ここ数日間にエジプトで起きた二件の西洋女性記者への性的暴行事件が元で、国境なき記者(Reporters Sans Frontières RSF) がエジプトは特に女性にとって危険な場所なので、女性記者の派遣は当面差し控えるべきだという声明文を発表した事に対し、世界各国の記者たちから批判が殺到。RSFは止むなく勧告を撤退し、女性記者派遣の際は記者の身の安全を最優先させるべきだと声明文を訂正するに至った
確かに厳密な意味でいえば差別は差別だが、実際にエジプトが特に女性記者にとって危ない場所であるかぎり、そういう危ない場所には行かないほうがいいという勧告を、単に女性差別だといって撤回させるのは非常に無責任だ。
RSFフランス支部の元々の声明文は、

当面の間、メディアはエジプトの情勢の取材に女性記者を派遣するのを停止すべきである。このようなことになるのは誠に遺憾であるが、暴力や暴行を考慮に入れた場合、これ以外の対策はない。

といった内容だった。しかし、これには世界中のメディア組織から苦情が殺到。数時間後にRSFは勧告声明文を、

派遣記者や地方記者の安全を保つのは最優先である。タヒリ広場の取材は男性よりも女性にとって危険である。メディアはこの事実に面とむかうべきである。

というふうに訂正を余儀なくされた。
RSFの勧告は、今年はじめにアメリカのララ・ローガン女性記者が集団暴行を受けた同じエジプトのタヒリ広場で、先日暴動の取材をしていたフランスのカロライン・シンズ女性記者がカメラマンとひきはなされて性的暴行を受けた事件と、エジプト警察に拘束されたアメリカ人記者モナ・エルタハウィ女性記者が12時間にわたって数人の警察官から性的暴行を受けたという事件に端を発している。エルタハウィさんはその際両手首を折る怪我を負った。
しかし、イギリスのチャンネル4テレビで編集を勤める自分も危険な場所からの海外特派員として実歴のあるリンズー・ヒルサム女史は、RSFの元の勧告を撤回するよう抗議した。

私たちは何十年も編集長たちに女性記者を公平に扱ってもらうよう闘って来た。いかにして報道の自由に尽くして来た組織がこのような差別的な方針を推薦出来るのか理解できない。

ヒルサム女史にいわせれば、確かに女性に対する性的暴行やハラスメントは深刻な問題ではあるが、だからといって女性はそのようなことに威圧されるべきではないとする.男性記者も襲われたり殺されたりしているが、男性記者に取材に行くなとは誰も言わないではないか、というもの。
しかし、カイロの地元のある女性記者の話によると、エジプトにおける女性への性的暴行は革命後とみにひどくなったという。

「私は長年エジプトにいて、こんなひどいハラスメントにあったことはありません。「今日のタヒリ広場には何かおそろしく威嚇的な雰囲気があります。以前のタヒリよりギタギタと汚い感じがします。」

この女性記者はチュニージアやリビアやバハレンからもリポートしたことがあるベテランだが、タヒリにおける女性への痴漢行為や性的暴行のレベルはこれまでになくひどいものだという。しかし彼女はだからといって女性は威嚇されてはならないという。女性には女性の見解というものがあり、女性の立場からの報道は大事だと語る。
シドニーモーニングヘラルドの女性記者、ルース・ポーランドさんは、確かにカイロの抗議デモにおける女性記者への暴行はここ数週間目立ってひどくなっていると語る。しかし、

「フランス人記者の件はおそろしくひどいものですが、編集長が女性記者をエジプトへ派遣するのをやめることによって状況が安全になるというわけではありません。」

だが、犠牲になる女性記者の数を減らすことは出来るではないか?
以前にも書いたが、戦争地帯など危険な場所へ派遣される特派員たちは、それなりに特別な訓練を受けてから行くことになっているが、そのなかに女性に対する性的暴行に関する情報は全く含まれてない。そのような話を持ち出すことそのものが女性差別と批判されかねないからだろう。
女性への痴漢行為や婦女暴行はエジプトでは深刻な問題らしい。カイロ本拠のハラスマップという組織を経営するレベッカ・チャイオ(Rebecca Chiao)さんは、エジプトでは女性が外へでる度に、実際に触られるにしろ口述にしろ、何かしら性的嫌がらせに遭うのが普通だという。
2008年に行われたアンケートによると、83%の女性が性的嫌がらせにあったことがあると答えている。そして嫌がらせにあった3/4の女性がベイルを被っていたと答え、98%の外国人女性が威嚇されたり痴漢行為をされたりしたと答えている。
だが、エジプトに派遣された女性記者たちは、この事実をどれだけ把握しているのだろうか?
2月に被害を受けたローガン記者は、後のインタビューで、エジプトにおける婦女暴行がこんなにもひどいものだということを全く知らなかったと語っていた。ローガンのようなベテラン記者でもそうなのだから、他の記者達の間でもそれほど実情が理解されているとは思えない。
女性特派員たや編集者たちは、RSFの勧告を女性差別だのなんだのといって抗議してる暇があったら、危険な場所へ女性特派員を送り込む際には、女性はどのような注意をしなければならないのか、もっときちんとした訓練を施す努力をしたらどうなのだ?
少なくとも女性だけで野蛮人の暴動のまっただ中に取材に出かけるなんてアホな行為は今後一切控えてもらいたい。これは女性差別ではなく常識だ!


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