イラクからのニュースというのは、アメリカの主流メディアはまあ良いニュースを報道しない。最初の頃はアメリカ兵が殺される度にうれしそうに死体の数を数えるような報道が目立った。アメリカ兵および連合軍の犠牲者が減ってくると今度はアメリカ兵によるスキャンダルの注目。このあいだラムフェルド防衛長官が文句をいっていたが、アメリカではふしだらな行為をしたアルグレーブの犯罪者の名前のほうが勲章をもらった英雄の名前よりも有名だというのははなはだ嘆かわしい状態だ。
最近のニュースはといえば、イラクでの宗派間の争いで、毎日のように自爆テロがイラク人を大量に殺し、7月などは一日100人以上のイラク市民がテロの犠牲として果てた。アメリカ軍はアルカエダなどの外国人テロリストやスンニ抵抗軍による攻撃はほぼ鎮圧することができたが、イランの後押しのあるシーア派のモクタダ·アル·サドルの率いるマフディ民兵軍と、スンニ派との内輪もめはアルカエダの攻撃よりもイラク市民にとっては危険なものとなった。
昨日発表された米国国務省のイラク情勢に関する報告書でも、最近とみに激しくなった宗派間争いの状況が記されている。

【ワシントン=貞広貴志】米国防総省は1日、今年8月中旬までのイラク情勢についてまとめた四半期ごとの報告書を作成し、連邦議会に提出した。
 治安情勢の悪化でバグダッドを中心にイラク市民が犠牲になるケースが急増しており、前期に比べ死傷者数で51%増、テロの件数でも15%の増加を記録した。
 報告書は、「暴力の水準と質における事態の悪化は、イラク復興などあらゆる分野に影響を及ぼしている」とした上で、「イラクが内戦にいたる条件は存在する」との悲観的な見方を示した。
 テロが横行する要因として報告書は、イスラム教スンニ派を中心とする国際テロ組織「アル・カーイダ」と、シーア派強硬指導者ムクタダ・サドル師の民兵組織「マフディ軍」との間で、市民を巻き込んだ報復合戦の様相を呈していることを指摘。7月にバグダッドの検視官事務所に運び込まれた1800の遺体のうち、90%までが処刑と見られる死因だったとしている。読売新聞) – 9月2日11時50分更新

これだけ読んでいるとどうもイラク情勢は悲劇的だ、いますぐアメリカ軍を撤退させよという民主党の「切り捨て遁走」論が人気を得そうだが、実際はそんなに悲観するほどの惨状ではない。
まず報告書の期間はマリキ氏がイラク首相に就任した5月末から8月11までとなっており、その後イラクでは暴力が激減した期間の事情が含まれていない。また、主流メディアは報告書に書かれているイラクの良い状況については全く報道していない。
ペンタゴンのウェッブページを参考に、主流メディアが無視した良い点をいくつかあげてみよう。

この時期にイラク政府は内閣の地位をすべて埋めた。またイラク政府は一般国民からの支持を得、新しいイラク軍と他のイラク警察を含む警備軍がイラク警備の指令と統制の役割をよく果たしていること。
イラク経済も好転している。去年のGDP成長率は4%だった。
石油輸出も増加。電力の普及も向上。水の浄化、下水設備なども作動している。また国中のインフラも迅速に蘇っている。イラク戦争からの損害からだけでなく、何十年にもわたるフセイン政権下で崩壊したインフラも着々と再建されている。

ただ一つ問題なのは治安である。むろんこれが一番やっかな問題なわけだが、それにしてもイラク人自身が対応にしっかり取り組んでいる。ペンタゴンの報告書にもどろう。

イラク人によるイラク人への暴力、特にバグダッド周辺、は増加している。しかしほとんどの暴力は18府あるうちの4府で起きている。後の14府は比較的平穏である。そのうちのひとつムサナ府では連合軍は全く配置されていない。
イラク軍の訓練と軍備は予定どおりに進んでいる。27万8千人のイラク警部兵がイラク軍、中央警察、地方警察として訓練を受け軍備を整えた。これは前期5月末の報告書よりも1万4千人の増加である。
さらにイラク軍がこれらの地域の指揮をとっているため連合軍は援助としての役割を果たすことができるようになった。現在イラクの5つの師団、25の旅団、そして85の部隊がこれらの地域の指揮にあたっている。これは前期の報告書より32%の増加である。
連合軍の訓練者たちは戦闘後方援助、医療、支給、修理などといった戦闘員援助への訓練に焦点をあてている。これはイラク軍が独立して任務につくことができるためである。また長期にわたって責任をはたすことになる内政省と防衛省の能力向上にも焦点があてられている。

連合軍の作戦はうまくいっているのである。この最新の報告書直後のイラクでは一般市民の犠牲者が劇的に減っているのである。主流メディアはなかなか認めようとしないが、それでもこんな記事をみつけることができる。
ロイターより、 訳:カカシ)

イラク死者数減少、新しい大量殺人にも関わらず

2006年9月1日
アラスター·マクドナルド記者
今週にバグダッドにおいて70人もの犠牲者をだした一連の爆発にもかかわらず、暴力的なイラク市民の死亡率は先月末までの今期、統計的に減少している。
保険省の統計をもとに、イラク内省によって公開されたこの小計は、まだ毎日何十人という死者が出ているとはいえ、アメリカ軍による首都での厳しい取り締まりが成果を見せているという自信を裏付けるものといえる。

また同記事によれば、アルカエダの勢力もザルカーウィ亡き後かなり弱体しているとある。だが問題はイラクで内乱が起きるという懸念がどれだけ現実的なものなのかということだろう。しかしそれについても報告書に関する別の記事でロイターはしぶしぶその危険性が少ないことを認めている。

同報告書には「イラクにおいて内乱に結びつく状況は存在する」とありイラク市民の間でも内乱への心配が増加していると書かれている。
「しかしながら現在の暴力は内乱ではない。さらに内乱に結びつく動きは防ぐことが出来る」と報告書は加える。報告書では2003年3月に米軍の率いる連合軍がフセイン政権を倒した侵攻以来一番複雑な治安状況いなっていると述べている。

またペンタゴンの記事でもあるように、イラク政府がきちんと機能しているということ事態、内乱など起きていないということの証明である。
イラク状況をまとめてみると、、
* バグダッドにおいて宗派間の暴力が激増している —
* しかし内乱といえるほどひどくはない —
* そしてアルカエダ弱体によるテロ戦争が崩壊したことによって解決に向かっている —
* この状況は新政府設立によってはじまった…
* しかし大掛かりな連合軍とイラク軍の最近の攻撃によって暴力はおさまりつつある–
* これはここ数日のスンニ派によるいくつかの大きな攻撃を考慮にいれてもなのである。
というわけだから、悲劇的な新聞の見出しだけみて、イラクの状況が絶望的であるなどと判断すべきではない。確かにイラクは難かしい状況におかれている。だが決して最悪な状況ではないし、イラク軍の力は日に日に強化されており、辛抱強く努力を続ければイラクは必ずや平穏化するであろう。
我々庶民も、連合軍とイラク軍の活躍を辛抱強く見守ろうではないか。
参考ブログ記事
That (Not So) Gloomy Pentagon Report


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