日本の右翼系の政治ブログを読んでいて気が付くことは、この間の北朝鮮のミサイル実験や竹島を巡る韓国とのいざこざなどに対して日本は北朝鮮に先制攻撃をすべきであるとか、韓国に武力でも立ち向かうべきだとかいうひとたちが、なぜかパレスチナに対するイスラエルの応戦となると、行き過ぎだと批判する傾向があるということだ。
左翼の自称平和主義の人々がイスラエルの強行手段を批難するならまだなっとくもいくのだが、普段自国の防衛に敏感な右翼の人々がなぜイスラエルの応戦に批判的なのか私には理解に苦しむ。
イスラエルとパレスチナの紛争は一見日本には無関係のようであるが、防衛問題ということで考えるなら、日本もこの紛争から学ぶことは多々あると思う。
ここで私はあえてイスラエルがあの土地にイスラエル国を建国するにあたった経過が正当であったとか不当であったとかいう話を避ける。何故ならばもともとあの土地は誰のものであったなどという議論をはじめれば、世界中のどこを探しても決着のつく国など存在しないからである。ヨーロッパなど何世紀にもわたって国境がいくらも書き換えられ、元ソ連傘下にあった東ヨーロッパなどはいまだにそれが続いている。
私は最初に領土を手に入れた過程が侵略であったにしろ、買収であったにしろ、単に空き地で陣取りした結果だったにしろ、最終的に住民を統治し、外敵から国を守ることができる政府こそ主権国家といえるのだと考える。
イスラエルは1948年の建国当日からその主権を試されてきた。そしてその後の外敵による度重なる攻撃にたいしてことごとく勝利をおさめ、イスラエル国を死守してきた。外敵から国をまもることこそが主権国家たるものの第一条件である以上、世界中においてイスラエルほど何度もその主権国家の権利を証明した国はない。
だからイスラエル建国の経過がどうあれ、イスラエルには国を持つ権利があるのであり、その国をどんなやり方をしてでも守り通す権利と責任があるのである。
それにひきかえパレスチナは歴史上一度もパレスチナ国という主権国家をもったこともなければ、主権国家設立のために努力したこともない。それどころか主権国家を持つ機会を何度も与えられながらそれをすべて拒絶してきた。1967年の6日戦争でイスラエルがパレスチナ領を占領したので、それ以後彼等にできることは抵抗はテロだけだったのだという人もいる。だが、圧倒的武力を有するイスラエルに対して長年に渡るテロ行為はパレスチナを独立の道に導くどころか、貧困と崩壊へと導いているだけだ。
一年前にイスラエルがガザから撤去した時、パレスチナには主権政府を設立し独立国家への道を歩み始める絶好のチャンスがおとずれた。にもかかわらずパレスチナ市民はイスラエル憎しが先走りして、ハマスなどというテロリストを政権に選び、停戦を宣言しながら、ひたすらイスラエルの民間人をめがけてカッサムミサイルを打込み、ついにはイスラエル領内に潜入してイスラエル兵2名を殺害し一名を拉致するにいたった。
昔テレビの動物番組をみていて、馬場で走っている馬の後ろを追いかけている犬をみたことがある。最初はこの犬、馬を追いかけてうるさく吠えていただけだったのだが、そのうち犬は興奮して馬の足首に噛み付いたりしてじゃれていた。馬は足並みを早めることでうるさい犬から逃れようとしたが、あまりに犬がしつこいので、ついに後ろ足で犬を蹴っ飛ばした。犬はキャーンと悲鳴をあげて数メートルふっとんでしまった。
ここで犬はただじゃれていただけなのに、蹴るなんて馬はやり過ぎだといってみても意味がない。自分よりもずっと図体のでかい動物にちょっかいを出してなにも起きない思っているほうが悪いのである。
さてここでイスラエルの行為が行き過ぎであるとお考えの皆様にイスラエルを日本、パレスチナを北朝鮮と置き換えて考えてみていただきたい。北朝鮮が日本の学校、レストラン、遊園地などといった民間施設を標的に毎日数発のノドンを打ってきたとしよう。ミサイルが当たって被害があることもあれば、空き地に落ちて無害なこともある。それが一年以上も続いたとする。そして何週間に一度の割で北朝鮮の工作員による自動車爆弾や自爆テロ未遂が東京だの大阪だのの都市でおき、時々警備員や民間人が巻き添えになって一回に数十人の死傷者がでたとしよう。また、浜辺をあるいている女学生が拉致されるなどの事件が続出したとしよう。(あ、これはもう起きてたんだっけ?)
それに対して日本が北朝鮮に抗議をすれば、北朝鮮は日本は過去に朝鮮民族にたいしてひどいことをしたのだから、この程度のことは当たり前だ。拉致被害者を返して欲しかったらもっと経済援助しろと開き直り、なまじ応戦などしたらもっとノドンを打ち込み、日本人を拉致するぞとおどかしたとしよう。
この段階で日本が北朝鮮のミサイル発射装置を爆破し、軍事基地にミサイル攻撃し、軍首脳部が固まっていると思われる場所に戦車で侵攻して日本の圧倒的軍事力で北朝鮮のインフラを半壊したとして、日本のやり方は行き過ぎだなどと批判するひとはいるだろうか? 北朝鮮の攻撃による日本人の被害など日本の人口のほんの一部なのだから、北朝鮮への応戦はほどほどに自制すべきだなどと諸外国から口を出されて納得する日本人がどれほどいるだろうか? いったいどこの世界に戦闘行為を仕掛けてきた敵が軟弱であったら、こちらもそれにあわせた軟弱な応戦しかしてはいけないなどという取り決めがあるのだ? 
イスラエルが自国への戦闘行為を多少なりとも許せば、イスラエルを憎んでいるパレスチナだえでなく、近隣諸国にもイスラエルは弱いという印象をあたえてしまう。イスラエルが主権国家をまもるためには、どのような些細な攻撃も許してはならないのだ。たとえ拉致されたのが一等兵ひとりだとしても、イスラエルは徹底的に反撃しなければならないのである。そうしないことは敵を奮い立たせ敵の攻撃を激化させ、いずれ国の存続を脅かすこなるからだ。それが主権国家の防衛というものである。
日本が北朝鮮のミサイル攻撃や韓国の竹島のっとりを、指をくわえてみていてはいけないのと同じである。


2 responses to イスラエルから学ぶ北朝鮮問題

asean18 years ago

カカシさん
ぅうううっ。。(泣)前言を陳謝して撤回します・・・スンマセン
MD計画に関してはMS-BBSの方でカツラギさんが書いてくれています
ただ日本の場合は、問答無用で軍隊とか兵器とか言うモノにアレルギー反応を起こす傾向が強いので
(それにしては最近の傾向は変ですけどね?)
確実に迎撃出来るだけの配備が可能か否かは、ちょっと分かりませんね?
そういった問題と日本の外交(方針)とはちょっと違うと思うんですけどね。
日本の人達って「外交」ってのは実はどういうもんなのか?を把握していないんじゃないですかね?
”仲良く”ってのが世論的な外交のキーワードのような気がするんだけど、実は仲が良かったら外交交渉ってのは
必要がない訳で(笑)・・・(だから仲良くすべきなんだ!っという理論展開になるみたいですが)
それと仲が良かったら”問題”は発生しない・・・ってな理屈も実は成立しない
(最近のBSE問題なんかはその典型で)
因みに、カカシさんの前ログへのコメントですが
彼らはなぜ戦うのか?ってことですけど、それは彼らがイスラム教徒だからだと思いますよ。
一般的なパレスチナ国民とファマスの意識が同じかどうかは議論の余地があるとは思うんですけどね
んで、イスラム法に基づいた憲法を採用しているイスラム教国には共通した規定と言うか考え方だと思うんですよ。
(ですから、特に中東のイスラム教国はこのままファマスが自治区の正当な代表者となられると
自分達も抱えている同じ部分を国際社会から非難されることになるか、疑われてしまう可能性が高くなってしまう)
彼らの意識の中ではイスラエルによる人権抑圧だとか非人道的な~~っとは実は思っていないでしょうね、多分。
(国際社会がそう言うと関心を示すことを長年の経験で身に付いてしまったんじゃないかな?
何せ生まれてこの方ずぅ~っと戦間期な訳ですから)
イスラム教の元々の部分でも異教徒との戦いは当然のモノなのにファマスは「イスラメル殲滅」を
憲章の中で明確に謳っている訳ですから、イスラエル側がその生存を掛けて必死になるのも又当然と言えば当然な話なので、
お互いにどんな国際協定も国連決議も実は当事者の実情を全く反映していないと認識しているから
どちらも無視した格好になってしまう。
(国連決議にしても、背景に迄踏み込んだ内容での決議はどんな形であれ出来ないですからね・・・
国連がイスラエル建国を認めたとかいう話のことじゃないですし、その背景ってのは)
なので、北朝鮮と日本との関係と同等には扱えない(韓国との関係も同じですね)
いわゆるお互いに宗教的なバックグランドが成立していない(ように見える)中での話ですから
北朝鮮が日本の領土にでも真剣に興味があって占領したいとか、武力での威嚇なり攻撃を受けているので
(祖国?)防衛からミサイルを発射して見せた・・・等とはかなり違う”意図がある”としか思えない訳ですから
(それに今更、祖国防衛なんてマルキストでもない限り言わないでしょうし、笑)
なのでお互いの主張の言い合いでも構わないから当たり前の外交関係を持てるか否か?ってことじゃないですかね
中国が説得出来なかった時の方が実は問題は大きいと思いますね。

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In the Strawberry Field16 years ago

パレスチナの暴走にイスラエルバッシングしか興味のないヨーロッパメディア

私が愛読しているイギリスのコラムニスト、メラニ−・フィリップ女史がいつもはかなり反イスラエルなのに、どういうわけか今回はまともなコラムを載せたタイムスオンラインのロビン・シェパード(Robin Shepherd)の書いた記事を紹介している。 謝罪派の最たる考えはイデオロジーではなくイスラエルによる占領がテロの「根源だ」だというものだった。であるから占領が終わればテロも終わるとされていた。この主張は今や完全に打倒された。イスラエルの撤退以来、パレスチナ民兵軍はガザからイスラエル市民を標的に4000以上…

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