子供の肥満が問題になっているアメリカでは、近年学校の食堂での献立や自動販売機で売られる駄菓子やジュースなどの規制が厳しくなっているが、今回ニューヨークの公立学校では子供達がクラブや年度末パーティなどの資金集めに自家製のお菓子やケーキを売る、いわゆるベイクセールをほぼ全面的に禁止することになった。
子供達が摂取する糖分や脂肪分を減らす目的で、ニューヨーク市の教育委員会は多々の規制を示す三ページに渡るメモを発表。これに従えば事実上学校内でのベイクセールはほぼ全面的に禁止されることになる。例外としてPTAによるベイクセールは許可されているが、週日の午後6時以後と規制があり、この時間には生徒はほぼ全員下校しているので意味がない。
アメリカの学校では、部活やクリスマスのパーティなどの資金集めに自分たちで作ったお菓子やケーキを売るのは伝統となっており、ベイクセイールは健全な資金活動であると考えられて来た。それを突然全面禁止となると、かなり生徒や親たちから反発が出るのではないだろうか?
当然のことながら、この規則に対する生徒達の反応は冷ややかである。

フィオレロ・H・ラガーディア高校では月に数回ベイクセールを行う習慣がある。バスケット部の二年生ヤーデイン・アムロン君はバスケ部に必要なスコアボードを購入することが出来なくなったとぼやいている。

ラガーディアの別の生徒、サッカー部のエリ・サラモン(14)君は、5月のベイクセールで自分の作ったブルーベリーマフィンはたった15分で売り切れたと言う。「意味ないよ。なんでベイクセールをしちゃいけないんだ?」という。

新しい規則には自動販売機で売られる駄菓子の規制も含まれており、低脂肪のスナック菓子や低糖分のグラノラバーなどに切り替えることが義務づけられ、今後売られる製品は教育委員会の許可の出ているものだけに限られる。校内の自動販売機は何百万ドルという資金源となるだけに、この規則が与える影響は大きい。
校長はこの規則に全面服従が義務づけられ、違反する学校にはそれなりの罰が与えられるという。
はっきり言って、これはやりすぎだ。確かに子供の肥満は深刻だ。最近は大人の間でしかみられなかった糖尿病や心臓病や高血圧が思春期を迎える以前の子供に見られるようになったという。だから学校の食堂(アメリカでは給食はないので)の献立や自動販売機で売られる食品などについては、それなりに健康を考えたものを揃えるのは良いことだと思う。
だが、子供達が部活資金に頼りにしているベイクセールを廃止するというのはどうか?アメリカの学校でベイクセールといえば何十年も続いている伝統であり、子供の肥満など誰も考えなかった時代から存在していた。つまり、ベイクセールそのものが肥満につながるというものでもない。普段から親が子供の食生活に気をつかっていれば、たまのベイクセールでブルーベリーを食べたからと言ってどうこうなるというものでもないはずだ。
子供の食生活管理、及び健康管理は個々の家庭の責任であり、学校はそれなりに協力すべきだとは思うが、それを教育委員会が強制的に規制するというやり方には全く賛成できない。
実はベイクセール禁止が肥満対策の一貫というのは表向きで、本当の理由はその資金集めにあるという人もいる。運動部に必要な経費は半端なものではない。ユニフォームや道具だけでなく、他地区への遠征試合の旅費や宿泊費や合宿の費用など馬鹿にならない。税金による政府からの配当などに頼ってはいられないのが現実。だからベイクセールや自動販売機で集まるお金は個々の学校にとって非常に大事な資金源なのである。
ベイクセールの消費者は無論その学校の生徒だから、裕福な地域の学校ほど売り上げは上がる。ということは、裕福な学校ほど資金源が豊かになり学校の施設も良くなる。独立して資金を調達できれば税金だけに頼る必要もなくなる。教育委員会が気に入らないはこの点だ。
教育委員会の連中が左よりなのは日本もアメリカも同じだ。豊かな地域の学校ほどベイクセールの売り上げがあがり施設が良くなるのは、貧乏な学校に対して不公平だと彼らは考える。誰も彼もが平等にみじめであるほうが、一部の人間が豊であるより公平だという左翼特有の思想である。その左翼が一番嫌うのは個々の独立精神。個々の学校が教育委員会からの資金に全面的に頼っていれば、それぞれの学校は委員会のいいなりになるが、ベイクセールなどで個々の資金を賄った場合、委員会からの資金差し止めという脅しが効かなくなり、委員会のコントロールが弱まる。それが気に入らないのである。
ベイクセールの廃止は肥満対策ではなく、個々の学校が豊かになりすぎないための教育委員会による資金差し止め対策なのだ。PTAはそれを充分理解してこの悪規制に断固抗議してもらいたい。


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