最近ずっと中国に関する話題を追っているが、先月上海で開店した大型スーパーチェーンのコストコ中国支店第一店開店日に、殺到した中国人たちの蛮行により半日にして一時休店に追い込まれるという事件があった。その理由を簡潔にまとめたツイッターがあったので下記に引用すると、

鈴木さんがリンクをつけてくれた記事を読んだが、まあまさにそういう感じ。ひどいなんてもんじゃない。我々文明人には全く想像がつかない蛮行の限り。

北村豊氏著の元記事を読んでみたが、鈴木さんのまとめは非常に正確。コストコは中国における商売を他の国と同じようにやってしまったことに問題がある。コストコはすでに台湾で20年以上も前から何軒も出店して成功を収めているので、同じような気持ちで開店に踏み切ったのかもしれないが、台湾人と中国人では同じ中華民族でも民度に雲泥の差があるということをもっと知っておくべきだっただろう。

この四階建ての上海支店はかなり大規模な店で日本にあるコストコの三番目くらいの規模に当たる。中国での一年の会員費は日本と同じで4500円くらい。確かアメリカでも40ドルちょっとだから非常に近い値段だ。中国では決して安くない値段だと思うが、それでも開店日の8月27日までに会員となった人の数は数万人を超えていた。

開店当日は何時間も前から長蛇の列ができ、駐車場も満杯で駐車場付近の道路は何キロも交通渋滞が起きるほどだった。開店時間より30分前にシャッターが開くと、待ってましたとばかりに数千人の客が店内に乱闘。開店特別セールの高級酒を手当たり次第に買いあさり、なんと20分で売り切れ。それでも自分たちが飲みたいからバーゲンを利用して高級酒を買うというならまだしもなのだが、そこは中国人。安く買った酒はすぐに転売して大儲け。

後日、あるネットユーザーがネットに書き込んだところによれば、彼は家族6人で4時間を費やして初日に開店と同時に入場し、マオタイ酒を12本、1人1本の制限が付いていた「五糧液(四川省の焼酎)」を6本購入し、その他に雑多な食品を購入したという。彼は同日夜にマオタイ酒6本と五糧液4本を転売して合計1万3800元(約20万7000円)の利益を上げ、コストコの年会費、駐車料金、食品代金を差し引いて1万2000元(約18万円)をわずか半日で稼ぐことに成功したという。

コストコは卸業者のようなものなので、転売がいけないとは言わないが、転売目的で爆買いする客ばかりだったら、他に本当に買い物をしたいお客は何も買えなくなり、コストコの会員である意味がなくなる。買い物を済ませてもレジに並ぶ列の待ち時間が二時間とかいう日度状態。ともかく予想をはるかに超えた大混雑で店内は騒然となり、これ以上続けたら従業員やお客さんたちに危険が及ぶと判断した当店は半日にして店を急遽閉店することにした。

長い間炎天下を外で待っていた客たちの間では大騒ぎになった。しかし店側が一時休店にた理由は爆買いだけが理由ではない。

食品売場にはプラスチックの容器に入った寿司の詰め合わせや菓子のマフィンが売られていたが、悪質な客は寿司を数個つまみ食いしたり、マフィンを1口食べたりした後に、その容器を元の商品棚へ戻して知らん顔で立ち去っていた。

・牛乳や冷凍の鶏肉といった生鮮食品がその売場から離れた場所に多数放置されていることが判明した。購入しようと当該商品を商品棚から持ち出したが、その後に購入を止めて、近くの商品棚や床に放置していったものと考えられる。冷凍鶏肉はパッケージが破れて肉汁が流れ出ていた。生鮮食品でなければどこに放置しても大した問題にはならないが、生鮮食品である以上は品質上の問題が発生しないように客も協力すべきだが、そうした意識は全般的に低いように思えてならない。


・商品売場内で子供が尿意を催した親の一部は混雑している状況下でトイレへ行くことは困難と判断し、売場の各所に設置されている金属製ごみ箱の上に子供を持ち上げて小便をさせたのだった。公共の場所で子供に小便をさせることは、今なお中国国内でよく目にする光景だが、コストコの様な会員制チェーンストア内でも平然と小便をさせるという非常識さは驚きである。これは小便だったから良かったのであり、困ったことにそれが大便になる可能性も否定できないのである。

いやいやいや、いくらなんでもそういうことは、、、と思うのは文明人の我々だからこそ。余談だが、私が住むカリフォルニア南部にも中国移民が結構多いが、100年くらい前に移住して来た中国系アメリカ人は新しく中国大陸からやって来た中国人を野蛮人と言って毛嫌いしている。「あいつら道の真ん中で糞するんだぜ!」と言ったのは台湾系三世のアメリカ人同僚。それで南加でも中国系アメリカ人と船を降りたばっかりという意味のFOBの間でかなりの亀裂が生じている。

さてさて、こんな苦労をしてでも一応売り上げは上がったのだし、上海に出店した意義はあったのだろうかという話なのだが、それがそうでもないらしい。

8月31日付の香港紙『蘋果日報(Apple Daily)』によれば、8月30日までの時点で上海コストコの会員数は10万人を突破したという。上述したように上海コストコの年会費は299元(約4485円)なので、上海コストコは開店からわずか4日間で2990万元(約4億4850万円)の年会費を獲得したことになる。

ところが、中国メディアによれば、開業から5日目の8月31日になると、状況が一変して上海コストコの商品売場にある退会窓口に多くの人々が行列を作り、担当係員は昼食を取る時間すらない有様だったという。


それは、上海コストコが開店記念に特別価格で提供した、飛天印マオタイ酒や五糧液などの目玉商品が売り切れとなり、その他の商品も開店の優遇価格から通常価格(それでも他所より安価だが)に戻ったことに起因するものだった。

コストコのどんな商品でも不満があれば100%返金しますというポリシーも、中国人相手だと悪用されかねないと台湾人から懸念されていた。なにしろ半分たべたお弁当を気に入らないと言って返品しようとする中国人が絶えないだろうからという理由。この記事を読む限り台湾人たちの心配は現実となった模様。

さて、開店当日は大騒ぎになってしまったコストコだが、当社はこれに懲りず体制を整えて再び開店。これからも第二店開店に向けて突き進む方針だとか。中国市場は魅力なのかもしれないが、中国人を文明人扱いするのは危ないとおもうけどねえ。


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