アメリカの左翼やリベラルたちは、アメリカはブッシュの強攻政策でヨーロッパ諸国から毛嫌いされていると常にブッシュ政策を批難していた。特にバラク・オバマは皇太子時代から、ヨーロッパ及び他の国々との交流を最優先させ、ブッシュ大統領によって傷つけられた諸外国との交友関係を修正すべきであると主張していた。
だが、一旦王に即位したオバマは、諸外国との交流を深めるどころか、同盟国の面子に泥を塗り、ブッシュ時代に培って来た東ヨーロッパの同盟諸国との関係も台無しにする行為をあとからあとから繰り返している。
アメリカではほとんど報道されていないが、9月18日に発表された東欧ミサイル防衛政策の一方的な中止は、我々が予測した以上に東欧とアメリカの信頼関係に打撃を与えたようである。
ベルギーの新聞、ブルッセルジャーナル英語版が、オバマの東欧BMD政策棚上げについてのヨーロッパでの反応を特集している。
先ずヨーロッパ諸国で共通して言えることは、オバマがロシアから何ら見返りがないにも関わらず、ロシアの要求を全面的に飲んでしまったことへの当惑だ。多くの評論家はこれに関してオバマの外交経験不足が原因だと分析している。例えば英国のデイリー・テレグラフは「バラク・オバマヨーロッパの警備を博打(ばくち)で賭ける」(“Barack Obama is Gambling with Europe’s Security.” )という見出しの記事で、「バラク・オバマは深みに嵌りつつある」とし、「氏の信用度は落ちつつある。単なる演説力ではなく確固たる功績なくしては名誉挽回は期待出来ない」と口先だけで実態のないオバマ外交を批判している。
またヨーロッパの政治家たちは連なってオバマのナイーブさを批判している。例えばドイツでは次期外相と言われる Guido Westerwelle氏は、ドイツ政府はオバマ政権に2013年までにドイツにあるアメリカの核兵器をすべて撤去させるよう圧力をかけるべきだと言い出した。
ほとんどの欧州新聞は、オバマがポーランドとチェコ共和国に政策中止の報告をした際の不器用さにも眉をひそめている。先ずオバマはこのような大事な決定を現地の午前零時過ぎに両国の首相に電話連絡をするという失礼を働いただけでなく、9月17日という旧ソ連がポーランドを侵略した記念日にあたる日付を選んだことの無神経さも指摘している。
オバマ政権の外交の未熟さは、ブッシュ政権時代ヨーロッパにおいて数少ない親米だった東欧において反米意識を高めているという。例えばポーランドでは、ポーランド前防省大臣がオバマの決断はポーランドにとて悲劇的な結果を生むとし「歴史上稀な誤り」と批難している。またポーランド前首相のワレサ氏は「アメリカは常にアメリカの国益しか考えておらず、他国はその目的に利用されているだけだ。ポーランドは今後アメリカとの関係を見直す必要がある」とまで言っている。
またドイツではグリーン党のリーダー、Jürgen Trittin氏がオバマの決断はブッシュのミサイル防衛政策を強く支持していたライバル党のアンジェラ・マーケル首相に恥をかかせたと指摘。オバマ王の決断は「首相のツラにビンタをかわせたようなもの」と批判した。
しかし、オバマの決断がヨーロッパに与えたものは、スーパーパワーとしての力を失いつつあるという印象だ。この見解はヨーロッパのメディアにおいてここ数週間何度も繰り返された主題である。 もっともこれはブッシュ時代にも言われた批判なので今更新しい批判でもないが。イギリスのザ・インディペンデント紙などは「スターウォーズのダウンサイズ(規模縮小)」という政治漫画を掲載した。
ではミサイル防衛政策中止に対するヨーロッパ各地の反応を選りすぐってみて見る事にしよう。
英国:
テレグラフ紙が「この決断によって、オバマ大統領はアメリカ・ロシアの関係の景色を一変させた。」とし、オバマがイランに安保理の条例を飲ませるためにはロシアの協力を仰ぐつもりらしいが、それにロシアが応じるかどうかはまた別問題だと書いている。ロシアは世界における権力は「ゼロサムゲーム」と考えている、アメリカが衰退しつつある今こそロシア台頭のチャンスと考えるかもしれない。オバマ大統領はここ数ヶ月のうちに、世界の相手はそう簡単にオバマの話せば解る式外交にひれ伏しはしないことを学ぶだろう。これは前政権の対抗型外交も効果がなかったのと同じように、と、ブッシュ政権の外交が効果がなかったからといってオバマ政権のやり方が効果を上げる保証はまるでないと言いたいらしい。ことロシアに関してはブッシュ政権はずいぶん圧力をかけていたし、イランもブッシュ時代はあまり表立って西側諸国に挑戦したりはしてこなかった。ここにインディペンデント紙のオバマ政権のみならぬ反米意識がちらっと伺われる。
タイムス・オブ・ロンドンの分析では「ミサイル防衛を放り出してオバマはロシアから何を得たのか?」という見出しで「ブラジミール・プーチンは今朝の朝食でヴォッカで祝杯を上げていることだろう。」として、プーチンは自分の東欧ミサイル防衛に対する断固たる抗議が成果を見たと評価し、クレムリンを再びソビエト時代のように衛星国を広める野心を奮起させたことだろうと書いている。ポーランドとチェコ共和国の忠誠心をロシアからの安全保障と取り替えるということは、合衆国はロシアによる東欧侵略野心に抗議しないという意志を明らかにしたようなものだ。プーチンにとって本日の教訓は明らかだ。妥協しない態度は効果がある。アメリカもヨーロッパ連合も辛抱力がない。モスクワが辛抱強く断固たる姿勢を取ればいずれ成果は上がるというもの。この教訓はソビエト下で占領下にあった各国に警報を鳴らすだろう。
フランス:
レ・モンデ紙(Le Monde)も、「アメリカの決断は非常に高い危険をはらむ」として、ロシアがオバマの好意に同じように反応してくれるだろうかと疑問を投げかけている。ポーランドもチェコもそしてバルティック諸国は非常な猜疑心を持っている。バラク・オバマはその懸念に同調すべきであると結論つけている。
ドイツ:
Süddeutsche Zeitung紙は、「オバマの最大の挑戦はロシアを前に弱腰になったという猜疑心を振り払うことにある」とし、これは単に国内の議会だけでなく、東ヨーロッパ諸国にも証明が必要だと書いている。なにしろ今回のオバマの決断はモスクワに近隣諸国を侵略してもいいというふうに誤解を生ませた可能性があるからだと。ロシアがグルジアに戦車を侵攻させたように。
ザ・ファイナンシャル・タイムス・ドイツランド紙「オバマの決断で非常に珍しい点は、彼の大幅な歩み寄りをロシアからなんの見返りの保証もないままおこなったということだ。」とし、普通アメリカの大統領が相手に何かを与える場合は、それ以上の見返りを確保するのが常識。このように無条件で頭金を払うなど聞いた事がない、ロシアのような危険な相手を前にこんな態度を取るのは、非常に勇気があるかのか、馬鹿がつくお人好しかどちらかだろうとオバマのナイーブさに呆れている。ともかく、ロシアでは妥協しない断固たる姿勢を取れば、オバマは腰を抜かして折れると判断したに違いない。国内でもオバマは腰抜けとみられるだろうし、東欧からは裏切り者と思われるだろう。ともかく同紙はオバマの今回の決断はかなり高くつくはずだと分析している。
Die Welt紙は、オバマの決断は「ナイーブで危険」と批判。東欧の人々は再び西側諸国から見放されるのを恐れ、西と東の間でサンドイッチとなって危険にさらされるのではないかと恐れている。せっかくNATOやEUに加入しアメリカのパートナーとして意識されるようになってほっとしていたのも束の間、今回の決断は第二次世界大戦開戦記念日にグダニスクで行われた式典にオバマが欠席したのに続いて、第二の打撃となった。1980年台の自由解放運動を覚えている人はオバマの決断を歓迎するかもしれないが、共産主義が平和的に終わったのもアメリカが礼儀正しく武装していたからだということを忘れてはならないと警告する。
ベルリンナー・モーゲンポスト紙は「国内における強い反対を押し切ってミサイル防衛を進めていたワルシャワとプラハの政府は、オバマのおかげで馬鹿をみた。」と書いている。2015年以降、アメリカが防衛システムを設置したいと言い出した時、これらの政府は復讐する可能性があるとしている。
Frankfurter Allgemeine Zeitung紙 は、ポーランドもチェコもアメリカと協力することで近隣諸国からかなりの批判を浴びていた。今回のことで、今後アメリカとの協力はよくよく考えてからにすべきであろう、とアメリカは信頼できないことを指摘している。
さて、ここで、私はエレクトロニックジャーナルという日本のブロガーの反応も加えておこう。
同サイトでは、オバマがロシアの協力を得るためにポーランドとチェコを見捨てたように、

これと同じ論法で米国側が「中国が懸念を示すからアジア太平洋地域でミサイル防衛はやめる」と言い出す可能性も十分あり得るのです。
このように、米国に安全保障をすべて委ねていることには不安は大きいのです。オバマ大統領は米国が犠牲になって世界の国々のために働くのは米国の国益に反すると思っているのです。
日高氏は「オバマ大統領とその政権の下では米国の行動はきわめて不透明である」といっています。まして親中国の政権であり米国は中国に依存せざるを得なくなっている――そのことを日本人は十分認識すべきです。

オバマが大統領ではそう言われても仕方ないだろう。


1 response to 東欧ミサイル防衛中止でアメリカの評判をがた落ちさせたオバマ王

wagasi13 years ago

日高氏と同様、安全保障条約をオバマは簡単に破棄する危険性が高いと感じました。それも日本がまた多額の軍事費用を支払った後で。
オバマの政策では原爆を持つ国は増えても 減る可能性はゼロになることさえ判らずに 原爆を地球からなくそうとスピーチするオバマは各国指導者からは経験不足のナイーブ者としか思えないでしょう。
大体、話せば判るという幼稚な考えを今現在も持っているのなら、同じ言語と文化を分け合う共和党支持者や元民主党支持者をなぜ言論の自由を奪って弾圧する事でコントロールしようとするのでしょうか?(Foxニュースやリンボー氏など 個人、団体への圧力は書き上げたらキリがないですよね?)
自国民でさえ 納得させる事が出来ず権力に頼っているのに、と苺さんの記事を読んで思いました。

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