大生の避妊費用を政府が負担するべきかとか、同性結婚を大統領が支持するかとか、ましてやロムニーが学生時代いじめっ子だったかなんてことはどうでもいいことなのだ!
当のロムニーの反応はというと、全く身に覚えがないとしながら、自分は高校時代には行儀の悪い事も結構やったので、同級生を傷つけるようなことをしたのなら謝罪する、と言っている。
MSNBCのトークショーに出演したワシントンイグザミナー紙のティム・カーニーは、主流メディアがどうでもいい話をいつまでもこだわるのはおかしいと司会のタマラ・ホールの質問を批判した。

カーニー:(前略)あなたがやっていることは、典型的なメディアの小細工ですよ。自分らで話をもちあげておいて、「みんなが話している事だ、ロムニーはこんなふうに答えている、、」といって二日目も話し続けることを正当化している。もっと重要な話が、、、

ホール:あなたは私の質問に何一つとして答える必要はない。この番組への招待を受け入れる必要もなかった。あなたは何を話題にするか事前に知らされていた。
カーニー:それは、、、
ホール:まってください、ティム、ここは私の家みたいなもんです。問題はですね、この話は存在してるんですよ、もちろん50年前に起きた事をいつまでも話つづけるべきじゃないというのはそうです。でもですね、私たちがここで話しているのは、この件だけでなく(ロムニー元)知事の選挙運動による反応です。

カーニーはここで、ホールはどうでもいい話をあたかも話題性があるかのように蒸し返し、その反応についてカーニーに反応しろと要求していると抗議した。つまり焼き直しの焼き直しをさせようとしていると答えた。
ここで司会のホールはぶっちぎれて、カーニーのマイクを切ってしまった。後になってカーニーは、確かにMSNBCから質問の内容は事前に知らされていたが、そのなかにはこの話題は話す価値があるかどうか、という質問が入っていたと言う。カーニーが事前に承諾していた質問に答えず話題を変えようとしているというのは嘘で、ホールがマイクを切った本当の理由はカーニーが自分の気に入った答え方をしなかったことにあったのだ。まあね、リベラル司会者が公平な討論など望んでるわけはないから当然だが。
ところで、ワシントンポストに掲載されたロムニーが同級生の長髪を切ったという事件そのものが、実際に起きた事なのかどうかが、かなり怪しくなってきた
オートモービルマガジンという雑誌が、ポストがインタビューした同級生達をインタビューしているが、オートが掲載した彼らの証言はポストの記事とはずいぶん食い違っている。
ロムニーが被害者のジョン・ラウバーの髪を切った時、同じ部屋にいたというフィリップ・マクスウェルは、ポストの記事では「ひどかった、悪質だった」と語っているとあるが、オートマガジンのほうでは、「私は民主党支持ですから、彼には投票しません。」としながらも、「でも彼は多分いい大統領になりますよ。頭がいいし信念があるし。」と語っている。ポストの記事にはマクスウェルが民主党支持だという事実は記載されていない。またマクスウェルがロムニーの宗教について、「ロムニーは最初のモルモン教として最高の地位を得る事に必死だ。だが有権者を脅かさないよう今は隠している。」と考えていることも載っていない。つまり、マクスウェルには反共和という偏見があるという事実が隠されているのだ。
また、ポストでは、一番ロムニーの行為に批判的なマシュー・フリードマンという同級生が、週末にロムニーは自分を家に招待してくれなかった、当時16歳の自分は自家用車をもっていなかったと語ったのを利用して、あたかもロムニーがお高く止まったエリートで自家用車を持たない同級生を無視したような印象を与えているが、実はロムニー自身も当時は車を持っていなかったとオートのほうには当時の友達グレッグ・ダースの証言が載っている。「クレーンブルック(高校)の多くの生徒が車を持っていましがた、ミットは16歳の時に車をもってませんでした。」
またオート、、の方では、マクスウェルもミットはよく週末にクラスメートを自宅に招待していたと語っている。(車を持っているいないにかかわらず。)
ポストには断片的にしか登場しないダースの証言は、オートのほうにはもっと詳しく記載されている。
ミット・ロムニーの父親は州知事で、ビジネスにも成功した事業家だった。だからミット自身は奢り高い、鼻持ちならない金持ちの御曹司という態度を取ってもよかったのだが、彼はそんなところがまったくない「いい奴だった」とダースは語る。「でもすっごくいい奴でしたよ。生粋のアメリカっ子で、ユーモアはあるし謙虚だし、」
ロムニーがいたずらっ子で色々他人にいたずらをしたというのは結構有名な話だが、はめをはずしたい年頃の少年としては非常に自制心のある生徒だったとダースは語る。父親が知事という立場にあることをミットは常に意識して、父親に恥じをかかせないようけじめをつけていたようだと言う。
もうひとりポストがロムニー批判の同級生として記載しているストゥー・ホワイトだが、オートのインタビューでは、自分はロムニーのいたずらはいつも楽しんでいたと言う。ポストの記事では髪きり事件について、ホワイトは「ずっと気分が悪かった」と言ったと書かれているが、オートのほうでは、ホワイトは髪きり事件について数週間前にポストから聞いた時から「ずっと気分が悪かった」と語っている。つまり、ポストから聞くまでそんな事件があったことすら知らなかったということになる。これでは証人としては全く意味がない。
また、被害者とされる今は亡きジョン・ラウバーの遺族は、ラウバーに関するポストの記事には誤りがあり、これ以上政治に利用されるのは心外であると声明文を出した。ポストはラウバーが金髪で長髪だったことから彼が同性愛者だったかのように書いているが、ロムニーも1960年代の高校生の間では、そういう意識はまるでなかったと語っている。実際らラウバーが同性愛者だったかどうかも解らないのに、弁明できない故人を勝手に同性愛者扱いするポストはかなり無責任だ。
というわけでここ二日間は主流メディアによる『ロムニーは同性愛恐怖症で、いじめっ子だった』という話ばかりして、肝心な経済から話題を変えようとしているが、アメリカ市民はそんなメディアやオバマ陣営の小細工に騙されるほど馬鹿ではない。
RNCの平均ではオバマ支持が46.7、ミット支持が45.3とオバマがわずかに優勢だが、現大統領の今の段階では圧倒的な支持率を持っていなければならないはずで、主流メディアによる四六時中の親オバマ反ロムニープロパガンダが流れるなか、現役大統領の支持率がわずか46.7%とはお粗末な状態である。
どうりで話題を変えたい訳だ。


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