フェイスブック(FB)の友達Nがデキシー・チックスがカムバックを狙って全国ツアーをやるって話だよと書いているのを読んで、え~デキシー・チックスなんてまだ生きてたの、というのがカカシの反応である。カカシは2003年当時からチックスのアンチファン。彼女たちに関する記事をここここで書いている。背景をご存じない読者の方々は後部に説明を付け加えておいたのでご参照されたし。
わがFB友のNは、デキシー・チックスのイラク戦争反対の姿勢が馬鹿なカントリーファンの怒りに触れチックスはカントリー音楽界から締め出されてしまったと書いているが、彼女達がファンから見放されたのは戦争反対が原因ではなく、彼女たちのファンに対する失礼な態度が原因だった。ちょっとそのNとの会話をかいつまんで紹介しよう。

N:デキシーチックスはアメリカでは演奏できなくなった。脳タリンのカントリーファンが、ネオコンの始めたイラク戦争に反対したチックスを非国民と決め付けたためだ。イスラム国を作り上げアメリカ兵をボディバッグでかえしてくるだけで何の役にもたたなかった戦争。カントリーファンの馬鹿どもは、それに反対した彼女たちが結局は正しかったことを今だに認めようとしないのだ。プロパガンダは効果あるな。
カカシ:え~デキシー・チックスなんてまだ生きてたの?彼女たちがどこで演奏しようと勝手だけど、私はそれを聴く必要はない。それも私たちの権利でしょ?あなたに言わせると私も「脳タリンなカントリーファン」だけど、あんたがそうやって勝手なことをいえる自由を守るために多くのカントリーファンが出動したことを忘れないでよね。
N:デキシー・チックスは他のカントリーバンドと変わらない良いバンドだった。それがカントリー業界から締め出されたのはチェイニー・ラムスフェルド・ウォルフウィッツのイラク戦争に歯向かったからだ。あの戦争はアメリカの帝国主義を広げるためのもので、アメリカの平和を守ることとは無関係だった。
カカシ:N,カントリーファンじゃないあなたは知らないでしょうけどね、チックスがカントリーファンから見放されたのは単にイラク戦争に反対だったということじゃないのよ。彼女たちは戦争前夜に外国でアメリカ総指揮官を侮辱し、カントリーファンを田舎者とか無知だとかいって馬鹿にしたことが原因なのよ。カントリーシンガーの中にも、いくらでもイラク戦争に反対な人はいた。トビー・キースとかね。左翼リベラルの歌手でも人気あるカントリー歌手はいくらでもいるのよ。知ってた? 何故彼らの反戦姿勢が人気に影響しないかといえば、彼らがファンに礼節な態度をしめしているからなのよ。そこがチックスと違うところなんだわさ。
N: 俺もカントリーファンだ!ハンク・ウィリアムス、ザカーターズ、タミー・ワイオネット、パッツー・クライン、ジョニー・キャッシ。昔のカントリーウエスタンはひとつの政治観念だけに支配されていなかった。ウィリー・ニールソンとかジョン・デンバーとか別な見解も受け入れられていた。今の ニオコンに支配されてるカントリー業界には反吐がでるよ。
カカシ:「ニオコンに支配されてるカントリー」?そんなの私が聴いてるカントリーじゃないね。

昔っていったいどのくらい昔の話してんだよNは。Nの羅列した歌手で生きてるのは現在82歳のウィリー・ネルソンくらいだろう。すくなくとも過去20年くらいの歌手に絞って欲しかったね。それにザ・カータースって何よ、ザ・カーペンターズでしょうが。何がカントリーファンなのだよ。知ったかぶりもいい加減にして欲しいね。
Nはデキシーチックスが大口あけてアホなことを言うまでは、デキシーのデの字も聴いたことがなかったにきまってるのだ。だからカントリー歌手やそのファン層についても全然解ってない。カントリーを知らない左翼リベラルの典型的な勘違いである。
ここ20年来、アメリカにおけるカントリーウエスタンの人気はうなぎのぼりで、昔はカントリーといえば主流音楽とは別なカテゴリーに置かれていたが、最近は結構ポップスとかヒップホップとのクロスオーバーもあって、カントリー歌手でティーンエージャーに大人気なテイラースイフトなんて女性歌手は主流音楽でもトップスターの座に君臨している。彼女は絶対に右翼保守ではないよ。その影響もあって、歌手やファン層も多種多様化している。左翼リベラルなカントリー人気歌手はいくらでも居るのである。
実はNが懐かしげに話している1960年代のほうが、歌手もファン層もずっと保守的だったのではないかと思う。ジョン・デンバーが人気があったのは1970年代だが、彼の人気が衰退したのも彼が人気絶頂期に環境保全運動にあまりにも念を入れすぎたせいだという人もある。
それに、カントリーウエスタンは何と言っても南部が中心だが、アメリカ南部にはイエロードッグデモクラットという伝統があり、南北戦争で負けた際に勝った共和党からさんざん虐げられたことを未だにうらんでいる民主党支持派が非常に多いのである。トビー・キースなんかそのいい例なのだ。確かに南部には保守的な人が多く、軍隊とのつながりも大きいのだが、だからといって彼らが必ずしも共和党支持かというとそうでもないのである。
それからNのいうニオコンだが、いまどきそんな言葉を知ってるひとがカントリーファンにどれだけ居るのかかなり怪しいと思うね。いや、それを言うならニオコンなんて言葉が飛び交った1990年代ですら、どれだけのカントリーファンがそんなことに興味を持っていたか、非常に疑わしい。
で、今回のカムバックツアーなのだが、ミスター苺いわく、カムバックが成功するとは思えない。なぜなら今のカントリーファンでチックスを覚えてるひとなんていないだろうし、覚えている人は悪い印象しか持ってないから。
なるほどね~。
今も昔も音楽業界は競争が激しい。人気歌手はしょっちゅう入れ替わる。政治問題で落ちぶれた中年オバサンバンドがどれほど人気を取り戻すことが出来るのか、注目の価値はあるかも。


デキシーチックスが落ちぶれた背景
2006年の苺畑よりの「カントリーの雌鳥たち、蘇る????」から抜粋
デキシーチックスといえば、3年前(2000年)まではカントリーウエスタンの新星、飛ぶ鳥も落とす勢いの女性三人組のバンドだった。コンサート券は売り出し早々売り切れだし、アルバムも飛ぶように売れ、カントリー音楽賞ではいくつもの部門にノミネートされるなど凄まじいものだった。
ところが、イラク戦争前夜、バンドがロンドンでのコンサート中にリーダーのナタリーが「大統領が自分達と同じテキサス出身なのが恥かしい。」と言ったのが原因で、アメリカ国内のカントリーファンは大激怒。自国が戦争をしようという時に、外国へ行って自国のシンボルである大統領を侮辱するとは何事か、戦争反対運動なら国内でやれ! と批難を浴び、全国各地にあるカントリー専門のラジオ局から閉め出され、音楽賞もすべて落ち、CDの売れ行きも急落。チックスたちは三年間新曲もコンサートもできない状態になっていた。
ナタリーの失言を聞いた時、私は彼女たちは自分らのファンを分かってないなあとあきれかえったものだ。彼女たちがロックとかフォークのバンドなら、大統領の悪口をいったり、反戦運動をしたりすれば、かえって人気はあがっただろう。でもカントリーのファンは保守的で愛国心が強い人が多い。特にテキサス州は軍人の数がほかの州に比べて非常に多い。テキサス出身のカントリーバンドが軍隊の総指揮者である大統領を外国でしかもテキサスを引き合いにだしてこき下ろすなんてことはカントリーミュージシャンとしてはあるまじき行為である。そんなことをテキサス出身の彼女たちが知らなかったというのは信じがたい。
でもまあ3年もたっていることだし、そろそろほとぼりもさめた頃。神妙にしてカントリーファンにお詫びをいれれば、ファンたちも許してくれたことだろう。ところが、バカは死ななきゃなおらないというかなんというか、彼女たちの新曲は神妙にするつもりはない、といった意味の題名で、しかもその歌詞が自分らを批判して「黙って歌え」と言った保守派ラジオDJにあてつけて、黙って歌わなきゃ命はないぞなんていうほど切れちゃう人がいるなんて悲しい世の中ね、といった内容だ。それだけじゃなく新曲の宣伝のためのインタビューなどで、カントリーファンは無知だ、ばかだ、田舎者だ、自分らはカントリー歌手の意識はない、などとさんざんカントリーファンをこけにした発言の連続。
カントリーファンもここまでコケにされては許せるものも許せなくなる。また曲をかけてあげおうとおもっていたラジオ局は再びチックスをボイコットすることにし、新曲をかけたラジオ局には苦情が殺到。どうしてお世話になった自分らのファンの好意を踏みにじるようなことをするのか私には不思議でしょうがない。これって演歌歌手がトラックの運ちゃんをこき下ろすのと同じ行為。ばかとしかいいようがない。


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