先日アンディー・ノーの書籍を批評するLAタイムスの記事を紹介したが、そのなかで記者のナザリアンが話していたワシントンポストの「アンティファに関する五つの神話」をちょっと深く読んでみたい。いずれアンディーの本も紹介したいと思うが、まだ読んでないので、それは後回し。

ワシントンポストの記事は課金制なのでアーカイブになっているこちらから参照した。

アンティファとは、アンタイファシストつまり反ファシストと言う意味だが、ファシズムに敵対しているから民主主義の団体という意味ではなく、言ってみればナチス党が台頭する前のドイツでナチスに対抗していた共産主義Weimar Republicのようなもので、ファシスズムと同じかそれ以上に悪質な思想である。しかしワシントンポストはアメリカのアンティファは反人種差別の団体であり、色々誤解されていると言う。

先ずWPが言う五つの神話とは下記の通り。

  1. アンティファは単独の組織団体である
  2. アンティファがBLM暴動の首謀者である
  3. アンティファは民主党と結託している
  4. アンティファはジョージ・ソロスのようなリベラル資産家によって資金援助されている
  5. アンティファこそが真のファシストである

前回も書いた通り、どうせ彼らは重箱をの隅をつつくような議論を展開するのだろうと思うが、その中身がどんなものか読んでみよう。

神話その一
アンティファは単独の組織団体である
去年の5月31日、トランプ大統領はANTIFAをテロ組織と指定した。司法長官のウイリアム・P・バーもアンティファは「社会主義に感化された革命団体である」と発言。

しかしWPはトランプはアンティファをテロ組織などと指定することは出来ないと主張する。なぜならアンティファは組織ではなく、過激派右翼に対抗する政治的運動だからだと言う。確かにアンティファを名乗る団体はあるが、それはフェミニズムが組織でないのと同じようにアンティファも組織とは言えないのだという理屈だ。

確かにアンティファには中央司令部などというものから、すべての指揮を取っているというわけではなさそうだ。アンティファには様々なグループがあり、それが緩く横につながって、SNSなどを使ってどこで暴動をどのように起こすか情報を交換しあって決めている。また個々の団体が好き勝手にデモをやったり暴動を起こしたりもしている。

過去に中央司令部がなく、一人の代表者が居るわけでもなく、各地にある個々の団体が同じ思想で緩くつながっているという組織がテロ組織として指定されたことがある。それはアルカイダである。アルカイダはイランやイラクを拠点に活動しているとはいえ、世界中でアルカイダの思想でつながった個人や団体がそれぞれの意思でテロ行為を起こしている。だがアルカイダが立派なテロ組織であることを疑う人はないだろう。

上に一人の指導者が居て、上から下に命令を出すというものだけが組織ではない。個々の団体がそれぞれ同じ思想で横につながる組織も存在する。その活動が組織として成立しているのであれば、どんなつながり方をしていても組織と言える。だから上から下への階級がないから組織ではないという理屈は成り立たない。


神話その二
アンティファはBLM暴動の首謀者である
トランプ大統領がジョージ・フロイド事件直後に起きた暴動について「アンティファや極左翼」をすぐに責め、ジュリーアーニもアンティファが即座に行動に出たと語ったことからBLM暴動はアンティファが指揮を取っているという神話が生まれたとWPは言う。しかし司法局やFBIやメディアもアンティファが首謀者であるという証拠を見つけていないという。

はっきり言ってこれは藁人形論だ。トランプ大統領はアンティファや極左翼の連中が暴動を起こしていると言っただけで誰が首謀者であるとは言っていない。また、このリポートは5月に起きた一回の暴動での出来事なので、その後の暴動にアンティファがかかわったかどうかに関して語っているわけではないのだ。

ただ去年起きた数々の暴動はかなり計画的であり、どこかに首謀者が居ることは確かだ。何故そう思うのかというと、1993年にロサンゼルスで突発的に起きた暴動と、今回いくつも起きた暴動とではパターンが全く異なるからである。LA暴動の時はある交差点でトラックの運転手が運転席から引きずり出されて殴る蹴るの暴行を受けた時から始まった。その時警察がすぐに動かなかったので、あちこちで警察の居ないのをいいことに略奪が始まった。暴徒は主に黒人だったが、数時間後に暴動に便乗したラテン系違法移民などが加わった。

だが、今回の暴動は違う。単にBLMのデモで感情的になって人々が突発的に暴徒化したというより、昼間の平和的なBLMデモに隠れて、日が暮れると重武装した黒装束(アンティファの制服)の男たちがやってきて暴動を始める。どこで暴動や略奪を行うか、あらかじめ申し合わせたように人々が集まり、あちこちにレンガだの木材だのペットボトルだのが置かれていた。こうしたやり方はアンティファの常套手段である。

ポートランドやシアトルでの暴動は主にアンティファが行っていることは誰もが認めることだが、シアトルの自治区はBLMとアンティファが協力して作られたことは自他ともに認めることだ。

つまり、アンティファが指揮を取っているかどうかは別として、BLM暴動にアンティファがかなり大きな役割を果たしていることは事実である。


神話その三
アンティファは民主党と結託している
WPはアンティファと民主党が関連があるという証拠はまったくないと断言する。民主党議員たちは常にアンティファによる暴力を糾弾しているという。

トランプ大統領に対しては白人至上主義を糾弾するかと何度も何度も詰め寄り、そのたびにトランプ大統領は糾弾すると断言しているにも関わらず、トランプを白人至上主義だと言い続け、プラウドボーイズをトランプと結び付けてきたワシントンポストが良く言うよと言いたい。

バイデンはじめ民主党はBLM/ANTIFAの暴動を「概ね平和的」と言って擁護し、アンティファを名指しで批判したことなど一度か二度あるかないかである。いや、それどころか、カマラ・ハリスなど暴動を奨励するような発言をし、暴動で逮捕されたアンティファメンバーに保釈金を払ったりしていた。民主党広報部となり下がったCNNのクリス・クォモなどはデモが平和的である必要などないといって暴力を奨励した。

トランプ大統領が白人至上主義団体を毎日のように批判しないことが、トランプと白人至上主義グループと深い関係がある証拠だという理屈が通るなら、アンティファ暴徒らを全くと言っていいほど批判せず、アンティファ暴徒に保釈金まではらう議員が出ている民主党はアンティファとは深いつながるがあると思われてしかるべきだ。


神話その四
アンティファはジョージ・ソロスのようなリベラル資産家によって資金援助されている
トランプをはじめ右翼保守はずっと左翼運動はジョージ・ソロスのような資産家によって資金援助されていると言ってきた。WPは、ソロスを名指ししないまでも共和党議員達は誰が暴徒らに資金を出しているのか?という質問はユダヤ人蔑視の犬笛だという。ソロスがユダヤ系だというだけですぐ人種差別を持ち出してくるのは非常に卑怯な議論である。ソロスは確かにユダヤ系だが、若い頃ドイツに隠れて住んでいた同じユダヤ人同胞をナチスに売った裏切り者で、ユダヤ人の風上にも置けない奴。

去年DCでの公聴会の後でホテルに戻る途中を夫人と友人と共にアンティファ暴徒に囲まれて暴行を受けたランド・ポール上院議員は「誰が彼らのホテル代を払ったのだ?誰が航空券を提供したのだ?」と問いかけた。アンディー・ノーもポートランドやシアトルのアンティファがしょっちゅうDCやその他の都市に遠征して暴動指導をやっていると証言していた。また、ポートランドでアンティファ連中が逮捕される度に、誰かが保釈金を払ってすぐに釈放されていることは周知の事実。

テロ活動にはお金がかかる。アンティファ連中は大量の商業用花火を武器に使う。レンガや木材やペットボトルなどといった商品の資金はどこから出ているのだ?アンティファメンバーがあちこちに遠征して行く交通費や宿泊費は?保釈金は?その資源の出どころに疑問を持つのは当然のことだ。これは正当な質問であり答えを要する。

ソロスや億万長者からの資金援助があると言う証拠は全くないとWPは言う。また億万長者からの資金援助はアンティファシズムの思想に反するのでアンティファがそんな援助など受けているはずがないとも。

何度も言うがアンティファは単に共産主義者としてファシズムに対抗するという立場であり信念などない。勤勉に働く人々の商店から平気で略奪をやってのける連中だ、誰からでも取れるところか金を取るだろう。

WPは彼らの資金は個人的な寄付や募金で賄っているというが、その内訳をWPはみたことがあるのか?弁護士一人雇うにしても大金がかかるのに、個人的な募金だけで賄えるはずがない。第一WPはアンティファは組織ではないと言いながら、アンティファ専門の基金があり、メンバーたちがそこに寄付をしているとする。組織がないのにメンバーが居るというのもおかしな話なのでは?


神話その五 
アンティファこそが真のファシストである
バー司法長官はアンティファのやり方をファシスト的な作戦を使っているとし、ドンJr.もアンティファは焚書の段階に入ったと語った。ネットではアンティファこそが真のファシストだという意見が散乱している。アンティファを民主党のブラウンシャツだと呼ぶ人も居る。私自身アンティファのやり方はナチス党のブラウンシャツの水晶の夜と全く同じだと考えている。

WPはファシストとアンティファシストには主流政治に敵対心を持っているとしながらも、二つのグループは全く違うと言う。WPは、ライバルである極右翼と違ってアンティファシストはフェミニストであり反資本主義であり、警察や刑務所を解体を望んでいる。アンティファとファシストを比べた場合、用いる戦法が同じであるという点以外にはないと言う。「ファシストこそが真のファシストだ、何故ならファシストはファシズムを目指しているからだ。」と結論付ける

ばかばかしい!主張がどうあれ、やっていることが同じなら同じではないか。ファシストもアンティファシスト(共産主義)も同じ銅貨の二つの顔だ。結果的に彼らの最終目的は自分らの独裁のもとに市民をコントロールし、反対派は徹底的に弾圧する。

ファシストと共産主義の決定的違いは、企業が民営か国営かということくらいだ。ファシスト政府は自分らの選んだ大企業を抱き込み、企業は企業でその金を使って自分らのあった政治家を抱き込む。共産主義は企業を国営化し政府が企業をコントロールする。だが二つとも企業と政府が密接に癒着しているという点では何の変わりもない。

今SNSのような大企業や大手小売店などが民主党べったりで、保守思想を弾圧するような態度に出ているのは、まさしくファシズムのやり方である。アンティファがそれに承諾しているかどうかは別として、彼らはまさにナチス党のブラウンシャツの役目を果たしている。

アンティファの連中はナチス台頭後のブラウンシャツがどんな目にあったか歴史のおさらいをしてみてはどうかな?


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