アメリカでもWOKE(ウォーク)というお目覚め文化の首都といえばサンフランシスコだが、最近サンフランシスコの教育委員会役員たちが次々にリコールの対象になっているというウォールストリートジャーナルの記事を見つけたので読んでみる。著者はウィリアム・マックグイン(William McGurn)。

サンフランシスコといえばアメリカでも特に左翼リベラルの都市なのだが、最近、義務教育世代の子供を持つ父母たち、とくに東洋系の間で、このウォーク思想に反発する動きが顕著になってきた。

ウォークとはなんでもかんでも人種によって社会の階級が決まるという思想。常に白人が弾圧者でありその他の人種は被弾圧者となる。しかし東洋系は被弾圧者のカテゴリーに入るはずなのに、東洋系生徒たちの学力は白人平均を超える。差別をなくすために学力主義制度を廃止しようという動きで一番迷惑を被るのは白人ではなく東洋系生徒ということになる。

東洋系はリベラルな人が多いが、直接自分たちに影響があることが解って、この平等だの多様性だとのいったきれいごとが実は単なる東洋人差別になっていると気が付き始めたようだ。

そこでサンフランシスコの父母たちは市の教育委員会のガブリエラ・ロペズ会長とファウガ・モリガ副会長とアリソン・M・コリンズ委員をリコール対象にし、リコール選挙のための署名集めを始めた。締め切りは9月7日だがすでに半分以上の署名が集まっている。世論調査によると、なんと69%のサンフランシスコ保護者たちがリコールを支持しているという。

ことの起こりは、今年初め、サンフランシスコのエリート高校ローウェル高校の入学資格を、少数民族の数を増やすという理由で、これまでの成績順ではなくくじ引きで決めることにするという政策を教育委員会が打ち出したこと。だがローウェル校の生徒はすでに80%が非白人。だがウォークとって東洋系は少数民族には含まれない。東洋系が優秀なのは組織的人種差別の表れだということになるようだ。

アジアンアメリカンリーガルファウンデーション代表リー・チェング氏は最近とみに増えている対東洋人暴力とも掛け合わせて「街のチンピラと教育委員会とは共通点が多くある。どちらも人種差別者だ。ただ片方はちょっと身なりがいいだけ」と皮肉たっぷり。

リコールの対象となってる三人はどれも学力主義制度に反対票を投じ、学力重視は基本的に人種差別だと言い張る。コリンズに関しては以前にもお話したように、東洋系へのひどい人種差別ツイートが暴露され副会長の座を追われた人物。しかしまだ一応委員会のメンバーとして居座り、委員会相手に8700万ドルの損害賠償を求めて訴訟をおこしたりしているふてぶてしい奴。

インド系弁護士のハミール・ディリオン氏はアジア系アメリカ人は教育委員会を相手どって訴訟を起こす覚悟があると14ページにわたる声明文を委員会に送った。同じような訴訟はすでにバージニアのフェアファックス市で起きている。東洋と一口にいっても中国・韓国・日本のみならず東南アジアやインドも含まれる。特にインド系生徒たちの成績は非常によく、年収もインド系がどの人種よりも高いことは有名である。

マックグインも指摘しているが、SF教育委員会は黒人やラテン系の生徒達をより多くエリート高校に入学させるために、いかにして彼らの学力を上げるかという努力をせずに、単に学力のある他の人種から席を奪おうという単純な方法しか考えていない。学力が追いつかないのにくじ引きや下駄を履かされてエリート高校になど入ったら、入った本人の方が苦労するだけで結局落ちこぼれてしまうのがオチだ。入学してからも成績に下駄を履かすなら、今度は大学入試に失敗するだろうし、ここでもまたアファーマティブアクションで黒人やラテン系が優遇されるという悪循環を生む。

アメリカではなぜか東洋人への差別だけは許されている。前期のディリオン氏はこの風潮は止めさせなければならないと語る。

ウォーク連中は反人種差別者だと言い張るが、彼らこそ人種に拘るグループもない。加えて彼らのいうマイノリティー(少数民族)には注意書きがあり、東洋系やユダヤ系は含まれない。結局ウォークの言うマイノリティーとは黒人と一部のラテン系だけだ。(同じラテン系でもキューバ系が含まれるかどうか疑問)

この何かと黒人を甘やかす風潮は決して黒人のためにならない。

東洋系アメリカ人は民主党支持が多いのだが、これを機に、批判的人種理論を推し進める民主党は決して東洋系の味方ではないということに早くきがついてほしいものだ。


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