先日民主党のニューメキシコ州ミッシェル・ルアン・グリーシャム(Michelle Lujan Grisham)知事は一か月間州民の銃砲携帯権利を差し止めると緊急知事命令を出した。NM州は銃砲携帯が合法な州である。ことのきっかけは、この数日前に高速道路で何かに怒った何者かが走行中の車に向かって17発も発砲し、11歳の子供が死亡、その母親が瀕死の重傷を負うという事件があり、このような犯罪は市民の健康の問題だとして知事はこの憲法違反の緊急命令を発令したのである。

この明らかな職権乱用にNM最大のアルバカーキー市を含む郡の保安官は知事の命令に従う気はないと発表した。また郡の検事もアルバカーキ市長も警察署長も同意見を表明した。

「これは憲法違反であり我々は到底この命令を施行できるものではない。」とバーリロ郡のジョン・アレン保安官は語った。「この禁止は銃犯罪を減らすことには何の役にも立たない」(AP より)

これに関してデイリーワイヤーのマット・ウォルシのコラムを参考にお話ししよう。(Tyrannical Leftist Woman Tries To Abolish The Second Amendment | The Daily Wir

さて、このグリーシャム知事とはどんな経歴の持ち主なのかというと、大学卒業後法律学校に進み弁護士資格を取る。その後州政府において老人及び長期介護福祉部門で勤務しそこの部長となる。そして2004年ニューメキシコ州では公共衛生局の局長地位につく。彼女は一度も医学の勉強をした経歴はない。彼女のこの驚くべき出世は彼女の実家が名門であったことと関係があるのかもしれないとウォルシは言う。しかし彼女の局長としての仕事ぶりは大したことはなく二年程度で別の職についた。

そして時は経ちニューメキシコ知事に収まっていたグリーシャムは、2020年、バイデン政権から保険社会福祉省の局長の座を打診されるが、色々考えた末知事の仕事にとどまることとなった。

しかしグリーシャム知事は常に衛生局長のようにふるまい、なんでもかんでも公共衛生のためと言っては知事の越権行為を繰り返し州民の自由を奪っていた。COVID危機はグリーシャム知事にとって格好の機会であり、他の州がどんどん自由を取り戻している間にも延々と州民の生活を規制していた。

とはいえいくら何でもいつまでも続けているわけにはいかない。州民もいい加減に堪忍袋の緒が切れている。そこで彼女は他の方法で州知事の権限を広げる作戦を始めた。

以前にグリーシャム知事がジョン・ホピキンス大学のインタビューで公共衛生について彼女の計画を話した時、彼女は「すべてが公共健康衛生の問題です」と言った。貧困も環境変動も銃犯罪も「世界を直しましょう!」と。

公共健康衛生というなら、国民の健康が目的となるはずだが今やそうではない。当のジョン・ホプキンス大学の公共衛生エキスパートがコロナ禍で何故かBLMデモで集まるのは構わないと言っていたのだ。

つまり彼女らにとって公共健康衛生の目的は公共衛生を保つことではなく、すべて社会正義のための口実なのである。

そこで彼女は今回の乱射事件を口実に州民から憲法補正案第二条で保証されている銃所持の権利を一時的とはいえ剥奪しようと試みたのである。無論そんなことをしても州の治安がよくなるわけではない。彼女自身もそれは百も承知だ。しかし大事なのは「確固たるメッセージ」を送ることだとグリーシャムは主張する。そのメッセージとはいったいなにか。それは「どんな権利も絶対ではない」というメッセージだという。この命令の記者会見で記者からの、犯罪者がそのメッセ―ジを聴いて銃を30日間持たないと思うのかという質問に対しては「あーいいえ」と言った後、しかしこのメッセージは「確固たるメッセージだ」と繰り返した。犯罪者には向こう30日間一般市民は丸腰だと公言するのは確かに「確固たるメッセ―ジ」ではある。

もちろん犯罪を犯せば銃を持つ権利がなくなると言うのは誰もが納得するだろう。しかし彼女は自分の独断で一般市民の基本的人権を奪おうというのである。その口実というのが緊急時だからというもの。

しかしこの乱射事件で11歳の子が殺されたというのが緊急時だというなら、殺した犯人の犯人像を明確にすべきではないのか?ニューメキシコはメキシコ国境の州であり、民主党の国境開放政策によって違法移民も多い。NM州の多くの犯罪が違法移民によって犯されているにもかかわらず、グリーシャムは移民問題を救急事態とは呼ばないのだ。この事件の犯人も違法移民である可能性は大である。

グリーシャムの命令は明らかに憲法違反であるが、今更民主党政治家が憲法違反をしているからどうのこうのなんて話をしてみても全く意味はない。彼等はアメリカの憲法など最初から屁とも思っていないからだ。

これに関しては民主党議員や反銃の活動家の間からも批判は出ているが、ウォルシに言わせると、彼等は一介の州知事にそのような権限はないが、連邦政府になら国民から銃を奪う権限はあるという下地を作っているに過ぎない。いずれ政権、行政、司法のすべてが民主党に牛耳られたら、彼等のやることは国民から銃を奪うことが先ず最初のアジェンダだろう。

コロナ禍という緊急事態のおかげで、連邦政府は稀に見る権限を強行し国民から自由を奪った。一時的といえども彼等に武力のある政権がどれほど恐ろしい力を持っているか我々国民は思い知ったはずだ。すべて国民の健康のためだという権力者の口車に乗ることが如何に危険か我々はよくよく考える必要がある。


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