先日、プラネットフィットネス(PF)というジムで女子更衣室に居たトランス男性について苦情を述べた会員が逆に会員権を剥奪されるという事件を紹介したが、このPFというジムは昔から色々な件で話題になっているジムであることがわかった。トランス事件が起きるずっと前からPFでは、何故か普通のジムなら当たり前の行為をしているメンバーを他のメンバーを威圧しているとか圧倒しているという変な理由で追い出すことが多く、これまでにも地方では話題になっていたようで、行き過ぎた服装規制が問題で訴訟が起きたこともあった。こんなにメンバーをひどく扱っていては商売にならないのではないかと思うが、メンズヘルスという雑誌に載ったこの記事によると、PFによるメンバーへの失礼な対応は偶然ではなく方針であり、実はそれがPFのビジネスモデルだというのである。
PFには「他人を威嚇・圧倒しない」という原則があり、特に行使されるのが下記の二項目。

  1. ノーグラントルール、運動中に唸ってはいけないという規則。筋トレをやったことのある人なら「う~」と唸ることで力が出ることは周知の事実。しかし、あまり筋トレに親しみのない人の前で重たいバーベルを持ち上げて唸ったりすると、周りの人たちを圧倒するので、禁止。250キロのバーベルを使っていた男性がこの規則を破ったとして会員権を剥奪された。
  2. 自分の体系を誇示する服装は駄目。タンクトップ、お腹が出る服、ジーンズ、バンダナ、といった服装は、体型の良いひとの体つきを誇示し、あまり体型に自信のない人たちを威嚇するため禁止。フィットネスモデルの女性や筋肉ムキムキの男性がフィットした体型を誇示して他のメンバーを威圧しているという理由で脱会させられた。

特に不思議なのが「クランクヘッドアラート」という警報。

PFのスタッフがメンバーがあまりにも筋トレに熱中しすぎて他のメンバーを圧倒していると感じたときに鳴らす火事警報のようなベル。上記のビデオはデイリーショーというお笑い番組がPFを取材したときの模様。警報が鳴ると記者は「確かにこの警報は圧倒されませんよね。」と皮肉たっぷりに漏らしている。
PFでは「無批判区域」「威圧しない雰囲気」を自慢にし売り物にしている。しかし、それは、個々のメンバーが他のメンバーを批判したり威圧しないという意味であって、PFのスタッフによるメンバーへの批判や威圧は度を越している。規則違反をした人に対して警報を鳴らすのは回りの人から注目を浴びる辱めでありハラスメントだ。ある消防署の団員はスタッフと唸り声を巡って口論になって警察まで呼ばれたといっている。
いったいそこまでしてどうしてPFは真剣に運動しようとするメンバーに嫌がらせをするのだろうか?
上記のメンズヘルスの記事の著者、ルー・シューラーはこう説明する。普通のジムでは年初めになると今年こそはと思った人々が多く入会するが、バレンタインズデーくらいになると会費だけ払ってこなくなる人が結構居る。実はレギュラーメンバーが比較的安い会員費でジムの使用が出来るのも、欠席会員がいるからなのだ。もしもメンバー全員がレギュラーみたいに毎日せっせとジム通いをしたら、機械にしろマットにしろシャワーにしろすぐに駄目になってしまい修理費がかさむ。だからジムとしては会費だけ払ってめったに来ない客のほうが好ましいわけだ。
PFの狙いはこの最たるもの。PFはコマーシャルからして「ここはジムではありません、プラネットフィットネスです」といううたい文句で、筋肉もりもりやフィットネスモデルには来ないでくださいといわんばかりの宣伝をしている。PFの会員費は月々たった10ドルという安価。それでどうやってもとを取るのかといえば、それは数で勝負する。
もちろん入会した会員がみんなで押し寄せたらとてもやっていけないのは承知。だからまじめに通ってくる会員はかえって迷惑というわけ。250キロもつかってベンチプレスなんかやるムキムキマンは迷惑このうえない。フィットネスモデルもカーディオマシンを使いすぎるから駄目。だからまじめに運動しているメンバーに言いがかりをつけて辞めさせたり会員権を剥奪するのは計画的な行為だというのである。
そんな馬鹿なビジネスモデルってある?
しかしPFは事業としては大成功しているようだ。1992年の創業以来、アメリカのフィットネスクラブが低迷状態になった2011年でも、ただひとつ成長しておりカナダやプレルトリコにも足を伸ばしているというから、このやり方は正しいのかもしれない。PFのサイトにいってみると、フランチャイズをはじめたのは2003年。現在全国で827箇所にジムがあり、会員数は5百万人とか。

問題はプラネットフィットネスにあるのではない。同社は自己の方針を明確にしている。問題なのはPFを真剣に運動する場だと誤解して入会してしまうメンバーにある。一ヶ月たった10ドルでそんなことは先ず不可能だろう。

ノーグラントルールや厳しすぎる服装規制だけなら、まあ一ヶ月10ドルじゃこんなもんかで済むかもしれないが、トランス男の女子更衣室使用は問題だろう。なぜならこれは、上記の二つの規則とちがって会員全員に影響をもたらす規則だからである。今やインターネットでニュースがすぐに全世界に伝わる時代。トランスだと主張しただけで、男が好き勝手に女子更衣室に出入り出来るとなればそれを悪用する人間が絶対に出てくる。それによってなにかしらの事件が起きれば、単なる「無批判区域」とか「威圧しない雰囲気」などと言っていられない。
はっきり言ってこの方針への逆噴射はかなりなものになると思う。奢れる平家も久しからず、いつまでもこのビジネスモデルが大成功を続けられるかどうか見ものである。


1 response to プラネットフィットネスはジムではない、まじめな運動を敬遠する不思議なビジネスモデル

goldbug5 years ago

市場原理にしたがって、それで利益が出るなら会社がそれを続けていいのか、たとえ事業として成り立ったとしても、そうした不道徳なことはやめさせるべきなのか、難しいところでしょうね。

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