昨日観て来た映画「アーガイル」日本では3月1日公開とのことなのでネタバレしないように感想を書いて行こう。ネタバレ無し。

まずはあらすじ:エリー・コンウェイ(ブライス・ダラス・ハワード)は「アーガイル」というジェームス・ボンド並のスパイを描いた小説で大人気の作家。すでにシリーズ四作を出版しており、今は第五作目を執筆中。原稿を母親(キャサリン・オハラ)に送って感想を聞くと、結末が出ていないと指摘される。連載小説だから結末は次回作で暴かれるのだと説明しても、それじゃあ読者が納得しない、明日にでもそちらに行くから二人で結末を考えようと提案される。しかし気晴らしもあってエリーは自分が実家に帰ろうと決める。実家へ向かう列車のなかで長髪の薄汚い若い男がエリーの目の前の席に座る。

そこへエリーにサインを求めて来た若い男の手を突然この男が掴むと、なんと若い男はナイフをもっていた。ここで列車の中で次から次へと男たちが長髪男に襲い掛かるも長髪男は次々になぎ倒していく。悲鳴をあげて逃げようとするエリーの手を長髪男がつかみ、自分にしっかり抱きつけという。そしてどこからか取り出したパラセイリングで二人は列車から脱出。

どこかの山小屋に逃げ延びると、長髪男は自分はエイデン・ワイルド(サム・ロックウェル)というスパイで、エリーの書いている小説の内容があまりにも現実に近いため、エリーの命はある悪徳スパイ組織に狙われていると告げる。このスパイ組織が求めているのはエリーが執筆中の五作目の結末にかかっているというのだ。あらすじ終わり

なんてあらすじを書くまでもなく添付した予告編ですべてが説明されていた。吹き替え版もあるので字幕が苦手な方はそちらをお薦め。

予告編でも解る通り、これはかなりのドタバタコメディー。アクションシーンも完全にハチャメチャで、あり得ない格闘や撃ち合いが何回も起きる。アクションの振り付けはかなり面白いが、正直格闘シーンが多すぎると言うのが私の感想。ただ筋の展開は結構面白い。どんでん返しがいくつもあるので、ここではそれについて書くのは控えておこう。

私が気に入った部分は、この映画にはポリコレ色が少ないこと。最近のアクション映画はやたら強い女性が出て来るがこの映画は一貫して頼りになる男性エイデンが主人公のエリーを守っていくという筋書き。最後のほうで強い女性が何人か登場するが、物語上自然な展開なので受け入れられる。

予告編に出て来る最初のシーンが映画の冒頭シーンなのだが、エリーの描くアーガイルは超ハンサムなヘンリー・カヴィル演じる男性スパイで、アーガイルのパートナーも元プロレス選手のジョン・シナ。そして悪役女性スパイは金髪のセクシー美女。典型的な1960年代のイギリススパイ映画みたいな設定で、小説内の登場人物も全員美男美女。小説内のキャラクターで人々が想像しているわけだから美男美女なのは当たり前だが、最近やたらと肥満でブスの黒人女性ばかり見せつけられている私としては新鮮だった。

一方現実社会のエリーは赤毛の普通の容貌の白人女性で、エイデンも背はエリーよりも低く、見た目はごく普通の白人男性。エリーがエイデンはスパイに見えないと言うと、スパイがアーガイルみたいに恰好よかったら目立ってしょうがない、というようなセリフがあった。ポリコレ映画ならさしずめエイデンの役は格好いい黒人男性が演じそうだが、そうでないところがかえって新鮮だった。

黒人のキャラクターが居ないわけではない。アーガイルのもう一人のパートナー(アリアナ・デポーズ)は黒人女性だし、後で出て来るサミュエル・ジャクソンの役も黒人だ。別に黒人が出て来てはいけないという意味ではなく、彼等がさりげなく普通の人として出て来るので多様性の押し付けという無理やり感がない。

一緒に映画を観に行った叔母から指摘されて知ったのだが、主役のブライス・ダラス・ハワードはロン・ハワード監督の娘なんだそうだ。なるほどあの赤毛は父親譲りか。彼女のコメディタイミングは絶妙である。エイデン役のサム・ロックウェルとのケミストリーも良い。

母親役のキャサリン・オハラはホームアローンでお母さん役をやったことでも有名だが、もともとコメディアンなのでこういう映画にはぴったりだ。

アクションコメディーが好きなひとにはお薦めの映画である。

主な配役:


1 response to どんでん返しに次ぐどんでん返し、頼りになる男性と女性の魅力が出ているARGYLLE/アーガイル

苺畑カカシ2 months ago

この映画評判が良くない。アメリカでは興行成績もかなり悪い。批評家が言ってることで共通していることは:

スパイのエイドンが守り続ける女性エリーが美人じゃないという文句。確かに彼女はハリウッド風美女ではない。といって別にブスでもない。ちょっと小太りの普通の容貌の女性だ。私は架空の小説に出て来る登場人物と、現実の登場人物を分けているのだからエイドンとエリーが美男美女でないことは別にいいのではないかと思った。

それともう一つの苦情は予告編やポスターでは最前列に出て来るヘンリー・カヴィルの出番が少なすぎるというもの。彼は主役として売り出されているのに、本当の主役はエイドンとエリーだ。これは詐欺に近いというのである。

どんでん返しが多すぎて筋がごちゃごちゃである。もうすこし一つの筋に留まるべきだったのではないかというもの。

アクションシーンがあまりにも突拍子がなく、あまりにも非現実的で楽しめない。

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