ついに国連はイランの核開発に対して加制裁措置を盛り込んだ決議案をとおすことになったようだ。

3月15日11時45分配信 毎日新聞

 【ニューヨーク坂東賢治】イランの核開発問題で安保理常任理事国(米英仏中露)とドイツの国連大使は14日、武器輸出全面禁止などイランに対する追加制裁措置を盛り込んだ安保理決議案について大筋で合意した。15日にも安保理の非公式協議で非常任理事国10カ国に決議案を示す。順調に進めば、来週の安保理で採択される見通しだ。
 安保理筋によると、6カ国が合意した決議案では、イランから小型武器を含む、あらゆる武器の輸出を禁止することが盛り込まれたほか、戦車や戦闘機などの大型武器の輸入についても監視を進めることを明記。核やミサイルの開発に関連し、金融資産凍結の対象となる個人や企業のリストを大幅に拡大した。
 制裁リスト対象者の海外渡航は禁止していないが、対象者が渡航した場合に制裁委員会に通知するよう加盟国に求めた。また人道・開発目的のものを除き、イランに対する新たな信用保証・融資を自粛するよう呼びかけているが、欧米が求めた義務付けは見送った。さらに、60日の期限で国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長にイランの核活動に関する安保理への報告を求め、イランにそれまでの核活動停止を求めている。

これに対してイランのアハマディネジャド大統領は経済制裁など怖くないと息巻いている。

テヘラン 16日 ロイター] イランのアハマディネジャド大統領は16日、集会で演説し、同国は核燃料サイクルをあきらめさせようとする国際圧力には屈しないと述べた。国連安全保障理事会の常任理事国にドイツを加えた主要6カ国は15日、ウラン濃縮活動を続けるイランへの追加制裁決議案について正式に合意している。(ロイター)

しかしアハマディネジャドが何と言おうと、これはイランにとっては相当の痛手のはずである。なにしろイランは今の状態でもロシアから購入した核兵器開発技術への支払いが滞ってロシアからのサービスが一時停止されているという状態に陥っているのだから。
モスクワ発(AFP、3月13日)によると、なんとイランはBushehr原子力発電所建設で、ロシアへの支払いが遅れており、これ以上滞納が続くとロシアがわとしても「後戻りできない深刻な結果」になると警告されていることがわかった。

「イラン側からの決断をいつまでも待っているわけには行きません。」とロシアの契約しているAtomstroiexport社の重役ブラディミア・パブロフ(Vladimir Pavlov)氏は語る。「支払い再開がこれ以上遅れると、後戻りできない深刻な結果を生みます。」
パブロフ氏はしかし、テヘランとAtomstroiexport社との間で行われた交渉ではイラン高官らが「割合建設的」だったとロシア国営新聞RIA Novosti紙は報告している…
月曜日、Atomstroiexport社はほぼ完成しつつある施設に必要な核燃料の配達は二か月くらい遅れるだろうと発表した。

ロシアがサービスを提供しているのは無論原子力発電所建設などではなく、核兵器施設に間違いない。イランの経済事情がかなり深刻な状態であるということは以前にもお話した。イランは原油があるということで、他の産業を全く無視してきた。ところが核兵器開発に夢中になりすぎて肝心な原油生産の施設をおざなりにしてきたため、古くなった施設は効果的な産出ができず、イランの原油産出量は近年大幅に減っている。しかもイランは自国で算出した原油を精製する技術を持たないため、原油を輸出して石油を輸入するというばかばかしいことをずっとやってきた。おかげで原油産出国でありながら国内ではガソリンが不足するという不思議な現象が起きている。
そして皮肉なことに、核兵器開発でおざなりにした原油産出業での収入が減り、核兵器開発に必要なお金がたりなくなる、という結果を生んでいる。(苦笑)イランは無論ロシアの態度にカンカン。ロシアの核遅延に怒るイランというイギリス国営局BBCの記事ではイランはロシアに支払い停滞などしていない、ロシアの態度は「悲しむべき」だとし経済状態に問題があるのはロシアのほうだと反論。
しかしここで注目すべきなのは、ロシアがイランへの提供を遅らせた核燃料とは何かということだ。

(ロシアの)会社はさらに支払い問題のため、9月予定の原子炉の発動も二か月ほど遅れた11月頃になるだろうと発表した。
問題の燃料とは約100トンにわたる一部濃縮したウラニウムである。

イランがロシアから濃縮ウラニウムを購入することが出来なければ、イランは自分達で濃縮ウランを生産しなければならなくなる。イランにその技術があるのかどうか、いや、それにかかる資金があるのかどうか、甚だ疑わしい。
つまり、イランの核兵器開発はアハマディネジャドの好き嫌いに関わらず、現実的に達成できないのかもしれない。最近アハマディネジャドは国内でも勢力を失いつつあり、イランの予算案などでもラフサンジャニに押され気味という状態でもある。
イランは中東でも指折りの原油産出国でありながら、国民の50%が失業状態、経済は困窮においこまれ、核兵器開発などにあけくれて経済制裁をうける始末。気の毒なのはイラン国民だ。


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