July 30, 2007

軍人の戦争支持はプロパガンダなのか? 勝利を訴える帰還兵団体VFFを考える

先日私はとんだ茶番劇! 米議会イラク撤退徹夜議論の結末はで、イラク・アフガニスタン帰還兵からなる戦争支持派のVets for Freedom(VFF)という組織のメンバーが民主党の反戦決議案に反対して議員たちと直談判するためワシントンへ乗り込んだという話をした。その時、民主党の議員たちは彼等にそっぽを向いたという話もした。

主流メディアもほとんど取り上げず完全無視を決め込もうとしたが、ブッシュ大統領が一時間も帰還兵たちと会談をしたため、完全無視はちょっと無理だった。(Hat tip Power Line)

しかしこのような戦争支持団体が現れると反戦派からの潰しがかかるのは、もういつものことである。実際は帰還兵による反戦草の根運動なんてののほうがよっぽどもうさん臭いのだが、ま、それはいいとして、反戦派はVFFはどちらの党にも所属しない無所属の団体であると表明していることにかなり腹をたてたようで、なんとかVFFは共和党直属の表看板団体なのだと証明しようと必死である。

センター・フォー・メディア・デモクラシー(CMD)という極左翼団体のこの批判など典型的な例である。

Vets for Freedomという政権のイラク戦争進路を守ろうとロビーしている団体の背後にいるものは何者なのであろうか? 我々の捜査ウェッブサイト、ソースウォッチでは、まさにその問題を取り上げている。無所属で愛国的という建前の目的はかなりうさん臭い。

実際このCMDなる団体はソースウォッチというウェッブサイトでわざわざVFFのカテゴリーを設けてVFFの信用度を落とそうとしている。しかしCMDはVFFが共和党直属の組織だと証明しようとして、図らずも民主党がどれだけ軍隊を支持していないかを証明してしまっている。

CMDの捜査部ソースウォッチではVFFが実は共和党直属の表看板なのだという 根拠としてVFFが共和党関係者から公共関係、メディア、法律などの助言を受けているということをあげている。だが単に共和党関係者から多くの助言や援助をもらっているというだけではVFFが共和党直属だという証拠にはならない。

元来「共和党の表看板団体」といはどういう団体を意味するのといえば、看板グループの目的が共和党の政治方針を押し進めることになければならない。単に団体への援助が主に共和党から来ているとか、この団体の支持する方針が共和党の方針の一部と一致しているというだけでは不十分である。

例えば全アメリカライフル協会(NRA)は大抵の場合共和党を支持しているが、それは単に共和党議員の方が民主党議員に比べて市民の銃砲保持権利に同情的だからである。だが、NRAはプロガンの民主党議員ならアンチガンの共和党議員を差し置いて支持することはざらである。なぜならNRAにとって大事なのは銃砲保持権利なのであって、共和党の政治力前進とは直接関係ないからである。

これと同じようにVFFの唯一の目的はイラクとアフガニスタンの戦争を最後までやり遂げることにある。だからこそ彼等は無所属のジョー・リーバーマン上院議員の選挙を応援した。コネチカット代表のリーバーマン氏は2000年には民主党の副大統領候補にまでなったほどリベラルな人でおよそ共和党シンパとはいえない。戦争支持の件で民主党を離脱して無所属になったとはいえ、ほかの面では75%の割で民主党の方針を支持している。

ではここでCMDがVFFが共和党の表看板団体だとする根拠を具体的に分析してみよう。

VFFのメンバーはネオコンのロビーイストであると言う嘘

CMDのソースウォッチはVFFのメンバーがネオコンだという根拠はかなり希薄だ。

  • VFFのメンバーであるアレックス・ガロの戦争支持の記事が2007年7月18日、ナショナルレビューオンライン(NRO)に掲載された。ガロはリーバーマン議員の選挙運動を応援した。
  • 2006年に元ホワイトハウス報道官の公共宣伝会社がVFFの創設者ウエイド・ザークルとデイビッド・ベラビアを主流メディアに従軍記者として推薦し、ニオコン週刊誌の記者として雇われた。同雑誌の編集者ビル・クルスタルは後にVFFの非公式アドバイザーとなり、共和党戦略者のダン・セノアーに紹介し資金集めに協力している。

戦争を支持しているクリスタルが戦争支持関係の記事を出版したからといって何がおかしい?テイラー・グロスやダン・セノアといった面々もコネはあるとはいえ政治家ではないただの一般人だ。VFFが同じ意見を持つ一般人の援助を受けたからといって何が悪い? 普通ロビーというからにはどこかの団体に雇われて代わりに政治家に説得にあたることをいうのであって、自分達の意見を議員に直接訴える行為は「議会への嘆願」というのである。

VFFは右翼団体であるという嘘

同じような理屈でCMDはVFFの活動を取り上げたのが右翼のブロガーや雑誌、ウォールストリートジャーナルという「保守派」の新聞だけだったことからVFFは右翼団体だと決めつけている。反戦のブロガーや編集者がVFFの活動に興味がないのは当たり前。ましてやラリーの宣伝などするわけがない。だがもし過激派左翼のデイリーコスやワン・コールや、左よりのニューヨークタイムスが取り上げてくれたらVFFは喜んで受け入れただろう。宣伝は大きければ大きいにこしたことはないからだ。

CMDはくだらない陰謀説など考える暇があったら、どうして主流メディアがVFFの活動を無視しているのかという疑問を抱くべきである。反戦派の帰還兵グループ、An Appeal for Redressが議員たちとイラク撤退について話にきた時は大々的に取り上げていたメディアがなぜ戦争支持の帰還兵グループの勝利への訴えを無視するのかそっちの方が大事な質問ではないのか?

ここでCMDが証明したのは民主党と名ばかりの共和党議員たちは、口では「軍隊を支持しよう」などと言っているが、実は軍隊もそしてその任務も全く支持していないということだけだ。

VFFのメンバーは共和党議員との会談しか興味がなかったという嘘

ソースウォッチはVFFのメンバーがリーバーマンを例外として、共和党の議員としか会見しなかったこと、記者会見の席には民主党議員がひとりも出席していなかったことを指摘して、彼等の目的はもともと共和党議員とあうことだったのだと書いている。しかしこの間も私が指摘しているように、VFFは民主党議員にたった5分間でいいからという会見のリクエストを拒絶されたのである。

ここでCMDが本当のジャーナリストなら、どうして民主党の議員は誰も記者会見に参加しなかったのかきちんと調べるべきである。VFFは共和党議員だけ招待したとでもいうのか? むろんこれは完全にナンセンスだ。ソースウォッチは民主党議員がVFFとの会見を拒否した事実を十分に心得ているのである。なぜならソースウォッチが引用した新聞記事にちゃんとそう書いてあるからだ。

「増派支持の帰還兵と会見したのは彼等と見解を共にする議員たちだけだった。彼等の本当の標的であった反戦派や戦争支持の揺らいでいる議員たちはシニアスタッフを送り込んで自分達は影に隠れていた。」とマッカーシー(記者)は書いている。

帰還兵たちが反戦派議員に興味がなかったのではなく、民主党や名ばかりの共和党の反戦派議員たちが帰還兵のいうことなど聞く耳もたないと拒絶したのである。これでは話が逆さまだ。

VFFの資金源は怪しいという勘ぐり

VFFが創設した去年の初期から、CMDはVFFの資金源が怪しいといい続けてきた。しかし去年の6月の段階でCMDの調査が得たものは下記である。

  1. VFFのウェッブサイトはかっこ良すぎる。
  2. 今は消えているが、VFFは一時、ウェッブサイトに「時々情報を他の共和党候補や同意見の人々と共有することがある。」と記載していた。
  3. VFFは反戦派の民主党のジョン・マーサ下院議員に何かと反論している。
  4. 組織の資金源に関する情報がほとんど存在しない。

一年後の今日もソースウォッチの調査はほとんどはかどっていないらしく、CMDはVFFの資金源について新しい情報は全く提示していない。言い換えればVFFの資金源が共和党であるという証拠はゼロなのである。

というわけで、CMDはVFFが共和党直属の表看板グループであるという証明には完全に失敗している。VFFは共和党の団体でもなければ資金源におかしな面もない。

CMDは実際に戦場で戦った兵士たちが戦争を支持するはずがないという先入観から、帰還兵たちの動機を最初から疑ってかかった。だがその過程において彼等が証明したものは、我々右翼の戦争支持者たちがずっと主張してきたことだった。それは共和党は軍隊を本気で支持しているが、民主党は全く支持をしていない、という事実である。

軍人が戦争を支持したら共和党のプロパガンダに違いないという考えはやめてもらいたいものだ。

July 30, 2007, 現時間 2:32 PM

エントリーが気に入ったらクリックしてください。
にほんブログ村 政治ブログへ

トラックバック

この記事のトラックバックURL: http://biglizards.net/mt4.21/agakhantrack.cgi/2286

コメント

前のコメント

登録ありがとうございます。 さん コメントを残して下さい。 (サインアウト)

このサイトへ初めて投稿される場合には、サイト主による承認が済むまで投稿が画面に現れないことがあります。しばらくお待ちください。


登録者を記憶する(URL必要)


© 2006-2015 by 苺畑カカシ - All Rights Reserved