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September 4, 2014

イスラムテロリスト軍団にあらたな息吹を吹き込んだオバマ王

イラク関係 , 独裁者オバマ王の陰謀 , 防衛

最近私はイスラム過激派の暴行について何も書いてこなかった。突然のようにシリアで現れ、イラクを旋風のように襲っている恐ろしいテロ軍団ISISについてもずっと書いてこなかった。それは何故かというと、事態があまりにもひどいため、字にするのもおぞましく、考えをまとめて書くとなると色々な記事を読まなければならないし、8年もがんばってやっと成果を上げてきた勝ち戦をオバマが台無しにしてしまったことを書くのは気がめいるだけだったからである。

なんでこんなひどいことになってしまったのか。答えは簡単。オバマが対テロ戦争を完全無視したからである。オバマには大統領という自覚がない。オバマは大統領という仕事にっ興味がない。奴は単に大統領という名前のついた地位のみに興味があり、それによってついてくる特典を楽しんでいるだけだ。

ISISによってアメリカ人記者が二人も斬首されたビデオを世界中にばらまかれているのに、オバマはテロリストは断固許さん、最後の一人まで追い詰めて皆殺しにしてやる、くらいのことも言えない。それどころか、最初の記者が殺されたとき、「まことに遺憾であります、、」てなことを言った直後にまた何百回目かのゴルフに出かけた。 これには国内外から非難ごうごうだった。フランスの首相からは「人が死んでる時は休暇はとりやめてかえってくるべき」と批判されたほど。

オバマがイラクやアフガニスタンンでの勝ち戦を、きちんと地元軍隊がテロ制圧を出来るようになるまで見届けずにさっさと撤退してしまったことが、イスラム教テロリストたちの奮起をたたき起こした。

オバマは、ゴンタナモに収容されていたテロリストを解放したり、アメリカの脱走兵と交換にISISのリーダーを含むテロリスト数人を釈放したり、レーガン大統領時代からアメリカがモットーとしてきたテロリストとは交渉しないという方針を完全に崩してしまった。奴のやることはめちゃくちゃだ。

そしてリビア領事館の襲撃で見せたオバマのへっぴり腰。リビアではトリポリ空港を占拠したテロリストたちによって何十機という旅客機が行方不明になったいるという話だ。911記念日をマジかにひかえ、これは由々しき事態である。

にもかかわらず、オバマは先日の記者会見でISISに対する対策は何もないと発表。なんでそんなことをわざわざ発表するのだ?

これでイスラム教過激派がやる気にならなかったら、それこそおかしい。今こそ偉大なる悪魔を倒すとき、とばかりに中東で大暴れ。人々の首を切りまくっているのだ。

アメリカ国内にすでには、アメリカで生まれ育ったアメリカ国籍のテロリストが、わかっているだけでも百人を超えるという。オバマが開けっ放しにしている国境からもメキシコ経由でいくらもイスラムテロリストが入ってきている。また、移民局の話だと学生ビサで入国して、そのまま行方不明になる外国人が毎年5000人近くもいるという。

こんなことは言いたくないが、アメリカ国内でテロが頻発する日は近いといえる。先にも書いたとおり、9月11日の同時多発テロ記念日には、きっと何かがおきるだろう。リビアの領事館襲撃が9月11日だったのは、けっして偶然ではないのだ。

オバマ政権はそのことを少しでも考えているのだろうか?それともオバマは次のゴルフのことしか念頭にないのであろうか?

September 4, 2014, 現時間 9:41 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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April 15, 2014

若い平和主義者のナイーブな見解に思う

イラク関係 , 狂ったメディア , 独裁者オバマ王の陰謀 , 防衛

アップデート(4/15/2014):このエントリーを書いた直後にNさんから非常に失礼な返答があった。私はこれまで彼は私がこれまで議論らしきものを交わした左翼リベラルよりはましな人物だと思っていたのだが、私が彼の意見にどうしても同意しないと解った途端、カカシのことを『だから、在米日本人女子は悪い情報源だと言っているんですよ。」と人種差別と女性差別の言葉で罵った。自分と意見を違える女性に対して、こんな下品で低俗な言葉使いをする人物とは今後一切会話をすることはあり得ないし、コメント欄からもメールからも追放する。Nさんの下品で低俗なコメントはコメント欄に全文掲載したのでご参照のこと。これじゃ日本女性からも白人女性からも相手にされないのは当然。

では本文。

ーーーーーーーー

人間を何十年もやっていると若いひとより有利なことがいくつかある。そのひとつに歴史を実際に肌で体験することが出来るというものがある。若い頃に、こうではないか、ああではないか、と疑問に思った事や模索したことが実際に起き、人々がああすればこうなると言っていたことが実証されたりその反対が証明されたりするのを目のあたりにすることが出来るからだ。最近長文のメールを幾通か送ってくれたコメンターのNさんのメールを読んでいて、若いとこんなにナイーブなことを平気で言えるんだなと感心してしまった。ま、Nさんが若いんだろうというのはカカシの勝手な憶測であるが、Nさんが自分と戦争体験者との会話を自慢気に情報源として語っていることからして、戦争体験者の親からなにかあるごとに戦争中の話を聞かされて育だったカカシのような中高年世代とのギャップを感じざる負えない。(私の実父の実家は米軍の空襲で焼けてしまった。)

それはともかく、Nさんの見解はいみじくもアメリカの大統領と名乗るオバマ王と酷似しているところがあるので、これは取り上げる価値のあるものだと思う。

Nさんは日本やアメリカの軍事強化に反対で、特に日本の憲法9条改正とか核武装といったことには大反対の見解を示している。私は以前から日本は富国強兵に励むべきという見解である。もっともこれは日本が軍事独裁政権になるべきだという意味ではなく、中国・北朝鮮・韓国・ロシアといった国々が日本を攻めて来ないように守りを固めるべきだという意味で言っている。下記はカカシからNさんへのメール。

誰が言ったのか知りませんが、「*平和を守りたいなら戦争する覚悟をしろ」という格言があります。外交の成功は強い武力という後ろ盾があるからこそ成り立つのであり、何があっても絶対に戦争などしない、いや、出来ないと侮られたら、こちらがいくら戦争を望まなくても攻められる可能性は大です。ロシアに侵略されつつあるウクライナがいい例です。

アメリカもNATOもだらしないから、ロシアに舐められてるのです。

何故戦後のアメリカが日本に米軍基地を置き、いざとなったら日本を守るために闘うつもりでいたのか、それは決してアメリカが日本を良い友達だと思っているからでも、アメリカが日本を贔屓にしているからでもありません。日本はアメリカにとって東洋における最後の砦なのです。ロシアにしろ中国にしろ、アメリカに戦争を仕掛けるまえに先ず日本に攻め入るでしょう。だからアメリカが日本を守るのはアメリカを守るために必要なのです。

しかし、ご指摘にようにオバマは米軍の総司令官という自覚がまるでない。ヘーグル防衛庁長官など個人的に下級レベルの兵士だったことはあっても司令官などやったことのない無資格な人間なんです。彼らには戦争のやり方なんかわからない、戦争を避けるための外交知識もありません。全くの度素人なんですからね。ヘーグルの口車になど乗っては行けません。言葉ではなく態度を見るべきです。オバマ政権がどれだけ日本国家を足蹴にしてきたかに注目すべきです。オバマ政権は自国の外交官の命を守るために指一つあげなかった政権ですよ。日本など守るものですか!

だから日本はそんなアメリカに頼っていてはいけないのです。日本は日本が守らなければいけない。

竹島も尖閣諸島も日本にとっては大した領土ではないから放っておいていいということじゃない。小さく取る足らないようなものであっても、自分のものは自分の物だと守り通さなければいずれはすべてを取られてしまいます。

日本は断じて第9条を撤回し武装国家となるべきです。

富国強兵イコール軍事独裁政権である必要はありません。

*英語では"If You Want Peace, Prepare for War" もとのラテン語では "Igitur qui desiderat pacem, praeparet bellum."という。

それにするNさんの反応はというと、

現時点、私は核武装、及び戦備を日本が整える事には反対です。これは、カカシさんの言及された、弱腰とは全く異なります。短期戦の戦い方、戦術においては、戦備を放棄するというのは弱腰を意味する事が多いです。しかし、戦略つまり長期戦の場合には、戦備をあえて整えない事も、戦略の一部なのです

何故か?

戦備を整えなければ、イザという時に戦えません。しかし、実は逆の手法で、これが戦備が無い事があえて敵に弱さを見せる罠と見せる事が可能となります。敵も、弱さが罠なのか、それとも事実なのか、判断に困ります。もし、罠ならば、飛んで火に入る夏の虫同様に大怪我してしまいます。その心理戦を最後までやるのが、情報戦と言えます。

実はこれは完全にオバマ王の(無)外交政策に他ならない。ブッシュ大統領が敵の脅威が切羽詰まったものになってからでは遅いという考えから先制攻撃を実行したのとは反対に、オバマ王は自国が軍備強化しないことによって相手にこちらの平和的な誠意を解らせ相手の戦意をなくさせる「賢い外交」を唱えて大統領になった。

ところが、オバマ王になってからアメリカが戦争する気がない(する勇気がない)という印象が世界に広がり、世界中の独裁者たちが勝手気ままなことをやるようになってしまった。

イランや北朝鮮の核兵器開発の再開、シリアの反乱分子弾圧、そして今回のロシアによるウクライナ侵攻などがそのいい例である。

また、ブッシュ政権中は米国内で一切起きなかったイスラム過激派によるテロ事件がオバマ王の代になって続発している。ボストンマラソンで起きた爆破テロは本日がその一周忌。

こうなることはオバマが大統領になった時から解り切っていた結果だが、思っていたよりもひどいことになっている。Nさんのような一市民が信じる分には無害だが、一国のしかも世界最強のアメリカの大統領がこのようなナイーブな政策を取っているということは非常に嘆かわしい。

どんなきれいごとを言おうとも弱腰作戦は戦争を避けられるどころかかえって戦争を誘発するのみである。

これまで日本が中国や韓国に対してやってきた弱腰政策が、日本にどれだけの有益を与えたというのだ?竹島は誰が占拠しているのだ?尖閣諸島をあたかもわが領土にように振る舞っているのはどこの国だ?

日本の平和主義の有益は何だと言うのだ?

Nさんをはじめ、平和主義の人々は、カカシのような鷹派があやまった情報に騙されていると決めつける前に、自分の信じている政策がいかに大失敗しているかという歴史的な事実を見つめるべきである。

April 15, 2014, 現時間 8:06 PM | コメント (10) | トラックバック (0)

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January 5, 2014

イラク、あのファルージャ再びアルカイダに奪回された、オバマはハワイでバケーション

イラク関係 , 独裁者オバマ王の陰謀

2004年に数多くのアメリカ兵及びイラク兵が犠牲となって、壮絶な闘いの末残虐なアルカイダの手から奪い取ったあのイラクのファルージャが、アメリカ軍の時期尚早な撤退が原因となり、再びテロリスト軍団アルカイダの手に渡ってしまった。オバマ王による悪政のなかでもイラク政策は特にひどい。この敗北は一重にオバマに責任がある。

【1月5日 AFP】イラク治安当局者は4日、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系の武装組織「イラク・レバント(地中海東岸地域)のイスラム国(Islamic State of Iraq and the Levant、ISIL)」がイラク西部アンバル(Anbar)州のファルージャ(Fallujah)を掌握したと明らかにした。

 治安当局によると、4日のアンバル州での戦いで、兵士8人、政府と同盟関係にある部族民2人、ISILの戦闘員55人の計65人が死亡した。

 首都バグダッド(Baghdad)の西に位置するアンバル州では、州都ラマディ(Ramadi)とファルージャの一部が数日前から武装勢力に掌握されており、2003年に米軍主導の多国籍軍が進攻した後の、両市が武装勢力の拠点になっていた数年間をほうふつとさせる状況になっている。

 アンバル州の治安当局高官はAFPの取材に対し、「ファルージャはISILの支配下にある」と述べたが、同市郊外は地元警察が掌握しているという。

 ファルージャにいるAFP記者も、通りには治安部隊やイスラム教スンニ(Sunni)派の部族による反アルカイダの治安組織「覚醒評議会(Awakening、サフワ、Sahwa)」の姿は見えないとして、ISILが同市を掌握したようだと話している。

 イラク地上部隊のアリ・ガイダン・マジード(Ali Ghaidan Majeed)司令官によると、戦闘に加わっているのは、治安部隊とその同盟関係にある部族、ISIL、反政府勢力「部族軍事評議会(Military Council of the Tribes)」の3集団だという。

 イラクのヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相は4日、アンバル州から武装集団を排除する決意を示した。(c)AFP

こういうことが起きている時にオバマ王は何をしていたのかといえば、クリスマスから二週間に渡るハワイアンバケーションを取っていた。ブッシュ大統領が第二のホワイトハウスだったテキサスのクロフォードランチに帰る度に、仕事をさぼって休暇ばかり取っていると批判していたメディアは、ハワイでゴルフだシノーケルだサーフィンと政(まつりごと)のマの字にも拘っていなかったオバマ大統領への批判はゼロ。

こと外交に関してはオバマ王の関心はまるで自由国家の大統領とは正反対の政策をとってきた。イランで起きた反イスラム原理教運動は無視、シリアの反政権運動も民主主義を唱える市民を無視してアルカイダ系テロリストを支持、エジプトでもイスラム原理教テロリストのモスラム同胞団のモスィーを支持して同胞団に抵抗してクーデターを起こしたエジプト軍を糾弾。イラクでもせっかくブッシュ大統領が勝ち取った戦争を、次期尚早の全面撤退空爆援助なし政策でみすみすアルカイダの手に渡してしまった。

オバマ大統領は何でどこでもイスラム過激派のテロリストの味方ばかりするのだ? そんなに世界をイスラム教占領下に起きたいのか?アメリカを滅ぼしたいのか?

ファルージャの悲劇には心が痛むばかりである。

January 5, 2014, 現時間 9:09 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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January 24, 2012

ハディーサ最後の被告示談成立、殺人罪は棄却され職務怠慢のみ有罪

イラク関係

アップデートあり!

2005年11月、イラクのハディーサで24人の一般市民を海兵隊が虐殺したとして8人が殺人や証拠隠蔽の罪に問われていた所謂(いわゆる)ハディーサ裁判。実際に犯罪が起きたという事自体が疑惑とされ、すでに8人の被告中7人までが無罪もしくは起訴棄却で全く罪に問われずに終わっている。最後に残った8人目の被告、フランク・ウーテリック一等兵曹(Staff Sgt.Frank Wuterich)がこの度「職務怠慢」の罪を認めることによりアメリカ軍人に対する最長の裁判の終幕となった。

ウーテッリック一等兵曹はこれにより、最悪の場合、最高三ヶ月の禁固刑、及び年収の2/3に減俸、さらに一等兵(private)への降格の罰を受ける可能性がある。刑の判決は明日になる予定。

ウーテッリック兵曹は2005年、ハディーサにおいて道路脇爆弾で海兵隊一人が殺され二人が負傷するという事件を取調中にテロリストに襲われて撃ち合いになった団を率いていた団長だった。

ウーテッリックが職務怠慢の罪を認めたとはいえ、元々の罪は24人からの殺人罪だったのだから、完全無罪ではないにしろ弁護側の勝利といえる。

イラクのテロリストたちが一般市民を人間の盾に使ってアメリカ兵を襲撃するのはすでによくしられた事実。ハディーサの事件でも、先ず海兵隊員を道路脇爆弾で殺して他の海兵隊員をおびき出し、民家から銃砲を浴びせかけるという、それまでにも繰り返し行われたパターンにウーテリック率いる団が応戦したに過ぎない。

確かに無関係の民間人が巻き添えを食って犠牲になった可能性はあるが、だからといって応戦した海兵隊員たちが一方的に悪いといって罪に問うたのは理不尽このうえない。6年にも渡ってウーテッリック兵曹の名誉が汚されたことは、アメリカ軍隊の歴史としても汚点である。

この話が出る度に、カカシは何度も繰り返して来たが、もう一度繰り返す。ハディーサ事件は米軍による殺人犯罪は起きていない。海兵隊の行為は正当な戦闘行為だった。関わった海兵隊員らは最初から罪になど問われるべきではなかったのである!

ウーテリック兵曹が今後海兵隊に残る可能性は薄いが、ウーテリック兵曹はじめ、ハディーサ事件で犠牲になった海兵隊員たちすべてに感謝の意を表したい。アメリカ軍は彼らに非常な侮辱を与えた。軍の彼らの扱いはひどいものだった。命がけで外地へ行って闘っている勇敢な軍人に対して決してあってはならない扱いをした。

6年間もひどい仕打ちに絶えて、圧力に負けて殺人罪を認めたりしないでくれたウーテリック兵曹。完全無罪という形で終わることが出来ずに残念ではあるが、これでハディーサで殺人事件は起きなかったということが完全に証明されたことになる。

ウーテリック兵曹、ご苦労様でした。お国のために闘ってくれてありがとうございました!

追記 1:余談だが、このAPのニュースMarine accepts plea deal in Iraqi civilian deaths (海兵隊員、イラク市民の死に関する有罪示談を受け入れる)という見出しは非常に誤解を招く書き方だ。

アップデート: 本日一月24日、ウーテッリック兵曹の刑が言い渡されたが、90日の禁固刑、及び減俸、そして降格。ただし、すでに取調中に拘束されていた日にちを考慮に入れさらなる禁固刑はなし。減俸も次の三ヶ月間これまでの2/3の給料となるだけ、ただsじょ降格は最低の一等兵にまで落とされる。ウーテッリック兵曹が三ヶ月後に名誉の除隊をすれば、除隊時点での位が一等兵でも、給料は今までのままなので、年金は減らない。降格されたままの除隊が嫌なら、がんばって昇格を待ってからの除隊もあり得るので、結果的には案外軽い罰だったと言える。殺人罪で起訴されて単なる職務怠慢の罪だけで終わったと言う事は、結局検察側には何の証拠もなかったということだ。

ハディーサ関連記事

2006年6月
ハディーサ事件:それぞれの思惑
疑わしきは罰するメディア その1
疑わしきは罰するメディア その2
ハディーサ疑惑: 怪しげな証言続く
眉唾なイラク米兵による悪事報道

2007年7月
ハディーサ事件次々に崩れる検察側の主張
ハディーサで殺人事件はなかった! 米兵容疑者二人目も起訴却下決定!
弁護士つきで戦争やるの?戦闘をいちいち戦犯扱いする米軍将軍たち
マーサ米下院議員よ、海兵隊員侮辱を釈明せよ!

2008年6月
最初の無罪! ハディーサ虐殺事件隠蔽はなかった!
ハディーサ裁判、7人目の罪も棄却

January 24, 2012, 現時間 9:01 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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October 26, 2011

イラクからの米軍全面撤退は大間違い、イランのイラク侵略を招く恐れも

イラク関係 , イランが危ない

オバマ王は今年一杯でイラク駐留のアメリカ軍を全面的に撤退させると宣言したが、それに対して退役現役の軍人達は、米軍全面撤退は大悲劇だと口を揃えて言う

イラク戦争の後半における対テロ作戦の成功に多いに貢献した退役軍人ジャック・キーネ大将は、イラク撤退は全くの大悲劇であると語っている。大将はブッシュ前政権はイラクを安定させ、安全な環境を提供するに至った。イラク政府とアメリカ政府の間では、アメリカの選挙後、イラク政府はアメリカの新しい政権と交渉してアメリカ軍の半永久的な駐留を話合うという暗黙の了解があった。

キーネ大将はアメリカがイラクの治安を守るのではなく、アメリカによる影響力が大事なのだと語る。イラクの民主主義を増強させ、イラクの治安維持隊を育てることは、今後も続けるべきだと。

また、アメリカ軍が撤退することによるイランの影響も無視出来ない。キーネ大将は過去にもアメリカ軍がずっと駐留した国では平和が保たれているが、我々が撤退した国では混乱を招いたとし、ドイツ、日本、韓国などが民主主義を保っているのに比べ、ベトナム、サマリア、ヘイチなどの民主主義が崩壊した失敗例を上げた。

イラク撤退はイラク政府が望んでいることだという反論に対して、キーネ大将は、それはオバマ政権がイラクに長期駐留する意志がないことをあからさまに示しているため、イラク政府としてはアメリカ軍撤退後のイラクについて真剣に考える必要があるからだとしている。アメリカの影響を期待できないのであれば、イランからの侵略を避けるために外交上色々な手を考えなければならない。それが反米的な態度に現れるのは仕方ない事だというわけ。

今後もアメリカの影響が期待できるのであれば、イラクも近隣諸国にさほどの遠慮は必要ないが、そうでないならそれなりの考慮をしなければならない。せっかくアメリカ軍が大量の犠牲をはらって中東でも珍しい親米で比較的民主的な国家を作り上げたと言うのに、オバマに任せておいたらイラクはすぐさまイランの手中に嵌ってしまうだろう。我々アメリカはイラクをイランにくれてやるために7年も戦争をやったのか?

オバマ王ほどアメリカの勝利に耐えられない大統領は1970年代のジミー・カーターくらいだろう。

October 26, 2011, 現時間 8:23 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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May 2, 2011

え〜、ビンラデンが死んだって? もうどうでもいいんだけどね、、

イラク関係 , 対テロ戦争

オサマ・ビンラデンがCIAの襲撃で頭を打ち抜かれて殺されたとオバマ王が発表した。遺体は米側が収容したとのことなので、ま、間違いはないんだろう。

はっきり言って今更ビンラデンが死んだからってどうってことはない。アルカイダはイラク戦争でアメリカ軍にこてんぱんにやられてしまって今や見る影もない。ビンラデンなんてただの象徴で特に指導権があったというわけでもない。

それでもオサマ・ビンラデンが死んだというのは祝福すべきことであり、ブッシュ前大統領が色々頑張ってくれたおかげである、ありがとうジョージ・W・ブッシュ!

さてと、色々書きたい事はあるのだが、かなり疲れてるので、簡単な感想のみ。きちんとした分析は週末にでもまとめて書く事にする。

まず、オバマ王のビンラデン襲撃に関する反応だが、ビンラデンを襲撃したという日曜日の真夜中に特別記者会見を開いて一言演説をぶったのはいいのだが、その演説ではまるで中学一年の英語みたいに"I, my, me"という一人称がふんだんに使われており、あれだけ聞いてたら、オバマ自らがコマンドを指揮してビンラデンの隠れ家に乗り込んでビンラデンの頭をぶち抜いたとでもいわんばかりである。

私は大統領就任早々CIAのレオン・パネタ局長に命じて、、、「去年の8月、、、私は諜報部からビンラデンの手がかりに関する報告を得た。「私はなんども国土安全保障局チームと会見し、、、そしてついに先週、私は行動に移すに充分な情報を得たと判断し、オサマ・ビンラデン襲撃作戦を認可した、、」

「本日、私の指揮のもと、合衆国はパキスタンのアボタバドにある邸宅への襲撃を開始した、、、

ああ、そうですか。ブッシュ大統領の代からの作戦がやっと花を咲かせたなんて認識をまったくせず、自分だけがんばってビンラデンをついに殺したなんて言い方は止めてほしいね。まったく何もかも自分の手柄にしたがるオバマ王のやりかたは気色悪い。

しかし、それでもまだビンラデンの遺体を米軍が収容してアメリカに持って帰り、遺伝子検定など色々調査を行ったうえで、遺体を焼かれると天国に行けないと信じているイスラム教徒過激派のビンラデンの遺体を火葬するくらいのことをやってくれれば犠牲者の皆さんたちの気モ収まるだろうと思っていたら、24時間もたたないうちに海に遺体を放ったという。しかもイスラム教のお祈り付きで。

なんでアメリカがビンラデンみたいな大量殺人鬼テロリストの宗教に敬意を表する必要があるのだ?奴は地獄で灼熱の炎に永遠に燃やされるべきなのだ、天国にいって72粒のレーズンに迎えられる権利などない!

なんか、オバマ王ってのは思いつきでいきあたりばったりことばかりやってるような気がする。そうしておいて、まぐれで何かがうまくいくと「ワシが立派だからじゃ。恐れ入ったか、このうつけども、カッカッカ、、、」てなもんだ。

ところで、ビンラデンが「隠れていた」場所というのは、パキスタンでも高級住宅街だと言う話。しかも回りはパキスタンのエリート軍大学や基地に囲まれているとか。いったいそんな場所でどうやってビンラデンは何年も「隠れて」いられたのか、オバマ王はパキスタンをどうするつもりなのか、はっきりさせる必要がある。

付けたし:クリントン時代にオサマ・ビンラデンを捉えるチャンスをあと一歩で逃した事があるが、その時の様子や911同時多発テロがおきるまでの過程を綴ったドキュドラマ、911への道をここで改めて観てみるのも悪くないだろう。

May 2, 2011, 現時間 10:09 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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July 20, 2009

イラク政府、米軍との合同パトロールを拒否

イラク関係 , 独裁者オバマ王の陰謀

ミスター苺によると、イラクのマリキ首相は去る7月2日、一方的な米軍の撤退条件を発表した。その内容を見るに付け、いかにジョージ・W・ブッシュのいないアメリカ政府がイラク政府から馬鹿にされているかが顕著に現れているという。

この一方的な条約はアメリカ軍には寝耳に水だったのだが、その内容で特にひどいのは、今後一切アメリカ軍とイラク軍の合同パトロールは行わないという項目だ。

市外中央区以外からの米軍撤退バグダッド司令部が祝った翌日の7月2日、イラクのトップ司令官たちはアメリカの司令官たちにバグダッドにおける米・イラク「合同パトロールは停止する」と宣言した。このガイドラインには米軍の補給隊の行動は夜間のみと制限されており、アメリカ軍による「違反があった場合には即刻報告すること」と明記されている。

この新しいガイドラインにはイラク政府とアメリカ政府との緊迫した対立が反映しており、イラク政府はこれを機会にイラク市民に、イラク政府によるアメリカ依存は減っているということを示そうとするものだ。

イラク政府はあれだけアメリカ軍にお世話になっていながら、この恩を仇で返すような仕打ちはないだろうとカカシは腹が立つ。アメリカはイラクの独裁者サダム・フセインとそのどら息子二人を取り除き、イラクをアルカイダの魔の手から救い、今の自由民主義国を作るためにアメリカ人の血を多く流してきたというのに、この裏切りはひどいのではないか?

ミスター苺は、これがもしブッシュが今でも大統領だったならば、絶対に起きて得ないことだったという。マリキ首相は誰よりもジョージ・W・ブッシュの強さと頑固さを知っている。ブッシュ大統領は誰がなんと言おうと、こと防衛については妥協しない男だ。

だが、バラク・フセイン・オバマは違う。マリキ首相は、それが北朝鮮にしろロシアにしろ中国にしろ、同盟国であるはずのヨーロッパ諸国や中南米との関係についても、こと外交に関してはオバマ政権の弱体ぶりを十分に理解している。

特にマリキからすれば、イラク・アメリカ連合軍に多大なる損害を及ぼした危険なイランの特別部隊クォッズ隊の幹部を解放するなどといった、オバマによるイランのマフムード・アフマディーネジャード首相への媚び諂らいを見るに付け、オバマ大統領は弱すぎる頼りにならないと思うのは当たり前だ。

最近イラクでは一時衰えていた暴力沙汰が増加している。それというのも、イランがスポンサーとなっているテロリストの活動がまたぞろ活発になってきたからである。現在イラクでまだ活躍しているシーア過激派には Asaib al-Haq、 Khataib Hezbollah、そしてthe Promised Day Brigadesの三つのグループがある。これらは2006年にイラクを恐怖に陥れたモクタダ・アル・サドル率いるthe Jaish al-Mahdi (JAM) 民兵軍から派生したもので、このどのグループもすべてイランから資金援助並びにトレーニングを受けている。

だが、オバマがイランによるイラクへのこうした攻撃を取り締まる可能性などまったくない。マリキの目にもそれははっきり見えるはずだ。ということは、いつ何時オバマはイランに迎合するためにイラクの国土安全保障を売り渡すかわからないとマリキが踏んだとしてもカカシはマリキを一方的に責めることはできない。カカシがイラクの首相でも、オバマを総司令官とするアメリカ軍に依存しきっているのはイラクにとって危険だと考えるだろうから。

となれば、オバマはブッシュ大統領とアメリカ軍が血と涙で固めたイラク戦争の勝利を、テロリスト相手に「話せば解る」式のナイーブな外交によって完全に台無しにしてしまおうというのだ。そうやってイラクがイランの手に渡ってしまった場合、オバマは自分の不能の責任を取るだろうか?

その答えはもちろん「否」である。オバマは「そ~れみろ、イラク戦争など勝てるはずがなかったのだ。み~んなブッシュがわるいんだよ~」と知らんふりを決め込むのが落ちだ。

まったくこんな奴に大統領をやらせるなんて、アメリカ有権者はなにを考えたんだ?

July 20, 2009, 現時間 9:05 PM | コメント (1) | トラックバック (0)

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July 15, 2009

オバマ王、アメリカ兵を大量殺害したイランテロリスト幹部5人を釈放

イラク関係 , イランが危ない , 対テロ戦争 , 狂ったメディア , 独裁者オバマ王の陰謀

この間も、イギリスの人質を救うためにオバマ王がイランのテロリストを釈放したという話をこの間もしたばかりだが、オバマ王は、なんと、今度はイラクにおいてアメリカ兵を千人近く殺害した武器開発及び戦略訓練をイラク抵抗派に供給したイランのテロリスト幹部5人を解放した。

ナショナルレビューの記事によると、どうやらこれは、イラン側が5月にイランで逮捕されたイラン系アメリカ人記者の解放条件の一部としてオバマ政権に要求していたことらしい。

釈放されたのは“Irbil Five”(アービルファイブとでも発音するのかな?)といって、イランの特別部隊クォッズ隊のメンバーである。イラクで戦死した1/10がアービルファイブの開発したEFP (Explosively Formed Penetrator)という武器で殺されたとされている。またこの5人の幹部はイラク内におけるゲリラ作戦をイラク抵抗派に支持指導した幹部であり、この幹部の指図で殺されたアメリカ兵の数はEFPで殺された数の何倍にもなると思われている。

ブッシュ政権がアービルファイブの釈放を断じて拒んでいた理由は、イランがイラクにおいてアメリカ兵に攻撃を継続させていたこと、またアフガニスタンのタリバンにも武器及び軍事訓練の供給をしていたことがあきらかだったからである。そしてオバマ政権になった今もその状況はなんら変化はないのだ。

にも関わらず、オバマ王は、たったひとりのイラン系アメリカ記者の開放を獲得するために、今後もイラクやアフガニスタンで数知れないアメリカ兵を殺害することになる非常に危険なテロリスト幹部を釈放してしまったというのである。いったいオバマ王は何を考えているのだ?

しかもアービルファイブの釈放は人質交換条件の一部であり、他にも有力なテロリストを何人も解放することが条件に入っているという。ということはオバマはそいつらも釈放するつもりなのだろうか?

カカシに理解できないのは、オバマ王がこの釈放によっていったい何を得ようとしているのかということだ。アメリカは人質の釈放のためにテロリストと交渉は一切しないという方針をずっと取ってきた。非公式な裏での取引は無論そういう場合でも行われてはいたが、表立った交渉はしないことになっていた。それをオバマ王が覆す理由は何なのだろうか?

下々の者のことなどなんとも思っていないオバマ王が、たかがジャーナリスト一人救うために、こんな危険な行為に出るのはいったい何のためなのだろう?

July 15, 2009, 現時間 1:19 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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July 2, 2009

オバマ王テロリストと交渉か?解放されたテロリストは英人質と交換

イラク関係 , イランが危ない , 対テロ戦争 , 独裁者オバマ王の陰謀

アメリカは1970年代のカーター大統領の時代からテロリストとは交渉しないという政策を取って来た。1980年代にレーガン大統領がレバノンでヒズボラの人質となったアメリカ人をとりもどすべく、ヒズボラの後ろ盾であるイラン政府の穏健派に接近、人質返還交渉の仲買をしてもらうべく武器供給をしたとして大騒ぎになった。

このいわゆるイランコントラ事件は、大統領みずからがアメリカの方針に背いてテロとの交渉をしていたとして、共和党のレーガン大統領に対し、民主党議会からは非難囂々、テレビや新聞は毎日のように何週間にも渡ってレーガンの『犯罪』を報道しまくった。

早送りして25年後、オバマ政権は先月こっそりと、アメリカ兵を誘拐殺害したテロリストを釈放していた。この男の名はレイス・アル・カーザリ(Laith al-Khazali)といいシーア過激派グループ、アサイブ・アル・ハク(Asaib al-Haq)のメンバー。この男はどっかの変態フェミニストが言うようなテロリストかどうか解らないというようなあやふやな奴ではなく、アメリカ兵5人を誘拐して殺害したことがはっきりしているイラン系のテロリストなのである。本来ならば裁判にかけて処刑するべき人間だ。それを何故オバマ王はイランに返したのだ?

共和党上院議員のジェフ・セッションズ(Jeff Sessions)議員とジョン・ カイル議員の二人はオバマ政権に対し、このテロリストの釈放はイラクで2007年に拉致され人質になっている5人のうちの3人の釈放を確保するための交換条件だったのではないかと真相を質す手紙をオバマ政権に提出した。6月21日、アサイブ・アル・ハクは英国兵2人の遺体を英国大使館に返還している。この交渉はあとの3人を生きて返してもらうためのものなのではないかと議員達は質問しているわけだ。

「25年間、我々には両党においてテロリストとは交渉しない、特に人質との交換としてテロリストを釈放しないという方針を取って来ました。」とセッション氏はワシントンタイムスに語った。「これは懸命な方針であると考えます。そして我が国の長期的な安全保障には重要な方針です。」

ドイツ人やイタリア人といった他の外国人に比べてアメリカ人があまり拉致されないのも、アメリカ政府は人質返還の交渉をしないことで有名だからである。イラクでの誘拐はイラク人にしろ外国人にしろ身代金目当てのちんぴら犯罪者によるものが多く、誘拐犯はテロリストとしてアメリカ軍やイラク軍から狙われることを望んでは居ない。であるから最近のアメリカ兵拉致は単にアメリカ兵をいたぶって殺してやりたいという報復的なものか、もっと政治がらみの組織によるものであることが多い。

しかるに、オバマ王が本当に人質との交換を条件に、いまでもアメリカ兵を殺しているイラン系テロリストを釈放したとなれば、これは由々しき問題である。メディアはレーガン大統領の時のように、この問題を掘り下げて報道すべきである。だがメディアの反応はというと、、、

。。。。。。。。。

完全な沈黙。

オバマべったりの大本営放送は大統領の裏切りさえ報道しない。オバマ王が民主主義を訴える市民を武力で弾圧するイラン政府に不思議なほど遠慮勝ちなのもこれが原因なのかもしれない。

July 2, 2009, 現時間 11:19 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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May 1, 2009

イラク米兵過去7ヶ月で最高戦死者数を出す

イラク関係 , 対テロ戦争

オバマ政権になって100日が経ったが、最近イラクでの暴力沙汰が増えている。APの記事によると、4月はここ7ヶ月で米兵犠牲者数が最高を記録したという。

つい先日もモスールちかくにあるイラク最大の貯水湖付近のレストランで自爆テロがあり、5人が殺害され、10人が負傷した。暴力事件の急増はイラクのテロリスト達が米軍の撤退を期に、その勢力を挽回しようとたくらんでいることの現れだろう。

情勢が悪化しているのはイラクだけではない。アフガニスタンでも特にパキスタンでのアルカイダの活躍はかなり活発になってきている。皇太子時代にはイラクよりもアフガニスタンに力を入れるべきだとか、パキスタンに攻め入るべきだとか、威勢のいいことを言っていたオバマ王だが、いざ王となり政権を握った途端に対テロ戦争から全く興味を失ってしまった。米軍総司令官として完全に欠席状態。

あきらかにテロリストどもはオバマ王を試しているのだ。だからあちこちで紛争が急増しているのだ。これは多分共和党の候補者だったマケインが大統領になっていても同じことが起きていただろう。だが、その対応には雲泥の差があったはずだ。

また上記の記事によると、イラク政府はアルカイダの上層部の人間を逮捕したらしいが、米軍にそのテロリストの尋問を許可していない。これまでなら重要人物は米軍によって拘束されるのが例だったが、いまはテロリスト拘束はイラク政府の管轄となり米軍のアクセスを拒絶するまでになっているというのも興味深い。

オバマ王が米軍によるテロリストへの『拷問メモ』を公開してしまったことにより、イラク政府は表向きは「アメリカ軍は容疑者を拷問するから引き渡せない」というかもしれないが、内心では「アメリカ軍は生温いから俺たちで尋問しよう。」と思っているのかもしれない。

ま、何にしろだ、敵も味方もアメリカのオバマ政権を甘くみていることだけは確かだ。オバマ王もリベラルもアメリカが強気で傲慢だから世界から嫌われてアメリカへの攻撃が増えたと言い張っていた。だからオバマ王は世界に謝罪ツアーに出かけたのだろう? だとしたら、平穏化していたイラクやアフガニスタンや、ムシャラフ時代は安定していたパキスタンなどが、打って変わっての動乱ぶりを見せている状態を、オバマはどうやって説明するつもりなのだ?

これも皆ブッシュ前大統領のせいにするつもりなのか?

不幸なことに、主流メディアはオバマ王の言いなりになって、すべてブッシュが悪いという路線で押し通すのだろう。その嘘にいったいどれだけのアメリカ市民が騙されるのであろうか?

May 1, 2009, 現時間 8:38 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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March 18, 2009

とんだ茶番劇、オバマ王と民主党議会のAIG幹部ボーナス批判は偽善の固まり!

アメリカ内政 , イラク関係 , 対テロ戦争 , 防衛

ここ連日、オバマ王はじめ議会の連中は倒産を目前に政府から救済された保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)幹部が、庶民の税金で多額のボーナスをもらっていたことで、重役たちに日本を見習って切腹しろなどと迫るほど大騒ぎをしている。

以下は朝日新聞の記事より

高額のボーナス支給が明らかになった米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に対して米議会は17日、ボーナスのほぼ全額を課税で回収する法案の採決を検討し始めた。巨額の公的資金投入で救済された同社のボーナス支払いに批判が噴き出しており、同社首脳陣は命をかけて引責すべきだとの声も一部議員から出ている。

 ボーナスは08年分の一部で、13日に幹部ら400人に1億6500万ドル(約160億円)が支払われた。この問題を調べているニューヨーク州のクオモ司法長官は17日、結果を公表。計73人が各100万ドル(約9800万円)超を支給され、うち11人はすでに退社。200万ドル(約1億9600万円)超が22人おり、最高額は640万ドル(約6億2700万円)という。

 議会では同社のボーナスのほぼ全額を課税する複数の法案が既に提出されている。オバマ政権も議会と連携して課税強化を検討。課税率が100%の法案もあり、AIGが支給を見直さない限り、議会指導部は法案を一本化して採決に踏み切る姿勢だ。金融危機対策を決める幹部議員は、支給を無効にする訴訟の可能性も示唆している。

AIG幹部へのボーナス自体は腹が立つが、議会のこの「怒り」は単なる茶番劇だ。オバマ王も民主党議会も政府の救済案が出た今年の1月の時点でAIG幹部へのボーナスは契約上避けられないという事実を充分に承知していた。幹部らのボーナスの金額だけを見ていると、彼らが多額のボーナスを不当に受け取ったかのように見えるが、オバマ王並びに民主党議会のポーク(贅肉)だらけの税金無駄遣い国家予算案にくらべたら1パーセントにも満たない額なのだ。民主党議員たちが匿名で組み込んだイヤーマークと言われる地方選挙区の企画をひとつでも削れば充分に補える額なのである。

それを今更議会があたかも驚き怒り狂っているかのような演技をしているのは、自分らの税金無駄使いから国民の目をそらそうとする目的もそうだが、それ以上にオバマ王の社会主義政策を押し進めるために企業に対する国民の感情を煽ることが第一の目的なのだとカカシは考える。

最近カントリーウエスタンのヒットチャートを急速に登っている流行歌があるが、このShutting Down Detroit「デトロイトの閉鎖」という歌ではジョン・リッチという人気歌手がデトロイトの自動車産業が倒産していくなか、ワシントンの政治家達がAIGのような金融企業を救済していることを批判している。しかし、デトロイトの低迷の直接の原因はアメリ金融企業の倒産ではなく労働組合が幅を効かせ過ぎる自動車業界の実態にある。ただ、一般庶民はまだまだ労働組合が労働者の味方であり、自分らの敵は企業の重役達なのだという偏見を持ち続けている。

オバマ王並びに民主党議会はこの一般庶民の金持ちへの妬み意識を増長することで、階級意識を一層高め、自由企業への政府による介入を強めようという魂胆なのである。つまり、自由市場を社会主義化しようという目的なのだ。

一般市民が日々の暮らしにも困り、給料引き下げや残業手当の廃止などで犠牲を強いられている時に、国民の血税で救済された金融企業の重役達が何百万ドルものボーナスをもらったという話を聞けば、一般市民が腹を立てるのは当然だ。しかし、その感情を利用して、今後このようなことが起きないように政府が大手企業の経営に介入するというような政策がまかり通ったならば、アメリカの自由市場はおしまいである。自由企業が腐敗しているとはいえ、お役人が経営する企業ほど腐敗するものではないからだ。これは共産主義国家の旧ソ連や中共や北朝鮮やベネズエラやキューバを見れば明らかである。

アメリカ市民は、オバマ王や民主党議会の猿芝居に騙されてはいけない。議会が本当に税金の無駄遣いを慮っているのであれば、議会が通した無駄遣いづくめの予算案を撤回せよ!オバマ王の経済非救済案を撤回せよ!イヤーマークをすべて削除せよ!

それまでは、他人のボーナスがどうのこうのと批判する権利はお前らにはない!

March 18, 2009, 現時間 6:48 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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March 15, 2009

何がチェンジだ!オバマ王、ブッシュ対テロ政策を継続

アメリカ内政 , イラク関係 , 対テロ戦争

14日付けのニューヨークタイムスで、オバマ政権は今後テロ容疑者を『敵性戦闘員』とは呼ばないことにしたと報道している。ニューヨークタイムスはこの『敵性戦闘員』という言葉はブッシュ政権が勝手に使いだした造語であるかのような報道をしているが、この言葉自体は別に新しいものでもなんでもない。

ブッシュ前大統領がテロリストを『敵性戦闘員』としたのは、2001年の9月11日以降、テロとの闘いは単なる国家警備政策ではなく戦争であるという認識から生まれたものだ。戦争をしている以上、敵側で戦っている人員は単なる犯罪者ではなく戦闘員であるという解釈である。

オバマ王は、アメリカがテロリストと戦争状態にあるという認識から遠ざかりたいようだ。それで以前から『テロとの闘い』という言葉も使わないようになっていた。以下は朝日新聞の記事より

オバマ大統領は、就任直後の1月22日に出した大統領令でグアンタナモ収容所の1年以内の閉鎖を命じた。オバマ政権は発足以降「テロとの戦い」という用語も基本的に使わなくなった。前政権が多用した「敵性戦闘員」という概念も捨てることで、オバマ流への移行を象徴的にアピールしたかたちだ。

今回の新政策の背景には、連邦最高裁が昨年6月、グアンタナモ収容者にも拘束の不当性を裁判所に訴える権利が保障されているとの判断を示したことを受け、人身保護令状審査の訴訟の一括審理が、ワシントン連邦地裁で始まったことがある。

この裁判の判事が、被告である米政府にどういう人物が「敵性戦闘員」にあたるのかの定義を13日までに文書で提出するよう命じていた。これに対し、司法省は「敵性戦闘員」というレッテルを張ること自体を今後は廃止するとの回答を出した。

確かにオバマ王は、対テロ戦争にはずっと反対派で、ブッシュ政権の対テロ政策にはずっと手厳しい批判を述べて来た。だから今回の方針変更もオバマ皇太子が選挙中にした公約の行使であると解釈することも出来る。だが、言葉使いはともかく、オバマ王の政策はブッシュのそれと何処がどう違うのであろうか?

朝日新聞の記事では冒頭で、

オバマ米政権は13日、「敵性戦闘員」はキューバ・グアンタナモ米軍基地内の対テロ戦収容所で無期限に拘束できるとしてきたブッシュ前政権の政策を撤回する方針を発表した。

と書いているが、記事の終わりのほうで、

ブッシュ前政権は、軍最高司令官である大統領には拘束を命じる広範な権限があると主張したが、オバマ政権はこれを修正。国際テロ組織アルカイダやアフガニスタンの旧政権タリバーンに「支援活動をした」というあいまいな嫌疑だけで拘束できるという前政権の解釈に対しては、「実質的な支援」をしたとみられる場合だけ拘束が可能、との見解を示した。

ただ、その「実質的な支援」をどう定義するかについてはまだ明確にしていない。また、議会による9・11テロ後の戦争権限付与決議や戦時国際法を根拠に、大統領は「公訴手続きなしでの拘束を命令できる権限」を引き続き有しているとしている。

これってオバマ王得意の単なる言葉あそびではないのか?テロリストを「敵性戦闘員」と呼ばないとか、無制限な拘束はしない、とか言っておいて、だが大統領には定義もはっきりしない「実質的な支援」をしたかどうかも判定せずに独断で「控訴手続きなしでの拘束を命令できる」というのであれば、単に言葉使いを変えただけでブッシュ政権の政策と何ら変わりはないではないか?

どうしてこれが「ブッシュ前政権の政策を撤回する方針」ということになるのだ?

就任早々グアンタナモの収容所は閉鎖すると大々的に大統領命令を出したオバマ王だが、実際にどうやって閉鎖するつもりなのか、収容者をどうするのかという詳しい話は一向に進んでいない。一年後に閉鎖とか言っていたが、それも今後の調査の結果次第とかいう曖昧な発表で、本当に閉鎖になるのかどうかさせ全く見通しがついていない状態だ。

つまり、ことグアンタナモ収容所に関してはオバマ王の政策はブッシュ前大統領の政策をそのまま引き継いでいるかたちとなっているのである。

オバマ王が口先だけで「チェンジ、チェンジ」と言ってる割には、やってることはブッシュ政権と大した変わりはない。いやそれどころか、自分が選挙運動中に散々批判していたブッシュ政権や議会によるイヤーマーク(匿名で予算案に含まれる議員たちの代表地区企画)や国家負債など、ブッシュ政権の時の何倍という数や額で通った議案をオバマ王はそのまま抗議もせずに調印してしまっている。

何がチェンジなんだ!

March 15, 2009, 現時間 12:20 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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February 28, 2009

オバマ王のイラク撤退計画、ブッシュのそれと何処が違うの?

アメリカ内政 , イラク関係 , 対テロ戦争

ちょっと驚いたのだが、今朝のAPニュースフィードによると、オバマ王のイラク撤退計画は、オバマ王子が選挙運動中に公約として立てた計画とはかなり違っているだけでなく、ほぼジョージ・W・ブッシュ前大統領がお膳立てした通りの計画に沿ったものだと書かれている。リンク先の記事では今回の計画がオバマの公約とどのように違うのかが箇条書きで羅列されているのでひとつづつ追ってみよう。

  1. 戦闘部隊の撤退はオバマの公約より三ヶ月長くかかる。完了するのは2010年の8月の終わりで、オバマ就任後19ヶ月後ということになる。もっともオバマは選挙運動中戦争を早急に終了させることの決意を強調していたが、オバマの演説では常に融通性が小さい印刷文字で強調されている。
  2. つまりオバマの公約は常に注釈付きというもの。小さい文字で書かれた注意書きをちゃんと呼んでおかないとオバマの本意は見逃すということだ。APがそれを指摘するというのも興味深い。

  3. 撤退は月に戦闘旅団一隊づつという一定の速度ではなく、オバマが何度となく繰り返したように下膨れになっている。部隊の配置は今年一杯から2010年の最初の数ヶ月はほぼブッシュ時代と同じである。オバマの計画では大量の兵士が引き上げるのは来年の春か夏頃からになる予定だ。 大統領は撤退の速度は現場の司令官の決断に任せる意志である。
  4. 撤退完了は19ヶ月後とはいっても、ほとんどの兵士は来年の春か夏頃まで駐留し、実際に撤退が始まるのはその後だというのだ。しかも実際の撤退ペースは現場に任せるというのなら、これはオバマの新しい撤退計画というより、ブッシュ大統領の計画そのものではないか?

  5. 撤退後も多くて5万の兵が残る。これは完全撤退を望んでいた反戦民主党支持者の胸を傷めた。
  6. マケイン上院議員は選挙運動中にイラクにはアメリカ駐留軍を半永久的に残すべきだと語った時に、オバマはマケインはイラクをアメリカの植民地にしたいのだなどと批判していたが、いざ自分が大統領になったら少数とはいえアメリカ軍を残すことにするという事実をどうやって説明するのかねえ。

以前にもカカシはこと対テロ政策においては、オバマもいずれブッシュ政策が正しかったことに気がつくはずだと書いた。パキスタンしかり、アフガニスタンしかり、そして無論イラクしかりである。

ところで私が冒頭で「驚いた」と書いたのはオバマの計画がほぼブッシュ計画にそのまま従っているということについてではない。私が驚いたのはAPがその事実を報道したということだ。もっともAPはこのリストの後に、オバマがどうして計画を変更させたのかという言い訳をだらだら書いている。ま、理由はどうあれオバマが現場の将軍たちの意見を取り入れて、アメリカ軍やイラク国家に危険が及ばないような政策を取ってくれるというのならそれに越した事はない。はっきり言って、オバマが選挙公約したことをいちいち実現させたりしてもらってはこちらとしては迷惑だからね。

しかし、そういうことになるんだったら、何の経験もない素人のオバマではなくて、増派計画を最初から推進していたマケイン議員に大統領をやってもらったほうがよかったんじゃないの?え?投票拒否した保守派の皆さん?

February 28, 2009, 現時間 10:00 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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February 27, 2009

オバマ王のイラク撤退公約実現はブッシュ前大統領のおかげ

イラク関係

本日、オバマ王はノースカロライナ州にあるキャンプ・レジューン基地で海兵隊員を前にしてイラク撤退計画の演説をおこなった

オバマ米大統領は27日、ノースカロライナ州ジャクソンビル近郊のキャンプ・レジューン海兵隊基地で演説し、来年8月末までにイラク駐留米軍の全戦闘部隊を撤収させると表明した。ブッシュ前政権下の2003年3月に開戦し、4200人以上の米兵が犠牲となったイラク戦争は、これで幕引きに向けて本格的に動き始めた。

大統領は、「イラクの状況は改善した」と強調した。演説や国防総省の発表によると、現在イラクに展開中の駐留米軍約14万2000人のうち、戦闘部隊9万2000~10万7000人が10年8月までに撤退する。残る3万5000~5万人はとどまるが、イラク治安部隊の教育訓練や、米外交官や米国が実施中の復興支援事業などの護衛に当たるほか、イラク治安部隊が実施する対テロ作戦の支援を主任務とする。

大統領はまた、今年1月に発効した米国とイラクの地位協定で取り決められた「11年末までの米軍の全面撤退」を順守すると述べた。(読売新聞)

このことに関してニューヨークタイムスなどはオバマこの撤退計画があたかもオバマ独自の計画であり、ブッシュ時代との方針とは全く違うものであるかのように書いているが、オバマの計画はブッシュの計画をそのまま引き継いでいるに過ぎない。

この「引き継ぎ部隊」は2011年に撤退するが、これはジョージ・W・ブッシュ大統領が去る前に交渉し合意をとげた計画に従うものである。...

同時にオバマ氏の計画は一部、2007年1月に行われたブッシュ氏の戦略変更からの流れであるという見方が強い。この変更に反対していた新大統領は演説のなかではこの件に触れなかった。早期に撤退する緊急性は犠牲者数が減ったことから緩和された。またこの二年間にわたる成功のおかげで、滞在する必要性も減った。....

ブッシュ氏の前スタッフたちは、この計画はブッシュ氏の2011年までに撤退するという合意の自然な次の段階であると語った。ブッシュ氏の最後の国土安全保障報道官だったゴードン・D・ジョンドロー氏は「タイミングはほんの少し違いますが、イラクが独自に自国の国土安全保証が出来るようになるまで援助するという目的と一致しています。」とし、「これは増派が成功したからこそ可能となったのです。」と語った。(ニューヨークタイムス)

つまるところだ、オバマがイラクからアメリカ軍を撤退出来るのは、ひとえにブッシュ大統領の戦略変更とアメリカ軍の多大なる功績によるものなのだ。オバマの選挙公約などとは無関係なのである。もっともオバマ王はイラクの状態が良かろうが悪かろうが軍を撤退させていただろうから、そう思うとブッシュ大統領のイラク戦争成功は本当に危険なほどぎりぎりセーフだったと言える。

ブッシュ大統領には今更ながらお礼を言いたい。

February 27, 2009, 現時間 7:27 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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February 5, 2009

オバマ大統領就任たった二週間で犯した失態の数々

アメリカ内政 , イラク関係 , イランが危ない , 対テロ戦争

カカシもこのブログで何度か取り上げた歴史学者のビクター・デイビス・ハンソン教授が、オバマの大統領就任二週間をふりかえって痛烈な批判をしている。

オバマの経済や外交対策の失態をみるにつけ「だから言ったじゃないの」と言いたくなるのはやまやまなのだがアメリカの国土安全を考えたら、そんなことをいってるばやいじゃないのである。オバマのせいでアメリカが危機にさらされて困るのはアメリカに済む我々なのだから!

では今回はこの二週間でオバマの経験不足が災いして、彼がどんなに悲劇的な失態を犯してしまったかを説明しよう。そして次回はこの危機を乗り切るためにオバマ新政権がなにをしなければならないのか、ハンソン教授の提案を紹介したいと思う。

第一:自分は道徳的に崇高であると宣言したこと。

もちろんオバマのグルーピーとなり下がったアメリカメディアもこの宣言にひれ伏してしまっているが、オバマのどこが道徳的に崇高なのだとハンソン教授は問いただす。オバマ最初の政治界への挑戦である下院議会への出馬は失敗に終わった。その後の当選は二度に渡ってライバル候補の離婚スキャンダルが選挙直前に何者かによって暴露され、二度ともライバル候補が辞退してしまったため、挑戦者なしでオバマが当選。人種差別牧師のジェラマイヤー・ライトや、左翼テロリストのビル・エヤーズなどとの付き合いを考えると、オバマは道徳なんて言葉を真顔で口に出来るような人間ではないはず。ハンソン教授は書いていないが、選挙違反で悪名高い左翼過激派団体のエーコン(民主党の経済救済法案のなかにエーコンへの援助金が含まれている)や上院議員の席を競りに出したイリノイ知事との深い関係なども考慮にいれると、オバマの道徳観念など、とても自慢できるものではない。

選挙前の公約で、ワシントンDCにはびこるロビーイスト(企業や団体に雇われて、特定の政策を政治家たちに陳誠する人たち)を一掃するとか言っておきながら、ロビーイストの代表みたいなトム・ダッシェル脱税家を始め、次々に10人以上もロビーイストたちを自分のスタッフに加えているオバマ王室。それに加えて各省の長官候補は脱税や汚職疑惑で次々に辞退。辞退していない候補でも疑惑の陰が深く陰っている。そんな奴が前代のブッシュ政権の道徳観念を批判し、自分は前代よりも善良だなどと言ってみても説得力皆無である。


第二:アメリカ歴代政権の悪口を言い、諸外国の反米偏見を確証してしまったこと。

無知というのは恐ろしいもので、経験もないくせに自分は聡明だと思い込んでいるオバマは、歴代政権の政策を外国でこき下ろすことで自分の株があがると思い込んでいる。外国にとってはオバマ政権もブッシュ政権もアメリカに変わりはない。アメリカの悪いイメージは大統領がブッシュでもオバマでも全くかわりはないのである。前政権の悪口はアメリカへの悪口と理解されるだけなのだ。しかも自国の歴史に疎いオバマ王はこれまでアメリカがトルコやレバノンやサウジといったイスラム諸国に数々の資金援助をし、コソボやボスニアそしてクエートを始めイラクやアフガニスタンの例でも解るように、時には戦争して自国兵の命を犠牲にしてまでイスラム庶民の命を救ってきたことを恩に着せるどころか、イスラム圏でアメリカが不人気なのは一方的にアメリカに責任があるとほとんど謝罪口調なのだ。イスラム諸国との交流を強調していたカーター時代にイランがアメリカ人をどう扱ったか、オバマにはもう一度歴史の勉強をやり直してほしいもんだ。

イスラム諸国では歴史を無視した「アメリカは悪」という先入観がすでに存在している。オバマが彼らの偏見を真実だと認めてしまった以上、いくら自分は歴代の大統領とは違うなどと言ってみても、すでに反米意識で凝り固まったイスラム諸国の人々はアメリカに好意を持つどころか、は「アメリカは悪」という自分らの主張が正しかったことが確認されたとし、それを糧にさらに反米攻撃に奮起することは間違いない。

第三:ブッシュの対テロ政策は憲法違反だったと宣言したこと。

ブッシュ大統領が911同時多発テロの後に新しく設立したFISAやグアンタナモテロリスト収容所や愛国法やイラク戦争や外国人テロリストのアメリカへの強制移動など、アメリカ本土を守るためにやってきた政策をすべて憲法違反だと宣言し、ブッシュが911以後アメリカ本土はもとより外国でもアメリカを標的にした攻撃を阻止し、アメリカの安全を守って来たことを完全に無視していることだ。オバマは他の公約を次から次に破っていることでもあり、これらアメリカを守って来たブッシュ政策はの変更は、単に選挙に勝つために憲法違反だと宣言しただけで実際に変更する気など全くないことを祈りたい。

第四:オバマの発案した経済活性法案は単に民主党の社会主義活性法案となり替わり、税金の無駄使い政策にすぎないこと。

オバマ及び民主党が発案した経済活性救済法案は、経済を活性するどころか、経済とは何の関係もない教育だの芸術だのエーコーンのような民主党の応援団のような政治団体への資金援助だの、民主党が長年夢精してきた社会主義政策に満ち満ちている。こんな予算案を承認したら、将来アメリカは取り戻せない巨額の負債を負うことになる。なんで経済低迷中に経済活性になんの役にもたたない政策の予算を増やすのだ?

オバマのエマヌエル参謀総長は「危機を無駄にしてはいけない。」と語ったという。これはどういう意味かといえば、国が危機に瀕している時こそ、「緊急事態だから、、」という言い訳で政府の力の増長に利用することを怠ってはいけないという意味である。第二次世界大戦中に国の危機を口実に時のルーズベルト大統領が極端に政府の権力を増幅したことをエマヌエル総長は念頭においているのだ。

第五:全く無能なロバート・ギブスを報道官として起用したこと。
ハンソン教授はオバマの報道官はどうしようもなく無能だと手厳しい。そのひどさんはクリントン大統領のマクレラン報道官よりもひどいかもしれないと語っている。カカシはマクレランはそれほどひどかったという記憶はないのだが、ハンソン教授に言わせるとギブスは裏表があり、あいまいで、オバマ政権の党を超えた方針とやらを全く反映していないという。オバマに友好的な記者団だからまだ救われているが、彼が共和党大統領の報道官だったら、もうとうの昔に八つ裂きにされていたことだろうという。

第六:副大統領のジョー・バイドンにやたらと演説をさせてしまったこと。

だいたいジョー・バイドンのように思いつきで訳の馬鹿げたことを語るので悪名たかい人間を副大統領になどしたことに問題があるわけだが、バイドン副大統領は予測どおり、副大統領になってもオバマに恥をかかせるような発言ばかり連続で放っている。すでに最高裁判官の宣誓式での間違いをおちょくり、前副大統領の悪口を声高く唱え、自分は国務庁長官の候補にも上がっていたのだなどとヒラリーを侮辱するような発言までしている。外交の面でも何の経験も実力もないバイドンが、ヒラリーの悪口をいえた義理か、あほ!などと今さら言っても無駄だろう。

オバマ連続失態のもたらしたもの

私は以前からオバマはアメリカの敵国から試されるだろうと指摘してきたが、すでに北朝鮮は長距離弾道ミサイルの発射を予定しているし、イランは人工衛星を打ち上げるし、ロシアはヨーロッパの弾道ミサイル防衛は終わったと宣言し、近隣のキルギスタン(Kyrgyzstan)国に多額の支援金を約束し、アメリカ空軍基地をキルギスタンから追い出そうという魂胆だし、自然ガスのヨーロッパへの販売についてもかなり強気の保護主義をみせている。アフガニスタンのカルザイ大統領もオバマ政権のことは全く信頼していないらしく、オバマが時期大統領となった去年の11月から宿敵ロシアと交渉をはじめたと言われている。

つまり、諸外国はオバマ政権の実力を全く信頼していないのだ。私は何度も強調してきたが、アメリカは諸外国に好かれる必要はないのである。それよりも強いアメリカとして諸外国に恐れられていたほうが、アメリカの安全を保つためには好ましいことなのだ。

オバマのおかげてアメリカは危険な敵国を含め諸外国から見下されてしまった。今後アメリカがこれ以上恥じをさらさないためにも、オバマは早急に政策を変更する必要がある。どのように変えるべきなのか、それは次回改めてお話しよう。

February 5, 2009, 現時間 10:48 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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November 15, 2008

アメリカはイラク戦争に勝った、、従軍記者マイケル・ヨンの報告

イラク関係

フリーランスの突撃従軍記者のマイケル・ヨンが「戦争は終わった、我々は勝った」と報告している。

Instapunditよると、バグダッドに駐留中のマイケル・ヨンが電話で、イラクの状況は彼が期待していたよりずっと良くなっていると語ったという。

「まったくなにも起きてない。私(マイケル)は第十山岳師団と一緒にいるが、彼らの約半数が今回の勤務で、ここへ来てから8ヶ月間に一度も武器を撃っていない。しかも我々のいるのは、かつてイラクでも最悪といわれていた南バグダッドなんだ。それが今はなにも起きてない。 私は足が棒になるまで歩き回っているが、全くなにも目撃していない。イラク人に「また暴力がはじまると思うか」と聞いて回っているが、いつも悲観的なイラクのジャーナリストたちですら楽観的な見解を示している。」

もちろんまだ多少のいざこざはあちこちで起きている。だが、全体の治安を脅かすほどではない。しかもイラク軍のみならず、以前はかなり評判の悪かったイラク警察ですら国民から信用を得るようになったという。アメリカ軍によって受けた訓練がやっと見返りをみたらしい。

「アフガニスタンの状況は悪いが、イラクにおいてはこんなに良くなるとは信じられないよ。」

とマイケルは語っている。皮肉なことではあるが、次期大統領のオバマは希望通りアメリカ軍をイラクから撤退させることが出来るだろう。実際にイラク戦争に勝ったのはペトラエウス将軍のCOIN(対抵抗軍作戦)を起用したブッシュ大統領なのだが、オバマ支持者たちはオバマこそがイラク戦争を終わらせたと歴史を書き換えるに違いない。

だが、カカシ個人としては、オバマが大統領になる前にブッシュ大統領が始めたイラク戦争にブッシュ大統領がケリをつけてくれたことに感謝している。もしもイラク戦争が途中のままオバマが大統領になっていれば、イラクがどんな悲劇的なことになってしまったか、そのためにアメリカがどれだけの危険にさらされたか、考えただけでも恐ろしいからだ。

イラク戦争は終わった。アメリカはイラク戦争に勝ったのだ。

カカシがイラク戦争が始まった当時から言い続けて来たことがある。それは、

『テロリストは殺せ! 正義は勝つ!』

少なくともイラクでは正義が勝った。

アップデート:マイク・ロスのブログで増派前と増派後のバグダッド60番街の映像を観ることができる。増派前はひとっこひとり歩いておらず、米軍の戦車だけが走っていた60番街。増派後は乗用車が何台も走り、レストランやウエディングドレスの店やビリヤード店などがあいてにぎわっている。

November 15, 2008, 現時間 10:25 AM | コメント (3) | トラックバック (0)

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July 27, 2008

戦争負傷兵の慰問を日程から外したオバマ

アメリカ内政 , イラク関係 , ヨーロッパ

Hot Air でリポートしているキャプテン・エドによると、民主党大統領候補のバラク・オバマ議員は、ドイツを訪れた際、アメリカの陸軍病院への慰問を日程の都合がつかないことを理由に削除していたにも関わらず、実際はその間観光していたことが明らかになった。

キャプテンエドによると、これは何を優先するかの問題だったのだと言う。つまり、限られたヨーロッパ訪問の日程のなかで重要な価値のあるイベントを優先し、そうでないものが後回しになるのは当然のことだ。 だから軍隊嫌いのオバマがアメリカ負傷兵の慰問を削ったのは当然の成り行きというものだろう。

ドイツの新聞のSPIEGELによると、金曜日、オバマはドイツのアメリカ軍基地にある陸軍病院The Landstuhl Regional Medical Center (LRMC)への慰問をキャンセルしたが、このThe Landstuhl Regional Medical Center (LRMC)病院は海外で負傷した兵士や海外駐在者の家族も治療する病院で、陸軍と防衛庁によって運営されている。現在はアフガニスタンやイラクで負傷した兵士が主に入院しており、かなり重傷の人が多い。

キャンセルの理由として日程の都合がつかないと言い訳していたオバマだが、実は慰問をキャンセルしたのは日程ではなく政治的な計算だったらしい。

実はオバマは最初、病院で負傷兵の慰問を大々的に行ってそこで演説でもぶり、その映像を選挙コマーシャルに使おうと考えていたらしい。しかし軍では現役の兵士は政治活動に参加できないことになっており、兵士を政治コマーシャルなどに使ってはいけないという規則がある。だから病院へは選挙アドバイザーなどは同行出来ないし、映像も撮れないことになっているのだそうだ。それで、オバマは選挙運動に使えないなら意味がないと判断して慰問をキャンセルし、その時間を使ってベルリンの観光をしたのである。

しかしこのことで、オバマはかなりの批判を浴びたので、オバマの選挙事務所はダメージコントロールに必死である。事務所は次のような声明文を発表した。

「議会の視察旅行の一部としてアフガニスタンとイラクを訪れた際、オバマ議員はグリーンゾーンの戦闘援助病院をはじめ他にも数々の場所を訪れ兵士らを慰問しました。旅行の第二部でオバマ議員はLandstuhl Regional Medical Center病院にいる男女を慰問し彼らの勤めと犠牲に感謝の意を評したいと考えていました。しかしオバマ議員は選挙運動の予算を使って軍の施設を訪問するのは不適切であると考え、軍人たちへの尊敬の意から訪問を中止しました。」

しかしCBSテレビで報道されたドイツでの演説でオバマは、、、

「今夜、私は大統領候補としてではなく、一市民として、合衆国の誇りある市民として、そして世界の同胞の一市民として、お話します。」

と語ってドイツ訪問は選挙運動の一部ではないと強調した。この視察旅行は選挙運動だったの?それともそうではなかったの?どっちなのよ、はっきりしてよオバマさん!

July 27, 2008, 現時間 2:26 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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イラク新作戦「私は正しかった」とマケイン力強い演説

アメリカ内政 , イラク関係

ヨーロッパで選挙運動を繰り広げるオバマを傍目に、マケインは国内で次々と力強い演説を繰り返しているが、デンバーで行った演説では、これまでになく強い口調でオバマへの攻撃が含まれていた。下記はパワーラインで紹介された演説の翻訳。

オバマ議員も私も将来の総司令官として試される決断に直面しました。アメリカはこの試験に合格しました。私の判断もこの試験に受かったと信じます。しかしオバマ議員は失格しました。

私たちは二人とも政治的に無難な選択はなにかしらの撤退だと知っていました。すべての世論が『増派』は不人気だと示していました。多くの批評家や専門家や立法家たちが(増派に)反対し、軍隊を撤退させその結果を受け入れよと唱えていました。私は兵数を増やすことで援助される新しい対抵抗軍作戦を支持することを選択しました。これは私が2003年に始めてイラク訪問をした時以来唱えていた作戦です。多くの視察者が私の方針は大統領になる希望を閉ざしてしまうと言いました。私はアメリカが戦争に負けるくらいなら、選挙で負けたほうがましだと考えました。私の選択は政治的には懸命なやり方ではありませんでした。有権者の間では人気がありませんでした。これはすべての世論を無視するものでした。でもそんなことはどうでもよかったのです。私の愛するこの国がイラクで成功する最後のチャンスだったのです。新作戦がまさにそれだったのです。だから私は支持しました。今日、その新作戦の結果は明白です。増派は成功しました。そして私たちはやっとこの戦争に勝ちつつあるのです。

オバマ議員は別の選択をしました。議員は新作戦に反対したばかりでなく、新作戦の施行を阻止しようとしました。議員は敗北を唱えたばかりでなく、それを強制しようとしたのです。その企みが失敗すると今度は我が軍の失敗を予言し続けました。我が国の陸軍兵や海兵隊員がバグダッド市街地やアンバリの村々に侵攻していくなか、オバマ議員は我が軍の努力によって宗派間争いは良くなるどころか悪化すると予言したのです。

そして我が軍が敵との戦かっている中、オバマ議員は戦費を断ち切ろうとしたのです。彼は2007年5月、イラクとアフガニスタンにいる我が軍への緊急資金調達に反対した14人の上院議員の一人でした。.....

オバマ議員が戦地の兵士らへの資金を拒絶する票を入れた三週間後、レイ・オディエーノ将軍は増派最初の戦闘作戦を開始しました。オバマ議員はその一ヶ月後敗戦を宣言しました。『私の見解では増派はうまくいっておらず、8週間後も違った報告があるとは思えない。』彼の見解は当時人気がありました。でもこれほど間違った見解はありませんでした。

2007年の11月になると、増派の成功はすでに明白でした。同盟軍への攻撃は増派前に比べ60%も減っていたのです。アメリカ兵の犠牲者数も半分に減り、イラク市民の死者数も三分の二以上減りました。しかしオバマ議員はこの新しいニュースと元気づけられる事実を「実際は悪くなっている、悪い状況が起きる可能性がある」と言い無視しました。

もしオバマ議員の意見が通っていたなら、アメリカ軍は戦火のなか撤退を余儀なくされていたのです。イラク軍は崩壊していたでしょう。市民の犠牲者は劇的に急上昇していたでしょう。アルカエダは我々に協力し始めていたスンニ派のシークたちを殺し、「スンニの目覚め」は誕生と共に息の根を止められていたでしょう。アルカエダ戦士らは温床を獲得しイラク人や外国人戦士らを訓練しイラクを基盤としてイラク外のアメリカ人を攻撃してきたでしょう。内乱や人口浄化などが広まっていたことでしょう。

これらの結果、アメリカは屈辱を味わい弱められていたでしょう。我が軍は長年に渡る犠牲によって士気の落ちる敗北に苦しめられたでしょう。そして我が敵は世界中でより強くなっていたでしょう...

オバマ議員はアメリカの人々が聞きたいと思っていることを述べました。私は真実を語りました。

幸運なことにオバマ議員は失敗しました。私たちは生意気な失望を拒絶しました。(カカシ注:The audacity of hope 「生意気な希望」というオバマの著書をおちょくっている)私たちは正しかったのです。イラクでの暴力はこの長い間で最低のレベルに落ちました。これまで起きるはずがないと信じていた成功の兆しを見たオバマ議員は、自分は常に成功すると信じていたと嘘をつきました。

イラクでは私たちはすでに敗北の戸口に立っているのではなく、勝利への道を進んでいるのです。

オバマ議員は今週、今日こうなることが解っていたとしても増派には反対していたと述べました。後になって考えてみると失敗と成功の選択の機会を与えられた時、彼は失敗を選びました。そのようなことをする総司令官など、私には考えられません。

こうしてブッシュ政権の新作戦が実施されなかった時のことを羅列されると、いかにオバマという人間がアメリカ大統領になることが恐ろしい結果を生むかが理解できる。マケインは今後もこの線でどんどんオバマを攻撃してほしいものだ。

July 27, 2008, 現時間 12:05 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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July 25, 2008

オバマのイラクでの記者会見はやらせだった!

アメリカ内政 , イラク関係 , 狂ったメディア

主流メディアはオバマべったりだと前回も書いたが、それでもオバマを批判するジャーナリストが全く居ないという訳ではない。NBCのアンドレア・ミッチェルはオバマのイラクでの記者会見の模様はやらせで、本物ではないと語っている。

自らもイラクに滞在中のアンドレア・ミッチェルはNBCテレビの外交情報部門の部長だが、バラク・オバマのイラク及び中東訪問の際、オバマが記者団からの質問を避けているだけでなく、公開されている質疑応答はやらせだとさえ語っている。

ハードボールというテレビ番組で、司会のクリス・マシューとロジャー・サイモンがオバマのイラク訪問は良く受け止められており、オバマの選挙運動には有利になるだろうと語ったのを、ミッチェルは遮って驚くべき発言をした。

「情報操作という点について一言、言わせていただきます。オバマ議員はリポーター達と一緒ではありませんでした。同議員は記者団を設けていませんでしたし、アフガニスタンやイラクの現場で記者会見も開きませんでした。 我々が観ているものはアメリカから付き添った記者達ではありません。あなたがたが観ているのは軍によって質問され、撮影され、選択された映像で、なかにはやらせと言ってもいいインタビューも含まれています。なぜならこれらは記者からのインタビューではないからです。ですからここには報道に関する重大な問題が存在します。政治的には賢いやり方でしょう。でも私の記憶では大統領候補がこんなことをするのをこれまでに見たことがありません。」

ミッチェルによれば、軍からオバマにされた質問はフォローアップの突っ込みのない簡単なもので、あいまいな返事で済んでしまうようなものだったと批判している。カカシにいわせたら主流メディアのやり方と大した差はないと思うが、バリバリのリベラルリポーターのミッチェルでさえ腹を立てているということは、これはかなり問題な行為だったと言えるだろう。

カカシが思うに、ミッチェルが腹を立てている理由は質問が優しかったということより、プロの記者達がオバマに無視されたことにあるのだ。アメリカのジャーナリストたちはかなり左向きのリベラルだが、それ以上に自尊心が高いナルシストが多い。だから自分たちが無視されたり馬鹿にされたりするとものすごく怒る。ジャーナリストをおこらせると今までどれだけ支持を受けていようと手の平を返したように扱われるのだから、オバマも気をつけた方がいいかもしれない。

イラクから送られてきた映像のなかにはオバマ支持の黒人の兵隊たちの映っているものが多くあるが、これはアメリカ軍の全体的なムードを代表するものかどうかというマシューの質問に対してミッチェルは次のように答えた。

「なんとも言えません。なにしろその場に立ち会っていなかった記者としては何が編集されて削除されたのか、その、背後関係とかが解らないからです。それが問題なんです。我々は何を観ているのか解らないのです。」

何を観ているか解らない。それがオバマ選挙運動の実態なのかも。だが主流メディアがオバマのこうした不可思議な行動を批判して本当の報道をしてくれれば、有権者はオバマの正体を知ることが出来るはずである。そのためにはミッチェルのようにオバマの行動に疑問の声を上げ、もっと奥深く掘り下げる報道をしてくれるジャーナリストが必要だ。

July 25, 2008, 現時間 5:15 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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オバマ、イラク状況好転の言い訳に四苦八苦

アメリカ内政 , イラク関係 , 狂ったメディア

共和党の大統領候補のジョン・マケインから民主党候補のバラク・オバマはイラク戦争撤退を唱えている割には、状況が最悪だった2006年に一回訪問したきり状況が好転したイラクに訪れもせずに批判しているとさんざん批判されたことに応えてか、オバマ候補は先週二年ぶりに二度目のイラク及び中東の視察旅行を行った。

しかしオバマは行く先々で頓珍漢な発言や振る舞いをし、オバマべったりの主流メディアでさえ、ちょっと首をかしげている。パワーラインが紹介しているこのABCテレビでのインタビューから。

イラク状況の好転は主流メディアですらも無視できないほど劇的なもので、このニュースでもイラクでの暴力は80%も減っており、アメリカ軍の犠牲者に至っては去年の7月に比べて死傷者の数は78人から5人に減っていると語っている。驚くべきことに、ABCのインタビュアーの「こうなることが解っていたら、増派を支持していましたか?」という質問に対してオバマは「ノー」と応えたのである。

「いいえ、支持してませんよ。いいですか、これは非常に難しい問題です、、、後になっての視力は2.0です。私が完全に納得しているのは、当時政治的な討論を変えなければならなかったということです。何故ならブッシュ政権の見解に私は反対だったからです。」

つまり、アメリカが戦争に勝つかどうかということより、ブッシュ政権の政策の反対することのほうが大事だったというわけだ。国の安全を保つことより、大統領候補として現政権の行使する戦争に反対することで自分の支持者を集められるという政治的な攻略が優先したとオバマは認めているのである。

ここでインタビューが本来あるべき形のジャーナリストであれば、次のようなフォローアップをすべきであった。

『オバマ議員、ちょっと解らないんですが、あなたが増派を反対したのは、増派が成功しないと思ったからですか?(だとしたらマケイン議員は正しくてあなたは間違っていたことになります。)それとも、増派は成功すると思ったがブッシュ政権の方針だったので反対したのですか?(だとしたらあなたは不誠実だったことになりますが、、、』

どっちにしろ軍隊の総司令官になりたいと言ってる人間の発言としてはかなり問題のある発言だと思うが、そこはそこ、オバマべったりのメディアが突っ込んだりする訳は無いから、またもフリーパス。

NBCでのインタビューで、ブッシュ政権の増派作戦はうまくいっていると思うかという質問に大しても、オバマは、「(増派が)議論されていた当時から、二万も兵数を増派すればそれなりの効果を上げることは誰にでも解りきったことだった」と述べた。しかし議論当時のオバマはそんなことは一言もいっていない。

「二万程度の増派などしてみても暴力が減るとは思えません。それどころか逆の状態をもたらすでしょう。かえってすべての観察者が必要だと同意しているイラク政府による政治的な解決への圧力を弱めしまうでしょう。ですから私は断じてブッシュ大統領の提案に反対します。ブッシュ大統領がこの作戦が成功すると本気で信じていることは疑いませんが、私は大統領は間違っていると思います。」

だが「増派」は成功した。大統領は正しかった。そして大統領に対抵抗軍作戦(COIN)を強く勧めたマケイン議員も正しかった。アメリカメディアが公平ならオバマのこの過去の発言を持ち出してきて、

『でもオバマ議員、当時のあなたは「増派」は逆効果だといってたじゃありませんか?大統領は間違っているといってたじゃありませんか?今の状況をみてあなたの方が間違っていたことを認めますか?』

と問いつめるべきである。だがオバマべったりのメディアが突っ込んだりする訳は無いから、これもフリーパス。

しかし、主流メディアでも多少なりともジャーナリストの威厳を保とうとする人たちはいる。実はオバマのイラクでの記者会見はやらせだったと語る記者がいる。

次回へ続く。

July 25, 2008, 現時間 9:42 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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July 7, 2008

一般選挙に向けて中道を装うオバマ陣営、イラク撤退はどうなったのか?

アメリカ内政 , イラク関係

民主党の候補指名がほぼ獲得できたオバマは、一般選挙に向けてこれまでのリベラルなイメージを振り払い、中道派を気取る作戦を取り始めた。そのために先ず第一に取り組まなければならないのはイラク戦争。

これまでは、自分が大統領になった暁には何が何でも16ヶ月以内のアメリカ軍を全軍撤退させると息巻いていたオバマだが、最近になって彼の姿勢はもう少し柔軟なものになってきた。

オバマは先週の木曜日ノースダコタ州のファーゴにて記者会見を行った際、近々行われるオバマのイラク訪問のことが話題に上った。

「私は(イラク)滞在中に完全な分析をしたいと思っています。」「もっと詳しい情報を得ることが出来ることと、私の政策を洗練させることが出来ると確信しています。」

政策を洗練させることが出来るとはどういう意味なのか、共和党側はオバマが選挙に勝つためならどんな不本意なことでも公約すると攻め立てた

「手のひらを返したようなもんですよ。」と共和党政治評論家のアンジェラ・マックグローワン女史はフォックスニュースに語った。「彼は全国にアピールするために声音を変えているのです。他のことでもいくつか気が変わるでしょう。」

オバマが民主党の候補指名確実となったのも、オバマが民主党の極左翼に迎合してイラク戦争絶対反対の姿勢を取ってきたからだ。ヒラリー・クリントンはイラク戦争当初、イラク戦争の予算割当を支持する投票をしていたことから、オバマはそれを利用してヒラリーは純粋な反戦派ではないとして主張してきたきたのである。

民主党の予選では、オバマは何度もイラク戦争は2009年をもって終わりを告げると宣言してきた。それなのに、今更現場の将軍らの意見を聞いて政策を考え直すなどと言い始めたら、いままでの公約はなんだったのだということになってしまう。

マケイン陣営にそれを指摘されたオバマは、慌てて木曜日の午後に別の記者会見を開き、自分の早朝の発言の意味を説明した。

彼が自分の政策が「洗練された」ものになるといったのは、イラク撤退を考え直すという意味ではなかったと強調。単に現場の将軍からの情報を参考にしたいという意味だったと説明した。

「私の今朝の発言は明確ではなかったようです。」とオバマ。彼はマケイン陣営がことを混乱させたとし、「我々が政策を変えていないのにあたかも変えたかのように」マケイン陣営が「記者団を煽った」と責め立てた。

「私はキャンペーンを通じて、ずっとこの戦争ははじめから間違っていた、戦略的な過ちだらけだった、終わらせなければならないと主張してきました。」とオバマ。「私はまた撤退するに関して充分に気をつけなければならないとも言ってきました。私の立場は変わっていません。私は抜け道を探そうなどとは考えてもいません。」

といいながらオバマは、もしも現場からもっとゆっくりしたペースで撤退したほうが懸命だという意見が出た場合にはそれも考慮しなければならないなどと、また調子のいいことを言っている。

「現場での事実を考慮にいれなければ総司令官としての資格はありません。」

そう思うなら、何だっていままで現場の意見がどうあれ、なにがなんでも16ヶ月で撤退すると息巻いていたわけ?どうして最初から現場の様子をふまえた上で序所に撤退を考えたいと言わなかったの?現場の事情を見極めての撤退というなら、共和党候補のマケインと全く変わりはないではないか。

民主党候補が常に面する問題は、民主党の基盤があまりにも左翼よりになっているため、候補指名を得るまではかなり左翼でリベラルな発言をしなければならないこと。ところが指名を受けて一般選挙で国民全体に支持を仰ぐ場合には、極端な左翼の意見を言い続けているわけにはいかない。

しかしオバマのように突然政策を変えれば、票を得るために口先だけで信念がないと共和党ライバルから責め立てられる。もっとも民主党に有利なのは、このようなあきらなか180度の方向転換をしてみても、リベラルなメディアが味方になってくれるからその事実を指摘しないでくれるということだ。共和党が民主党の矛盾を一般有権者に解ってもらうためには、選挙運動で徹底的に民主党候補の矛盾を叩くしかない。何しろメディアは共和党の味方など絶対にしてくれないのだから。

もっともオバマの場合、まだ頭痛の種はある。それはヒラリー支持者がオバマに入れるくらいなら、マケインに入れるとか、投票などしないとだだをこねていることである。

今年11月に実施する米大統領選の本選で、民主党候補指名争いで敗れたヒラリー・クリントン上院議員の支持者が指名を確定させたオバマ上院議員に投票するとした比率が減少していることが最新世論調査結果で4日分かった。

調査はCNNとオピニオン・リサーチ社が共同実施した。クリントン議員が選挙戦からの撤退を宣言した6月7日以前の世論調査では、同議員支持者の60%がオバマ氏に一票を入れると回答。しかし、最新調査ではこの割合が54%に減っていた。

また、本選投票を棄権するとした比率は6月初旬の22%から約三分の一まで上昇した。

さらに民主党支持の登録済み有権者では、43%が依然、クリントン氏の指名を望んでいることも分かった。6月調査の35%より増え、逆にオバマ氏の指名を求める比率は59%から54%に下がった。

民主党候補指名争いで両議員は異例の接戦を展開。この激戦が党内にしこりを残し、本選で勝利するためには組織の結束を早急に固めるのが肝要との見方が民主党内では強まっていた。クリントン議員は敗北を認めた後、オバマ氏支援を打ち出したが、今回の世論調査結果はクリントン氏支持者の後遺症がまだ癒えていないことを見せ付けた格好だ。

また、今回の調査結果は、オバマ氏がクリントン氏を副大統領候補に指名することを待つ同氏支持者の心理を反映したとの分析もある。ただ、オバマ氏は今回の選挙戦で、従来のワシントン政治との決別を宣言しているだけに、前大統領夫人でもあったクリントン氏を副大統領候補に選ぶ可能性は少ないともみられている。

やれやれ一般選挙に向けての選挙運動は予選よりも苦労しそうだ。

July 7, 2008, 現時間 1:32 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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June 30, 2008

イラク、シーア派民兵マフディ軍の最期

イラク関係

ビル・ロジオによると、イランの飼い豚モクタダ・アル・サドル率いるシーア派武装集団マフディ軍はいま、壊滅状態にあるという。今年に入ってマフディ軍は上層部だけで2000人も失ったという。約1300人が命からがらイランへ逃げ出した。無論かれらのリーダーであるサドルはいまだにイランの特別部隊クォッド軍に守られてイランのクォムで幽閉状態にある。

イラク軍が指揮をとった先の三月から五月までのサドルシティでの戦いでは、サドル市内だけでなんと1000人以上のマフディ兵が戦死した。これはマフディ軍の発表だから実際にはもっと多いと思われる。これがバスラでは415人、ナジャフ、カーバラ、といった地域でも400人以上が殺されている。

そこでサドルは苦肉の策として、マフディ軍を150人から200人程度の小さなグループに区分けして、ゲリラ作戦に取り組むことにしたと発表した。

しかしイラク側のリポートによると、これは単なる言い訳で、多くのマフディ兵たちは殺されるのを恐れて一般市民の間に紛れ込んでしまったようだ。彼らが本気でアルカイダのようなテロ行為をこのまま続けて行くとは思えない。確かに少数の過激派たちは今後も路肩爆弾などを使ってテロ行為をするだろう。だが、ほとんどの下っ端は、地元でおとなしくしているはずである。彼らはアルカイダと違って宗教的な信念があるわけではなく、単に暴れたかった愚連隊にすぎないからだ。

一時期は10万という従者を集めてデモ行進をする勢いだったサドルだが、いまやイランの守られて外部から意味のない命令を下すだけと成り下がった。私はナジャフでの蜂起があった時点で、サドルは殺されるべきだったと考えていたが、結果的にはアメリカ軍に殺されるより、イラク人に見捨てられて外国で恥をさらして生き延びるほうがサドルにはお似合いの最期なのかもしれない。

June 30, 2008, 現時間 2:03 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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June 29, 2008

イスラエルの自殺願望、兵士の遺体と凶悪テロリストの交換に合意する愚かさ

イラク関係 , 中東問題

今年の3月にイラクはモスールで爆弾を積んだトラックをイラク軍駐屯所に乗り込み爆破させ、13人のイラク兵を殺し十数人に怪我を負わせた事件の犯人は、実は今年の初めキューバにあるアメリカ軍の捕虜収容所から釈放されたクエート人のアルカエダテロリストであることが解った。この男を英雄として描いたアルカイダのプロパガンダビデオが先日公開された。

戦争中の捕虜は普通の犯罪者ではない。個人的に彼らがどのような罪を犯したかということは大して問題ではない。彼らが味方に危険を及ぼした、もしくは及ぼす可能性がある以上、こちらは戦争が続く限り半永久的に彼らの身柄を拘留しておく必要がある。それを怠ると、上記のような悲劇が起きるのだ。

本日、イスラエルのYoni the Bloggerが紹介している記事によると、イスラエルは二年前にヒズボラのテロリストに誘拐された二人の兵士の身柄とパレスチナテロリスト5人の身柄を交換することに同意したという。しかしこの二人の兵士は誘拐された時点ですでに殺されたと思われており、今回の交渉中にそのことが確認されている。となれば、イスラエルは二つの遺体を取り戻すために5人の危険なテロリストを釈放するということになる。

オルメルト首相を筆頭とするイスラエル政府は自殺願望でもあるのか?

5人のヒズボラ捕虜のうちサミヤー・クンター(Samir Kuntar)は、イスラエル市民、ハラン家のメンバー三人を殺し警察官の一人を死に追いやっただけでなく、イスラエル軍のパイロットであるロン・アラッド兵の消息の鍵を握る最後の希望でもある。アラッドは1986年にレバノン上空で彼の乗る飛行機が墜落して以来、数種のテロリストグループに拘束されてきた。彼は最後にはイランに連れて行かれたものと思われてるが、その行方はもう何年も不明である。

そのような危険でしかも重要な情報を握るテロリストをたった二体の遺体と交換するというのはいったいどういう神経なのだ?こう言っちゃなんだが、家族には気の毒だがイスラエルにとって死体が帰ってきたって何のとくにもならないではないか。

私は特にヒズボラやアルカイダの奴らの暴力ぶりを今更責める気などない。人間の皮をかぶった動物など批難してみても意味がないからだ。しかしイスラエル政府はいったいなにを考えているのだ?なぜいままで一度も条約を守ったことも無くイスラエルが滅亡するまで戦い続けると豪語する敵と交渉などするのだ?いったいいつになったら魂のない動物と交渉などできないということがわかるのだ?

イスラエルはテロリストによって滅ぼされる前に、オルメルトという愚かで臆病な首相によって内側から腐ってしまうだろう。イスラエルの政治体制では少数党が多数党の首相に辞任を求めることも内閣を解散させることも出来ない。オルメルトは9月には辞任すると言っているが、リクード党が政権を握っている以上、他の誰が首相になってみても同じことだ。内閣を解散して総選挙でもしない限り、イスラエルの愚かな政策は変わらない。

イスラエルの未来のために今は神に祈るしかないのか?

June 29, 2008, 現時間 5:16 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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June 18, 2008

ハディーサ裁判、7人目の罪も棄却

イラク関係

2005年11月、イラクのハディーサで24人の一般市民を海兵隊が虐殺したとして8人が殺人や証拠隠蔽の罪に問われている所謂(いわゆる)ハディーサ裁判だが、この間の無罪判決に続いて今回罪に問われていた隊員としては一番位の高いジェフェリー・チェサーニ大佐の罪状も棄却された。これで罪に問われていた8人中7人の罪が棄却されるか無罪になるかしたことになる。

残るは過失致死に問われているフランク・ウーテリック隊長の裁判を残すのみとなった。(アップデート:2012年、最後に残った8人目の被告、フランク・ウーテリック一等兵曹(Staff Sgt.Frank Wuterich)がこの度「職務怠慢」の罪を認めることによりアメリカ軍人に対する最長の裁判の終幕となった。)

私はこのことについてはもう何度も書いてきたし、これ以上言うことはないのだが、ウーテリック隊長も無罪になってくれることを望む限りだ。ではここで去年掲載した『弁護士つきで戦争やるの?戦闘をいちいち戦犯扱いする米軍将軍たち』から退役軍人のハント大佐のエッセイから抜粋させてもらう。私が何を言うより今のアメリカ軍の実態が理解できるというものだ。

我が将軍たちは兵士を裏切っている、まただぜ!

おっと失礼、しかし読者諸君の注意を引く必要があったのだ。アフガニスタンにしろイラクにしろ、米陸軍は(リベラルメディアやビルクリントンや議会ではない)そうアメリカ合衆国の軍隊がだ、任務を遂行している兵士たちを起訴しているのだ。我輩は叫んだり、汚い言葉でののしってみたり、ユーモアをつかってみたりして抗議してきたが梨の礫だ。読者諸君は私を信じないか、気に留めてないかのどちらかなのだろう。

...特別部隊の有能な陸軍兵が彼らのチームと共にアフガニスタンでも10の指にはいるお尋ねものの居所をつきとめた。特別部隊の兵士たちは悪いやつらを捕らえて殺せという忌み嫌われている戦闘規則に従って爆弾つくりの専門家テロリストとそのリーダーを追い詰めていた。隊員たちは殺し屋たちを隠れ家まで付けていき、さまざまなトリックを使って悪者たちを穴から外へおびき出し、頭に銃弾を打ち込んでやった。

完璧な任務遂行だった。「ようやらはりましたな」とハイファイブして「休暇でももろうて、次の任務に備えておくれやす」とねぎらいの言葉もあらばこそ、陸軍がどうやって特別部隊の兵士らに感謝の意を表したかといえば、なんと彼らを戦犯の容疑で取調べをはじめ、弁護費に何千ドルという金を使わせたのである。

テロリストたちが最初に殺されたとき、陸軍は勇者中の勇者である彼らを二度も捜査した。しかしどちらの捜査も必要なかった。捜査の結果彼らは何も悪いことはしていない無実であることが判明したのだ。今やわれわれは何をするにもおっかなびっくり、政治的に正しくあることに神経質になりすぎて戦闘をまるで警察の射撃のように扱っている。この偉大なる国のほとんどの都市では警察官は銃を撃つたびに、かならず上から取り調べを受けることになっている。警察官は上司を信頼することができずに常におびえながら仕事をする状況にいい加減嫌気がさしている。しかし少なくとも彼らがいるのは一応平和な都市だ、戦場ではない。

我々の将軍たちは陸軍にしろ海兵隊にしろ、部下たちのことより自分らのキャリアと名声だけが先行している。海兵隊など隊員たちがテロリストを殺したこといってはやたらに起訴のしすぎだ。陸軍にいたっては、まったく陸軍では(味方による誤射によって死亡した)パット・ティルマンやアル・グレーブの醜態といった責任問題による軍法会議の件がある。

イラクでも同じようなものだ。陸軍は「ナム」でされた「おとり」を再発見した。これは弾薬だの爆発物の材料の一部だのを放置しておいて、それを盗みにきた敵を撃ち殺すという方法だ。我々は爆発性の銃弾をアルカエダ連中用に置いておいた。これを使えば銃のなかで爆発するしかけになっているのだ。ベトナム当時にも効果的だったように現在でも効果的なやりかただ。しかしなんと陸軍は任務を遂行しているだけの狙撃兵を裁判にかけているのである。戦闘規則はきちんと従われたにもかかわらず、わが将軍どもはここでも我らが兵士らよりも自分らのキャリアを先行させようとしているのだからあきれる。このような不信感は軍隊の根本を揺るがすものだ。このような行為は兵士らやその部下たちをためらわせる。こんな戦い方をしていて勝利は望めない。

我々はこういう将軍連中こそ、まずラミーの尻馬に乗ったということ、そして同じように重大なことだが、自分らの兵士らを信用していないという罪で、裁判にかけるべきだ。少なくとも既述の事件のように兵士を起訴して彼らの無実がはっきりした場合には起訴した将軍どもが豚箱送りになるべきだ。残念なことに、こうした裁判のあと、兵士らのキャリアのみならず人生は破壊されてしまう。弁護費にかかった莫大な借金の返済で首がまわらなくなる兵士らをよそに、起訴した将軍どもは昇格される。

彼らが指揮をとるはずの兵士たちはこんな将軍の面汚したちにはもったいない。我々は国として第二次世界大戦当初に何百人という高位将校らを職務不行き届きで首にしたマーシャルみたいなやつが必要だ。とっくにやめさえられるべき高位将軍が多くいる今こそ、マーシャルが必要なのだ。

アーメン!

ハディーサ事件:それぞれの思惑
疑わしきは罰するメディア その1
疑わしきは罰するメディア その2
ハディーサ疑惑: 怪しげな証言続く
眉唾なイラク米兵による悪事報道
ハディーサ事件次々に崩れる検察側の主張
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弁護士つきで戦争やるの?戦闘をいちいち戦犯扱いする米軍将軍たち
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最初の無罪! ハディーサ虐殺事件隠蔽はなかった!
ハディーサ最後の被告示談成立、殺人罪は棄却され職務怠慢のみ有罪

June 18, 2008, 現時間 8:03 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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June 8, 2008

最初の無罪! ハディーサ虐殺事件隠蔽はなかった!

イラク関係 , 狂ったメディア

2005年のイラクはハディーサで、米海兵隊員が24人のイラク市民を虐殺したとされた事件で、その証拠を隠蔽した罪に問われていた海兵隊中尉が、今回この事件では初めての軍法会議ですべての件で無罪となった。

無罪になったのはアンドリュー・グレイソン中尉、27歳。グレイソン中尉は事件について虚偽の報告書を提出した罪、また捜査を妨害した罪などに問われていたが、そのすべての罪が無罪であるという判決が火曜日に出た。

この事件に関連して8人の米兵が殺人罪や隠蔽罪に問われていたが、すでに5人の罪が棄却されている。残っているのはフランク・ウートリック隊長と彼の上官のジェフェリー・チェサニ大佐の二人だ。

しかし、以前に裁判に起訴が却下されている別の兵士らの審査で、すでにこの殺人事件があったのかどうかかなり怪しいという意見が出されている以上、この二人の裁判もやはり完全無罪で終わる可能性は高い。事件そのものが起きていないのに、それに係わった人々が有罪というのもおかしな話だからだ。

私は最初からこの事件は眉唾だと主張してきた。だいたい目撃者という人たちがアメリカ軍に敵意を持つテロリストの仲間なのだから、そんな証言信用できるはずがない。問題なのはアメリカ軍の対応だ。敵の証言を信用して自分たちの有能な軍人らの証言を信用せず、勇敢に戦った海兵隊員たちをまるで罪人のように扱った米軍の罪は重い。戦争そのものがリベラルからの批判でかなり叩かれていたせいで、米軍は米兵の行動に神経質になっていたのはわかる。だが、イラクのようなところで信じられない逆境で戦争をしているわが国の勇者にたいして、もうすこし敬意ある姿勢を示して欲しかった。

事件が明らかになっていない時期から海兵隊員が大量殺人犯であるかのようにテレビのトークショーで語り、しかも隠避があったと大騒ぎしていたジョン・マーサ下院議員には即座に海兵隊員たちに土下座して謝ってもらいたい。

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June 8, 2008, 現時間 7:01 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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June 1, 2008

マケインの挑戦や過激な協会そして諦めないヒラリーと、頭痛の種がつきないオバマ

アメリカ内政 , イラク関係

ジョン・マケインのイラク訪問挑戦

先週はオバマにとっては全く頭の痛い一週間だった。先ずは共和党大統領候補のジョン・マケインがオバマがイラク戦争は失敗したと言い続ける理由は現場の状況を全く把握していないからだとオバマの勉強不足を批判。過去2年間に8回もイラク訪問をしているマケインに比べて、オバマがイラク訪問をしたのはたったの2回。しかも最後は2年近く前だったと指摘。マケインは自分と一緒にイラク訪問をして現地の様子を視察しようと挑戦した

マケインは最近オバマの経験不足や不勉強を指摘する作戦を取っているが、今回の挑戦は非常に賢いやり方だ。オバマは今回の選挙運動で、当初戦争を支持していたヒラリー・クリントンと自分の立場を対照的に見せるため自分がいかに最初からイラク戦争には反対だったかを強調してきた。そして現在のイラク情勢についても、イラクは完全に失敗したので即刻撤退すべきであると提唱してきた。だが自分がそれだけ興味がある問題であるにも関わらず最後のイラク訪問が2006年というのでは格好がつかない。

しかし、ここでマケインの挑戦を受けて、のこのことイラクへ出かけて行ってはマケインの言いなりになったと思われる。それにやたらに訪問して実際にイラク情勢が良くなっていることを目の当たりにしたら、そのことを認めないわけにはいかない。そうなったらイラク即刻撤退を主張することが困難になる。

かといって訪問しなければ、総司令官になろうという人間が自国の戦場を何年も訪問せずに正確な軍事政策が立てられるのかと、いつまでもマケインから叩かれる。オバマは非常に困った立場に置かれている。

過激な黒人協会との関係

ジェラマイアー・ライト牧師の人種差別的な過激なスピーチが注目を浴びて、長年の付き合いを切断しライト牧師を公に批判しなければならなくなったオバマだが、その危機がやっと去りかけたと思ったとたん、またまたオバマの所属するトリニティーユナイテッド協会で来賓のカトリック神父がヒラリーに対する侮辱的な発言をし、多くの白人有権者がオバマの優勢を嘆いて泣いているなどと非常に過激な説教を行い右翼のトークラジオなどで取りざたされた。

こうした問題が次から次へと出てくるため、オバマはついに20年来所属していた協会から脱会する旨を昨日発表した。今さら遅すぎる感もあるが、なぜオバマはこんな問題の多い協会にいままでしつこく在籍してきたのだろうか?20年間も在籍し、結婚式まで挙げてもらい、恩師として仰いできた神父のいる協会の方針を全く知らなかったとは言い訳にならない。大統領に立候補すると決めた時点で、この協会に所属していることが、いずれは問題になるとオバマが気がつかなかったというのも信じがたい。ではなぜもっと早く協会を脱会しなかったのか?

実はオバマには協会をやめられない理由があった。オバマはシカゴの政治家だ。オバマが代表する地区は2/3が黒人である。黒人として地元の有権者の支持を得るためには、自分が地元民の気持ちを理解できる地元の代表だと主張する必要がある。それには地元有力者の集まっている協会の支持を得ることは必要不可欠な条件なのだ。現にオバマは2000年に下院議員として立候補したとき、黒人の人権運動を長年してきた過激派のライバルに対抗して、黒人協会の支持を積極的に仰がず二対一で大敗した苦い経験がある。当時のライバルのボビィー・ラッシュは自分も牧師で過激な市民団体ブラックパンサーのメンバーだった。ラッシュの選挙運動はオバマのエリートぶりを強調し、「オバマは俺たちの仲間じゃない」というスローガンで押し通した。

こういう過去があるので、あまり早期から地元の過激派協会から距離を置けば、再び黒人票から見放され、民主党予選選挙で負ける可能性が多いにあった。だから今までオバマは協会を脱会できなかったのである。

しかし民主党候補指名がだいたい確保できた今となっては、一般選挙に向けて過激派とのつながりは絶たなければならない。それで今回の脱会宣言となったわけだ。かなり日和見主義だと思うが主流メディアがそれを指摘しないので、一般有権者がこのような態度をどう受け止めるか注目の価値ありだ。

諦めないヒラリー

民主党委員会は昨日ヒラリーがずっと主張していたフロリダとミシガンの代議員民主党大会参加を認める決断を下した。しかし、予備選挙の日にちを早めた罰として、正規の半数しか数えないことで結論が出た。

この結果、ヒラリーは代議員数を24票増加させたことになるが、それでもオバマより176票も劣り代議員数だけでは候補指名を得ることは出来ない。この際だから民主党のためにも早くヒラリーは敗北宣言をして撤退すべきだと考えるのが常識だ。

ではなぜヒラリーはいつまでも諦めないのか?

それはヒラリーは民主党のことより自分の政治生命のことしか考えていないからだ。

ヒラリーが民主党候補に指名される可能性は非常に少ないが全くないこともない。オバマの知名度が高くなるにつれて、今まで焦点の当てられなかったオバマの弱点がいくつも浮かび上がってきた。無論これがヒラリーの選挙マシーンの仕業であることは言うまでもない。8月の党大会までにオバマに関するスキャンダルがいくつも公になれば、代議員が足りなくても大会においてヒラリーはオバマでは一般選挙に勝てないから自分に入れてくれと主張することが出来る。それがうまくいくかどうかはわからないが、可能性がアル以上ヒラリーが諦めるわけはない。

しかし、実際にオバマが候補指名を受けた場合に備えて、ヒラリーはどうしてもオバマがマケインに負けるように仕掛けなければならない。何故ならオバマが勝った場合にはヒラリーが次に立候補できるのは8年後になってしまうからだ。オバマが負けてくれれば、「私を選んでいればマケインに勝てたのに、、」と言って4年後に立候補することが出来る。

だからヒラリーがここで諦める理由は全くないというわけだ。

頭の痛いオバマ

まったく一般選挙も始まってないというのに、こんなところでここまで苦戦するとはオバマも計算していなかっただろう。ま、手強いヒラリーが相手では仕方ない。

カカシとしては民主党の党大会、かなり楽しみだけどね。

June 1, 2008, 現時間 12:25 PM | コメント (2) | トラックバック (0)

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May 29, 2008

ホワイトハウス元報道官の裏切り暴露本にみる主流メディアの二重基準

アメリカ内政 , イラク関係

先日私は元国防次官のダグラス・ファイス氏著のイラク戦争前夜において、ブッシュ政権は戦争をするにあたり緻密な事前計画を立てていたという回顧録が主流メディアからそっぽを向かれているという話をした。メディアが氏の著書を取り上げない口実は特にニュース性がないからだ、ということになっているが、その際に、もしもこれがブッシュが無計画に戦争に突き進んだというような批判の回顧録なら主流メディアは競争で話題に取り上げるだろうとも書いたが、まさにその通りだった。

昨日ブッシュ米大統領の元報道官のスコット・マクレラン氏がブッシュ批判の暴露本を出版したが、もうすでにそのことが日本のメディアも含め、あちこちで取り上げている。

【ワシントン28日AFP=時事】当地の報道によると、ブッシュ米大統領の元報道官のスコット・マクレラン氏が、同大統領をコースを大きくそれて必要のないイラク戦争に突進していったなどと厳しく批判する書物を著した。

 27日発売の政治誌「ポリティカ」に掲載された新著の抜粋によると、かつてブッシュ大統領の側近だった同氏は、2005年のハリケーン、カトリーナの襲来の際のホワイトハウスの無様な対応も非難し、最初の1週間のほとんどを「ステート・オブ・ディナイアル」(都合の悪いことに目をつむる)状態で過ごしたと述べている。

 マクレラン氏はまた、「我が国の歴史上で最悪の災厄の一つが、ブッシュ政権の最大の災厄の一つとなった」と書き、ブッシュ大統領はイラクに対して率直で偏見のない気持ちを持たず、計画や事後の準備が不十分なままに戦争に向かって突き進んだと批判している。(強調はカカシ)

こんな話は当時からアメリカメディアが嫌というほど報道したもので、今更騒ぐほどの『ニュース性』があるとは思えない。それをアメリカの左巻き主流メディアがこぞって取り上げるのは、この著書の内容が自分たちの偏見を確認する内容であるからに他ならない。ニュース性や事実などとは完全に無関係なのだ。主流メディアの恥知らずなダブルスタンダード(二重基準)が丸見えである。

マクレラン氏の著書には特に新しい証拠があるわけではなく、イラク戦争にしても、ハリケーンカトリーナにしても、そしてCIA職員の身元漏洩とカール・ローブの件にしても、すべて左巻きメディアやブロガー達が書き綴った嘘八百を何の根拠もなく繰り返しているに過ぎないのだ。

マクレランは非常に無能な報道官であったため、短期ですぐに首になった。そのことを未だに逆恨みしているのか、でなければオバマが大統領になった暁にはオバマの報道官として雇ってもらおうと自己ピーアールをしているのか、なんにしても氏の動機はうさんくさい。

May 29, 2008, 現時間 7:35 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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May 25, 2008

存在していたイラク戦後処理作戦

イラク関係 , 対テロ戦争 , 狂ったメディア

2001年から2005年にかけて、ブッシュ政権の副防衛長官を勤めていたダグラス・フェイス氏が最近イラク戦争についての回顧録War and Decision(戦争と決断)を発表し、意外な事実を紹介している。

それは2003年の5月にブッシュ大統領が「主な戦闘は終わった。」と宣言した後のイラクの戦後処理作戦は詳細に渡って準備されていたというものだ。我々は戦後のテロリストの台頭やスンニ派による抵抗運動でアメリカ軍が長年苦戦したことから、ブッシュ大統領は戦後処理を全く考えずに何の計画もないまま浅はかに戦争に突入したような印象を持たされてきたが、実はそうではなかったというのである。

事実この回顧録についてインタビューをした記者たちも、皆フェイス氏の話に驚いたと語ったという。例えば、ブッシュ大統領は何が何でも戦争をやると最初から決めていて反戦の意見を聞こうとしなかったなどということは全くなかったという。事実はその反対で戦争をすることによる悪影響を深く追求した分析報告をしたのは誰あろうラムスフェルド防衛長官だったというのである。一般に穏健派で用心深いと言われていたコーリン・パウエル国務長官ではなかったというのだ。

私はまだ読んでいないのだが、著者自らがパワーラインで著書を紹介しているので本日はそれを紹介したいと思う。

ところで、余談だが、この本はイラク戦争に開戦までブッシュ政権がどのような決断をしたのかという過程が詳細によって綴られているというのに、アメリカの主流メディアはこぞって評論記事を載せることを拒絶している。彼らの言い訳は特に評論に値するようなニュース性がないからだ、というものだが、もしもこの著書の内容がブッシュ大統領があらゆる専門家アドバイスを無視して考えもなしにカウボーイ精神で安易に戦争を始めていた、などという内容だったら、どのメディアも競争で取り上げたに違いない。

イラクからの悪いニュースは毎日毎日第一面で報道しておきながら、イラク情勢が良くなってくると、イラクからのニュースはハタっと止まってしまった。サドルシティでのイラク軍の大成功すら過小評価して嫌々報道している。

11月の総選挙でも戦争が大事な要素になると大騒ぎをしていたメディアだが、今や戦争が起きてることすら信じられないほど、新聞の紙面はガソリンの値上がりや不動産のサブプライムローンの話ばかりで埋め尽くされている。戦争がうまくいっていないことがニュースだったなら、うまくいってきたらそれもニュースではないのか?

それはともかく、著者による著書紹介に話を戻そう。

防衛庁の民間職員たちがサダム政権崩壊後のイラク復興計画を全く建てていなかったという批判は正しくないと著者は語る。著者は国務庁の計画を防衛庁が拒否して破棄したという説がいかにまちがっているか、ラムスフェルドやアドバイザーたちが亡命中のアクメッド・チャラビに惑わされてチャラビをイラクの指導者として任命したなどという考えも完全に間違いだったことを著書のなかで説明している。

著書ではこれまで秘密にされていた、ラムスフェルド、パウエル、ライス、テネット、マイヤー将軍、チェイニー副大統領、そして大統領らが交換した書類から広域にわたって引用が掲載されている。著書のなかで数々の会議の様子が再現されているが、これは事後のインタビューなどで、当事者が都合良く覚えていた話をしてもらったものではなく、情勢進行中に会議に出席していた著者自らが記録にとっていたものをもとにしている。

著書において取り上げられている主なトピックとして著者は、911直後に対テロ戦争作戦がどのように立てられたかその経過を述べている。これは単に911の犯人を罰するのもならず、今後このようなテロを未然に防ぐためにどうすべきかが考慮された。

政権がサダム政権崩壊後に犯した多くの間違いや計算違いにも関わらず、911事件以後6年半のうちあのようなテロ攻撃が一度も起きていないということは、上記の作戦に多いに関係があるものと考える。

また、なぜイラク戦争をしたのかについて、著者は大統領を始め幹部の役人達がどのように理由付けをしたのか、なぜイラクが問題だったのか、我々はフセインが911に直接責任があったとは考えていなかったことなどを述べる。

またフェイス氏は著書のなかで、戦前の諜報についての問題点について、防衛庁とCIAとの対立は、実際にイラクとアルカエダが関係があったかどうかとか、CIAの情報が正確かどうかということではなく、防衛庁によるCIAの行き過ぎた政治活動への批判だったことなどを説明する。

そしてもちろん、この著書の一番重要な部分は、実際にサダム亡き後のイラク復興政策がどのようなものであったか、実際にきちんとした計画が立てられていた事実について詳細に渡って説明しているという点だ。

フェイス氏はイラク復興の計画は防衛庁がきちんと建てていたのに、それを遅らせたり変更させたりしたのは、国務庁のパウエル長官やアーミテージ副長官のほうだったのだと主張する。アメリカによる統治機関を短縮するためイラク政権になるべく早期に主権を移譲することなど、きちんと立てられていた計画を台無しにしたのは国務長のポール・ブレマーだったと言う。考えてみればイラク軍を解散してしまったのもブレマー氏の考えだった。

カカシはフェイス氏のラジオインタビューを聴いたが、非常に聞き苦しいのは、イラク戦争というアメリカにとっての大事な局面を迎えながら、アメリカ政権の内部では、防衛庁、国務省、中央諜報機関(CIA)による勢力争いが繰り広げられていたという点だ。お互いが自分らのメンツを最優先させて、どういう方法がイラク戦争と戦後の復興に一番良い方法であるのかという大事な点が二の次にされてしまったことは非常に残念だ。

無論フェイス氏は防衛庁の人間であるから、防衛庁はきちんとやろうとしていたのに、国務庁やCIAから邪魔されたと言いたいのは当たり前だろう。だからフェイス氏の言っていることを100%鵜呑みには出来ない。だが、大量破壊兵器発見の事実にしてもCIAはどれだけWMDであると確認できるものが発見されても、それをWMDであると認めたがらなかった事実や、戦争前はあれだけイラクとアルカエダの関係を主張しておきながら、いざブッシュ政権が戦争に踏み込むと、突然関係は無かったと言い出したり、国家機密を漏洩したりしてブッシュ政権に何かと逆らった事実を考慮に入れると、フェイス氏の言っていることはまんざら嘘ではないと思えるのである。

パウエル国務長官とラムスフェルド防衛長官が意見が合わなかったのはよく知られていることではあるが、ラムスフェルドの方がパウエルよりも用心深かったという事実は読者の皆様には意外なのではないだろうか。私は当時からの様子をかなり詳しく追ってきているので、ラムスフェルドの用心深さについては多少の知識があったからつもりだが、この事実は非常に興味深い。

ブッシュ大統領の一番の欠点は主流メディアが意図的に流した間違った情報を但ちに正そうとしなかったこと。CIAや国務省がなにかとブッシュ政権の政策を阻止しようとしたことにういて徹底的に抗議し制裁しなかったことだ。イラクでいくらも発見されたWMDについて、CIAの判断は間違っていると主張せずに、ブッシュ大統領は正しいと信じていたイラク戦争支持者を落胆さえたことだ。いくらブッシュ政権の政策が正しいと信じていた支持者でもブッシュ自身が弁護できない立場をいつまでも我々だけで弁護していくのは難しい。どこかでブッシュが後押しをしてくれなければ我々はどうすればいいのだ?

フェイス氏の著書が主流メディアのどこでも評論として取り上げないことでもわかるように、アメリカ左巻きメディアは徹底的に共和党政権を敵にまわしている。マケインはブッシュのこの間違いから学んで、徹底的に主流メディアの情報操作と立ち向かってほしいものだ。

May 25, 2008, 現時間 3:32 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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May 16, 2008

またまたオバマの失言、アフガニスタンでアラビア語の通訳が足りないって?

アメリカ内政 , イラク関係 , 対テロ戦争

私は何度もヒラリーが賢く見えるオバマの失言の話はここここなどで書いてきたが、今回もまたまたバラク・オバマがおかしなことを言った

ミズーリ州で選挙運動中のオバマはアフガニスタンの戦況がうまくいっていないことの理由として、アフガニスタンに充分なアラビア語通訳がいないことがあると語ったのである。下記はレッドステートから引用。

「特定の数の(通訳)しかいないのに、それが全員イラクにいってるので、アフガニスタンの我が軍は困っています。」とオバマは語った。もちろん事実はアフガニスタンではアラビア語ははなされておらず、通訳はほぼ100%地元市民が使われている...ことを考えると間違いを通りこしてお笑い草である。

オバマは続けて、「我々にはアフガニスタンに農業の専門家が必要です」と語った。「ヘロイン用の芥子ではなく、他の作物を生産できるように援助する人員が必要なのです。なぜならアフガニスタンの麻薬取引がテロリストネットワークの資金源となっているからです。ですから農業専門家が必要なのです。」

「でも専門家をすべてバグダッドへ送っていてはアフガニスタンに行く人がいません。」

イラクとアフガニスタンでは自然環境が違いすぎる。イラクの専門家をアフガニスタンに連れて行っても意味ないだろう。レッドステートはオバマの文化や産業の無知に加えて、アメリカ軍がひとつところに出動したら別の場所へは出動できないと思い込んでいる軍事的な無知さ加減にも呆れている。現状はアフガニスタン出動軍の規模はイラク戦争以前も以後も全く変化がないのである。次期大統領を目指そうという人がこんなことも知らないなんて信じられない。しかもアフガニスタンの状況は決して悪化していない。

以前から私はタリバンがアフガニスタンで春の総攻撃を予告しておきながら、冬の間にNATO軍にこてんぱんにやられて来た話はしているが、オバマはそうした事実すら知らないらしい。

でもカカシさん、アフガニスタンの状況はあまり話題にならないし、オバマが知らなくてもそれほどおかしくないんじゃありませんか、ブッシュ大統領だって以前にパキスタンのムシャラフ大統領の名前を思い出せなかったこともあることだし、、とおっしゃる読者もいるかもしれない。

だが、ブッシュがムシャラフの名前を知らなかったのは、パキスタンではクーデターが起きた直後で、しかもアメリカにとってパキスタンが大事な国になるという前触れが一切なかった時のことである。しかもそれまで当時のブッシュ大統領候補はパキスタンのパの字も語ったことが無かったのである。

それに引き換えオバマ上院議員は何度となくイラク撤退の理由としてアフガニスタンの状況をやたらに引き合いに出してきている。しかもオバマは上院議会でNATO監督の管轄権があるヨーロッパ委員会の会長なのである。これについては同じ民主党候補ライバルのヒラリー・クリントンが2月の討論会でこんな指摘をしているのである。

オハイオ州のクリーブランド市での討論会でヒラリー・クリントンは民主党候補ライバルのオバマに対して「NATOはアフガニスタンの任務に対して不可欠である」しかるにオバマ氏はアフガニスタンにおけるNATOの存在をどう強化するかについて一度も審議会を開いたことがないと批判した。

これに関してオバマは自分が委員会の会長に任命されたのは大統領選挙運動がはじまった2007年の初めだったと言い訳をした。つまりオバマは図らずも自分は選挙運動に忙しくて肝心の上院議員としての仕事を怠っていたと白状してしまったのである。

オバマのこの無知蒙昧な発言を聞いていると、NATO管理の立場に居ながら、オバマはアフガニスタンの治安維持はアメリカではなくNATO軍の管轄なのだということすら知らないのではないだろうかと疑いたくなる。

ところで現在イスラエル訪問中のブッシュ大統領の演説でおもしろいものがあった。それに対するオバマの反応が傑作なので是非それを次回紹介しよう。

May 16, 2008, 現時間 11:36 AM | コメント (8) | トラックバック (0)

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May 12, 2008

マフディ軍、ほぼ全面的に降伏だが、、NYTの不思議な報道

イラク関係 , 狂ったメディア

昨日ニュースでイラクで政府軍にこてんぱんにやられているイランの飼い豚モクタダ・アル・サドル率いるマフディ軍がやっと政府が要求していた停戦条件を受け入れたという記事を読んだのだが、マフディ側の報道官がノーリ・アル・マリキ首相が主張していた武装解除には応じないと言っていたことや、イラク政府側はいつでもサドル・シティへ攻め入れられると書かれていたことなどから、いったいどういう条件がまとまっての停戦なのかさっぱり理解できなかった。

今日になってニューヨークタイムスの記事を読んでみると、余計にわけが分からなくなった。アメリカの主流メディアを読む場合はかなり行間を読む技能を身につけておく必要がある。

この取り決めによって大事な地方選挙を数ヶ月に控え不人気な混乱状態から双方が後退できることとなった。どちらが勝ったのか明らかではなく、停戦までどれだけかかるのか、停戦をどれだけ保持できるのか定かではない。 しかし少なくともいまのところシーア間での戦闘は終わりを告げた。

この間までイラク政府がマフディ軍に押され気味だと言っていたニューヨークタイムスが「どちらが勝ったのか明らかではない」と言っているところをみるとイラク政府が勝ったと読むことができる。後の方の文章を読んでみよう。

合意条件の元でノーリ・アル・マリキ首相の政権は現在無法状態となっているサドル市の統括権利を獲得し、そのかわりサドル氏の民兵軍で直接戦いに参加していないメンバーを逮捕しないことが保証された。

停戦交渉を行う決断は双方がお互いに地盤を失っていると気がついたことから始まった。サドル市の市民は自分たちの被害について双方を責めている。

戦いが始まる前は、サドルシティはマフディ軍の連中が思うままに牛耳っていたのに、停戦後は政府軍が市を統括する権利があるというなら、どっちが勝ったのか明白ではないか。

だいたい戦闘をやっている双方が地盤を失うというのはどういう意味だ?お互い競り合って引き分けならお互いに土地を失うはずはない。どちらかが土地を失ったならどちらかがその分を獲得しているはず。この文章全く意味をなさない。

またサドルシティの住民はほぼみなマフディ軍の仲間かサドルの支持者のはずで、その住民が自分らの苦労の原因がマフディ軍にもあると責め始めたということは、住民によるマフディ軍への支持が減っているということになる。

この後もNYTはサドル派が政治的な支持を失い孤立してしまっていること、マリキ政権には他党からの支持があることを記載している。そしてマフディ軍がどれだけ痛手を負ったかということについても認めざる終えない。

シーア民兵たちも損失は上がる一方だ。彼らはより多くの犠牲者を出しており、戦闘に真っ先に巻き添えになる市民の死亡についても責任を問われている。木曜日からすでに30人以上が殺されている。(カカシ注:おなじみのビル・ロジオによるとマフディ軍は3月25日の戦いが始まって以来すでに合計562人を殺されている。)

NYTの複雑な書き方で混乱しないようにここで整理してみよう。

  • サドル市はマリキ政権の統治下となった。
  • 政府は戦闘に参加したマフディメンバーの逮捕は続行する。
  • マフディ軍は政府軍側より多くの犠牲者を出している。
  • マフディ軍はサドル市民からの支持を失いつつある。
  • サドル派は政治的に孤立し、マフディ取り締まりについて他党がマリキ政権を支持している。

これでもどっちが勝ったか明らかではないのは反米の主流メディアくらいだろう。

ここでさらにわかりやすくするために、ビル・ロジオに実際の停戦条件がどういうものだったのか説明してもらうことにしよう。

  • イラク政府とマフディ軍は4日休戦する。
  • 休戦後、イラク軍はサドル市に入り令状があるか、もしくはマフディ軍が中武器及び重武器(ロケット弾、ロケット、モーターなど)を所持している場合の逮捕を続行する。
  • マフディ軍とサドル派はイラク政府が警備統括をすることを認識し法の施行のため警備軍を運用させる権限を認める。
  • マフディ軍は国際ゾーンへのモーターやロケット攻撃などの一切の攻撃を止める。
  • マフディ軍はサドルシティ市内の路肩爆弾をすべて取り除く。
  • マフディ軍は「違法法廷」を閉鎖する。
  • イラク政府はサドルシティへの入り口を解放する。
  • イラク政府はサドルシティ住民への人道的救済を行う。

マフディ軍は武装解除には応じないと息巻いているが、イラクは危ない国なので一般人でも自動小銃やライフルの所持は合法とされている。だから中もしくは重武器の没収を認めるということは、事実上武装解除を認めるということになる。またこうした武器を持っている人間をイラク軍は令状無くして逮捕出来るのであれば、結果的にイラク軍はマフディ戦士の逮捕は自由に出来るということだ。イラク政府がサドルシティ住民への救済を行うという点は非常に重大だ。すでにサドルシティ市民はマフディ軍に今回の戦災を責めているなか、イラク政府が現れて市民への救済を始めたら市民はいったいどう感じるだろうか?一般市民にとって自分たちの生活を守ってくれる方こそ自分らの味方のはずである。マフディ軍がイラク政府にその役割を受け渡したということは自分他たちにその能力がないことを認めたことになる。

これでもどちらが勝ったか明らかではないかな、NYTさん?

さて、この先がNYTとビル・ロジオの間で食い違う点なのだが、ロジオによるとイラク政府はサドル派に停戦に応じるように圧力をかけたわけではなく、内部からの圧力によって停戦に合意する動きがあったのだという。ダワ党のアリ・アル・アディーブ氏は、「サドルシティ市内の市民からの圧力が彼らにもっと責任もった行動をさせたのです。」と語っている。

しかしNYTの記事ではイランからイラク政府に働きかけがあったと書かれている。

停戦条約の三人の関係者によると、イラク議会のシーア派メンバーが今月の初めイランを訪れた後、イランが引き分け状態にその影響力を及ぼしたとのことである。

カカシが思うに、イランにはイラク内政に影響を及ぼすような力はない。だいたいイランがイラクに影響を及ぼしたいならイランからイラクへ使者が送られてくるはずで、イラクからイランへシーアメンバーが訪問するというのは話が逆だ。

NYTはイラクのシーアメンバーがイランに対してサドル派に政府への抵抗を止めるよう説得して欲しいと嘆願に行ったと言いたいのだろうが、もしサドル派が勝っているならイランが何故イラク議会メンバーのそんな嘆願を聞く必要があるのだろうか?イランにとって民主主義のイラクなど目の上のたんこぶである。イラクがイランに同調するシーア派連中によって牛耳られればそれに超したことは無い。もしサドル派がイラクで勝利をおさめつつあるならば、イランがサドル派援助の手を緩める必要がないどころか、ここぞとばかりにサドル派援助を強化させるはずである。

ではイラクシーア派の使者たちはイラン政府に何を告げたのであろうか?

イラン政府は馬鹿ではない。もし正式にイラク政府と戦争をするとなれば背後にいるアメリカにイラン攻撃の正式な口実を与えることになるのは充分に了解している。イランは秘密裏にイラク内部の抵抗組織を援助してイラク政府の安定を崩しアメリカ軍に痛手を負わせたいだけなのだ。面と向かってイラク・アメリカ同盟軍と戦う意志もなければ能力もない。

となればイラクの使者がイラン政府に告げた内容は自ずと明白になる。もしカカシが壁の蠅ならこんな話を聞いただろう。

イラク使者「イランさん、あんさんがたイラン政府がサドル派をそそのかしてイラク政府に盾をつかせてるっつうのは周知の事実でござんす。表立っておやりじゃねえんで今のところアメリカさんは無視してやんすけどね。しかしこれ以上サドル派が抵抗を続けるなら、こちとらとしてもあんさんがたのやり方をおおっぴらにしねえわけにはいかねえんでござんす。そうなりゃアメリカさんも黙っていねえでしょう。あんさんらもアメリカさんと正面切っての戦はやべえはず。どうです、このへんで手を打ってサドル派を撤退させてはいかでやんすか?」

てな具合での説得というか脅迫が行われたと考える方が自然だろう。

こうやって読んでみると、今回の停戦条約の実態がかなり明らかになったと言える。それにしてもアメリカ主流メディアの新聞記事解読に要する技能は半端じゃないな。

May 12, 2008, 現時間 10:08 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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May 10, 2008

いつからレバノン政府にアメリカの後押しが付いたわけ?

イラク関係 , 中東問題 , 狂ったメディア

レバノンにおいて反政府側のシーア派と政府側のスンニ派との宗派間争いが続いている話は先日もした通りだが、それに関するアソシエートプレス(AP)の記事を読んでいて不思議な表現に気がついた。

イランに支持されたヒズボラとその仲間がベイルート政府のイスラム居住区を占拠し、その武力の強さを見せ、合衆国に支持された政府側と戦った。レバノンの1975-1990に起きた内乱以来最悪の事態となった。

ヒズボラはイランの工作員であり、イランから資金、人員、訓練を受けたイランの先鋭部隊である。しかしレバノン政府は民主的な選挙によって選ばれた正規の政府であり、アメリカとは無関係だ。レバノンの選挙にアメリカはなんら関与していない。

アメリカがレバノン政府を支持するとしたら、それは単にレバノン政府が正規な政府であると認めるということに過ぎず、それならフランスやイギリスも同じように現政府を独立国の正規政府として認めているのとなんら変わりはない。それなのに何故APは、あたかもレバノンがアメリカの統治下にあるかのような書き方をするのか。

その理由はレバノンのおける紛争はイラン対アメリカの代替え戦争だという印象を読者にもたせたいからだろう。イラクではイランの手先のモクタダ・アル・サドル率いるマフディ軍がイラク・アメリカ連合軍によってこてんぱんにされているので、無関係なレバノン紛争を持ち出してきて、イラクが収まってもレバノンではアメリカが押され気味だと言いたいのだろう。

そこまでしてアメリカの通信社がアメリカをこき下ろしたいというのも不思議でしょうがない。

May 10, 2008, 現時間 12:11 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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May 8, 2008

レバノンでも、シーア対スンニの宗派間争い

イラク関係 , 中東問題 , 対テロ戦争

シーア対スンニの宗派間争いといえば、イラクかと思うとそうではない。シリア系のシーア派ヒズボラがレバノンで地元スンニ派と熾烈な戦いを繰り広げている。

木曜日ベイルート市街地でシーアヒズボラはスンニ派レバノン政府軍によるシーア派武装解除に抵抗してロケット弾やマシンガンを使って応戦した。この戦いで4人が死亡、8人が負傷した。

スンニのリーダーであるサアード・ハリリはヒズボラの頭であるハサーン・ナスララに戦闘員を撤退させ「レバノンを地獄から救うよう」に呼びかけている。

今回の暴動のきっかけは、政府がヒズボラの取り締まりを強化すると発表し、その第一段階としてヒズボラ同士の交信ネットワークを違法と断定、ヒズボラとつながりがあるとされたベイルート空港の警備部長を交替させたことにある。

ナスララは全国放映のテレビ演説でヒズボラの交信ネットワークが2006年夏のイスラエルとの戦争の際に多いに役立ったとし、「対イスラエル・アメリカ抵抗運動への挑戦」だとして次のように宣言した。

「我々を逮捕しようとするものは我々が逮捕する。」「我々を撃つものは我々が撃つ、我々に上げられた腕は我々が切り落とす」

まったくいつもながらイスラム教過激派の言うことは勇ましい。やることはいつもお決まりの野蛮なテロ行為だが。

パレスチナでもイラクでもそうだが、中東で暴力沙汰が起きるたびに、常にイスラエルやアメリカが原因であるかのようにイスラム過激派は責任転嫁をするが、結局彼らのシーア対スンニという宗派争いに外部からの手助けなど必要ないのだ。彼らのぶつかるところ常に戦ありである。平和な宗教が聴いて呆れる。

とはいうものの、レバノンにおける宗派間争いにはシーア対スンニの勢力争いであることに違いはないが、その背後にはイランとサウジアラビアがいることも無視できない。

ヒズボラはシリア系のテロリストだが、その裏にイランがいることは周知の事実。イラクでサドルを使って宗派間争いを激化させようと色々工作をしているイランはレバノンでも同じようなことをやっているわけだ。

スンニ派のリーダーは近隣のスンニ派諸国に援助を訴えかけているが、サウジやエジプトは口は達者だが政府が直接介入することは先ずあり得ないだろう。ただしレバノンがシーア派国になるのはサウジやエジプトにとっても好ましいことではないので、対スンニテロ行為の資金援助くらいはしてくれるかもしれないが。

ヒズボラはいまのところベイルート空港を占拠しているが、レバノン政府軍は本格的な攻撃は始めていない。

May 8, 2008, 現時間 2:15 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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May 2, 2008

イラク軍シーア派民兵との戦い、壊滅状態のマフディ軍

イラク関係 , 狂ったメディア

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3月25日、イラクのノーリ・アルマリキ首相はバスラのサドル派民兵に向かって驚くべき抜き打ち攻撃をおこなった。そのあまりの抜き打ちさにマリキ首相は攻撃が始まって二日後になるまでアメリカ軍にシーア派退治を始めたことを知らせるのを忘れていたほどだ。

アメリカ軍はあわててイラク軍に追いつくべく近距離空援助や必要な後方援助を送り込んだ。当初はバスラの戦いはかなり危なっかしい状態に見えた。ケツの青いイラク軍の一隊など敵に圧倒されて退散するという一幕もあったが、マリキ首相は即座に援軍をおくりこんで開いた穴を塞いだ。バグダッドのスラム街であるサドル市で別の前線が展開されたが、そこではアメリカ軍が先導してマフディ民兵らに立ち向かい大勝利を得た。

熾烈な戦いが繰り広げられたが、イラク軍の指揮のもと、最終的にはアメリカ民主党がイラクが独立国として成立するに必要不可欠として挙げていた条件が満たされる結果となった。モクタダ・アル・サドル率いるシーア民兵に断固立ち向かうことによってシーア多数派はシーアだけでなくイラク全土を統治する資格があることを証明したのである。民兵軍をサドルが率いるとはいっても、サドルがイランに逃げ隠れしてからすでに一年近くなる。実際にサドルがどれだけマフディ軍に影響力をもっているのかかなり疑問だ。

一ヶ月以上になる戦いだが、マリキが賭けに勝ったことはかなり明らかになってきた。

  • サドル派はバスラをはじめ他の市や地区で完全に撤退状態で、サドル市では壊滅状態にある。
  • サドル派への攻撃によってマリキ首相をついに信用することにしたスンニ派のタリーク・アルハシーミ副大統領がスンニ派政党に政権に戻るように呼びかけた。
  • サドル自身は完全にその不能さをみせ、イラク政府に対して全面戦争の脅しをかけておきながら、マリキの騎士の突撃作戦の勢いが全く弱まらないのに腰を抜かして数日後には再び停戦を嘆願するという弱さをみせている。
  • マリキ首相は引き続き攻撃をすすめており、今や後片付けの段階にはいっている。イラク軍は兵站(へいたん)と近距離空軍の援助さえあれば独自に軍事作戦が行えるということを証明した。そして全党参加の政権統一も含め、アメリカの民主党がイラク政府に要求していたすべの条件が整いつつある。

その詳細を吟味してみよう。

ハシーミ副大統領の帰還非常に重要だ。スンニはイラク生誕に必要な半分の要素だからだ。

イラクの首相は日曜日、スンニの副大統領と会合しスンニ派政党をシーアが独占している政権に復帰させるべく話あった。一方バグダッドでは衝突と自爆攻撃で5人が死亡したと警察は発表した。(ミスター苺注:この二つのニュースにどういう関係があるってんだ? 「バラク・オバマとヒラリー・クリントンが弁論会をおこなった。一方アメリカ全土で47件の殺人事件がおきた。」なんて記事想像できるか?)

ノーリ・アル・マリキ首相とタリーク・アル・ハシミ氏との会合はスンニのリーダーであるハシミ氏が政治的ボイコットをおこなっていた(スンニ派政党)National Accordance Frontに政権に戻るように呼びかけた翌日におこなわれた。

アル・ハシミ氏はアル・マリキ氏のもっとも厳しい批評家で(首相は)シーア派贔屓をしていると非難していた。一方でマリキ首相は副大統領は重要な立法を妨害していると苦情を述べていた。しかしアル・ハシミ氏をはじめスンニのリーダーたちはアル・マリキ氏によるシーア民兵取り締まりにほだされた模様である。

これに対してサドルの衰退ぶりは見ていておかしい。まず4月19日現在の 強気のサドル

反米のシーア聖教師モクタダ・アル・サドル師はアメリカ・イラク軍による彼の従者への取り締まりが止まない限り、新しく挙兵すると脅した。

師はこれがイラク政府に対する最期の警告だとし、米国軍と協力するのを直ちにやめなければ「解放のため会戦する」と宣言した。

土曜日の声明はアル・サドルのウェッブサイトに掲載された。

7ヶ月にわたる停戦を解除するという警告はアルサドルのマフディ民兵軍とアメリカ・イラク軍がバグダッドのサドル市と南部のバスラで戦いを繰り広げる最中にされたものだ。

ノーリ・アルマリキ首相もまた、マフディ軍が解散しない限りサドル派は政治的に孤立するであろうと語った。

ところが数日後の4月26日になるとサドルは完全に尻尾を巻いて逃げ腰だ。

過激派聖教師のモクタダ・アル・サドル師は金曜日、流血を終わらせるよう呼びかけた。師は「会戦」の警告はアメリカ軍が指揮する外国軍のみにしたものであると説明し、従者への取り締まりを巡るイラク政府との正面きっての挑戦を取り下げた。

一方でノーリ・アル・マリキ首相はアル・サドルのマフディ民兵軍及び違法武装集団への厳しい取り締まりを強化し、武装解除を含む軍事行使中止の条件を整えた。

アル・サドルの新しい声明文は説教の中で述べられ、師のウェッブサイトに掲載された。これによって最近向上した警備体制を脅かす反米聖教師による8ヶ月近い停戦の解除は免れた。

「我が輩は警察や軍隊やマフディ軍の兄弟たちに呼びかける。流血を止めよ!」とアルサドルは声明の中で語った。「我々は正裁と安全を達成させる傍ら、あらゆるかたちの抵抗を支持すべきである。」

全体的にみてイラクの4月は民主主義にとって非常に良い月だったといえる。そして混乱と人命生け贄派のテロリストたちにとっては 悲劇的な月となった。このようなすばらしいニュースを主流メディアはどのように報道しているであろうか? 主流メディアがバスラやバグダッドでの戦いや南部でのマフディ軍の壊滅ぶりについてなんと説明しているかといえばこの通りだ。

イラクの米軍戦死者ここ7ヶ月で最高に

バグダッドで別々に起きた攻撃によりアメリカ兵5人が戦死、これで4月のアメリカ兵戦死者数は49人となり去年の9月以降で最高の死亡率となった。一人の兵士は乗っていた戦車が路肩爆弾に乗り上げ命を失った。二人目は小銃でうたれた傷が元で死亡したと水曜日、軍は発表している。どちらの事件も火曜日バグダッドの北西で起きた。

三人目は水曜日の早朝、首都北部の地区で徒歩パトロール中に爆弾にあたって死亡した。またバグダッド南部では路肩爆弾によって二人の米兵が死亡したと米軍は別々の声明で発表した。

米軍戦死者はサドル市やその他の地区ですでに一ヶ月以上おこなわれているシーア民兵と米・イラク軍との戦いが激化するにつれ増えている。

アソシエートプレス(AP)の合計によるとイラク戦争が2003年3月に始まって以来少なくとも4061人の米軍兵が戦死している。

「我々は、この戦いは厳しく、過激派と対抗する時期があり、これらの犯罪集団やアルカイダテロリストたちは復活しようするであろうことは、当初から言い続けてきました。」 と米軍報道官のケビン・バーガー少将はバグダッドで記者団に語った。

「ですから我が軍の犠牲や、イラク軍やイラク市民の犠牲はこの試練を反映するものであります。」バーガー少将はアメリカ兵の戦死者増加の背景に関する質問に対してこのように答えた。

アルカイダの数倍のイラク市民を殺害してきたイラクで最も暴虐的な犯罪グループであり、イラクの安全に一番障害を及ぼすシーア派民兵らとの戦いが、APにかかると単なる米軍戦死者数増加という記事になってしまうのだからひどい!

それだけではない。もっと質が悪いのは、APは報道官の声明文を文脈を無視してところどころ自分らに都合のいいところだけ引用することによって、あたかもシーア派民兵軍との戦いは敵側からもちかけられたような印象をあたえていることだ。まるでサドル派が「復活しようと」抵抗力のないアメリカ軍兵を殺し始めたかのような書き方なのだ。APの記者たちは自分らが戦闘テンポに無知なあまり現実とは正反対のことを報道していることに気がついているのだろうか?記者たちは民主主義の軍隊がテロリストに戦いを挑めばこちらの犠牲者が増えるという事実など考えも及ばないようだ。

ところで戦死者数といえば、これまで発表された数によれば4月中に戦死した英米味方側の戦死者数は45人だが、敵側マフディ軍はなんと400人から1000人を失っている。戦死率は15:1の割合で敵側が圧倒的な打撃を受けていることになる。ペンタゴンは戦死者数を発表したがらないが、これは味方側の圧勝ではないか!

もっとも2008年4月の戦死者数にこだわってるAPは、2007年9月の戦死者数を明らかにしていない。多分それは去年9月の数を発表してしまうといわゆる「増派」が成功したことを証明してしまうからだろう。

では9月の同盟軍戦死者数はどうだったのかというと、Iraq Coalition Casuality Countによると69人だった。(一日平均2.3人)つまり今年4月の戦死者数は去年の9月に比べて2/3に減っているのだ。そして去年の9月といえばすでに対抵抗軍作戦が中盤にはいり味方側の戦死者数が大幅に減少の傾向にあった時期である。2007年5月のピーク時では131人の戦死者が出た(一日平均4.23人)それに比べたら今年4月の戦死者はこちら側からの攻撃を行っているにも関わらず1/3に減っているのである。

iCasualitiesによれば4月のイラク市民の犠牲者数は565人とある。2007年9月の数は752人だったが、2007年の2月は2864人だった。これに比べたら2008年4月の死者数はたったの去年2月の22%にしか満たない。普通、市民の死亡率が78%も減ったら味方側による市民の安全保障作戦はうまくいっていると判断するのが妥当だ。しかしアメリカの主流メディアは市民の犠牲者数が78%も減ったというすばらしい事実は報道せず、味方軍の戦死者数が多少増えたことを強調するしか脳がないんだからしょうがない。

こんな戦争ジャーナリストなんて必要あるのかね。

May 2, 2008, 現時間 5:27 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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April 12, 2008

バスラのイラク軍作戦、マリキ首相の成功を認めない主流メディア

イラク関係 , 狂ったメディア

本日は昨日のイラク情勢好転に主流メディアの情報操作は続くに引き続いて、バスラで行われているイラク軍によるシーア取り締まり攻撃について、マリキ首相のこれまでの功績をみてみよう。

下記は例によってビル・ロジオから:

停戦後、イラク軍はバスラに援軍を出動させると発表し、翌日にはKhour al ZubairとUmm Qasrpushedの港に軍を送り込んだ。以来、バスラ内部ではイラク特別部隊と特別警察隊によるいくつかの手入れが行われている。その間イラク軍の一旅団は4月2日までマフディ軍の本拠地だった真髄に進行した。そしてサドルが停戦を呼びかけた二日後にはイラク政府はサドル市及びバグダッド内のシーア居住区に戒厳令を引くことに成功した。

マリキの共同政府はこの作戦に反抗は見せなかった。イラク政府の反対派がバスラ作戦に抗議して緊急議会を開いたところ、275人の議員のうち参加者はたったの54人だったと AFPは報道している。出席したのはモクタダ・アルサドルの党派とシーアファディラ党、世俗主義イラクナショナルリスト、the Sunni National Dialogue Councilといった零細党だけで、イラクの最大政党であるシーアイラク連盟(Shiite United Iraqi Alliance)とクルド連盟(Kurdish Alliance)の姿はみられなかった。イラク議会の主力な党派が緊急議会を無視したことはマリキ政権が危機に瀕していないということであり、政治的に大きな意味を持つ。

10日間の攻撃停止期間は民兵軍に武器解除をし降参する猶予を与える目的でされたものだ。しかしイランから訓練を受け、イランから直接命令を得ているマフディ軍JAMの一部は未だに戦闘をあきらめていないため、イラク軍による「騎士の突撃作戦」は続けられている。

ところで主流メディアがサドルが勝った証拠としてあげていたことのひとつに、サドルの従者たちはサドルの命令にちゃんと従っているということがあった。しかし現状を見ていると、サドルがいかにその影響力を失っているかが顕著となっている。実際にイラク軍に対抗して戦っているJAMのメンバーはサドルから命令を受けているというより、イランのクォド特別部隊から直接命令を受けていると言っていい。

新しいイラク軍がバスラに到着しはじめアメリカとイギリス軍がイラク軍の援軍として準備をはじめるなか、イランのクォド隊から命令を受けたサドルはマフディ軍に市街地から撤退するよう命令をくだした。サドルは攻撃停止を含む9条に渡る交換条件を要求したが、マリキはそれを拒絶。イラク・アメリカ連合軍はバスラ侵攻を続行しシーア民兵軍に対し、焦点をしぼったピンポイント攻撃を続けている。バスラでの6日間の戦いだけでも、すでに200人以上のマフディ軍戦闘員が殺され、700人が負傷、300人が捕獲されている。

サドルの撤退しろ抵抗するなという命令とやらはあんまり効果がないらしく、マフディ軍の一部は一向に戦いをあきらめる様子を見せていない。しかし戦えば戦うほど奴らは追いつめられていく。どこにも居何処のなくなった奴らはイランに帰るしか道はなくなるだろう。

主流メディアはこれまでマリキが政治的な進歩を遂げていないといって批判してきた。しかし、マリキが政治的な見解の違いを乗り越えてクルドとスンニに手をのばし、その協力を得られた今となっては、主流メディアはマリキの功績をほめたたえるかといえば、無論その答えは否である。マリキの努力の成果を評価するどころか、マリキには近視眼的な汚い動機があると批判する。イラクは10月1日に全国選挙を予定しているが、マリキの所属するダワ党は石油資源の豊かなバスラや宗教的中心であるナジャフやカルバラで苦戦が期待されている。

バスラ攻撃の成功はマリキのダワ党と彼の味方であるイスラム最高評議会(the Supreme Islamic Iraqi Council, SIIC)が選挙で成功する確率を引き上げるはずだった。SIICのバーダー旅団(Badr Brigade)はマフディ軍の宿敵である。

ノーリ・アル・マリキはもともとモクタダ・アルサドルの後押しによって首相となった人である。ダワ党といえば歴史的にサドルのマフディ軍である JAMの味方でありバーダー旅団とはライバル関係にあった。(バーダー旅団は民兵軍というイメージを脱ぎ払うために、最近はバーダー組織と改名した。)

そのマリキが従来のライバルであったSIIC従属のバーダーのライバルであり自分の所属するダワ党の元スポンサーであるマフディ軍を攻めることが、いったいどうやってダワ党への票集めにつながるというのだ? ま、降参降参といって逃げまどっているサドルが大勝利をとげたと平気で言えるAPだから、こういう不思議な理屈も成り立つのかもしれないが。こんな理屈にだまされるのはリベラルくらいだろう。

マリキ首相並びにイラク政府はさらに マフディ軍を孤立させるべく、10月の選挙にはサドル派を参加させない意向だ。 マリキ首相はサドルがマフディ軍を解散しない限り、サドル派の政治参加は許可しないと発表した。これに対してサドルの報道官はナジャフのシスタニ大教祖に相談すると語っていたが、シスタニ自体はサドルから相談を受けた覚えはないとしながら、マフディ軍は解散すべきだという意志を表明している。

となってくるとサドル派はかなり苦しい立場に追い込まれたことになる。マフディ軍を解散してしまえば、サドル派は単なる弱小政党に成り果てる。しかし解散しなければ政治力のないただの民兵軍に成り下がってしまう。そうなればマリキの力はさらに増幅しマフディ軍はマリキによって完全に抹消されてしまうだろう。マフディ軍はいってみればイラン版のイラクのアルカイダとなってしまうのだ。

しかしこの後に及んでも主流メディアはまだバスラの戦いではモクタダ・アルサドルが大勝利を納め、マリキ首相は政治的に滅ぼされたと言い張っている。

どうしてもイラク情勢の好転を認めたくない主流メディアは日に日にそのうろたえぶりがひどくなるようだ。

April 12, 2008, 現時間 1:56 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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April 9, 2008

イラク情勢好転に主流メディアの情報操作は続く

イラク関係 , 狂ったメディア

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イラク情勢に関しては主流メディアに真実を頼ることは完全に無理だ。アメリカの主流メディアも、そしてそれを誠実にコピペしまくる日本メディアも含めて、まるでかつてのバグダッドボブのように、アメリカは負けているイラク政府は混乱状態というニュース以外は流したがらない。しかし中国の大本営放送のように情報操作に余念のない主流メディアでも時々間違って真実を報道してしまうことがある。

この間からお話しているように、バスラのイラク軍によるシーア民兵退治作戦「騎士の突撃作戦」ではノーリ・アル・マリキ首相が大成功を収めているが、それに付け加えてマリキ首相はこれまで対立していたクルド派やスンニ派の支持も得ることができた。APが嫌々ながら報道しているこの記事 によると、、、

ノーリ・アルマリキ首相の弱まるシーア派民兵への取り締まりは、スンニアラブとクルド党から支持を勝ち取った。両党とも強力な民兵ともろいイラク政府の失敗による悪影響を恐れてのことであった。

双方の共通目的がイラクの政治的溝を埋める橋渡しになりそうだ。

クルド自治区の首領であるマスード・バールザニ(Massoud Barzani)は反米聖教師のモクタダアルサドルのマフディ軍との戦いにクルド軍を派遣すると提案した。

もっと意味があるのはスンニアラブのタリーク・アルハシミ副大統領がクルド人のジャラル・タラバニ大統領の声明文を承認しクルドおよびシーアの副大統領アディル・アブドール・マフディとともに石油資源の豊かなバスラにおける民兵退治を支持する意志を表明した。

この間も紹介したが主流メディアはマリキがマフディ民兵軍(またの名をJaish al Mahdi、または JAM)退治に他党との協力を得られていないと批判していた。確かにハシミ副大統領とマリキ首相は馬が合わないライバルではある。そんなそのハシミ氏が主流メディアがいうように「失敗が鮮明」になった作戦を応援したりするだろうか? はっきりいってアラブ人はダークホースを応援するような民族ではない。明かにマリキを勝ち馬と見たから応援する気になったのだ。

もちろんAPニュースはとにかくバスラはイラク軍の大敗だという主張を続けている。

バスラの「無法者」や「犯罪者集団」を対象に行われた取り締まりは激しい抵抗と政府軍の不満分子などに面して行き詰まりをみせている。先週の日曜日、アルサドルが戦いをやめるように民兵たちに呼びかけて以来、主な戦闘はおさまっている。

しかしアルマリキはバグダッドにあるマフディ軍の本拠地への取り締まりも続けると強気の口調を弱めていない。しかしアルサドルが復習をほのめかすと、マリキ首相は若い聖教師の従者を対象とした取り締まりや手入れを中止した。

なんで敵が降参を唱えている戦いが行き詰まっているなんてことになるのだ?お決まりの「泥沼」といわないだけましかもしれないが。確かにマリキは民兵軍攻撃を一時停止すると発表したが、それはサドルの復讐を恐れたからなどではない。そんなことが恐かったら最初から民兵の取り締まりなど始めるわけがないし、一旦JAMが予想以上に強いと分かった時点で戦いをやめているはずだ。しかしマリキは戦いをやめるどころか攻撃を激化させ、援軍まで呼んで戦い続行している。マリキは民兵軍が武装解除をして降参する時間を与えるために一時攻撃は停止すると発表したに過ぎないのだ。バスラをパトロールしているのはいまやマフディ軍ではなくイラク軍なのだということを忘れてはならない。

マリキの成功はまだまだあるのだが、今日は時間がないので詳細は次回に続く。

April 9, 2008, 現時間 10:42 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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April 4, 2008

イラク情勢:サドル対マリキ、バスラの戦いに勝ったのはどちら?

イラク関係 , 狂ったメディア

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先日もお話したように、イラクのバスラとバグダッドにおいて、イランの飼い豚モクタダ・アルサドル率いるシーア武装集団マフディ軍を撲滅すべくイラク軍による激しい攻撃作戦「騎士の突撃作戦」が行われている。マフディ軍がこれ以上は抵抗はしないと停戦交渉を求めてきたことから、一応この作戦は峠を超えたといえる。

しかし、本来ならばマリキ首相の大手柄としてイラク軍の大勝利が讃えられてもいいような結末であるにも拘らず、アメリカの主流メディアはなんとかしてこれをサドル派の勝利だと印象づけたいらしく日夜情報操作に余念がない。だが、反戦派の左翼メディアがサドルの勝利を唱えるのは分かるとしても、右翼側のメディアですらマリキ首相の勝利を認めたがらないのだから不思議である。

保守系人気ブログのパワーラインカウンターテロリズムブログ(Counterterrorism Blog) はこれだけ勝利がはっきりしている戦いなのに未だに「で、どちらが勝ったのか」と問いかけている。何もかもすぐに信じないのは良い性格かもしれないが疑い深いのもここまでくるとちょっと考えものである。

軍事知識豊富なブロガーオースティン・ベイ大佐(Col. Austin Bay)ビル・ロジオ(Bill Roggio)を読んでいれば、どちらが勝ったのか明白であるのに、、、

勝者は停戦を提案したりしない

まず最初に普通軍事戦闘において、最初に停戦提案を声高にした方が負けてる方だというのは常識。勝ってる方が勝利を目前にして停戦なんかする必要はない。相手を押しまくって完全勝利を得るまで戦うのが筋である。

現在の「騎士の突撃作戦」(Operation Knights' Charge)においてサドルが勝ったといってる方も、マリキが勝ったといってるほうも、停戦提案を最初から何度もしているのはサドルの方だという事実では同意している。サドル勝利説側はサドルの勝利を証明するものとしてサドルが停戦条件として出した数々の提案をあげている。例えば捕虜となったマフディ戦士でまだ裁判で有罪になっていない者を釈放することなどその一つだ。しかし停戦条件が成立するためには相手側がそれに応じなければならない。ところが主流メディアにしてもブロガーたちにしても誰一人としてマリキがそんな条件を飲んだと主張するものはないのである。それなのにマフディ軍はバスラから撤退してしまったのだ

昨日のタイムマガジンの記事など、サドルの停戦条件を羅列しておきながらマリキの反応については全く無言である。(下記は要約のみ)

シーア派政治家の代表使者と会見して停戦について話し合った際、サドルの主な要求の一つはサドルの戦闘員たちを恩赦法によって釈放することであった。 これはサドルの従者たちのなかで叔父や兄弟たちが拘束され、スンニ派抵抗軍が親切な地元市民から補助金をもらっているのにもかかわらず、自分達は増派によって不公平な扱いを受けていると感じて不満をもっているものへのご機嫌取りといえる。腕のいい政治家ならだれでもするように、サドルは従者に自分も施し物をすることが出来ると証明しなければならない。そのために戦争をしなければならなくても。

しかし記事はここで終わってしまう!マリキがこの要求を飲んだという証拠を少しでも握っていたらに著者のチャールズ・クレイン記者がそれを無視するはずがない。それどころか最初に大々的に太文字で「マリキ、サドルの要求を全面受諾!」とかなんとか書きまくるに違いない。特に「モクタダ・アルサドルはいかにしてバスラの勝利をものにしたのか」なんて見出しのついている記事ならなおさらである。

勝者が領土を制覇する

どちらが勝っているかを見極める方法として、戦闘が終わった時点で戦闘前と比べて双方がどの地点にいるかということが上げられる。バスラの戦闘が始まった時、イギリス軍のやわなやり方のおかげでマフディ軍がバスラを統括していたということは誰もが認めている。 マフディ民兵は町をパトロールし、市民を恐喝して脅かし、気に入らない市民を好き勝手に誘拐し、大っぴらに武器をふりかざして歩き回り、大集会を開いたりしていた。空港や港や油田を制覇していたのもマフディである。

今日、バスラをパトロールしているのはイラク軍である。 これも誰もが認めることであるが、マフディ軍は戦闘員を市街地から引き上げさせ、今やバスラ市をコントロールすることが出来なくなった。インターナショナルヘラルドトリビューンによれば(International Herald Tribune):

バスラ中央のハヤニヤ地区に十何台で乗り入れたイラク兵たちは、これといった抵抗に会わなかった。ここはつい先週までアル・サドルのマフディ戦士たちと激しい戦いが繰り広げられた場所である。

兵士らは関門を設置し数軒の家を捜索し2〜3時間後には立ち去ったと目撃者たちは語った。

ビル・ロジオによるとこうである。

サドルが全面的停戦宣言をしてからはバスラにおいても南部においてもマフディ軍への攻撃はその激しさは衰えたが、イラク警備隊による作戦はそのまま継続されている。今日イラク軍はマフディ軍が生息するバスラ中央部のハヤニヤ地区を行進した。4月1日に、ヒラー特別武器兵法部隊はバスラにおいて20人の「武器運搬人」を逮捕した。3月31日、イラク特別部隊はマフディ軍が選挙していたバスラの学校での手入れ捜査中に14人の「犯罪者」を殺害した。

イラク軍当局によると、イラク警備隊はバスラ掃蕩を続けている。日曜日の記者会見においてアブドゥール・アジーズ少将はバスラ、ナジュビャ、アルマーキル(Basra, Najubya, Al Ma’qil, Al Ashshar Wazuber and Garmat Ali)その他の数地区は掃蕩されたとし、この作戦は今後も継続されると発表した。「我が軍は特定の地区内及び他の地区の掃蕩に成功している」と少将。「本日よりそのほかの場所において手配中の人物や犯罪者や未だに武器を所持しているものたちの取り締まりをはじめる...」

イラク軍はまた4月1日にバスラ地区の港、Khour al Zubair と Umm Qasrに隊を出動させた。イラク軍はこれまで頻繁な犯罪行為をしているとされていた施設の警備員たちから警備の役割をとって代わることとなった。

明らかに戦闘後の状態はイラク軍にとってずっと良い状況になっている。それに対してマフディ軍の立場は悲惨なものである。この状況だけをとってみてもどちらが勝ったかは明白なはずだ。

勝者が戦後処理の音頭をとる

どちらが勝ったかを見極めるもう一つの方法として、戦闘後の作戦の音頭をどちらがとっているのかということがあげられる。これにおいても議論の余地はない。マフディ軍が市街地に拡散し隠れている間、イラク軍は掃蕩作戦を継続している。イラク軍はマフディ戦闘員の隠れ家を次々に家宅捜査し、民兵たちを逮捕し、地域平定し、地域制覇のための援軍も呼び込んでいる。

勝者の死傷者は敗者より少ない

死傷者の数だけではどちらが勝ったかの決め手にはならないが、他のことと合わせれば、これは非常に大きな手がかりとなる。何百人というマフディ戦闘員が殺され何百というメンバーが捕虜にとられた。サドル勝利説側の誰もイラク軍がそのよう多大な損害を受けたと主張していない。

ビル・ロジオによれば、戦闘のはじまった3月25日からアメリカとイラクのメディアで非公式に集められた数は、571人のマフディ戦闘員が戦死、881人が負傷、490人が捕虜、他に30人以上が降参したとある。

公式発表を使っているオースティン・ベイ大佐は、イラク内務省の報道官によればサドルの民兵軍は215人の戦死者を出し155人が逮捕され600人が負傷したとある。公式発表は常に保守的な見方をするのでメディアの集計より少ないのは当然だろう。

ベイ大佐は、公式発表が正しいとすれば、少なくとも二千人というサドルの民兵たちが散り散りになってしまったことになるという。

ベイ大佐の2000人の戦闘員という数が正しいとすると、サドルは今回の戦闘ですくなくとも18.5%の戦闘員を失ったことになる。非公式のロジオの数を計算にいれると多く見積もってなんと53%の損失だ!南部の18%を入れた合計48%の損失とは軍隊としては致命的な損害である。これでは今後新しいメンバーを募集するのも難かしいだろう。

エリートメディアによる勝利を敗北と結論付ける方法

これだけ明白なマリキのイラク軍勝利をサドル勝利説側はどうやって説明するのであろうか?その答えは簡単だ。現場の現実を完全無視し、マリキは政治的に多大なる打撃を受けた、なぜならイラク軍はサドルを殺すことができなかった、イラク軍は数時間でマフディ軍を撲滅できなかった、イラク軍は、、、、と繰り返せばいいのだ。

タイムマガジンによれば、サドルがいまだに息を吸っていて、奴の命令を聞く従者が多少残っているというだけで、マリキは大敗北したという十分な根拠となるらしい。

アメリカ軍の多くの兵士や将校たちからはマフディ軍はばらばらな戦闘員と犯罪者のより集めのように見られている。しかしバスラ戦闘の終結が見せたものはサドルが命令すれば民兵たちはそれに従うということである。

サドルの指導力はマリキ首相のそれとは対照的である。マリキ首相は警備の役人たちと南のバスラへ出向き作戦を自ら監視した。数日におよぶ激しい戦闘の末、マリキ首相は先に発表した民兵たちの降参、および武器の買い取りの期限を延期した。しかし停戦の条件として民兵たちは武器所持の権利を明確に主張した。停戦が交渉なしで行われるというマリキの発表そのものがサドルではなく、軍事的政治的同盟を維持できないマリキの弱さを暴露する結果となった。

そうかああ〜?イラク国内のスンニ、クルド、サドルシンパのシーアなどからの抗議にもかかわらず、マリキは戦いを継続している。イラク軍は今日もサドルへの攻撃を止めていない。それなのにタイムマガジンのクレーン記者はサドルが停戦を呼びかけたらマフディ軍がサドルのいうことをきいてバスラを投げ出してすたこらさっさと逃げてしまったから、負けたのはサドルではなくマリキだと言い張るのである。

タイムマガジンとは政治的に正反対な意見をもっているカウンターテロリズムのコチランに至ってはマリキがサドルおよびマフディ軍、それをいうなら武器を持ってアメリカにたてついたシーアおよびそのペットの犬も含めて、最後のひとりまで皆殺しにしなかったからマリキは惨敗したといいたいらしい。(サドルを殺すといっても、サドルはイラクにはいない。私の知る限り、サドルはいまだにイランの庇護のもとにイランに隠れているはずである。)

今朝のニュースも含め、これまでの情報から私は短期的なアメリカ軍の勝利はアメリカ軍がイラク中に散漫するシーア派地域に多大なる軍隊を出動しない限り、長期的にみてモクタダ・アルサドルおよびシーア社会そしてイランによる兵法的な勝利となると確信する。

コチランはイランの手先であるサドルの鶴ならぬ白豚の一声にイラクの民兵たちが従ったというだけで、イラクは放っておけばイランにいいように踊らされてしまうという自分の主張は正しかったのだと言い張る。コチランは米軍が市街地をパトロールする中(本当はイラク軍だが)イギリス軍がさらに撤退を決めているのもイラク情勢の安定にイギリス軍が自信がないからだという。イギリス政府が腰抜けだという可能性は無視するようだ。そしてアメリカ軍のケビン・バーグナー少将がイラク政府が犯罪者の摘発に力を入れていることは歓迎するとしながらも、イラク警備隊のなかにはまだまだ力が足りない隊があると「認めた」ことを指摘してイラクの将来は真っ暗だと結論付けている。ハッキリ言ってアメリカ保守派の悲観主義にはカカシはかなり嫌気がさしている。

で、いったい何%のイラク警備隊が力が足りないとされているのだ?第一この警備隊は警察のことなのか、それとも軍隊のことなのか? 南部のイラク警察のなかには少数だがシーア民兵の管轄内にある隊があることは誰でも知っていることでいまさら取り立てて騒ぐほどのことではない。これをもってしていってイラク軍全体が意味のないものと判断するのは行き過ぎだ。

圧倒的に勝つことによる勝利

コチランの経歴を読む限り、彼は弁護士と計理士の資格を持つ役人経験のある人間で、対テロ政策もビジネスの側から入った人物で軍事体験は全くないしおよそ専門家とはいえない。

それにひきかえビル・ロジオやオースティン・ベイ大佐の軍事知識は申し分ない。こと軍事状況に関してはコチランのような役人肌よりロジオやベイ大差の方がずっと信頼できる。

さて「で、どちらが勝ったのか」という質問だが、すべての証拠や状況を考慮にいれたうえでいわせてもらうならば、間違いなくノーリ・アルマリキ、イラク首相の大勝利である。下記にもう一度まとめてみよう。


  • 停戦を最初に提案したのはサドルであり、降参条件を提案しておきながらその条件が満たされないうちに降参してしまったのもサドルである。
  • 戦闘前にはマフディ民兵軍の管轄下だった領地を現在コントロールしているのはイラク軍である。
  • マフディ軍が逃げまどい、指揮者が恐れて顔も見せられないなか、作戦の音頭をとっているのはイラク軍である。
  • マフディ軍は南部勢力の18%の戦力を失い、さらに30%の負傷者を出した。
  • サドルが「勝った」と主張する側が言えることはサドルが殺されず、壊滅状態になっマフディ軍がサドルを指揮者として見捨てていない、ということだけである。

これでもまだサドルが勝ったと言い張るのであれば、ま、しょうがないだろう。マリキ首相がこのままがんばってくれれば、イラクでも違う意見を述べる自由は保証されるのだから。

April 4, 2008, 現時間 11:48 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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March 31, 2008

対シーア民兵にイラク軍大勝利! 降伏するサドルに狼狽えるメディア

イラク関係 , 狂ったメディア

現在イラクではバスラを本拠地とするモクタダ・アルサドル率いるシーア派民兵軍に対して、イラク軍による猛攻撃が行われているが、イラク軍の圧倒的な勝利にサドルは悲鳴をあげ、なんとか生き残ろうと必死になっている。

以下ビル・ロジオより。

イラク政府がバスラのマフディ軍及びイランに援助されたシーア恐怖団体に対して挑んだ、騎士の突撃作戦(Operation Knights’ Charge)が始まって六日後、マフディ軍の指揮者モクタダ・アルサドルは戦士らに武器を捨てイラク警備群に協力するようにと呼びかけた。サドルによるマフディ軍への戦いを終わらせよという呼びかけは作戦が始まって以来マフディ軍に多大なる損害が出たことからきている。

「サドルは彼の忠誠者たちにすべての武力行使をやめるよう訴える伝言を送った。」とアル・イラキヤテレビ局は報道した。サドルはまた「政府や政党のオフィスや事務所...などを攻撃する者は勘当する。」と語った。

サドルの従者への戦いをやめるようにという呼びかけは、6日に渡ってマフディ軍が多くの死傷者を出したことが原因である。火曜日に戦いが始まって以来、358人のマフディ戦士が殺され、531人が負傷、343人が捕虜にとられ、30人が降伏した。米・イラク連合軍はバグダッドだけでも125人のマフディ戦士を殺している。イラク軍はバスラで140人のマフディ兵を殺した。

3月25日から29日の間でマフディ軍は平均毎日71人の割で殺されている。69人がすでに捕虜となり、ほかに160人が戦闘中に負傷したと報告されている。米・イラク連合軍は2007年の夏に行われたアルカイダとの戦いで、このような多大なる打撃を敵に与えたことはなかった。

ところがこの大勝利がニューヨークタイムスにかかると' こうなっちゃうんだからおそろしい:

シーア聖教者モクタダ・アルサドル師は日曜日、バスラとバグダッドで彼の味方である民兵軍とイラク・米軍の間で行われている六日間に渡る激しい戦闘を終わらせるべく第一歩を踏み出した。師は従者への提言でイラク軍が自分達の要求を飲む条件で銃を置くようにと呼びかけた。

 .....

米軍の戦闘機に援助されたイラク軍はサドル師関係のシーア民兵軍とバスラにおいて過去六日間に渡って引き分け状態を続けている。この作戦はノーリ・アル・マリキ首相への厳しい批判呼び起こしている。

南部を民兵の統括から取り戻そうとするマリキ首相の作戦は当初の予測よりもずっと激しい抵抗にあっていると先週イラクの防衛大臣アブドゥール・アル・オベイディ氏は認めた。

......

サドル師の今回の行動は2004年にナジャフで死ぬまで戦えと命令した態度とは対照的であり、サドル師の軍事指導者としての技能が過去数年で成長したことを意味する。

死ぬまで戦えと強気だった人間が、抵抗するな、抵抗する人間は勘当するぞ、などといきりたってることが指導者として成長した証拠だ?バカも休み休み言え!勝ってる人間がなんで降参の条件を提案したりするのだ?勝ってるなら戦いを止めろなどといわず、このまま相手が怯むまで突き進め!攻撃はやめるな、というのが筋ではないか。なんで勝ってる人間が相手に協力しろなんていうのだ?

そしてこれが日本の産経新聞になるともっとひどい!

【カイロ=村上大介】イラクのマリキ政権が南部バスラで開始したイスラム教シーア派民兵に対する掃討作戦は29日、5日目に入り、イラク政府軍の威信をかけた「単独作戦」の失敗が鮮明となりつつある。米軍は29日も前日に続き、空爆、昨年12月にバスラの治安権限をイラク側に移譲した英軍も作戦・情報面で政府軍への支援を開始した。しかし、民兵側は依然、バスラ中心部を支配下に置き、戦闘は中南部シーア派地域に広がっている。治安能力の限界を露呈したマリキ政権が自力で争乱を収拾できる可能性は少ないとみられる。

 政府軍は25日、イラク第2の都市、バスラのかなりの部分を支配下に置くシーア派の反米強硬派指導者、ムクタダ・サドル師派の民兵組織マフディー軍の影響力排除を目的に掃討作戦に着手。だが、マフディー軍側は予想以上に強固な抵抗を見せ、マリキ首相は28日、「同日深夜まで」とした民兵側への武装解除の最後通告期限を4月8日まで延期せざるを得なかった。

 バスラ攻略戦への関与を控えていた米軍は28日、戦闘機による限定的な空爆で直接介入に踏み切り、民兵に押され気味の政府軍の支援を始めた。イラクのジャーシム国防相は28日の記者会見で、「抵抗の強さに驚いている」と認めた。

 マリキ首相は27日、バスラの部族長を集め、「無法者とは最後まで戦う。話し合いも交渉もしない」と言明。これに対しサドル師側は「平和的解決を望む」としているが、徹底抗戦を続ける構えで、武装解除に応じる気配は全くない。

はっきり言って産經新聞の記者や編集部には現代の軍事作戦がどういうものか分かってる人間がいるのかと聞きたい。現代の戦闘では先ず地上部隊が戦いに挑み、敵に陣地をしっかり把握した時点で空軍の援助を呼ぶのは普通に行われている。地上部隊と空軍の協力行動は今や当たり前の作戦となっている。だが、イラク軍には空軍はない。また諜報部もない。だからイラク軍に足りない部分をアメリカ軍が補うのは当たり前だ。

これまではアメリカ軍が地上の先鋭部隊を送り込み、イラク軍は後部からの援助に参加する程度だったのが、いまではイラク軍が率先して先鋭部隊として地上で行動し、空軍援助を要請する立場となったのである。これはイラク軍が単独で行動できないことを証明したのではなく、イラク軍がどれだけ現代戦闘のやり方に慣れてきたかその成長ぶりを証明する状況が起きているのだ。それを産經新聞の馬鹿記者は全然わかっとらんのだ!よくもこんな無知蒙昧な人間がエリートメディアでジャーナリストですなんて顔をしてられるものだ、頭くるなあ!

従軍経験豊富なビル・ロジオはこういうことに関しては専門で、カカシは彼のサイトをもう5年くらい読んでいるが、彼がとんちんかんな分析をしたことは一度もない。そのビル・ロジオがサドルが必死に降伏交渉に入っていると言っているのに、ニューヨークタイムスや産経新聞(産経の記事はハッキリ言ってロサンゼルスタイムスの焼き直し)は引き分けだのイラク政府の不能を示しているだの滅茶苦茶なことを書いてる。

ニューヨークタイムスはしょうがないとしても、せめて産経新聞くらいは独自の取材をして真実を書いて欲しいものだな。かなり失望した。

March 31, 2008, 現時間 5:12 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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March 16, 2008

米共和党大統領候補、ジョン・マケインのバグダッド訪問

アメリカ内政 , イラク関係

共和党の大統領候補ジョン・マケイン上院議員は現在バグダッドを訪問中。マケイン議員は早期からイラクでの戦法はCOINといわれる対テロ戦略を起用しなければならないと、いわゆる現在進行中の増派を押してきた数少ない一人である。マケイン議員はベトナム時代に海軍の戦闘パイロットとして活躍しベトナムで捕虜になっていた経験もある英雄であり、イラク戦争批評家がブッシュ大統領などをチキンホーク(自分は戦闘体験がないのに戦争を推進する臆病者という意味)などといっていた批判もマケイン議員には通じない。詳細を日本語のニュースで探したのだが、下記ような短い記事しか見つからない。どうも日本メディアは共和党候補のマケイン議員にはあまり興味がないようだ。

【バグダッド16日AFP=時事】在イラク米大使館当局者によると、米大統領選の共和党候補指名を確実にしているマケイン上院議員が16日、イラクを訪問した。マケイン氏は欧州・中東を歴訪している。

同当局者は「マケイン議員はバグダッドにいる」と語った。マケイン氏は滞在中、クロッカー駐イラク米大使と会談するという。〔AFP=時事〕

16日付けのAPニュースによると、マケイン議員は日曜日、バグダッドにおいてアメリカの外交官、米軍上層部、およびイラク高官らと会見の予定だという。マケインがイラク訪問をするという話は数日前から報じられていたが、警備上の理由で詳細はあきらかにされていなかった。マケインはイラクに24時間ほど滞在するという話だ。マケインのイラク訪問は今回で8回目だ。

5年に渡るイラク戦争の成功に自分の政治生命を賭けてきたマケインの訪問はイラク北部で起きた化学兵器攻撃のちょうど20周年記念にあたる。

アメリカ大使館の発表では、マケインはイラク副首相のBarham Saleh氏と会見しイラクのアメリカ軍総司令官デイビッド・ペトラエウス将軍とも会見の予定である。 ...

出発前にマケインは今回の中東とヨーロッパ訪問は事情聴取が目的であり選挙運動の写真をとるためのフォトアップではないと語っていた。しかし、マケインはイラクのテロリストが11月のアメリカ選挙に影響を与える可能性については懸念していると語った。

「はい、心配しています。」ペンシルベニアの選挙運動中にされた質問にマケインはそう答えた。「彼等が注目していることは知っています。彼等同士の連絡を盗聴しているからです。」

上院議会軍委員会のメンバーとして、マケイン議員の訪問には同僚のジョー・リーバーマン議員(独立)とリンズィ・グラハム議員(共和)が同伴した。二人ともマケインの大統領候補の強力な支持者である。

マケインの今回の諸外国訪問は一週間の予定だが、目的地にはイスラエル、英国、フランスが含まれ、イギリスのゴードン・ブラウン首相やフランスのニコラス・サルコージ首相との会見が予定されている。

まだ大統領に選ばれたわけでもないのに、すでに大統領並の視察旅行に出かけ、各国の首相らと会見をするとはかなりの余裕だ。

マケインが去年の4月にバグダッドを訪問した時は、イラク情勢が良くなっていないという記者団の質問にかなりいらだちを覚えた様子で答えていたマケインだが、今年はバグダッド情勢は非常な良化をみせており、マケインの押した増派が非常な成功をおさめている。イラクでの攻撃は去年に比べてすでに6割型減少しているのである。

二人あわせても政治的な実績からいってマケインの足下にもおよばない民主党のヒラリーとオバマの内部争いが続く中、マケインはすでに国の代表よろしく外国訪問。

やっぱり大統領にはマケイン議員になってもらわなきゃいかんなこれは。

March 16, 2008, 現時間 2:18 PM | コメント (1) | トラックバック (0)

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January 28, 2008

「イラク戦争の大義は嘘で固められていた」という嘘

アメリカ内政 , イラク関係 , 狂ったメディア

English version of this entry can be read here.

このAPの記事 には唖然とした。これを日本語で説明しているこちらから引用すると、、

米国の調査報道を専門とする独立系報道機関「公共の完全性に関するセンター」(The Center for Public Integrity)は22日、「イラク戦争・戦争カード―偽装に彩られた戦争への道」(Iraq-The war card orchestrated deception on the path to war)と題するチャールズ・ルイス(Charles Lewis)、マーク・リーディングスミス(Mark Reading-Smith)両氏共同署名による調査報道記事を掲載。

その内容についてAPの説明はこちら。

ふたつの無収益報道組織による調査で、ブッシュ大統領と政権の幹部たちは2001年のテロ攻撃以降二年に渡ってイラクが及ぼす国家安全保障への脅威に関して何百という虚偽の供述を発表していたことが明らかになった。

この調査は「世論を効果的に刺激する目的で仕掛けられた操作があり、その過程において国は誤った前提のもとで戦争に導かれた」と結論付けている。

この調査の著者たちは何とブッシュ大統領とその政権が意図的に国民を騙して戦争をはじめたと糾弾しているのである。少なくとも読者にそういう印象を与える目的でこの『調査』が発表されたことは間違いない。

ではいったい彼等の言うブッシュ政権の「嘘」とは何をさしているのだろうか?

 その中で、両氏は、ブッシュ大統領をはじめ同政権の高官7人―チェイニー副大統領、ライス大統領補佐官(国家安全保障担当、当時)、ラムズフェルド国防長官(当時)を含む―が、2001年9月11日の米同時多発テロ以降2年間にわたって、イラクのフセイン大統領(当時)による国家安全保障上の脅威に関する少なくとも935回の嘘の声明を出していたことを明らかにした。

 またそれによると、演説、背景説明、インタビュー、公聴会やその他の別々の少なくとも532件の局面で、ブッシュ大統領とブッシュ政権の3人の高官が、パウエル国務長官(当時)、ウルフォウィッツ国防副長官(当時)、ホワイトハウスのスピーチライター、アリ・フレイシャー、スコット・マクラーレン両氏とともに、イラクは大量破壊兵器を既に保持している(さもなければ製造もしくは獲得しようとしている)と明言。またイラクが国際テロ組織アルカイダと関係がある、さらにはイラクは大量破壊兵器とアルカイダ双方と関係していると明白に語り、これら一致した発言が、ブッシュ政権のイラク戦争開戦の大儀につながっていったという。

 ブッシュ大統領1人に限ってみると、同大統領は、259件の嘘の声明を出した。そのうちの、231件はイラクの大量破壊兵器問題で、残りの28件は、イラクとアルカイダの関係についてだった。パウエル国務長官は、イラクの大量破壊兵器問題で244件の嘘の声明を出し、イラクとアルカイダの関係については10件の嘘の声明を出した。

「よもやイラクが大量破壊兵器を保持していなかったことやアルカエダと意味のある関係がなかったことは議論の余地はない。」と著者のチャールズ・ルイスとマーク・リーディング・スミスは語っている。二人はブッシュ政権が巧妙に作成し操作した誤った情報の基にアメリカは2003年3月のイラク戦争開戦に導かれたのだと断言する。

著者たちはブッシュ政権の嘘に含めているが、イラクがWMDを所持しようとしていたことは事実であり、調査結果もそれ自体は否定していない。また彼等はブッシュ政権のいうイラクとアルカエダに関係があったこと事態を否定しているわけでもない。単にその関係が「意味のある」ものだったかどうかに異論を唱えているだけなのだ。

下記は調査書からの引用だが、意図的に混乱する書き方になっているため、私の力で正しく翻訳できるかどうか分からないが一応やってみよう。

2002年7月、イラクとアルカエダテロリストとは関係があるのかという問いに対してラムスフェルドは一言「もちろん」と答えた。だが事実は同月に防衛庁諜報機関(DIA)が発表した査定(数週間後にCIAのテネット局長も確認した)では「イラクとアルカエダの間には直接な協力関係があるという確実な証拠」は見つけられなかったとある。さらにDIAはそれ以前の査定で「アルカエダとフセイン政権の関係は明かではない」としている。

この回りくどい文章を分かりやすく分析するのはちょっとしたチャレンジだ。

  1. 調査書の文章: 「2002年7月、イラクとアルカエダテロリストとは関係があるのかという問いに対してラムスフェルドは一言「もちろん」と答えた。

    意味: ラムスフェルドはイラクとアルカエダの関係が存在すると断言した。

  2. 調査書の文章: 査定..では「イラクとアルカエダの間には直接な協力関係があるという確実な証拠」は見つけられなかったとある。

    意味: 後の査定では関係があったことが判明しているが、軍事同盟といえるほどの密着な関係ではなかった。

  3. 調査書の文章: DIAはそれ以前の査定で「アルカエダとフセイン政権の関係は明かではない」としている。

    意味: アルカエダとイラクの関係について解るまで、我々はその関係の性質を知らなかった。

著者たちは1のラムスフェルドの返答が、2と3によって嘘だと証明されるといいたいらしいのだが、どういう理屈を使えばそういうことになるのかカカシにはさっぱり分からない。

彼等がいうもうひとつの「虚偽声明」( "false statement" )の例を出してみよう。いうまでもないが彼等のいう「虚偽声明」とは「明らかな嘘」という意味である。

2003年1月28日。毎年恒例の一般教書演説のなかで「イギリス政府はサダム・フセインは最近かなりの量のウラニウムをアフリカから購入しようとした わが国の諜報部からも核兵器製造に必要な高度の強制アルミニウム管をフセインが購入 しようとしたと報告を受けている。」と語った。しかしこの二週間前に国務庁の諜報調査部のアナリストが同僚に、なぜ自分がウラニウム購入の契約書は「多分偽造書」だと思うのかその理由を諜報関係者に説明する準備をしているとメールを送っていた。

この話は今さらここで持ち出すようなものではない。当時さんざんその真偽が分析されているのだ。ご存じない方のために説明すると、契約書そのものが偽造だったことは後になってわかったのだが、フセインがナイジャーからウラニウムを購入しようとしたのは事実である。ただナイジャー政府が国連からの批判を恐れてイラクへの販売を拒否したためフセインはウランを買うことができなかっただけだ。これはナイジャーへCIAから派遣されて調査に行った元外交官のジョー・ウィルソンがナイジャー政府の高官から聞いた話だとして報告しているのである。(後にウィルソンは自分で書いた報告書とは全く反対の声明文を発表してブッシュ政権を批判。それがもとで妻のバレリー・プレームのCIAでの地位があきらかになったとかなんとかいって訴訟になったが、ま、それはまた別の話だからここでは避ける)

この調査書が数え上げ、APがせっせと報告している何百にも渡る「虚偽声明」とは結局こういった類いのものばかりだ。これらの声明についてブッシュ政権からの説明を得ようという努力もされていないだけでなく、実際に政権の声明や発表が自分らの調査結果とどのように矛盾しているのかという分析など全くされていない。

しかしそれ以前にこの調査書を読んでいて一番疑問に思うことは、彼等のいう「虚偽声明」のうちどのくらいのものを、当時ほとんどの人たちが本当だと信じていたかということだ。共和にしろ民主にしろブッシュ政権と同じ諜報を持っていた議会の役員たちも政権と同じことを言っていたのではないのか?もし後になってブッシュ政権の発表した声明が誤りだったことがわかったとしても、当時誰もが真実だと信じていた事実をブッシュ政権が発表したのだとしたら、それは間違いかもしれないがとはいえないはずだ。いったい彼等の調査書のなかにそんなたぐいのものがどれだけ含まれているのだろうか?調査書はその点を全く明らかにせず、こんなふうにまとめている。

ブッシュは間違いや誤った判断について認めようとしない。それどころかブッシュ政権はイラクの脅威に関する戦前の公式発表と現実の「現場の真実」との明らかな相違について何度も国内諜報部の乏しい諜報のせいにしている。

またブッシュ政権の内部や政府の高官のなかからもブッシュが事実をわい曲したという批判が増えていると書かれているが、増えている批評家が誰なのかということは書かれていない。

ところでこの調査書を発表した二つの組織に関しては興味深い点が二つある。

  • 無収益の報道機関ふたつによる調査とあるが、、

    この二つの機関とは、The Fund for Independence in Journalismとthe Center for Public Integrityというのだが、11人いるFundのほうの8人までもがCenterの役員をやっている。つまりこの二つの機関は独立した別々の組織ではなく腰でつながったシャム双生児なのである。.

  • 独立報道機関とは名ばかりで、、、

    独立どころかCenterの投資者は左翼億万長者でブッシュ憎悪症候群を重く煩っているジョージ・ソロス。 創設者はビル・モイヤーというやっぱり左翼のジャーナリストで、その他にも左翼歌手のバーバラ・ストライサンド、フォードファウンデーション、昔は保守派だったが今や左翼と化したピューチャリタブルトラストなどがある。つまるところ、この二つの機関はバリバリの左翼組織なのである。

この調査書に書かれていることは何もいまさら蒸し返さなければならないほど目新しいニュースでもなんでもない。彼等のいう「虚偽の声明」とは単にリベラルや左翼が反対している意見や解釈の違い、もしくは当時は真実だと誰もが信じていたが後に間違っていることが分かったというものくらいで、おおよそ嘘だの虚偽だのという表現からはほど遠いものだ。

しかもこの調査書を発表したのは独立系でもなければジャーナリストでもない、ただのブッシュ大嫌い左翼プロパガンダ組織なのである。彼等がこんなろくでもない調査書を今の時期に発表したのが大統領選挙予備選真っ最中であることと無関係だと考えるほど我々読者はばかではない。

こんな『偽装に彩られた』プロパガンダをあたかもニュースででもあるかのように報道するAPもジャーナリストとして失格だ。もっとも架空のバグダッド警察署長からのインタビューを何年も載せていたり、テロリストを記者に雇っていたりするAPだ、このくらいはお手の物かもしれない。

January 28, 2008, 現時間 11:38 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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January 19, 2008

イラク、激減したアルカエダ勢力、主流メディアが無視して語らないイラク新作戦の成果!

イラク関係 , 狂ったメディア

便りがないのは良い知らせ、とはいうものの、アメリカ軍によるイラク新作戦の大成功をここまで無視するというのも、アメリカ及び日本のメディアは本当にひどいものだ。イラク戦争がうまくいっていない時は、アメリカ兵が何人死んだとかイラクでどれだけ自爆テロが起きているかとかいうニュースが新聞の第一面を埋めていたというのに、いざ新作戦が大成功し、アメリカ兵並びにイラク市民の犠牲者の数が9割方も減ったとなると完全にだんまりを決め込むメディア。あまりにもあからさまな偏向に返す言葉が思い浮かばない。

17日にバグダッドで行われたアメリカ軍による公式発表によると、去年のはじめに始まったイラクの新作戦は大成功を収めているということだ。対テロ戦争を追っているビル・ロジオのサイトからこのニュースをまとめてみよう。

俗にいう『増派』が始まって一年近くがたったが、この一年でイラクのアルカエダの活動範囲は信じられないほど狭まった。まず2006年12月当時の地図をみてもらいたい。濃い赤で示された場所がアルカエダの活動範囲、薄い赤は彼等の交通路である。



AlQaedaDec06-thumb

2006年12月現在のアルカエダ活動区域、赤で示してあるところがアルカエダの活動が活発な場所

そしてこれが『増派』作戦始まって一年後の2007年12月現在の地図。アルカエダの活動範囲が目に見えて狭まったことが確認できる。



AlQaedaDec07

2007年12月現在のアルカエダ活動区域。2006年よりずっと狭まったことが明白。

バグダッドで行われた記者会見において、イラク多国籍連合軍の総司令官であるレイ・オディアーノ中将(Lieutenant General Ray Odierno)は連合軍の新作戦がどれだけ効果をあげているか、激減したアルカエダの威力や行動範囲などについて報告した。

2006年後半から2007年にかけて「イラクはアルカエダの暗雲の下で流血の連鎖に捕われていた」とオディアーノ。2007年6月の増派作戦、ファンタムサンダー作戦が始まるまでアルカエダは「イラク各地の数々の都市に入り込んでいた」。

まだまだその脅威は残っているが、イラクのアルカエダネットワークは大幅にその威力を失った。アルカエダの威力はミクダディーヤ、モスール、ハウィジャー、サマラー、そしてバグダッドの南東にあるアラブジャボアー地域でまだ保持されている。「グループはいまだに危険な脅威ですが、その威力は激減した。」とオディアーノ。「アルカエダはバグダッド、ラマディ、ファルージャ、バクバーといった都市の中心部から追い出された。彼等の上位指導者たちの多くが取り除かれ、それにとってかわる実力者を探すことが日に日に困難になってきている。」多国籍軍はまたアルカエダの行動を可能にする資金源ネットワークやリーダーたちの組織を大規模に破壊したことにより、アルカエダの資金調達能力もかなり衰えたものと推測している。



CivilianDeaths9

宗派間争いによるイラク市民の死者の数、増派作戦によって90%の減少を見ることができる。



CoalitionKIA4

アメリカ軍及び連合軍の戦死者の数も極端な減り方をみせている。

犠牲者の数が多いことが戦争がうまくいっていないということの証拠だったのであれば、犠牲者が激減しているということは、戦争がうまくいっているということの証拠のはずだ。だとしたら数が多いといって泥沼だなんだのと書いていたメディアは良くなっている状況についても第一面で報道すべきではないのか?

さて、現在行われているファンタム・フィーニックス作戦(Operation Phantom Phoenix)だが、1月8日に始まったこの作戦ですでにアメリカ軍は121人のアルカエダ戦闘員を殺し、1023人を捉えた。アルカエダの幹部の損害は大きく92人もの重要人物が殺されるか捕まるかしている。

イラク・米連合軍は351もの武器庫を発見。また4つの地下トンネルも発見した。連合軍はまた自動車爆弾や改良爆弾の製造所を三か所発見。また改良爆弾410個、自動車爆弾18台、爆弾を仕掛けた家屋25軒を発見。また数々の拷問部屋、医療施設、すでに閉鎖されている学校や外国人部隊の訓練キャンプなども同時に発見された。

またイラク軍のみの単独任務も遂行されている。ディヤラ地方ではイラク軍一旅団が起用されいま、イラク軍対アルカエダの激しい戦闘が繰り広げられている。

January 19, 2008, 現時間 5:31 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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January 11, 2008

選挙は関係なし! 遠慮せず強気の外交に専念できるブッシュ

アメリカ内政 , イラク関係 , イランが危ない , 中東問題 , 対テロ戦争

よくアメリカではすでに任期終了を待つだけになって政策上の実権がなくなっている政治家のことをレイムダックと呼ぶ。二期目の任期もあと一年足らずとなり、従来この時期の政権からは特にこれといった新政策は期待できない。

この時期はある意味でアメリカにとって非常に危険な時期でもある。まずイラクだが、大統領選挙に影響を与えようと選挙をめざしてテロ行為が激化することは間違いない。また先日のイランのように任期を一年未満に控えた大統領が新しく戦争などはじめるはずがないと踏んで挑発をしてくる敵もあるだろう。

しかし今回は従来とはちょっと違う状況がある。従来なら現在の政権の方針を引き継いで大統領に立候補する副大統領が、健康上の理由から立候補していない。大統領の外交政策は議会の承認を必要としない。ということはブッシュ大統領は来期の選挙運動を控えた支持率の束縛や議会のうるさい小言など気にせずに強気な外交に専念できるというわけだ。ブッシュはレイムダックだからと甘く見てやたらにアメリカを攻撃してくると敵は思わぬ猛反撃を受ける可能性がある。

2008年のブッシュ外交政策はこれまでよりも強気なものになるのではないかという意見がStratforに載っている。(メンバー登録必要(Hat tip seaberry

イラク戦争はジハーディスト戦争の延長だ。2001年のアフガニスタン侵略の後、合衆国はアルカエダを可能にしたサウジアラビア、シリア、イランそしてパキスタンという四つの勢力と同時に戦うだけの軍事力に欠けていることに気が付いた。そこでブッシュ大統領の最初の手段はアフガニスタンに対抗する碇(いかり)を確保するためにパキスタンに無理矢理アメリカと同盟を結ばせた。第二段階は他の三つの国を威嚇しアルカエダとの戦いへの協力を強制するため、これらの国と国境を接するイラクを占領した。そして最終段階ではアルカエダが崩壊するまでこの戦争を押し進めるというものだった。

多くの思いがけない犠牲を払ったとはいえ、2008年の夜明けを迎えた今、この作戦がアルカエダが機能不能になるまで潰すことに成功したことが明らかになってきた。 はっきり言ってジハーディスト戦争はもうほぼ終わりを遂げているのである。合衆国は勝っているだけでなく、最初にアルカエダを可能にしたスンニ勢力全体を味方につけてしまった。

これでこの地域においてただ一つ非スンニ派勢力のイランは合衆国との同意を求めなければならないという非常に居心地の悪い立場にたたされることになった。

イラク情勢:

現在イラクではファンタム・フィニックスという大掃蕩作戦が行われており、すでに何十人というテロリストが殺されている。特にファンタム..の一部であるハーベストアイアンではアンバー地域から逃げたアルカエダの連中の温床となっていたディヤラ地区が焦点とされている。

現場の司令官によるとアメリカ・イラク同盟軍は期待したほどの抵抗にはあっていないということだ。これは我々の攻撃が事前に敵側に洩れたため、アルカエダの連中がかなり多く逃げてしまったのが原因らしい。

しかしこれまでの作戦と違ってペトラエウス将軍のCOIN作戦では、一旦制覇した土地は去らずにあくまで守り通すので、テロリストから戦って奪い取ろうが逃げ去ったテロリストの留守中に制覇しようが結果は同じだ。テロリストは奪われた土地を奪い返すことはできないからだ。

イラク戦争がうまくいくいつれて、アメリカ国内でも日本でもイラク戦争の話をあまりきかなくなったが、アメリカ市民が大統領選挙で気を奪われている間にもイラクではアメリカ軍がテロリスト退治を着々と進めているのである。大統領選挙に影響を与えようとテロリストが躍起になって自爆テロ作戦を練っていることは確かだが、味方軍の攻撃から逃れながら住処を次から次へと奪われている最中にメディアをあっといわせる大規模なテロ作戦を練るというのはそう簡単にできるものではない。

イラン:

この間のイランによる挑発行為で、アメリカ海軍は何もしないで見ていたという見解は間違っている。アメリカ側は確かに応戦はしなかったが、イランがこちらの反応を観察したのと同じようにこちらもイランのやり方を注意深く観察していたのである。それにアメリカ側がわざと反応を遅らせて意図的に誤った情報を与えた可能性も考える必要がある。

もしまたイランがあのような挑発行為をとることがあったら、アメリカ側からの反応はかなり恐いものがある。ブッシュ大統領はイランへの武力行使をオプションのひとつとして考えているのは確かだが、それをやる前にイランに対して強気の対処をすることは可能だ。例えばホルムス海峡を通るイランへ出入りする船をすべて差しとめてしまうということなら意外と簡単にできる。これに経済制裁を加えれば、イランの経済は突如として立ち止まってしまうのだ。

それではここで再びイランをどう攻めるか、軍事歴史学者のアーサー・ハーマン博士の提案を振り返ってみよう。

  1. まずホルムズ海峡を通る石油輸送を阻止する国はどこであろうと容赦しないと発表する。
  2. その脅しを証明するために対潜水艦船、戦闘機、じ来除去装置、イージスBMDシステムなどを含む空母艦バトルグループをペルシャ湾に派遣する。むろんこちらの潜水艦も含む。
  3. アメリカ一国によるイランの石油タンカー通行を封鎖。イランから出る石油、イランへ入るガソリンなどを完全阻止する。ほかの国の船は自由に通過させる。
  4. イランの空軍基地を徹底的に攻撃し、イランの空の防衛を完全に破壊する。
  5. イランの核兵器開発地及び関係基地、インフラなどを攻撃する。
  6. そしてこれが一番大切なことなのだが、イランのガソリン精製施設の徹底破壊である。

  7. アメリカの特別部隊がイラン国外にあるイランの油田を占拠する。

読者の皆様もお気付きと思うが、アメリカはすでに1と2を実行に移してしまっている。ブッシュ政権は今年中にイランになんらかの強攻策をとるはずである。

イスラエル・パレスチナ問題:

今ブッシュ大統領はイスラエルを初訪問中。ブッシュ政権はこれまでのどの政権よりも親イスラエルとはいうものの、イスラエルに妥協を迫ってパレスチナに歩み寄るように圧力をかけるという点では従来の政権とあまり変化はない。カカシは他の点ではブッシュ大統領の政策を支持しているが、ことイスラエル・パレスチナ問題に関してはあまり期待していない。オルメルト首相との会話も中東和平よりもイランの脅威に終始した模様で、パレスチナ和平についてはあたりさわりのない会話しかなったようだ。

 【エルサレム笠原敏彦】...パレスチナ和平をめぐってはオルメルト首相が7年ぶりに再開した和平交渉への「完全な関与」を改めて表明したものの、交渉進展へ向けた具体策は示せなかった。

 初のイスラエル訪問となるブッシュ大統領の首相との会談は、予定を約40分も超過。2国家共存に向けてパレスチナ国家の輪郭(国境画定、難民の帰還問題など)を決める交渉の年内妥結やイランへの対応で、突っ込んだ論議を行った模様だ。

 イスラエルは和平問題よりイランへの対応を重視。ブッシュ大統領は会見で「イランは03年秋に核兵器開発を停止した」とする米機密報告書の公表が波紋を広げている事態に言及、「イランは脅威であり続ける」との認識を改めて示し、イスラエルの米政策への懸念軽減に努めた。...

 一方、焦点のパレスチナ和平では、オルメルト首相が改めてパレスチナ側の暴力停止が和平推進の前提だとの立場を強調。ブッシュ大統領は強い圧力を行使する姿勢は見せず、「指導者らがロケット攻撃や入植地の問題に固執し、歴史的な合意の潜在性を見失うことが懸念の一つだ」と述べるにとどまった。

 両首脳とも和平問題では「決意表明」にとどまり、昨年11月の米アナポリス中東和平国際会議での「約束」を「履行」に移す突破口は開けていない。

ブッシュのイスラエル訪問は卒業写真程度の意味しかないという批判もあるが、アメリカ大統領がイスラエルを訪問するのは非常に危険を伴う行為であるから、少なくともその危険をおかしてまで訪問したということに多少の意義はあるかもしれない。私はアメリカのイスラエルへの方針は「放っておけ」というもの。どうしても口出ししたいなら、イスラエルからのイランなどへの諜報と交換に武器供給をするのが得策と思う。


January 11, 2008, 現時間 7:11 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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December 30, 2007

イラク戦争新作戦が花を見た2007年を振り返る。裏目に出たサドル派の潜伏作戦

イラク関係

2006年の暮れにアメリカ軍の新作戦が発表されて以来、シーア派抵抗軍のリーダーであるモクタダ・アル・サドルはシーア民兵らにアメリカ軍に抵抗せずにしばらくおとなしくしているようにと命令した。サドルはアメリカ軍の新作戦はうまくいかないと踏んでいた。いや、例え多少の成果があったとしても、不人気なイラク戦争をアメリカ軍が継続することは不可能であるから、しばらく大人しくしておいて、ほとぼりが冷めたらまたぞろ活躍すればいいと考えたのである。カカシは1月26日のエントリー、サドルの計算違いで彼の作戦には三つの問題点があると指摘した。

  1. 意図的にしろ無理矢理にしろ一旦敵に占拠された領土を取り戻すとなると、もともとの領土を守るようなわけにはいかない。...アメリカ軍は一旦占拠した土地に学校をたてたり病院をたてたりするだろうし、地元のリーダーたちと協力して自治が可能な体制をつくるだろう。LATimesによれば、サドル派が占拠していた界隈でも民兵らの横暴な態度に市民からの不満が高まっていたという。サドル派民兵が留守の間に地元民による平和な自治が設立しイラク軍による警備が行われるようになっていたら、ただの愚連隊の民兵どもがそう易々とは戻って来れまい。
  2. いくらこれがサドル派の生き延びる作戦とはいえ、それを教養のないシーア派民兵連中に理解することができるだろうか?...サドルはおれたちを犠牲にして自分だけ助かろうとしているのではないだろうか、などという疑いがサドル派の民兵連中の間で生まれる可能性は大きい。民兵たちは正規軍ではない、ただのギャングである。何か月もサドルのいうことをきいて大人しくしているとは思えない。...自分勝手に暴れた民兵たちが大量にアメリカ軍やイラク軍に殺されるのは目に見えている。
  3. シーア派民兵が抵抗しなければバグダッドの治安はあっという間に安定する。つまり、サドルの思惑はどうでも傍目にはブッシュの新作戦が大成功をしたように見えるのである。...勝ってる戦争なら予算を削ったりなど出来なくなる。そんなことをすればそれこそアメリカ市民の怒りを買うからだ。結果アメリカ軍は早期撤退どころか、イラクが完全に自治ができるまで長々と居座ることになるだろう。

自分では部下達に迫る米軍の圧力に抵抗せずにおとなしくしていろと命令しておいて、2月13日になるとサドルは直属の部下と家族をつれてイランへ遁走してしまった。これによってそれまでカカシがサドルはイランの飼い犬だという度に、そんな証拠はどこにあるのだといっていた人たちをだまらせることになった。

サドルの遁走がイラクに残された部下たちをかなり不安にさせたのは言うまでもないが、2月後半になるとサドルはシーア派民兵の神経を逆なでするような行為をいくつも企んだ。

私はシーア派への連続爆弾攻撃はサドルの仕業? まさかねでサドルが、自分の支持するダワ党のライバル党であるイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)の有力者アデル・アブドゥール・マフディ副大統領を暗殺しようとしたのではないかと書いたが、サドルが抹殺しようとしているのはライバル党の政治家だけでなく、自分に忠実でないと思われるマフディ内部の幹部もその対象になっているようだ。

ご存じのようにサドルはイランあたりに隠れて影からイラクのマフディ軍に命令を下しているが、サドルは密かに信用できる幹部はイランなどの避難させ、気に入らない部下を連合軍に売り渡しているらしい。このやり方でサドルはすでに40人以上のマフディ幹部を中和してしまったという。

3月半ばになると私がした予測した通り、サドルシティのようなサドルシーア民兵の本拠地ですらも、シーア派市民がマフディ軍よりもアメリカ軍を信用し始め、市内警備に関する交渉を初めたりしていた。それに反感をもったマフディ軍の一部の過激派がアメリカ軍と交渉していたマフディ軍幹部の人間を暗殺するという事件が起きた。これも、マフディはギャングで正規軍ではないから簡単にコントロールなど出来ないだろうといっていた私の予測どおりの結果だった。

4月8日ナジャフにおいてこれまで米軍への潜伏作戦を呼びかけていたサドルは態度を一変させて反米デモ行進を呼びかけた。それというのも4月になるとサドルの無抵抗潜伏作戦が完全に裏目に出たことがサドルにもわかってきたからだ。

サドルの狙いに反してマリキ政権はシーア派取り締まりに真剣に取り組んだ。マフディ軍はバグダッド中心部から即座に追い出され南部へと追い込まれている。しかもバグダッドを退散した民兵たちはイラン国境近くのディワニヤ地域でアメリカ軍空軍による激しい攻撃を受けている。

また、...マフディ軍のなかにもイラク政府に本気で協力しようという勢力と断固協力できないという勢力との間で亀裂が生じてきている。ビル・ロジオのリポートによればイラク政府に協力する勢力はどんどん増えているという。

となってくるとサドルの潜伏作戦ではアメリカの新作戦が時間切れになる前にマフディ軍の勢力が大幅に弱体化し、アメリカ軍が去った後に戻ってくる場所がなくなってしまう危険性が大きくなったのだ。そこでサドルは今必死になって作戦変更。イラク軍にたいしてもマフディと戦わないでくれと嘆願書まで送り出す始末。

しかし数カ月前の2006年8月のデモ行進では少なくとも20万人を集めたサドルも、4月の行進に集まったのはたった5〜7千人程度だった。しかもサドルは何を恐れたのか自分が主催したデモ行進に顔もださず、集まった支持者たちをがっかりさせた。

自分がイラクにいないことで支持がどんどん下がっていくのを感じたサドルは5月に一時帰国している。しかしその結果がどうなったかカカシの7月11日付けのサドル、イランへ逃げ帰るを読んでみよう。

マリキ首相はサドルの期待に反して嫌々ながらも米軍とイラク軍のシーア派征伐に協力した。その結果バグダッド市内における宗派間争いによる大量殺人は40%以上も減り、マフディ軍はイランの援助を受けているにも関わらず、どんどん勢力を失いつつある。

あせったサドルは作戦を変えて米軍に対抗しろとイランから命令をだしたり、デモ行進を催したり、サドル派の政治家を政府から撤退させイラク政府に大打撃を与えようとしてたが、すべてが裏目にでた。

こうなったら自分から出ていってなんとか急激に衰える自分の人気を取り戻さねばとサドルはこの5月久しぶりにイラクに帰国した。帰国してからサドルは穏健派の国粋主義の指導者としての立場を確保しようとしたがこれもうまくいかず、切羽詰まったサドルはアンバー地区のスンニ派政党とまで手を結ぼうとしたがこれもだめ。マリキ政権からはすでに撤退してしまったことでもあり、サドルのイラクにおける勢力はほぼゼロとなった。

三度目の正直で7月5日にシーアの聖地アスカリア聖廟までデモ行進を行おうと支持者に呼びかけたが、参加者不足で立ち上がりすらできない。サドルはマリキ政府が十分な警備を保証してくれないという口実を使って行進を中止した。

すっかりイラクでの勢力を失ってしまったモクタダ・アル・サドルは最近なにをやっているのかというと、聖教者としては最高の資格であるアヤトラの資格をえるため受験勉強に励んでいるという話だ。以前にもイラク人のブロガーがサドルの話かたは非常に教養がなく、父親が有名なアヤトラでなければ誰も息子サドルのことなど相手にしなかっただろうと書いていた。サドル自身、今後シーア派のイラク人から尊敬をえるためにはやはりアヤトラの資格をとってハクをつける必要があると悟ったのだろう。

サドルの現在の肩書きは比較的低い位のhojat al-Islamだそうで、これだと部下たちは宗教的アドバイスをもっと位の高い聖教者からあおがなければならないのだという。だがもしサドルがアヤトラになれば、ファトワなどの命令を出すこともできるようになり、宗教的リーダーとしても権力を強めることになる、、というのがサドルの狙いである。

サドルのこの新しい作戦がうまくいくかどうかは分からないが、これまでにもサドルは何度もカムバックをしているので、ばかばかしいと一笑に付すわけにはいかない。だが、2007年において、アメリカ軍の新作戦に対抗しようとしたサドル派の潜伏作戦は完全に失敗した。サドルの行動はなにもかも裏目にでたのである。

December 30, 2007, 現時間 10:22 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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イラク戦争新作戦が花を見た2007年を振り返る。裏目に出た米民主党の反戦政策

イラク関係

イラク戦争は今年にはいって新しい局面を迎えた。それはこれまでのようなラムスフェルド防衛長官とケーシーやアビゼイド将軍が取り入れていた、『アメリカ軍の足跡をなるべく少なくする』作戦から、新しいゲーツ防衛長官のもとペトラエウス将軍のアメリカ軍の存在を全面に押し出して戦う、対反乱分子作戦(Counter Insurgency)いわゆるCOIN(コイン)作戦が取り入れられた。

これに関して私は今年のはじめに「こうなるのではないか」という予測をかなりたてたが、それがどのくらい現実となったかここでちょっと一年を振り返ってみたい。

しかしその前に、一般的に『増派』と呼ばれたこの新作戦がそれまでの作戦とどのように違うのか、もう一度おさらいしてみよう。下記は1月11日のエントリー、ここが知りたい! ブッシュ大統領のイラク新作戦質疑応答で私が説明したものだ。

  • 兵士らの再出動 -- 18 のイラク旅団 (6万兵以上)そしてアメリカ軍5旅団( 17,500 陸軍兵と海兵隊員)イラク国内において攻撃制覇するためバグダッドに関門を設置。さらに4000の米兵とイラク兵(未定数)をアンバー地区に導入。アルカエダを含むスンニテロリストの家々を最近アルカエダに反旗を翻した地元の族長らと協力して攻撃する。
  • 占拠した領土をこれまでより長期に渡って制覇する。少なくとも18か月は保持し敵が舞い戻ってくるのを防ぐ。これによって大事な中央部を敵から奪い取り長期にわたって敵の動きを阻止できる。安定したら地元のイラク軍に治安をまかせる。
  • イラクのマリキ首相にバーダー旅団やマフディ民兵軍などのシーアの民兵も含みどの武装集団も例外なく, 攻撃すると一筆書かせて約束させた。
  • 攻撃規制(ROE)を大幅に緩和し、米軍及びイラク軍が武装集団と戦闘しやすいようにする。

さて、これに対する米民主党の反応はといえば、『ナンシー・ペロシ下院議長にしろ、ヒラリー・クリントンにしろ、皆声をあわせて「何のかわりもない」「これまでどおりの愚作」といった言葉を繰り返し、全く効果もなく希望もない作戦に兵だけ増やしてアメリカ軍の尊い命を危険にさらそうとしている、といった非常に不誠実な批判をあびせている。』というものだったので、私は1月15日のイラク政策、民主党の新作戦で、ブッシュの新作戦が失敗するに決まっていると決めつけるのは民主党にとってよくないことなのではないかと書いた。

米民主党に関するカカシの予測:『民主党の反イラク戦争政策は新作戦の成功によって裏目にでる』

ブッシュが議会の協力を必要とするのは現在イラクにいる軍隊の引き継ぎの軍隊を動員する際に必要経費の予算案を議会に提出する時である。それまでにはまだ数カ月ある。もしこの間にブッシュの新作戦が全く効果をあげず、今と同じ状態なら議会が予算増強を拒否しても国民による民主党への批判は少ないだろう。だがもしも、ブッシュの新作戦が少しでも成功し6か月後にはイラクが良い方向へ向かっている場合には民主党が軍事予算をごねるのは難かしくなる。しかもこの予算案の通過がごたごたして時間がかかり過ぎると2008年の選挙運動に突入してしまい、共和党議員から民主党は自分達の政治的野心のためにアメリカ軍の任務を妨害して勝てる戦争に負けようしていると批判されかねない

思った通りイラク新作戦は4月頃になると、まだ基盤作りの段階で増派も完全に行われていなかったにもかかわらずかなりの効果をあげはじめた。そこで困った民主党のハリー・リード党首は、なんとか新作戦の邪魔をしようと我々は「イラク戦争に負けた」という敗北宣言をし、さらに10月から米軍を大幅に撤退すべきだという議案まで提案した。

このリード議員の降伏運動はこの発言にとどまらない。同議員は数日中に民主党が多数派を占める議会において米軍のイラク撤退を10月1日から6ヶ月かけておこなう議決案を通すと宣言した。

無論このような議案は上院でも下院でも通るはずはない。だが大事なのは議案が通るかどうかではなく、アメリカ国内及び国外へアメリカ議会はイラク撤退を考えていると提唱することに意義があるとリード議員は考えているわけだ。(イラク及び中東を混乱に陥れようというならこれはいい考えと言える。)

この議案が通らなかったのは言うまでもないが、民主党はこの後も拘束力のないイラク戦争批判議案をとおしたりしていた。5月26日になると肝心のイラク戦争予算案はブッシュ大統領の提案に民主党は完全に折れてしまった。民主党はごちゃごちゃ文句をいっている割には、結局どれだけブッシュ大統領に権力があるのかを証明してしまったようなものだった。

さて新作戦が本格的に開始され反戦ムード一色だったアメリカの主流メディアでさえイラクからのいいニュースを報道しはじめると、民主党はさらに苦しい立場に追い込まれた。それに加えて、イラクを視察訪問した民主党の議員たちが帰国後、次々にイラクは良くなっていると報告したことからそのうろたえぶりは見苦しいものがあった。8月5日にはサウスカロライナ代表民主党下院幹事のジェームス・クライバーン議員がイラク戦争の成功は民主党にとっては問題だなどとうっかり本音を漏らす事件すらあった。私はこの民主党のうろたえぶりを8月23日付けのイラク新作戦の成功にうろたえる民主党反戦派でこのように書いた。

民主党としてはイラクでのペトラエウス将軍の新作戦がうまくいきすぎて反戦派でも否定できないほどの成果をあげてきた今となっては、いくら民主党にとっては都合が悪くても、いつまでもイラク戦争は大失敗だったなどと繰り返していては国民からの信用を失う。なんとか国民の信用を保持して勝っているイラク戦争に負ける方法を考えなければならない。

そこで下院幹部会長のラーム・エマヌエル議員は昨日、イラク視察から帰ったばかりで、イラクからのいいニュースを報告した民主党の新人議員を対象に電話をかけまくり、民主党の新しいメッセージを指導した。この新しいメッセージとは、「イラクでの新しい軍事作戦は今のところ多少成果をあげている、、しかしイラクの中央政府はまだまだまとまりがない、中央政府のまとまりなくしてイラクでの成功はあり得ない」というものだ。

なにしろ民主党はイラク戦争を批判しながらもアメリカ庶民から人気のあるアメリカ軍を批判することは出来ない。その上に今度はイラク新作戦の成功まで考慮にいれて、それでも戦争反対を正当化する演説をしなければならないのだから、これは大統領に立候補している候補者たちとってはかなり難かしい綱渡りになっている。

9月11日にイラク戦争の総司令官であるデイビッド・ペトラエウス将軍による議会での質疑応答があったが、ヒラリー・クリントンをはじめ民主党議員たちは、イラク情勢は向上しているという将軍の証言に猜疑的な意見を述べたばかりでなく、特に大統領に立候補しているヒラリー・クリントンなどはペトラエウス将軍の報告は「意図的に不信感を棚上げにしなければ信じられない」などと遠回しに将軍及びアメリカ軍は嘘つきであると軍全体を侮辱した。

11月も後半になってくると、新作戦の成功は誰にも否定できなくなった。それで反戦いってんばりでやってきた民主党や民主党の大統領候補たちもこの状況の変化にあわせた選挙運動をするべく作戦変更にやっきになった。カカシの11月25日のエントリーでは、主流メディアのニューヨークタイムスによる民主党大統領候補たちへのアドバイスを紹介した。

ヒラリー・ロダム・クリントン上院議員とバラク・オバマ上院議員の選挙アドバイザーたちは、増派後のイラクにおいて警備状況が良くなっているという事実を見てきた以上その成果を認めないのは間違いだと結論づけている。しかし同時にアメリカ軍の死傷者はまだ多すぎること、早急な撤退こそがこの戦争を終わらせる唯一の方法であり、いわゆる増派はイラクの政治過程には成果をあげていないことを強調している。

つまり、アメリカ軍の努力は認めながらも、まだまだ十分ではないという主題で貫こうという作戦のようだ。なにしろイラク戦争の失敗を振り上げてブッシュ政権並びに共和党を攻撃してきた民主党だけに、戦争に勝てそうだなどという現状は非常に都合が悪いわけだ。

しかしニューヨークタイムスは、民主党候補たちは気をつけないと共和党候補者らに、勝てる戦争を時期尚早な撤退によって負けようとしている、民主党は敗北主義だ、と攻撃されかねないと指摘する。

攻撃されかねないもなにも、実際敗北主義なのだから仕方ないではないか。選挙に勝つためになんとかアメリカにはこの戦争に負けてもらわなければならない連中なのだから。

「イラクの希望的な状況が続く限り、一般選挙におけるイラク関係の政治は劇的な変化を遂げるでしょう。」とブルッキングス・インスティトゥーションのマイケル・E・オーハンロン氏。氏はクリントン女史の支持者であり、軍隊増派賛成派でもある。「もしイラクが少しでも救いようがあるなら、候補者としてどのように救うのかを説明することが大事です。どうやって戦争に負けずに軍隊を撤退させるのか、民主党は何と言うか自分らを追い込まないように非常な注意を払う必要があります。」

結局民主党は私が今年初めに予測したように、イラク戦争を阻止するための予算削除をすることも、イラクから米軍を撤退させることもできないうちに今年の議会は終了してしまい、問題は何の解決もみないまま来年の一般選挙へと持ち越されてしまったのである。

民主党は先の中間選挙で多数議席を獲得した理由が国民の反戦意識を反映するものだったと勘違いしたが、私は当初から、これはアメリカ国民がイラク戦争で勝っていないことの不満の現れなのであり、戦況がかわれば国民意識も変化すると書いていた。

この国民意識なのだが、実は11月27日にビューリサーチセンターの世論調査が発表されていた。そのことについて書くつもりだったのだが、忙しくて今まで取り上げることができないでいた。この調査によるとかなり久しぶりに約半分のアメリカ市民がイラク戦争について楽観的な見解をもつようになったという結果が出ている。アメリカ軍による作戦がイラクで功をなしていると答えたひとが増え、さらにそれ以上の人が、アメリカ軍によってイラク人の犠牲が減り、敵が打ち負かされ、イラクの内乱が阻止されたと答えたという。

というわけで、私が今年の一月当初に予測した、『民主党の反イラク戦争政策は新作戦の成功によって裏目にでる』という私の予測はあたったようである。

December 30, 2007, 現時間 3:32 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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November 25, 2007

イラク治安向上で作戦に悩む民主党大統領候補たち

アメリカ内政 , イラク関係

今日のニューヨークタイムスにイラク情勢が良くなっていることから、ペトラエウス将軍の新作戦に真っ向から反対していた民主党の候補者たちは新作戦が大成功を遂げている事実を前にどのように自分らの選挙運動を繰り広げていくか難かしい立場にたたされているとある。

面白いのはこのNYTの記事はいかにして民主党候補がこの状況を乗り切るかという選挙運動作戦への助言のように書かれていることである。さすがニューヨークタイムス、民主党支持の偏向を隠す気もないらしい。

ヒラリー・ロダム・クリントン上院議員とバラク・オバマ上院議員の選挙アドバイザーたちは、増派後のイラクにおいて警備状況が良くなっているという事実を見てきた以上その成果を認めないのは間違いだと結論づけている。しかし同時にアメリカ軍の死傷者はまだ多すぎること、早急な撤退こそがこの戦争を終わらせる唯一の方法であり、いわゆる増派はイラクの政治過程には成果をあげていないことを強調している。

つまり、アメリカ軍の努力は認めながらも、まだまだ十分ではないという主題で貫こうという作戦のようだ。なにしろイラク戦争の失敗を振り上げてブッシュ政権並びに共和党を攻撃してきた民主党だけに、戦争に勝てそうだなどという現状は非常に都合が悪いわけだ。

しかしニューヨークタイムスは、民主党候補たちは気をつけないと共和党候補者らに、勝てる戦争を時期尚早な撤退によって負けようとしている、民主党は敗北主義だ、と攻撃されかねないと指摘する。

攻撃されかねないもなにも、実際敗北主義なのだから仕方ないではないか。選挙に勝つためになんとかアメリカにはこの戦争に負けてもらわなければならない連中なのだから。

「イラクの希望的な状況が続く限り、一般選挙におけるイラク関係の政治は劇的な変化を遂げるでしょう。」とブルッキングス・インスティトゥーションのマイケル・E・オーハンロン氏。氏はクリントン女史の支持者であり、軍隊増派賛成派でもある。「もしイラクが少しでも救いようがあるなら、候補者としてどのように救うのかを説明することが大事です。どうやって戦争に負けずに軍隊を撤退させるのか、民主党は何と言うか自分らを追い込まないように非常な注意を払う必要があります。」

本当は戦争に負けたいが、それを言っては一般国民の支持は得られない。軍隊バッシングはジョン・ケリー候補者の失言でも分かるように大統領候補としては致命的。しかし撤退をうりものにしてきた候補者たちが突然撤退しないと主張すれば民主党の反戦派市民からの反感を買うので、そうするわけにはいかない。とはいえ勝てる可能性の出てきた戦争から兵を撤退させることがアメリカにとって良いことなのだと国民を説得するのは至難の業である。

最近の民主党候補者たちの口からは、イラクの治安問題に関する批判の声は減り、今度はイラク政府の政治的進展が遅すぎるという批判が多くなった。しかし政治家たちが協力せずに仲間割ればかりしているというのであれば、アメリカ政府だって同じことだ。なにもイラクだけに問題があるわけではない。候補者たちがアメリカ軍の増派によってイラク内政への効果があがっていないと主張すればするほど、現場の治安問題はほぼ解決されたという印象が強まってしまう。

ニューヨータイムスはこのような増派が軍事的効果をあげているというメッセージは民主党支持者の間では快く受け入れられないだろうとし、(民主党)候補者がこの話をする時は、かなりの注意が必要だと忠告する。

ここで民主党強力候補者の三人の言い訳を聞いてみよう。まずはヒラリー。

「我が軍は世界最強です。その数を増やせば効果があがるのは当然です。」... 「基本的な点は、増派の目的は政治的解決をする余裕を作り出すことだったのに、それが起きておらず、おこるような兆しすらなく、イラク人が政治的な目標に達することができないということです。」...「我々は内戦の仲介などやめてさっさと出ていくべきなのです。」

ブラコ・オバマは話題を変えるのに必死。

「11月にガソリンが3ドル代なんて前代未聞です。」...「人々はより多く働き少ない見返りを得ています。クレジットカードの限界まで使いきり、なんとか生活をしているのです。人々は苦労しているのです。それをワシントンは気にかけているようには見えません。」

ガソリンが高いのは通勤の長いカカシとしても非常に迷惑な話だが、この好景気に人々が苦労しているというメッセージがどのくらい効果があるのかちょっと不明。しかしオバマもイラク情勢を無視することはできない。

オバマの報道官、ビル・バートンはイラクの暴力減少について「歓迎すべきニュースである」としながらも、今年の戦死者の数は記録的な高さであり、イラク国内の政治見解の相違が歩み寄られていないと語った。

「イラクの政治リーダーたちにちゃんと仕事をさせるために一番いいやり方は即軍隊を撤退しはじめることです」とバートン氏は語った。

アメリカ兵の戦死者の数は去年に比べて激減しているというのに、いったいバートンのいう「記録的な高さ」とはどういう意味だ? 第一アメリカ軍が撤退することとイラクの政治家たちが歩み寄ることとどういう関係があるというのだろう?

そして最後に「撤退、撤退、なんでも撤退」としかいわないジョン・エドワーズは今の時点ではまだ自分のイラク見解を再検討するに値する政治的な効果はあがっていないとしている。

「基本となる疑問は全く変わっていません。その疑問とは政治面において真剣な努力がされ、真剣な動きがあったかどうかということです。」...「スンニとシーアの間で政治的な解決がされない限り安定などあり得ません。暴力は終わらないのです。ですからこういう面ではほとんど進展がみられないと私は思います。」

エドワーズはイラクの話はよく取り上げるが、増派そのものよりもライバル候補者のイラク戦争に対する姿勢を批判することの方が多い。特にヒラリーが当初イラク戦争に賛成票を投票した事実や最近のイラン革命軍をテロリストと指定する議案に賛成した事実をあげ、ヒラリーをブッシュと一緒くたにして批判している。

民主党候補者の本音はイラクへの米軍増派があまりにも効果をあげているので、早急に撤退してもらって再びイラクを混乱に陥れたいというものだ。しかし民主党が主権を握っているにもかかわらず議会はブッシュ大統領の意向に背いて米軍撤退を実現させることができない。だからイラク内政に進展がないということくらいしか批判のしようがないのだ。しかしこの方法も民主党にとってはかなり危険な賭けである。なぜならば、イラク内政に焦点を当て過ぎるとイラク治安がそうであったように、来年の11月までにイラク内政に大幅な進歩が見られた場合にどのように言い訳をするのかという疑問が残るからだ。

イラクは軍事的にも政治的にもブッシュ政権による大失敗だったという結論をつけたい米民主党が、どちらもうまくいっているという現実に直面した場合、いったいこれをどうやって乗り切るのか、そしてそれが選挙にどのような影響を与えるのか、かなり面白いことになってきた。

追記:イラク情勢良化について古森義久さんがアメリカのメディアの反響についてまとめているので参照されたし。それにしても、イラクからの良いニュースについて日本メディアが完全無視しているというのは不思議だ。

November 25, 2007, 現時間 12:37 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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November 22, 2007

イギリス軍撤退後のバスラ状況は悪化しているという嘘

イラク関係

<お詫び> 下記は10月6日付けのエントリーだったのですが、記入に間違いがあり途中で切れて読めなくなっていました。コメンターのソルティカフェさんとエマニュエルさんからご指摘があったのですが、ネットアクセス不能が何日も続いたため今まで気が付きませんでした。管理不行届きをお詫び申し上げます。では間違いを正しましたので、あらためて掲載いたします。

***************

アンバル地区の状況が良くなっているという報告が多くあるなか、イギリス軍撤退前後のバスラの状況は悪化するばかりという記事をよく読むようになった。この8月7日つけのワシントンポストの記事などはその典型である。

イギリス軍がイラク南部のバスラから撤退するにつけ、地元の政治的勢力争いや原油資源の所有権ををめぐってシーア派民兵同士の暴力がエスカレートしている。バグダッドのアメリカ高官たちはシーアが多数派を閉めるイラク政府は米軍が兵削減を始める際仲間割れをするのではないかと心配している。

地元の三つのシーア派グループは、民兵や犯罪ギャングなどの手によって血みどろの戦いを続けている。かれらは地元の政府機関から市民の住宅街まで幅広くコントロールしている。町は「組織的な地元政府機関の不法利用や、暗殺、部族間の恨みあい、市民による不法な裁きや社会道徳の強制などで蝕まれ、それと共に犯罪マフィアの台頭がおこり、それが地元政治と深く絡み合っている。」とインターナショナルクライシスグループの報告書は告げている。 ...

「要するにイギリス軍は南で敗北したのです」と最近バグダッドにてアメリカ諜報部の高官は語った。この高官はまたイギリス軍はバスラ宮廷の本拠地を捨てたという。ここは最近訪れたロンドンからの高官が「カウボーイやインディアンのように囲まれていた」と表現した場所である。空港は待ちの外側にあり、そこにアメリカ大使事務所やイギリス軍の残りの5500兵がビルのように高々と詰まれたサンドバッグでのバリケードの後ろ隠れている。ここはすでに過去4ヶ月の間に600回もモーター攻撃を受けている。

このことについてヒュー・ヒューイットが彼のラジオ番組で多国籍軍副司令官シモンズ少将にインタビューした際、シモンズ少将はこのように答えた。

それは正しくありません。捏造といってもいいくらいです。宮廷とPJCCのイラク軍への任務譲渡は計画的なものであり、受け継ぎは生気のイラク政府軍にされています。彼らは基準を満たし、きちんと訓練をうけた装備もととのったイラク警備軍です。平和的な祝いのようなデモンストレーションがおこなわれましたが、一時でも同盟軍が攻撃をうけたなどということはありません。モーハン将軍のもと、地元イラク高官はバスラの状況はきちんと把握しています。

さてバスラにはここでも何度も紹介している体当たりフリーランス記者のマイケル・ヨンが向かっている。クエートで待機中のマイケルにヒューがインタビューをした。

マイケル:私は今クエートにいます。イラクには10時間くらいでつけると思います。そしてかなりの長丁場になりそうです。最初はイギリス軍と一緒にバスラへ行き、一ヶ月ほど彼らと滞在します。その後はアメリカ空軍に従軍し、次に歩兵隊と一緒に帰ってくることになっています。ちょうど24時ほど前ですが、モスールで四ヶ月ほど前に撃たれたジェームス・ピピン曹長がイラクへ戻るのに出会いました。彼は頚骨を撃たれたんですよ。四ヶ月前に頚骨を粉々にされたというのにもうモスールへもどるっていうんです。すごいですね。

ヒュー: それはすごい。彼はどの軍に所属ですか?

マイケル: 陸軍です。モスール歩兵隊の上級曹長です。飛行機にのるんで、いやその手続きをするんで、列にならんでいたらその列にいたんですよ。私は自分の目が信じられませんでした。この間撃たれたばっかりなのに、もう戻るっていうんですから。

ヒュー: それは本当にすごいな。ところで君がバスラに行くっていうのは好都合だ。なぜかというとバスラについてはずいぶん色々は話をきいてるけど、イギリス軍の前線撤退後に地獄状態になって手がつけられないとか、君はこれについてどんなことを聞いてる?

マイケル:その報道は正確とはおもえません。私はついこの間までロンドンにいましたけど、今年の初めにバスラに駐留していたイギリス人ともすごしましたけど、実際には兵を削減していく潮時だろうと思うんです。彼らのやり方は賢明だと思いますよ。イギリス軍はアフガニスタンで大任がありますし、彼らの軍隊はわれわれのものよりずっと小規模ですからね。それにバスラの問題は他の地区の問題とは違います。卵の殻にひびが入ってるような状態じゃないですし。あんまり先のことを予測するのもなんですが、私はイラクの暴力は地元のより多くの地元民が協力してくれるようになるにつけ、この先数ヶ月でじょじょにへっていくと思います。ディヤラなんかでは25ある部族のうち20が同盟軍およびイラク軍と協力するという条約に調印したほどです。これってすごいことですよ。

マイケルは他にもイラク各地で地元の人々が目覚めアルカエダと対抗しようという気になっていることや、当初はアメリカ軍もずいぶん躓いたが、いまではイラク市民とうまくやっていくコツをつかんだことなどを語っている。

マイケルは一年以上まえ、イラクは宗派間で内乱になっている言っていたくらいだから、この変貌ぶりは非常に評価できる。今後もマイケルのバスラからの報道に期待したものだ。

November 22, 2007, 現時間 2:08 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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November 20, 2007

米軍、APのストリンガーを正式にテロリストとして起訴

イラク関係 , 狂ったメディア

APのカメラマンとして賞までとったことのあるイラク人、ビラル・フセインという男がテロリストとしてアメリカ軍に取り押さえられた話は、去年の暮れ頃ここでも紹介した

彼はアメリカの記者の代わりに現地で取材をする所謂(いわゆる)ストリンガーだが、彼が撮ったテロリストの写真は、どう考えてもテロリストの協力を得て撮ったものが多々あった。フセインは去年アメリカ軍に逮捕されテロリストとしてイラクで拘束されている。そのフセインにアメリカ側から正式にテロリストとして罪が課されることになったと、当のAPが報道している。(Hat tip Powerline)

NEW YORK (AP) - 米軍はビューリツァー受賞者のアソシエイトプレス(AP)のカメラマンに対して、イラクの裁判所で犯罪訴訟を起こす考えをあきらかにした。しかしどのような罪で起訴するのか、どのような証拠があるのかはいっさい明らかにしていない。

APの弁護側はこの決断に断固とした抗議をしており、米軍の計画は「いかさま裁判だ」と語っている。このジャーナリスト、ビラル・フセインはすでに19か月も起訴されないまま拘束されている。

ワシントンではペンタゴンの報道官ジェフ・モレル氏が起訴内容について「フセインに関する新しい証拠が明らかになった」と説明している。...

モレル氏は軍が「ビラル・フセインのイラク反乱分子の活動につながりがあり、イラクの治安維持に脅威を与える人物であると確信できる確かな証拠がある」とし、フセインを「APに潜入したテロ工作員」と呼んだ。

APは自社の記者に関するニュースだけに、いまだにこのストリンガーがテロリストではないと言い張っている。弁護側にいわせると軍はフセインの罪について詳細をあきらかにしていないため、どのように弁護していいかわからないということだ。APはフセインがテロリストとは無関係だという根拠として、彼の撮ったほとんどの写真がテロ活動とは無関係なもであり、テロ活動が写っている写真でもストリンガーがテロリストと前もって打ち合わせをしていた事実はないと断言している。しかしパワーラインも指摘しているが、「ほとんど」がそうでなくても、テロ活動を一枚でも写真に撮ることができるとしたら、フセインにはそれなりのコネがあると考えるのが常識だ。フセインの撮った写真で有名なのは私が上記で掲載したイタリア人記者殺害後のテロリストがポーズをとってる写真。(2005年におきたイラクはハイファ通りでの真っ昼間の暗殺事件を撮ったのもフセインだという話があるが、これはAPは否定している。)



Bilal Hussein and his picture    Italian

テロリストと一緒に逮捕されたAPカメラマン、ビラル・フセイン(左)フセイン撮影イタリア人記者の遺体の前でポーズを取るテロリストたち(右)

ビラル・フセインがピューリツァー賞をとった写真はこれだが、テロリストがイタリア人記者を殺しているところにたまたまAPの記者が居合わせるのが不可能なのと同じように、テロリストがアメリカ軍に向かって撃っているところを真横にたって撮影するなんてことがテロリストの仲間でもないカメラマンに出来るはずがない。これらの写真はどう考えても、まえもって打ち合わせをしてのみ撮れるものである。はっきり言ってフセインの撮った写真そのものが、ビラル・フセインの正体を証明しているようなものだ。

November 20, 2007, 現時間 3:05 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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November 8, 2007

戦争は兵隊に任せろ! アメリカ兵に手かせ足かせの戦闘規制

イラク関係 , 対テロ戦争 , 狂ったメディア

今朝、ハワイの地方新聞Honolulu Advertiserを読んでいたら、ハワイ出身の陸軍兵が犯したとされるイラク市民殺人事件について、この兵士が意図的にイラク人を殺したと言う証拠はないとして、裁判をしない推薦がされたという記事が載っていた。この事件は逮捕して武装解除されたイラク市民を上官の命令で部下が銃殺したという容疑だったが、部下は殺すのが嫌でわざとはずして撃ったと証言していた。すでに捕らえて直接危険でない人間を殺すのは戦闘規制に反する行為ではあるが、果たしてこれが犯罪といえるのかどうかその時の状況によって判断は非常に難しい。正直いって、アフガニスタンやイラクの戦争では、少しでも怪しい状況があるとすぐに兵士を逮捕して取り調べると言う事件があまりにも多すぎる。兵士らは当たり前の戦闘行為をしているのに、いちいち自分らの行動が犯罪としてみなされるかどうか心配しながら戦争をしなければならないのだからたまらない。

たとえばこの状況を読者の皆さんはどう判断されるだろう。アフガニスタンの山奥にテロリストのアジトがあるので偵察に行って来いと命令を受けた海軍特別部隊シール4人が、偵察中に羊飼いの村人三人に出くわした。戦闘規制では非武装の非戦闘員を攻撃してはいけないということになっているが、彼らの顔つきから明らかにアメリカ人を憎んでいる様子。シールの4人はこの三人を殺すべきか開放すべきか悩んだ。開放すれば、中間達に自分らの任務を知られ待ち伏せされる可能性が多いにある。かといって、キリスト教徒としてまだあどけない顔の少年を含む一般市民を殺すのは気が引ける。第一タリバンかどうかもわからない市民をやたらに殺したりすれば、殺人犯として帰国してから裁判にかけられる可能性は大きい。シールたちはどうすればよかったのだろうか?

結論から言わせてもらうと、シールたちは殺すという意見が一人で、もう一人はどっちでもいい、他の二人が殺さずに開放するという意見で羊飼いたちは開放された。そしてその二時間後、シール4人は200人からのタリバン戦闘員たちに待ち伏せされたにもかかわらず敵側を100人近くも殺した。しかしいくら何でもたった4人で200人の敵にはかなわない。大激戦の末、味方側の三人が戦死、一人が瀕死の重傷を負って逃げた。この生き残った一人は、羊飼い達を解放すると決めたひとりだったが、あとになって「どんな戦略でも、偵察員が発見された場合には目撃者を殺すのが当たり前だ。それを戦闘規制(ROE)を恐れて三人を開放したことは私の生涯で一番の失態だった」と語っている。無論そのおかげで彼は自分の同胞三人を殺されてしまったのだから、その悔しさは計り知れない。

上記は2005年アフガニスタンで同胞3人をタリバンとの激戦で失い、救援に駆けつけたチームメンバーたちの乗ったヘリコプターをタリバンのロケット弾に撃ち落され全員死亡。ひとり生き残ったシール、マーカス・ラテレルの身に起きた実話だ。彼の体験談はLoan Survivorという本につづられている。

私は理不尽なROEがどれだけアフガニスタンにいる特別部隊やイラクの戦士たちの任務の妨げになっているか以前から書いてきたが、それが実際に十何人というアメリカ軍でもエリート中のエリートを殺す結果になったと知り、改めて怒りで血が煮えたぎる思いである。

実は先日、私はCBSテレビの60ミニッツという番組で、アフガニスタンにおけるNATO軍の空爆についての特集を観た。詳細はカカシの英語版のブログbiglizards.net/blogで数日前に書いたのだが、関連があるのでここでも紹介しておこう。

この番組では司会者のスコット・ペリーはアフガスタンではタリバンによって殺された一般市民の数と同じかそれ以上の数の市民がNATO軍の空爆の巻き添えになって殺されていると語った。いや、ペリーはさらにNATO軍(特にアメリカ軍)は敵側戦闘員が居る居ないの確認もせずにやたらに市民を攻撃しているとさえ言っているのである。

ペリーが現地取材をしたとするアフガニスタンからの映像では、明らかに爆撃をうけて破壊された村の一部を歩きながら、ペリーは女子供や老人を含む親子四代に渡る家族がアメリカ軍の空爆で殺され、ムジーブという男の子だけが生き残ったと、お涙頂戴風の臭い演技をしながら語った。確かにアメリカ軍が意味もなく一般市民の家を破壊して四世代の非戦闘員を殺したとしたらこれは問題だ。だがこういう話にはよくあることだが、本当はもっと複雑な背景がある。

実際破壊された家の家主で、生き残った少年の父親は地元タリバンのリーダーで、アメリカ軍がずっと捜し求めているお尋ねものである。空爆時には家にはいなかったが、家主がタリバンのリーダーということは部族社会のアフガニスタンでは家族も必然的にタリバンである。そんな家が建っている村は必然的にタリバンの村なのであり、村人はすべてタリバンだと解釈するのが妥当だ。しかも、アメリカ軍がこの村を空爆した理由はその直前に丘の上にあるアメリカ軍基地にロケット弾が数発打ち込まれ、激しい打ち合いの末、ライフル銃をもったタリバンがこの村へ逃げ込むのが目撃されたからなのである。ペリーはこの状況をこう語る。

時間は夜でした。アメリカ軍は地上で敵との接触はなかったにもかかわらず、モーター攻撃の後に空爆援助を呼ぶ決断をしました。アメリカ空軍の飛行機はこの近所にひとつ2000ポンドの重量のある二つの爆弾を落としました。(瓦礫の中を歩きながら)これが一トンの高性能爆発物が当たった泥つくりの家の跡です。爆弾は標的に当たりました。しかし煙が去った後、ライフルをもった男達の姿はありませんでした。いたのはムジーブの家族だけです。

敵と地上での接触がないもなにも、この村の付近からアメリカ基地はロケット弾を撃たれているのである。しかもライフル銃をもった男達がタリバンのリーダーが住んでいる村へ逃げ込んだのだ。アメリカ軍はこの状況をどう判断すべきだったとペリーは言うのだ?第一、破壊さえた家でライフルをもった男達が発見されなかったという情報をペリーは誰から受け取ったのだ?もしかしたら自分らはタリバンではないと言い張っている村でインタビューをしたタリバンの男達からか?

だいたいアフガニスタンの村でライフルを持っていない家など存在しない。だからといって彼らが皆テロリストだとは言わない。強盗や盗賊に襲われても警察など呼べない山奥の部族たちは自分らの手で自分らをまもらなければならない。ソ連軍が残していったカラシニコフ(AKライフル)がいくらでも有り余ってるアフガニスタンだ、一般人がライフルをもっていても不思議でもなんでもない。もしタリバンのリーダーの家でライフルが一丁も発見されなかったとしたら、それこそおかしいと思うべきだ。

このアフガニスタン人たちは、他の市民と同じようにアメリカが支援している政府を支持するかどうか迷っています。私たちは怒りは予想していましたが、これには驚きました。

ペリー:(村人の一人に)あなたはまさかソビエトの方がアメリカよりも親切だなどというのではないでしょうね?

村人:私たちは以前はロシア人をアメリカ人よりも嫌っていました。でもこういうことを多くみせつけられると、ロシア人のほうがアメリカ人よりよっぽど行儀がよかったと言えます。

タリバンがロシア人よりアメリカ人を嫌うのは当たり前だ。すくなくともタリバンはロシア人を追い出したが、アメリカ人はタリバンを追い詰めているのだから。

マーカスの本にも書かれているが、タリバンやアルカエダの奴らは西側のボケナスメディアをどう利用すればいいかちゃんと心得ている。イラクでアメリカ軍に取り押さえられたテロリストたちは、アメリカ兵に拷問されただのなんだのと騒ぎたて、アルジェジーラがそれを報道すれば、西側メディアはそれに飛びついてアメリカ軍やブッシュ大統領を攻め立てる。テロリストたちは自分らの苦情を聞き入れたアメリカ軍がアメリカ兵を処罰するのを腹を抱えて笑ってみていることだろう。「なんてこっけいな奴らなんだ、敵を殺してる味方の戦士を罰するなんて、間抜けすぎてみてらんねえや。」ってなもんである。

だからこのタリバンの奴らも取材に来たアメリカの記者団を丁重に扱い、何の罪もない善良な村人に扮してCBSの馬鹿記者の聞きたがる作り話をしているにすぎない。それも知らずにペリーのアホは村人が自分らはタリバンではない、ただの平和を愛する羊飼いだと言っているのを鵜呑みにし、村人がソビエトよりアメリカが嫌いだという証言に衝撃を受けたなどと、とぼけたことをいっているのだ。

私はこういうアメリカのボケナス記者どもに一度でいいからアメリカの部隊に従軍でもして実際に敵と面と向かってみろと言いたいね。殺さなければ殺されるかもしれない状況でとっさに自分らの目の前に居る人間が敵か味方か判断できるかどうか、自分で体験してみろ!それができないんなら黙ってろ!お前らのいい加減で無責任な報道がどれだけのアメリカ兵を殺す結果になるとおもってるんだ!

マーカスの体験談を読むに付け、私はこういう無知蒙昧なリポーターをぶん殴ってやりたい思いでいっぱいになった。

November 8, 2007, 現時間 10:27 PM | コメント (3) | トラックバック (0)

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November 7, 2007

イラクの民主化にアメリカが出来ることとは?

イラク関係

皆さん、六日ぶりにワイキキビーチへ戻り、ホテルも先のネットアクセスの悪いホテルからちょっと割高ですが、通りをひとつ隔てた海側のホテルに越してきました。 ネットは無料ですが駐車料金がいちにち18ドル。痛いなあこれは。

さて、留守中に読者のhatchさんから興味深いご意見をいただいたので、これはひとつエントリーの主題として考えてみたいと思う。以下はhatchさんのコメントより抜粋。

さて、苺さんが力説しているようにこちらの意のままになる独裁政権がうまくいかないのは確かです。長い目で見ればです。しかし、だからといって他国が力によって、他国を民主化できるのですかねえ。

ブッシュJ大統領は、第二次大戦時の日本とドイツを例に挙げるのがお好きですが、日本とドイツは第二次大戦によって初めて民主化したわけではありません。ドイツのことは他国ですから言えませんが、日本の民主化は、明治維新から始まります。そして、その明治維新でさえ、その前の江戸時代270年間の太平時代に培わられた国力の下地がありました。

...力で押さえつけた奴隷は、誇りがありません。誇りがない人々が自らを主人公とする民主主義を作り上げられますか?

苺さん、あなたは矛盾しています。

強権的な独裁政権にはアメリカは何度も失敗してきたとあなたは言われます。その通りです。私は異存がありません。しかし、アメリカがその軍事力によって他国に民主主義を樹立することはできません。力によって押さえつけた民衆はその力に対して媚びるだけで自立できないからです。ではアメリカはどうしたらよいかですか。悪人を演じるしかないでしょうね。もし、どうしてもアメリカの力で他国に民主主義を根付かせたいのならです。アメリカが敵役となり、握っていなければ砂になるアラブ人を結束させて、自分たちの力で国を作ったとアラブの人々に思わせなければなりません。自らが正義とは決していえない戦争を何年も何十年も、何千人何万人もの犠牲を払ってアメリカが続ける覚悟がおありですか、苺さん?

私は以前から日本には民主主義の下地があったと主張してきた。第二次世界大戦時の日本が民主主義だったとは言わないが、明治維新直後から、それまで自分は薩摩藩の人間だとか土佐藩の人間だとかいっていた人たちが、自分は日本人だという自覚を驚くべき速さで持ち始めたことは事実である。私は日本海軍の歴史について最近読んでつくづく感じたのだが、日本の文明開化の迅速さは世界ひろしといえども稀に見る速さであり、日本海軍の発達は奇跡に近い。つまり日本は特別例だということをブッシュ大統領並びに西洋諸国は理解すべきだろう。アメリカが日本を占領したとき、日本はすでに20世紀の社会だった。それに比べてイラクはまだまだ7世紀の部族社会なのである。そんなイラクを日本と比べて日本で出来たのだからイラクでも出来るなどという考えは甘すぎる。

イラクのような部族主義の文明的に遅れに遅れをとった国を突然21世紀並の民主国家にするなどという大それた野心を持ったのは過去の歴史を振り返ってもジョージ・W・ブッシュ大統領が始めてである。つまりこの大仕事は誰もやったことがないのだ。こんな前例のないことをやろうというのだから試行錯誤なのは当たり前。

とはいうものの、以前にここでもよくコメントを下さったアセアンさんもおっしゃっていたが、アメリカのいきあたりばったりの政策に付き合わされるイラク人は迷惑至極だという考えもまったくその通りだろう。

だが、これはアメリカの試練であると同時にイラク人にとっても試練なのだ。なぜならばイラクがこのまま7世紀の部族社会として独立国として生存することは不可能だからである。それはアメリカが許さないだけでなく、イランをはじめ近隣諸国やアルカエダのようなテロリスト達が許さないだろう。つまり、これはアメリカが武力で強制的にイラクを民主化するとかどうかという問題ではなく、イラクには民主化する以外に生き延びる道はないということなのだ。

hatchさんは、アメリカが悪役となることでイラク人の心がひとつにまとまるとお思いのようだが、2003年から繰り広げられているイラクでの混乱を考えれば、イラク人の心はアメリカへの憎しみをもってしてもひとつにはまとまらないのだということがお分かりいただけると思う。アルカエダの悪玉であるオサマ・ビンラデンですら、どうしてイラク人は仲たがいをやめてアメリカ打倒のため一致団結して戦おうとしないのかと嘆くほどなのだから。

しかしいみじくもhatchさんがおっしゃっているように、「力で押さえつけた奴隷は、誇りがありません。」と同様に押し付けている側への忠誠心もない。イラクの部族たちがこぞってアルカエダに反旗を翻したのも、アフガニスタンで同民族のパシュトン族が次々にタリバンを見捨てているのも、すべてこれらの勢力が暴力で地元民をコントロールしようとしてるからに他ならない。とすれば明らかにアメリカが悪者となってイラク人を弾圧するのは最悪のやり方である。

アメリカがイラク人に民主主義しかイラクには未来がないと理解してもらうためには、先ずイラク人が平和な暮らしが出来るようになることを保証することが大切だ。アメリカがイラク人の守護神となってイラク人を内外からの敵から守るという保証をすることだ。無論イラクが自立できるように今アメリカ軍がイラク軍を教育しているように、イラクの治安維持の役割を地元軍や地方政治にどんどん代わってやってもらうようにすることも大事である。タリバンやアルカエダのように地元民に恩を着せておいて、部族の義理人情やしがらみを悪用して地元民に無理難題を押し付けてくるのと違って、アメリカ軍やイラク軍はイラク人のために命がけの戦いをするにもかかわらずに、イラク人に求めることといったら法にもとづいた公平な態度だけだということを地元市民に理解してもらうことが大切だ。

私はイラクが日本のような中央政府を設立してイラクの憲法にのっとった民主主義を設立することが簡単に出来るとは考えていない。だが、地元レベルで隣近所が部族の違いを乗り越えてなんとか共存することができるようになれば、それがだんだんと上部の政治にも反映していくのではないかと考える。イラク人はそれがクルドであろうとシーアであろうとスンニであろうと、みんながみんな同じ法律の下で裁かれる公平な社会だとイラク人自身が納得できるような社会ができてくれればそれでいいのだ。

アメリカはイラクに武力で民主主義を押し付けようとしているのではない。武力を使って民主主義を妨げるイラク市民の敵を退治しイラクの文明開化の手助けをしているのである。イラクは大急ぎで7世紀の幼児時代から21世紀の大人へと成長しなければならないからだ。

November 7, 2007, 現時間 7:14 PM | コメント (6) | トラックバック (0)

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October 27, 2007

アルジェジーラにまで見放されたイラクアルカエダ

イラク関係

この間アルジェジーラで放送されたビンラデンの声明テープの件で、イラクのアルカエダの連中が怒って抗議の声をあげているという。

アルカエダシンパたちはアルジェジーラテレビ局に対してオサマ・ビンラデンの最近の音声テープの抜粋を歪曲して紹介したとして怒りの声を爆発させている。 このテープではビンラデンはイラク反乱分子の間違いを批判している。

イスラム過激派のネット掲示板では、ビンラデンの反乱分子への日は何に焦点をあてたこの全アラブネットワークに対して何千という侮辱のメッセージが投稿された。

評論家によれば、これは民兵たちがビンラデンの言葉に驚ろいたことを象徴しており、ビンラデンが取り持とうとしているアルカエダとイラク武装集団との間の大きな溝への失望感の表れだという。

「問題はアルジェジーラじゃありません。これはビンラデンから受けた衝撃です。とエジプトのイスラム武装集団専門学者のDiaa Rashwanさん。「精神的な指導をするはずのビンラデンが初めてアルカエダを批判し間違いを認めたのですから。これは普通じゃありません。」

アルジェジーラですら、ビンラデンの声明は悲観的だと気がついたというわけだ。ビンラデンの声明はテロリストを元気付けるどころか、かえって失望感を高めてしまったらしい。これではビンラデンはスピリチュアルリーダーとしては全く失格だな。(笑)

October 27, 2007, 現時間 12:43 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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October 26, 2007

心を入れ替えた一等兵。米兵侮辱記事著者スコット・ビーチャムの選択

イラク関係


今年の7月、ニューリパブリック(TNR)という週刊誌にバグダッドに駐留している米陸軍兵の捏造日記が掲載された事件を覚えておられるだろうか。ことの詳細は下記のエントリーを参照いただきたい。

まず著者のスコット・ビーチャムの書いた内容はこちら。
「冬の兵士」再び、米二等兵の軍隊バッシング
それが嘘だったことがばれたいきさつがこちら。
暴かれたイラク版冬の兵士の嘘

ビーチャムは陸軍の取調べで、自分がTNRで書いたことはすべて捏造であったことを認めた。最後に聞いた話では謹慎処分を受けたという話だったのだが、その後どうなっていたのか私は良く知らなかった。ところが数日前、ここでも何度も紹介しているフリーランスの従軍記者マイケル・ヨンが偶然にもばったりとビーチャムの所属する隊にバグダッドで出くわしたと言う。その時の模様をマイケルが書いているのでこちらでちょっと引用したい。

俺はスンニとシーアの和平会議に出席するべく10月24日、バグダッドの西ラシド地区にいた。その時全くの偶然だったのだが、ビーチャムの旅団と一緒になった。 事実その時は全然しらなかったのだが、俺はビーチャムの元隊長と一日一緒に過ごしていたのだ。

和平会議の席でビーチャムの旅団の現司令官、ジョージ・グレーズ中佐は丁寧に俺に自己紹介をした後、俺がどこの新聞社の記者なのかと聞いた。俺は別にどこということもないしがないブログを書いてるという答えると、中佐はビーチャムの名前を口にした。俺は彼の話は聞いたことがあると答えた。グレーズ中佐は、この若い兵士が彼の同胞の兵士らを散々侮辱したというのに、彼を守ろうとしているかのようだった。事実中佐によると、ビーチャムは除隊するかそのまま在留するか選択を与えられたが、教訓を生かして在留することを選んだと言う。

ここは本当にたいへんなところだ。ビーチャムの小隊の兵士らは戦闘を何度も経験している。長い間睡眠不足で疲労困憊のまま継続してゲリラ戦に挑むなんてことはしょっちゅうだ。これほどストレスのたまる仕事は世界ひろしといえそれほどはないだろう。特にイラクを侵略する決断が下された頃自分はただのティーンエージャーだったというのに、何百万て人間が三年かそれ以上前の失敗を責め立てるんだから。さらに悪いことに何百万という人々が、兵士らの任務は絶望的だと諦めてるとしたらなおさらだ。それに加えて自分の同胞が目の前で殺されてんだ。(現にビーチャムの旅団では70人が戦死している。)俺はこれらの若い男女がどんな目にあってるか見てきた。そして信じられないほどのプロ意識を見るとき俺は毎日のように感嘆している。

誤った判断を下すことがあっても不思議じゃない。責任追及をするのは当然だが、いちいち兵士が間違いをおかすたびに吊るし上げることもないだろう。

ビーチャムは若い。これだけのプレッシャーにかかれば間違いもおかす。奴は実際模範兵だったとは言いがたい。だが、彼が偉いのはこの若い兵士は在留を選んだことだ。そして今夜も危険なバグダッドのどこかで任務をはたしているのだ。奴は重症を負ったり殺されたりするかもしれないのを覚悟の上なのだ。奴は辞めることも出来た。でも辞めなかった。奴は同胞に面と向かった。同胞からどんなに冷たく扱われたか想像がつく。別の隊へ移動することも出来たのにグレーズ中佐はビーチャムは今の隊に残りたいと自分から言ったという。奴は自分の罪がどのような償いになろうとも償っているのだ。

...グレーズ中佐はビーチャムをそっとしておいて欲しいという。ビーチャムを戦争に戻らせる時だと。 若い兵士はよく勉強になっただろう。二度のやり直しの機会を与えられたのだ。三度目はないことは十分承知だろう。

ビーチャムは近くにいるはずだが、おれは探してまで話をしたいとは思わない。今朝もロケット弾が米軍基地近くに落下した音で目をさました。誰がビーチャムをつるし上げてる暇なんてあるだろう。俺達はビーチャムに仕事に熱中してもらわなきゃならない。

自分の過ちに気がついて、命がけで償いをしているビーチャムの潔さに比べ、見苦しいのは当の記事を掲載したニューリパブリックの編集部だ。これだけ記事が捏造だったことがはっきりした今となっても、まだ捏造記事掲載の責任をとるどころか、なんだかんだ言い訳をして時間稼ぎをしている。

数日前に、陸軍のビーチャムに関する調査書類がドラッジリポートというオンライン新聞ですっぱ抜かれた。ミルブロガーで、最初にビーチャムの嘘を暴露したボブ・オーウェンの話だと、これは軍幹部からの漏洩らしい。誰が漏らしたのかはいま捜査中だということだ。これに関してTNRはドラッジを脅迫したらしく記事はすぐに取り下げられたが、それはインターネットの恐ろしさ。ほんの5分でもアップしてあれば、誰かがダウンロードしている。無論この場合もその例外ではない。

漏洩された書類のなかに、ビーチャムとTNRの編集長や他の数人による電話会議のトランスクリプトが含まれているという。オーウェンは軍関係の人間なのでそのつてから書類が本物であることを確認したという。これまでにもオーウェンは信頼のできる記事を書いて来ているので彼がそういうなら信用できると思う。

さてこの電話会議の内容なのだが、It's the coverup that kills you, part 5">パワーラインによれば、TNRの編集長がビーチャムにすべて本当だったと保証して欲しいと頼んだり、捏造だったと公表したりすればTNRの従業員であるビーチャムの妻の立場や、ビーチャムの将来作家としてのキャリアも危ぶまれるだろうという脅迫まで入っているという。

ビーチャムが捏造記事を書いたことは無論悪いことだ。だが、でたらめの記事など誰でも書けるわけで、それを裏も取らずにそのまま掲載したTNRのほうがプロのジャーナリストとして完全に失格ではないか。掲載して読者から真偽を問いただされるまで真偽のチェックをしなかったというのはどういうことなのだ?いくら自分らの米軍に対する偏見と内容が一致しているからといって、こういう出来すぎた話には必ず裏があると判断するのがプロたるものの仕事のはず。特にTNRは捏造記事を何年にも渡って書いていた若い記者に信用度を散々落とされた過去のある雑誌なのである、注意に注意を重ねることが本当のはず。それを怠っておいて、不心得もののアホ兵士のでたらめを鵜呑みにして、ビーチャムに本当のことを言ったら将来は保障できないなどと脅迫までするとは、もう見苦しいなんて言葉では表しきれない。

さてビーチャムの作家としての将来だが、彼が除隊後、自分の過ちを悔い改めて、どのようにプロの戦士として生まれ変わったかという日記でも書いてくれたら、多分私は読むだろうな。

October 26, 2007, 現時間 9:30 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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「暗闇は漆黒の闇と化した」ビンラデンの愚痴

イラク関係

先日もお話したオサマ・ビンラデンの声明について、ビル・ロジオが分析しているので紹介したい。

最近、イラクでは地元スンニ派市民がアルカエダに背を向けたことや、アメリカ軍及びイラク軍の激しい取締りにより、イラクのアルカエダが苦境を迎えているという話はここでも何度も紹介してきたとおりである。そのことを一番ひしひしと肌で感じているのは、国際アルカエダ組織の親玉であるオサマ・ビンラデン(もしくは現リーダー)だろう。

ビンラデンが彼らの言う「聖戦」がイラクにおいてどのような状況になっていると考えているのかは、この間ビンラデンが発表した声明テープのトランスクリプトを読むとより明白となるとビル・ロジオは語る。

ビンラデンはイラクのアルカエダリーダーがスンニ反乱グループをまとめることが出来なかったという間違いを認めたのみならず、ビンラデンはアルカエダの歩兵たちが路肩改良爆弾をきちんと設置することを「怠っている」と責め、イラク人が自分らの兄弟がいる警察や軍隊を攻撃したがらないことを嘆いている。そしてビンラデンは声明を「イラクの暗闇は漆黒の闇と化した」としめくくっている。,

ビンラデンはアルカエダの部下達が路肩爆弾をきちんと設置していないのは、彼らが自分らの任務を怠っているからだと解釈し、またアルカエダにイラクやアメリカのスパイがテロ軍団に潜入していることの危険性をに注意せよと忠告している。

しかし面白いのは、ビンラデンがイラクのテロリストたちに攻撃に関する非常に細かい指図をしていることにある。たとえば攻撃準備、標的の偵察、訓練、適した武器の状態、弾薬、爆弾の質や設置のやり方などが怠られていると指摘し、このような怠慢さから来る失敗ほど敵である無宗教者を喜ばせることはないなどと注意を施している。ビンラデンがイラクのアルカエダ戦闘員たちの質の低下を嘆いていることが明らかだ。

ビンラデンが嘆くのももっともで、アメリカ・イラク連合軍はIEDと呼ばれる路肩改良爆弾を集中的に取り締まっている。時には改良爆弾の製造者グループの一味が全員逮捕されたり、路肩爆弾を設置しているテロリストが一回につき5人とか15人の割りで殺されたりしている事実を彼はよくわきまえているとみえる。

ビル・ロジオは、オサマ・ビンラデンは宗教的な教祖ではあるが、戦略の指導者ではないとする人もいるが、このような声明を聞くと、やはりエンジニアとしての彼は日ごとの戦闘作戦に非常に興味のあることがわかるという。もしこの声明を出したのが本当にビンラデンならばそれは確かにその通りだろう。

ビンラデンは、テロリスト達がイラクのスンニ派ともっと友好な関係を結ぶことを推薦してはいるものの、イラク警察やイラク軍への攻撃は奨励している。ビンラデンはイラク人の間にある国粋主義を全く考慮にいれていないようだ。警察でも軍隊でもイラク人への攻撃には変わらない。自国民を殺す行為はイラク市民は好まないのだ。2007年の春にアンバー地区を攻撃したアルカエダは、イラク軍や警察及びその家族や警察に協力したスンニ部族のリーダーなどを殺害した。これについてスンニ反乱分子経営のテレビ局アル・ザウラーは、イラク軍や警察を標的にしたアルカエダを強く批判した。

ビンラデンはイラク状況は「漆黒の闇と化した」と嘆きながらも、決して希望を捨ててはいない。アルカエダの戦士たちは援軍が現れるまで持ちこたえられると信じているよだ。彼は中東のイスラム教徒に立ち上がれと呼びかける。なぜなら今こそ彼らの助けが必要とされているからだと。

自分や子供たちに宗教を望む人々は何処にいるのじゃ?Tawheedの人々は、無宗教者や多神教者を倒した人々はどこへ行ったじゃ?拷問を快く思い打撃を恐れない人々は何処にいるのじゃ?地獄はずっと熱いことを知る故、困難を安易よりも、苦さを甘さよりも、好むものは何処にいる?Tabukの時代にローマ人と戦った人々はどこへ行った?Yarmuk時代に死ぬまで戦うと誓った戦士はどこへいった?....

と、まだまだ「何処にいるのじゃ?」が続くのだが、要するにビンラデンはイラクのアルカエダテロリストは不能でアメリカ・イラク軍に押されぎみなのに、中東諸国からのテロ志願者が減っていることを嘆いているというわけだ。アフガニスタン戦争が始まる前に、ビンラデンを一人殺しても、それをうらむ人々のなかから2000人のビンラデンが生まれるだろうという説を良く聞いたものだ。先日紹介したアナベルさんなんかがその言い例で、こっちがテロリストと戦えば戦うほど恨みを買ってテロリストはさらに強化されるという説だ。

しかし現実派その逆。「聖戦」に参加して諸外国からイラクへ行った人々の多くは、栄光ある勝ち戦に参加したという実績をつけたかったからだが、それもアルカエダがイラクで勝っていればこそである。一般に全く勝ち目のない負け戦に参加したいほどの過激派はそうはいないのである。テロ軍団がメンバーを増やすためには派手な勝ち戦が必要なのであり、負け戦の続くイラクに助っ人など来るはずがない。

だからね、ビンラデンのおっさん、「助っ人はどこにいるのじゃ?」などといつまで待っていても時間の無駄なのだよ。

October 26, 2007, 現時間 12:57 AM | コメント (1) | トラックバック (0)

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October 23, 2007

イラク:商売上がったりを嘆く死体安置所送迎タクシー運転手

イラク関係

ベルモントクラブが、最近、死体安置所へ行く客が減って商売上がったりだと嘆いているタクシー運転手の話を紹介している。

タクシー運転手のアクメッド・バキアーさん(Ahmed Khalil Baqir) さんは、以前までバグダッド最大の死体安置所の前で待機していた。悲しみにふけ遺体を引き取りにくる遺族や親族の送り迎えをするためだ。「いやあ完全に生活かかってたんですよ。」と4人の子持ちのバキアーさん44歳は語る。「道で客を拾うなんて考えたことなかったっす。なにせ一日に5回から8回は遺族の送り迎えしてたんで。でも最近は待ってても時間の無駄っす。朝三時間くらい待って、後は道で客をひろってます。」

まあなんてという苦難でしょう。ご同情申し上げますわ。

October 23, 2007, 現時間 8:54 PM | コメント (4) | トラックバック (0)

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ビンラデンも感じる、イラクアルカエダの衰退

イラク関係

昨日のAPのニュースで、ビンラデンと名乗る人物が、音声による声明でイラクのアルカエダ連中に仲間割れせずに協力してアメリカ軍と戦えと呼びかけた。国際テロリストの親玉であるビンラデンでさえも、イラクのアルカエダは過激派だと感じるらしい。しかし人殺し集団を育てておきながら、彼らが自分勝手に暴走したからといって今更あわてても無駄だ。テロリストとはしょせん人殺しの口実が欲しかっただけの大量殺人鬼にすぎない。そんな奴らに独立した権限を与えておいて、いつまでも自分の統率下においておけると考えるほうが甘い。

だが、ビンラデン(もしくはアルカエダの指揮者)がこのような声明を発表せざる終えないとしたら、少なくとも現アルカエダのリーダー格はイラク内での自分達のコントロールが、スンニ部族たちが次々にアメリカへと寝返っているや、アメリカ軍による激しい攻撃によって大幅に失われていくことにかなりの圧力を感じていると判断できる。

アルジェジーラで放映された短いテープでは、テロリストのリーダーは戦闘員たちに「分裂に気をつけろ、イスラム世界は君たちがひとつの旗の下にまとまるのを待っている。」と訴えた。

彼(ビンラデン)は「熱狂派」という意味の「タアスーブ」という言葉を使って部族や過激派団体への協力関係をアメリカ軍と戦うという大きな目的よりも優先させている反乱分子を批判した。

ビンラデンが「過激派」だの「熱狂派」だの相手を批判するというのは、なんともお笑いだ。例によってテープがビンラデンの本当の声かどうかという確認はできないそうだ。私はビンラデンはトラボラの山奥でとっくの昔にくたばっていると考えているが、アフガニスタンとパキスタンの国境沿いにアルカエダの現リーダーたちがいることは間違いないだろう。

アルカエダ幹部が憂いているのは、アルカエダのあまりにも無謀なやり方がイラク市民の顰蹙を買って、いまやアルカエダはイラクで内乱を起こさせることができないばかりか、スンニからも見放されて、イラクを拠点に世界でテロ活動をするなどということは望めなくなっているということだ。アルカエダがイラクのフセインに取り入ったのも、フセイン亡き後必死でアメリカ軍と戦ってきたのも、イラクをテロリストの温床とすることが目的だった。ところが温床どころか、いまやイラクは過激派連中のお陰でアルカエダが非常に活動しにくい場所となってしまった。

アメリカ軍はスンニ部族との協力関係成功を祝って「統一行進」をラマディでおこなうことを呼びかけた。この行進には少なくともスンニの部族代表の200人あまりのシークと地元の勢力者が集まる予定だそうだ。

さて、アルカエダがスンニから愛想をつかされたのと同様、シーア派の民兵たちもシーア市民から見放されつつあるという話はこれまでにも何度かしてきたが、アメリカ軍は軍に協力してくれそうなシーア部族を選んで、積極的な歩み寄りを試みている。結果はまちまちだが、シーア派部族のほうも、少しづつアメリカ軍に協力する気配が見え始めている。

このクリスチャンモニター
の記事は小さいながらもその努力が実を結びつつある事実が記されている。

バビ地区にある聖廟の階段には星条旗が描かれており、参詣にくる人々が星条旗を足蹴にしなければ会場内に入れないようになっていた。星条旗のこのような扱いはアメリカでイラク人のために大量の血を流したアメリカ軍への侮辱であるとして、アメリカ陸軍Beau Balcavage中佐はこの星条旗を即刻聖廟の階段から取り除くようにと地元部族リーダー達との会合で要請した。

しかし、星条旗を取り除くということは、サドル派の民兵らと協力関係のある部族のリーダーたちに、アメリカ軍に協力する意思を公にしろと要請しているようなものである。これは単なる星条旗の問題ではないのだ。

しかしBalcavage中佐はこのような絵がいつまでも聖廟に描かれていることのほうが、かえって反米意識を高まらせるものであり、双方の歩み寄りには害になると判断。シーア民兵に働きかけるという大きな目的のひとつとして、中佐はこれは小さなことのようで大事な一歩と考えた。

イラクの政治リーダーたち、聖教師などと先月行った会議で、Balcavage中佐は旗を取り除くよう要請した。これはイラクを助けるために死んだアメリカ人への冒涜であると中佐は語った。旗を取り除く交換条件の一部として、地元ムサイーブ市(バグダッド南部にあるスンニとシーアが在住。最近治安は良くなっている。)の復興資金を提供することを約束した。

しかし、シーア民兵と深い関係があると疑われている地元の政治家は消極的だった。それというのもあまりあっさりとアメリカ軍のいいなりになっては地元市民から腰抜けと思われるのを心配したからだ。「もう少し時間をください。」と彼はいった。ところが、会議が終わるとすぐ、他の地元政治家たちは夜遅く、だれにもみられないうちに星条旗に硫酸をかけて旗を消しにかかった。

アメリカ軍は少しづつではあるが、他の地域でもシーア民兵との交渉を進めている。サドルシティでもアメリカ軍と民兵たちと三度にわたって会合を行った。サドルシティでアメリカ軍と民兵が会合するなどこれまででは考えられないことだった。

無論、アメリカ軍を殺してきた民兵らを、すぐさま味方に引き入れるなどということは出来ない。大体彼らが口先だけ協力するようなことをいって、アメリカ軍攻撃の機会を狙っている可能性もあるし、実際、あまりにもひどい罪を犯してきた民兵らを処罰しないで、仲間にするわけにはいかなからだ。協力関係をつくるといっても、ある程度の常識は必要だ。

October 23, 2007, 現時間 5:28 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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October 20, 2007

少しづつ盛り返しつつあるアメリカ市民のイラク戦争支持

アメリカ内政 , イラク関係 , 狂ったメディア

歴史的にみて、戦争を国民が支持するかしないかは、戦争に大義名分が成り立っているとか、自国の犠牲者が多いとかということで決まるのではない。国民が戦争を支持するかしないかは、自国が戦争に勝っているという印象を国民が持っているかどうかに左右される。

イラク戦争には、中東からアメリカに脅威をもたらすサダムフセイン独裁政権を倒し、イラクに民主主義をもたらすという大義名分があるにはあるが、当初80%からのアメリカ市民がこの戦争を支持した理由は、アメリカの圧倒的な武力をもってすればイラク政府など簡単に倒すことが出来る。湾岸戦争のときのようにすばやく害の少ない圧倒的勝利を得てアメリカ軍は名誉の帰還をするこが出来ると信じたからである。

確かにフセイン政権打倒は計算以上にうまくいった。フセインのイラク軍など張子の虎で、アメリカ軍にかかってはみるもひとたまりもなかった。だから2003年5月当時のブッシュ大統領の支持率は90%近かったのではないだろうか?

しかし、イラク復興がおもったよりはかばらないことや、当初の戦闘での戦死者はわずか500人程度だったのに、その後あっちでひとり、こっちでひとり、と路肩爆弾や自動車爆弾による犠牲者が増え始めるとアメリカ国民の戦争への支持は激減した。大義名分も変わっていないし、犠牲者の数もそれほど増えているわけではない。問題はアメリカ国民がアメリカは負けているという印象をもちはじめたことにある。

先日もアメリカの主流メディアは悪いニュースばかりに注目していいニュースを軽視する傾向があると書いた。地味なアメリカ兵及び諸外国の連合軍によるイラク復興活動などはほぼ完全無視され、自爆テロや路肩爆弾攻撃ばかりが報道された。これではアメリカ市民が気分がいいはずがない。

無論私は2003年後半から始まった反乱分子によるアメリカ軍及び連合軍への攻撃によって我々が打撃を得たことや、イラク内の治安が荒れたことを否定しているわけではない。イラク情勢は我々が当初考えていたほど安易なものではなかったことは事実である。だからアメリカ国民の支持が下がった理由を主流メディアのせいばかりにはしていられない。いくら主流メディアが悲観的だといっても、大本営放送がメディアを独占しているわけではないから、他からも情報は入ってくる。それが同じように良くないニュースなら、本当に戦況は思わしくないと判断せざる終えない。

だが逆に、戦況が本当によくなっていれば、いくら主流メディアが良いニュースを無視しようと過小評価しようと、戦争から帰還した兵士らや、現地にいる兵士や民間人や従軍記者らからの情報で、実際に戦況はよくなりつつあるという情報はすこしづつでも巷に広がるものなのである。そうなってくれば、主流メディアもいつまでも良いニュースを無視しつづけることはできなくなるのだ。

さて、前置きが長くなってしまったが、今日のこのAPのニュースも戦況が良くなっていることの証拠だと思う。内容を読まなくてもこの見出しUS, Iraqi Forces Detain Militia Fighters(米・イラク連合軍、民兵戦闘員を拘束)だけで主流メディアのイラクに対する姿勢が変わってきたことがわかる。

BAGHDAD (AP) - アメリカ・イラク軍は土曜日、ポーランド陸軍のヘリコプターに援助され、シーア民兵が勢力のあるバグダッド南部を襲撃、何十人という民兵を逮捕した。二人の民兵は殺された。イラク首相は地元の知事と会見をしたが、知事はこの攻撃を「犯罪者」を根絶やしにするものだと語った。

イラク警察によると夜明け前の手入れでイランの飼イ豚モクタダ・アルサドルのマフディ軍民兵30人が逮捕されたそうだ。このあたりはイギリス軍撤退後、ライバルのシーア民兵たちが石油の利権をめぐって縄張り争いを始めており、地元市民をずいぶんと苦しめているようだ。今回の手入れがうまくいったのも、そんな無法者と戦う決心をした地元シーア市民の協力があったからである。

住民はアンバー地域ではじまった、スンニ部族がアルカエダに立ち向かってアメリカ軍と一緒に地道にアルカエダを追い詰め始めた傾向をみならっている。

以前ならばアメリカ軍とテロリストの戦闘の末、テロリストが50人から殺され、アメリカ人に2人の戦死者が出るなどという場合でも、「アメリカ兵二人戦死!バグダッドで激戦」というような見出しで、あたかもアメリカ軍が激戦の末大敗したとでもいいたげな始まり方をしていたものだ。それが、イラク各地で地元市民がアルカエダにしろシーア民兵にしろ反乱分子にアメリカ軍と協力して立ち向かっているという話が報道されるようになったというのはすばらしい変化と言える。

このメディアの姿勢の変化が国民の世論を変えるまでにはまだまだ時間はかかる。だが、その兆候はもう少しながら見え始めている。ハリスポールという世論調査ではイラク戦争支持率はわずかではあるが増えているとある。以下ワシントンタイムス参照

イラク戦況はアメリカ軍にとって良くなっていると答えた人の数は3月の13%から8月の20%そして現在の25%と確実に上昇している。

アメリカ軍にとって悪くなっていると答えたひとも数も一月の55%から三月の51%そして現在の32%とかなり減少した。

この傾向が続けば、来年の選挙の時までにはアメリカ市民の意見は再びイラク戦争支持になっているかもしれない。そしてイラク戦争を成功させたとしてブッシュ大統領及び共和党への支持率も上がるかもしれない。なんにしてもアメリカ市民が真実を見極められるようになってきたというのは良いことである。


October 20, 2007, 現時間 2:32 PM | コメント (3) | トラックバック (0)

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October 18, 2007

トルコ政府、イラクへの越境攻撃を承認

イラク関係 , 中東問題 , 対テロ戦争

先日からアメリカの下院議会で話題になっているオトマン帝国時代のアルメニア人大量殺害について、現在のトルコ共和国に責任を負わせようという話が、だんだんとトルコ政府の姿勢を厳しいものにさせている。

まず、トルコ政府はアメリカ駐留のトルコ大使を一時帰国させた。

【ワシントン=山本秀也】アルメニア人虐殺(1915年)をめぐる米下院のトルコ非難決議案問題で、トルコ政府は11日、「対応協議」を理由に米国駐在のセンソイ大使を一時本国に召還した。決議案に対する実質的な不快感の表明とみられる。米国家安全保障会議(NSC)のジョンドロー報道官は、「強固な関係維持のため早期の任務復帰を望む」として、トルコ政府の反発に困惑の色をにじませた。

AP通信などによると、大使の召還期間は当面、1週間から10日程度と説明されている。トルコ非難決議案が下院外交委員会(ラントス委員長)を通過したことで、トルコ政府は11日、「長年築かれた戦略的友好関係を困難に陥れる無責任な対応」とする声明を発表していた。

決議案に対して、ジョンドロー報道官は「米国の安保権益を激しく損なう結果を招く」と批判。決議案をめぐるトルコの対米姿勢硬化が、隣接するイラクをにらむ米国の安保権益に打撃を与える懸念をもとに、下院本会議での決議案採択の回避を求めるブッシュ政権の姿勢を重ねて表明した。11日の米メディアは、トルコ国内での反米デモの模様を繰り返し報じるなど、安保権益を軸とした米国とトルコの関係後退に強い関心を示している。

昨日もお話したように、下院議員の間では、この決議案は思ったより弊害が大きいと考える議員が増えてきたようだ。それというのも、日本政府の愚痴っぽいいいわけじみた抗議とは違って、トルコ政府の抗議には断固たる中身があるからで、トルコ政府の行動次第ではアメリカはやっと希望が見えてきたイラク戦争に多いに悪影響を与えるからである。このトルコ軍によるイラク越境攻撃などがそのいい例だ。(下記2007年10月18日産経新聞より

【ワシントン=山本秀也】トルコ軍のイラク北部クルド人居住地域への越境攻撃が同国議会の承認を得たことについて、ブッシュ米大統領は17日、ホワイトハウスで記者会見し、「イラク領内への部隊派遣がトルコの権益だとは考えていない」と懸念を表明、イラク政府を加えてトルコ政府と対話を継続する方針を示した。また、イラク情勢の混乱に備え、大統領は同日、イラク駐留多国籍軍のペトレイアス司令官らと対応を協議した。

トルコ軍の動静について、大統領は「すでに部隊がイラク領内にいる」と述べ、偵察や先遣部隊に続く「大兵力の部隊越境」を支持しない立場を示した。イラク領内を拠点とする非合法武装組織、クルド労働者党(PKK)のテロ活動については「イラク政府もトルコ側の懸念をよく理解している」として、対話による事態打開に期待を示した。

 米側がトルコとの対話を求めるなかで、改めて大きな障害となるのが、米下院外交委員会を通過したアルメニア人虐殺をめぐるオスマン帝国非難決議案だ。決議案へのトルコ国内の反発が、同国議会の越境攻撃承認を後押ししたかたちだけに、ブッシュ大統領は、下院本会議での決議採択を「やってはならない」と強く牽制(けんせい)した。

 決議案には、与党共和党のほか、マーサ下院議員ら民主党の有力議員からも、本会議採決に反対する声が高まっていた。

アメリカもパキスタンへ逃げ込むアルカエダを追いかけてパキスタンへの越境攻撃を行っている以上、もしもイラクのテロリストがトルコへ越境攻撃しているのであれば、それをトルコが応戦するのを止める権利はない。自分はいいが他人はだめというのはあまりにもダブルスタンダードすぎる。だが、トルコがイラクを攻めてきたりすれば、またまたイラクの状態が複雑になってしまう。トルコにそれをさせないためにはアメリカ側がトルコの安全を保障しなければならない。イラク軍とアメリカ軍が協力してイラク在住のテロリストがトルコへ攻め入らないよう徹底的な取り締まりをする必要がある。

しかしそのためにトルコの理解を得るにしても、今回のような議案が採決されてしまえば、交渉は先ず無理だろう。今後トルコとは正常な国交を結ぶことは不可能となる。実はこの議案の発案者は民主党のアダム・シフといい、カカシも地元なのでよく知っている議員だ。なにせこのあたりはアルメニア人が多いため、トルコという言葉は禁句。なんとトルココーヒーですら「アルメニアンコーヒー」と言われているほど。中身は全然変わらないのだが、、、

とにかく、地元の投票者のご機嫌伺いをしたい気持ちはわかるが、ここはアメリカ、アルメニアではない。アルメニアの議会がトルコに責任追及をするというなら話はまだわかる。(それでも筋違いだとは思うが)だがアメリカのカリフォルニアとトルコとどういう関係があるというのだ?

地元主義で外交を全く考えない議員はこれだから困る。

October 18, 2007, 現時間 9:23 PM | コメント (1) | トラックバック (0)

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イラクからのいいニュース、アップデート

イラク関係

きょうのパワーラインより、イラクからいいニュース。バグダッド北西部にあたる93平方キロメーター、人口百万人以上の地域を含む報告。

    5月から比べてなんと暴力沙汰は85%減少。95地区の58までが安全地帯と考えられ、残る33地域も掃蕩中。
    殺人事件はピーク時の一週間161人という去年の数から比べ、今や週に5人という激減振り。
    路肩改良爆弾や小型銃による攻撃も週50件のピーク時から8月末現在で、週に5件以下という数に減っている。
    自動車爆弾の数も85%の減少。
警備にあたっているアメリカ軍はイラク軍戦闘旅団10隊と、イラク国立警察旅団2隊と組んで行動している。

無論このようないいニュースは主流メディアに言わせると報道の価値はないそうだ。

October 18, 2007, 現時間 8:59 PM | コメント (3) | トラックバック (0)

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October 16, 2007

優柔不断な弁護士たち、拉致された米兵を見殺しにする

アメリカ内政 , イラク関係

先日私は陸軍や海兵隊員が戦場で戦闘するにつけ、いちいち兵士らの行為が戦争犯罪の規約に触れないかどうか煩く調査がされているという話をしたばかりだが、今度は今年の五月にアルカエダに拉致された米兵士の捜索に軍が裁判所から容疑者の盗聴許可が下りるまで何と10時間も捜索が立ち往生し、貴重な手がかりをみすみす見逃す結果になっていた事実が明らかになった。(ミッシェル・モルキン紹介のニューヨークポストの記事参照)

これは2007年5月17日、ニューヨークはクイーンズ出身のアレックス・ジメネズ兵がパトロール用の出張基地に侵入したアルカエダによって拉致された事件で、この攻撃によって4人の兵士が殺され、3人が拉致された。捜索活動はすぐに実施されたが、容疑者への盗聴の合法性を巡って弁護士達が9時間38分にわたって会議をするあいだ、捜索は完全に中断されてしまった。誘拐を捜査する専門家なら誰でもいうことだが、犯人のめどをつけるためには誘拐直後が非常に大事なときであり、時間がたてばたつほど、犯人が人質を移動させたり、犯人が人質を別の組織に手渡すなどして、手がかりが途絶えてしまうのが常である。そんな大事なときに10時間近くも「この非常時をどう扱うか」という会議をしていたというのである。非常時だと解っているならくだらない会議など後回しにしろ!人の命に関わることなのだということが、こいつらにはわからなかったのだろうか?

読者の皆様もブッシュ大統領が令状のない盗聴を秘密裏に行っていたというニュースはおききになったことがあるだろう。ブッシュ大統領はことテロリストに関しては、複数の携帯電話であっという間に連絡を取り合うこの情報時代に、ひとつひとつの電話機への盗聴など裁判所からいちいち令状を待っていられない状況がいくらも発生すると判断していた。それはまさしく今回のような事件を防ぐことが目的だったのである。こうした令状を出す権限のあるFISA裁判所はイラク人同士の携帯電話による会話でも、そのサテライト提携がアメリカのものである以上、アメリカ国内の法律が適用されると判断したというのだからあきれてしまう。

数週間後拉致された1人の遺体がユーファラテス川のほとりで発見された。アルカエダはジメネズ兵と他の一人を処刑したと発表した。

「こんなひどいことってありません。もしすぐに捜索活動にでていれば、手がかりを発見し、息子を見つけられたかもしれないのに」とジメネズ兵の母親のマリアさん。「私は神に問い続けています。いったい私の息子の身に何がおきたのかと。」マリアさんは特に不満を隠せない。「私は彼らが出来る限りのことをしてくれていると思っていたのに。」「すべて法律に従えというのがこの国のやり方ですよ。彼らは法律を破りたくなかった。それは解ります。でもそれなら法律を変えるべきです。あの間にどれだけの情報が集められたか神のみぞ知るです。」

信じられないような事件ではあるが、こういう話はなにもこれが最初ではない。数年前にフィリピンでも民間人のグループがアルカエダ系の武装集団に拉致されるという事件があった。そのグループには元陸軍特別部隊の民間人が護衛についていた。地元にいたアメリカ陸軍特別部隊のメンバーは事件直後すぐに出動する用意ができていたにもかかわらず、ラムスフェルド防衛長官並びにブッシュ大統領は、単なるアドバイザーとして駐留していることになっているアメリカ軍がフィリピン軍を差し置いて軍事活動をすることはいかがなものであるかという気遣いから、捜査活動が開始されたのはなんと丸一日後だったという。捜索に出たアメリカ軍はガードマンの遺体を発見。彼は逃げようと思えば逃げられただろうに最後までひとりで戦ったと思われる。人質は何ヶ月も拘束された後に開放されたが、一部の人質は殺されていた。

どうして人の命がかかわり、一刻の猶予も許されないときに、令状がどうの、面子がどうのという話になるのだ?とにかく救出をしてから後でなんとでも言い訳をすればいいではないか。正しいことをしていても裁判沙汰になるきょうび、軍隊が神経質になる気持ちはわかる。だが、アメリカの法律がアメリカ軍が任務を遂行するのを阻止しているというなら、マリアさんのいうようにこのような法律は変えられなければならない。

ところで、令状なしの盗聴はすべきではないといって大声を上げて騒いでいるのは無論米民主党と左翼メディアであるということを一応記しておこう。

October 16, 2007, 現時間 6:42 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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October 15, 2007

シーア市民が目覚めるとき

イラク関係

読者の皆さん、二週間にわたりリアルタイムのネットアクセスが不能だったため、しばらくカカシとミスター苺のアラスカンクルーズの旅行記にお付き合いをいただきました。また写真のアップロードが済み次第、アラスカの美しい景色をご披露したいと思います。

さて、ではアクセス復帰第一弾はイラクの話。

以前にもスンニ市民がアルカエダの暴虐に耐え切れず、アルカエダを見放してアメリカ軍及びイラク軍に協力を求め始めたという話はここでも何度もしてきたが、今回は同じようなことがシーア派市民の間でも起きているという話をミスター苺がしているので、今日はそれを紹介しよう。

驚くことにこの「シーアの目覚め」はなんと反米メディアのニューヨークタイムスが報道している。

バグダッド各地のシーア居住区で市民はマフディ軍を見放し始めている。マフディ軍といえば一時はスンニ武装集団から唯一市民を護ってくれる組織と考えられていたが、最近では信念もなく町を荒らしまくる、単なるならず者の集団と化している。

このバグダッドのシーア市民の気持ちの変化は長くマフディ軍相手に苦戦してきたアメリカ軍にとって良い機会である。最近アメリカ軍は戦闘作戦において、地元のリーダーたちを頼りにするようになってきているからだ。

あの悪名高きニューヨークタイムスとは思えないほどこの記事は非常に均衡のとれた公平な報道となっている。

バグダッドの西と東の四つの地区から10人のシーア人をあつめて行ったインタビューでは、シーア民兵は新しく収入を得るためにシーア市民を敵に回したやり方が説明されている。

今日町をのさばるシーア民兵は2004年、モクタダ・アル・サドル師をしたってシーア独立を目指してアメリカ軍と衝突したマフディ軍の面影はない。 当時は近所の人々が料理用ガスや他の必需品を供給したことにより、戦士の数は倍増していた。

三年たった今、メンバーの多くは暴力的な過去を後にして地元政府の職についたりする傍ら、一部の者達は犯罪に走り、車を盗んだり死亡したり避難した両派の人々の家々を乗っ取ったりしている。

メンバーの年齢層も変わり、今では家族にも見放された10代の若者がほとんどであり、これがアメリカ軍の成功につながっている。去年の秋、アメリカ軍はシーア民兵への取り締まりを厳しくし、リーダーを何人も逮捕し、(マフディ軍は)目的をもたない下級のメンバーを残すのみとなった。

「いまは若いもんだけで、宗教も自制もありません。」というのはアバスさん40歳。シーア派市民でバグダッド南部のアミーンにおいて車の部品の卸業をしている。アバスさんの22歳の従兄弟のラティブさんはこの春、マフディ民兵を侮辱してメンバーから口を撃たれた。

「みんなやつらを嫌ってます」とアバスさん。「人々は奴らがみんなの前から消えて欲しいと望んでいます。」

イランの飼い豚サドルは、イラクでシーア派に暴力行為をしている人間は、その行為そのものがマフディ軍のメンバーとしての資格はないと言い訳をしている。 市民に暴力を振るえばマフディではないなどという都合のいい言い訳をして、責任逃れをしようとしても、イラク市民には通用しないだろう。なんにしても、サドルがイランからイラクへ戻ってくるときが来たとしても、サドルが戻るマフディ軍のメンバーがサドルを指導者として受け入れるという保障はまったくないばかりか、多分サドルがもどってくるような組織はイラクには残っていないことだろう。

ここでミスター苺は大予言をする!「イラク反乱分子は誰が考えるよりも早く崩壊するだろう。」と。イラクのアルカエダはもう虫の息だし、シーアのマフディやバーダーの民兵も駄目となれば、いったい誰が残っているのか?

無論イラク国内の内乱を望む、イランや外国人テロリストによる援助は無視できない。しかしイラクは宗派主義の国ではなく、部族主義の国である。だから、シーアだというだけでイラクのシーア派はイランに単純に同調はしない。 イラクでシーアにとって非常に大事なアルアスキリ聖廟がアルカエダに爆破されたときですら、お互いに殺しあいを続けはしたが、影の政府を設立するとか、軍隊が真っ二つに割れるといったような本当の意味での内乱は起きなかった。

イラク市民は内乱を起こすどころか、スンニとシーアの両方の過激派反乱分子を拒絶した。自称「救世主」を頼りにせずにイラク人は自分たちの手でイラクを立て直そうとしている。そのような場所ではどちらの反乱分子も長期にわたって敗戦を戦い続けることは出来ない。

ミスター苺は来年の11月の選挙の時までには、スンニにしろシーアにしろ反乱分子はほぼ鎮圧されているだろうと予測する。2006年の中間選挙ではイラクが負けていると思われたため、共和党も大敗すると予測されていたが、共和党の損害は民主党が望んだほど大きくはなかった。多くの市民が「とにかくまだ様子を見よう」という姿勢をとっていたからだ。

ここ最近の状況を観察してみると、アメリカ軍はどうやらイラク戦争に勝ちそうである。無論だからといって、アメリカ市民が共和党に投票するという保障はない。だが、この戦争は共和党の失態だと民主党は投票者に言い続けてきたので、この戦争が成功したら、ある程度共和党への認識は高まる可能性はある。

ここでニューヨークタイムスの記事を引用して締めくくらせてもらおう。

ビジネスマンのアリさんは、マフディ軍は将来ずっと小規模なものになるだろうと語った。人々は(マフディの)リーダーたちを信用していないという。「彼らの中に信念というものがまったくなくなってしまったからです。」

米民主党にも耳の痛い言葉なのではないだろうか?

October 15, 2007, 現時間 11:35 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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October 12, 2007

マーサ米下院議員よ、海兵隊員侮辱を釈明せよ!

アメリカ内政 , イラク関係 , 対テロ戦争 , 狂ったメディア , 防衛

米下院議員のジョン・マーサ氏は法廷において、ハディーサ事件で議員がまだ調査も行われていなかった時点で米海兵隊員たちがイラク市民を虐殺したとメディアに発表したことについて、釈明しなければならない可能性が高まっている。

それというのも、ハディーサ事件の容疑者として逮捕され、最近になって証拠不十分で起訴取り消しになった海兵隊曹長Marine Sgt. Frank Wuterich氏がマーサ議員を名誉毀損で訴えたからである。

マーサ議員が当時どのような発言をしていたか、2006年の6月にカカシが書いたハディーサ事件:それぞれの思惑
を振り返ってみよう。

****米軍の捜査経過の詳細を研究したとして民主党の下院で反ブッシュのマーサ議員があちこちのテレビ局で海兵隊員が一般市民を虐殺した証拠があると発表した。下記はABCがおこなったマーサ議員のインタビューの記事を訳したもの。(翻訳:妹之山商店街さん)

マーサ議員:IEDが爆発したんです...毎日外に出る度にIEDが爆発するんです...ですから毎回プレッシャーが高まっていく訳です。この場合はIEDが爆発し、海兵隊員一人が死亡。そこにタクシーがやって来て、中には四、五人が乗っていました。武装していなかったのですが、この人達を射殺しました。その後、民家を襲撃して人々が殺害したんです。女性の一人は、海兵隊の人から話を聞いた所、子供をかばって命を助けてくれと懇願したにも関わらず射殺したということです。更に気になるのはイラクの人達はこのことを知っていたということなんです。家族に補償金を支払ったからです。それに加え、隠蔽工作が行われたんです。間違いありません。最初この人達はIEDで死亡したと言ったんです。翌日調査の為に要員が派遣されました。ところがそれについて何の報告も行われず、三月になってタイム誌がこれを伝える時誰も何が起こったのかを知らなかったのです...

質問:写真や画像証拠があるとのことですが、本当ですか

マーサ議員:その通りです。捜査を担当した人とイラク側の証拠を入手しました。何が起こったかについては、疑いようがないんです。問題は、誰が、何故、隠蔽工作をしたかということなんです。何故明らかになるのに半年も掛かったんでしょうか翌日調査を行い、ニ、三日後にはこの人達が殺害されたことが分かっていたんです。

まだ米軍による調査がすんでもいないのに、何が起きたかは間違いないとか、隠ぺいが行われたとか適当なことを良く言えたものだと思う。問題なのはマーサ議員があらゆるニュース番組にはしご出演してこのような発言をしていた時、マーサ議員はまだ軍当局から捜査結果の報告を受けていなかったということだ。マーサ議員はタイムスの記事を書いたイラク記者の報道をそのまま鵜呑みにして事実確認もせずに米海兵隊を有罪と決めつけ軍当局が隠ぺいしたと言い切っているのである。******

無論、その語の捜査で、ハディーサ事件は海兵隊員が戦闘規約に従って正しく行動していたことが明らかになり、ウーテリック曹長ならびに他の容疑者の審査過程で、ハディーサにおいて犯罪は起きていなかった。この事件の容疑は最初から最後まで捏造だったという結論が出ているのである。

しかしマーサ議員は下院のなかでも有力な政治家であり、現職の議員は裁判で証言する義務を免除されるという法律があるため、それを使って証言を避けるのではないかという見方もある。だが、もしもマーサ議員がその特権を使って証言を避ければ、かえって証言をした場合よりもマーサ議員のみならず、民主党にも悪い結果になるのではないかという意見もある。

民主党はブッシュ大統領を忌み嫌うばかりに、ブッシュに都合の悪いことならアメリカにとって悪い結果になるような行為でも積極的にやってきた。特にアメリカ軍隊への攻撃にはひどいものがある。アメリカ市民は戦争に反対している人たちでも反軍隊とは限らない。南部の民主党支持者は戦争自体には反対でも家族に軍人がいたり、今現在イラクやアフガニスタンに出動している人も少なくない。そうしたアメリカ社会でことあるごとにアメリカ軍隊を侮辱する民主党のやり方は一般のアメリカ市民からかなり反感を買っているのである。

そんな中で、自分も元海兵隊員という肩書きをことアルごとにひけらかしているジャック・マーサ議員は証拠もないのに無実の海兵隊員の名誉を汚し、その発言を法廷で釈明せよとの法廷命令を議員の特権を使って拒否するとなったなら、国民は民主党のことをどう考えるだろうか?

ジョン・ケリーは「勉強しないとイラクへ行く羽目になる」といってアメリカ軍人を馬鹿にする失言をしたばっかりに大統領立候補から降りなければならないという失態を起こした。一般のアメリカ人はアメリカ軍を馬鹿にする政治家を許さない。このことに関して他の民主党員がどう反応を示すかによっては、アメリカ市民はついに民主党の本性を見ることになるかもしれない。

少なくとも共和党の大統領候補諸君には今後の選挙運動で、どんどんこの件を話題にして、民主党はアメリカ軍の敵だと投票者に印象付けさせて欲しいものだ。


October 12, 2007, 現時間 6:02 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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October 3, 2007

イラク戦争、戦死者の数はここ14か月で最低に減る!

イラク関係

イラクにおけるアメリカ軍兵の戦死者が減っているとAFPが報道している。

2007年9月のアメリカ軍戦死者の数は70名と、去年の7月の月平均で最低の数となったとペンタゴンは発表している。この数値はここ4か月に渡る連続減少であり、今年で一番高かった5月の121人、6月の93人、7月の82人、8月の79人、と減る傾向が見えている。

「明らかにこの傾向は正しい方向へ向かってます。」とアメリカ軍報道官のマーク・フォックス少将はバグダッドの記者会見で語った。

「増派は文句抜きでより多くの場所に同時に多くの勢力が行動できることが可能となり、アルカエダや過激派から温床や聖域を拒絶することができるようになりました。」

これまでで戦死者の数が一番多かったのは2004年の11月の137人で、米軍の率いる連合軍がファルージャを攻撃した月であるが、死者137人のうち何と126人までもが戦闘で戦死した。次に多かったのはイラク戦争が激化し始めた2004年の4月の135人だった。

一般に増派と呼ばれているが、実際にはCOINと呼ばれるべき現在のアメリカ軍の対反乱軍作戦は、その成功の尺度は民間人と味方軍の犠牲者の数がどのように減少するかにかかっている。COINの成功を一般の正規軍同士の戦争のようには解釈出来ない理由は、テロリストやゲリラは正規軍のような戦い方をしないからだ。特にイスラム教反乱分子は影の政府を設立するでもなく、地元市民に取り入っていわゆるハートアンドマインド(心と魂)を勝ち取ろうという努力すらしない。彼らがすることといったらやたらめったらに市街地へ攻め入り、不特定多数の市民を殺しまくるだけだ。

テロリストは主に市民を攻撃するが、時々味方軍を攻撃する時でもパトロール中を待ち伏せするやり方を好む。面と向かっての突撃では勝ち目は無いからである。これはアフガニスタンのタリバンがNATO軍に正面からの攻撃をしては大惨敗をとげていることがよく物語っている。であるからテロリストが生き残るためには小さくてもいいから連続的な「勝利」を必要とする。なぜなら勝たなければ地元市民からの援助も新しいメンバーの勧誘も今のメンバーの士気を保つこともうまくいかなくなるからである。だからテロリストが勢力を保つためにはなんとしても目立った大量殺人を続けなければならないのである。

テロリストと戦っている側がテロリストによる勝利を阻止すればするほど市民やCOIN軍の犠牲は減る。これが続くと次の二つのことが起きると、最近専門書を読んだミスター苺は説明する。

  • 一部の市民は反乱分子への支持を考え直し始め、次第に積極的な援助をしなくなる。そして対反乱分子軍のほうに協力し始める。
  • 反乱分子そのものもだんだんと恐怖と飽きもあって、地元市民に紛れ込んだりそれが不可能な場合には外国へ逃げたりする。(イランに逃げ帰った白豚サドルがいい例である。)

というわけだから、イラクで市民や味方軍の犠牲者の数が減っているのは、COIN作戦が成功している証拠なのだ。なぜならこの作戦がうまくいっていれば当初の激しい戦争で味方軍の戦死者が一旦増えた後は、どんどん減るというのが予測されていたからである。

iCasualtiesによるとイラク市民の死者数 は9月で746人、2006年2月から最低の数。なんと今年の2月から比べてイラク市民の死者数は75%も減っているのだ!

ミスター苺がこの傾向をグラフにしてくれているので、下記を参照いただきたい。このグラフには8月14日のヤズィーズ爆破は含まれていない。それはあの爆破はCOIN作戦の行われていない僻地での出来事だったからである。緑が連合軍、赤が全体。



Iraq insurgency killings 2007

このグラフを見れば犠牲者減少の傾向は明らかである。まさにCOIN作戦は計画通りの大成功を遂げているのだ! つまり、今後なにか特別な変化でもない限り、イラク戦争はアメリカ軍にとってもイラク民主主義にとっても文句無く勝利は約束されたのである。無論まだまだ戦闘は続くし、今後の後片付けにも連合軍にもイラク市民にも犠牲は出るだろう。だが、もう結果は決まったのだ。我々の勝利は間違いない。

October 3, 2007, 現時間 5:05 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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September 28, 2007

イラク世論調査:大多数が増派はうまくいってないと返答

イラク関係 , 狂ったメディア

私がよく行く掲示板でイラクからの悪いニュースを専門に書いてるひとが、またまたこんな記事を紹介してくれた。これはイラクの世論調査でイラク人の大半が米軍の増派作戦は失敗していると感じているという内容である。

約70%のイラク人が増派が始まって以来治安は悪化したと答えた、として始まるこの記事は最近イラク人2000人を対象に、イギリスのBBC, アメリカのABCNews, そして日本のNHKが共同でスポンサーとなって行ったものだが、さらにこの調査では60%のイラク人がアメリカ軍への攻撃は正当だと答えたとしている。これはスンニ派では93%、シーア派でも50%がそう答えたと言う。

それでこの記事を紹介した人は、もしアメリカ軍や従軍記者が言うように、スンニ派の部族がアルカエダに嫌気がさして米軍と協力して戦っているなどということが真実だとしたら、このような世論調査の答えはおかしいではないかと問いかける。無論彼は反イラク戦争派なので、従軍記者たちは米軍からの検閲にあって、自由に記事が書けないと結論付けているのだが。

しかし反米君の疑問にも一理ある。もし90%ものイラクスンニ派が米軍への攻撃を正当だと感じているなら、何故米軍に協力などするのか?反対に、もし米軍や従軍記者が言うように多くのスンニ派部族が積極的に米軍に協力しているというのが本当なら、どうして90%ものスンニ派が米軍への攻撃を正当だなどと答えたりするのだろうか?

一口に世論調査などといっても中東で行われる調査は日本やアメリカのような先進国で行われる調査のようなものだと考えるのは大きな間違いである。独裁政権の下で長年生き延びてきた市民は政府や体制に対する不信感が強い。誰かに意見を聞かれても、その質問に答えることで自分の生活がどのように影響を受けるのかを先ず考えねばならない。このような社会では世論調査の質問に正直に答えなければならないという感覚はまったくない。

冷戦時代にソ連で一般市民にマイクを向けてアメリカの取材班が取材をおこなっていたところ、取材の記者とたあいない世間話に応じただけの商人が記者が立ち去った後にKGBらしき男から詰問されていた映像をみたことがある。

また、先日CNNヨーロッパの放送を見ていてアフガニスタンで取材をした女性がこんなことを言っていた。彼女はタリバン時代から何度もアフガニスタンに足を運びアフガニスタンの女性の生活についてリポートを続けているが、最近の訪問で一般市民にインタビューをしようとしたら、ある女性から「あんたの質問に答えて私に何の得になるというの?」と聞かれて言葉を失ったと言う。

他にも市民が質問者が自分らの生活を悪化させるなり向上させるなりの力のある人だと感じれば、質問者が聞きたいことを答えるということも大いにありうる。一度私は中華の惣菜店で「この料理には卵は使われているか?」と聞いたことがある。これは私が卵を避けていたからなのだが、最初中国人の店員は「卵、欲しい?入ってるいるよ」と調子よく答えた。ところが「それなら私はいらない」言うと「おー、入ってないあるよ。大丈夫。」と答えを変えたのである。この店員にしてみれば、料理に卵が入っているかどうかという事実よりもどう言えば客が品物を買ってくれるかという考えが先行していたのだ。

欧米のメディアがイラクで世論調査をするといっても、彼らが直接イラクへ行って人々に質問をするわけではない。アラブ語の話せるエージェンシーに調査を依頼するのだ。もしもこのエージェンシーが雇った質問者がスンニ派でテロリストと強いつながりがあると地元市民が知っているか、疑っているかした場合には、市民は何と答えるだろうか?シーア派にしたところで、地元の反米権力者と関係があるらしい人が質問をしたら、親米な答えなど正直に言うだろうか?

これについて、ミスター苺はこんなことをいっている。

イラクでの世論調査はあてにならない。イラク人や他のアラブ人たちが世論調査をどう理解しているのか我々にはわからないからだ。彼らは増派が失敗したと言えば地域にもっと多くの軍隊を送ってもらえると考えたかもしれない。もし増派は成功したと答えたらアメリカ軍はすぐに撤退してしまうのではないかと恐れたのかもしれない。

また我々には実際の質問がどういうものだったのか知らされていない。COINのような新作戦がうまくいっているかどうかは、客観的に確認できる事実で判断されるべきであり、人々の意見で一喜一憂すべきではない。

我々は自由社会に住み好き勝手なことを好きなときに言えるので、つい他の社会の人々も同じだと思い勝ちである。だが、実際は中東社会は他の社会とはまったく違うのである。それを我々の物差しで計ろうとするのは非常に危険である。

September 28, 2007, 現時間 6:10 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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September 23, 2007

イラク戦争:2005年に現在の増派作戦を起用出来なかった訳

イラク関係 , 対テロ戦争

イラク戦争総司令官のペトラエウス将軍による対反乱分子作戦、いわゆるCOIN、は成功を収めつつある。こうなってくると自然と「どうして最初からこの作戦をとりいれなかったのか」という疑問が生まれる。アメリカの政治評論家は口をそろえて「2005年の段階でこの作戦を起用すべきだった」という。しかし私は今の時期よりも早い時期にこの作戦を起用しても成功しなかっただろうと思うようになった。つまり、ペトラエウス将軍の前任であるケーシー将軍やアビゼイド将軍のやり方は間違っていなかったと思うようになったのだ。

4~5日前の午後、帰宅途中のラジオでヒュー・ヒューイットがラマディで駐在していたマイケル・トットンのリポート(Michael Totton) を読んでいるのを聴いた。このリポートの内容は非常に楽観的だった。それはラマディのスンニ市民たちはここ数年間にわたるアルカエダによる虐待によってひどい生活を強いられていた。彼らの状況は切羽詰っており、もう忍耐も限界に来ていた。それで今年の初めにアメリカ軍がアメリカ軍及びイラク軍と共にアルカエダと戦おうと提案をもちかけたときには、彼らはすでに心の用意ができていた。いやそれどころか積極的に連合軍への協力に熱意を示した。

地元スンニ部族の協力のおかげで、アメリカ・イラク連合軍はアルカエダをラマディから追い出し、戦闘で破壊され地獄のようになっていた町を生まれ変わらせたのである。無論エデンの園とまではいかないが、それでも地元民もパトロールするアメリカ兵や記者などが防弾チョッキを着るのを忘れてしまうほど平和な町へと変わったのだ。実は私はファルージャからも全く同じ話をきいたし、悪名高いバグダッドのハイファ通りからも似たような話をきいた。こうしたいいニュースはここでもいくつか紹介してきたとおりである。

この三つの別々の記事はペトラエウス将軍のCOINアドバイザーであるデイブ・キルカレン中佐(Lt.Col. Dave Kilcullen)が小さな戦争日記 という題で書いている日記の「アンバーの目覚め」("Anbar awakening")の内容と一致している。キルカレン中佐は部族のリーダーたちはもう限界まで追い詰められついに耐え切れずに元味方に反旗をひるがえしたと書いている。

つまり、それがスンニ派にしろシーア派にしろ共通している点は、反政府武装集団による暴虐に嫌気がさして、もうこれ以上耐えられないというぎりぎりのところまで追い詰められているということだ。しかしここで注目しなければならないのは、このぎりぎりの限界は過激派の暴虐を誰かから話を聞いて納得したとかいうものではなく、自分たちで散々体験したことからくるものだということだ。

COIN作戦のなかでも特に大切な要素は地元市民の協力である。これなくして対反乱分子作戦は絶対に成功しない。アンバルにしろ、ディヤラにしろ、バグダッド地域のスンニ派にしろ、地元市民は味方連合軍の目となり耳となって働かなくてはならない。地元民の大半が反乱勢力に同情しているうちはこれは絶対に無理だ。

2005年当時、スンニもシーアもアメリカ人を全く信用していなかった。彼らはアメリカはスンニかシーアのどちらかについて、傀儡政権を通じてイラクを支配するつもりに違いないと考えていた。そうでなければ、途中で飽きて形だけの勝利宣言をして撤退してしまうものと信じていた。彼らにとって我々は占領軍なのであり支配者であり、彼らは我々が彼らの石油と女を盗みにきたものと本気で信じていたのである。

これはまだアルカエダがタリバン式の厳格で理不尽な法律を市民に強制する前のことであり、アルカエダのリーダーたちが娘たちを犯し、息子たちを八つ裂きにする以前の出来事だった。つまり、一般のイラク人たちはまだテロリストとの共存は可能であると信じていた時期だったのだ。

そんななかで、いったい我々はどうやって地元市民の信用を得て共に反乱分子と戦うことができたのだろうか?

我々が単にテロリストは悪であるといってみたところで、イラク市民が信じたとは思えない。 イラク市民がアルカエダの悪に気がつくには自分たちで彼らの悪を体験しなければならなかったのだと私は考える。 そのような体験をしてテロリストは自分らの友ではない、いやテロリストこそが自分たちの敵なのであり、侵略者なのでありアメリカではないのだと自分たちで納得する必要があったのだ。

イラク市民はまたアメリカ人は逆境に強いということを知る必要があった。彼らがアメリカ人は信頼できる、長くかかっても最後まで頑張る信頼できる人間だと知る必要があった。イラク市民は反米の偏見を乗り越えてアメリカを信頼する必要があったのである。そのためにこの6年間は必要だったのだと私は思う。

私は当初ラムスフェルド国防長官の「小さな足跡」作戦を支持していた。 多くの人々が今となってはこれは失敗だったと考えている。私もしばらくはそう考えていた。しかし今は、私はこの作戦は間違いでも失敗でもなかったと考える。イラク市民はアルカエダやシーア民兵がどれだけ独裁主義の悪であるかを自ら学ぶ必要があったのである。

もしも多くの政治評論家たちが言うようにCOINを2005年や2006年に実施していたとしたら、これは完全に失敗していただろう。軍事論説者のエドワード・ルットワクによると、地域が戦争をやりたがっているうちは平和を押し付けることは出来ないという。双方が散々戦って、戦いに疲れてはじめて平和交渉が始められるのだ。これと同じ理論で、反乱分子に協力していた市民の大半がシャリア党の独裁政権下で生きることの恐ろしさを体験してみなければ人々にはこれがどれほど恐ろしいことかわからなかっただろう。

であるから意図的にしろ偶発的にしろ我々は直接な危害が加えられない限りシャリアが拡大するのを黙認してきた。シャリアの影響が大きくなればなるほど人々の不満も積もってくるということは誰でも安易に予測できそうなものだが、我々の多くがそれを予測できなかった。

このような個人的な体験がなければ、「アンバルの目覚め」など不可能だっただろう。であるから「どうして最初からこの作戦をとりいれなかったのか」という質問の答えは、それは完全に失敗しただろうからだ。2005年当時にこの作戦を実施していれば、イラク人とアメリカ人の間でお互い不信感を強めただけでおわっていただろう。

今になって多くのひとが自分は最初から支持していたと主張するこの作戦を本当に実施していたならば、大失敗に終わり、今頃はCOINは全く効果がないと判断されていたに違いない。だから私は一見遠回りをしたように見えるが、実は今の時期にやったからこそCOIN作戦は成果を挙げているのだと確信する。

COIN関連記事
ペトラエウス将軍議会公聴会の反響

September 23, 2007, 現時間 1:31 AM | コメント (1) | トラックバック (0)

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September 21, 2007

日本へ出張

イラク関係 , 日常の出来事

今日はちょっとお知らせ。

明日から日本へ二週間ほど出張する。その間のネットアクセスは宿泊するホテルによるのでどうなることやら。なにしろ合計4つのホテルを点々をすることになっているからよくわからない。

うちの会社は私が行く予定の地域で会社の予算にあうホテルが全く見つからないといって予約の手続きなど全くしてくれない。それでカカシは自分で検索したら、結構予算以内のホテルは存在することが分かった。ただし、英語検索で見つかるホテルは交通の便は空港の近くとか主流な駅の近くとかが多いがその分割高のところが多く、ローカル線をちょっと乗ればいけるところにある「なんたら旅館」などは絶対に見つからない。これでは会社の旅行課が探せなかったのも無理はないのかもしれない。

それにしても、外国への出張だというのに地元の役員が迎えにきてくれるわけでもなく、支店への道順も教えてくれないこの不親切者。空港からバスで一時間以上もある支店なのにどのバスに乗れとも教えてくれないのだからひどいものだ。日本語が分かる私でも不安なのに、一足先に行った日本語の分からない同僚は、なんとか一人でたどり着いたというのだから感心する。世の中には結構度胸のある人がいるものだ。 支店への道順を教えてくれと支店にメールを打ったら、この彼女がむかえにきてくれるという。まったく支店の日本人は何をやっとんのじゃ?

それではもう遅いので今夜はこのへんで。明日以降のエントリーは不規則になると思うが、なるべく書くようにするのでご了承いただきたい。

September 21, 2007, 現時間 2:21 AM | コメント (4) | トラックバック (0)

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September 16, 2007

ペトラエウス将軍議会公聴会の反響、 シアトルより

アメリカ内政 , イラク関係 , 日常の出来事 , 東洋危機

ここ数日間、ネットアクセスが無かったためあらかじめ予定しておいた時事とまったく関係のないエントリーばかりだったので読者の皆様もちょっと失望されたのではないかと思う。特に今日のエントリーはまったく場違いになってしまった。(笑) その間に待望のペトラエウス将軍の議会での報告があったり、イスラエルによるシリア空爆があったり、安倍首相の電撃辞任宣言があったりと、きょうび10日以上もネットアクセスがないとこうもニュースサイクルに遅れをとってしまうものなのだろうかと、改めて感じている。

実はカカシはシアトルからアラスカ及びカナダの船旅を終えて、今朝シアトルの港に戻ってきたところ。
船の中で見られるテレビ局はCNNのヨーロッパ版だけで、しかも新聞はニューヨークタイムスのみ!これではいったい何が起きているのかさっぱりわからない。

ペトラエウス将軍の議会報告

9月11日に待望のペトラエウス将軍の米議会報告質疑応答があった。ペトラエウス将軍の報告の内容についてはまた改めて分析したいと思うが、イラク情勢は向上しつつある、暴力は減っている、来年の夏ごろには兵を一部撤退することもできる、といった報告に対して、反戦派の民主党議員の間からは「この嘘つき!」「裏切り者!」とでもいわんばかりの反応が出ている。特に大統領に立候補しているヒラリー・クリントンなどはペトラエウス将軍の報告は「意図的に不信感を棚上げにしなければ信じられない」などと遠回しに将軍及びアメリカ軍は嘘つきであると軍全体を侮辱した。

2002年にイラク戦争が国民から強く支持を得ていた時はイラク戦争はアメリカの安全のために必要だと演説をぶったヒラリーだが、民主党支持者の間で戦争が不人気になってくると自分の戦争支持の立場を弁護しきれなくなり、最近は左翼の圧力に負けてアメリカ軍は即撤退すべきだと言い始めた。ブッシュ大統領のイラク方針を変えるという目的で新しくペトラエウス将軍がイラク戦争の指揮官に任命された時は積極的に支持しておきながら、ペトラエウス将軍の名前をもじって「ベトレイアス(我々を裏切るという意味)」と呼んでいる極左翼の市民団体ムーブオンを批判するどころか一緒になって将軍を嘘つき呼ばわりするヒラリー。無論リベラル偏向丸出しの主流メディアはそんなヒラリーを批判などしない。

だが誰もヒラリーを批判していないかというとそうではない。数日前にニューヨークタイムスは極左翼市民団体ムーブオンによるペトラエウス将軍の中傷誹謗の一ページ広告を掲載したが、この時の広告料が普段より三分の一という格安値段だったことが判明して問題になった。そこで共和党から大統領に立候補しているジュリアーニ元ニューヨーク市長は、自分にもムーブオンと同じ値段で戦争賛成広告を掲載させよと要求。そうしなければニューヨークタイムスを言論弾圧で訴えるとまで脅迫して見事ジュリアーニ候補は、極左翼のムーブオンやヒラリー及び民主党議員たちは共謀してペトラエウス将軍の栄誉ある名前を汚していると批判する広告を出した。そのうえジュリアーニ氏は特にヒラリーに向けて謝罪を要求するビデオまで発表した。これまでメディアからも選挙の競争相手からも厳しい質問を一切されないで女王様のように特別扱いを受けてきたヒラリーだが、大統領選挙はそう甘くない。

さて、ペトラエウス将軍の議会公聴会とあわせて、9月15日ワシントンではアンサーという共産主義看板団体が反戦デモ行進を主催した。無論それに対抗して戦争支持者たちも多く集まった。保守派政治評論家のミッシェル・モルキンが現地からその様子を報告している。

反戦派の様子は主流メディアは報道するが、対抗している戦争支持者の様子は取り上げられない。ま、今更驚きはしないが。途中双方で小競り合いがあり反戦派189人が逮捕された。

ところで反戦デモは2003年当初から三万人程度の参加者しか集められないで要るが、回を重ねるごとにその数は減っており、戦争支持者の数は反比例して増えている。支持者側の数は反対派よりは劣るが、それでも今年の3月の時といい、今回といい、完全無視はできない数になっている。現場にいたミッシェルによれば、反対派の参加者はせいぜい一万人程度。ABCのリポートでも「何千人」という書き方なので、この数はだいたい正確だろうと思われる。

さて将軍の報告に関してアメリカ市民の反応はどうかといえば、ラスムソンの世論調査によれば、ペトラエウス将軍の作戦を支持するという市民の方が支持しないを43:38で上回っている。

September 16, 2007, 現時間 10:03 PM | コメント (1) | トラックバック (0)

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September 11, 2007

なぜ戦を学ぶのか? その3

イラク関係 , 防衛

さて今日はビクター・デイビス・ハンソン教授の、なぜ戦を学ぶのか、の最終回。今日の話題は軍事技術と戦法の発展について、、

軍事技術は進歩しても人のおつむは変わらない

軍事技術の進歩はすさまじい今日、新兵器や世界中にあっという間に伝達される情報などを考えると、戦争の仕方は昔と全く違うものになったと思い勝ちである。しかし軍事歴史はたとえ3万フィートの上空からGPS爆弾を使って一人の人間を殺すことが出来たとしても、ネットでジハーディストが世界中に一度にプロパガンダを流すことができたとしても、それが必ずしも戦争における勝者と敗者を決める決め手となるとは限らないとハンソン教授はいう。

改良路肩爆弾対装甲ハンビーは、射出機(大石を敵陣に打ち込んだ古代の武器)対石の壁や火縄銃対鎧をきた騎士の現代版に過ぎないのだ。長い戦争の歴史では防衛にしろ攻撃にしろ武器が一定の技術でとまっているということはない。かわらないのは単に一時的にどちらかが有利になるといったことだけなのだ。

ということは、どれだけ新しい武器が発明されようとも、人間のおつむが変化しない限り、戦争の性質そのもはかわることはない。1991年の湾岸戦争では最新型のコンピューター起動の武器が使われた。しかしどれだけの最新兵器も戦争にたいする政治目的がはっきりしていなかったことから戦争は決定的な集結を得ることができなかった。 時として戦争の終わりに、なぜかアメリカは軍人も政治家もフセインを敗者として扱わなかった。アメリカはフセインが石油でもうけた金で平和を乱すようなことがないような対策を全くとらなかった。だから敗者であるはずのフセインがアメリカおよび連合軍の見てる前でクルド人を虐殺し、航空禁止区間で再び戦い、そして三度目の正直でフセイン政権を倒さねばならなくなったのである。

軍事歴史は異常事態や矛盾に満ちている。スパルタがペロポネシア戦争でアティカを侵略した最初の春、スパルタ軍はアテネ人は数カ月で降参すると考えていた。しかしアテネ人は降参しなかった。ところが疫病が流行り、スパルタ侵略よりも多くのアテネ人が死亡してしまった。 27年後、強靭は海軍で知られていたアテネはおざなりな海軍しか持っていなかったスパルタに海戦で負けてしまった。 2003年、何万という犠牲が出るだろうと予想されたフセイン政権崩壊にはほとんど犠牲者を出さないままあっけなく終わってしまった。ところがその後比較的スムーズにいくだろうと思われていたイラク復興は思いの他手間どっている。

軍隊の大きさも戦場での成功は保証できない。サラミス、イソス、メキシコシティ、そしてレパントの勝者たちは皆、数の勝る敵を相手にして勝った。また戦争における一番残虐な殺しあいは得てして戦争終焉を目の前にして起きる。同盟軍の1918年の一斉攻撃、1945年春のロシアによるベルリンへの攻勢、バルジの戦い、広島、などすべて終戦直前に起きている。そして民主主義社会の指導者たちは戦争中に国民の不信任を得て辞任を余儀なくされる場合が多々ある。ウィンストン・チャーチル、ハリー・トルーマン、リチャード・ニクソンなどがそのいい例だ。

勝ち戦には父親が何人もいるが、負け戦は孤児だ

アフガニスタン戦争で、イギリスもソ連も勝てなかったアフガニスタンの遊牧民軍団であるタリバンをアメリカ軍が比較的少数の軍隊で数週間で崩壊させた時は、アメリカ市民は皆一丸となってブッシュ大統領を支持した。2003年初期、イラク戦争が始まる直前には多くのアメリカ市民が戦争を今か今かと待ち遠しく待ったものだ。エリートといわれたのフセインの衛兵軍によって何万というアメリカ兵が殺されると思っていた戦闘は、たった数週間でわずか500名の戦死者を出しただけでフセイン政権はあっというまに倒れてしまった。この時のブッシュ大統領の支持率は90%近かった。

ところが、2003年の後半から2004年にかけて戦況が厳しくなると、こちらの犠牲者の数はそれほど多くなっているわけでもないのに、戦争への支持は急激に減り、戦場から次から次へと悪いニュースばかりが入ってくる2006年になるとブッシュ大統領の支持率は40%以下となってしまった。

しかしハンソン教授にいわせると、これは戦争ではごく普通に起きる現象だという。軍事歴史では市民は勝ち戦は支持するが、戦争に負けてきたという印象をもったら即座に支持を撤回してしまうなどということは非常に多く見られるという。戦争の道徳的な動機や、勇敢な軍隊や、誇り高い犠牲などは市民の戦争への支持を保つことはできない。「市民の支持がすべてだ、、、それがあれば何も失敗しない。だがそれがなければ何も成功しない」と言ったのは偉大なるエブラハム・リンカーン。ゲティスバーグで大勝利を得た北側は支持の落ちかけていたリンカーンの人気をあげたが、その年の後の方で数回に渡って味方軍を大量に失った。コールドハーバーの戦闘ではなんと20分で7000人の北側兵士が戦死した。こうなってくるとリンカーンの政策には全く変化がなかったにも関わらず市民はリンカーンを憎んだ。

ジョージ・S・パットン将軍はかつて「アメリカは勝者は愛するが、敗者は許さない」と語ったが、今も全くそれは変わっていない。

戦争の歴史から何を学ぶべきか?

戦争の歴史が我々に教えてくれるものは、過去の英雄たちが道徳的な目的をもって現在の我々の自由と安全のために払ってくれた犠牲の尊さだ。もし我々がシャイロ、ベルーウッド、タラワ、そしてチョースンのことを何も知らなかったら、軍事墓地に並ぶこれらの十字架は鮮やかな緑の芝生を飾る美しい石でしかない。

現代のアメリカ人が自由にiPodsを聴けるのも、デパートで安心して買い物ができるのも、すべて過去の何千という過去の犠牲と苦労があってのことだ、とハンソン教授は強調する。だがそれと同時に過去の英雄たちは現代の市民にも将来の子孫のために必要とあらば同じように犠牲を払うことを期待していた。アメリカ合衆国は戦争によって生まれた国であり、戦争によって統一された国であり、戦争によって破壊から救われた。未来の市民がどれほど豊かで優雅な生活をしようとも、この恐ろしい歴史の記憶を失ってはならない。

さて、それではどうすれば、現代人は過去の軍事歴史をきちんと学ぶようになるのだろうか?ハンソン教授はこれは教育界だけの問題ではなく、問題はもっと深いところにあるという。現代人は軍事歴史の価値を過小評価することで戦争そのもの価値を見落としているのだと。

ハンソン教授はどれだけ国が豊かになろうとも教養が高まろうとも善良な市民が増えようとも、それだけで人間の根本的な性質が変わって紛争の起きる社会が過去のものになるというわけではないという。過去の戦を学ぶことによって我々は神のように何の落ち度も無い存在になどなれないことを知るのであり、世の中には常に平和よりも戦争を好む人間がいるということを知るのだ。しかしそれと同時に過去にもそして現在にも道徳的な理由によってそうした悪いやつを阻止しようとする英雄が存在するのもまた変えられない事実なのだ。

September 11, 2007, 現時間 10:04 AM | コメント (8) | トラックバック (0)

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September 9, 2007

なぜ戦を学ぶのか?  その1

イラク関係 , 対テロ戦争 , 教育と政治 , 防衛

今月からネットアクセス不能になる日が度々あるので、例によって興味深い話題をいくつか特集してみたいと思う。

今回は歴史学者のビクター・デイビス・ハンソン(Victor Davis Hanson)教授の「なぜ戦を学ぶのか?」(Why Study War?)という論文を数回に分けて紹介しながら私の意見なども混ぜて皆様と一緒に考えてみたい。

戦争の歴史に興味がない歴史学者たち

ハンソン教授はアメリカの大学生にテット攻勢(注1)はアメリカ軍の大勝利だったなどという話をすると、激しい反論にあうのではなく、皆ポカーンとした顔をしていると言う。「テット攻勢?何それ?」てなもんである。またつい最近に公開された「300」という映画の元となったテルモピュライの戦いになってくると、この300人の話など聞いたことがないだけでなく、ペルシャ戦争そのものに関してすら全く知識がない人がいかに多いかを知ってがっかりしたと書いている。

ま、テット攻勢は当たり前だが、カカシはスパルタの軍隊やペルシャ戦争については多少の知識はあったとはいうものの、正直な話テルモピュライの戦いについてはスティーブン・プレスフィールドの炎の門を読むまではほとんど何も知らなかった。

しかしハンソン教授はアメリカの教育システムを考えれば、一般のアメリカ市民が軍事的な知識に欠ているのも無理のない話だという。

私が大学院に通っていた30年前ですらも、どうして一方が勝ち他方が負けるのか、長官や愚かな指揮官、技術の停滞や発展、そして教育や勇気や国民の意志や文化といったものが戦争の勝ち負けにどういう影響をもたらすのかといったことを調べる学問であると一般的に理解されている軍事歴史というものはすでに大学では時代遅れとみなされていた。今日の大学ではこの主題はもっと人気がない。

この状態は非常に嘆かわしいことである。民主主義社会の市民は戦争知識を持つことが必要だ。特にこの大量破壊兵器の時代ではなおさらである。

教授はもともと軍事歴史の専門家ではなく、スタンフォード大学で博士号を取る主題に古代ギリシャにおいてペロポネシア戦争中にスパルタ軍が行ったアテネ攻撃のもたらした農業への悪影響を選んだのがきっかけだったという。

しかし農業と戦争が古代ギリシャの特徴であるにも関わらず、大学側の態度は冷たかった。古代ギリシャの哲学者や作家や政治家に興味のある歴史家はもうほとんどいなかった。19世紀に書かれたスパルタ兵の構成やギリシャ兵法などの古代戦争に関する数々の歴史書など誰も読んでいない。『まるでアメリカの大学は歴史そのものの始まりが古代ギリシャの歴史家であるHerodotus と Thucydidesが書いた戦記だったということを忘れてしまったかのようだった。』と教授は語る。

どうしてアメリカのアカデミックは戦争に対する興味を失ってしまったのであろうか?この背景には何があるのだろうか? まず明かな理由はベトナム戦争だ。カーター大統領の時代のアメリカではベトナム戦争は最初からやるべきではない戦争でアメリカの大敗に終わった二度と繰り返してはならない悲劇だったという考えが一般的だ。 本来ならば、どうしてこのような戦争が始まったのか、どうして負けたのかということを研究すべきなのだが、教育界の姿勢はそういう不愉快な歴史は最初から勉強すべきではないというものだったのだ。

二つの世界大戦後に発明された核兵器も軍事歴史への興味を失わせた原因のひとつだ。ボタン一つで世界が滅びるような時代に過去の軍事歴史など学んでもあまり役に立ちそうもないという議論が平気でされた。

また1960年代に生まれた理想的で非現実的な世界観の影響も忘れてはならない。これは戦争が起きるのはお互いの誤解から生じるものであり、片方の恐怖やプライド物欲によって始まるとか、ましてや単に世の中には意味もなく戦争をはじめる悪いやつがいて、善人が何もしないことで戦争は激化するなどといった考えは人間性を理解していない証拠だという世界観である。

現在の教育界における軍事歴史への無関心はもっとひどい。今や軍事歴史を専門に研究したり教えたりしている教授の数は数えるほどしかいない。2004年に退役軍人から教授となったウィスコンシン大学のエドワード・コフマン教授によれば、同大学で歴史を教えている1000人の教授のうち軍事歴史を専門にしていたのはたった21人だったという。さらに戦争を専門にしている学者は同僚から疑いの目でみられているという。

歴史を教える立場の大学がこれでは学生がきちんとした歴史を学べるはずがない。日本の若い人たちの第二次世界大戦に関する知識を考えると、日本の大学も多分同じようなものなのだろう。戦前の日本が民主主義だったなどと平気で言う人が多いのも明治維新から始まった日本の軍国主義の歴史を全く知らないことからくるものだ。日本はヨーロッパ諸国の帝国主義が弱まってきた頃、自分達も帝国主義に遅蒔きながら参加しようと富国強兵に励んだ。日本の近代歴史は軍国主義の台頭を無視しては語れないはずなのである。

にも関わらず、民主主義で平和に暮らしていた日本にアメリカが突然攻めてきたとでもいうようなことを言い出す日本の若者をみると、日本もアメリカも軍事歴史を正しく教える必要性を切に感じる。

注1:テット攻勢とは (1968年、1月30日 - 1969年6月8日)ベトナム戦争中におきた連続攻撃作戦のことで、南ベトナム解放戦線(ベトコン)の強力な数部隊と北ベトナム軍(PAVN)の部隊が南ベトナム軍とアメリカ軍に対して計画的一斉に行った攻撃だった。(略)攻勢は旧正月の祝いのなかで輝かしくはじまり、1969年の6月まであちこちで分散的に続いた。

September 9, 2007, 現時間 9:30 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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September 7, 2007

報道されるほど悲観的でないイラク報告書の中身

イラク関係 , 狂ったメディア

本日一斉に各新聞の紙面を飾っているこのニュース。記事だけ読んでいるとイラク軍の能力はまだまだ一人前にはほど遠いという印象を受ける。下記は朝日新聞の記事より抜粋。

イラクの軍や警察を中心とする「治安部隊」(ISF)の練度や能力を調べていた米国の独立評価委員会(委員長・ジョーンズ元海兵隊総司令官)の報告書の概要が5日、明らかになった。CNNが6日の公表を前に報じたもので、ISFは今後1年から1年半たっても、米軍など外国の軍隊の助けを借りずに国防や治安維持などの任務を全うすることはできないとしている。警察を管轄する内務省は「機能不全と宗派間対立に陥っている」として、国家警察はいったん解散してゼロから出直した方が良いと提言をしている。

しかし実際の報告書は報道されているほど悲観的な内容なのだろうか。そうではないと主張するのはウィークリースタンダードで書いているフレッド・ケーガン(Fred Kagan)である。

報告書はリポーターが願うような内容でないことがよくある。 国家情報評価(the National Intelligence Estimate)にしろ政府監査基準(Government Accountability Office)の報告書にしろ、最初に漏えいされた報道は実際よりもずっと暗く描かれていた。特にNIEの報告書は実際の内容よりもずっと暗く報道された。今回のジョーンズ元海兵隊総司令官によるイラク治安部隊に関する報告書ではこの傾向はもっと強い。

むろん朝日新聞は単にアメリカのニューヨークタイムスやワシントンポストの記事を焼き直しして掲載しているに過ぎないので、自然とその報道の仕方は悲観的な内容となるわけだ。ではいったい実際にこの報告書の内容とはどんなんものなのだろうか。ケーガンの分析を元に重要な点を箇条書きにしてみよう。

  • 軍隊と警察からなるイラク治安部隊の上達はまちまちである。しかしイラク国内の警備を提供する能力と準備性の上達はさらに向上するものと期待される。
  • 戦闘援助や後方支援能力の欠如は深刻であるが、新イラク軍、特に陸軍は国内防衛の成功につながる基礎的なインフラを開発している明かな証拠をみることが出来る。
  • 一般的にイラク陸軍と特別部隊は対反乱分子および対テロリスト作戦に熟練しつつあり、その数も強度もましている。イラク軍独自で常により大きな責任を負うようになってきている。イラク特別部隊はイラク軍隊のなかでも最も優れた部署であり、個人としてもチームとしても技術を熟練している
  • イラク軍は十分なやる気と人材をもっており確実に基礎訓練能力を上達させている。また対反乱分子作戦に適切な装備もされている。イラク兵士が一部の種族意識をのぞけばイラク人として外敵と戦う意志が育ちつつある。陸軍は宗派間の影響が各位に及ばないよう努力しおり、これは多少の効果を見せている。陸軍の任務の効果力は増しているが、指揮統制、武器、空爆援助、兵站、諜報、運搬などの点でまだ米軍の援助に頼っている点が多い。非常な上達を遂げたとはいえ、イラク警備群が独り立ちできるまでにはまだ12か月から18か月はかかるであろう。しかしながら、委員会の判断ではその間に価値のある進歩を遂げられるものと信じる。
  • イラク警備軍による「掃蕩、保持、建設」作戦の起用は順調だが、まだ独自でこのような作戦を遂行させることはできていない。
  • イラク軍は2007年初期にはじまった対反乱分子作戦において、同盟軍の援軍として効果的な役割を果たした。イラク軍の信頼度は増しており、隊によっては同盟軍にとってなくてはならない存在となっている。全体的な上達度はばらついており、隊によってより優れているものもあれば、劣っているものもある。しかしながらイラク軍全体で自信度は高まっている。この先12か月から18か月の間にはじょじょにもっと重要な指揮がとれる役割を果たせるようになるだろう。

ジョーンズ将軍はイラク特別部隊の技能を非常に高く買っているようだ。特にアメリカ軍特有の下士官の位にあたる将校らの活躍は目立つとある。全体的にイラク軍に欠けているものは諜報や空爆援助、偵察といったものだが、これはイラク軍に空軍がない以上仕方ないといえる。

全体的にみて、イラク軍は2005年から2006年の合同作戦の頃に比べてものすごい上達を見せているということだ。

さて、陸軍の評価はかなり高いジョーンズ将軍だが、警察になってくるとこれはどうも問題らしい。連合軍暫定当局責任者のポール・ブレマー氏が、2003年当初イラク軍を解散した時は非常な批判を浴びたが、解散して一からはじめたイラク軍はいまや委員会も高く評価するほど質の高い効果的な警備組織となっているが、フセイン時代の人員をそのまま引き継いだ警察はシーア派民兵などがコネをつかって多く入り込み、いまだに問題の多い組織である。

  • 地元民を警察官にリクルートする方針は比較的うまくいっているようだ。対反乱分子作戦には地元とのつながりが非常に大切である。イラク警察の訓練は良くなっている。特にイラク人指導員と外国人の民間警察アドバイザーが協力している場合は良い。
  • 暴力はイラクでは日常的になっているが、スンニ居住区では暴力が減っているのに反してディヤラ、バラード、アマーラ地域の暴力は増えている。新作戦が始まって以来バグダッドにおける宗派間攻撃は減っており、日々の殺人も減っている。シーア民兵がしばらく身を潜めているせいもあるが、バグダッド内における警備の向上も見られる。
  • イラク警備軍の一番の弱点は個々のイラク軍や警備隊が独自に地元の治安を保てないことにある。イラク軍はかなりの上達を見せたとはいえ、まだまだ同盟軍の援助なくしては作戦を遂行できない。しかし同時にジョーンズ将軍の報告ではアメリカ軍の新作戦は確かな効果を見せているとある。このおかげでイラクの政治家たちにはちょっとした息を付く余裕ができた。
  • このまま連合軍が大事な援助や訓練を数年にわたってほどこせば、イラクの警備隊は十分にイラクを内外から守れる勢力になるだろう。しかし反対にその援助をしないままアメリカ軍が撤退すればイラク政府は必要な政治的な解決方法を見いだせなくなるだろう。

こうして見てみると、イラク軍の技術は非常な上達を見せており、警察は問題とはいえ地元レベルの勧誘や訓練は以前よりはずっと良くなっているという結論だ。ただ国レベルの中央警察はかなりひどいらしい。ジョーンズ将軍が解散して最初からやり直すべきだろうといっているのはこっちのほうだ。

つまりこの報告書の結論は、イラク軍隊が凄まじい上達を見せており、中でも特別部隊の活躍はすばらしい。地元警察も勧誘や訓練ではこれまでよりも良くなっている。ただ重要な空爆援助、諜報、兵站などの面で、まだまだ連合軍に頼らなければならない面が多く、あと一年から一年半はその援助を必要とするだろう、というものだ。

朝日新聞の最初の報道のような悲観的な内容では決してない報告書であった。

September 7, 2007, 現時間 2:15 PM | コメント (1) | トラックバック (0)

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September 6, 2007

人気テレビキャスターも同意。イラク新作戦の成功に焦る左翼

イラク関係 , 狂ったメディア

ニューヨーク代表、民主党のチャック・シューマー上院議員は本日、「イラクで暴力行為が減っているのは増派のおかげではなく、増派にも関わらず減っているのだ。」と金切り声をあげ、地元の部族がアルカエダなどのテロリストに立ち向かっているのは米軍が不能で役立たずだからだと断言した。

しかし、イラクを訪問もせずワシントンで自分勝手なことを繰り返しているシューマー議員の意見とは裏腹に、イラクを訪問中の人気女性ニュースキャスターであるCBSのケイティ・クーリックが「イラクは良くなっている」と報道したものだから、反戦派の左翼たちは大慌てである。

CBSといえば、かなり左よりのテレビネットワークで、先のニュースキャスターのダン・ラザーなどはブッシュを陥れたいがためにブッシュの兵役記録に関する偽書類を発表して大恥をかいた過去があるほど反ブッシュのテレビ局である。ラザーの後を継いで大手ネットワークのニュースキャスターとしては初女性キャスターとして抜てきされたケイティ・クーリックも、およそ保守派とはいえない。それで彼女のイラク訪問予定が発表された時も、保守派の間からは視聴率をあげるためのただのパフォーマンスに過ぎないとか、安全なところで兵士と記念撮影した後でイラクは全く良くなっていないと報道するに違いないなどと、行く前からさんざん叩かれていた。それだけに、彼女の「イラクは良くなっている」というリポートの衝撃は大きい。

本当に驚きました。東バグダッドへいった後、私はハイファ近くのアラウィ市場(いちば)へ連れていかれました。ここは今年の一月に血みどろの銃撃戦があった場所です。それなのにこの市場は大にぎわいなのです。たくさんの人出なのです。家族経営のお店や野菜の屋台などがたくさん出ているのです。

ですから私は普通の生活の徴候をみたのです。もちろん私が見たのは米軍がみせたいと思ったところだけなのだということは念頭に入れておく必要があります。しかしそれでもこの地域が良くなっていることは確かだと私は思います。

もともと戦争に賛成している議員や、元兵士の従軍記者などがどれほどイラクの状況は良くなっていると報告してみても、主流メディアが毎日のようにイラクでのテロ事件や泥沼状態やアメリカ兵の悪行などをデカデカと報道しているうちは一般アメリカ市民のイラク観を変えることは難かしい。であるから一般市民がイラク戦争を支持するためには、戦場において主流メディアですらも無視できないほどの成功が必要なのだと以前から言われていた。

そしてその時が遂に来たのだとカカシは確信する。

イラクを訪問した反戦派の民主党議員や調査団体や主流メディアのジャーナリストたちが、口を揃えてイラクは良くなっていると報告していることを、アメリカ軍は見せたいところだけを見せているだけで、これらの人々は米軍のやらせ劇にだまされているのだと左翼ブログのThink Progressは書いている。

確かに米軍が招待して米軍が案内をしている戦場であるから、危険な場所へなど視察団をつれていくはずはない。だが、以前に危険だった悪名高いハイファ通りが視察団を連れて行かれるほど安全になったという事実はいくらThink Progressでも否定できないはずだ。

さて、これに対して、イラクはそれほど良くなっていないという報告書を最近提出したのは議会期間のGAOである。それによるとイラク情勢は18項目のうちたったの3項目した達成していないとある。

ワシントン(CNN) 米議会の調査機関、会計検査院(GAO)は4日、イラク戦費法に盛り込まれた同国の目標達成基準について、独自の評価をまとめた報告書を発表した。18項目の基準のうち、「達成した」と評価されたのは3項目で、「部分的に達成」が4項目だった。

報告書によると、達成された項目は(1)少数派政党の権利保護(2)首都バグダッド近郊に合同治安拠点を設置(3)バグダッド治安計画を支援する委員会を設置——の3件。一方で、地方自治法の施行、復興資金への100億ドル割り当てといった項目は部分的に達成されたものの、宗派間抗争の沈静化、憲法制定、石油収入の分配、選挙実施などへ向けた主要課題では、目標が達成されていないとの厳しい評価が下された。

GAOのウォーカー院長は、上院外交委員会での証言で、「イラクでは全体として、主要な法案は成立せず、激しい暴力も続いている」と指摘。米軍の増派戦略の成果についても、「宗派間抗争の沈静化という目標が果たされているかどうかは不明。敵対勢力からの攻撃回数という観点では、減少の兆しがない」と述べた。ただ、ウォーカー氏は一方で、「多国籍軍による努力や、西部アンバル州などでの治安改善」を指摘し、今後の進展に希望を残している。

はっきりいってGAOには調査委員は存在しない。GAOの代表がイランを視察に出かけたという話は聞いたことがないし、いったい何を根拠にイラク情勢を判断しているのかその調査方法も明らかにされていない。このような報告は書かれている紙切れほどの価値もないと私は考える。

それにGAOが掲げている項目は非現実的な理想であり、GAOも認めている三項目がほかの項目に比べて非常に大切なものであるという認識が全くされていない。イラクでの勝利条件とは、イラクの治安が一応安定して、イラク軍が自分達で外国勢力のテロリストや宗派間争いから一般市民を守ることができる状態だったはず。イラクがテロリストの温床とならず、比較的安定した独立国家となれば、後の細い政府の問題はイラク人が解決していくことだ。アメリカがいちいちどうのこうの口出しすることではない。

アメリカ国内ですら民主対共和で政策はまっぷたつに割れているではないか、それをイラク政府の内部で全員一致の政策がとられるまでイラク状況は成功したことにならないなどという条件をつけたら、イラクは永久に「成功」したことにならない。このように考えれば、GAOの報告がどれほど馬鹿げているかが理解できるだろう。

だが、裏を返せば、そのような重箱の隅をつつくようなことをしなければ、イラクは失敗だといえなくなっている現状があるということだ。

September 6, 2007, 現時間 4:28 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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September 3, 2007

ブッシュ大統領イラクはアンバル地区に電撃訪問

イラク関係

まずはCNNのニュースから。

バグダッド——ブッシュ米大統領は3日、予告なしにイラクを訪問した。米ホワイトハウスによると、大統領は現地で、駐留米軍司令官や米大使、イラクのマリキ首相、部族指導者らと会談する予定だ。

シドニーでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するブッシュ大統領は、3日の出発予定を繰り上げ、2日夜にハドリー補佐官らとともに専用機に搭乗。空路、バグダッド西方アンバル州の基地に到着した。訪問の計画は、警護上の理由から極秘にされていたとみられる。...

ブッシュ大統領がバグダッドではなくアンバル地区を訪問したのには理由がある。ここは対反乱分子作戦が一番激しく行われた場所で、その効果も一番あがっているとされる場所である。それを強調するという意味で、ブッシュ大統領自らが訪問するというのは非常に意義のあることだ。また、ここはスンニ派の居住区であるから、マリキ首相は嫌が応でもスンニ地区を通ってブッシュに会いにこなければならない。これもまたマリキ首相を文字どおりスンニに歩み寄らせるというシンボルとなる。

September 3, 2007, 現時間 12:42 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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September 1, 2007

サドル、シーア民兵を統制できず停戦を宣言

イラク関係 , イランが危ない

先日シーアの巡礼の列でシーア派のマフディと警察が衝突して52人の死者を出し300人以上が負傷する事件が起きたばかりだが、その翌日マフディの指導者サドルが停戦を宣言した。(下記は2007年08月30日付け朝日新聞の記事より)

 イラクのイスラム教シーア派指導者ムクタダ・サドル師は29日、自派の民兵組織マフディ軍の活動を6カ月停止すると発表した。サドル師が同軍を統制できなくなっていることが理由とみられる。サドル師の側近は、あらゆる武装闘争を停止するとし、米軍への攻撃も禁じたという。

 マフディ軍はイラク戦争後に反米強硬派のサドル師を中心に創設された。軍の全容は明らかになっていないが、兵力は数千人に及ぶとされる。米国は、イラク政府高官の誘拐や殺害事件、爆弾テロなどを首謀しているとし、「和平達成のための最大の障害」と指摘してきた。

 サドル師は活動停止の理由を「組織再編のため」としているが、過激化する同軍をサドル師自身も抑えられなくなったことに危機感を抱き、組織の立て直しをはかることが目的のようだ。

 マフディ軍の幹部の一人は、朝日新聞の取材に対し、同軍の複数の幹部がサドル師の指揮系統をはずれ、独自にイランの情報機関と接触し、援助を受けていることを明らかにした。また、イラク政府が同軍の排除に本腰を入れ始めたことなどから「しばらく、おとなしくしていた方がいい」という判断が働いた結果と話す。

はっきり言ってサドルにはすでにイラク国内での勢力などそれほど残っていない。サドルは依然としてイランに潜伏したきりだ。ビル・ロジオによると、サドル派と呼ばれるグループにも数種類あるようだ。

マフディ忠誠者:これらはモクタダ・アルサドル個人に忠誠を誓っている従者たち。イランから援助を受けている。

イラン直属マフディ軍:これらが多国籍軍の言う「ならずもの」マフディ軍。サドルが統制力を失ったのをいいことにイランのクォズ(Qods)が直接コントロールするようになった。武器、訓練、作戦の指導などすべてイランから受け取っており、時としてイランのクォズに率いられてイラク国内の攻撃をすることがある。いってみればイラク版ヒズボラといったところである。

犯罪者分子: 彼等はただの犯罪者でマフディ軍の隠れ蓑を着て犯罪をおかす。サドルには彼等を統制する力はないが、仲間の数の足しになるので黙認している。

マフディ国粋主義者: 彼等は国粋主義者で反イラン勢力である。マフディ軍に忠実なのはサドルの父親への尊敬心からくるものだ。国粋主義者の一部「誉れ高いマフディ軍」と呼ばれるグループはイラク政府と連合軍に協力することに合意している。

シーア同盟:彼等はアルカエダやスンニ反乱分子の暴力を恐れてマフディに味方してきたグループ。やくざに所場代をはらってほかのやくざから守ってもらっているといった程度の仲間。

サドルの命令を聞いてアメリカ軍やイラク軍に攻撃をしなくなるのは、まずマフディ忠誠者の連中くらいだろう。残りの連中はこれまで通り好き勝手なことをするに違いない。犯罪者はまとまりがないし組織力もないからこれまで通りの取り締まりでいいだろうし、国粋主義者やシーア同盟は彼等の身の安全を保証してやれば、イラク政府やアメリカ軍に協力してくれるようになるだろう。

問題なのはイラン直属の「ならずものマフディ軍」である。彼等はただのチンピラではない。組織力もあり精巧な武器を所持し高度な訓練も受けている。イラン特別部隊の隊員が司令官として作戦に加わることもあるのでこれは正規軍の特別部隊と戦うくらいの危険性がある。

ただ、サドルが停戦を呼びかけている以上、イラク軍やアメリカ軍に攻撃を仕掛けてくるのは正規のシーア民兵ではないという扱いをすることができるため、一般のシーア市民からの協力が期待できるかもしれない。イラク政府はこの連中がイランの手先であるという事実をイラク国民に訴え、イランに国を乗っ取られたくなかったらイラク軍とアメリカ軍に協力して戦おうと呼びかけるべきだろう。

サドルが停戦を呼びかけたということは、すでにマフディの人気がイラク国内でもかなり落ちている証拠だろう。

September 1, 2007, 現時間 10:14 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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August 30, 2007

反戦派のパニック! 増える民主党のイラク米軍駐留支持

アメリカ内政 , イラク関係 , 狂ったメディア

この間から始まったイラク戦争支持者による大型広告運動だが、パワーラインによるとどうやら全国ネットのNBC局とそのケーブルの子会社MSNBCは戦争支持広告を報道しない方針を明らかにしたようだ。反戦広告はいくらでも報道しているくせに、いつものことながらダブルスタンダードはひどいものだ。それにしても最近の主流メディアは自分らが中立だという振りすらしなくなってきた。

さて、これとは反対に米民主党と深いつながりのある過激派左翼市民団体ムーブオンは民主党のブライアン・ベアード下院議員に対する攻撃広告を開始した。ベアード議員は最初からイラク戦争には反対しており、最近のイラク戦争の増派作戦にも反対していた議員である。そういう人をどうしてムーブオンが攻撃するのかというと、その理由は先日イラク状況の視察旅行からかえってきた時にベアード議員が発表した声明にある。

先日紹介したミネソタの民主党上院議員のキース・エリソン氏もそうだが、ベアード議員もイラク新作戦はうまくいっており駐留はこのまま継続すべきであるという意見を発表したのである。実は、最近イラク視察旅行から帰ってきた政治家たちは党の共和/民主を問わず、皆口を揃えてイラクからの即撤退は好ましくないと語っている。もともと戦争に賛成な共和党議員にとってはこれは全く問題ない姿勢だが、ずっと戦争反対をいい続けてきた党にとってはこれらの民主党議員の『裏切り』は許せない行為である。

先日ベアード議員は地元の選挙区で市民相手の説明会を行ったが、ベアード議員は説明をするどころか二時間以上にわたって反戦派の市民から吊るしあげを食った。さらに過激派左翼の間からはベアード議員は辞職すべきだなどという意見さえあがっている。説明会に参加した一人の市民は「彼の信念なんかどうでもいい。議員は我々の意見を代表すべきだ」と断言した。ベアード議員自身は、いまでもイラク戦争は歴史的にまれに見る外交の失敗だと考えているが、アメリカ軍がイラクに実際にいるという事実と、新作戦が効果をあげているという事実を考えて、成功する可能性がある戦争を途中で放り出すべきではないとしている。党の方針だけに盲目的に従わず事実をもとにした自分の判断をはっきり発表したベアード議員は立派だと思う。

会場に集まった市民のなかでも目立ったのはイラク帰還兵で今は反戦活動家のジョン・ソルツ。彼は元陸軍大尉で2003年のイラクフリーダム作戦に参加している。彼はベアード議員はブッシュ政権がお膳立てしたやらせ劇にだまされていると主張。そのせいでベアード議員はブッシュ政権の隠れ蓑を提供していると批判。実はこのソルツなる人物は先に紹介した極左翼サイトのデイリーコス主催年次会で戦争支持の軍曹に大尉という位を持ち出して(軍曹よりも位が高い)ことを持ち出して意見を言わせなかった司会者その人である。

しかし、イラク戦争が良い方向に向かえば向かうほど、エリソンやベアードのような民主党議員が増えてくるだろう。そうなれば民主党の反戦の姿勢はまとまりがつかなくなる。イラクからは撤退すべきだと言っているヒラリー・クリントンですら今や軍事的勝利は可能だと認めざる終えなくなっている。戦争はうまくいっているが今すぐ撤退すべきだという理屈は全く説得力がない。

9月のペトラエウスの報告に備えて平和団体を装った共産主義看板団体のアンサーが反戦デモ行進を予定している。それに対抗しようと退役や現役の軍人たちが「鷹の集まり」という名前で対抗デモ行進を呼びかけている。3月に行われた反戦デモでは非常な寒さにも関わらず、戦争支持の鷹達が反対側の人数と対等できるほど多く参加した。今回は前回を上回る参加者を主催者は期待している。

ペトラエウスの報告まで二週間足らず。どういうことになるのだろうか、、、

August 30, 2007, 現時間 3:23 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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アメリカ撤退後のイラクを狙うイラン、アフマネナジャド大統領が発言

イラク関係 , イランが危ない

The English version of this post can be read here.

先日ブッシュ大統領はアメリカ軍のイラク中途撤退は危険だとしたが、イランのアフマネナジャド大統領がそのブッシュの議論を裏付けるような発言をした。(以下APの記事より

「占領軍の政治力は急速に弱まっている」とアフマネナジャドは記者会見でイラクのアメリカ軍について語った。「すぐにあの地域には真空状態がみられるようになるでしょう。無論その時は付近のサウジやイラク国の協力をうけ、我々がその空間を埋める用意ができています。」

ブッシュ大統領はイラクが中途撤退すればイランがイラクに侵入してイラク政権を乗っ取ってしまうだろうと何度も強調してきた。イランには精巧な武器もあり、巨大な原油資源もある。このような敵にイラクの統治権を奪われたら、これは大変なことになる。だが民主党はそんなことはあり得ないことだとその主張を拒絶してきた。そんな民主党の主張とは裏腹に、今、アフマネナジャドはイランには、うるさいアメリカ軍が去った後のイラクを乗っ取る計画が確かにあることを認めてしまったのである。民主党はこのアフマネナジャドの裏切りに首をかしげていることだろう。

アフマネナジャドのこのばか正直な告白は米民主党のバランスをくずしている。民主党は対反乱分子作戦(COIN)を「増派」と呼び、あたかも新作戦と古い作戦の違いは単に兵士を多少増やしただけであるかのようにばかにしてきたが、この作戦が効果をあげはじめると作戦の成功とその作戦を実行している軍隊の功績を認めないわけにはいかなくなった。すると今度はあたかもアメリカ軍の軍事的勝利は最初からわかっていたことかのように振る舞いはじめ、そのかわりイラク戦争の真の目的は全国レベルでイラク政治の進展があることだとさらにハードルをあげはじめた。

議会が夏休みをとっている8月とはいえ、民主党の指導者たちはうかうかと休んでなどいられない。二度も共和党の反対を押し切ってイラク政策を変えることに失敗した民主党はかなり支持率を失っている。下院民主党指導者たちは急きょ早朝会議をひらき、「アメリカ軍の新作戦がイラク治安を向上させたのは当たり前だ、問題は政治的な発展にある、それがなければアメリカ軍の血も汗も無意味となる」という新しい主張に焦点があてられた。

イラクの政治的変化は起きているが、それは民主党が要求するような国家レベルではなく、各地域の地元レベルでおきている。イラクの政治改革は上からだんだんに下の方に広がるトップダウンではなく、下からじょじょに上にあがっていくボトムアップの形で進んでいくものと思われる。

ブッシュとアメリカイラク大使はバグダッドの政治停滞について正直な見解として、ブッシュはイラク政権を交代させる必要があるかどうかはイラク人が決めることだと語った。

しかしヒラリー・ロダム・クリントンを含む民主党幹部の政治家たちは、シーアが多数はを握る政権が国家をまとめることができないことから、アルマリキは交替されるべきだと主張している。

シーア派のベテラン活動家であるアルマリキを追い出すためにはイラク議会の275票を必要とする。クルド派とマリキ支持者が団結しているかぎり、反対派は票がたりない。

これも運命のいたずらだろうか、民主党はなんとイラク市民の意図を無視してマリキ首相をやめさせよと主張するはめとなった。

しかも裏切り者アフマネナジャドは「彼等は無礼にもイラクの首相と憲法を変えよと言っている」とイランの強い味方である米民主党を責めている。「そのような変化を要求するとは、いったい何様だと思っているのだ」とアフマネナジャド。アフマネナジャドは馬鹿だ。イランにはイラクを侵略する計画などない、これはすべてブッシュ大統領の妄想だ、といってしまえば反戦派の民主党がアメリカ市民を説得してアメリカ軍中途撤退もありえるのに、イラクに攻め入る計画をこうあからさまに公言してしまっては、民主党としては立つ瀬がない。

さて、民主党はイラク新作戦成功を認めデイビッド・ペトラエウス将軍の功績をたたえながら、どうやって時間制限をしてイラク即撤退をすべきであると主張するのか、是非ともそのお手並み拝見といこう。

August 30, 2007, 現時間 1:25 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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August 27, 2007

AP:イラク死傷者の数は倍増という不誠実報道

イラク関係

今日APのイラク死者数倍増Iraq Body Count Running at Double Pace)という記事をみて、どうも変だなと思った。主流メディアの記事は見出しが非常に不誠実な場合が多いので記事は注意深く読む必要がある。

APの記録はイラク市民、政府高官、警察、警備隊のうち戦闘やスンニによる自爆テロなどの攻撃で死亡した人数を含む。またシーア派の死の団体による処刑スタイルの殺人も含まれる。

調査の結果には下記が含まれる:

  • イラクは去年にくらべて国全体で2006年の一日あたり33人から今年は62人と戦争関係での死者数は倍になっている。
  • 今年の最初の8か月で2006年全体で暴力的に殺されたイラク人の数を1000人近く上回っている。今年はすでに14,800人が戦争関係の攻撃や宗派間争いで殺されている。...
  • 民間や警察の死者の76%がバグダッドで出ていた今年の一月から、7月には52%となりほぼ去年の割合と同じになった。
  • イラク赤三日月によると避難したイラク人は今年一月447,337人から7がつ31日の100万から114万人と倍増した。

しかしペンタゴンのリチャード・シャーロック准将は2006年から比べてイラクでの攻撃数は減っていると語っているとAPにはある。これはいったいどういうことなのだろうか?

先ずイラクでの死亡者数を記録しているicasualties.orgの民間人死者の数をみてみると確かにAPの記事にある通り今年の方が去年よりは多い。だが、イラクで何が起きているのかという事変を考慮に入れずに単に暦で年度末に線をひっぱってみても、それが何を意味するのか全くわからない。ましてや現在の新作戦がうまくいっているかどうかという判断には全くつながらないのである。下記の表をみていただきたい。

イラク民間人死者数 2006〜2007年8月
2006年 死者数
1月 590
2月 688
3月 901
4月 808
5月 969
6月 738
7月 1063
8月 2733
9月 3389
10月 1315
11月 1741
12月 1629
2007年 死者数
1月 1711
2月 2864
3月 2762
4月 1521
5月 1782
6月 1148
7月 1458
8月 1313

去年の民間人の死亡者数は1月から7月にかけて1月の600人程度から1000人を超える7月までじょじょに増えていった。去年の2月にシーア派のアルアレキサー聖廟の爆破事件以来宗派間争いが激しくなっていたから、死者が増え続けたのは当然だろう。8月になると突然2733人と増えるが、8月はシーア派の巡礼の月で、9月はラマダンの月である。イスラムテロリストが祭日を狙って攻撃を増加させるのは周知のことであるからこの数字もおかしくない。ラマダンが終わった10月から今年の1月まではその数は千数百人とあまり変化はない。だが、アメリカ軍の増派があると発表のあった2月と3月にはそれぞれ2864人と2762人と急増している。これはアメリカ軍の増派に備えてアルカエダが攻撃を増加させたのが原因だ。

しかし新作戦が本格的に始まり出した4月になるとその数は1521人に減り、その後もその低レベルが続いており、今月はシリア国境の250人という犠牲者を出すテロを含めても7月の数よりも減りそうである。

またAPは、今年7月のテロ攻撃の35%が北部で起きており、去年の22%よりも増加しており、8月ではこの割合はもっと増えるだろうと指摘している。これは明らかにアメリカ・イラク軍がバグダッドで激しい掃蕩を行っていることから、テロリストが手薄な北部を狙っているのが理由だ。

イラク市民の犠牲者数から現在行われている新作戦の効果を測ろうというのであれば、新作戦が本格的に始まった今年の4月から一年間さかのぼった数字とその後の数字を比べるべきである。背景の状況を無視して去年と今年という暦上のでの比較などしてみても何の意味もなさない。

August 27, 2007, 現時間 3:15 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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August 26, 2007

ブッシュ大統領が戦前日本とアルカエダを同一視したという誤解

イラク関係 , 狂ったメディア

この間のブッシュ大統領のミズーリ州における退役軍人相手の演説について、私はちょうど日本の戦後の発展についてブッシュ大統領が語っている部分を帰宅途中のラジオで聴いていたという話は先日した通り。今日になって坂さんのところでブッシュ大統領は戦前日本をアルカエダと同一視していると朝日新聞が報道したというエントリーを読んでたまげてしまった。生放送で聞いていた私はブッシュ大統領がそんなことをいったようには全く聞こえなかったからだ。

今回の演説の主題は歴史的に過去の戦争や戦後の復興をふりかえって、どれだけ専門家といわれた人々の意見が間違っていたかというものだ。それを太平洋戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争を振り返ってブッシュ大統領は証明しようとしているのだ。そして私はそれは成功したと思う。

しかし朝日新聞の批判には反論の余地はあると思うので、ブッシュ大統領が実際なんといったのか原文を読みながら考えてみたいと思う。

先ずは朝日新聞の記事から。

ブッシュ米大統領が22日に中西部ミズーリ州カンザスシティーで行った演説は、自らのイラク政策を正当化するため、日本の戦後民主主義の成功体験を絶賛、フル活用する内容だったが、半面で戦前の日本を国際テロ組織アルカイダになぞらえ、粗雑な歴史観を露呈した。米軍撤退論が勢いを増す中でブッシュ氏の苦境を示すものでもある。

冒頭は9.11テロかと思わせて、実は日本の真珠湾攻撃の話をする、という仕掛けだ。戦前の日本をアルカイダと同列に置き、米国の勝利があって初めて日本が民主化した、という構成をとっている。大正デモクラシーを経て普通選挙が実施されていた史実は完全に無視され、戦前の日本は民主主義ではなかった、という前提。「日本人自身も民主化するとは思っていなかった」とまで語った。...

テロとの戦いにかけるブッシュ氏だが、今回の演説は日本を含めた諸外国の歴史や文化への無理解をさらした。都合の悪い事実を捨象し、米国の「理想」と「善意」を内向きにアピールするものとなっている。

確かにブッシュ大統領は戦前の日本の行為とアルカエダの行為との共通点を指摘してはいるが、戦前日本がアルカエダのようなテロリスト団体であったなどとは一言もいっていない。朝日新聞がそのようにこの演説を受け取ったのであれば、これは完全なる誤解であり、ジャーナリストとしてその英語力と理解力の不足が批判されるべきである。また大正デモクラシーにしろ、日本の議会制度にしろ、当時の日本がどう考えていたにせよ、アメリカ人が考えるような民主主義ではなかったことは確かなのであり、その見解の相違をもってして『粗雑な歴史観を露呈した』などというのは馬鹿げた解釈である。この記事について坂さんはこのように感想を述べておられる。

戦前の日本を批判することが多い朝日だが、さすがにアルカイダと同列視されることには我慢がならなかったということだろう。が、逆に言えば、ブッシュ氏のわが国の歴史に対する認識が、それだけ粗雑で無知であるということだ。

坂さんは朝日新聞の記事をもとに感想を述べておられるのでこのような解釈になっても仕方ないのだが、朝日新聞が『さすがにアルカイダと同列師されることには我慢ならなかった』というのは朝日新聞を買いかぶりすぎだと思う。朝日新聞はブッシュ大統領が歴史について無知であるということを強調したいがために、いつもは批判している日本の軍事主義を擁護するという不思議な立場に立たされただけだ。そして朝日新聞はブッシュ批判が先行してこの演説における肝心な点を見逃しているのだ。

それではここで、原文から問題の部分を抜粋してみよう。問題点を指摘する理由で段落が前後することをご了承いただきたい。

我々を攻撃した敵は自由を忌み嫌っていた。そしてアメリカや西洋諸国が自国民に害を与えていたと信じ恨みを抱いていた。敵は自らの基準を地域全体に設立するために戦った。そして時間と共に自殺攻撃に及び多大なる殺りくによって、アメリカ人が疲れて戦いをあきらめるのをねらった。

もしこの話が聞き覚えのあるものだとしたら、確かにそうです。ただひとつ。私が今説明した敵はアルカエダでもなければ911攻撃でもなく、過激派回教朝を夢見るオサマビンラデンの帝国でもありません。私が説明したのは1940年代の日本帝国の戦争マシンであり、真珠湾での奇襲攻撃であり、その帝国主義を東アジアに広めようとした行為です。

(中略)

我々が戦った極東との戦いと今日我々が戦っているテロとの戦いには多くの違いがあります。しかしひとつ重要な類似点があります。それは核心にあるイデオロジーの葛藤です。日本の軍国主義や朝鮮やベトナムの共産主義は人類のあり方への無慈悲な考えに動かされていました。彼等はそのイデオロジーを他者に強要しようとし、それを防ごうとしたアメリカ人を殺しました。今日名前や場所は変わっても、根本的な葛藤の性質は変わりません。過去の敵がそうであったように、イラクやアフガニスタンや他の場所で戦争を仕掛けているテロリストたちは、自由と寛容と反対意見を破壊する厳しい目的をもって自分らの思想を広めようとしているのです。

...この敵は危険です、この敵は決然としています、しかしこの敵もまた打ち負かされるのです。(拍手)

ブッシュ大統領が比較しているのは日本帝国とアルカエダという組織の比較ではなく、アルカエダの行為と日本軍隊の行為の類似点である。そしてまた戦前に日本が手強い敵であったのと同じようにアルカエダも手強い敵なのだと強調しているのだ。

戦闘体験のある軍人に対して輝かしい勝利を得た戦争を例にとって、アメリカは当時も手強い敵と戦って勝利をえることが出来たのだから今回の戦争にも勝てるのだとするやり方にはそれなりに効果がある。ブッシュ大統領は目の前にいる退役軍人に敬意を示しすことで、アメリカ軍全体に対する尊敬の心を表現しているのである。日本人としては負け戦だった太平洋戦争を引き合いに出されるのは気に入らないかもしれないが、ブッシュ大統領が現在の戦争への比喩として過去の勝ち戦を持ち出したからといってブッシュ大統領が戦前日本とアルカエダを同一視しているという見方は乱暴すぎる。現にブッシュ大統領は極東の戦争と今の対テロ戦争には多くの違いがあることを指摘している。

ブッシュ大統領が強調したいことは戦前の日本がどれほどひどい国だったかということではない。それよりも戦前日本がアメリカにとってどれだけ手強い相手だったか、そしてそれだけ手強い敵を相手にしながらアメリカがどのように勝利を得ることができたのかということにある。つまり、『この敵は危険である。この敵は決然としている。しかしこの敵もまた打ち負かされるのである』という点が大切なのである。

最終的にアメリカ合衆国は第二次世界大戦に勝ちました。そしてアジアではもう二つの戦争で戦いました。この会場においでの多くの退役軍人のみなさんがそれらの作戦の帰還兵です。しかしみなさんのなかで最も楽観的な人たちですら、日本がアメリカにとって最も強く最も誠実な同盟国として生まれ変わるとは思いも寄らなかったことでしょう。また韓国が敵の侵略から立ち上がって世界でも指折りの経済国となることやアジアが貧困と失望から抜け出し自由市場を抱擁するようになるとは予測していなかったでしょう。

アジア発展の教訓は自由への願望は否定できないということです。いちど人々が少しでも自由を味わったなら、(人々は完全に)自由になるまであきらめないということです。 今日のダイナミックで希望に満ちたアジアは...アメリカの存在と辛抱強さなくしては不可能でした。本日この会場にお集りの帰還兵のみなさんなくしてはあり得なかったのです。みなさんのご奉仕に感謝もうしあげます。(拍手)

ブッシュの演説で大事なのはこの先だ。ブッシュ大統領は戦後日本の民主化と復興について、日本の天皇制や、神道や、女性に対する考え方の違いなどを理由にどれだけ多くの人々が日本人をばかにして、その才能や実行力を過小評価していたかを羅列した後、それぞれの考えがどれほど間違っていたかを指摘している。

日本の降伏後、多くの人が日本事態を民主主義に生まれ変わらせようなどという考えは甘いと考えました。今と同じように自由とは相容れない民族がいるのだと批評家は主張しました。

日本は文化的に民主主義とは共存できないと言いました。ハリー・トルーマンの下で勤めた前アメリカ日本大使のジョセフ・グルーは大統領に「日本で民主主義は絶対にうまくいかない」と断言しました。...

また、あるひとたちはアメリカは自分たちの考えを日本に押し付けていると批判しました。例えば日本女性に選挙権を与えることは「日本の政治的発展を遅らせるものだ」と言い切りました。

ここでブッシュ大統領は女性の選挙権を薦めるマッカーサー元帥が、日本女性は伝統的で男性に従順すぎるため夫と独立した政治的な考えなど持つことはないと、多くの専門家から批判された事実をその回顧録から紹介した。

今日、日本の防衛省大臣は女性です。しかも先月行われた参議院選挙では史上最高の女性議員が当支援しました。(拍手)

信じられないことですが、日本の国教のせいで民主主義は成功しないと主張した人がいました。 神道は熱狂すぎて、帝国の深く根付いているというのです。リチャード・ラッセル上慇懃は日本人の宗教を非難し、天皇を裁判にかけなければ「民主主義へのどのような努力も失敗する運命にある」と言いました。...

神道と民主主義が共存できないと主張した人々は間違っていました。幸運なことにアメリカにも日本にもそれが間違っていると分かっていた指導者がいたのです。神道を弾圧するのではなくアメリカ政府は日本人と一緒に日本における宗教の自由を設立したのです。天皇制を廃止するかわりに、アメリカ人と日本人は天皇が民主主義社会で占める適切な立場を考え出したのです。

その結果、すべての日本人が宗教の自由を獲得し、天皇は日本の民主主義の象徴として強く育ち日本文化の貴重な一部として受け入れられています。今日、日本は批評家や猜疑心や懐疑心んをもっていた人々に立ち向かい、宗教と伝統文化を保ちながら世界でも偉大なる自由社会となったのです。(拍手)

こうして読んでみるとブッシュ大統領は戦前の日本を理解していないどころか、専門家といわれた歴史家や政治家たちなどよりも、よっぽども日本を理解していることがわかる。

ブッシュ大統領はこの後、朝鮮戦争やベトナムを引き合いに出し、歴史上からみて世界に民主主義を広める考えは正しいこと、専門家の悲観的な考えは得てして間違っていること、イラク戦争を最後までやりとげ、イラクに民主主義をもたらすことの大切さを強調した。

朝日新聞がいうように、民主党や反戦派の間からはブッシュの歴史観は間違っているとする批評は出ている。しかし、ブッシュ大統領の言ったことを誤解してか故意にわい曲してかしらないが、ブッシュ大統領が戦前日本とアルカエダを同一視したなどというデマを流すのはやめてもらいたいものだ。それにしてもアメリカの主流メディアも記事を装って自分の偏向意見を述べるのことはよくあるが、朝日新聞に比べたらずいぶんと大人しいものだ。

関連エントリー:ブッシュ大統領の演説、イラク撤退はベトナムの二の舞いになると主張

August 26, 2007, 現時間 10:15 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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イラク新作戦はうまくいっている! イラク帰還兵が7人の駐留兵に反論

イラク関係

前回に紹介した空挺隊82部隊7人のイラク状況に関するコラムに対して、以前にも紹介したVets for Freedomの7人が反論しているので、今日はそれを紹介しよう。

お互いイラク戦地で危険な任務を体験した兵士同士、VFFの7人は空挺隊の7人に対して非常な敬意を示しながらも、彼等の考えは間違っているという。82部隊はまだ二か月しかたっていないCOIN作戦の効果を目の当たりにしていない。82部隊の7人が新作戦がうまくいっているように感じない理由は、彼等の駐留している場所では、まだ新作戦が起用される以前のバグダッドの状態が続いているからなのだとVFFの7人は語る。

82部隊が勤務している場所はイラク国内でもAdihamiyah と Sadr Cityという非常に危険といわれている場所である。この二つの地域はアルカエダとマフディの最悪の人間が集まっている場所であり、まだ始まって二か月しかたっていないCOIN作戦の効果が現れていないというのが現実だ。現在アメリカ軍とイラク軍はバグダッド南部の掃蕩に当たっており、それが済み次第82部隊のいる北側に目を向ける予定である。

これらの兵士らが体験した宗派間争いや無法状態や無差別殺人といったことはむろん正確で正直な状況表現ですが、これはどちらかと言えば増派前のバグダッドの状態といえます。

しかしイラクの他の地域やバグダッドの大半ですらも、もうこのような危険な状況ではなくなってきているとVFFの7人は言う。アメリカの増派は首都の周りから始まり自爆テロや自動車爆弾の犯人たちの温床を潰した。その結果、市民へのアルカエダによる攻撃は5割も減り、この六か月で最低の数となった。

アンバー地区の例をとって見てみましょう。2006年にはアルカエダがラマディの首都を占拠し海兵隊の諜報員は地区は事実上負けたと宣言しました。漏えいした海兵隊の報告書によれば、「西アンバー地区を安定させる希望は非常に暗く、米軍は政治的にも社会的にも状況を好転させられる希望は全くもてない。」とありました。

しかし今日、ラマディは平和となり、アンバーはもはやアルカエダの温床地ではありません。ラマディーとアンバーの部族はアメリカ軍によって治安安定が向上したことから、政治的な和解と安定によって目をさましつつあります。アメリカはラマディを掃蕩しただけでなく、65か所を占拠し保持しているのです。

ここで以前にも紹介した対反乱分子作戦、COINの原則を思い出してみよう。

  1. 兵を一地区に集中させること。テロリストは自動車爆弾などを使って少人数で大規模なダメージを起こすことができるが、政府軍は大人数の軍隊を使っても広範囲に散らばっていてはとてもとても市民ひとりひとりを監視することなどできない。そこでガルーラは守る地域を、白、ピンク、赤という地区に分けた。白とは政府の統括下にある地域、ピンクはゲリラと政府が競争している地域、赤は完全にゲリラが制覇している地域。対反乱作戦を成功させる鍵は、ピンクを白に、赤をピンクへと、一区画づつ地道に変えていくことにかかっている。
  2. 継続的で目立つ軍事的防御体制。地元市民が常に安心してたよりにできる民間および軍事的な施設の存在は反乱軍を牽制し地元民の信用を得るための必要不可欠な要素である。正規軍が常に監視に目をひからせパトロールを継続させゲリラの潜入を絶対に容認しない。テロリストは厳しく処罰し、市民の協力を報酬などを使って奨励する。これによって地域は安定を保つことができるようになる。
  3. 勝利は確実と市民に確信させること。地元の人々は政府と政府軍が結果的には勝つと確信しなければならない。そのためには地元軍の存在は必要不可欠である。なぜなら駐留軍がいなくなった後でもこの平和は継続される、生活の基盤は崩れないという信頼感がなければ市民は安心して政府に協力などできないからだ。

このなかでも2)と3)は地元の市民たちからアメリカ軍への協力を得るのに必要不可欠な条件だ。VFFの7人はスンニ部族たちがアルカエダにようやく立ち向かう決心んをしたのも、この状況が起きているからだと主張する。そしてこの状況はアンバー地区をこえてディヤラやバビル地方にも広がっているという。

第82空挺隊のメンバーはイラク人が「我々に必要なのはただ飯ではなく安全だ」と語ったと書いています。まさしくその通りです。そしてアメリカ軍やイラク軍が今していることはまさにそれなのです。この戦争において初めてイラクの地元レベルで反乱分子を追い出し継続的な治安維持を提供しているのです。

VFFの7人も空挺隊の7人と同じようにイラク政府の進展には不満を抱いている。そしてイラクでの政治が進展するのもイラク国内の武力紛争の解決があってのことだと言う点では空挺隊と全く同意見だ。

私たちは同胞兵士らの不満は非常によく理解できます。我々は皆、治安維持を基盤とした分かりやすい対反乱分子作戦が取られる「増派」前のイラクを経験しています。...

しかし私たちはほんの僅かでも対反乱分子作戦が起用されただけで何が可能となるかも知っています。敵は暴露され指導者たちが立ち上がり安定が訪れるのです。デイビッド・ペトラエウス将軍とライアン・クローカー大使は対反乱分子作戦の基本をよく理解し起用しています。...第82空挺隊がまだこの新作戦の恩恵を授かっていないのは残念です。しかし彼等の任務がこれを実現させ戦闘に散った同胞の死は決して無駄にはなりません。

第82空挺隊の戦火における勇気に拍手をおくり、彼等の国家への忠誠心に感謝の念をあらわしたいと思います。同時に負傷した著者の一人の早期回復をお祈り申し上げます。

先の欄を書いた空挺隊のメンバーに将校はいない。そして今回の記事を書いたVFFのメンバーは皆将校の位だ。現場で一番危険な目にあわされるグランツと呼ばれる下士官以下の位にいる兵士らと将校とでは同じ戦争をやっていても見方が違う。これは兵はいわれた通りのことをするだけだが、将校は全体的な作戦を考える立場にあるからだ。兵にはどうして自分らが特定の任務についているのかはっきりわからないことが多い。特に自分らの身に危険が及ぶ場合には実際に自分らのやっていることに価値があるのかどうか疑わしくなっても当然だろう。

危険なのは自分らのいる場所だけを見て、戦地全体がそうであると解釈してしまう点だ。これは私がイラク人のブロガーの書いていることを読んでいても感じることなのだが、イラク全体の状況を知るにはかえって一歩下がった場所にいた方がわかるといった場合も多々あるのである。

ところでVFFの反論は最初、空挺隊の意見を掲載したニューヨークタイムスに投書されたが、ニューヨークタイムスは掲載を拒否したためウィークリースタンダードが掲載した。反戦派に都合のいい兵士の意見は聞くが、戦争を支持する帰還兵の意見は無視というのはアメリカ主流メディアにはありがちなダブルスタンダードである。

August 26, 2007, 現時間 5:20 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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August 25, 2007

イラク新作戦はうまくいってない! イラク駐留兵が語るイラク状況

イラク関係

イラク状況について語るには、はやり現地で実際に戦争をやっている軍人たちの意見を聞く必要がある。そこでカカシは二回に分けてペトラエウス将軍の対反乱分子作戦(Counter Insuregency, COIN)が現地でどのような効果をあげているのか、現地からの意見を紹介したいと思う。

今日は8月20日のニューヨークタイムスに掲載された、イラクから15か月の任務を終えて帰還を間近に控えた陸軍第82空挺隊の下士官7人が共同で書いたコラムを紹介しよう。

帰還をまじかに控えた空挺隊の一部隊として、我々は最近メディアが表現しているようなイラク紛争が序々にまとまりがつきそうだという考え方には猜疑心をもっており、我々が毎日のように見てきた内乱や政治的な不安定さを無視したものだと感じます。

7人は戦場がアメリカのコントロール下にあるという考え方は、単に戦場が別の場所に移ったというだけの状況を無視した間違った考え方だと語る。著者はイラクにはアルカエダ、スンニ過激派、民兵、犯罪者といった色々な役者がおり、彼等の忠誠心にはそれぞれまちまちだとし、イラク警察やイラク軍といった我々アメリカ軍が訓練している人員ですら我々は安易に信用できない事実を指摘している。

例えば数日前の夜、イラク軍の関門と警察署の間で爆発した爆弾によってアメリカ兵一人が死亡、二人の兵が重傷を負うという事件を目撃しました。地元イラク市民はアメリカ人の捜査官にイラク軍人と警察官が犯人を案内して爆弾を仕掛けるのを手伝ったと証言しました。これらの地元市民の証言は爆弾が爆発する前にアメリカ軍に通告していたなら、イラク兵や警察や地元シーア民兵に家族を皆殺しにされる運命にあったことを暴露しました。

シーア地区だけでなく、スンニ地区でも同じようなことが起きていると著者は言う。スンニ派はシーア民兵やシーアが多数を握る政権から自分らを守るためには自分達が結束してスンニ民兵を組織することにあると考えはじめた。アメリカ軍はアルカエダと戦うためにこれらのスンニを武装しはじめた。COIN作戦には地元民を駐留軍の代理として使うことが大事だが、この代理の忠誠心は必ずしもアメリカ軍にあるとは限らない。確かにスンニ民兵らは対テロ戦争には効果をあげてはいるものの、一旦武装したスンニ民兵がアメリカ軍撤退後の将来、イラク政府と衝突しないとは誰も言い切れない。

つまるところ、敵が誰なのか、味方が誰なのかさえも分からないような状況で、前線は混乱状態にあるという。彼等のいる場所がいかに危険かを象徴するかのように、この記事の著者の一人が途中でパトロールに出て頭を撃たれて避難するという事件が起きた。このような状況にあってイラクの治安情勢をアメリカ中心の見解で判断するのは危険だと著者らは語る。

アメリカからの視察団が以前に危険だった町で安心して歩き回ることができるというようなことではイラクの治安向上の確たる証拠とはいえないのです。問題なのは地元市民の体験と我々の対反乱分子作戦の未来です。この見方をすると大多数のイラク人が不安を感じており、四年間もかかってまったく平常な状況をもたらすことのできなかった占領軍と見るようになり、今後もそのようなことはできそうにないと考えているのです。

またアメリカ側がイラク政府がもっと責任をとるようにと圧力をかけるのも逆効果になっていると7人の著者は言う。イラク政府はこれまでフセイン時代に弾圧されていたシーア派が大多数を占めているので、彼等は自分達が得た権力をどうやって守り通すかに必死であり、イラク統治など興味がないと著者らは考えるらしい。イラク政府のまとまりのなさの原因として、著者らはアメリカ政府のおかした1)バース党員の排除、2)イラク軍の解散、3)緩やかな連邦制の起用、といった三つの間違いが、シーア派の自分勝手な意図とアメリカとの間ですれ違いが起きているというのである。

ただ著者らが言うイラク政府の政策はアメリカ政府が期待するような基準や時間表で起きるのではなく、イラク人がイラクにとって適していると考える方法で起きるという考え方にも、イラク政権のまとまりがつくのは、軍事的な紛争が解決した後だとする考え方にもカカシは同意できる。

四年間に渡る占領で、我々はすべての約束に失敗しました。...私はあるイラク人から「我々に必要なのはただ飯ではなく安全だ」といわれました。...我々の存在がイラク人を独裁者から解放したかもしれませんが、それと同時に我々はイラク人の自尊心を奪ったことにも気が付かねばなりません。我々は彼等の尊厳を取り戻すためには自分達を占領軍であると認め、撤退をせざる終えなくなるでしょう。...

我が軍の士気について語る必要はありません。敬虔なる兵士として我々は任務を必ず遂行させます。

実際に現地で同胞を失いながら命がけで戦っている兵士らの言うことであるから、これは現地の状況を全く知らない反戦派の意見のように意味のないものとして無視することはできない。確かに現地では難かしい状況が存在している。以前にサドルシティから報道していたマイケル・トットンもシーア派民兵がイラク軍に大分入り込んでいる事実を書いていた。またこれまで敵としてみていたスンニ反乱分子をアルカエダと戦ってくれているからといって安易に信用するのも危険だというのはよく分かる。

これについて、別のグループのイラク帰還兵が反論しているので、それは次回に紹介しよう。

August 25, 2007, 現時間 4:14 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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August 24, 2007

ブッシュ大統領の演説、イラク撤退はベトナムの二の舞いになると主張

アメリカ内政 , イラク関係

先日ブッシュ大統領はミズーリ州のカンザスシティで退役軍人を相手にイラク駐留の大事さについて熱弁を振るった。私は帰宅途中のカーラジオで生放送を聞いていたのだが、ちょうどブッシュ大統領が日本の民主化の歴史について語っているところだった。CNN日本語版では大分演説の内容が割愛されているが一応背景として添付しておこう。

ブッシュ大統領は、ベトナム戦争で米軍が撤退したことにより、何百万人もの無実の市民が代償を払わされたと指摘。また、オサマ・ビンラディン容疑者が、米国人はベトナム戦争と同様にイラク政策にも反対して決起するべきだと発言したことを踏まえ、米軍撤退は米国の信頼性を傷つけ、テロリストを勢いづかせると主張した。

ブッシュ大統領はまた、...(マリキ)首相が続投するかは、ワシントンの政治家らが決めることではない」と、首相支持を強調した。

大統領はさらに、戦時中の日本や韓国やベトナムの共産主義者が、無慈悲な考えで米国人を殺害していたと述べ、アジアでの戦争とテロ対策が「イデオロギーをめぐる戦い」である点で似ているとコメントした。大統領は、戦後の米軍占領を経て自由社会に変貌した日本の前例を指摘し、イラク撤退論も誤りであることが歴史で証明されるだろうと語った。

米政権は、来週予定されている在郷軍事会での大統領演説を前に、イラク政策の進ちょく報告に関する議論に「より広範な文脈を与える」ことを狙ったとみられる。

この「より広範な文脈を与える」というのは、歴史的な面からイラク戦争を理解することが大切だという意味である。特に大統領がベトナム戦争を持ち出したのはアメリカがベトナムの呪いから解き放たれるためにも非常に大事なことだと思う。

私は以前にもベトナム戦争については何度か書いているが、ベトナム戦争は決して当時の左翼メディアが報道していたようなアメリカの軍事的大敗などではなかった。事実はその正反対だった。確かに当初は慣れないゲリラ戦に戸惑った米軍だが、すぐに米軍は適応し能率的な戦闘を繰り返していたのである。

ただ、以前にも書いたように対ゲリラ戦というのは正規軍同士の「とつげき〜!」という戦争とは違って時間がかかる。全体的に見れば第二次世界大戦の方がベトナムよりもよっぽども苦戦した戦争だったのだが、華々しい勝ち戦だったWWIIと違ってベトナムは地味でだらだらと長ったらしく続いた。しかもナチスや日本帝国といった目に見える敵が相手ではなく共産主義という漠然とした思想との戦いだったため、それと東南アジアのベトナムがどう関係があるのか多くの国民が理解出来なかった。アメリカは東南アジアを共産主義から守るどころか、かえって自分達がいることによって問題を大きくしているのではないか、という疑念が生まれたのも当然といえるだろう。ブッシュ大統領はそれをこう語る。

アメリカのインドシナにおける存在は危険だという考え方はかなり長い歴史があります。1955年、アメリカが戦争に参加するずっと以前に、グラハム・クリーンは「静かなアメリカ人」(The Quiet American, Graham Greene)という小説を書きました。主役はサイゴンに住むアルデン・パイルというアメリカ人スパイです。パイルはアメリカの愛国者の象徴です。危険で考えが甘い。別の登場人物がアルデンのことを「あの男ほど正しい動機であれほどの問題を起こす人間に会ったことがない」と説明しています。

ベトナム戦争にアメリカが参加した後、グラハム・グリーンの議論は勢いを増しました。実際多くに人々が我々がベトナムから撤退しても何の悪影響も及ぼさないと主張しました。

1972年、反戦派の上院議員は「遊牧民族や無教養なベトナムやカンボジアの農民にとって、統率者が軍事独裁者であろうが、皇族であろうが、見たこともない遥か彼方の土地にいる社会主義者であろうが、どんな違いがあるというのだろう。」といいました。ニューヨークタイムスのコラムニストもまた同じように、カンボジアやベトナムが共産主義の手に落ちようとしている時、「アメリカ人がいなくなれば、彼等の生活が良くなる以外の状況など想像できない。」と書きました。記事の見出しは「アメリカ人の居ないインドシナ、ほぼより良い生活」 でした。

無論、この考え方がどれだけ間違っていたかは後の歴史が証明している。カンボジアではカメアルージュが教養の高い人間を対象に理不尽な法律を通して大虐殺を行い、何十万という人々が殺された。当時の様子を描いた「キリングフィールド」という映画で助演してアカデミー賞まで得たカンボジア人の俳優は、当時自分は医者だったが病気の妻を救うにも自分が医者であることがばれれば家族もろとも虐殺されるため、妻を見殺しにせざる終えなかったと体験談を語っていた。

またベトナムでもアメリカ軍に協力した南ベトナムの市民は北ベトナム政府によって強制収容所に送られ虐殺拷問とひどい扱いを受けた。私の同僚にもボートピープルといってベトナムから逃げてきた難民が何人もいるが、皆口を揃えていうことは「なぜアメリカは我々を見捨てたのか?」ということだ。

ブッシュ大統領はアメリカ軍によるベトナム撤退が招いた直接の悲劇と並んで、もう一つの問題を指摘している。

ベトナムからの撤退のもう一つの代償は今日我々が直面する、2001年9月11日に、わが国にやってきて何千という我が国民を殺害した敵の口から聞くことができます。911攻撃についてパキスタンの新聞でのインタビューに応じたオサマ・ビンラデンは、「アメリカ人はベトナム戦争に反対して政府に対して立ち上がった。今日もまた同じことをしなければならない。」と宣言しました。

彼の右腕であるザワヒリもベトナム戦争を取り上げています。イラク作戦の幹部に当てた手紙のなかでザワヒリは「ベトナムにおけるアメリカ勢力の崩壊後にどんな風に彼等が手先を見捨てて逃げ去ったか」を指摘しています。

ザワヒリは後にもこの主題に戻り、アメリカは「勝利の希望はない。ベトナムの亡霊があらゆる道を塞いでいるからだ。」と宣言しています。アメリカ国内においては、我々のベトナム撤退は我々の信用度を落とす原因にはなっていないと主張する人がいますが、テロリストはそうは見ていません。

イラクが対テロ戦争の集結地であることは我々の敵がそう宣言していることなのだ。だからブッシュ大統領は敵が我々をどう見ているか、この戦争をどう考えているかに耳を傾けなければならないと主張する。敵が正念場だと考えているイラクから我々が撤退すれば、世界中に散らばる敵が我々がその正念場で大敗して退散したと考え、その後の我々への攻撃はさらにますこと間違いなしである。そう考えればイラク撤退が我々に及ぼす危険は悲劇的なものとなる、とブッシュは言っているのだ。

さらに我々がイラクを見捨てれば、テロリストどもは勝利を利用してもっと多くの志願者を集め、イラクを拠点として世界中にその魔の手を広げることになるだろう。

ブッシュ大統領のこの演説は、9月のペトラエウス将軍の報告を前に地盤を固めておくというものだが、こういう演説をもっと早期に頻繁にすべきであったという感は拭えない。ところで、今日ラジオで昨日も紹介した戦争支持広告を聴いた。911で叔父を失い、イラク戦争で夫を失った未亡人がイラク駐留の大切さを唱えていた。こうした戦争支持の運動はもっと以前から積極的にされるべきだったのだが、遅蒔きながら始まったということはいいことだろう。

August 24, 2007, 現時間 4:55 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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August 23, 2007

イラク新作戦の成功にうろたえる民主党反戦派

イラク関係

昨日も左翼オンライン雑誌のサローンがファルージャからのいいニュースを報道したばかりだが、今日はこちらもサローンほどではないにしろ多少左よりの主流新聞ワシントンポストが、イラク状況が良い方向へ向かっていることに対する民主党のうろたえぶりを報道している。

今、アメリカの議会は8月の夏休み中なのだが、この休みが始まる直前まで民主党はイラク即撤退を目指して拘束力のない反戦議案をいくつも通してみたり、時間制限付きの予算案を提案してはブッシュに否決されたりしていた。だが、民主党は8月一杯でイラク情勢がこれまで通り特に変化がなければ、9月に戻ってきた時には国中の反戦感情が高まった勢いで一気にイラク戦争の予算割り当て打ち切りの法案に取り組むつもりだった。

ところが実際はそうは問屋が卸さなかった。それというのもイラクからは新作戦が成功しているという都合の悪い良いニュースが立て続けに報道されはじめただけでなく、共和党は民主党が期待していたような守りの姿勢ではなく20もの州においてイラク帰還兵や戦死者の家族などを起用して「今は諦める時ではない!(国内で)政治争いをやってる場合ではない!」というスローガンを使った広告作戦を取るという積極的な攻めの姿勢にはいったからである。

民主党としてはイラクでのペトラエウス将軍の新作戦がうまくいきすぎて反戦派でも否定できないほどの成果をあげてきた今となっては、いくら民主党にとっては都合が悪くても、いつまでもイラク戦争は大失敗だったなどと繰り返していては国民からの信用を失う。なんとか国民の信用を保持して勝っているイラク戦争に負ける方法を考えなければならない。

そこで下院幹部会長のラーム・エマヌエル議員は昨日、イラク視察から帰ったばかりで、イラクからのいいニュースを報告した民主党の新人議員を対象に電話をかけまくり、民主党の新しいメッセージを指導した。この新しいメッセージとは、「イラクでの新しい軍事作戦は今のところ多少成果をあげている、、しかしイラクの中央政府はまだまだまとまりがない、中央政府のまとまりなくしてイラクでの成功はあり得ない」というものだ。

なにしろ民主党はイラク戦争を批判しながらもアメリカ庶民から人気のあるアメリカ軍を批判することは出来ない。その上に今度はイラク新作戦の成功まで考慮にいれて、それでも戦争反対を正当化する演説をしなければならないのだから、これは大統領に立候補している候補者たちとってはかなり難かしい綱渡りになっている。

無論そのことを十分にお見通しの共和党議員たちが、文章の最初の部分だけを抜粋して、「ほれみろ!民主党でさえ新作戦の成功を認めている!」と逆手に取っていることは言うまでもない。

「イラクにおいて我々は作戦を変更しはじめました。そして地域によっては、特にアンバー地区などでは(この作戦は)うまくいっています。」とヒラリー・クリントン上院議員は月曜日に退役軍人たちの前で演説した。またヒラリーのライバルであるバラク・オバマも「私の見解ではバグダッドに三万兵加えれば短期的な暴力は制御できると考える」などと言い出す始末。これでは民主党が大統領になっても議会を握っても必ずしもイラク撤退がおきるかどうか怪しくなってきた。

民主党の問題点は「イラク戦争反対」だけを唱えて議会の多数議席を取ったことにある。ほかにはこれといった公約がない。彼等はイラクが絶対に泥沼で大失敗に終わることに全てをかけてきたから、成功した場合の第二作戦が全くないのである。イラク戦争に勝ちはじめたからといって戦争を支持するようなことを言っては反戦派の過激派から見放されるし、かといって勝っている戦争を負けていると言い張っては中庸の支持を得ることができない。2008年の選挙まではまだ一年もあるのである。このままイラク戦争がうまくいったら民主党は本当に苦しい立場に立たされることになる。

August 23, 2007, 現時間 12:14 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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August 22, 2007

反戦左メディアまでもがイラクからのいいニュースを報告

イラク関係

今年の2月に俗に言うイラク米軍増派がはじまり、5月に入って本格的なペトラエウス将軍の対反乱分子新作戦(COIN)が始まって以来、イラクからは次々にいいニュースが入ってきている。ペトラエウス作戦はよっぽどうまくいっていると見えて、反戦色まるだしだったアメリカの主流メディアですらそのいいニュースを隠しきれなくなっている

本日8月21日(2007)付けのサローンというオンラインマガジンで、2004年に二回も大戦闘のあったファルージャの状況が非常に良くなっていると報道している。サローンといえばアメリカのオンラインでもかなり左翼で、ブッシュ政権には非常に批判的な思想を持つ雑誌である。

ファルージャ、ホッと一息(Fallujah catches its breath)と題するこの記事ではデイビッド・モリス記者がファルージャでの体験は「衝撃的」だと語っている。

私は西イラクを一か月近く旅しているが、私がこれまでに見てきたことは衝撃的だ。しかしそれは皆さんが思うような意味ではない。理屈や期待そして、これまでに私が学んだ全ての対反乱分子戦闘の軍事歴史に反して、イラクの一部は実際良くなっているように思える。

モリスは海兵隊に従軍してファルージャで五日ほど過ごしたが、そのうちの半分は防弾チョッキを着ないで過ごしたという。聞こえた銃声といえば、たまに勇み走ったイラク警察官が犬を撃ったりしている音だけだったという。

ファルージャといえば一時期はやることなすことうまくいかず、イラク米軍の失敗の象徴のような町だったが、それがいまやホッと一息ついているような気がする。商店の半分は開業している。いくつかの子供たちの群れが通り過ぎるアメリカ軍の車の列に熱烈に手を振っている。海兵隊員たちは毎晩地元の串焼きやファラフル(豆を潰して衣をつけて焼いたもの。コロッケに似ている)を買いに使いを出している。もう三か月以上も隊員は一人も殺されていない。ウィリアム・ムレン中佐によれば、2/6隊の管轄では「敵はあきらめてはいないが、瀕死の状態だ」と語る。

今日び、イラクからいいニュースを報道するのは不思議な気持ちだ。 ジョージ・ベンソン副隊長という口の悪いバージニア出身の将校が最初に、地元の人々が長蛇の列を作って海兵隊の設立した地元警備隊に志願したというような成功話を話はじめた時、私が猜疑心を持ったのは彼のせいではない。これまでブッシュ政権と陸軍幹部はイラクの状況をあまりにも長い間、多くのことについて、うやむやにして隠してきたので、多くの人々が(多分彼等自身ですら)希望的な結果を信じることが困難になっているのだ。

モリスは一か所だけを見てイラク全体を判断するのは軽卒だとし、ファルージャの場合はかなり運もあると語る。ファルージャでは2004年の戦闘以来、テロリストによる大規模な攻撃は少なくなっていたとはいえ、テロリストによる地元民への影響は残っていた。アルカエダが、アメリカ軍に協力していたとして地元警察官の葬式に爆弾ドラックを投入させて20人からの市民がを殺したのは、まだ最近のことだ。しかしアルカエダのこのような行為はかえって地元民からアルカエダへの敵意を生んだ。アメリカ軍はこの敵意をうまく利用して地元民からアルカエダ退治の協力を得たのである。

ファルージャにおける意外な成功は降って湧いた出来事ではない。ここでは比較的新しい作戦が起用されているのだ。それはイラク社会をもっと大きな目で見ることだ。地元市民を単に戦いに巻き込まれた罪のない市民として見る日は過ぎ去った。新しい作戦では、地域を物理的に区分けして隔離し、その地域の安全を計るという「新都市化」説を起用、そして地元戦力を手先として使うといった、反乱分子に対してより柔らかい非攻撃的な手段に焦点がおかれている。(後者はアフガニスタンで対タリバンに地元勢力を使用して成功した例を取り入れている)

モリス記者が自分で書いている通り本当に対反乱分子作戦(COIN)の歴史書をたくさん読んでいれば、ファルージャで起用されている作戦はまさに教科書どおりのものだということが分かるはずで、うまくいっていることが「意外だ」とか「驚くべきことだ」とか「衝撃的だ」などという感想を持つはずはない。ま、左翼ジャーナリストだから自分が学識あると思わせたいのは仕方ないだろう。

ファルージャの司令官のムレン中佐は、ファルージャへ出動する前に以前にハディーサでのパトロールなどで持っていた認識は捨て、新しい心構えで取り組むようにと隊員に言い聞かせたそうだ。モリス記者はここでハディーサ殺人事件の話を対照的な例として持ち出すが、そこはさすがに左翼ジャーナリスト、容疑者が証拠不十分で不起訴になり事件そのものの真実性が疑われていることは完全に無視している。

しかし、この記事に価値があるのは、モリスのような反米軍、反戦、反ブッシュ政権の左翼ジャーナリストですら、イラクでの新作戦が成果をあげていると認めざる終えないことにある。アメリカの一般市民がイラク戦争はやるべきではなかったとか、早急に撤退すべきだとかいう気持ちになっているのは、イラク戦争そのものに価値があるとかないとかではなく、イラク戦争に負けていることが気に入らないと言う気持ちからきているのである。

だから主流メディアがイラクからのいいニュースを無視できないほど、新作戦が成功を遂げ、イラクでの勝利は可能だとアメリカ市民が納得すれば、市民のイラク戦争観も自然に好意的なものにかわってくるはずだ。その場においても民主党が今年の前半にやってきたような勝てる戦争をなんとか負けるような行為をとり続ければ、アメリカ市民の民主党への考え方もかわってくるというものだ。

なんにしても9月15日に予定されているペトラエウス将軍による議会報告が楽しみになってきた。

August 22, 2007, 現時間 12:53 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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August 19, 2007

百聞は一見に如からず、、ん? イラクからのねつ造記事色々

イラク関係 , 狂ったメディア

去年のレバノンでの戦争の時、私はレバノンから流れてくる多くの「ニュース」がねつ造記事だったことをここでもいくつか紹介した。だが、ねつ造記事はレバノン戦争で終わったわけではなく、イラク戦争でも敵側によるプロパガンダ作戦は常に続いている。

レバノンの泣き女、イラクでもゲスト出演?

数日前からブラックファイブが紹介している「魔法の銃弾」写真がそのいい例。



BulletLady1    BulletLady2

自宅に打ち込まれたという銃弾を掲げるイラク女性二人、上が数日前にAFPに掲載された写真、下は数週間前のもの。この二人別人のはずなのになんか似てない?

上の写真は8月14日付けのAFPに掲載されたもので、バグダッドにあるサドルシティへの連合軍による攻撃の際に、連合軍から自宅に何発も撃ち込まれたとして、老女が銃弾の二つを拾ってカメラマンに見せている姿だとある。AFPのカメラマンの名前はWissam al-Okaili。ところが数週間前にもこのカメラマン、同じような写真を別の場所で別の出来事として紹介しているのが下の写真だ。

二人の女性が同一人物に見えるのは私だけではあるまい。なんだかこれではレバノンの神出鬼没の泣き女と同じではないか。(笑)しかし、この写真を見てこれが嘘記事であることは一目でわかる。撃った後の銃弾が弾の先と殻がついたままであるはずがないからだ。

これと同じように、やはりAFPに載った写真に下記がある。もう色々なブログで掲載されたからご存じの方もあるかもしれない。



Granade and a puppy

手りゅう弾を加える子犬

この写真のキャプションには「サドルシティの動物シェルターに投げ込まれシェルターにいたかわいい子犬や子猫を大量に殺害してビルを破壊した手りゅう弾をくわえる子犬」となっているが、素人の私の目にもこの写真がおかしいことはすぐにわかった。なんで使用済みの手りゅう弾にピンがはまっているのだ? しかし、それよりもなによりも、使用済みの手りゅう弾なら爆発して粉々になってるはずとミスター苺に指摘され、そりゃそうだと笑ってしまった。これらの写真を見て武器に対する知識などほぼ無いに等しいカカシですらおかしいと気付くのに、プロのジャーナリストがこんな偽写真にころっと騙されるというのはどういうことだ?

プロパガンダビデオ

これとは別に、イラクには反米プロパガンダを製作しているテレビ局があるという話は以前から聞いていたが、彼等はプロパガンダ映像を撮影してはユーテゥーブなどにアップロードして紹介しているようだ。私がスコット・ビーチャムが書いたブラッドリー戦車で犬をひき殺す趣味の兵士の話はでっちあげだったという話をしていたら、どっかのお節介がご丁寧にアメリカ兵がイラク人のペット犬を殺したというビデオを紹介してくれた。

抗議が殺到したのか今は制限付きの視聴となっているので、あえてリンクはつけないが、ビデオは数人の米兵が半壊した建物にはいっていくところから始まる。その動作からパトロールの最中らしいことは察知がつく。背景で犬がうるさく吠える音がするが、音声が悪いためその後のことがよくわからない。カメラが建物のなかにいた米兵から外で横たわっている犬へと移る。犬はまだ生きていて悲痛な声をあげているが、そこへ地元のイラク人らしい若い男が空に手をあおぎながら近寄ってくる。米兵らしい男が「あっちへいけ」と言っている声がする。イラク人はしばらく犬の前でしゃがみ込んでいるが、すこしすると立ち上がって嘆いているように立ち去っていく、、というものだ。

この映像のメッセージが冷酷な米兵にいペット犬を殺されて嘆くイラク人男性というものであることは明白だが、事実は本当にそうなのだろうか? まずこのビデオでは実際に米兵が犬を撃っている映像はない。犬はカメラの視覚外でイラク人によって殺され、それを近くにいたイラク人が確かめにいっただけだったのかもしれない。それでアメリカ兵は危ないからそばへよるなと警告していたのかもしれない。こういう数分のビデオでは前後の状況が分からないので実際に何がおきたのか正しく状況を把握するのは難かしい。

それに、実際にアメリカ兵がこの犬を射殺したことが事実であったとしても、それが単にアメリカ兵が遊びで犬を殺したと言うことにはならない。いやそうでない可能性の方が高いのだ。私は以前にイラク帰還兵から聞いたことがあるのだが、イラク人は犬を忌み嫌っているため、凶暴な野良犬が市街地をうろうろしていることが多いそうだ。自爆テロなどの被害者の遺体にこれらの野良犬が集ったりすることもしばしばあったようで、一口に犬といっても我々が想像するような愛らしいペットの犬とは質が違うのである。また米兵はパトロール中に犬が吠えかけて敵に自分らの位置を知られるのを防ぐため、うるさい犬を射殺することがあるという。だからこのビデオの場合も任務の邪魔になった野良犬を射殺しただけだったのかもしれない。何にしてもこのビデオだけ見ていても、これが明かに冷酷な米兵の蛮行だと結論付けることには無理がある。

プロパガンダフィルムというのはまあ、えてしてこういうものだ。同じ映像でも前後の状況を全く変えて放映すれば、見る側の受ける印象は180度かわってしまうのである。だからユートゥーブのような映像だけ見てイラク状況を正しく判断するのは非常に難かしいということがわかるはずだ。

August 19, 2007, 現時間 5:42 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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August 15, 2007

イラク北部の自爆テロが意味するもの

イラク関係

昨日イラク北部で大規模な自爆テロがおき、APの記事によると、夜が明けて死者の数はすでに250人にのぼったとされている。下記は昨日の毎日新聞の記事より。

北部で車の自爆テロ、175人死亡 過去最悪規模

[ 08月15日 10時34分 ]
毎日新聞社
 【カイロ高橋宗男】イラク北部モスル西方のシリア国境に近いシンジャル近郊3地区で14日夜、燃料を積んだ複数のトラックがほぼ同時に爆発した。地元警察によると少なくとも175人が死亡、200人以上が負傷した。ロイター通信が伝えた。少数派ヤジディ教徒を狙ったイスラム教スンニ派武装勢力による自爆テロとみられる。イラクで一度に発生したテロとしては、過去最悪規模のテロとなった。

 ヤジディ教はイスラム教以前から存在する原始宗教で、イラクやシリアのクルド人らの一部が信仰している。

 モスルやシリア国境に近い地域は、国際テロ組織アルカイダ系のスンニ派武装勢力で組織する「イラク・イスラム国」が実効支配している。今年4月にヤジディ教からイスラム教に改宗した少女の「名誉殺人(親族による殺人)」が起きたことを機に、スンニ派武装勢力によるヤジディ教徒への攻撃が頻発していた。

 AP通信によると、「イラク・イスラム国」は今月上旬にシンジャルなどで「反イスラムのヤジディ教に対する攻撃が目前に迫っている」とのビラをまいていたという。

 一方、イラク駐留米軍が14日未明からバグダッド北東のディヤラ県でスンニ派武装勢力の大規模掃討作戦を開始したのに対し、武装勢力側がシンジャルでの同時テロで攻撃能力の誇示を狙ったとの見方もある。

 米軍のディヤラでの作戦は、県都バクバで過去数週間継続してきた作戦を拡大したもので、バクバを逃れた武装勢力の掃討が狙いとされる。スンニ派武装勢力は過去にも作戦地域から逃れ、周辺部で組織を再構築してきた経緯がある。

今年の2月にアメリカ軍による対テロリスト作戦が施行されてから、バグダッド市内とその付近での大規模な攻撃はやく五割ほど減少したと、この間軍当局が発表したばかりだった。この攻撃によってイラクでの新作戦は本当はアメリカ軍当局が発表したほどもうまくいってないという意味を持つのだろうか?

しかしこの攻撃が何処で誰に対して行われたかを考えると、変な言い方ではあるが、この攻撃こそアメリカ軍の新作戦がうまくいっている証拠ともいえるのである。

毎日新聞も指摘しているように最近米・イラク連合軍はディヤラ地方で厳しい取り締まりが始まっており、先日もディヤラでアメリカ軍による大規模攻撃があった。ディヤラ地方から追い出されたアルカエダは北部で体制を再び整え、米軍の攻撃と同時に自爆テロ攻撃をおこなったのである。しかし、攻撃がディヤラ内部ではなく外側の北部であったことから、これによってアルカエダにはアメリカ軍がいるディヤラ地方で大規模な攻撃を行うことができなかったことが暴露された。

またこの当たりはシリアとの国境線であり、シリアからの外国人テロリストがイラク侵入に使っていた通り道の付近だそうだ。ということは、外国人テロリストはイラクへ侵入したはいいものの、国境付近よりも先に進めず入り口で立ち往生したことになる。

しかも攻撃の対象となったのがクルド民族やシーアの有力者だとか、神聖なモスクだというかいうのならまだ話は分かるが、シーアともスンニともクルド俗とでさえ相容れない北東で孤立した少数派のヤジディ教徒相手だというのだから分からない。ヤジディ教は他のイスラム教徒から悪魔崇拝主義者として忌み嫌われており、こんな種族を殺してみても一般のイラク人にはほとんど無関係だし、戦力の誇示というにはほど遠い攻撃である。ただもともと数の少ないヤジディ派にしてみたら、最近のアルカエダによる攻撃は民族浄化を意味する。

だが、このアルカエダの狙いはこの攻撃によって直接的な軍事効果ではない。アルカエダの狙いは米国内の反戦派政治家らにあるのだ。このニュースを聞くや否や、反戦派の米民主党員らは早速イラク新作戦はうまくいってないではないか、撤退、撤退、いますぐ撤退!と大騒ぎを始めている。民主党はまんまとアルカエダの策略に乗せられているのである。

ところでこの事件について書かれているAPの記事の最後の方に、こんな一節があった。

バグダッドの北東部では、Buhrizで起きたモーター攻撃の容疑者と思われるアルカエダ関係の戦闘員を追跡する警察にイラク市民が参加した。この戦闘によって8人の武装勢力が殺され、6人の市民が戦死したと警察は発表している。

バグダッドでは一般市民が警察に協力して自らの命を失いながらもテロリスト退治に参加しているのである。どうりでアルカエダがバグダッドでの攻撃を避けるわけだ。

August 15, 2007, 現時間 4:00 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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イラク従軍記者便り: 生まれ変わるハイファ通り

イラク関係

今日私は非常に興味深いリポートを読んだ。従軍記者としてバグダッドにいるウェスリー・モーガン記者が(Wesley Morgan at the Fourth Rail)がジェフェリー・ピーターソン中佐の隊に付いてあの悪名高いハイファ通りのパトロールに参加した。今日から四百万人が集まるといわれるシーア派の巡礼行進が始まるため、その前に警備体制を整える準備のためだ。隊は目的地まではストライカー三台を連ねていったが、時々中佐はストライカーから降りて地元の人々と話はじめた。モーガン記者が驚いたことは地元の人々が中佐の隊を歓迎しているように見えたことだ。ハイファ通りといえばちょっと前までアルカエダが幅を効かしていたところで、2004年に選挙委員会の職員が渋滞する車の行列の前で真っ昼間にテロリストに処刑された場所でもある。モーガン記者は2004年に比べてこの通りがずいぶん様変わりした様子を語っている。

ピーターソン中佐が歩道を歩いていくと、人々は彼を歓迎しているかに見えた。店の店主が挨拶したり、住民がサラームアレイカムと言ったりする、こうした様子に私は非常に驚いた。

白髪の歯の抜けた痩せた男が座っていた席から中佐の心地よい「こんにちは」に笑って答えた。中年の男もまた同じように答えた。黒いローブから顔だけだした女性たちが我々の挨拶に笑顔で答えた。若い男たちはもっと元気がよかった。中佐とその部下たちを知っているらしく中には熱意を込めて英語で挨拶をするものもあった。ただ中には全く無表情で冷たい顔つきで完全に我々を無視するものもいた。子供たちは幼い子から大きな子まで男の子も女の子も我々の周りにまつわりつき、「はろ〜、みすた〜!」とか「ちょこれ〜と頂戴!」と笑いながらねだった。多くの子供が手を延ばしてはハイファイブしたり、拳骨ごっこをしたり、握手を求めたりした。

この様子はマット・サンチェズが同時期にサドル・シティで子供たちから「待ち伏せされた」 と言って提示したビデオに赤裸々に映っている。カメラを持って取材するマットの周りを十数人の子供たちが囲み、それぞれカメラに向かって自分を映してもらおうと躍起になっている。マットが自分の名前を「僕はマシューだよ。」と言うと、こどもたちは口々に自分たちの名前を叫びはじめた。マットが子供の名前を変な発音で呼ぶとこどもたちはケラケラ笑っている。ひとりの男の子がサッカーのボールをかかげて何かいっている。「フットボールしよう」といってるように聞こえるがどうなんだろう? 近くで女性の兵士が子供たちにチューインガムを配りはじめると子供たちの注目は一斉にそっちへ移る。「ちょうだい!ちょうだい!」と多分言っているのだろう。

この様子をみていて太平洋戦争直後に進駐軍のジープの後を「ビブミーチョコレート!」と変な英語を叫んで追いかけまわしたという母の兄の話を思い出した。母はまだ幼児だったためそんなことはできなかったが、伯父は結構ちょっとした「英語」を覚えてGIにおねだりをしてはお菓子をもらっていたという。戦争中はアメリカ兵は頭に角が生えた鬼だと聞かされていた子供たちだが、実際には飢えた子供たちをかわいそうだと思って自分のポケットからお菓子を投げてくれるような優しい男たちだった。今も昔も米兵は親切だなとつくづく思う。ついこの間まで自分に銃を向けていた市民の子供たちなのに、いや、今でも状況がかわれば路肩爆弾でふっとばすこともなんとも思わない人々の子供たちにここまで親切にできるというのは何故だろう。アメリカ人てのはつくづくお人好しだと思う。

とはいうものの、マットのビデオに映っているあどけない子供たちの顔をみていると、チョコレートの一つもあげたくなるのが人情かもしれない。

このような様子を見て、イラクの治安は良くなっているとか、米兵は歓迎されているとか結論付けるのはあさはかなのかもしれない。子供たちは米兵が好きというより、単にチョコレートが欲しいだけなのだといえばそれはそうかもしれない。

しかし、そうだとしても子供たちが安心して米兵に近付いてくるのはいい徴候なのである。以前に私がイラク帰還兵から聞いた話だが、パトロールしている地域で子供たちが米軍兵の周りに集まってそれを大人たちが止めようともしない場所なら、先ず安心だということだ。だが反対に兵士の顔を見て子供たちが慌てて隠れるようならそこはかなり危険な場所で、なにか恐ろしいことが起きる可能性が高いのだという。

モーガン記者が気が付いたもう一つのことは、サドルシティにイランの飼い豚サドルのポスターがあまり張られていないということだ。しかも町は意外なほどゴミが少ないという。どこにいてもどぶ臭く、未処理の汚物が流れるイラクの市街地ではこれは非常に珍しい状況だ。

町がきれいだというのはどうでもいいようで実は非常に大事なことである。ジェームス・Q・ウィルソン著の「壊れた窓」現象がイラクでもあてはまるからだ。サドルシティのような貧困な町で、市民が自分の住む界隈のゴミを掃除するということは、彼等がここは自分の町だと誇りを持っている証拠である。自分が社会の一員であると考える人々はその社会を破壊するような暴力行為にはおよばない。

モーガン記者のリポートは決してすべてがバラ色ではない。イラク警備隊はやる気は満々だが四百万人もの群衆を警備できるような武器も装備も整っていない。

しかしそれでも、このリポートはいいニュースといえる。我々はイラクの町をひと区域づつ平和にしていかなければならない。 ハイファ通りはそんじょそこらの通りとは違う。暗く邪悪な過去を持つ通りだ。しかし我々はここも、ほかの通りと同じように平和にしていかなければならない、ひと区域づつ、ゆっくりと。

August 15, 2007, 現時間 12:59 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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August 10, 2007

ハディーサで殺人事件はなかった! 米兵容疑者二人目も起訴却下決定!

イラク関係 , 狂ったメディア

2005年にイラクはハディーサで路肩爆弾での攻撃の後、復習のため近所の民家に住む無関係な民間人を24人虐殺し、上官たちもその事実の報告を怠ったとして、8人の海兵隊員が起訴されている事件で、先日三人の民間人を殺害した容疑で起訴されていたジャスティン・シャーラット兵長(Lance Corporal Justin Sharratt)が物的証拠が検事側の主張とは完全に矛盾するとして、証拠不十分で起訴取り下げとなった。これでこの事件で起訴が却下されたのは先のこれで、この事件で起訴却下になったのはサニック・デラクルーズ軍曹(Sergeant Sanick DeLa Cruz)に続いて二人目。(事件後に適切な捜査を行わなかったとして罪を問われていた四人の将校のうちのひとり、ランディ・ストーン大尉の件も裁判前の審問の結果、審査官から起訴取り下げの推薦がされている。)

これまでの事件のいきさつについては、私は一年以上前から書き続けてきた。過去のエントリーは下記のとおり。

ハディーサ事件次々に崩れる検察側の主張

ハディーサ事件:それぞれの思惑
疑わしきは罰するメディア その2
ハディーサ疑惑: 怪しげな証言続く

先月行われた審査の結果、起訴却下の推薦を受けて、先日第一海兵隊遠征軍の司令官ジェームス・マティス(Lt. Gen. James Mattis)中将はシャーラット兵長にかけられた三つの容疑を全面的に却下した。

上記のエントリーでも書いたが、起訴却下の推薦をした審査官のボール・ウェア中佐はシャーラット兵長への検察側の主張をこのように批判している。

ウェア中佐は報告書のなかで、シャーラット兵長にかけられた容疑は「根拠がなく」何度も(起訴されたことが)「信じられない」と語っている。


中佐はさらに死んだイラク人の幾人かは被告が言うように抵抗戦士だったと示唆している。

先月シャーラット被告の審査の指揮をとったウェア中佐はイラク人目撃者の話は存在する物的証拠と矛盾して一致しないと語る。

物的証拠によれば「(殺された人は)誰もみな遠方から正面を向いて9ミリ口径のピストルで撃たれている。これは近距離から処刑された反応とは一致しない。」とウェアは書いた。

中佐は死んだイラク人の親戚は米軍に解剖のために遺体を掘り起こすことを許可しなかったとし、イラク人はアメリカ軍に殺された市民の家族に時々支払われる2500ドルの慰謝料欲しさに嘘をつく強い動機があったことも付け加えた。

このようなイラク人目撃者を信用することは「私の意見では米海兵隊の任務に対する市民の協力を減らすために、米軍にたいして無実の罪を着せるという危険な前例をつくることになると思う」とし、「もっと危険なのは海兵隊が敵に面した重要な時にためらう可能性があることである。」と書いている。

さてここで2006年の6月に、海兵隊員がハディーサで無実の民間人24人を虐殺し、その事実を隠ぺいしたという確かな証拠を取得したと息巻いていたジョン・マーサ米民主党下院議員の話を振り返ってみよう。下記は去年の6月のエントリーから引用。

『米軍の捜査経過の詳細を研究したとして民主党の下院で反ブッシュのマーサ議員があちこちのテレビ局で海兵隊員が一般市民を虐殺した証拠があると発表した。下記はABCがおこなったマーサ議員のインタビューの記事を訳したもの。(翻訳:妹之山商店街さん)

マーサ議員:IEDが爆発したんです...毎日外に出る度にIEDが爆発するんです...ですから毎回プレッシャーが高まっていく訳です。この場合はIEDが爆発し、海兵隊員一人が死亡。そこにタクシーがやって来て、中には四、五人が乗っていました。武装していなかったのですが、この人達を射殺しました。その後、民家を襲撃して人々が殺害したんです。女性の一人は、海兵隊の人から話を聞いた所、子供をかばって命を助けてくれと懇願したにも関わらず射殺したということです。更に気になるのはイラクの人達はこのことを知っていたということなんです。家族に補償金を支払ったからです。それに加え、隠蔽工作が行われたんです。間違いありません。最初この人達はIEDで死亡したと言ったんです。翌日調査の為に要員が派遣されました。ところがそれについて何の報告も行われず、三月になってタイム誌がこれを伝える時誰も何が起こったのかを知らなかったのです...

質問:写真や画像証拠があるとのことですが、本当ですか

マーサ議員:その通りです。捜査を担当した人とイラク側の証拠を入手しました。何が起こったかについては、疑いようがないんです。問題は、誰が、何故、隠蔽工作をしたかということなんです。何故明らかになるのに半年も掛かったんでしょうか翌日調査を行い、ニ、三日後にはこの人達が殺害されたことが分かっていたんです。

まだ米軍による調査がすんでもいないのに、何が起きたかは間違いないとか、隠ぺいが行われたとか適当なことを良く言えたものだ...マーサ議員はタイムスの記事を書いたイラク記者の報道をそのまま鵜呑みにして事実確認もせずに米海兵隊を有罪と決めつけ軍当局が隠ぺいしたと言い切っているのである。...事実関係がはっきりするまでは、有罪無罪の判断をするのはまだ控えるべきである。だが、マーサ議員が隠ぺいがあったといいきってしまった以上、今後の捜査で海兵隊員が無実だったという結果がでても、隠ぺいの疑惑は根深く人々の気持ちに植え付けられてしまったことだろう。』

マーサ議員は元海兵隊員だったくせによくもまあ同胞の海兵隊員に対してテロリストか民間人かも分からないようないい加減な人間の証言だけで、自国軍の兵士をここまでこき下ろせるものだ。これが背信行為でなくてなんだろうか? 今回のことでマーサ議員は証拠もなく米国海兵隊員の名誉を汚したことを正式に謝罪すべきだ。そして民主党はこのような行為をしたマーサ議員を制裁すべきである!

August 10, 2007, 現時間 2:17 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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TNRバグダッド日記ねつ造記事事件に学ぶ匿名記事の危険性

イラク関係 , 狂ったメディア

アップデートあり:後部参照

スコット・トーマス・ビーチャムの、今はねつ造がはっきりしたバグダッド日記がザ・ニューリパブリック(TNR)に掲載されてからというもの、ブログ社会、特に米軍関係者が書いているミルブログの間ではここ数週間この話で持ち切りだった。その間主流メディアはこの出来事をほとんど無視してきたが、昨日になってとうとうアメリカのワイヤーサービスであるAPニュースまでもがTNRを厳しく批判する記事を書いている。

陸軍は今週捜査を終了させ、ビーチャムの証言はすべて嘘であったことが判明したと言っている。

「取調中、隊の隊員全員がビーチャム二等兵が自分のブログで書いていた証言のすべてを否定しました。」とバグダッド第4旅団の報道官ロバート・ティモンス軍曹はメールで語った。(Sgt. 1st Class Robert Timmons, a spokesman in Baghdad for the 4th Brigade, 1st Infantry Division, based at Fort Riley, Kan.,)

記事が疑われた後同誌は元軍人や法医学の専門家、戦地特派員、兵法専門家、そして陸軍報道官を含む十数人と再々確認したという。

TNRはさらにビーチャムの隊の隊員五人からも証言を得たが皆匿名を希望したという。...

APはビーチャム本人とは連絡がとれなかった。陸軍によれば捜査の詳細は公表されないとのことである。「個人的な問題なので内部で処置をします。公開はされません」と陸軍報道官のジョセフ・M・ヨスワ中佐は語った。(Lt. Col. Joseph M. Yoswa, an Army spokesman)

さらにAPは著者が匿名であることは記事の信ぴょう性に疑いを持たせると、ジャーナリズムの学者であるボブ・スティール博士(Bob Steele, the Nelson Poynter Scholar for Journalism Values at The Poynter Institute school for journalists in St. Petersburg, Fla.,)の言葉を引用している。匿名ならば他人に対して根拠のない罪を着せることは簡単にできるし、遠慮なく他人の名誉をけがすことが出来るとスティール博士は指摘している。

しかしTNRが匿名で載せた供述はなにも著者のビーチャムだけではない。TNRが事実関係を確認したという専門家はブラッドリーの製造元や法医学者など、連絡をとったというクエートの基地の報道官の名前すら誰一人として明らかにされていない。上記のAPの記事で2人の報道官の名前と位そして所属する組織がきちんと明記されているように、報道官はメディアと話をする時必ず身元をはっきり表明する。また、専門家が専門意見を述べるのに匿名を希望する理由は全くない。また、ビーチャムの隊の隊員にしても、顔にやけどの痕のある女性をビーチャムと一緒になってからかった友達以外は、この女性を基地で見かけたことがあると証言している兵士らは、それがイラクであろうとクエートであろうと事実ならば名前を隠す必要は全くないはずだ。「あ〜確かにそういう人がいたね。ビーチャムのやつあの人にそんなひどいことを言ったのか。俺がその場にいたらぶっとばしてやるところだった。」というふうにメディアに意見を述べるのは別に軍規約の違反にはならないからだ。

このことに気が付いたミルブロガーの一人はConfederate Yankeeのボブ・オーウェンだ。(注:全然関係ないが彼のブログの名前は北部アメリカ出身の南部軍隊員という意味)

なんといっても興味深いのはTNRはその声明文の中で「十数人の人々」と話して事実関係の確認をしたと発表しているにも関わらず、その専門家の名前を誰一人として紹介しようとしない。またこれらの専門家の資格も公表していない。

その理由として別のミルブロガーのAceなどは、TNRは専門家の名前を明記したりして第三者がその専門家にその真偽を確認したら、事件とは直接関係ない一般的な質問をしただけなのがばれてしまうからだろうと推測していた。

事実オーウェンは独自の調査によりAceらの推測が正しかったことを証明している。下記はオーウェンがTNRが連絡をとったというブラッドリー戦車製造元であるBAF Systemsの通信、地上、武器部のダグ・コフィー部長から直接受け取ったメールの一部だ。(Doug Coffey, the Head of Communications, Land & Armaments, for BAE Systems)

ボブ、あなたの先のメールは受け取りました...あなたの最後の質問に最初に答えると,その通り、私はTNRの若い記者と話をしましたが、彼は単に「ブラッドリーは壁を突き抜けることができるか」とか、「犬がトラックに引っ掛けられる可能性はあるか」とか、その他はブラッドリーの性能に関する一般的な質問だけでした...

オーウェンは先日も、クエートの基地の報道官レネー・D・ルソ少佐が(Major Renee D. Russo, Third Army/USARCENT PAO at Camp Arifjan, Kuwait)TNRの取材に対して、顔にやけどの痕のある女性の話は「都市神話だろう」と答えていた事実を確認している。

今回のこの事件がこのような発展を遂げたのは、本来ならば情報の信ぴょう性を徹底的に確認する義務のある主流メディアがその調査を怠り、自分達の政治偏見にそったものだという理由で自社の従業員の配偶者からの匿名記事をそのまま掲載したことからはじまる。これがベトナム時代ならこのねつ造記事の真相が明かになるまでには何か月もかかっていただろうし、後で記事がねつ造だったことがばれても、その時には人々の間ではすでに米軍兵の悪行というイメージが浸透してしまっていただろう。

だが、インターネットのおかげで軍隊や戦地について詳しいミルブロガーたちが、この話はどうもうさん臭いと、その情報力で真相を突き止めた。特にボブ・オーウェンやマット・サンチェズのプロ顔負けの捜査はお手柄である。

ところでTNRがねつ造記事を掲載したのは実はこれが最初ではない。1998年にもスティーブン・グラスという記者がコンピューターハッカーについて書いた記事がねつ造であったことがフォーブスマガジンによって暴露されたことがある。しかもさらに調べてみると、なんとグラスは3年間にわたって27つの記事をねつ造していたことが明らかになったのだ! これはあまりにも大スキャンダルだったためハリウッドで2003年にShattered Glass(シャタードグラス、砕かれたガラス)という題で映画にもなっているほどである。

TNRはこの語におよんでもねつ造記事を掲載したことを認めていない。それもそうだろう。もしねつ造だと認めれば編集長は辞職を余儀なくされるからだ。こうなった以上、陸軍が捜査の詳細を公表しないのをいいことに、TNRは陸軍はビーチャムを拷問して無理矢理自供させたのだとか、他の隊員たちも脅迫されて事実が言えないのだとか言い張って逃げ切るつもりなのだろう。そうでもしないとメンツが立たない。

しかし今回のことでまたひとつ賢くなった読者はそう簡単にTNRの言い訳を信じはしまい。これはどっかのお偉いさんが言った言葉でまとめておこう。

全ての人を時々は騙すことはできる。
幾人かの人を常に騙すことはできる。
だが、
全ての人を常に騙すことはできない。

アップデート(11, Aug 2007, 18:16 PDT):従軍記者のビル・ロジオがウィークリースタンダードで陸軍のスティーブン・ボーイラン大佐(Col. Steve Boylan)からのメールを発表している。TNRはビーチャムは携帯もコンピューターも取り上げられ家族とはなすことも許されていないとしていたがそれは全くの嘘で、ビーチャムは家族のみならずメディアのインタビューに応じることも自由だとしている。ビーチャムの行為は軍法会議にかけられるような犯罪とは判断されず、書類送検だけで終わることになったが、書類送検の内容は法律によって公開できないことになっている、とのことだ。

関連記事:
「冬の兵士」再び、米二等兵の軍隊バッシング
暴かれたイラク版冬の兵士の嘘
嘘つき二等兵、取り調べで嘘を全面的に認める!

August 10, 2007, 現時間 3:53 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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August 7, 2007

嘘つき二等兵、取り調べで嘘を全面的に認める!

イラク関係 , 狂ったメディア

この間からイラク駐留の米兵の悪行についてザ・ニューリパブリック(TNR)誌のイラク日記というコラムでショック・トゥループという記事を書いたスコット・トーマス・ビーチャム陸軍二等兵の話をしてきたが、本日、陸軍の捜査でビーチャム二等兵はTNRに書いたことはすべて嘘であることを認めたという記事が8月6日付けのウィークリースタンダードに掲載された。これは先日マット・サンチェズが報告しConfederate Yankeeのオーウェンが確認を取った陸軍による捜査の結果をさらに詳しく報道したものだ。

事件の背景は下記をご参照いただきたい。

「冬の兵士」再び、米二等兵の軍隊バッシング
暴かれたイラク版冬の兵士の嘘

ウィークリースタンダードは軍隊の捜査の関係者から、スコット・トーマス・ビーチャムはTNRに掲載された三つの連載記事に書かれた内容は誇大表現を使った嘘であり「一握りの真実」しか含まれていないねつ造であることを認める、という自供書に署名をしたという情報を得たという。

また別に、多国籍軍バグダッド支部の副報道官であるスティーブン・F・ラム少佐(Major Steven F. Lamb, the deputy Public Affairs Officer for Multi National Division-Baghdad)によれば、ビーチャム二等兵の捜査は完結し、二等兵の書いたことはすべて嘘であることが判明したとのことだ。取り調べを受けた隊の誰一人としてビーチャムの話を裏付ける者はなかったという。これもサンチェズとオーウェンが先日確認した情報と一致する。

ところでビーチャムの自供は捜査の初めの頃にされたものだという。ということはTNRが記事は正しいと大見見栄を切って声明文を発表していた時、すでにビーチャムはすべて嘘だと白状していたことになる。

これについて元陸軍特別部隊隊員のミルブロガー、ブラックファイブのジンボーおやじの感想は、当たり前だが、かなり辛らつだ。

俺はスコティーをちんぴらと呼び自分がねつ造した糞話で奴が言ったようなことを何一つやってない隊員仲間に糞を投げつけるこようなことをした以上、背中には気をつけるべきだと言ったことで、左翼連中から批難の集中砲火を浴びた。左翼の奴らは奴がショックトゥループで書いたことは明かに真実なのだから何を怒る必要があるのだろうかとおもったのかもしれない。そりゃそうだ、俺たちは皆、頭がい骨を掘っては帽子がわりにかぶってるんだからな。

ジンボーの親爺っさんも、サンチェズやオーウェンといった他のミルブロガー達も、最初からビーチャムの話はおかしいと疑っていた。ジンボーにいたっては「スコット・トーマスは糞やろうだ」と最初から全く信用していなかった。だからこそ彼等はTNRを問いつめたのであり、個別の捜査を行い、陸軍が正式な捜査を行うに至ったのである。

さて、ではこの新しい情報の進展で、TNRは反省して謝罪をするかと思いきや、ウィークリースタンダードが関係者から得たという情報は確認できないという声明文をだしただけ。TNRはわざわざ軍当局に問い合わせなどしなくても、ちんぴらビーチャムに直接問いただせばいいではないか、それとも奴さん、TNRに勤める自分の女房にも自供書のことをはなしてないのかな?

August 7, 2007, 現時間 9:59 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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August 5, 2007

イラク戦争の成功は問題、と米民主党幹事うっかり本音

アメリカ内政 , イラク関係

なんとか勝てる戦争に負けようと必死で拘束力のないイラク撤退議案を次から次へと提案しているアメリカ民主党議会だが、先日その党幹事がニュースのインタビューで民主党が勢力を得るためにはイラク戦争での成功は好ましくないと、思わず本音をもらしてしまった

サウスカロライナ代表民主党下院幹事のジェームス・クライバーン議員は(House Majority Whip James Clyburn)月曜日デイビッド・ペトラエウス陸軍将軍によるイラクからのいいニュースは民主党を分裂させイラク撤退の時間制限を進めていくのは難かしくなるだろうと語った。

ワシントンポストのおこなったポストトークというオンラインビデオでのインタビューにおいて、クライバーン議員はイラクにおけるアメリカの戦略に関する議案は9月に行われるペトラエウス将軍の報告を待ってからにすべきだと発言。ペトラエウス将軍はブルードッグといわれる保守派の民主党議員たちの間で非常に高く評価されているため、将軍の報告次第でこれらの議員たちの意見はかなり左右されるはずだとし、これらの議員たちの協力なくしてイラク撤退議案は通らないと語った。

私はこのインタビューの模様をラジオで聴いていたのだが、司会者がもしペトラエウス将軍の報告がイラクでの新作戦はうまくいっているという内容だったら民主党はどうするのかという質問に対して、クライボーン議員は「そうなったら我々には大きな問題だ。」と本音を漏らすのを聴いてしまった。

「(ブルードッグ民主党)のグループには現在のイラク方針を保つことを支持する人が充分に出て、もしこれまで通り共和党が団結し続ければ我々(民主党)にとっては問題です。」

自分の国が戦争で勝つことより、自分の政党の勢力を強めることのほうが重大だという民主党。これでは民主党は非国民と責められても文句はいえないだろう。

August 5, 2007, 現時間 12:33 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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August 3, 2007

暴かれたイラク版冬の兵士の嘘

イラク関係 , 狂ったメディア

アップデートあり!

この間からスコット・トーマス・ビーチャムというイラク駐留のぺーぺー二等兵著のイラク駐留のアメリカ兵士の悪行を綴ったイラク日記三部作の真偽について色々と取りざたがされていることを私はここで書いた。

スコットは自分と友達がイラクの基地食堂で路肩爆弾で大けがをし顔に傷のある女性をからかって友達と大笑いした話や、大量埋葬地で見つかった子供の頭がい骨を頭にのせて歩き回った二等兵を周りにいたどの兵士たちもとがめるどころかげらげらと笑って見ていた話、そして同胞の兵士が戦車を日常的に乱暴に乗り回して地元の出店などを破壊していただけでなく、野良犬をみるたびにわざとひき殺していたという話をあげて、いかにイラク戦争がごく普通の人間だった兵士の心を蝕み普通では考えられないほど無神経で悪趣味な行動をするようになるかを描いた。

しかし掲載直後から、現在イラク駐留中のほかの兵士や帰還兵などの間からこの話はかなりうさん臭いという批判があがり、批評家たちはスコットの日記を掲載したニューリパブリック(TNR)誌に対してこの話の真義を問いただし、著者の実名や記事の根拠を提示しろとTNR誌に詰め寄っていた。後に著者の正体があるミルブロガーによってスコット・トーマス・ビーチャムという陸軍二等兵であることが暴露された後もTNR誌はずっと自分達の捜査に問題はなかったとは言いはっていた。

ニューリパブリックは昨日になって調査の結果日記の内容はほぼ正確であることが確認できたと発表した。しかしこの説明には色々と問題点がある。先ずこの声明で著者のビーチャムの妻がTNRの社員というコネがあったことがはっきりした。しかも彼女の仕事はリポート調査員で、本来ならば記者の書いた記事の事実関係を調べるのが仕事だ。記者が夫だったら彼女はちゃんと事実関係の確認などしたのかどうかかなり疑わしい。いやそれだけでなく残酷な戦争によってシニカルになった現役兵士による日記という発想そのものが妻の入れ知恵だった可能性も高い。とにかく先ずTNRのいい分を読んでみよう。

ビーチャムのエッセイはすべて公開前に事実確認がされました。私たちは詳細の真実性ついてエキスパートや目撃した証人と確認し、そして著者本人にもさらに詳細について問いつめました。しかし戦地から一人称でのエッセイを掲載するにはある程度著者を信用しなければなりません。ビーチャムについて個人的にもプロとしても我々が知りうる限り彼のリポートは信用できると判断しました。彼のエッセイの真偽に関して疑問があがった後、TNRはさらにビーチャムの証言を再確認しました。

この調査のプロセスにおいて、TNRは数えきれないほどのエキスパートや関係者にインタビューし広範囲に渡り綿密な調査を行ったとしている。

...もっとも大事なのは私たちはビーチャムの隊にいるほかの5人のメンバーにインタビューし、彼等はみなビーチャムの話を確証しました。彼等は直接目撃したか事件当時に話を聞いたかしています。(インタビューに応じたすべての兵士が匿名を希望しました。)

まず基地の食堂で顔にやけどの痕のある女性を侮辱した件に関して、TNRは三人の兵士をインタビューしたが、皆そういう女性を見たことは覚えていると証言。そのうちのひとりはスコットと一緒に女性をからかった当人である。ただ問題なのはこの三人ともこの話がおきたのはイラクではなく彼等がイラクへ出動する前に2週間ほど待機していたクエートの訓練基地の食堂でのことだったと証言していることである。ということはビーチャムが6か月に渡るイラク駐留ですっかり心が荒んでいたのが原因で女性をからかったと書いていたのは真っ赤な嘘だったということになる。イラク戦争が兵士の心を蝕んだという例としての話がイラク戦争に出動する前に起きていたとしたら、これは単にビーチャムが戦闘体験をする前から下衆だったということの証明になるだけで、戦争とは何の関係もない。つまり全く無意味な話だったということになる。

しかし軍関係の人の話によると。このクエートのCamp Buehringという基地は非常なへき地にあり、何十万というアメリカ兵がイラク出動前後にほんの2〜3週間滞在するだけの基地だそうで、どのような事件があったにしても目撃者を探すのは非常に難かしいという話だ。自分もイラク帰還兵で元海兵隊員で現在は予備軍にいるミルブロガー、マット・サンチェズはCamp Buehring訓練基地に連絡を取って2006年9月当時にこのような女性が存在していたのかどうかを問いあわせたところ、基地の報道官からはそのような女性がいたという事実は確認できないという答えが返ってきたという。

さて二番目の二等兵が大量埋葬地で見つけた子供の頭がい骨を頭につけて歩き回っていたという話だが、TNRによるとこれにも目撃者がいるという。陸軍は公式にビーチャムの隊が大量埋葬地を発見した事実は確認できないと声明文を出しているが、ニューリパブリックはイラクで人骨が発見される例はよくあることで、それがいちいち上層部に報告されるとは限らないという別の将校の証言を紹介している。ビーチャムが駐留していた基地の近所には児童墓地があったことは確認されているため、ビーチャムの同胞が子供の頭がい骨を発見してもおかしくないとしている。

しかしTNRはわざと大量埋葬地と墓地とを混合している。イラクでは多くの大量埋葬地が発見されているが、これは家族や親族が亡くなった人間を弔って埋めた場所ではなく、イラク軍によって大量に虐殺された市民の遺体が無造作に埋められた場所をさす。そのような埋葬地は普通の墓地とは違って犯罪現場として扱われ発見した兵士は即座に軍の捜査部に報告する義務がある。そのような場所での作業には必ず曹長もしくは将校が立ち会うはずであり、これらの情感が二等兵による墓荒らし行為を黙ってみていたとは考えられない。

TNRはこの出来事に証人がいるとはしているものの、TNRのあげた証人のうちひとりは、イラクで人骨が見つかることはよくあることだと証言しているにすぎず、頭がい骨を頭にかぶった二等兵を目撃した証人はひとりだけなのである。もしビーチャムのいう通り一日中頭に頭がい骨をかぶって遊んでいた隊員を他の隊員たちが皆笑いながら見ていたというのが本当だとしたら、どうして目撃者がひとりしかいないのだ? もしかして、この目撃者は食堂でビーチャムと一緒になって女性をからかった友達と同一人物ではないのか?そして頭に頭がい骨をのせて遊んでいたのは誰あろうビーチャム本人なのではないか?

墓地移動の作業中にビーチャムとこの友達が子供の骨を見つけて、ビーチャムがその頭がい骨を頭にのせて二人で笑っていたということならあり得る話だ。路肩爆弾で怪我した女性をからかえるぐらい無神経な下衆どもがそういう馬鹿な真似をしたとしてもおかしくはない。だがそうだとすればこれも単にビーチャムとその悪友の無神経ぶりを示す例であって、隊員たちの誰もこのような行為で気分を害さなかったという戦闘に疲れた軍人の一般的な精神状態を示す例としては全くふさわしくないことになる。

さて、三番目の犬を轢き殺す趣味のある戦車運転手の話だが、これにも目撃者が一人いる。

これについてビーチャムが説明した事件を目撃した一人の兵士は電子メールでこう書いています。「自分はこれを何度も目撃しましたが、標的の犬に近付く時ブラッドリーを犬がいるのと反対側の道路に突然ヨークを切ります。すると戦車の後部が犬のいる方へと振れるため、脅えた犬が道の真ん中に走り込むわけです。運転手がそこで舵を切って戦車を道路にもどせば道路に走り込んだ犬はチョークの輪郭で書けるかたちなる(殺される)というわけです。」

TNRはブラッドリーの製造元や運転の訓練官などに連絡してブラッドリーをこのように操縦することが可能かどうか確認したという。しかしここでも問題なのは証人が一人しかいないということだ。実際ビーチャムの話を確認している証人はそれぞれの事件でひとりづつしかいない。だがこの兵士は三人の別々な人間なのか同一人物なのか匿名であるため全くはっきりしない。

先に紹介したマット・サンチェズによれば、本日陸軍は一連の事件の調査を終了し、ビーチャムのエッセイは根も葉もない出鱈目であると発表したとのことだ。(公式発表のリンクは取得次第掲載する)

一週間近くに渡る綿密な捜査の結果、第1歩兵師団第4歩兵旅団戦闘チーム(4th Infantry Brigade Combat Team, 1st Infantry Division)はスコット・ビーチャムが「バグダッド日記」に記載した容疑は隊のメンバーすからが否定しており偽りであることが証明された。

もし隊員の全員が否定しているとしたら、この三つの事件を目撃した証人とはどこの誰なのだろうか? TNRはこの証人の信用度についても説明する必要がある。TNRがガセネタを報道したことは過去に二回ある。もし今回のこの記事もガセだったことがはっきりしたらもうこの雑誌廃刊にすべきだろう。

訂正:本文中に引用したマット・サンチェズ元海兵隊隊員はイラク帰還兵と書いたがこれは私の勘違いだったので訂正した。サンチェズは現在リポーターとしてイラクに在住中である。またサンチェズが海兵隊に入隊する前にゲイポルノのモデルをしていたことがあると読者から指摘を受けた。今回の事件とサンチェズの過去は無関係なので特に記載しなかったが、別に隠していたわけではない。私はそのことが明らかになった3月にそれに関して、
金髪美女政治評論家の失言に見る右翼のヒステリー、左翼の偽善
で書いている。サンチェズは海兵隊に入隊することによってデカダンスな生き方から価値ある人生を見いだした典型的な例である。しかし今回私がそれについて記載しなかったことでサンチェズの過去を私が隠していたという印象を読者に与えたことは私の誤りであったので認めよう。今後気をつける。

アップデート(08/05/07, 14:34 PDT)Confederate Yankee が直接陸軍の捜査結果についてメールで確認。

このメールはイラクデイビッド・ペトラエウス司令部の公共関係部スティーブン・ボイラン大佐がCYに送ってきたもので、私が本文中に現在イラク滞在中のマット・サンチェズなどが書いていた米陸軍によるスコット・トーマス・ビーチャム二等兵に関する捜査が完結したという事実を確認するものである。以下そのメール内容。

トーマスが言っていたことに事実はあったのかという質問だが:

答え: 隊が行った捜査によりトーマスの陳述が偽りであることが判明した。トーマスの隊の隊員すべてにインタビューを行ったが誰一人として彼の主張を裏付けるものはいなかった。

彼は今後どうなるのかという質問について:

答え:犯罪をおかしたという証拠はないので、彼の上官から事務的な処罰が加えられるものと思われる。種々の規則によって事務的な処置に軍隊がどうするしないについては一般に公開することは出来ない。

アップデート2:(08/05/07 21:13 PDT) 同じくConfederate Yankeeがクエートの基地報道官( Major Renee D. Russo, Third Army/USARCENT PAO at Camp Arifjan, Kuwait)と交わしたメールのなかで、TNRの記者にもビーチャムの記事に載っているような女性の存在は確認できない、ビーチャムの話は「都市神話」だろうと話したと書かれていたという。ということはTNRは自分達の捜査の結果裏はとれたと納得したと発表した時、すでにクエートの基地報道官からこの話は真実ではないらしいという話を聞いていたことになる。どうしてそのことを報道しなかったのだろうか?

August 3, 2007, 現時間 8:48 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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August 1, 2007

ブッシュ政権のプロパガンダ? 国防庁のブロガー座談会

アメリカ内政 , イラク関係 , 狂ったメディア

今日は国防庁が主催しているブロガーラウンドテーブルという電話会議について紹介しよう。

言うまでもないがアメリカの国防庁には広報部がある。最近この広報部は軍関係の記事を書いているブロガーたちに注目しはじめている。なにせ主流メディアはイラクやアフガニスタンで自爆テロが何人市民を殺したとか、アメリカ兵が路肩爆弾で何人死んだとかいう話は報道しても、アメリカ軍がイラクで学校や病院を建設したとか、テロリスト相手にどのような戦いをしてどのような成功をおさめているかという功績はほとんど報道しないので、より多くの人々に米軍関係のニュースを読んでもらうには、軍に興味のある人が読んでいるメディアムを探す必要があるからだ。

実は私が国防庁の広報部の新しい方針を知ったのは、何を隠そう広報部の人から直接私のところにメールがきたからである!これはもう一年以上も前のことになるが、私がミスター苺と経営している英語のブログ、Big Lizards.netにアメリカ軍によるイラク軍の訓練の話を書いたのを広報部の人が読んだらしく、アメリカ軍の活動に興味があるのならニュースレターを送ります、と連絡があったのである。今でも広報部の名簿に私のメールアドレスは載っているので、時々ニュースレターが送られてくる。

しかしそれに加えて最近国防庁は人気のあるブロガーを集めて最近の軍の活躍について電話会議をするようになった。うちのような零細ブログは招待されていないが、政治ブログやミルブログの経営者たちが多く参加しているようだ。その会議の結果は国防庁のウェッブサイトのブロガーズラウンドテーブル(ブロガー座談会)というページで読むことができる。

このラウンドテーブルをブッシュ政権のプロパガンダ作戦だと批判しているのはハーパースマガジンに書いてるケン・シルバースタイン(Ken Silverstein)というジャーナリストである。

シルバースタインは、ラウンドテーブルの目的は主流メディアを飛び越してブッシュ政権のプロパガンダをおうむ返しに報道してくれそうな選り抜きの軍事分析者や保守派評論家や退役軍人などのブロガーを集めて政権が報道してほしい情報の要点を示すことにあると主張する。ラウンドテーブルに参加した人々がその後そこで得た情報を元にした記事を書いていることが何よりもその証拠だというのである。

ブロガーたちは自分達は何も悪いことはしていないという前に、彼等に一つ聞きたいことがある。もしも政権が選り抜いたリベラルのブロガーばかりがクリントン時代に同じことをしたら彼等はどう思っただろうか。彼等は強く抗議したに違いない。そして私もそれに同意しただろう。どちらの側にいようと片方だけで政権のゴスペルを広めるべきではない。少なくともジャーナリストの振りをするなら、そのくらいの基準は保つものだ。

しかしラウンドテーブルによく参加しているミルブロガーの大御所、ブラックファイブのグリムによれば、ラウンドテーブルの参加者は保守派だけではないという。例えばこのブロガーはラウンドテーブルの会議の後、ペンタゴンがどんな嘘をついているかという内容の記事を書いているくらいだ。

国防庁は毎朝主流メディアを集めてその日のニュースを発表している。ブロガーたちへのラウンドテーブルはその繰り返しにすぎない。第一ラウンドテーブルで話されたことは国防庁のサイトで公開されているのだから、右翼だろうと左翼だろうと興味のある人なら誰でも読むことは可能なのである。それをあたかもブッシュ政権が選んだ秘密結社の会合かなにかのように批判するシルバースタインの態度には呆れる。

グリムはシルバースタインはこの会合が保守派のみを対象にしていることに抗議をしているのではなく、国防庁のお偉方が主流メディア以外の人々と話をしているということが気に入らないのだという。ニュースのソースはエリートメディアだけであるべきだとでも考えているのだろう。

またグリムはラウンドテーブルで情報提供をしている人々はブッシュ政権の人間ではなく職業軍人だと強調する。軍人は政治家ではない。シルバースタインのようなジャーナリストは軍人を政治家と混同していることに誤りがあるのだという。

「お前たちは本当のジャーナリストではない」というのは彼の言葉で「私のようなプロのみが高官とはなす権利があるのだ、お前らのような資格のない連中とではない。」という意味なのだ。これは「記者」という特別な立場を守りたい、たかがブロガーや一般市民などが重要な人々に面会する資格はない、というアイデアを守っているのだ。 こういう仕事は共和制の門番であるジャーナリストに任せるべきだというのだろう。

ある意味でこれは非常に面白い。私が「ジャーナリストの振り」したがっていると言う考えには笑わされる。ジャーナリストの基準などという私が目指すべく崇高なものが存在するかのようだ。どういう意味か説明させてもらおう。 もし私が軍隊の作戦上の秘密を手に入れたとしよう。私は普通のジャーナリストが経験するという、その話を報道するか国家秘密を守るかというジレンマに悩まされることはない。ジャーナリストによるこの「緊張」は必ず秘密を報道するほうに傾くことに気付く。しかし私にはそのような緊張は存在しない。そのような秘密情報をどうするかといえば、善良な市民なら当然すべきであることをするのみだ。それには敵に役に立つように報道することは含まれていない。

私は現地で戦う我々の人々に忠誠心を感じる。彼等は私たちを守ってくれているのだ。この忠誠心は二方通行である。つまり、私はジャーナリストではない。私はアメリカ市民であり、健康な国内議論に参加しているのだ。そのために資格など要らない。その資格を得る代償がアメリカと敵との間で中立であることだというなら、そんなものは欲しくない。

自分達は左翼のプロパガンダばかりを流しているくせに、ジャーナリスト以外の人間が情報提供をしたらそれは政権のプロパガンダだとがなり立てるエリートメディア。お前たちがちゃんと真実を報道していればブロガーもトークラジオも必要ないのだ。主流メディアが本当のことをきちんと報道しないから我々は他のメディアムに頼ることになるのである。情報はジャーナリストだけのものではない。それをエリートメディアはいい加減気が付くべきだ。

August 1, 2007, 現時間 1:14 PM | コメント (2) | トラックバック (0)

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July 30, 2007

隠しきれないイラクからのいいニュース

イラク関係

昨晩遅くキャプテンズコータースを読んでいたら、これまでイラクからの悪いニュースしか興味がなかった左向きのニューヨークタイムスにイラクからのいいニュースが載っているとあってちょっと驚いた。

この記事を書いているのは左系のシンクタンク、ブルッキングスインスティトゥーション( Brookings Institution)のマイケル・オーハンロンとケニス・ポーラック(Michael O'Hanlon and Kenneth Pollack)のふたり。二人は最近イラクの視察旅行から帰国したばかりだ。

これがアメリカ人が理解しなければならない一番大事なことなのだが、我々はついにイラクで良い方へ向かいつつある。少なくとも軍隊用語でいえばそうだ。ブッシュ政権のぶざまなイラク政策を厳しく批判してきた二人の分析者として、我々はその目覚ましい向上ぶりに驚いた。必ずしも「勝利」とは言えないまでも、イラク人も我々も容認できるような状況維持の可能性が見られたからである。

バグダッドに着いて天火のような暑さを感じた後、最初に気が付くのは我が軍の士気の高さである。以前の訪問ではよくアメリカ兵たちの怒りや欲求不満を目にしたものだ。多くの兵士たちが作戦は間違っている、間違った戦略によって成功する可能性のない目的のために命が危険にさらされていると感じていた。

しかし今日(こんにち)士気は高い。兵士や海兵隊員たちやは、今回、有能なデイビッド・ペトラエウス将軍を司令官として迎えたことで将軍の戦略で確固たる結果を得ることができると自信をもっていること、やっと必要な兵数が整い状況を好転させることができることなどを我々に語った。

イラク各地でアメリカの陸軍や海兵隊は地元のイラク警備隊と協力し、電気、燃料、清潔な水、衛生といった基本的な生活環境を人々に供給できるよう、地元の必要度にあわせて政治面や経済面での援助に取組んでいるという。その結果市民の死亡率は増派が始まってからなんと1/3に減っているという。このリポートがブッシュ政権のイラク政策に非常に批判的であった人たちからの報告であることもさることながら、それをニューヨークタイムスが掲載したということは大いに意味のあることである。

折も折り、イラク視察から帰国したキース・エリソン議員もイラクの情勢は目覚ましく良くなっていると報告したとミスター苺が書いている。キース・エリソン議員といえば、ミネソタ代表でアメリカ発のイスラム教議員として話題になった民主党の下院議員であり、ブッシュ政権のイラク政策には非常に批判的な議員のひとりだ。

エリソン議員はアンバー地区のラマディを訪問し、地元のシークたちと会見した。このシークたちはアンバー・サルベーション・カウンシル(the Anbar Salvation Council)と言うスンニ派の反アルカエダ勢力のメンバーらしいのだが、彼等はエリソン議員にアメリカに帰って自分達がどれだけアメリカ軍に協力してアルカエダと戦っているかを伝えてほしいと嘆願したという。特にアルカエダはスンニの代表ではないと強調したそうだ。

「彼等はアルカエダが間違ったイスラム教像を広めていることに非常に腹をたてています。」エリソン議員は月曜日帰国途中のドイツから電話で語った。「彼等はもっと洗練された正しいイスラム教のイメージを広めるために私に何ができるかを語りました。」

私はここ数年APやロイターのヘッドラインを読んでいるが、イラク戦争が始まって以来およそ良いニュースを示すヘッドラインを読んだことがなかった。「ラマディ戦闘、アメリカ兵二人戦死!」「バグダッド市街戦で市民10人死亡」といったヘッドラインばかりがもう4年も続いているのだから、多くのアメリカ人がイラク戦争はもう駄目なのではないかと気が滅入るのは当たり前である。

しかし実際にはイラクでは良いことも起きていた。一見悪いニュースに見える記事でも、よくよく読むといいニュースが埋もれていることがままああった。例えば、アメリカ兵が殺されたという記事も、よく読んでみると100人のテロリストに囲まれた十数人のアメリカ兵が勇敢に戦った末、テロリストはほぼ全滅、こちらの犠牲者は二人だったというようなことが結構あったのである。本来ならばこの記事のヘッドラインは「ラマディで激戦、米軍、テロリスト100人を殺傷!」とすべきニュースなのだが、ヘッドラインが与える印象だけでイラクはひどい状態だと考えて中身を読まなかった読者がどれだけ居ただろうか?私が2年前にミスター苺とBig Lizardsをはじめたのも、こうしたイラクからの隠れたいいニュースをなるべく取り上げたいと思ったからだ。

しかし最近ニュースのヘッドラインに変化が起きてきた。イラクやアフガニスタンでの戦闘でアメリカ兵の犠牲者の前にテロリストの死亡数が記載されることが多くなってきたのである。以前にミスター苺はこんなことを言ったことがある。いくら主流メディアでも本当にイラクの情勢が良くなっているなら、いつまでもその真実を隠し通すことはできない。なぜなら昔と違ってネットやケーブルといった情報源は他にもあるし、イラク戦地で実際の状況をみてきた従軍記者や帰還兵からの直接の情報も入ってくる。アフガニスタン戦争中にいくらソ連政府が情報規制をしてアフガニスタン戦況はうまくいってるというプロパガンダを流しても、戦地から帰還した兵士らの話などからソ連軍がアフガニスタンで惨敗している情勢がソ連市民に伝わったように、いずれはイラクからのいいニュースがアメリカ市民の間でも広まるだろうと。

2月から始まったアメリカの新作戦は非常な成功を遂げている。ブッシュ政権のイラク戦争のやり方はまずいと考えていた批評家たちでさえその事実を無視できなくなってきた。だからこそ主流メディアすらもイラクからのいいニュースを報道せざる終えなくなってきたのである。

戦争反対イラク即撤退と騒いでいる民主党が多数議席を占めるアメリカ議会は夏休みが終わって帰ってきたら、ペトラエウス将軍のイラク情勢にかんする報告を受けることになっている。もしそれまでにイラク情勢が左翼メディアですらも無視できないほど好転し、人々がイラクからのいいニュースを毎日読むようになっていたらどうなるのだろう?

July 30, 2007, 現時間 6:00 PM | コメント (3) | トラックバック (0)

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軍人の戦争支持はプロパガンダなのか? 勝利を訴える帰還兵団体VFFを考える

イラク関係

先日私はとんだ茶番劇! 米議会イラク撤退徹夜議論の結末はで、イラク・アフガニスタン帰還兵からなる戦争支持派のVets for Freedom(VFF)という組織のメンバーが民主党の反戦決議案に反対して議員たちと直談判するためワシントンへ乗り込んだという話をした。その時、民主党の議員たちは彼等にそっぽを向いたという話もした。

主流メディアもほとんど取り上げず完全無視を決め込もうとしたが、ブッシュ大統領が一時間も帰還兵たちと会談をしたため、完全無視はちょっと無理だった。(Hat tip Power Line)

しかしこのような戦争支持団体が現れると反戦派からの潰しがかかるのは、もういつものことである。実際は帰還兵による反戦草の根運動なんてののほうがよっぽどもうさん臭いのだが、ま、それはいいとして、反戦派はVFFはどちらの党にも所属しない無所属の団体であると表明していることにかなり腹をたてたようで、なんとかVFFは共和党直属の表看板団体なのだと証明しようと必死である。

センター・フォー・メディア・デモクラシー(CMD)という極左翼団体のこの批判など典型的な例である。

Vets for Freedomという政権のイラク戦争進路を守ろうとロビーしている団体の背後にいるものは何者なのであろうか? 我々の捜査ウェッブサイト、ソースウォッチでは、まさにその問題を取り上げている。無所属で愛国的という建前の目的はかなりうさん臭い。

実際このCMDなる団体はソースウォッチというウェッブサイトでわざわざVFFのカテゴリーを設けてVFFの信用度を落とそうとしている。しかしCMDはVFFが共和党直属の組織だと証明しようとして、図らずも民主党がどれだけ軍隊を支持していないかを証明してしまっている。

CMDの捜査部ソースウォッチではVFFが実は共和党直属の表看板なのだという 根拠としてVFFが共和党関係者から公共関係、メディア、法律などの助言を受けているということをあげている。だが単に共和党関係者から多くの助言や援助をもらっているというだけではVFFが共和党直属だという証拠にはならない。

元来「共和党の表看板団体」といはどういう団体を意味するのといえば、看板グループの目的が共和党の政治方針を押し進めることになければならない。単に団体への援助が主に共和党から来ているとか、この団体の支持する方針が共和党の方針の一部と一致しているというだけでは不十分である。

例えば全アメリカライフル協会(NRA)は大抵の場合共和党を支持しているが、それは単に共和党議員の方が民主党議員に比べて市民の銃砲保持権利に同情的だからである。だが、NRAはプロガンの民主党議員ならアンチガンの共和党議員を差し置いて支持することはざらである。なぜならNRAにとって大事なのは銃砲保持権利なのであって、共和党の政治力前進とは直接関係ないからである。

これと同じようにVFFの唯一の目的はイラクとアフガニスタンの戦争を最後までやり遂げることにある。だからこそ彼等は無所属のジョー・リーバーマン上院議員の選挙を応援した。コネチカット代表のリーバーマン氏は2000年には民主党の副大統領候補にまでなったほどリベラルな人でおよそ共和党シンパとはいえない。戦争支持の件で民主党を離脱して無所属になったとはいえ、ほかの面では75%の割で民主党の方針を支持している。

ではここでCMDがVFFが共和党の表看板団体だとする根拠を具体的に分析してみよう。

VFFのメンバーはネオコンのロビーイストであると言う嘘

CMDのソースウォッチはVFFのメンバーがネオコンだという根拠はかなり希薄だ。

  • VFFのメンバーであるアレックス・ガロの戦争支持の記事が2007年7月18日、ナショナルレビューオンライン(NRO)に掲載された。ガロはリーバーマン議員の選挙運動を応援した。
  • 2006年に元ホワイトハウス報道官の公共宣伝会社がVFFの創設者ウエイド・ザークルとデイビッド・ベラビアを主流メディアに従軍記者として推薦し、ニオコン週刊誌の記者として雇われた。同雑誌の編集者ビル・クルスタルは後にVFFの非公式アドバイザーとなり、共和党戦略者のダン・セノアーに紹介し資金集めに協力している。

戦争を支持しているクリスタルが戦争支持関係の記事を出版したからといって何がおかしい?テイラー・グロスやダン・セノアといった面々もコネはあるとはいえ政治家ではないただの一般人だ。VFFが同じ意見を持つ一般人の援助を受けたからといって何が悪い? 普通ロビーというからにはどこかの団体に雇われて代わりに政治家に説得にあたることをいうのであって、自分達の意見を議員に直接訴える行為は「議会への嘆願」というのである。

VFFは右翼団体であるという嘘

同じような理屈でCMDはVFFの活動を取り上げたのが右翼のブロガーや雑誌、ウォールストリートジャーナルという「保守派」の新聞だけだったことからVFFは右翼団体だと決めつけている。反戦のブロガーや編集者がVFFの活動に興味がないのは当たり前。ましてやラリーの宣伝などするわけがない。だがもし過激派左翼のデイリーコスやワン・コールや、左よりのニューヨークタイムスが取り上げてくれたらVFFは喜んで受け入れただろう。宣伝は大きければ大きいにこしたことはないからだ。

CMDはくだらない陰謀説など考える暇があったら、どうして主流メディアがVFFの活動を無視しているのかという疑問を抱くべきである。反戦派の帰還兵グループ、An Appeal for Redressが議員たちとイラク撤退について話にきた時は大々的に取り上げていたメディアがなぜ戦争支持の帰還兵グループの勝利への訴えを無視するのかそっちの方が大事な質問ではないのか?

ここでCMDが証明したのは民主党と名ばかりの共和党議員たちは、口では「軍隊を支持しよう」などと言っているが、実は軍隊もそしてその任務も全く支持していないということだけだ。

VFFのメンバーは共和党議員との会談しか興味がなかったという嘘

ソースウォッチはVFFのメンバーがリーバーマンを例外として、共和党の議員としか会見しなかったこと、記者会見の席には民主党議員がひとりも出席していなかったことを指摘して、彼等の目的はもともと共和党議員とあうことだったのだと書いている。しかしこの間も私が指摘しているように、VFFは民主党議員にたった5分間でいいからという会見のリクエストを拒絶されたのである。

ここでCMDが本当のジャーナリストなら、どうして民主党の議員は誰も記者会見に参加しなかったのかきちんと調べるべきである。VFFは共和党議員だけ招待したとでもいうのか? むろんこれは完全にナンセンスだ。ソースウォッチは民主党議員がVFFとの会見を拒否した事実を十分に心得ているのである。なぜならソースウォッチが引用した新聞記事にちゃんとそう書いてあるからだ。

「増派支持の帰還兵と会見したのは彼等と見解を共にする議員たちだけだった。彼等の本当の標的であった反戦派や戦争支持の揺らいでいる議員たちはシニアスタッフを送り込んで自分達は影に隠れていた。」とマッカーシー(記者)は書いている。

帰還兵たちが反戦派議員に興味がなかったのではなく、民主党や名ばかりの共和党の反戦派議員たちが帰還兵のいうことなど聞く耳もたないと拒絶したのである。これでは話が逆さまだ。

VFFの資金源は怪しいという勘ぐり

VFFが創設した去年の初期から、CMDはVFFの資金源が怪しいといい続けてきた。しかし去年の6月の段階でCMDの調査が得たものは下記である。

  1. VFFのウェッブサイトはかっこ良すぎる。
  2. 今は消えているが、VFFは一時、ウェッブサイトに「時々情報を他の共和党候補や同意見の人々と共有することがある。」と記載していた。
  3. VFFは反戦派の民主党のジョン・マーサ下院議員に何かと反論している。
  4. 組織の資金源に関する情報がほとんど存在しない。

一年後の今日もソースウォッチの調査はほとんどはかどっていないらしく、CMDはVFFの資金源について新しい情報は全く提示していない。言い換えればVFFの資金源が共和党であるという証拠はゼロなのである。

というわけで、CMDはVFFが共和党直属の表看板グループであるという証明には完全に失敗している。VFFは共和党の団体でもなければ資金源におかしな面もない。

CMDは実際に戦場で戦った兵士たちが戦争を支持するはずがないという先入観から、帰還兵たちの動機を最初から疑ってかかった。だがその過程において彼等が証明したものは、我々右翼の戦争支持者たちがずっと主張してきたことだった。それは共和党は軍隊を本気で支持しているが、民主党は全く支持をしていない、という事実である。

軍人が戦争を支持したら共和党のプロパガンダに違いないという考えはやめてもらいたいものだ。

July 30, 2007, 現時間 2:32 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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July 29, 2007

アジア杯:祝 イラク初優勝!!!!

イラク関係

やった、やった、やった〜!!!イラクがサウジに勝って優勝した〜!

イラク、1—0でサウジに勝利 アジア杯に初優勝

 東南アジア4カ国で共催されたサッカー・アジアカップ決勝が29日に行われ、イラクがサウジアラビアを1—0で破り、初優勝を遂げた。サウジアラビアは大会最多となる4度目の優勝を逃した。最優秀選手には、後半にCKから決勝点を挙げたユーニスが輝いた。得点王は4点で並んだ日本の高原(フランクフルト)、ユーニス、Y・カハタニ(サウジアラビア)の3人が獲得した。また、日本はフェアプレー賞に輝いた。

イラク人はサッカーを非常に真剣に見ているので、この優勝には重要な意味を持つ。イラク政府は仕事は半日にして市民が早く帰宅してテレビを観られるようにしたそうだ。下記はイラク・ザ・モデルを参照

今日はバグダッドで選挙があった日と同じくらい興奮していると言っても言い過ぎじゃない。わが国のサッカーチームが初めてアジアカップを取るために戦うんだ。言ってみればアメリカのチームがコパアメリカでブラジルやアルゼンチンと対抗するようなものだ。もちろんイラク人はアメリカ人よりサッカーには真剣だけどね。おっと失礼!

政府はすでに市民が早く帰って試合が見られるように、議会も含めて今日は半ドンにすると発表した。

午後2時、オマー君はガソリンなど必需品の買い物に出かけた。午後4時から外出規制がかかっているので早めに買いだめをしておこうというわけである。ところがそう思ったイラク市民が多くいたようで、ガソリンの値段が一時的にあがったそうだ。買い物をすますと皆大急ぎで帰宅の途についた。

4時35分、試合開始!

前半の45分と3分の追加では、イラクは完全に優勢をみせている。同時に両チーム間の緊張度はかなり高い。かなりラフなプレイが続いてイラクとサウジの間で5つもイエローカードがでた。実はアラブチーム同士の試合ではほかのチームとするよりお互いより乱暴になるというのはよく知られている。いってみればアラブ人同士の「兄弟愛」ってやつかな!

前半はゴールなしの零対零。

5時25分、ハーフタイムを使ってちょっと書いてる。さてラップトップは脇においてビールの缶をもう一つあけよう。セカンドハーフを見るぞ。(カカシ注:ビール????)

多くのイラク人は今日は試合の勝ち負けに関わらずお祝いをすると言っている。何が起きようとうれしいことに違いはない。

6時30分、いや、この喜びは「何が起きようと」なんかじゃない、、、我がチームはたった今、我がサッカー史上始まって以来初めてアジアカップで優勝した。この勝ち点はフォーワードの英雄ユーニス・マフムードが試合71分目に見せたすばらしいゴールによってもたらされた。

我がチームはすべての基準において制覇していた。ディフェンス、ミドルフィールド、そしてアタック、すべて彼等が最高だった。彼等は今やアジアサッカーの王者となったのだ!

今日は絶対にここ数年でイラクにとって一番幸せな日だ。何百万というイラクじんの顔には喜びの涙と希望とが混ざりあっている。言葉がみつからない、この気持ちをどう表現していいのか分からない。だからもし訳の分からないことを書いたら勘弁してほしい。外から歓声と音楽の音が聞こえてくる祝いで撃たれた銃弾が屋根や地面に次々に落ちてくる。でも誰も心配していないようだ。この瞬間があまりにも偉大だから何百万のファンの心に恐怖が入り込む隙間がない。それが落ちてくる銃弾であろうと先週我々の喜びを抹殺しようとした気違いの自爆テロであろうとも。

我々の選手たち、今夜の英雄たちは、チームワークによってのみ勝つチャンスがあるのだと教えてくれた。わが政治家たちも選手たちと輝かしい団結と国民の誇りを持ったファンたちを見習って、テロリストたちに教えてやろう、不死身のチグリスとユーファラテスの息子たちの精神を何者も打ち砕くことはできないのだと!

恐怖は消え去った。外出規制は無視された。今夜、イラクは喜びだけを知る、、、

おめでとうオマー!おめでとうイラクチーム!おめでとうイラク!テロリストなんかに負けるな!正義は勝つ!


July 29, 2007, 現時間 11:37 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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July 28, 2007

アジアカップ:イラク決勝進出!

イラク関係

明日はいよいよサッカーアジア杯の決勝戦。決勝戦は強豪サウジアラビア対イラク。三回優勝しているサウジが決勝に出るのは驚かないが、イラクチームが決勝戦進出というのはすごいものだ。パワーラインの記事によると、イラクチームのメンバーはシーア、スンニ、クルドの混合チーム。チームとしてここまで勝ち抜いてきたということはそれぞれの宗派間の違いを乗り越えた本当の意味でのチームワークを持っているということになる。



イラクサッカーチーム

決勝進出が決まって喜ぶイラクチーム

イラクチームのキャプテン、ユーニス・マフムード曰く:

選手は皆いろいろな苦労がありました。でも私たちはイラクの人々に幸せを届けられると思います。サッカーを通じてイラク市民に幸せをもたらす多大なる責任を共有しています。だから私たちは試合に集中しているのです。私たちはサッカーが大好きです。そして私たちは愛する国をいつでも守る心構えができています。

1980年のオリンピックでアメリカのアイスホッケーチームがソビエトチームをやぶった時、それまでうつ状態にあったアメリカ人の気持ちが希望へとかわったように、イラクがサウジに勝つことはイラクチームだけでなくイラクの国としての未来に希望をもたらすことになる。無論サウジは強敵だからどうなるかは分からないが、それでも少なくともイラクチームが第二位の座に輝くことは間違いない。

がんばれイラク!

July 28, 2007, 現時間 5:57 PM | コメント (1) | トラックバック (0)

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「冬の兵士」再び、米二等兵の軍隊バッシング

アメリカ内政 , イラク関係 , 狂ったメディア

数日前、アメリカのニューリパブリック(TNR)という三流新聞にスコット・トーマスという仮名を使ったイラク駐留米兵によるものとされる「日記」が掲載された。三部に分けて掲載されたその日記に描かれた兵士らの行動は、路肩爆弾で顔に傷を負った女性を大声でからかった話や、大量埋葬地で見つかった子供の骸骨を頭に乗せて遊んでいる兵士、ブラッドリー戦車を乱暴に乗り回して野良犬を殺す悪趣味な兵士の話など、戦争犯罪に値するひどいものであった。(最後に日記の詳細を掲載するのでご参照のこと。)

このため現役や退役及び家族など軍関係の人々が書いているミルブログとよばれるブロガーたちの間で怒りが爆発。この話はねつ造だ、著者が本当はきっと偽兵士に違いない、TNRは真義を確かめもせず掲載したのか、本当にそんな事実があったのなら著者は仮名など使わず実名で正々堂々と名乗りを上げるべきだと、非難轟々の声があがった。そのなかでもあるブロガーは仲間のブロガーたちに、この著者の正体や日記の審議を確かめようとイラクに駐留したことのある軍人らに呼びかけた。

その結果、このスコット・トーマスSir Real Scott Thomasというブログを書いていたイラク駐留陸軍スコット・ビーチャム二等兵であることが判明した。間抜けなことにスコットは自分の本名のファーストネームのスコットとミドルネームのトーマスを仮名としてTNRの「日記」に使っていたのだからおかしい。しかも本人のブログに自分の連絡先まで明記されている。これについて陸軍の名簿を調べたある兵士によると、、

自分は現役の陸軍兵でイラク帰還兵であります。今スコット・トーマス・ビーチャムで陸軍名簿のウェッブサイトを検索してみました。それによると彼の階級は二等兵となっています。...

2006年9月のブログエントリーでは彼は自分の階級を一等兵と記述しています。ということはこの人間は軍隊規則の(Uniform Code of Military Jsutice)の15条に触れる罪を犯して少なくとも一階級格下げされたものと思われ、軍隊に恨みを持っていると考えられます。

格下げされたのか最初から嘘をついて階級を一つ上と偽っていたのかは解らないが、二等兵と言えば陸軍でも一番下っ端である。この男どうやらまったくうだつの上がらない陸軍兵のようだ。最初にビーチャムの日記が掲載された時、元陸軍特別部隊出身のミルブロガー,Black Fiveのジンボー親爺がこんなことを書いていた。

スコット・トーマスは嘘つきの糞野郎だ。どの部隊にもスコット・トーマスみてえな奴はいる。自分のすばらしい才能を誰も認めてくれない、自分は悪くないのにいつも上官から叱られていると文句ばかり言ってる奴だ。だから周りからは、ぐだぐだ文句ばっかいってないで黙って仕事しろと怒鳴られてばかりいるんだ。

ジンボー親爺は、こういう人間が軍隊をこき下ろすのは理解できるし、そういう話をメディアが鵜呑みしたとしても不思議でもなんでもないと語る。スコット・トーマスの正体が割れて、彼が2006年の9月に書いたこのエントリーを読んでみると、ジンボー親爺の分析がどれだけ正しかったかがわかる。(カカシ注:訳そうと思ったが句読点のない、ながったらしい文章なので、このまま訳したら訳が分からなくなる。仕方ないので意訳することにした。これで作家志望だというのだから驚くな。)

毎朝俺は起きる度に自分に言う。俺、スコット・ビーチャム、陸軍兵、ドイツ在住。これが俺の人生だ。俺は今日も糞みてえな扱いをされ、庭仕事や掃除だのをして、人殺しの訓練をする。この経験に耐えられなければ、俺がかつてもっていたもの、そして俺が外へ出てから持つだろう人生のありがたさが十分に理解できなかっただろう。俺が本当にしたいことは歴史を教えたり、寝転んだり、世界中飛び回って世界を修理することなんだ。...でもそれをするにはこの陸軍での経験を積んどかなきゃ出来ないんだ。俺が何をするにしても陸軍体験でハクをつけた後じゃなきゃだめなんだ。

ビーチャムは将来作家になりたいらしい。それでイラク帰還兵だということになれば、それなりにハクがつくからと陸軍に志願したらしいのだが、仕事が思った以上に辛くて毎日愚痴ばかり言ってるというわけだ。しかしビーチャムの所属隊も分かったことだし彼のこれまでの任務もすぐに明らかになることなので、彼のいうような体験を本当に彼がしているならば事実はそのうちハッキリするだろう。

ただ、ビーチャムの書いたようなことが本当に起きたのだとしたら、ビーチャムはその場にいた当事者であったにも関わらず同胞がこのような軍規約に触れる違法行為をしていたことを今まで黙っていたことになり、それ自体規約違反である。もし彼の話が本当ならこれらの事件に関わった人間はビーチャムも含めてすべて戦争犯罪者として罰せられるべきである。

だがもしこれがビーチャムによるただのでっちあげであったとしたら、現役兵隊が軍隊の活動を批判する政治意見を公の場で述べること自体が違法であるから、その罪で罰せられるべきである。とにかくこんな奴が大事なアメリカ軍のブラッドリーの修理に当たっているというのは非常に危険だ。早速最前線から取り除いて帰国させ、臭い飯でも食ってもらいたいものだ。

それにしても、自分の隊にこんな負け犬の非国民が混ざっていたことを知った所属隊の面々はいったいどんな気持ちだろうか?

スコット・トーマスのイラク日記

下記は7月18日付けのThe Daily StandardのFact or Fiction? を参照した。

第一話: 火傷の痕がある女性をからかった米兵

まず最初の話はイラクのグリーンゾーンでの出来事。トーマスとその仲間たちが食事をする大食堂においてしょっちゅう見かける女性がいたが、彼女は路肩爆弾の被害にあって顔半分に大やけどの痕があった。ある日トーマスと仲間たちが食事中にこの女性が現れ近くのテーブルに腰を掛けた。

おれたちの食事が半分くらいすんだ頃、彼女は現れた。2〜3分黙って食べていた俺の友達は突然乱暴にスプーンをマッシュポテトにつきたてて叫んだ。

「ちぇ、くってらんねえよ。」と彼は言った。

「なんでだよ、まずい飯が気に入らないのか?」

「違うよ、後ろに座ってる化けもんのことだよ。」と彼は後ろにいる彼女だけでなく、周りに座っている人々も聞こえるような大声で叫んだ。俺は振り向いてその女を見た。女は自分の食べる一口一口の食事を食べる前にじっと見つめてから半分溶けているその口へ運んでいた。

「ばかいうなよ、彼女すっげー美人じゃねえか」と俺は言い放った。

「なんだと?」と友達は半分にやにやしながら聞き返した。

「そうさ」と続ける俺。「路肩爆弾と親密な関係になった女って、俺をその気にさせるね。解けた肌、失った手足、プラスチックの鼻、、、」 「おめえ変態だな!」友達はそういいながら身をくの字にして曲げながら大笑いした。

この後もトーマスと友達はわいわいと大声で冗談を言い合っては大笑いしたと話が続く。ついにたえきれなくなった女性は食事も途中で大食堂から逃げるように飛び出してしまったとなって話は終わっている。

この話を読んだ現役・退役の兵士らの話によると、もし自分の近くで路肩爆弾の犠牲者を大声でおちょくるような態度をとる人間がいたら絶対にぶっ飛ばしてやると書いている。そして、そんなことをイラクにある基地の食堂でやっていて周りの兵士らから袋だたきにならなかったということは考えられないと言うのが大半の意見だ。イラクでアメリカ兵を一番殺しているのがこの路肩爆弾である。トーマスとその友達が食事をしていた食堂にもきっと仲間を路肩爆弾で失った兵士ら何人か食事をしていたはずである。にも関わらずトーマスらが他の兵士から注意も受けなかったというのは信じがたい。

第二話:子供の頭がい骨を頭に乗せて遊ぶ米兵

イラクに出動して6か月後トーマスの隊はバグダッドの西南で建設作業に携わっていたが、そこでトーマスらは大量埋葬地に出くわしたという。

冗談好きで問題児と評判の二等兵が完璧に保存されていた頭がい骨の上の部分を見つけた。それには髪の毛までついていた。二等兵は笑いながら頭がい骨を自分の頭にのせると王冠のようにぴったりはまった。二等兵は頭に頭がい骨を乗せたまま歩きはじめた。周りの奴らはシャベルやサンドバッグを落としてげらげらと笑いこけた。二等兵を止めるものはいなかった。俺も含めて気分を害したものはひとりもいなかった。

この二等兵はその後も一日中頭がい骨を頭につけたまま遊んでいたというのである。埋葬地を冒涜する行為はは明かに軍の規約に違反する。しかも頭がい骨を頭につけたまま一日中歩き回っていた二等兵を上等兵が誰も注意しなかったというのは先ず考えられない。ところで、2006年の10月頃、アフガニスタンの埋葬地で見つかった骸骨と遊んでいたというドイツ兵の話がドイツではかなり問題になった。スコット・トーマスはその頃すでにイラクに出動していたが、アメリカ兵はイラク入りする前にドイツで訓練を受けるので、ドイツを通り越したほかの兵士らからこの話を聞いて知っていた可能性は大きい。別の国の軍隊がしたことをまるで自分の体験でもあるかのように書いたとしても特におかしくはない。

第三話:戦車で犬を轢き殺すことが好きな悪趣味な米兵

トーマスの友人の二等兵にブラッドリー戦車の運転手がいたが、彼は機会がある毎にガードレールやフェンスを壊し、周りにある屋台やマーケットのスタンドを壊して走るのが好きな人間だったという。

...奴が一番すきな標的は犬だった。 時々勇気のある犬がブラッドリーを追いかけまわし、アメリカでトラックに吠えるみたいにブラッドリーに吠えるやつがいると、二等兵は好都合とばかりにハンドルを切って犬のしっぽを戦車に巻き込むんだ。奴は何匹犬をころしたか運転席のダッシュボードの上においてある緑色の帳面に記録していた。ある日奴は三匹も殺した。 奴はブラッドリーの速度を落とし犬をおびき寄せて近くまできたかと思うと戦車を右に急転させて犬の足をすくった。足がひっかかった犬をしばらく引きずり回してから、ぴくぴくしてる犬を放してやるんだ。そいつが大声で笑う声がラジオから響いてきた。帳面にもうひとつ記録が伸びた。二匹目の犬は簡単だった。通り道でひなたぼっこをしていた犬は逃げる暇もなくスピードをあげているブラッドリーの下敷きになった。犬の上半身は完全に激しく痙攣している下半身から引きちぎられていた。顔は太陽に向けてもちあげられたまま何もおきなかったかのように微笑んでいた。

訳していて胸が悪くなった。(おえ!)

July 28, 2007, 現時間 5:41 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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July 19, 2007

とんだ茶番劇! 米議会イラク撤退徹夜議論の結末は

アメリカ内政 , イラク関係

ペトラエウス将軍のCounter Insurgency (COIN)作戦と呼ばれるイラク反乱分子撲滅新作戦は6月に本格的な攻撃に入ったばかり。にも関わらずまだ7月も半ばというのに民主党の議会はまたまた意味のないイラクを120日以内に撤退せよとの議案を提案。議案が決議にもっていけるまで徹夜でがんばると布団や歯ブラシまで持ち出しての大芝居を打ったが、議論を打ち切って決議にかけるのに必要な60票に全く及ばない賛成52対反対47で、民主党全員が賛成、共和党からの裏切り者はいつもの4人。以前と全くかわらない票数のまま夜はあけてしまった。

徹夜議論の際に、共和党の戦争支持議員の間からはいくつも非常に印象に残る演説がされたが、そのなかでも印象に残ったのはアリゾナ州代表ジョン・マケイン上院議員の演説だ。マケイン議員は来期の大統領選挙にも共和党の候補となるべく選挙戦に出ているが、彼のキャンペーンはいまのところ資金不足で立ち往生している。私はマケイン議員は内政の面ではリベラル過ぎてすきではないのだが、ことイラク戦争に関しては非常にまともなことを言っていると思う。特にイラク戦争当初からマケイン議員はラムスフェルド前防衛長官のやり方を厳しく批判し、もっと兵数を増やしペトラエウス将軍を起用しCOIN作戦を取り入れるべきだと誰よりも先に提案していた先見の明のある人でもある。以下マケイン議員の演説から一部抜粋。

過去数日に渡る延々と長引いた討論の間に私は何人もの議員の方々から同じ議論を何度も聞きました。反対側にいる私の友人たちは議案に反対する私たちが相も変わらず「同じ方針を保っている」と攻めます。これは私たちがこの戦争の結末を怪しくさせる結果となった同じやり方をまだ続けようとしているという意味です。

しかし私たちは皆ペトラエウス将軍の登場で方針が変わったことを承知しています。私たちは今、我々の一部の人間が最初からすべきだと言っていた対反乱分子作戦を戦っているのであり、これは我々の強さを最も有効に使い敵の利点を生かせなくする作戦なのです。この新しい戦略はまだ結論は出ていないとはいえ、過去の作戦が失敗であったのに比べ、ずっと成功を遂げているのです。

わが友レビン上院議員とリード上院議員が提案した作戦は、小さな軍隊を前線からは遠隔の基地に閉じ込めるというもので、そこから時々探索や破壊任務やイラク軍訓練に出かけていくtpというものですが、これこそすでに試され大失敗に終わったと誰もが認めている作戦の延長です。議長殿、これこそがこれまでと同じ方針を保つことであり、必ずや我々の敗北につながりイラクにおいて大悲劇を招くでありましょう...

また私は私の同僚から前回の選挙においてアメリカ国民は意思表示をしたのだと繰り返し聞きました。国民のみなさんはイラクからの撤退を要求している、その要求に答えて一刻も早く撤退させることが我々の責任なのだと。しかしそれが我々の一番の責任でしょうか? ...私も数々の間違いによって払った大きな犠牲を考えると嫌気がさします。しかし過去の間違いに反応して歴史上もっとひどい間違いをおかすような議案を支持することは出来ません。この間違いは私が大人になってからずっと代表として仕え続けてきた州の人々を非常な危険に陥れることになると信じて疑いません... 我々の忍耐はぎりぎりのところまで試されています。しかしながら負けない可能性がある戦争ならば、敗北を選んではなりません ...

...この敗北はイラクのみならず我々にとって非常な悲劇をもたらすことは確実です。私はそのような作戦に加担するわけにはいきません。私はどんなことをしてでもそれを避ける努力をします。議長殿それが私が出来る精いっぱいの努力なのです。志願して肩にライフルをもち我々のために戦ってくれているアメリカ人の足下にも及びません。私の任務は危険でも困難でもありません、しかしわが同胞そしてすべてのアメリカ人が私に反対したとしても私は成功のチャンスがある限り努力しなければならないと思うのです。

マケイン上院議員はベトナム戦争中にパイロットとして撃ち落とされ、北ベトナムの捕虜に7年もなっていたひとなので、決して戦士たちの苦労を知らない人ではない。

現地で実際に戦っているアメリカ兵たちは圧倒的にペトラエウス将軍の作戦に期待をかけており、最後まで戦わせてほしいと願っている。そう主張するのはイラク帰還兵のピート・ヘグセス中尉(First Lt. Pete Hegseth)27歳。ヘグセス中尉はイラク・アフガニスタンの帰還兵で組織したVets for Freedomという草の根運動市民団体のリーダーで、今回民主党がゴリ押ししたイラク撤退議決案が通らないよう旅費や宿泊費など自腹をきって30人の帰還兵を集めてワシントンDCに議員たちとの直談判に乗り込んだ。

ヘグセス中尉たちの記者会見は主流メディアにはほぼ無視されたが、右翼系ラジオ番組では各局が取り上げた。私もビル・ベネットやローラ・イングラムのラジオ番組で中尉の話をきくことができた。彼等のウェッブサイトに載っている記事によれば、共和党の議員たちは皆会見に応じてくれたそうだが、民主党のペロシ下院議員やリード上院議員はたった5分間の会見に応じてくれなかったという。イラクからアメリカ軍を撤退せよと呼びかけている議員たちが、実際に前線で戦ってきた帰還兵との会見を断るとはどういうことだ? 常にアメリカ軍のことを考えているなどといいながら当事者の話を聞きたがらない理由はなんだ?

まったくとんだ茶番劇であった!

July 19, 2007, 現時間 12:11 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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July 17, 2007

米無人戦闘機「リーパー(死神)」登場!

イラク関係 , 防衛

アメリカはついに無人戦闘機の開発に成功。その名もザ・リーパー(死神)。

MQ -9リーパー戦闘機は現在イラク戦争、アフガン戦争で使われているRQ-1プレデター無人偵察機をベースにして作られた中高高度=長距離無人偵察機兼戦闘機である。外見はプレデターとほぼ同じだが、全長は11m、翼幅は20mとプレデターよりも一回り以上大きく、積載重量もプレデターの1.02トンに対して 4.5トンと4倍以上もあり、1.4トンミサイルや爆弾を積むことができる。機動力はターボエンジンを使い、最高速度時速482.8km、最高は標高15,240mまで飛べる。どちらもプレデターの二倍の性能で、レーザーと標的レーダーも装備している。

しかしプレデターとの最大の違いは複数の武器を大量に詰め込めることである。プレデターはヘルファイヤーミサイルを二個つめるだけだが、リーパーは14の空から地面への武器、もしくはヘルファイヤー4個と227kgの爆弾を二個積める。偵察機ではなく戦闘機ならではの破壊力を持つ。



MQ-9

死神、無人戦闘機リーパー

リーパーの最初の任務はアフガニスタンの予定で、この秋か遅くても来春までにはイラクでの起用も予定されており、米空軍はイラクのバラードにある空軍基地において現在プレデターの離着陸に使われている滑走路をリーパー用に40万平方フィート拡大工事をしている最中だ。

現在少なくとも9機のMQー9が製造されているが、空軍はいずれは60機のリーパーと160機のプレデターを起用する予定だが、イラクとアフガニスタンにそれぞれ何機起用されるかは明かにされていない。

無人戦闘機の利点はいうまでもなくパイロットが必要ないことである。今後イラク駐留のアメリカ軍の規模は縮小の一途をたどるわかだから、パイロットを送り込まなくてすむのはたすかる。だが、それだけでなく、戦闘機のデザインの限界は生身の人間が生き延びられるかどうかという限界に左右されることがないので、もっと自由自在な動きをすることができるし、長時間の飛行も可能だ。

参照文献:Oval Office, APニュース

July 17, 2007, 現時間 11:59 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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July 14, 2007

眉唾な『イラク帰還兵が語るイラク米兵の悪行』

アメリカ内政 , イラク関係

昨日もアメリカ軍によるイラク市民虐殺というハディーサ事件がかなり怪しくなってきたという話をしたばかりだが、反戦派は事の真相もたしかめず執拗にアメリカ軍の悪行を羅列するのに余念がない。普段は現場の軍人たちが「状況は向上している」と証言しても絶対に信じない反戦派だが、もし軍人が「イラクでアメリカ兵はひどいことをしている」などといいさえすれば、ことの真相も確かめず担ぎ出してはアメリカ軍全体に汚名を着せる反戦派のやり方はベトナム時代からかわらない。

ベトナム戦争当時戦場から帰還したばかりのジョン・ケリーなる若者がベトナム帰還兵を数十人集めて反戦グループを組織し、アメリカ兵が一般市民を拷問したり虐殺したりしているとし、アメリカ軍は「ジンギスカンの軍隊さながらである」とアメリカ議会で証言し脚光を浴びた。(冬の兵士という題でドキュメンタリーにもなった。)この反戦運動で華々しく政治社会にデビューしたケリー青年こそ後に民主党の大統領候補としてブッシュと一騎討ちをして負けたジョン・F・ケリー上院議員である。

ところが後になって冬の兵士に参加していたメンバーのほとんどが、ベトナム帰還兵どころか軍隊にもいたことがない人たちがほとんどで、彼等の体験談はすべてでっちあげであったことが本当の帰還兵たちの証言で明らかになった。ジョン・ケリーの大統領選挙運動中に当時ケリーと一緒の隊にいた軍人たちがケリーはベトナム戦争時代の手柄話で嘘をついていると訴えて、ケリーの選挙運動に多大なる打撃を与えたことは記憶にあたらしい。

さてイラク版冬の兵士たちがベトナム戦争時代の台本のほこりをはらって、またまたでっちあげ「アメリカ軍の悪行」シリーズ続編を展開させている。アメリカでも社会主義傾向の左翼雑誌ザ・ネイション(The Nation)は50人の「イラク帰還兵」にインタビューし、イラク内で行われているアメリカ軍の悪行を特集している。

ハディーサの大虐殺や14歳のマフムディヤの強姦殺人事件など裁判になった事件や、ワシントンポスト、タイム、ロンドンインディペンデントその他で取り上げられたイラク人の証言によるニュースによってどれだけ一般市民への攻撃が大規模なものであったのか分かるようになってきました。ヒューマンライツウォッチやハーツアンドマインズといった人権保護組織が発表した詳細でつまっているこれらの報告によって、占領軍によってイラク人が殺されることは軍当局が認めているのとは裏腹にごく普通に行われていることを意味します。

ネイションのこの捜査は、これまでで初めてアメリカ軍内部から多くの証人が名前を公開したうえでこうした事件を裏付けた証言を集めたものです。

白状すると私はこのネイションの特集を最初から最後までちゃんと読んだわけではない。それというのも特集の一番最初に出てくる「証人」ジェフ・エンゲルハート(Jeff Englehart)という名前を呼んだ時どっかで聞いたことのある名前だなとピンときたからである。

スペシャリスト、ジェフ・エンゲルハート、26歳、コロラド州グランドジャンクション出身。エンゲルハート兵は第一歩兵隊第三旅団のメンバーで2004年二月バグダッドの北東35マイルほどのあるバクバで任務していた。

私はちょっとグーグル検索をしてみたら、なんと2年前に私がミスター苺と一緒に経営している英語のブログでこの男について書いた記事が出てきた。

実はこのエンゲルハートなる男、2005年にイタリアのテレビインタビューで、アメリカ軍はファルージャで白リン弾という化学兵器を市民に使ってイラク市民を大量に虐殺したと証言していた。このインタビューでエンゲルハートはアメリカ軍が化学兵器を使ったことは間違いない。自分はラジオでウィスキーピート(WP、白リン弾のあだ名だとエンゲルハートは説明)を落とせという命令をはっきりと聞いたし、WPによって殺されたイラク人を目の当たりで目撃し、焼けただれた死体をいくつも目撃したと断言した。

私はこの男がブラッドリーを「戦車」と呼んだり、ハンビーを「トラック」と呼んだりしているのをきいて、普通陸軍兵ならこういういい方はしないのではないかと不思議に思った。また、白リン弾は英語でWhite Phosphorusといい、その略名のWPはウィスキーピートではなく、ウィリーピートのはずである。しかもWPは国際規約では化学兵器という指定はなく、ごく通常の兵器であり違法でもなんでもない武器なのだ。元陸軍兵がこんな基礎的な知識も持っていないというのはどうも変ではないか? しかしもっと決定的にこの男の嘘を証明する事実を私は発見した。それは彼自身が書いていたブログのなかにあったのである。

エンゲルハートは2004年の2月から2005年の2月までFight to Surviveという反戦ブログを仲間の兵士たちと共同で"hEkle"というハンドルネームを使って書いていた。ブッシュ大統領に対する敵意やイラク戦争反対の激しい感情はこのブログでもそのときからあらわにされているが、それよりも気になる点があった。

2004年の11月にエンゲルハートはファルージャの戦いについて書いているのだが、その時のブログエントリーでは上官をファルージャ近郊まで車で運転していったとは書かれているが戦闘に参加したとは書かれていない。また、WPを落とせという命令をラジオで聴いたという話も出てこない。

そしていつものように砲弾の音や、爆発音、そして照明弾の音が聞こえる。そのいくつかは白リン弾だと言われている。...突然ラジオの通信で「バンカーバスター」の攻撃承認を求める声が聞こえてきた。

2004年当時には「白リン弾だといわれている」と伝え聞きしていたものが、どうして一年後には「白リン弾に間違いない」ということになるのだ?しかもラジオ通信でバンカーバスター使用の要求は聞いているのに、WP使用承認を聞いたと書かれていないのはなぜだ?

エンゲルハートは車を運転して上官をファルージャの外側まで連れていったが、彼自身はファルージャ戦闘に参加していたわけではなく、遠隔から戦闘状態を見ていただけである。実際に当時書かれたブログエントリーではビルが破壊された話は書かれているが直接市民が目の前で殺されたという描写は全くされていない。戦闘が終わってから翌日ファルージャへ入って死体の山を目撃したのであればそういう話をするはずだが、数日後のエントリーにもファルージャの話は全く出てこない。次にエンゲルハートがファルージャの話をするのは一年後のことである。

2005年に行われたテレビインタビューでこうも赤裸々に死体の状態を表現できる人間が、戦闘当時にその体験を全くブログに書いていないというのはどうかんがえてもおかしい。彼が当時書いていた反米かつ反アメリカ軍の内容から考えて、エンゲルハートが本当にアメリカ軍による虐殺を目撃したのであればその当時にブログに詳細に渡って書いていたはずである。

というようにエンゲルハートの証言は何から何までつじつまのあわないことだらけなのである。このような人間が帰還兵の代表者のように一番最初の証言者として載っているような記事は最後まで読む価値があるとは到底思えない。私が彼の証言だけを読んでやめてしまった理由はここにある。

またこの特集に載っている「帰還兵」のうちどれだけの人が本当にイラク帰還兵なのか疑わしいし、実際にイラク帰還兵だったとしても必ずしも本当のことを言っているとも限らない。下記のような例もあるのでね。

Fake Soldier exposed
陸軍の基礎訓練キャンプも落ちこぼれたマクベス君が自分が陸軍特別部隊にいたとか陸軍レンジャーだったとか言ってアメリカ軍の悪行を目撃したとでっち上げていた話。基礎訓練キャンプから追い出された書類が出てきて嘘が発覚。(英語)

ケリーの弟子? 反戦イラク帰還兵のおかしな戦話
イラクで戦闘に巻き込まれたこともなければ負傷したこともないのに、陸軍病院で戦闘で負傷した傷の治療に二か月も待たされたと嘘をついていたジョシュア・ランスデールの話。陸軍病院での診断者を提出できず嘘がばれた。

訂正:本文で2月と書いたエンゲルハートが書いているファルージャの戦いは11月でした。訂正します。

July 14, 2007, 現時間 4:18 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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ハディーサ事件次々に崩れる検察側の主張

イラク関係 , 対テロ戦争

2005年11月、イラクのハディーサ地区で路肩爆弾の攻撃にあった海兵隊員が怒りくるって付近の民家を襲い二十数人の民間人を虐殺したとして、当時警備にあたっていたキロ隊の隊員数名が殺人などの嫌疑をかけられている事件において、審査官は12日、裁判にかけるだけの証拠が存在しないとして被告のひとりであるジャスティン・シャーラット兵長(Lance Cpl. Justin Sharratt)の起訴取り下げを推薦した。これで被告三人のうち二人までが起訴取り下げの推薦を受けたことになる。(もうひとりは裁判にかけられるべきとの推薦がされている。)

先月にも、事件後に適切な捜査を行わなかったとして罪を問われていた四人の将校のうちのひとり、ランディ・ストーン大尉の件も裁判前の審問の結果、審査官から起訴取り下げの推薦がされたばかりで、この事件はどんどんと縫い目からほころびはじめている。これらの被告を軍法会議にかけるかかけないかの最終決断はキャンプペンダルトンの第一海兵隊遠征軍の司令官ジェームス・マティス(Lt. Gen. James Mattis)中将の肩にかかっている。

実はこの事件、最初からかなりおかしなことばかりだった。詳細は去年の6月に私は下記で色々紹介しているの参照されたし。

ハディーサ事件:それぞれの思惑
疑わしきは罰するメディア その2
ハディーサ疑惑: 怪しげな証言続く

その後捜査が進むについて検察側の提出した海兵隊員に対する証拠がかなりいい加減であることがどんどん明らかにされてきたが、今回審査に当たったポール・ウェア中佐の報告書を読んでみると被告らの容疑がどれだけいい加減なものかがはっきりしてくる。

ウェア中佐は報告書のなかで、シャーラット兵長にかけられた容疑は「根拠がなく」何度も(起訴されたことが)「信じられない」と語っている。

中佐はさらに死んだイラク人の幾人かは被告が言うように抵抗戦士だったと示唆している。

先月シャーラット被告の審査の指揮をとったウェア中佐はイラク人目撃者の話は存在する物的証拠と矛盾して一致しないと語る。

物的証拠によれば「(殺された人は)誰もみな遠方から正面を向いて9ミリ口径のピストルで撃たれている。これは近距離から処刑された反応とは一致しない。」とウェアは書いた。

中佐は死んだイラク人の親戚は米軍に解剖のために遺体を掘り起こすことを許可しなかったとし、イラク人はアメリカ軍に殺された市民の家族に時々支払われる2500ドルの慰謝料欲しさに嘘をつく強い動機があったことも付け加えた。

このようなイラク人目撃者を信用することは「私の意見では米海兵隊の任務に対する市民の協力を減らすために、米軍にたいして無実の罪を着せるという危険な前例をつくることになると思う」とし、「もっと危険なのは海兵隊が敵に面した重要な時にためらう可能性があることである。」と書いている。

審査官がここまで言うのでは先ず軍法会議にかけられることはないだろう。また会議にかけるべきと推薦されたもうひとりの被告も、裁判になったとしても無罪になる可能性が強くなってきた。

この話についてパワーラインの掲示板でスノーマン(Snowman)というHNで書いている人は、このキロ隊はファルージャの戦いで大手柄をたてた有名な隊であり、罪のない民間人の避難にも当たったことがある。彼等は民家から攻撃された場合にどのように対応すればいいか十分に心得ているベテラン隊員たちだったと述べている。

私の息子も同じ時期にハディーサに居ました。(息子の)リマ隊は川の向こう側で行動していました。2005年11月のことです。この事件の状況はごく普通の状態でした。抵抗軍は事件を起こしては民間人を盾にしていたのです。子供たちは使用済みの弾を集めてお金をもらっていました。市民は抵抗軍のいう通りのシナリオで演技をしないと威嚇されたり脅迫されたりしていたのです。彼等は民家に隠れ海兵隊員からの攻撃が止むまで家人を盾にしていました。息子は事件のあった車を後で見ましたが新しい銃弾のあとでぼこぼこになっていたといっていました。

テロリストが逃げ込んだ民家の家人はしょっちゅう巻き添えを食って殺された。そういうことがあまりにも多く起きたため、地元市民はついに我慢できなくなり海兵隊の味方をするようになったとスノーマンは言う。そしてテロリストの隠れ家や武器庫の場所を海兵隊につたえテロリスト逮捕に協力するようになった。地元市民の裏切りを悟ったテロリストたちは命からがらハディーサから退散したため、いまやハディーサは2005年に比べてずっと平穏な場所になっており、海兵隊の後を子供たちがくっついて走り回るほどになっているそうだ。

もしこの事件で容疑をかけられたすべての被告が起訴取り消しや無罪になったとしたら、当時海兵隊員の有罪は間違いない、海兵隊上層部は隠蔽行為をしたという確かな証拠がある、とがんばっていた自分も元は海兵隊だった(信じられない!)民主党のジョン・マーサ下院議員はどういう言い訳をするつもりなのだろうか?全く海兵隊の風上にもおけないおっさんである。

私の希望としては全ての被告の起訴が取り消され、最初から犯罪は起きていなかったということがはっきりすることである。そしてそうなった時マーサ下院議員をはじめ事情がわからないうちから米軍兵を殺人犯扱いした全ての人々に土下座をついて謝ってもらいたいものだ!

July 14, 2007, 現時間 4:24 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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July 11, 2007

サドル、イランへ逃げ帰る

イラク関係

今年の一月にアメリカ軍の増派を含む新作戦が行われるという発表と共に同胞や部下を見捨ててひとりだけイランに逃げ帰っていたサドルだが、イランに5か月も隠れている間にイラク内ではサドルの人気は落ちるばかり。このままでは留守中に自分のシーア民兵代表としての権威が危ないと慌ててかえってきたサドルだが、時既に遅し。全く人気を挽回できず尻尾を巻いて再びイランへ逃げ帰るはめになった。どっかの歌のもんくじゃないけれど、「あんた、泣いてんのね、だからいったじゃないの〜!」(古すぎてカカシの母でも首を傾げる懐メロ)

アメリカの新作戦ではスンニ抵抗分子やアルカエダのみならず、バグダッド南部のサドルシティなどで市民の平和を脅かしているシーア民兵らも厳しく取り締まることが明らかにされた。しかしこの時サドルはサドル派が多いに後押ししたマリキ首相はアメリカの圧力から形だけシーア派民兵の取り締まりには協力しても実際に本格的な取り締まりなどしないものと踏んでいた。だから当初サドルは手下たちに武器を捨ててほとぼりが冷めるまで大人しくしていろ、たとえ逮捕されても抵抗するなと呼びかけ、自分はさっさととんずらしてしまった。その計算違いはサドルの大誤算、ナジャフデモ行進の意味するものでも指摘したが、もう一度おさらしてみよう。

ここで私が一月の時点でサドルの計算違いでサドルの計画は産經新聞がいうような具合には運ばないだろうと予測していたことを思い出していただきたい。

* 意図的にしろ無理矢理にしろ一旦敵に占拠された領土を取り戻すとなると、もともとの領土を守るようなわけにはいかない。
* 民兵たちは正規軍ではない、ただのギャングである。何か月もサドルのいうことをきいて大人しくしているとは思えない。自分勝手に暴れた民兵たちが大量にアメリカ軍やイラク軍に殺されるのは目に見えている。
* アルカエダの勢力は昔に比べたら大幅に衰えているため、シーア派民兵が抵抗しなければバグダッドの治安は安定しサドルの思惑はどうあれ傍目にはブッシュの新作戦が大成功をしたように見える。そうなればアメリカ軍の新作戦は長続きしないどころかずっと継続する可能性がある。

その後、マリキ首相はサドルの期待に反して嫌々ながらも米軍とイラク軍のシーア派征伐に協力した。その結果バグダッド市内における宗派間争いによる大量殺人は40%以上も減り、マフディ軍はイランの援助を受けているにも関わらず、どんどん勢力を失いつつある。

あせったサドルは作戦を変えて米軍に対抗しろとイランから命令をだしたり、デモ行進を催したり、サドル派の政治家を政府から撤退させイラク政府に大打撃を与えようとしてたが、すべてが裏目にでた。

こうなったら自分から出ていってなんとか急激に衰える自分の人気を取り戻さねばとサドルはこの5月久しぶりにイラクに帰国した。帰国してからサドルは穏健派の国粋主義の指導者としての立場を確保しようとしたがこれもうまくいかず、切羽詰まったサドルはアンバー地区のスンニ派政党とまで手を結ぼうとしたがこれもだめ。マリキ政権からはすでに撤退してしまったことでもあり、サドルのイラクにおける勢力はほぼゼロとなった。

三度目の正直で7月5日にシーアの聖地アスカリア聖廟までデモ行進を行おうと支持者に呼びかけたが、参加者不足で立ち上がりすらできない。サドルはマリキ政府が十分な警備を保証してくれないという口実を使って行進を中止した。

とまあ2004年にナジャフで挙兵した時の飛ぶ鳥を落とす勢いはどこへやら、サドルは華々しく戦闘で散るデモなし、仲間に裏切られて暗殺されるでもなし、すごすごとイランへ負け犬のごとく逃げ帰るはめになろうとは、このままサドルはイランで年老いて一人寂しく余生を過ごすのだろうか?

July 11, 2007, 現時間 11:18 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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June 27, 2007

地元司令官はしゃべり過ぎを反省イラク戦況に口をつぐむ

イラク関係

体当たり従軍記者ビル・ロジオ(Bill Roggio)マイケル・ヨン (Michael Yon)は二人とも現在イラクにおり、ファンタムサンダー作戦を従軍して取材している。双方のリポートをまとめようと思っていたら、ベルモントクラブ(The Belmont Club)のレチャードがそれをやってくれてるので読んでみよう。

ロジオもヨンも地元アメリカ軍司令官たちは地元に隠れているアルカエダを捕まえるための大作戦について、これまでよりもちょっと無口になったという。それというのも今まであまり詳しく話すぎて肝心のアルカエダ上層部は戦闘を前に遁走してしまったと批判されたのが原因らしい。 以下バクバに居るマイケル・ヨン。

アローヘッド・リッパー作戦の当面の目標はこの地域にひそむアルカエダを捕まえて殺すことにあるが、現場の将校らによると軍の上層部の高官らの戦闘前の公言がアルカエダ連中の大量流出を生み出してしまったのではないかと語る。この苛立たしい大きな後退にも関わらず、アローヘッド・リッパーはバクバーをイラク政府の管理下に移譲するという最終目的に向かって着々と進んでいるようにみえる。すくなくともアルカエダ指導者を地元の似非統治の座から追い出すという意味では。

先日も述べた通り、バクバでの作戦はもっと大きなファンタム・サンダー作戦の一部である。アルカエダが逃げ出すのはいつものことで、バクバから逃げ出すのも時間の問題だっただろう。問題なのは彼等をどうやって追い出すかということにある。以下ビル・ロジオ。

アメリカ・イラク軍はディヤラ地域の北と西であるサラハディン、カークック、ニネワ地区の戦場を形付け続けている。これらの地域でアルカエダが勢力を再構成すると思われる。

ディヤラ地域の戦闘と同時にモスール、ティクリート、ファルージャ、そしてバグダッド南部のモクタダ・サドルの本拠地でも掃蕩は行われている。

「アルカエダは縫い目から攻撃してくる」とビル・ロジオ。

イラクと連合軍がファンタムサンダー作戦でバグダッド帯を押し進めるにあたり、アルカエダは最初の反撃を試みた。バグダッドとバビルで五つの自爆テロ攻撃があり、45人の死者を出した。一番効果があった標的はバグダッドで会合中のアンバール・サルベーション・カウンシル(the Anbar Salvation Council)のメンバーたちだ。

このような反撃の目的は二つある。ひとつは連合軍を防衛体制に余儀なくすることで自分らの動きやすい隙間をつくること、二つ目は彼等にはまだまだ攻撃する余裕があるという意思表示をすることだ。アルカエダは追いつめられるにつれ、時々はこうした攻撃をすることで追跡者の気を散らす必要があるのである。

ところでアメリカ・イラク連合軍の攻撃が激しくなる中、イラン軍が国境を越えてイラクで軍を整えているという話がある。

火曜日のイギリスの週刊誌サンによると、イギリス軍はイラン革命軍(Iranian Revolutionary Guard)が国境をこえてイラク内部に入り込んだのを目撃したと伝えている。

イギリス国防省はこの報告を否定もしなければ肯定もしないとし、報道官は「諜報に関わることなので」とコメントを拒否した。

匿名の諜報関係者が同誌に語ったところによると「たいへんなことにつながる非常に警戒すべき状況がおきています。これは事実上我々とイランは本格的な戦争をすることを意味するからである。だれも公式な宣言をしていないのにです。」

英米イラクが好むと好まざるとこに関わらず、イランとの戦争はよもや避けられない状態になっているのかもしれない。それにしても敵側がすたこらさっさと逃げ出す状態が我々の失敗だという考えはいったいどこからきたのだろうか?

イラク戦争とは本当に摩訶不思議である。

June 27, 2007, 現時間 1:41 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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米軍隊志願兵が減っているという嘘

イラク関係 , 狂ったメディア , 防衛

先日アメリカ軍に志願する黒人の若者の数が減っているという記事を読んだ。(下記は24日付けのAPより)

WASHINGTON (AP) - 黒人のなかで軍隊に志願する人の数が最近極端にへり、アフガニスタン・イラク戦争が始まって以来三割以上の減少となった。他の仕事への可能性が急増しまた親戚などから志願を止められることが多いのが原因だ。

APが取得した統計によると志願者は四つすべての正規軍で減っており、州兵、予備軍になるとその数は劇的な落下をみせている。

この調査結果は(二つの)戦争への不人気が増えていることを反映しており、特に家族やほかの大人たちが軍隊志願を考えている高校生や大学生に(軍隊よりも)教養を高めるかキャリアを目指すべきという意見が影響を与えていると思われる。
...

ペンタゴンの統計によると2001年には51,500人が正規軍に志願したとある。しかしその数は2006年には32,000人と38%の減少となった。

この記事を読んでいて先ず最初にわき起こる疑問は「黒人の志願兵が減っているというが、白人やその他の人種の志願兵も減っているのだろうか?」というものだろう。で、この記事には書かれていないが、いやこの記事には書かれていないからこそ、他の人種の志願数は減っていないとほぼ確信できる。反戦偏向丸出しのAPが米軍の志願兵の数が全体的に減っていたらその事実を記載しないはずがないからである。

イラク戦争が始まって以来、アメリカの主流メディアが何度も何度も繰り返してきた嘘に、アメリカ軍人の間で戦争は不人気であり士気が落ちているというものがある。だが実際に現役軍人たちに直接「イラク戦争について士気は高いか?」などというアンケートをとれば「高い」という答えが圧倒的にかえってくることが分かり切っているため、志願兵が減っているという二次的な現象を報道することで軍人の間で戦争は不人気という世論操作に余念がないのである。

さてそうなってくると実際にアメリカ軍の志願兵はどうなっているのかという話をせねば片手落ちだろう。 The Countervailing Force6月12日付けワシントンポストに載ったこの記事を紹介している。

陸軍五月の志願兵目標数に満たず。二年ぶりに最初の大幅減少。

昨日公開された統計によると海軍、海兵隊、空軍は五月の志願兵ゴールを超えたが、陸軍と空軍の州兵隊はゴールに満たなかったことが明らかになった。

陸軍は5,101 の志願兵を得た。これは目標数の5,500に満たない数であるが、2006年10月1日に始まり2007年9月30日に終わる今年度中の目標である8万人は満たせそうだとある。

「五月は歴史的にいって志願には難かしい月なんです。」と陸軍報道官のアン・エッジコム少佐は説明する。高校の卒業式や他の春のイベントが多いため志願兵の注意を引くのが難かしいという。

陸軍州兵隊は目標の88%を、空軍州兵隊はその77%を達成した。

海兵隊は五月2,225の志願兵が入隊しており、目標の1,665人を大幅に上回った。また海軍は目標ぴったりの2,709人、空軍は目標の 2,451人を獲得した。

ワシントンポストの記事によれば、正規軍の目標は陸軍が400人ほど満たなかったことを除けば、後は目標を達したか超えたかしている。ということは黒人志願兵が減った分、他の人種がその穴を埋めたことになる。軍隊には一般人口に比べると多少黒人の割合が多い。その原因は色々あるだろうが、経済的な理由がよく取り上げられている。APの記事にもあるように、最近のアメリカは経済状態が良いため、若者がつける職業も選択の余地が高い。ということは軍隊への人気が下がっているのは経済面の影響が大きく、戦争が不人気であるためだと断言することはできない。

APほどではないが、ワシントンポストの記事でも印象操作が行われていることに気付かれた読者は多いだろう。この記事で一番注目されるべきなのは陸軍の志願者が減ったことではなく、海兵隊への志願者が大幅に目標を超えたことにある。陸軍報道官のアン・エッジコム少佐も指摘しているように、5月と6月に軍隊志願兵の数が減るのは普通の状態である。それというのもアメリカの学校は6月に卒業式があるので、学校を卒業した高校生や大学生は若者として最後の自由な夏を楽しむため夏休みが終わる9月になってから志願しようと考えるからである。

また、陸軍への志願兵は多少減ったとはいえ、他の正規軍のほうは目標に達しており、減っているのは州兵である。もし上記にあげた二つの記事がいうように、イラク戦争が不人気なため志願者の数が減っているというのが本当だったとしたら、戦場へかり出される可能性が一番高い隊が一番不人気になるはずであるが、実際はその逆である。

戦争において一番危ない戦場へ送り込まれるのは誰かといえば、それは圧倒的に海兵隊だろう。その次が陸軍でむろん空軍は常に危険な空を飛ぶことになる。海軍は比較的安全だが、それでも中東で戦争が起きていれば長期にわたる出動が期待される。また正規軍と比べて予備軍や州兵隊は後方の援護が主な任務であり最前線にいく可能性は低い。それを考えると現在軍隊に志願した若者の傾向は実際に戦場へいく可能性の高い部署ほど人気があるということになる。

結論からいうならば、不人気な戦争とか不人気な軍隊というのはアメリカメディアが作り出した幻想であり、実際にはアメリカの若者はメディアが考えるほど腰抜けではないということだ。

私は仕事柄、軍人さんたちと会う機会が多いが、このあいだ何気なく女性の下士官らとテレビ番組の話をしていた。その時1980年代後半に人気のあったアニメの話が出て、ひとりの子が「あ、それ私が生まれる前」というので「え〜?何年生まれ?」と聞いたら「1989年」といわれて愕然となった(笑)。現在18歳の彼女は911当時まだ12歳。明らかにイラク戦争が始まってから志願したわけだが、そう思って回りを見ていたら一緒にいた軍人さんたちはみんなほとんどが18〜9歳。

頼もしいなあ、と改めて感じてしまったのであった。

June 27, 2007, 現時間 9:31 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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June 26, 2007

アルカエダは禁煙主義、罰則は煙草を持つ指を切断!

イラク関係

マイケル・ヨンがリポートしたなかにアルカエダが乗っ取った地元民に強制した不思議なシャリア(イスラム法)が紹介されている。アルカエダの連中は特定の地域を制覇すると似非政府を設立し不思議なシャリアをもって地元民を苦しめるらしい。下記はパワーラインの記事から紹介。

アルカエダは禁煙法に違反した違反者の二本の「禁煙指」を切断する罰を設置した。ほとんどのイラク人はたばこを吸うのでこの法律は特に地元民の反感を買った。アメリカ軍が地域を掃蕩すると地元民は水や食料よりも煙草をせがんだという。解放されたバクバ地区では地元民がお祝いに煙草に火をつける行為があちこちで見られたという。

またアルカエダはひげを生やしていない男たちを殴ったり、性的な暗示をするような行為は死刑。で、その性的暗示とは何かといえば、トマトとキュウリを同じ袋にいれてること、、といったような「ふしだらな行為」だそうである。なんじゃこれ? いうまでもないがこのような厳しい規則は地元民のなかでかなり不人気だったそうである。

どうりで地元民が積極的にアメリカ軍にアルカエダの居場所を教えてくれるわけである。

June 26, 2007, 現時間 5:43 PM | コメント (2) | トラックバック (0)

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イラク新作戦を理解できない反戦派たち

イラク関係

まだ始まって数日しかたっていないバグダッド掃蕩作戦がすでに失敗だ〜と騒いでる人たちがいる。このマシュー・イグレシアスなんてのがその典型だろう。

マシューはファルージャから多くのアルカエダ高官メンバーが戦わずして遁走してしまったことを指摘して、2004年のファルージャ闘争の時も全く同じことが起きたとし、テロリストどもは戦闘が終わればまた戻ってくることの繰り返しで、アメリカ軍は過去の間違いから何も学んでいないと語る。

これに対して、このような意見を述べるマシューこそイラクにおける新作戦を理解していないのだと指摘するのはブラックファイブのグリムである。

アルカエダのリーダーたちは戦いになると先ず逃げる。これは2004年にファルージャでも起きたことだ。しかしアルカエダの全体的な作戦である、アメリカに対抗して自分達が「勝ち馬」であるとするやり方に影響を与えるためには、彼等の本拠地を破壊することは非常に大切なことなのである。なぜなら彼等が逃げることによって本拠地が破壊されれば彼等はなんとしても失ってはいけない面子を失うからである。....

まずこの現象が起きたファルージャの例を考えてみよう。ファルージャでは敵は敵意まるだしの地元市民に勝利を勝ち取ると納得させた。その結果ファルージャはイスラミストに指導権を委ね、訓練をともにした。そして彼等がいう通り海兵隊はここで埋められると信じたのである。

しかしこれは幻想だった。アメリカの海兵隊と騎馬隊が現れると、テロリストの指導者たちは遁走してしまった。神話を信じたファルージャ市民は取り残されて自分らだけで戦うはめになったのである。ファルージャからの帰還兵の話によれば深い信念にもとづきファルージャ市民は激しく戦ったという。 しかし最後には彼等は生き残れなかった。ファルージャでおきた二つの戦闘の間にはイラクでは選挙があり、テロリストの攻撃は40%も減少した。敵の本拠地の真ん中であったこの土地で、選挙そのものも比較的問題なく行われた。

イラクのスンニ派反乱分子らがアルカエダに対する信用を失いはじめたのはこの頃からだとグリムは言う。確かに私の記憶でもイラクで最初の選挙があった頃から、スンニ派の寝返りが少ないながらも除々に起きはじめていた。いくらアルカエダが強気なことを言ってみてもいざという時に仲間を見捨ててすたこらさっさと逃げ出し地元民だけを犠牲にすることを繰り返していては、いずれはアルカエダの人気も落ちる。そしてアルカエダが逃げる度にアメリカ軍やイラク軍が勝利を遂げれば、いつかはスンニ市民にもどちらが「勝ち馬」かが分かるようになるわけだ。無論それは一夜では起きない。スンニ市民の大多数がアルカエダを見放しアメリカ・イラク連合軍を信用するようになるまでには時間がかかる。しかし今やその時が来たと私は思う。

ブラックファイブが受け取ったファルージャの司令官からのメールでも、このことが確認されている。

イラク警備軍は成功を遂げています。我々が戦っている敵のテロリスト達ですは風向きがかわりつつあることに気が付いています。い楽市民の支持が連合軍側に向けられているのです。それで敵側は殺人などの脅迫作戦をつかっていますが全く効果があがっていません。イラクの人々がテロリストに立ち向かって戦っているのを見るのはうれしいものです。

イラク新作戦はうまくいっていないどころか、かなりうまくいっているように思える。このまま辛抱強くアルカエダの神話を潰し、イラク市民の信用を勝ち取っていけば我々がイラクで勝てる日も近い。

June 26, 2007, 現時間 11:30 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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June 25, 2007

イラク米軍、元敵のスンニ反乱分子との協力は懸命か?

イラク関係

バクバでのアメリカ軍新作戦も一週間になるが、先日もお話したように米軍は地元住民からの通告によって貴重な諜報を得ている。このAPの記事によれば元アメリカの敵だったスンニ元反乱分子がいまや積極的に米軍の前衛偵察員として働いているという。

一万兵の強さを誇る米軍の五日目に入ったディヤラ地区の首都におけるアルカエダ戦士および爆弾製造者掃討作戦において、何百という元スンニ反乱軍の1920年革命旅団のメンバーは、米軍の前衛偵察員として諜報活動に当たっている。

もう2年以上も前からスンニ派種族がアルカエダに立ち向かう話は出てきていたが、最近になってこれまでアメリカを宿敵として戦ってきた元スンニ反乱分子までが次々にアルカエダから寝返って、アメリカ軍に協力を提供しはじめている。(下記は毎日新聞より

 11日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、イラク駐留米軍がイラク軍を通じ、同国内のイスラム教スンニ派勢力に武器類や資金を提供、国際テロ組織アルカイダ系組織と戦わせる新戦略を試行していると報じた。米軍司令官の話として伝えた。

 スンニ派勢力の中には過去、アルカイダと手を組み米軍を攻撃した疑いのある組織も含まれている。イラクの治安改善を目指した部隊増派の成果が十分に上がっていない中、米軍にとって苦渋の選択と言えそうだ。

 同紙によると、米軍はスンニ派が多数を占め、武装勢力の拠点とされるイラク中西部アンバル州で、スンニ派勢力への武器類供与を試験的に実施。中部など計4カ所でも同派勢力との提携に向けた協議を行った。

毎日新聞はもう二年以上も前からアメリカ軍がアルカエダに反旗を翻したスンニ派部族との交渉をつづけてきていることを知らないのか?スンニ部族を味方にする作戦はイラク安定化の一貫としてイラク軍養成と平行して行われてきた方針である。今頃『イラクの治安改善を目指した部隊増派の成果が十分に上がっていない中、米軍にとって苦渋の選択』などと何をとぼけたことを言っているのだ。ニューヨークタイムスの記事を焼き直して掲載して報道しているつもりだからこういうとんちんかんな感想がはいるのだ。まったく!

ま、それはそれとして、アメリカのブロガーのウエストホーク(Westhawk)という元海兵隊司令官はこの「敵の敵は味方作戦」にはかなり批判的だ。

アメリカ軍がやっとアルカエダの隠れ家を発見する方法を見つけだしたというのはいいことであるが、問題なのはイラクの80%以上を占めるシーア派とクルド派はアメリカ軍がやっていることを面白く思っていないことである...

ウエストホークはワシントンポストの記事から引用し、他のイラク人たちがアメリカ軍が「テロリストを信用している」と苦情をいっていることを指摘している。

イラク政府のある高官はスンニと協力関係を持つアメリカ軍事作戦について「ばかげている」と語った。

「三か月ごとに彼等の作戦は変わります。我々の方針の邪魔になるだけでなく全ての人々を不安にさせます。このような作戦は目前の便利さだけが先行して、十分な配慮がされていないと思います。」と匿名希望の高官は語った。

「事実上アメリカ軍はイラク政府並びにシーア派やクルド族にサダム派と仲直りしろと強制しているようなものです。」と高官は付け加えた。「これは1865年に(注:米南北戦争終結の年)南部に北部とすぐさま和解せよと強制しているようなものです。出来っこありません」

出来っこない例としては南北戦争は不適切だな。(笑)南部再建という名目で北部政府の共和党による南部への暴虐が数年に渡っておき、南部アメリカ人の中にはその恨みから未だに共和党には絶対に投票しないとがんばっている人たちがいることは確かだ。しかしその反面、アメリカは南北戦争の結果南部と北部の宗派間争いは終わり二つの国となったりはせず、最終的には一つの国家として南北が平和共存することができた。

スンニ派、特に元サダム・フセイン派の市民と他の市民らがすぐさま仲良くなるということは不可能でも、いずれはそれぞれの部族が部族主義を乗り越えてイラク人として共存していかなければならない。アルカエダという同じ敵と戦うことがきっかけでその協力関係をが今はじめられるなら歓迎されるべきことであり批判されるべきことではない。

第一自分達はシーア民兵の悪行を取り締まれずに内部争いばかりしているイラク政府の高官が、アメリカ軍の作戦を「ばかげている」などといえた義理か、それこそばかばかしい!

もちろん元敵のスンニ反乱分子を無闇矢鱈に信用し武器供給などすることについてはかなりの注意が必要だろう。こういっちゃなんだがアラブ人の傾向として強い方に味方する日和見主義があることも忘れてはならないからだ。

しかし私はウエストホークがいうシーア派とクルド族がスンニ派を絶対に許さないという考えには賛成できない。フセイン時代でもスンニ派とシーア派、およびクルド族は結構平和に共存してきた。フセインが自分の勢力を守るために宗派間の敵対心をあおっていたことは確かだが、部族同士はそれほど殺しあいをしたいほど憎みあっていたわけではない。今起きている宗派間争いにしたところで、スンニとシーアの一部の人間が混乱を利用して勢力を得ようとしているだけのことであり、一般のイラク市民たちは宗派間争いなど望んでいないのだ。

イラク人たちがイラクという国の国民として自意識を持つことができず、宗派だけを強調するというウエストホークの考え方は間違っていると私は思う。スンニ元反乱分子もイラク人である。今後彼等が生き延びたいのであれば、今こそ彼等にとっても正念場だろう。アメリカ軍がそれをうまく利用して良い方向へもっていくことができれば儲け物である。

June 25, 2007, 現時間 2:11 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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June 23, 2007

米軍イラク新作戦、いよいよ本格的に開始

イラク関係

ことイラク作戦に関しては右も左も「増派、増派」というだけでいったい実際にどんな作戦がとられているのかメディアは詳細を報道しない。それでイラク戦争に関してきちんと注意を払っていないと、アメリカ軍はやたらに兵士の数だけ増やして訳の分からないことをやっては殺されているという印象を受けかねない。

しかしありがたいことに、主流メディアがきちんと報道しない現地での状況をアメリカのミルブロガーと呼ばれる人々が詳しく説明してくれているので、そのうちの一人、ビル・ロジオのブログThe Fourth Railを参考にイラクにおけるアメリカ軍の新作戦を考えてみよう。

現在イラクで行われている作戦はバグダッド治安安定を目的としたファンタムサンダー作戦である。五日目にはいったこの戦闘はアメリカ軍とイラク軍の複数の隊によるもので、細かく分けてダイヤラーの首都バクバー市で行われているアローヘッドリッパー作戦、南バグダッド地域で行われているマーントーチ作戦とコマンドイーグル作戦、そして名前は分からないがアンバー地区の東部で行われている作戦との四つの戦線を持つ広範囲の戦闘作戦である。

アローヘッドリッパー作戦(Operation Arrowhead Ripper)

メディアから一番注目を浴びているのがバクバーの戦闘だろう。下記は朝日新聞の記事より

イラク駐留米軍は同日、中部ディヤラ州バクバ周辺で1万人を動員した大規模なアルカイダ掃討作戦を始めた、と発表した。「フセイン政権崩壊後で最大規模の作戦の一つ」だという。

西部アンバル州やバグダッド周辺では米軍などの掃討作戦が続く。地元系のスンニ派部族や武装勢力もアルカイダ系に反旗を翻したため、アルカイダ系はディヤラ州に流入。バクバ周辺の治安は悪化していた。19日に外出禁止令が発令され、激しい銃撃戦が続いている模様だ。米軍は同日午前中までに戦闘員22人を殺害したと発表した。

バクバはディヤラ地方の首都にあたり、アルカエダがイラクイスラム国家の本拠地と宣言した場所であり、1000人以上のアルカエダ戦闘員が待機しているものと思われる。このあたりは路肩爆弾や地雷、狙撃兵などで武装されている。従軍記者のマイケル・ゴードンによればアメリカ軍は西バクバにて医療体制の整ったアルカエダ戦場病院を発見したという。この病院ではなんと酸素マスクだの手術用の機械を作動する発電機などが備え付けられていたという。まったくアルカエダはいったいどっからこんな立派な病院を設置する資金や器具を取得したのだろう?

この作戦により、少なくとも41人のテロリストが殺され、5つの武器庫のなかから25の路肩爆弾、爆弾装備の家屋などが発見され破壊された。

マイケル・ゴードンも体当たりフリーランス記者のマイケル・ヨンもバクバの陸軍に従軍しているが、地元庶民からアルカエダに関する情報がかなり入ってきているらしい。マイケル・ヨンによると地元市民はアメリカ軍によってアルカエダが殺されていることをうれしくおもっているらしく、アメリカ軍への協力に積極的だという。「市民は路肩爆弾の場所や敵の陣地の場所などを指摘してくれるため、アルカエダにとってはうまくいっていません」とヨン記者。

マーントーチ作戦とコマンドイーグル作戦(Operations Marne Torch and Commando Eagle)

南バグダッド地帯に新しくできた多国籍軍の二つの司令部がそれぞれ行っている作戦。マーントーチはバグダッド南東部、コマンドイーグルはバグダッドの西南部の担当である。

すでにマーントーチとイラク軍はチグリス川において武器輸送をしていた17隻のボートを破壊し、多国籍軍当局の発表によればアメリカ軍は5人のテロリストを殺害し、12の改良爆弾を破壊、13人の指名手配テロリストを拘束したとある。

コマンドイーグルのほうでは21日、ヘリコプターとハンビーを駆使した攻撃により29人のテロリストを退治、多数の武器庫を発見破壊、75枚のCDにおさめられたプロパガンダおよび拉致や拷問の仕方やヘリコプターの撃ち落とし方などの教科書を発見した。

東アンバール地域、名無し作戦

東アンバールで行われている戦闘の作戦名はまだ公開されていない。米軍報道官のジョン・アレン准将によると、現在ファルージャ、カーマ(Karma)、ターター(Thar Thar)のみっつの地域に焦点が当てられているという。ファルージャでは11地区において市民による隣組み風の組織がつくられ警察と協力関係にあるという。ファルージャ地域の治安維持作戦はアルージャ(Alljah)と呼ばれているそうだ。これはラマディで成功した作戦を取り入れているのだという。

ファルージャは8月頃にはほぼ安定するものと思われる。カーマとターターは7月以内にはなんとかなりそうだ。しかしカーマにおける改良路肩爆弾の攻撃は毎晩あちこちで起きており、まだまだ油断のできない地域である。しかし米軍によればファルージャは日に日に状況が向上しているということだ。

マフディ軍との戦い

アルカエダに対する戦いが激化する一方、アメリカ軍はモクタダ・アルサドルの率いるマフディ軍への圧力も引き続き強めている。

6月20日、アメリカ軍特別部隊はサドル市への手入れにおいて誘拐や攻撃を企んでいた民兵の司令官とその仲間二人を逮捕した。逮捕された三人はこれまでにもイラク市民の誘拐や殺害に必要な警察の制服、身分証明書などを供給していたという。イランが援助しているマフディの秘密グループは、先月におきたイギリス民間人5人を誘拐したと考えられている。また今年の一月に5人のアメリカ兵を殺したのもこのグループであるとされている。

ペトラエウス将軍によれば、イギリスの民間人が拉致される数日前にアメリカ軍は秘密グループの指導者を逮捕していたのだが、作戦はすでに部下によって進行されていた。 この秘密グループはジャイシアルマフディ( Jaish al-Mahdi [al-Mahdi Army])軍と呼ばれるマフディ軍の一部だが、直接サドルの支配下にあるとは限らず、アメリカ軍が必死に崩壊しようと努力しているイラン系カーザリネットワークの仲間らしい。

ほかにも色々な戦闘があちこちで起きているが、その成果はまずまずといったところだ。イラク戦争の新作戦は決して単なる意味のない増派ではない。増加された軍隊は能率的に対テロリスト作戦に起用されているのである。今年の8月下旬頃までにはかなりの成果が期待されるであろう。

June 23, 2007, 現時間 4:19 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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May 31, 2007

イラク駐留米軍の「半減構想」で右往左往の保守派とリベラル

アメリカ内政 , イラク関係

数日前、ニューヨークタイムスはブッシュ政権がイラク駐留米軍を来年あたり半減させることを考えているという情報を報道すると、アメリカでは右も左もブッシュがついに民主党の圧力に負けて妥協したと歓喜したり激怒したりと大騒ぎになっている。

構想をめぐる調整は今後数カ月間続くともし、具体的な内容は現在、固まっていないとも伝えた。

シナリオの一つは、来年の米大統領選を考慮し、兵力を約10万人規模に削減することを想定。現在の兵力は約14万5000人となっている。

また、ブッシュ大統領が今年1月に発表した首都バグダッドと武装勢力の活動が活発なアンバル州の治安回復に米軍を投入する方針を修正し、主要任務をイラク軍の訓練、国際テロ組織アルカイダ系勢力の掃討に集約させることも考えられていると伝えた。

米軍の戦闘旅団の数では、現在の20を約10に減らし、来年春から年末までの間に実現させたいとしている。

政権内で駐留米軍の削減論が浮上したのは、米大統領選を踏まえ、イラク政策に関する論議の焦点を撤退期限の明示問題から米軍の長期配備に移したいとの思惑があるという。野党・民主党は撤収期限の提示を予算案などに絡めて強硬に要求、ブッシュ政権と対立している。

また、駐留米軍の現在の規模が、イラク、中東や米国内の情勢を踏まえ、今後も維持することは不可能との認識が議論の背景にあるとている。

タイムズ紙によると、来年中の部隊削減を提案しているのはゲーツ国防長官とライス国務長官で、イラクの政治改革の進展を疑問視する一部将官も加わっている。イラク駐留米軍の司令官は議論に関与していないという。

なんでもかんでもイラク敗戦に結び付ける左翼連中が誤解するのはしょうがないとしても、左翼メディアを信じるなと常々いってる保守派連中までブッシュが妥協したなどと頓珍漢なことを言ってるのをきくと苛立ちを通りこして腹が立ってくる。

ブッシュ大統領は戦争が始まる前からフセイン政権を倒し民主主義国家を創立し、治安が落ち着いたら一部のアドバイザーだけを残してイラク人に自治を任せて撤退すると言っていた。イラクに半永久的に十数万の隊を駐留させるなどと言ったことは一度もない。

総司令官たるものあらゆる戦況に対してあらゆる対応策をあらかじめ考えておくのは当たり前だ。今の作戦がうまくいって治安が安定した場合を想定して、来年兵数を半分に減らす可能性を考えるのは軍隊の総司令官として当然の義務である。

どうして4年間もイラク戦争を見つめてきた人たちがこんな基礎的な戦略も理解できないのだ?最初から戦争に反対なリベラルや左翼連中がブッシュ政権の主張を都合良く忘れてわい曲して話をするのは仕方ないとしても、イラク戦争を支持してきたひとたちがブッシュ大統領の当初からの作戦を理解できていないというのはどういうことなのだ?いったい何を基盤にしてこの戦争を支持していたのだ?

アメリカの保守派を自負するカカシとしてはこういうことはいいたくないのだが、アメリカの保守派のなかには左翼メディアは信用できないと常々いっているくせに、左翼メディアがイラク戦争は負ける、来期の大統領選挙と一般選挙は民主党が圧勝すると報道すると、「もうだめだ〜」」とすぐ弱腰になる連中が多すぎる。どうして信用できない左翼メディアの報道を鵜呑みにするのだ!

イラクは対テロ戦争の一貫であるが、これが最初でも最後でもない。対テロ戦争は東共産圏との長年に渡る冷戦のように何十年も続く戦争になるだろう。だがイラク戦争で敵の力を弱体化しておけば、それだけ今後の戦争に我々は有利になる。だからイラク戦争はイラク人が自立できるまで見届ける必要がある。だがそれは我々が永久にイラクを面倒みるということではない。今後長丁場になる対テロ戦争を考えたら、いつまでもイラクにだけ手間どっているわけにはいかないのである。

May 31, 2007, 現時間 11:53 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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May 26, 2007

米議会:民主党が完全に折れたブッシュの戦費予算案

アメリカ内政 , イラク関係

まったく半年近くもグチャグチャ言って時間稼ぎをしていた米民主党議会だが、結局ブッシュ大統領の提案どおりのイラク戦費予算案が通りブッシュ大統領の署名となった。先ずは5月26日付けのCNNのニュースから。

ブッシュ大統領が署名、今秋までのイラク戦費法案

ワシントン——ブッシュ米大統領は25日、上下両院が24日夜に可決していた今秋までのイラク戦費支出を含む補正予算案に署名した。大統領と議会の攻防の焦点となっていた米軍撤退期限は明示されず、イラク政府が復興に向けて達成すべき目標を設定するにとどまっている。

ただ、撤退期限の問題は今秋に蒸し返されることは確実。法案では、野党・民主党が期限の明示を主張していたが、最終的に折れる形となった。同党は2008会計年度(07年10月─08年9月)の予算案審議で改めて要求する方針。

結局今のアメリカの議会は戦争を止める度胸など全くないということだ。口先だけで批判はしてもアメリカの敗北を招くことになる責任をとるだけの政治力はない。ヒラリー・クリントンとバラク・オバマがわずかに抗議の反対票を投じたが最初から可決されると分かっている議案に対しての反対票など、反戦派の極左翼に迎合するための形式上の抗議に過ぎない。

反対票を投じたバラク・オバマは下記のような公式発表をした。括弧内はカカシの注釈。(パワーラインより

わが国は軍隊を支持することで一気団結しています。しかし我々は他国の内線を警備するという重荷から彼等を解放してやる計画をたてる義務があるのです。ロムニー知事もマケイン上院議員も(二人とも共和党から大統領候補として出ている)明らかにイラクでの方針がうまくいっていると信じています。しかし私はそうは思いません。数週間前にマケイン議員が(防弾用の)フラックジャケット(flack jacket)を着て装甲ハンビーに乗り、アパッチヘリコプター2機とライフルを持った100人の兵士らに守られながらバグダッドの市場を歩かなければならなかったことがそれを証明しています。

これに対してマケイン議員はすかさず反撃した。

確かに上院議員(わずか)二年目のオバマ議員は我が軍への予算割り当てに反対票を入れる権利はあります。私の(長年に渡る議員として、ベトナム戦争に参戦して7年間にわたって捕虜になった豊かな)経験と現場の司令官たちとの会話とを合わせて考えた結果、私は新しい作戦が成功する機会を与えなければならないと信じます。なぜなら失敗はわが国の防衛に悲劇的な結果を招くからです。

ところでオバマ議員、フラックジャケットはflak jacketと綴ります。flackではありません。

マケイン議員は一本気で融通が効かないところがあり、すぐカッとなる質でブッシュ大統領ともいろいろぶつかりあってきた人だが、他人からの突っ込みにはもっと鋭い突っ込みを返せる頭の回転のいい人だ。たかだか上院議員二年生のオバマごときが相手にして勝てる相手ではない。

共和党の他の大統領候補たちもマケイン議員を見習って、今後一年半選挙に向けてどれだけヒラリーやオバマが自国の軍隊の活動を阻止しようとしたか、軍隊の総司令官になろうという人間がどれだけ軍隊をおざなりにしたか、投票者に何度も思い出させる必要がある。

アメリカの左翼連中はなんとかイラクを第二のベトナムに仕立て上げて勝てる戦争に負けようと必死だが、今の状況はベトナム時代とは違うのだということが今回の予算案可決ではっきりした。それにしてもアメリカって国は大統領の権限が強い。これはクリントン政権時代にも感じたことだが、議会全体を敵に回しても大統領には独裁的といっていいほどの権限がある。特に戦争に関しては大統領が断固戦うと言い切れば議会はそう簡単に阻止することはできないのだ。はっきりいってアメリカがそういう国で本当に良かったと思う。なぜなら対テロ戦争に負けることは絶対に許されないからだ。

イラクに巣食うテロリストやシーア民兵らにも分かっただろう。アメリカ議会はなんだかんだいっても実際に力を握っているのはブッシュ大統領なのだということが。だから抵抗は無駄なのだ、そろそろあきらめようというふうになってくれればいいのだが、ま、それは無理か。

May 26, 2007, 現時間 4:46 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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May 25, 2007

アメリカ軍の防弾チョッキは兵士を守っているのか?

アメリカ内政 , イラク関係

現在アメリカ陸軍が使っている防弾チョッキは技術の最先端をいくものではなく、もっと性能のいい防弾チョッキがあるにもかかわらず、陸軍は他メーカーの製品の使用を全面的に禁止して、兵士の身をむざむざ危険にさらしているという話が最近で回っている。このNBCの番組などその典型だ。このニュースは司会者リサ・マイヤーズによる下記のようなナレーションで始まる。

陸軍の防弾チョッキの監督をしているマーク・ブラウン准将はNBCに「現在兵士らに至急されている防弾チョッキは世界最高のものです。実弾テストでも実戦でもそれは証明されています。」と語った。

だが本当に最高なのだろうか?

NBCが独自に行った弾道テストも含む調査によると、もっと性能のいいドラゴンスキンというものが存在する可能性が出てきた。軍人の家族や兵士らはドラゴンスキンのほうが防衛力があると信じて購入しようとした。しかし陸軍は去年正式なテストをする前にその使用を全面禁止した。

現在陸軍が使っている防弾チョッキはインターセプターというが、このデザインに関与した技術師のジム・マギー氏も、現在一番性能のいい防弾チョッキはインターセプターよりもドラゴンスキンと呼ばれるものだと語っている。防御面積も阻止能力も一段も二段も上だとマギー氏は語る。

ドラゴンスキンとは利害関係が全くないマギー氏は「もし今日、ジム、明日からイラクへいってもらうからどっちを着る?と聞かれたら私はドラゴンスキンを買って着ますよ。」と語った。

現にCIAは去年からドラゴンスキンの使用をはじめている。しかし、陸軍のマーク・ブラウン准将はドラゴンスキンは陸軍のテストに完全に失格したと語っている。

准将: 48発のうち13発うった玉がドラゴンスキンを突き抜けたのです。

リサ: じゃあ、悲劇的な失敗ですね。

准将:そうです。

リサ: ドラゴンスキンは失格したのですね。

准将: ドラゴンスキンはみじめに失敗しました。

番組ではここで司会者のマイヤーズが鬼の首でもとったかのように鼻にかけたナレーションが入る。

ナレーション:ここで問題が一つある。陸軍はドラゴンスキンを3月に使用禁止にした。それは5月のテストの二か月も前のことだった。

リサ: 准将、陸軍がドラゴンスキンを使用禁止にしたのはテストの前ですよ。

准将: リサ、私は、私はそのことは知りません、私はテストがその時行われていなかったことはしりません。私はその場にいなかったので、、

准将はインタビュー番組は慣れていないとみえて、適切な反論をしなかった。それで、ばれた嘘を言い訳しているような印象を与えてしまった。准将が返すべきだった反論は『リサ、当然ですよ。試験もしていない防弾チョッキを兵士らに使わせる訳にはいきませんからね!』である。テストもしてない装具を兵士らが勝手に着はじめたらそれこそ危険ではないか。先ずその安全性が分かるまでひとまず使用禁止にするのは当たり前だと言えば良かったのである。

実のところ私はドラゴンスキンがインターセプターよりも性能がいいのかどうかということは知らない。以前に「フューチャーウエポン」(未来の武器)というテレビ番組でドラゴンスキンの特集をしているのをみたことがあるが、この番組では既存のチョッキよりも性能はいいという結論をつけていた。またNBCの番組で上記の専門家以外のエンジニアーたちがが口々にドラゴンスキンの性能の良さを語り、独立して行った比較試験ではドラゴンスキンのほうが性能が高いという結論付けもしている。

もし本当にドラゴンスキンが既存のインターセプターより性能がいいのであれば、どうして陸軍はこれを使いたがらないのだろうか?NBCはドラゴンスキンが陸軍の企画でないことが原因していると示唆する。

ナレーション:機械工学士で弾道学の専門家であるネビン・ルーパート氏は7年間にわたり陸軍のドラゴンスキン専門家だった。今は内部告発者となった氏は陸軍のタイミングは偶然ではないと語る。

ルーパート: 私は陸軍の低位の人たちが故意に阻止しようとしてるんだと思います。

リサ:陸軍の人たちがどんな動機があって命を救う技術を邪魔する必要があるのですか?

ルーパート:彼等の組織に対する忠誠心と予算維持です。

ナレーション:氏によるとドラゴンスキンは陸軍によって開発されたものではないため、陸軍のなかにはインターセプターやその他の企画の予算が削られるのを恐れている人たちがいるという。(略)ルーパート氏はドラゴンスキンのテストには立ち会わないように命令されたという。

リサ:7年もドラゴンスキンの分析に当たっていたのに、陸軍がテストする時に出席するなといわれたんですか?

ルーパート: そうです。

もっともこのルーパートというひと、今年の2月に33年勤めた陸軍を首になっていて、明らかに陸軍には個人的な恨みがある。どういう理由で解雇されたのか明らかではないが、陸軍は法律上コメントできない。そのをいいことにNBCはそうと知っていながら陸軍がコメントを避けているかのように語っている。

また軍上層部の将軍らがドラゴンスキンを購入した事実を指摘し、一介の兵士らの身の安全は考えないくせに上層部だけが性能のいいものをきているとでもいいたげだ。しかし上層分の将軍らは多分陸軍の防弾チョッキの規則を知らなかったのだろうし、お偉方は鉄砲担いで戦闘に赴くわけではないから、多少重たいチョッキをきて歩いたからといってどうってことはない。こういう報道の仕方を「あら探し」というのだ。

しかしここでNBCが語らないのは、ドラゴンスキンの使いやすさである。性能のいい防弾チョキが必ずしも一番使いやすいとは限らない。例えばマイヤーズの「陸軍の人たちがどんな動機があって命を救う技術を邪魔する必要があるのですか?」という質問だが、忠誠心や予算維持以外に、軍隊にはもっと基本的な理由がある。それは、

軍隊は兵士の命を守るのが仕事ではない。軍隊は敵を殺し物を壊すのが仕事である。であるからその仕事に邪魔になるものは使わない。

軍隊が兵士の命を守ることを最優先にしたならば、戦争など最初からやれないではないか。戦争をやれば必ず戦死者や負傷者が出ることは最初から分かっているのだから。

つまり、ドラゴンスキンがどれほど既存のチョッキよりも性能がよかったとしても、(陸軍は異存を唱えているが)それが兵士の戦う行動の邪魔になるようであれば使用しないという決断が下されても不思議ではない。現に私は現場の兵士らがある種のチョッキは重たすぎて着てられないと文句をいっているのをミルブログなどで読んだことがある。

事実、インターセプターの12.7kgに比べてドラゴンスキンは21.5kgと二倍近い重量なのである。重たい荷物をしょってハイキングをしたことのある人なら分かるが一人の人間が担いで機能できる重量には限りがある。それ以上になった場合はたとえどれだけ便利なものでも置いていくしか仕方がないのだ。一般の兵士が担げる重量はスパルタの時代からほぼかわらず36.2kgがせいぜい。防弾チョッキだけでその三分の二をとられてしまっては、その分持てる補充用の銃弾の数などが減るし兵士の動きにも弊害がでる。いくら弾に当たった場合は生き残る可能性が高くても動きが鈍って弾に当たる可能性が高まっては元も子もないだろう。

また、陸軍のテストによるとドラゴンスキンは耐えられる温度にも限りがあり、下はカ氏マイナス20度まで、上は120度までで、それ以上になると鱗をとめている糊が弱まって鱗がはがれてしまうという。

強まる批判に答えるため、陸軍はこのほかにもドラゴンスキンのテストの調査結果を公表した。

この問題はこのままではおさまらず、きっと民主党の議員らが公聴会でも開いてまたまた税金の無駄使いをするに違いない。だいたい戦費を削って軍隊の行動を大幅に邪魔し、兵士をより危険な目にあわせようとしている奴らが、この時とばかりまるで兵士らの身を慮っているかのうように騒ぎ立てる偽善には反吐がでる。軍隊の動き同様、軍隊が使用する武器なども専門家でもない議院などに決めてもらいたくない。これは現地で実際に武器を使用する軍人や専門家の工学博士などが決めることであり、素人が口出しすべきことではないのである。

May 25, 2007, 現時間 9:59 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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May 20, 2007

イラクブロガー、テロとの戦いは続けなければならない!

イラク関係

ミスター苺紹介イラク・ザ・モデルのこの記事はすばらしい。

ここでも何度か紹介しているが、イラク・ザ・モデルはバグダッド在住のモハメッド、オマー、アリのファディ三兄弟で始めたブログ。途中アリが抜けて今は二人で経営しているが、彼らのエントリーを呼んでいるとその勇気に常に感心させられる。

安全なアメリカで安楽イスに腰掛けながら「イラクは泥沼だ、即撤退だ!」と騒ぎ立てる敗北主義者とは対照的に、暴力の真っ只中にいながら希望を捨てず、イラクの将来のために努力したいと常に未来をみつめるモハメッドとオマーに声援を送りたい。

さて、このエントリーでも「砂の中に頭を埋めないでくれ」とモハメッドは対テロ戦争はあきらめてはいけない、アメリカ軍は撤退してはいけないと、この戦争の大切さを訴えている。モハメッドはイラク国内でもアメリカにもアメリカは負けているというメッセージを送り込むのは間違っていると語る。

ハリー・リードの「アメリカは負けた」宣言に続いて、アルカエダのザワヒリは「我々は勝った」宣言をしているが、実際の戦況をみていると、どちらが勝ったなどといえたような状態ではなく、かえってアルカエダの方が苦戦状態にあるとモハメッドは言う。

イラク戦争はドンパチ戦争であると同時に情報戦争でもあるわけで、アメリカやイラクから間違ったメッセージを送り込むことは、すでに複雑な状況をさらに複雑にし、イランやシリア、サウジアラビアなどに漬け込まれるのが落ちだとモハメッドは言う。

アメリカ軍はイラクに駐留し続けるべきだ。そして必要とあれば状況に応じて援軍を送るべきだ。それだけでなく、中東に脅威を及ぼし、醜い限りの欲望で核兵器を使って世界中を脅迫し、熱狂的な願望と妄想によって世界のみならず自分達をも破壊しようという悪の巣は徹底的に叩く必要があるのだ。 ...

我々はこれらの犯罪者や独裁者と戦い続けねければならない。奴らがこの地で自由を愛する人々が一人ではないことを知るまで。自由と威厳に満ちた生活は人類すべての希望だ。それが我々を団結させるのだ。死や自爆ではない。他の国の自由を愛する人々が我々に手を差し伸べる時、アクマネナジャド、ナスララ、アサード、カダフィのようなすべての独裁者と殺人鬼らは我々は彼らの息子らに引き継がれる所有物ではないことを知るだろう。我々は文明に属するのだ。...奴らは我々の威厳を醜い犯罪によって奪い取ることは出来ない、我々を撤退させることもできない。世界は自由の戦士らに出て行けという前に、奴らに出て行けというべきだ。

モハメッドはまた、ヨーロッパを開放するのにどれだけの犠牲を有したか、そしてその後も冷戦中に長年にわたり、アメリカ軍が駐留してヨーロッパの平和を維持してきたことなどをあげ、ヨーロッパを守ることは正しかったのに、何故、人々は世界中の文明社会の平和を脅かすテロリストが巣食うイラクを見捨てろというのかと問いかける。

友よ、私は悪い奴らが呼びかけているように、あなた方に強く呼びかけたい。私は奴らより強いことを見せなければならない。なぜなら奴らは文明の理屈や道理など理解できないからだ。奴らにわかるのは力だけだ。そして力を通じて奴らは国々を支配し国民を人質としているのだ。奴らの功績のすべてが殺人、拷問、弾圧、威嚇によって国民をコントロールすることで得てきたものなのだ。...

どうして勝利のために必要なすべての道具を所持している国が、毎日のように斬首や拷問、法と秩序と価値観をあからさまに犯す敵を前にして戦うことを拒むのか、私には理解できない。...

アメリカを攻める人間はいつでも存在する。世界でおきるすべての悪いことがアメリカのせいだという奴はいつでもいる。だからといってアメリカがそんな奴らの言うことを聞く必要はない。アメリカが聴くべきなのはアメリカ精神とその精神が代表するものだ。

収穫は今日ではない。だが我慢強い戦いの後その果実は実るのだ。

モハメッドが疑問に思うとおり、アメリカは1970年代から武力がありながら徹底的な戦いを拒むという姿勢を続けてきた。ベトナム戦争での中途半端な撤退、イランのアメリカ大使館占拠事件での無対応、レバノンからの引き上げ、湾岸戦争でもフセインを殺さず撤退、ソマリア、コーバー塔、コール船、などなどなど、アルカエダや諸外国の悪いものからしてみれば、アメリカには戦う意志がない、アメリカは腰抜けだというイメージが強く焼きついているに違いない。ここでアメリカがイラク勝利をなくして撤退すれば、かれらのアメリカは腰抜けというイメージが完全に確認されることになる。

そうなったなら、アメリカは今以上に危険な状態にさらされうる。いや、アメリカだけではない。イラク戦争で痛い目にあったアメリカが士気を失っているとにらめば、アルカエダの狙いはクエート、サウジ、エジプト、トルコ、レバノン、といった中東はもとより、ヨーロッパ諸国へも広がるだろう。なにせ弱腰のアメリカが邪魔に入る危険はもうないのだから。

モハメッドはイラク及び中東を守るのはアメリカの使命だという。アメリカがイラクから退くと言うことはアメリカが対テロ戦争から退くと言うことだ。テロリストに勝利を与えるということだ。そうなれば、危険に陥るのは中東だけではない。世界中の文明社会が危険にさらされるのだ。

アメリカは絶対に撤退してはならない。自由を愛するイラクの人々と、そして世界の人々と共にアルカエダとその仲間の闇の力と戦おう!

撤退は許されない!

May 20, 2007, 現時間 11:39 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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May 15, 2007

対路肩改良爆弾、アメリカ軍の新兵器!

イラク関係

イラク戦争においてアメリカ兵を一番殺しているのはなんといっても路肩改良爆弾(IED)だろう。2003年フセイン政権が崩壊した直後、まだスンニとアルカエダの反乱分子がテロ行為を始める前まではアメリカ兵は交通手段としてハンビー(HUMVEE)と呼ばれる21世紀版ジープに乗っていた。もともと移動用の乗り物で戦闘用ではないので攻撃からは全く無防備だった。この弱点を最大限利用したのが敵の肩撃ちロケット弾(RPG)とIEDだ。

そこでアメリカ軍はバンドエイド型改良を行いハンビーに装甲を加えたがこれはあくまで臨時対策。そこでもっと効果のある対策としてストライカーと呼ばれる装甲車が2003年の終わり頃からじょじょに取り入れられた。これはハンビーよりも大型で戦車の乗組員は完全に囲まれている。ハンビーより重いし頑丈なのでちょっとやそっとのIEDでは吹っ飛ばせないし、RPGも突き抜けない。ストライカーのおかげで米軍兵の犠牲者はかなり減った。

しかし、敵もさるもの、こちらが強くなれば向こうも対抗して別の方法を考えてくる。ストライカーもデザイン的には下からの攻撃には弱い。ハンビーより重いとはいえ、その分爆薬を増やし地面の奥深くに埋めておけばストライカーでもふっとばすことは可能だ。ほぼ無敵と思えたストライカーも2006年の終わりごろからイランから入ってきた爆発成形弾(EFP)などによって致命的な被害を蒙ることが多くなってkた。

陸軍の兵輸送車として一時はより軽く小回りが効くとして歓声を浴びたストライカーも強力な路肩爆弾による一連の致命的な被害から、その弱点が新たに見直されている。

バグダッドの北方にある治安の悪いディヤラ地方にストライカーが出動した二ヶ月前から、ストライカーの損失が確実に増えていると軍当局は語っている。

損失に詳しい兵士の話によるとディヤラにいるひとつの歩兵中隊だけで今月に入って一週間未満で5台のストライカーが失われたという。 兵は情報を公開する資格がないため匿名でインタビューに答えた。ストライカー損失の合計数は非公開である。

明らかに敵はストライカーの弱点を見出しその弱点を多いに利用しているわけだ。ストライカーの真平らな床は下からの強力な爆弾攻撃には対抗の仕様がない。

明らかに敵は装置を隠す技術を向上させたようで、殺された1人の記者と6人の兵士とを殺害したIEDは下水パイプのなかに隠されていたと思われる。殺害機能を高めるため反乱分子は装置をセメントで固め爆発力がタンクのある上向きに行くように仕掛けてあったと捜査に携わった兵士は語った。

すとらいかー擁護者はこれらの攻撃は単に爆弾の致命的な強さを証明するものであり、ストライカーそのものに問題があるのではないと主張する。最近の爆弾はあまりにも強力であるためエイブラハム戦車でも立ち向かえないと言う。

ストライカーだけでなくエイブラハムもブラッドリーも最近は非常に高い率で損失を得ている。これははっきり言って由々しき状況といえる。我々が気がつかなければならないのは、イラク戦争は湾岸戦争とは違うのだということだ。我々はこれまでのように軍隊対軍隊が戦うような戦争をやっているわけではない。真正面から撃ってくる敵の弾をよければ済んでいた時代は終わったのだ。ゲリラに対する軍事作戦が正規軍との戦いとは全く異なるように、闇に潜む敵と対抗する武器もまたそれに適応して変わっていかなければならないのだ。

ストライカーにしろハンビー、エイブラハム、ブラッドリーにしろ、単に現在のEFPが突き抜けられない装甲装備をするだけでは常により強力な破壊力を持つ武器改良を厭わない敵相手に不十分である。

しかし忘れてならないのは、武器改良の点ではこちらの方が敵よりも一枚も二枚も上手(うわて)だということだ。第一ラウンドは取られたかもしれないが、第二ラウンドは見ていろよ、おれっちの番でえ。

アメリカ軍が誇る新兵器 MRAP級装甲車: をごらんあれ! これはthe Mine Resistant Ambush Protected級 と言い、日本語にすると「爾来抵抗待ち伏せ防御」とでもいうのかなあ?いやもっとチャントした日本語訳があるはず。 とにかく海兵隊と陸軍がそれぞれ独自にデザインしたもので、クーガーHシリーズのMRAP型(the Couger H-series of MRAP)とバッファローHシリーズのMPCV型(the Buffalo H-series of Mine Protected Route Clearance (MPCV) vehicles)がある。どちらもフォースプロテクションインク( Force Protection Inc)製造。バッファローの方がクーガーより大型で爆弾を掘り起こす装置がついている。ちなみにバッファローのあだ名はクロー(大爪)。



Couger H-series MRAP    Buffalo H-series MPCV

クーガーHシリーズ:Couger H-series MRAP () とバッファローHシリーズ: Buffalo H-series MPCV ()

画期的な改良デザインは輸送車の底の部分。下からの攻撃に弱かった平らな底をV型にすることで爆発の威力を拡散させるデザインがほどこされている。下記の写真を見ていただくとその意味がお分かりいただけると思う。



MRAP taking blast

IED攻撃を受けるMRAP: 爆弾の威力が車の両側に拡散されている

陸軍と海兵隊は現在クーガーを7,774 台注文しており ロバート・ゲイツ国防長官も大いに期待をかけている。

私の目に留まったのはある新聞の300以上のIED攻撃を受けたMRAPでは海兵隊員が一人も殺されなかったという記事です。.

アーミータイムスによるとイラク多国籍軍の中将(Lt. Gen. Raymond Odierno)は, 二年以内にイラクにあるハンビーをすべて MRAPと切り替えるように 命令したという。

ピート・ゲレン陸軍代理長官は本日陸軍は現在イラクにある17,700台のハンビーを二年以内にMine Resistant Ambush Protected装甲車に切り替えるため、購入の数を大幅に増やす計画を確認した。

海兵隊はすでに100台以上の MRAPイラク現地に備えている。陸軍も現在ある700台に加え、8月の初旬には2500台のMRAPを備える予定であるとゲレン代理長官は語った。

MRAP プログラムは速やかに進んでおり、陸軍と海兵隊による合同購入の努力がされている。

しかしここにひとつ難関がある。これは一般的に考えられる軍隊の変化に対する抵抗であるとか融通が利かないとかいうことではなく、もっと現実的な 製造過程での問題なのだ。このような新兵器を2年以内という時間制限で製造するのに充分な数の製造工場がないのである。

2006年7月現在200台のバッファローとクーガーがイラクとアフガニスタンに起用され、1000以上の地雷やIED攻撃を受けたにも拘わらず、ひとりの戦死者も出していない。しかしアメリカ、イラク、そしてイギリスの顧客からの注文が殺到するなか2004年にたった12人の従業員で始めた製造工場では注文に応じるのは至難の業である。

フォースプロテクションインクは2006年7月に500人目の従業員を雇い、製造率を3倍に増加させると発表した。クーガー製造のため四千百万ドルの資金を得、第二第三の製造ラインが設置された。またバッファーロー製造も二倍になる予定だ。

敵がこちらの弱点をついてくるなら、こちらも相手の攻撃に対抗してさらに武器を改良する。無装備のハンビーが狙われるならストライカーで対抗。ストライカーがIEDに弱いならクーガーやバッファローで対抗である。敵のこちらの攻撃への順応性とこのちらの対抗力のどちらが勝つか、戦争は常に競争だ。しかし武器改良の競争ならアメリカはテロリストたちよりよっぽど資金もあれば技術才能もある。たかがタオル頭のイラン人やマフディの猿どもには負けはしない。

しかしこういっちゃなんだが、技術の発展のためにもやはり戦争というのは時々やらないと駄目だな。

May 15, 2007, 現時間 1:21 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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April 26, 2007

なんでも反対とにかく反対日和見主義の米民主党

アメリカ内政 , イラク関係

さっき、リーバーマン議員の演説の一部を訳し終わってミスター苺のブログを読んでいたら、私は後半の肝心な部分を読みすごしていたことに気がついた。大事な点なのでリーバーマン議員の演説続編としてご紹介しておこう。

月曜日の演説のなかで多数党リーダー(ハリー・リード)はイラクにおける新しい作戦を説明しました。その第一歩として彼は「アメリカ軍を内乱を警備する任務から解き,イラク軍を武装し訓練しアメリカ軍を守ることに移行し、標的を絞った対テロ作戦にいそすむべし」と語りました。...

(中略)

ここにもうひとつの皮肉があります。過去四年間に渡ってラムスフェルド国防長官の下、アメリカはイラクの基礎的な警備を確立しようとしませんでした。イラクの人々を守るのに必要な軍隊を出動させず軍事の焦点をイラク軍の武装と訓練にあて、我が軍を守り、標的を絞った攻撃をしてきました。言い換えれば我が軍はまさに今、我々の前に提示されたこの議案の提案そのものの作戦を取ってきたのです。

この作戦は失敗しました。そして我々は何故失敗したかを知っています。我々が警備に必要な充分な軍隊を派遣せず、アルカエダやその味方たちがすり抜ける穴を作ってしまったからです。敵は警備の手薄な場所に踏み入り恐ろしい暴力を振るい、経済や政治の発達が不可能な恐怖と不安に満ちた状況を作り上げてしまったのです。

もう何年も議会の多くの皆さんがこれに気がついていました。我々はこれについて議論してきました。我々はもっと多くの軍隊を送れと呼びかけてきました。そしてやっと...ブッシュ大統領も政権の間違いに気づき、考えを変えてイラクの基礎的な警備を守る必要性に気づき、新しく国防長官を選び、イラクに新しい司令官を備えてくれたその今になって、これまで大統領のやり方を批評してきた議員たちは突然考えをかえてこの失敗した作戦はそんなに悪くなかったというのです。

いったいどうなっているのでしょうか?2006年に我々が批評し拒絶した作戦が、どうして2007年の今日突然良い作戦だということなるのですか?

何が起きたかと言えばブッシュ大統領が考えを変え作戦を変えたことだ。民主党は最初からイラクでどうやって勝つかなどという作戦は持ち合わせていなかった。なんでもかんでもブッシュ大統領のやっていることを批判していたにすぎず、それが本当にイラク勝利に結びつくかどうかなど全く関心がなかったのである。だから今ブッシュ大統領が批判に答えて民主党議員らが要求していた通り増派作戦を取り入れると、今度はその正反対の事を言い出しこれまでの作戦をつづけるべきだとがなりたてる。なんでも反対とにかく反対としかいえないから自分の立場が過去と現在とで矛盾していることにすら気がつかない。

ミスター苺いわく、民主党は日和見主義の風見鶏だ。

April 26, 2007, 現時間 9:59 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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非国民米民主党議会降伏議決を通す、リーバーマン議員の演説

アメリカ内政 , イラク関係

本日民主党が多数議席を占める上院議院においてイラク撤退降伏案が51:45で通った。共和党の裏切り者はオレゴン州のゴードン・スミスとネブラスカ州のチャック・へーグル。無所属で元民主党のジョー・リーバーマン議員は反対票を投じた。

ジョー・リーバーマンはアル・ゴアのパートナーとして民主党の副大統領候補にまでなったほどの忠実な民主党議員だった。しかしことイラク戦争に関してはアメリカは絶対に勝たねばならないという姿勢をずっと崩していない。そのせいで極左翼大富豪のジョージ・ソロス氏が創設したムーブ・オンという市民団体に責め立てられコネチカット州の上院議員民主党候補の座を奪われた。しかしリーバーマン氏は無所属として立候補し見事上院議員に当選して今に至る。

そのリーバーマン氏が今回の議決案について非常にすばらしい演説を行ったのでその一部を紹介しよう。本文はPower Line参照のこと。

道徳上意味をなさない

月曜日の演説のなかで多数党リーダー(ハリー・リード)はイラクにおける新しい作戦を説明しました。その第一歩として彼は「アメリカの内乱を警備する任務から解きイラク軍を武装し訓練しアメリカ軍を守ることに移行し、標的を絞った対テロ作戦にいそすむべし」と語りました。

しかし皆さん、一歩下がってこの計画がどういうものなのか考えてみてください。アメリカ軍が「内乱を警備」せず、任務を狭く規制するとはどういうことなのでしょうか?

まず、これはイラク市民が反乱分子や民兵らに脅かされ殺されても我が軍は彼らを守ることが許されなくなるのです。ペトラエウス将軍が主張するどのようなゲリラと戦う場合でも基礎的な警備保障に焦点を集中させる代わりに、兵士らはこの提案された法律によって宗派間争いが周り中で起きていても、それがどれほどひどいものでも全く手出しをしてはならないということになるのです。

つまり、これは意図的に意識して民族浄化や女子供が宗教が違うというだけで無実の市民が大量虐殺されるのに背を向けよと言うのです。つまり1990年代にユーゴスラビアで我々が介入した自らの政策に、そしていまでも我々の多くの人々がダルフールに介入せよと呼びかけるその政策に、背をむけよというのです。

これは道徳上全く意味をなしません。

またリーバーマン氏はアルカエダの狙いはイラク内乱なのであり、そのためにゴールデンモスクを爆破しシーハ派民兵の暴力を誘発したとし、内乱を止めずにどうやってアルカエダと戦うのだと問いかける。

軍事的に意味をなさない

多数党リーダーは月曜日、この作戦でもアメリカ軍は「標的を絞った対テロ作戦」を行うことができると言いました。イラクの内乱を止めなくても悪者を退治できるというのです。しかしもう一度伺いたい、これは戦地での作戦にどのような意味を持つのでしょうか?正規軍のように基地に集結しないテロリストをどうやって探し出すのですか?

標的を絞った対テロ作戦は必然的に我が軍が何処で何時彼らが攻撃をしかけるのかを知る必要があります。そのためには正確で行動可能な現時間での情報が必要です。こういう情報は一般のイラク人からしか得ることは出来ません。ということはイラク人と日常個人的な密接な交渉を持つことが必要なのです。そうやたて彼らの信頼を得、我々に価値ある情報を提供することで自分達が我々に守ってもらえると納得してもらってこそ個々のイラク人が我々の側についてくれるのです。これがペトラエウス将軍と彼の軍隊が行使している新しい作戦の真髄なのです。

つまり、リーバーマン氏は常日頃から地元をパトロールして地元民との交流を深めずにどうやって市民の信用を獲得し、テロリストの情報を集めることができるのかと問いかけているわけだ。ハリー・リードはイラク内のパトロールとテロリスト退治が全く別物だといいたいようだが、リーバーマン氏は片方なくしてもう片方はあり得ないと言っているのだ。

イラクは負けていない

ここではっきり言わせていただきます。私の意見ではイラクはまだ負けていません。しかしこの議案を施行すれば必ずや負けます。ですから私は中東の安定と治安維持の希望はここ本国にあると信じます。

民主党議員だけがわが国の希望であったなら、イラク戦争はとうの昔に負けている。幸いなことに我々には(イラク人にとっても)ブッシュ大統領という強い味方があったのだ! この議案はブッシュ大統領によって否決される。その後民主党はどうするのか、このまま同じような議案を持ち出してもまた否決されるだけで時間の無駄だ。では否決されないような議案を通すとしたら結局ブッシュ大統領が要求した予算案をそのまま通すより他にない。

ではいったいこの猿芝居はなんなのだ? 単にアルカエダを活気付け我が軍の士気を失わせ国民を苛立たせただけ、そしてその間に犠牲になったイラク人やアメリカ兵の命はどうしてくれるのだ?

しかし、すべてが悪いことばかりでもない。イラクのアルカエダやシーア派民兵はこのいきさつをどううけとっているのだろうか? 民主党が多数議席を取ればブッシュ政権の勢力が収まってイラクからアメリカ軍は撤退すると期待していたのに、民主党が多数議席を握って4ヶ月になるというのにアメリカ軍は撤退どころか増派までしてその攻撃を激化したりしている。民主党が多数議席を握る議会が次から次へと戦争反対、イラク撤退と議案を通しているというのに、ブッシュ大統領は涼しい顔をしている。挙句の果てにこれまで通った議決案には拘束力はないときた。やっと意味ありそうな議決案が通ったと思いきやブッシュの鶴の一声でごわさんと来た。 ということはなんだかんだ言いながらアメリカの議会なんぞ結局ただの張子の虎でなんの施行能力もない連中なんだ、こんな奴らを当てにした俺達は馬鹿だった、、、なんて反省しているかな?

力落とすなよテロリストども、民主党に裏切られたのはお前らが最初じゃない。

April 26, 2007, 現時間 7:14 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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嘘だらけリード米上院議員「イラク戦争は負けた」発言

イラク関係

米上院議会の多数党リーダーである民主党のリード上院議員の「イラク戦争は負けた」宣言は引き続き色々な波紋を呼んでいる。

この間もディック・チェイニー副大統領がリード議員を強く批判した話をちょっとしたが、私が読んだAPの記事ではその内容まではあまり触れていなかったので、ここでもう少し詳しくご説明しよう。普通副大統領は議会には出席していても自分から意見を述べるということはしない。議案の投票にも賛成と反対が五分五分の時だけ投票して同点を防ぐくらいだ。その副大統領がリード議員の発言について記者たちの前で抗議するというのはよっぽど腹がたったという証拠だろう。(以下はThe Raw Storyより抜粋)

「昨日の(リード上院議員)の発言は非常に残念です。議員の発言は全面的に情報不足で誤解を招くものです。リード上院議員はイラクに関していくつもの姿勢をとってきました。議員はもしブッシュ大統領が今回の提案中の補充議案を否決するならロス・ファインゴールド議員の案を送ってイラク戦費を全面的に差し止めると脅かしました。しかし去年の11月にリード上院議員はイラクの戦費を差し止めることはあり得ないと約束したばかりなのです。つまり6ヶ月もたたなうちにリード議員は戦費を充分な予算をあてがうという立場から条件付であてがうに変わり、さらに全面的に差し止めると変わったのです。わが国が面する非常に大事な外交政策と国家の軍事に関して、たった5ヶ月の間に三回も立場をかえているのです。

「(リードの言う)イラク増派はイラク調査委員会の推薦に反するというのは誤りです。イラク調査委員会の報告書ではバグダッドの警備のため増派が好ましいと明記されています。」

またチェイニー副大統領は、リード上院議員がイラクでは地元政府との話し合いがされていないとか、大統領は米議会と意味のある会議を開いていないと言っているが、リード自身ホワイトハウスでの会議で大統領とは異議のある話しあいをしたと述べていたと、リード議員の矛盾を指摘している。さらに副大統領は、

「リード議員の昨日の発言で何よりも問題なのはその敗北主義です。事実先週もリード議員は戦争はすでに負けたといいました。そして議員の押している時間制限は敗北を保障するものです。

「これは政治的な計算によるものなのかもしれません。...一部の民主党のリーダーたちはイラクに関する政策に盲目に反対することが政治的に有利なことだと信じているようです。 リード議員自身イラク戦争のおかげで次の選挙では自分の党が議席を増やすと語っています。政治的に有利になるからといって敗北宣言をするなどというのはあまりにもシニカルです。指導者たるもの国の安全を守る政策をそのような自分勝手な政党の都合で決めるべきではありません。」

これに対してリード上院議員は「大統領はよく自分の番犬を送り込む」などと副大統領を番犬扱いしておきながら、説明を求められると「個人的な中傷誹謗は避けたい」などと言い逃れをした。自分がいま中傷誹謗をやったばかりなのも知らん顔。

リード議員の「戦争は負けた」発言は民主党内でも失言だったという解釈がひろまったようで、その後リード自身も繰り返していないが、CNNのインタビューでその話を持ち出されたリード議員は苦し紛れに次のような言い訳をした。この話はこの前もちょっとしたがそのインタビューのトランスクリプトが一部手に入ったので紹介しておこう。

司会者: 「戦争は負けた」という言い方はかなり神経を逆撫でしましたが、その言葉を守り通りしますか?

リード: ペトラエウス将軍も軍事的な勝利の可能性は20%しかないと言っています。彼は現場に今いるひとです。彼が戦争の80%は外交、経済、そして政治を通じて勝つべきだと言っているのです。私はペトラエウス将軍に同意しているのです。...

司会者: しかし、将軍は戦争に負けたとは言ってません。もう一度お聞きしたいのですが、、、

リード: 将軍はペトラエウス将軍は軍事力だけでは戦争に勝てないといっているのです。彼がそう言ったのです。...

司会者: 18か19でイラクで任務についている人たちが、命をかけて、時には命を失っているひとたちが、ワシントンから自分達はすでに負けた戦争のために戦っていると聞かされるのはなんだな思いませんか?

リード: ペトラエウス将軍がそう言ったのです。

司会者: 将軍がどういうふうに言ったのですか?

リード: 将軍は軍事力だけでは勝てないと、そう言ったのです。彼は現場の司令官です。

司会者: しかし議員、それはちょっと違うんじゃ、、.

リード: 彼らは将軍が間違っているとでも?

司会者: しかしそれと戦争に負けたと言うのとでは違うんじゃないですか?

リード: ま、それはその、言葉の使い方であって、ペトラエウス将軍は軍事的には勝てないといってるわけですから、、兵士らは皆彼が何と言ったか知ってるのではないですか? そう思いますよ...

司会者: (大統領は)ペトラエウス将軍はワシントンに来てイラクでの進歩を明確にすると言ってます。いわゆる増派もうまく言っているといってますが、将軍がそう言ったら信じますか?

リード: いえ、信じません。事実はそうではないからです。

あれ? 地元の司令官の言うことだから信じるんじゃなかったのかな? それとも自分に都合のいい部分だけは信じるが、そうでない部分は信じないとでも?

しかしリード議員が何度もペトラエウス将軍が言ったと繰り返している発言とは実際はどのようなものだったのだろうか? Mudvillegazetteが説明する

歴史を勉強したものなら誰でも気がつくことだが、イラクのような反乱分子の問題は軍事力によって解決することは出来ない。軍事行使は警備の安全保障のために必要だが、これまで述べた理由の通り、充分な方法とはいえない。

軍事行使は必要だが充分な方法ではない。」と「軍事では勝てない」とでは意味が違うし、ましてや「戦争に負けた」では全然意味が違うではないか! リード議員は自分の失言を撤回せずにどうにか他人のせいにして誤魔化そうという魂胆らしい。

そして肝心のペトラエウス将軍はワシントンで議会の質疑応答に応じる予定だが、下院議会のペロシ議長は降伏議案を通すのに忙しくて将軍の話など聞いてる暇はないと当初、公聴会を設けないと言い張っていたが、あまりの批判に公聴会は開くことになった。しかし彼女自身は忙しいので欠席するそうだ。

まったくしょうがないね。民主党は。

April 26, 2007, 現時間 3:50 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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April 24, 2007

「イラク戦争は負けた」米民主党首の失言に波紋

イラク関係

さっき私は今滞在中のホテルのジムでちょっと運動をしていたのだが途中で帰ってきてしまった。それというのも私の運動は非常に不愉快な形で邪魔されたからだ。ジムで30分ほどウエイトトレーニングをしていたところで一人の男性が入ってきてテレビをつけた。番組はCNNニュースでイラクで自爆テロがあったというニュースだった。それはいいのだが、CNNは昨日9人のアメリカ兵が自爆テロで殺されたという話からこれまでに何人のアメリカ兵が自爆テロに殺されてきたかという話を延々とし始めたのである。私はそういう話を聞きながら運動したくなかったのだが、男性は自分の使っているマシンが煩かったのか音量を大幅に上げたので嫌でも聞こえてくる。いくら私がMP-3の音量を上げても無駄だった。私は我慢できずに中途半端でジムを出た。

昨日も一日中ホテルはネットアクセス不能だったため仕方なくテレビでCNNニュースを観たときも、CNNバグダッド支部長のマイケル・ウエアというオーストラリア人がアメリカ兵の戦死を喜びを隠し切れない顔で語っていた。前のCNN局長のイーソン・ジョーダンもいやらしいやつだったが、こいつはもっとえげつない。

それにしても、いったい何時から味方の犠牲者の数を数え上げることが戦争のニュースだということになったのだろうか? こんなものがニュースとして成り立つならCNNはわざわざ高いお金を出して支局を設ける必要などないではないか。イラク内政省とアメリカ中央司令部の公式発表だけで充分だ。

第二次世界大戦のニュースが味方側の戦死者の数を数え上げるだけで戦況がどうなっているのか全く説明をしなかったなら、どれだけのアメリカ人が戦争を支持しただろうか?D-デイのノルマンディ上陸も膨大な数の戦死者についてだけ報道し、同盟軍がドイツに上陸したことを報道しなかったならどうなっていただろうか? 私ははっきり言って当時CNNが存在していたらアメリカ人は今頃ドイツ語を話していただろうと思うね、全く。こんなニュースばかりを毎日聴かされていては戦意を奮い立たせるのは困難である。ただでさえ苦しい戦争をしているときに、わざわざ国民の戦意を喪失させるような報道をするアメリカの主流メディアには腹がたってならない。

しかしもっと腹がたつのは現場の戦況とは無関係に自分たちの政治力を強めるためどうしてもイラク戦争に負けたいアメリカ民主党の政治家たちである。彼らはなにかにつけてブッシュ大統領のイラク政策を邪魔してかかっているが、先日の民主党ハリー・リード党首の発言はそのなかでもきわめて無責任なものだった。以下ミスター苺曰く。

本日(4・19)臆病者の上院議会多数派代表の臆病者ハリー・リードはイラク戦争について「この戦争には負けた」と断言した。この発言で奴は「指導者」としての地位失格だ。 奴は指導するどころか脱走しようってんだから。

リードはブッシュ大統領との会見の後ホワイトハウスを出る際に記者たちの前で勝ち誇ったように敗北宣言をした。リードは特に対ゲリラ作戦を「増派」とさげすんだ後、昨日の大規模な自爆テロを指して、この作戦は客観的に失敗だと語った。

「私はこの戦争は負けたと信じます。イラクでの昨日の激しい暴力沙汰でもわかるように、増派は何の効果もあげていません。 」とネバダ代表のリード議員...

すばらしい理屈だよ。それをいうなら昨日はちょっと寒かったから地球温暖化なんて起きてないっていうのと同じじゃないか。

このリード議員の降伏運動はこの発言にとどまらない。同議員は数日中に民主党が多数派を占める議会において米軍のイラク撤退を10月1日から6ヶ月かけておこなう議決案を通すと宣言した。

無論このような議案は上院でも下院でも通るはずはない。だが大事なのは議案が通るかどうかではなく、アメリカ国内及び国外へアメリカ議会はイラク撤退を考えていると提唱することに意義があるとリード議員は考えているわけだ。(イラク及び中東を混乱に陥れようというならこれはいい考えと言える。)

「問題は、、、」とリード議員、「ジョージ・W・ブッシュはまだアメリカ軍の総司令官です。これは彼の戦争です。」

本当の問題はここだ。最初からリード及び民主党はこのイラク戦争を党派間争いとして(利用できる)機会だと思ってきた。

民主党は世界に、そして特にアメリカの敵に対して、統一した姿勢を見せることを拒否してきた。なぜなら彼らの歪んだ考えでは(統一した姿勢を見せる)ことは2008年に民主党が大統領選挙に勝つ可能性を低めると判断したからだ。

このようなリード党首に鬱憤を隠しきれないチェイニー副大統領は、いくら地元で票につながるからといって敗者的な発言は不適切だと厳しく批判。リード議員も負けじと「ブッシュの番犬」のいうことなど気にならないなどといって反論した。

ところで民主党が「単なる増派」といって全く成果を挙げていないと馬鹿にしているこの作戦は成果を挙げていないもなにも、まだ本格的な作戦体制に入っていないのである。アメリカの主流メディアがアメリカ兵の戦死者の数をうれしそうに数えていないで、デイビッド・ペトラエウス将軍の作戦がいったいどういうもので、今どのくらいのところまで進んでいるのか、何時ごろその攻撃は全面体制に入るのか、ということをもっと詳しく庶民に説明してくれれば、リード議員の「イラク戦争は負けた」発言がどれほど無責任で事実に反したものであるかが解るはずなのである。

ウィークリースタンダードのよればここ2~3ヶ月のアメリカ軍の行動はクリア&ホールド作戦(掃蕩制覇)の基盤つくりなのだという。アメリカ軍がすでに実行している基盤つくりとは:


  • バグダッドや、付近のアンバーやサラハディンやダイヤラ地区にあるアルカエダやスンニ反乱分子のアジトをたたく。

  • バグダッド中に拠点を配置し初段階の掃蕩を行う。

  • 地区ごとにコンクリートの防御壁を儲け市民や交通の出入りを厳しく規制し、今後の作戦の準備態勢を整える。

  • サドルの遁走ですでに弱まっているシーア民兵の重要なリーダーたちを取り除くことによってサドル組織の力をさらに弱める。

このアメリカ軍の新作戦に対応すべく、敵側も作戦を変更。攻撃の焦点をバグダッド南部へと移行した。ペトラエウス将軍らは南部へ援軍を送りこみまたディヤラ地域にもさらに援軍を送った。戦略とはこのように臨機応変に状況に機敏に対応していくことにあるのだ。アメリカ軍の作戦は古いアジトを捨て去った敵に別の場所で新たな温床を持たせないよう先手先手を打って行くことにある。

この掃蕩制覇作戦が本格的に行われるのは5月の終わりから6月の初旬に予定されている。そして作戦が完成するまでにはさらに数週間がかかるとされている。そして作戦が成功か失敗かを判断できるのはそれからさらに何週間も後のことになるだろう。イラクではまだ増派のための援軍出動すら完成していないのである。

今アメリカに帰国して議会の前で戦況を説明しているペトラエウス将軍は、常日頃から作戦の成果はこの秋ごろにならなければわからないと語っている。

にもかかわらず非国民のリード議員は現場の専門家であるペトラエウス将軍の意見を無視して現実はイラクは負けていると言い張るのである。CNNでのインタビューで司会者の、ペトラエウス将軍はいわゆる「増派」は成果を挙げていると語っているがどう思うかという質問に対してリード議員は「信じませんね。なぜならそれは起きていないからです。現実を見つめさえすればそれが解るはずです。」と答えた。

イラク戦争に勝てる可能性があるという現実が自分の再選に結びつかなければ是が非でもイラク敗北を現実にし、それを口実に2008年の総選挙で民主党の議席を大幅に増やし大統領選挙にも勝とうというのがリード議員並びに民主党の狙いだ。そのためにどれだけ多くのアメリカ兵やイラク人が奮起だったアルカエダの自爆テロの犠牲になろうと一向にお構いなしというわけである。

これが非国民でなくてなんだろう?

April 24, 2007, 現時間 7:17 PM | コメント (2) | トラックバック (2)

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April 13, 2007

ナジャフ行進とグリーンゾーン爆破も別な見方をすれば、、

イラク関係

主流メディアの報道だけを聞いていると、この間のナジャフでは大規模な反米デモ行進が行われたとか、バグダッド市内では相も変わらず殺人事件が続出、警備の厳しいはずのグリーンゾーン内部ですら爆破事件がおきるなど、アメリカの新作戦は成果を見せるどころかイラクの治安は悪くなる一方だという印象を受ける。事実背後関係を全く説明しない主流メディアの報道だけを読んでいればそう感じても無理はない。しかし今のイラクの戦況を注意して見てみると実はそれほど悪い状態ではなく、それどころか結構ペトラエウス将軍の新作戦は実を結びはじめていることがわかる。

ナジャフの行進、数千か数万か

主流メディアはこぞって今回のデモ行進を「大規模な反米デモ行進」などという見出しで飾っているが、規模が大きかったのか小さかったのかということは何か比較になるものがなくては正確な判断は下せない。

イラク連合軍の当初の公式発表ではデモ行進の参加者は5千から7千とのことだった。後になってロイターが航空写真をもとにした軍の測定ではピーク時には1万5千になったと報道していた。主流メディアではその数は「何万」といった漠然とした表現しか使われていないため実際にはどのくらいの数だったのかは公式発表に頼る以外にないが、多く見積もっても参加者数はせいぜい2万人程度だった。この数をもってして果たしてサドルのデモ行進は主流メディアが言うほど成功だったと言えるのだろうか? 

幸いなことにこのインターネット時代、ちょっとした検索でサドルが主催した去年のデモ行進と比べてみることができる。下記は2006年8月バグダッドで行われたデモ行進の模様、イラクザモデルから:

世論調査で人気があるということは必ずしも事実とは一致しない。今日のデモ行進を見てもサドルが期待した百万という数に対してバグダッドの二百万を超えるシーア派市民のうち集まったのはたったの10万人。サドルは南部の地域に送迎バスまで送っったというのにだ。しかも忘れてならないのはデモが行われたのはサドルにとっては本拠地。支持者が集まるのには何の努力もいらないはずだ、なにせ自分のうちの裏庭に集まれといわれたも同然なのだから。

イラクザモデルの数は少な目のほうで、別の記事では8月の参加者は20万人だったと報道したところもある。だが期待されていた二百万よりは一桁も少ない数だったとはいえ、それでも今回の2万人に比べたら5倍から10倍の数が集まっていたのだ!

たった8か月後に送迎バスまで派遣して集めたデモ行進参加者が十分の一に減っているという事実はサドルの勢力が大幅に弱体化していることを意味する。

バグダッド市内の死者減少

さて、イラクの治安が良くなっているかどうかを客観的に判断するためには、イラク内で殺される市民の数を作戦前と作戦が始まった後とで比べてく見ることが必要だ。APの記事によればこの数は確実に減っている

APが合計したイラク警察発表の数によると作戦が始まってから木曜日までの間にバグダッド市内で殺されたイラク市民の数は1586人。

これは新作戦が始まる前の2か月間で暴力的な死を遂げた市民の数2871人に比べ大幅に減ったことになる。

二月十四日から四月十二日木曜日の間に首都外部で殺された市民の数は1504人。その前の二か月間の合計は1009人とAPの報告は示している。

バグダッドでの死亡率は45%の減少、外部では50%の増加となる。悪い奴らがバグダッドから追い出されているため外部の殺人率が増えているわけだが、それでも全体の死亡率は20%減という計算になる。

グリーンゾーン爆破の真相

警備がどこよりも厳しいはずのイラク議会ビルで自爆テロがあったというニュースは、イラクの治安悪化を意味するように見える。しかしブラックファイブに投稿したイラク議会ビルに勤める民間人によると、議会ビルは2006年からイラク政府の管轄になっておりグリーンゾーンの中には位置していないのだという。

「頑丈に要塞化されたグリーンゾーンの真ん中」の警備をテロリストがやぶって潜入したとCNNやBBCやNPRなどは報道していますが、実は議会ビルはグリーンゾーンの中にはないのです。私たちはこのビルは2006年にイラク政府に譲渡しており、ビルはグリーンまたは国際区域の北西にあたる外側に位置することになったのです。

この投稿者のいっていることが正しいかどうかは分からないが、議会ビルの警備を担当していたのがアメリカ軍でないことは確かなようで、議会ビルにつとめるイラク人たちはアメリカ軍による厳しい警備を嫌がってもっと緩い警備体制を敷いていたという。今回の犯人もアルカエダと関係のあるスンニ警備員の仕業だったようだが、もう大分前から議会ビルの警備の甘さは指摘されていた。

ということは議会ビルの爆破はおこるべくして起きたことであり、アメリカ軍の新作戦の対象にはなっていなかったことになる。この事件のせいで議会ビルは警備体制の見直しがされることになる。

このテロで注目すべきなのはアルカエダの攻撃対象となった政治家たちはスンニ派だったことである。アルカエダの連中はイラク政府に協力するスンニ派を裏切り者としてどんどん暗殺している。それに対抗し本日もこれまでアルカエダと協力関係にあったイラクイスラム軍がアルカエダと手を切ってアルカエダと戦うと宣言した。アルカエダとスンニ反乱軍の亀裂は深まる一方である。

ピンクから白へ、赤からピンクへ

ここで私が先に紹介したイラク戦争に勝つ方法の第一段階を思い出していただきたい。

1)兵を一地区に集中させること。テロリストは自動車爆弾などを使って少人数で大規模なダメージを起こすことができるが、政府軍は大人数の軍隊を使っても広範囲に散らばっていてはとてもとても市民ひとりひとりを監視することなどできない。そこでガルーラは守る地域を、白、ピンク、赤という地区に分けた。白とは政府の統括下にある地域、ピンクはゲリラと政府が競争している地域、赤は完全にゲリラが制覇している地域。対反乱作戦を成功させる鍵は、ピンクを白に、赤をピンクへと、一区画づつ地道に変えていくことにかかっている。

グリーンゾーンが白だとすればバグダッドの大半はピンクだったが、今そのピンクゾーンはだんだんと白に変わりつつある。赤からピンクへ変わる時点では戦いが激化するため双方の犠牲者は増えるが、バグダッド外部での死亡者が増えているということはレッドゾーンがピンクにかわりつつあることを意味する。

こうして考えていくとイラクの戦況はかなり良い方向へ向かっていると判断することができる。今後主流メディアの記事を読む時は自爆テロや犠牲者の数だけでなく、どの地域でどういう状況でそうした事件が起きているのか、そしてそれがどういう意味を持つのか注意してみてみれば暗雲が立ちこめるように見える空の合間に銀色の裏地が見えるかもしれない。

April 13, 2007, 現時間 9:11 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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April 11, 2007

イギリスは立ち直れるか?

イラク関係 , イランが危ない , ヨーロッパ , 対テロ戦争

先日帰還したばかりの15人のイギリス兵人質が、体験談を巨額な金額でゴシップ雑誌に売ることをイギリス国防省が許可したことでイギリス国民から非難ごうごうだという話を小林恭子さんのところで読んだばかりだったのだが、今日になって当局はやはりこれを許可しないと発表した。

当初はきわめて特殊な例なので許可するということだったのだが、由緒正しいビクトリアクロス受賞者くらいしか許されていない特権をたかが人質になっただけの兵士らに許していいのか、イラク戦争でなくなった人々の遺族はどうなる、などの批判が次々に寄せられたようだ。

一旦許可して批判があったからやっぱりやめましたじゃ本当にイギリス軍隊の名誉も地に落ちたというものだ。私は別に彼等が体験談を金で売ること自体が悪いことだとは思わないが、抵抗もせずむざむざ捕まって敵のプロパガンダに簡単に協力し拷問もされていないのに「殺されるかと思った」だの「恐かった」だの平気で公言し、それを恥るでもなく平気で金で売って大々的に宣伝しようという精神が理解できない。私がこんな状態で帰国したら恥かしくて世間様に顔向けできないと思うが。

これが小林さんのいうところの「新しい英国人」と私みたいな古い人間の差だろうか?

8日のサンデータイムズで、アンドリュー・ロバーツ(歴史家、作家)という人が書いていたのが印象に残る。それは、もし15人の体験談を売ることに「いいんじゃないの?すごい体験だったし、お金をもうけてもかまわないだろう」と自然に思える人は、「新しい英国人New Brit」、今回の件で怒る人は「古い英国人Old Brit」と指摘していた。まさにそうなのかもしれない、と思った。

この間私もロバーツ氏とアメリカの保守派DJとのインタビューで、下記のような発言をしていたのを紹介したばかりだ。

HH:いったいジョン・ブルはどうしちゃったんです?僕が読んだどのイギリスの歴史書でもこんな挑発があればダンスホールで歌がはじまり灯火をもった行進が始まったとあります。

AR: 残念ながら私にもわが国に何が起きたのか解りません。 私にはショックです、そしてこれだけ多くのひとが、、、私たちは首を傾げているんですが、過去の政府ならこんな明らかな暴挙にたいして必ずしたであろう対応をしたいと答えた人がたったの6%なんですから。

私はこの会話を聞いてアカデミーで主演女優賞を取ったヘレン・ミレンが主演したThe Queen (女王)という映画のなかで、ダイアナ元皇太子妃が交通事故で亡くなった時のイギリス国民の皇室に対する理不尽な不満に対して、エリザベス女王が「私の国に何が起きたのか解らない」といった意味のことを言うシーンがあったのを思い出した。

現在のイギリス社会がダイアナ妃人気の頃からどうもおかしくなっていると考えたのは私だけではなかったらしく、イギリスの政治コラムニスト、メラニー・フィリイプさんもロバーツ氏のいう新しいイギリスをイギリスのダイアナフィケーション(ダイアナ化)と呼んでいる。

故ダイアナ妃は皇太子と結婚してからパパラッチに追い回された挙げ句の果てがパリでの事故死。ダイアナに少しでも関係のあった人々は昔なら口が堅くて有名だった皇室の従業員から昔の恋人から占い師にいたるまで、皇室での出来事をゴシップ雑誌に恥も外聞もなく売りさばいた。いくら金の力は強いとは言えこれらの人々には仕事に対する誇りとか忠誠心といったものは全くないのだろうか?その傾向が一介の民間人だけならまだしもイギリス軍隊にまでひろまっているとはこれは由々しき問題だと私は思う。

アメリカ軍人の間で人気のあるミルブログのブラックファイブでは、コメントを寄せているのは内容からいって若い現役軍人が多いらしく、当初15人が拉致されたという時点で15人が抵抗しなかったことには同情的だ。ただその後捕虜になってからの態度は軍人として頂けないという意見が大半を占めていた。実際にはイラン側に協力したのは13人。15人のうち二人は最後まで協力を拒否したのだそうだ。

我々民間人や退役して何年にもなるお偉い軍人と違って、明日は我が身の若い兵たちはやはり上からの命令で抵抗するなという戦闘規約があったのなら中尉程度の立場でそれに反して抵抗を判断するのは難しいのではないかという同情心が出るようだ。しかしそのかわり、そのような戦闘規約をあのような危険な場所で実行しているイギリス海軍そのものに関しての批判は非常に大きい。

実を言えば私はこの事件はおこるべくしておこったことだと考える。最近世界広しと言えども海軍に投資し規模を拡大しているのはアメリカのほかは日本海上自衛隊くらいなものである。欧州はこの大事な時に防衛費を大幅に削りただでさえ小さい軍隊をさらに規模削減へと進んでいる。かつて皇立海軍をあれだけ誇った英国ですらブルーウォーター海軍は全面的に廃止する予定だという。あの13人の振る舞いは例外というよりも、もう長いこと病んでいるイギリス海軍の症状といってもいいだろう。

今日イギリス人であることを誇りに思うのは難かしい。

私は今のイギリスの状態は1979年にイランのアメリカ大使館をイラン人の過激派学生たちに占拠された時のアメリカと似ているような気がする。私は当時あの事件をリアルタイムでテレビでみていたが、人質をとられた直後のカーター大統領のぶざまな慌てふたふたむきぶり、その後のイランへの屈辱的な嘆願、そして恥さらしな救助大失敗と続き、アメリカではアメリカ人であることへの屈辱感が全体的にただよっていたのをよく覚えている。

実はアメリカに暗雲が広がりはじめたのは長年の苦労の甲斐もなく、ベトナム戦争がああいう形で負けた1975年頃からだ。それまで一度も戦争に負けたことのなかったアメリカにとってベトナム敗戦は非常に大きな痛手だった。

1976年、共和党のニクソンのスキャンダルとフォードの不能な政治のおかげで民主党のカーターが大統領になったが、それと同時にアメリカ経済は低迷状態。当時のインフレは20%、失業率は二桁というひどさ。オイルショックでガソリンは不足するし、日本車の進出でアメリカ自動車業界は瀕死の状態。そんな中で起きた大使館占拠事件は棺に打たれた釘といってもいい。

イランの宗教革命を事前に予知できずこのような事態を引き起こしたカーター大統領の支持率は地に落ちたが、それ以上にこの事件によってアメリカ人の自己意識は最低となった。アメリカ人がアメリカ人であることに誇りを持てなくなっていたのである。

そんな時、アメリカ人の気持ちを高揚させるひとつの出来事が起きた。皆さんは1980年の冬季オリンピックでアメリカのホッキーチームが優勝したことをご存じだろうか? (ディズニーの映画でこの時のことを描いた「ミラクル=奇跡」という映画があるので是非観ていただきたい。)

当時のオリンピックの規則ではプロは参加できないことになっていたので、アメリカチームは学生ばかりの平均年齢20歳未満のアマチュアチーム。それに対抗するのは東共産圏の経験豊な強敵プロチームばかり。なにせ共産圏の選手たちはアマチュアとは名ばかりの年も経験もいったプロばかり。青二才の学生たちばかりをかき集めたアメリカチームなど勝ち目は全くなかった。

ところがこのアマチュアチームが誰の予想にも反して優勝してしまったのだ!最近のオリンピックでアメリカのチームを応援する時アメリカ人がよく声を合わせて「USA, USA」と叫ぶのはこの時優勝の決め手となったソ連チームとの試合の時から始まったのだという。

長年アメリカ人であることに自己嫌悪を持たされていたアメリカ市民はこのチームのおかげで再びアメリカを誇りに持てるようになったのだ。

アセアンさんはよく大使館占拠事件がアメリカ人のトラウマになっているというが、私はかえってあの事件はアメリカが立ち直る踏み台になったと思う。カーター大統領の悲劇的な政権はあの事件で終止符を打った。カーター大統領に対抗して出てきた楽観的なレーガン大統領が圧勝したのもこうした背景があればこそだ。

レーガン大統領が当選した時、日本のマスコミがレーガン氏は三流の映画俳優だがハンサムだし、何よりもアメリカ人にアメリカ人であることを誇りに思わせることができるひとだと分析していたのを私はよく覚えている。

イラン大使館占拠でアメリカ人として最大の屈辱を味あわされたアメリカ人は、もう負け犬でいるのはたくさん、誇り高きアメリカを取り戻そうという気になった。今回の事件で集団的自己嫌悪に陥っているイギリス国民が、この事件を期に目を醒ましてくれることを望む私は楽観的すぎるだろうか?

イギリスよ、いまは軍事縮小の時ではない! グローバルジハーディストたちと戦うため、今こそ軍事を拡大しかつての無敵で偉大なる英国を取り戻すときなのだ!

イギリスよ、立ち直ってくれ!

April 11, 2007, 現時間 8:49 PM | コメント (2) | トラックバック (0)

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April 9, 2007

サドルの大誤算、ナジャフデモ行進の意味するもの

イラク関係

アップデートあり: ナジャフ行進参加者の数に訂正あり、下記参照。

昨日サドルはマフディ軍にアメリカ軍に抵抗するようバグダッド落日4年目の記念日にナジャフに集まって反米大行進を呼びかけた。それに応えて何千というマフディ軍およびその支持者がナジャフに集まってデモ行進を行っている

これだけ見ていると、サドルの人気はまだまだ高くイラクにおけるシーア派による反米感情は高まる一方だと考えがちだが、実はそうともいえない。

サドルはアメリカ軍が増派を含む新作戦をはじめた当初マフディ軍にたいしてはおとなしくしていろと命令した。逮捕されても抵抗するなとまで言っていた。サドルの狙いは三つあった。

  1. アメリカ軍の新作戦は長続きしない。ほとぼりが冷めるまで大人しくしていてアメリカ軍が撤退したらまた活動をはじめればいい。
  2. マリキ政権はブッシュ大統領からの圧力で形ばかりの民兵取り締まりはするだろうが、真剣な取り締まりなどするわけがない。マフディ兵が逮捕されても後でコネを使って釈放させればいい。
  3. この際だからマフディ軍内部にいるサドル犯行分子をアメリカ軍に引き渡し、アメリカやイラク政府に協力しているふりをしてライバルを取り除いてしまおう。

産經新聞もサドルのこの作戦について、イラク政府はシーア民兵を温存する形となったなどと報道していた。(イラク掃蕩作戦に悲観的な産経新聞参照のこと)

汎アラブ紙アルハヤートなどによると、サドル師は、マリキ首相の密使として派遣されたジャアファリ元首相(シーア派)との会談で「マフディー軍潜伏」を決断したという。「掃討作戦の対象はシーア派、スンニ派を問わない」との公式な立場を取るマリキ首相も、マフディー軍の「一時的潜伏」により大規模掃討作戦の目標の半分が、実質的に空振りに終わることを、暗黙のうちに認めていることになる。

...しかし、米軍の段階的撤退が視野に入ってきた現状で、その後も“シーア派覇権”を維持するために独自の軍事力の温存は宗派全体としての中・長期的な“戦略的利益”にかなう。

では何故サドルは今になってその潜伏作戦を覆し、アメリカ軍にたいして表立った抵抗を呼びかけはじめたのだろうか?

ここで私が一月の時点でサドルの計算違いでサドルの計画は産經新聞がいうような具合には運ばないだろうと予測していたことを思い出していただきたい。

  • 意図的にしろ無理矢理にしろ一旦敵に占拠された領土を取り戻すとなると、もともとの領土を守るようなわけにはいかない。
  • 民兵たちは正規軍ではない、ただのギャングである。何か月もサドルのいうことをきいて大人しくしているとは思えない。自分勝手に暴れた民兵たちが大量にアメリカ軍やイラク軍に殺されるのは目に見えている。
  • アルカエダの勢力は昔に比べたら大幅に衰えているため、シーア派民兵が抵抗しなければバグダッドの治安は安定しサドルの思惑はどうあれ傍目にはブッシュの新作戦が大成功をしたように見える。そうなればアメリカ軍の新作戦は長続きしないどころかずっと継続する可能性がある。

サドルの狙いに反してマリキ政権はシーア派取り締まりに真剣に取り組んだ。マフディ軍はバグダッド中心部から即座に追い出され南部へと追い込まれている。しかもバグダッドを退散した民兵たちはイラン国境近くのディワニヤ地域でアメリカ軍空軍による激しい攻撃を受けている。

また、マフディ軍無抵抗作戦に亀裂でも述べたように、マフディ軍のなかにもイラク政府に本気で協力しようという勢力と断固協力できないという勢力との間で亀裂が生じてきている。ビル・ロジオのリポートによればイラク政府に協力する勢力はどんどん増えているという。

となってくるとサドルの潜伏作戦ではアメリカの新作戦が時間切れになる前にマフディ軍の勢力が大幅に弱体化し、アメリカ軍が去った後に戻ってくる場所がなくなってしまう危険性が大きくなったのだ。そこでサドルは今必死になって作戦変更。イラク軍にたいしてもマフディと戦わないでくれと嘆願書まで送り出す始末。(無論そこはアラビア、嘆願書でも勇ましい書き方をしてはいるが、切羽詰まった感情は隠しきれない。)

アメリカ軍の概算ではナジャフに集まった群衆の数は5千から7千、サドルが期待していた何万という数にはおよそほど遠い数となった。しかもサドルがデモ行進を率先して対アメリカ抵抗を呼びかけたというのならばともかく、自分は安全なイランに隠れたままで書面だけの呼びかけなどその弱体さを暴露したようなものである。

このデモ行進の規模の小ささとサドルの臆病な態度がイラクの民兵らの士気に響かないはずがない。しかもイラク・アメリカ連合軍はマフディ軍退治の大規模な最終攻撃に備えてちゃくちゃくと準備を進めている。

サドルよ、お前の最後も近い。

アップデート: ロイターの記事によると アメリカ軍の空からの偵察写真によると参加者の数は約15000人とある。地上にいた記者の概算では数万とあるが、地上では正確な数字はつかみにくい。唯一つ正確な測定ができるのは航空写真のみなので、私はアメリカ軍の測定を信用する。

April 9, 2007, 現時間 12:37 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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April 7, 2007

いよいよ大詰め? アルカエダイラクが崩壊する時

イラク関係

最近アルカエダによるスンニ種族への攻撃は過激になってきている。すでに塩素ガスを使った攻撃は今年にはいって9件にもなる

2007.04.07 Web posted at: 16:01 JST - CNN/AP

バグダッド——イラク警察によると、同国中部ラマディ近くで6日、爆薬や塩素ガスを積んだトラックによる自爆攻撃があり、少なくとも27人が死亡した。塩素ガスを用いたテロは今年1月以降に表面化した新たな手口で、これで9件目。

ラマディがあるアンバール州ではイスラム教スンニ派部族が、国際テロ組織アルカイダ系の外国人戦闘員の追放で政府系勢力を足並みをそろえる動きが出ており、6日のテロはこれに反発した犯行ともみられる。

現場はラマディ市から西部へ約4.8キロ離れた警察の検問所。トラックが高速で突っ込んできたため警官が発砲したものの爆発した。付近の建物も損壊するなどの被害を受けた。

呼吸困難など訴える住民が入院した。負傷者の詳しい数は不明。ラマディはスンニ派武装勢力の拠点ともなっている。

アルカエダによる元同胞への攻撃は自殺行為としかいいようがない。いくら自爆作戦が得意なアルカエダとはいえこれは完全に非生産的なやり方である。そのあまりのひどさに、スンニ派たちは次々にアルカエダに反旗を翻し、一時は敵として戦っていたアメリカ軍やイラク軍に協力する姿勢すら見せ始めている。

2007.04.07 Web posted at: 17:12 JST - CNN/AP

バグダッド——イラクで昨年10月に結成されたとするイスラム教スンニ派武装組織の結集団体「イラク・イスラム国家」に属する「イラク・イスラム軍」は5日、イスラム系ウェブサイトに声明を載せ、国際テロ組織アルカイダを非難した。

同イスラム国家は、アルカイダ系のイラク・アルカイダ機構の指導者のきも入りで誕生したもので、団体内の対立を物語る動きとして注目される。

イラク中部アンバール州などでは、イスラム教スンニ派部族がアルカイダ系の外国人戦闘員の追放で政府系勢力と足並みをそろえる動きを見せており、これへの報復ともみられる攻撃も生まれている。

「イラク・イスラム軍」は声明で、「アルカイダは、同組織に忠誠を示さないイスラム軍などスンニ派武装勢力の戦闘員を殺害している」と非難。アルカイダはスンニ派の富裕層も標的にしており、「金を払わなければ殺害される」と主張している。

また、アルカイダを批判、もしくは路線の誤りを指摘する人物は殺されていると述べている。

毒ガス攻撃や自爆テロを「良いニュース」というのも変な言い方ではあるが、これは実際我々にとっては良いニュースなのである。なぜならアルカエダはイラク抵抗軍としての表看板を完全にあきらめたことを意味するからだ。

一般的にアルカエダはスンニと協力することでイラクを侵略者アメリカから守る「抵抗軍」だという表向きの正当性を主張してきた。しかし地元イラク人を殺しまくりスンニ派にまで愛想をつかされたのでは、アルカエダなどイラクの平和を乱す単なる外国人武装勢力、つまりテロリスト、に過ぎない。イラク人のアルカエダに対する憎悪は一部のイラク人がアメリカに持っているものなどとは比べ物にならないほど深い。イラク住民のすべてが家族や知り合いの誰かをアルカエダの暴力で失っているのだ。

ということは今後どんなことがあってもイラクがアルカエダの温床となることはあり得ない。アルカエダが地元イラク人の擁護を得ることは完全に不可能となったからだ。また今回の事件でイラク警察の活躍も無視できない。27人のイラク人を殺した毒ガス入り爆弾は関門でイラク警察が発表した際に起爆された。もしイラク警察にとめられずに貫通していたならば何百という被害者がでていたことだろう。

一方南部のシーア民兵は、、、

良いニュースといえば、同盟軍はマフディ軍も順調に噛み砕いている。昨日などは空爆を使っての猛攻撃だった。モクタダ・サドルが戻って来ようとしても彼のマフディ軍は元の面影など全くないものになっているだろう。マフディ軍のないサドルなんて、クリームのはいってないコーヒーと同じよ。政治的に全く意味のない存在となる。

また、昨日イギリス兵4人が戦死したバスラの攻撃でも解るようにマフディ軍はイラク南部へと勢力を集中させている。ところでイギリス兵4人を殺したのはEFP(explosively formed penetrator)と呼ばれる強力な武器でこれまでイラク内ではあまり見られなかった武器だが、最近イラク南部でよくみられるようになった。明らかにイランからの贈り物である。

さてそれでは現在にイラク状況をまとめてみよう。

  • イラクのアルカエダは元同胞のスンニ種族らを恐れるあまり、アメリカ軍や他のイラク人への攻撃を中断し、スンニを標的に攻撃を集中させている。
  • 一方シーア民兵は首都のバグダッドを追われ南部に追い込まれている。しかし避難した南部でも同盟軍の攻撃でどんどん勢力を失っている。
  • そしてイランはイギリス人への贈り物としてイギリス兵がパトロールを中断した海峡を使ってイラクシーア派へEFPなどの武器を供給してイギリス兵を殺している。

こうして見るとイラクの戦況はまずまずといったところだ。しかしイランからのシーア民兵への武器供給は深刻な問題だ。イギリスが人質事件騒ぎで臨検を中断しているというのも心配のひとつ。この機に乗じてイランはどんどんイラクへ武器を運び込むだろう。イギリスが海域を警備できないのであればアメリカがやるしかないが、恥さらしの臆病者15人が無事にかえってきてもその結果が勇敢にイラクで戦う別のイギリス兵を殺すことになるのでは話が逆ではないか? 早くイギリス政府はそれに気付いて海上警備を再会してもらいたい。


April 7, 2007, 現時間 3:59 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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April 6, 2007

イランが米兵でなく英兵を拉致した理由

イラク関係 , イランが危ない , ヨーロッパ

私や多くのアメリカ人はアメリカ兵なら今回拉致されて昨日解放された15人のイギリス兵のように簡単には人質になったりしなかっただろうと考えていた。無論これは身内のひいき目もあるかもしれないが、どうやらそう判断したのはアメリカ人だけではなかったらしい。実はイランも本当はアメリカ兵を拉致したいと思っていた。いや思っていただけでなく実際に彼等は少なくとも2度ほどアメリカ兵拉致を試みていたのであるがどちらも失敗に終わっていたのである。一度はイラン兵が殺されて終わり、二度目はアメリカ兵が5人殺されるという悲劇となった。

一つ目の事件はあまり大げさには報道されなかったが去年9月イラン・イラクの国境付近で起きた出来事である。

陸軍が公開した情報によると、イラク軍に同伴していたアメリカ陸軍82空挺師団73騎兵連隊第5中隊(the 5th Squadron 73rd Cavalry 82nd Airborne) の兵士らがバグダッドから約76マイルはなれたイランとの国境ぞいで常時パトロールに当たっていたときのことだ。兵士らはイラク側からイランへと撤退していく二人のイラン兵を目撃した。そのすぐ後今度は三人目の兵士に遭遇した。アメリカ兵並びにイラク兵がイラン将校に近付き業務質問をはじめると突然部隊はどこからともなく現れたイラン兵の部隊に高台から囲まれてしまった。

イラン軍のキャプテンはアメリカ・イラク兵らが逃げようとすれば射つと警告した。いらん兵らによる拉致を恐れたアメリカ兵らは即行動を開始し撃ち合いが始まった。イラン兵らは最初ピストルや小銃で応戦したが、そのうちロケット弾を発砲。アメリカ兵らはよりイラク内部に後退した。その間4人のイラク兵と通訳1人国境警備員1人がイラン軍側に取り残された。

しかし結果的にアメリカ兵らに死傷者は出ず、少なくともイラン兵が1人殺されて事件は終わった。

二つ目の事件はこのブログでも取り上げたが、今年1月のこの事件

イラクの軍施設襲撃事件、米当局がイランの関与を調査

バグダッド(CNNー2007.01.31) イラク中部カルバラで1月20日、米軍とイラク治安部隊の共同施設が武装勢力に襲撃され、米兵5人が死亡した事件で、米国防総省は容疑者がイラン人か、イランで訓練を受けた活動家であるとみて調査を進めている。米当局者が30日、CNNに語った。

犯行グループは米軍風の制服で変装し、米軍で使用されている種類の車に乗り、英語を話すなど、用意周到だった。米軍は当初、死亡した米兵らが武装勢力に抵抗していたと説明していたが、後日犯行グループが検問所を難なく通過したうえ、米兵らを施設から連れ出し殺害したことを認めた。こうした手口は、武装勢力や外国人過激派には見られないという

私は最初にこのニュースを聞いた時、私にはこの事件は非常に不思議だった。それというのもイラン兵は4人の兵士を拉致する際、施設内で抵抗した米兵1人を射殺しているが、彼等はイラク内の武装勢力や外国人テロリストがよくやるような残虐な拷問や死体冒涜などをした形跡はなく、残りの米兵4人はただ射殺されていたからである。最初から単に殺すのが目的ならその場で5人とも殺してしまえば話は早い。なぜわざわざ4人を外へ連れ出したのだろう?

今考えてみれば、これは米兵拉致作戦未遂事件だったのだと私は思う。米兵らは多分拉致者のイラン兵が手に負えないほど抵抗をしたのだろう。だからイラン兵らはイランまで安全に米兵らを送還することは不可能だと判断したのではないだろうか?だからせっかく拉致した米兵らをみすみす殺すはめになってしまった。

イラク駐留の米兵は口を揃えて、イラクで彼等が戦っている敵はジェニーバ条約など聞いたこともないような野蛮人で、こんなのに捕まったら地獄の苦しみを味あわされて惨殺された上遺体がさらし者になるのは必定。そんな目に合うくらいなら死んだ方がまし、なるべく多くの敵を道ずれに死んでやるという。テロリストに捕われて生きてかえってきた米兵はいないのだから当たり前だ。

しかしイラン側はこの二つの作戦失敗により、アメリカ兵を拉致するのは不可能、もしくは少なくともかなり難儀。なにしろアメリカ人はそう易々とは捕まらないし、捕まえようとするとこちらの被害もかなり考えなければならない、、、と考えたのではないだろうか? アメリカ兵の拉致は不可能となると、抵抗しない戦闘規制が厳しいイギリス海軍を狙おうということになったのではないかな?

今日はアメリカのミルブログ(アメリカの現役及び退役軍人が経営しているブログ)の数カ所でアメリカ国防庁の軍人としての規律が掲載された。

I

自分は我々の生き方をそしてわが国を守る軍隊にて戦うアメリカ人である。自分はそのためなら命を捧げる用意がある。

II
自分は決して自分の意志で降伏しない。もし自分が司令官なら抵抗の余地があるうちは隊員を決して降伏させない。

III
もし自分が捕われたなら出来る限りの方法で抵抗を続ける。自分は脱走に力の限り努力し他者の脱走も援護する。自分は敵からの恩赦も特別扱いも受け入れない。

IV
もし自分が捕虜になったなら同僚の捕虜とともに信心を守り続ける。自分はどのような情報も敵に与えず同胞を害するような行動には加担しない。自分が上官なら指揮をとる。そうでなければ任命された上の者の合法な命令に忠実に従う。

V
捕虜となり尋問された時は自分は名前、位、サービス番号、生年月日以外を低雇用する義務がある。それ以上の質問には最大限、力の限り答えるのを避ける。自分は口頭であれ筆記であれわが国を裏切り同盟国を傷付け、その努力を傷つけるような発言はしない。

VI
自分は自由の為に戦うアメリカ人であることを決して忘れない。自分が自分の行動に責任を持つこと、そしてわが国を自由にした信念に敬虔であることを決して忘れない。自分は神とアメリカ合衆国を信頼する。

イギリス軍隊にも同じような規律があったはずだ。しかし観光客気分で新品のスーツを着させてもらいお土産までもらってニコニコ顔で帰ってきたイギリス水兵と海兵隊員たちを見る限り、そんな規則が存在するとはかなり疑わしい。

April 6, 2007, 現時間 1:05 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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April 3, 2007

タイミングが怪しいイラン2等書記官の解放

イラク関係 , イランが危ない , イランをどうするか

今朝、読売新聞のイラクで拉致されたイラン2等書記官、解放され帰国へこの見出しを見てちょっと首をひねった。

【テヘラン=工藤武人】イラン国営テレビは3日、今年2月にイラクのバグダッドで拉致されたイラン大使館の2等書記官が解放され、同日中にイランに帰国すると伝えた。

 解放の詳細な経緯は不明だが、イラン学生通信はイランの在バグダッド大使館筋の話として、同書記官は2日に解放されたとしている。

 この書記官は2月上旬、イラク軍特殊部隊の制服姿の男たちに拉致された。同部隊はイラク駐留米軍との関係が密接なため、イラン側は、米国が関与していると激しく非難していた。
(2007年4月3日20時47分 読売新聞)

なにしろイランでは例の15人のイギリス兵が人質になっている。イギリスもアメリカもそしてイランも人質交換は公には話題にしていないが、もしこれでイギリス兵がイギリスに帰ってくるということになったなら、これは完全に人質交換の交渉が裏で行われていたということになる。非常にまずい状態だ。

一方イギリスのインディペンデント紙では、イギリス兵が拉致されたのはアメリカのイラク政策失敗が原因だという筋違いの記事が掲載されている。

イラク北部を公式訪問中のイラン警備将校のアメリカ軍による拉致失敗が10週間後にイギリスの水兵海兵隊員15人が拉致される引き金を引いた。

今年1月11日の早朝ヘリコプターで潜入したアメリカ兵らはクルド族地区のアービルに長期に渡って存在していたイランレーゾン事務所を襲撃。5人の比較的下位の職員5人をスパイ容疑で逮捕、今も拘束中。

しかし現実にはアメリカはもっと野心的な目的があったことをインディペンデント紙は学んだ。この手入れの目的はクルド地方政権に知らせずにイラン警備組織の重要人物二人を捕まえることにあった。

その後のイランの怒り狂った反応からいって、イランが報復行動に出ることくらいはイギリス政府は予期すべきだったと記事の著者パトリック・コクボーン記者。そしてコクボーン記者はイラクに公式訪問しているイランの諜報部員を拉致するということは、外国を公式訪問しているCIAやMI6の高官が外国で拉致するようなものだとし、イランが怒るのも当たり前だといわんばかりである。

ほお〜、正式な外交関係のあった国の大使館を襲撃し大使および職員53名を拉致して444日も監禁した行為はどうなるんでしょうかね? そういうことへの報復が許されるっていうならアメリカはまだイランに48人のイラン高官を拉致するだけの借りが残っている。

イランが人質をとっては自分らの理不尽な要求を突き付けているのはなにも今にはじまったことではない。1979年のアメリカ大使館襲撃はいい例ではあるが、それですら始まりではない。16世紀から19世紀にかけてバーバリーコーストといわれるモロッコ、アルジェリア、タニーシアそしてリビア海岸の海洋を荒らして欧州の船を拿捕し乗組員を誘拐しては身代金を要求していた海賊らは当時のイスラム教諸国を背後にもつ海賊たちだった。それをいうなら2004年にもイギリス兵二人がイランに拉致された事件があったではないか、あれもアメリカのせいだというのか? コックボーン記者は誘拐はイスラムの常套手段だという歴史的事実さえ知らないらしい。(先に紹介したような学校教育を受けた結果かもしれない。)

インディペンデント紙は、アメリカの作戦を批判する暇があったら、抵抗もせずにみすみす捕われの身になったイギリス兵15人の態度について見直したらどうなのだ? そして拉致された後恥も外聞もなくイランのテレビに出演して地図の前で「確かにイランの海域に侵入しました」などと白状し、汚らわしいバーカなどまとってすましている恥さらしを批判したらどうなのだ! それともイギリス兵は捕らえられたら抵抗せずに何でも敵の言われるままに行動しろという命令でも受けているのか、だとしたらそんな非常識な命令をくだしたイギリス軍高部に対する批判でもしたらどうなのだ!

このイギリス兵の無様なていたらくがどれほどイランのプロパガンダに貢献したか知れない。どれだけかつての偉大なる英国も地に落ちたかを暴露する結果となったことか。どれだけ我々の敵を元気づけることになったことか。これがアメリカ兵だったなら絶対にこのような態度はとらないとニューヨークポスト紙でラルフ・ピータース陸軍中佐(退役)。

アメリカ海兵隊員を洞穴に押し込み歯をなぐり折ったところで、彼から本国と海兵隊への誇りをなぐり折ることはできない。「センパーファイ(Semper fi)」には意味があるのだ。

オージー(オーストラリア兵)も同じようにタフだ。

いったい何が英国海兵隊に起きたのだ? エリート隊のメンバーとして通ってきた隊なのに。労働党政府の政策はイギリス軍をずたずたにした。戦闘機を飛行不能にし、軍艦を引退させ、陸軍隊を解体し、制服を着る兵士らの胸から勇気までももぎとってしまったのか?

女性水兵が泣き崩れて政府に降伏を訴える姿も無様だったが、海兵隊員までがお茶や同情を懇願しだしたとなると、もう見てられない。嘘だと言ってくれ!

...ウィンストン・チャーチルは天国でスコッチを吐き出しているだろうよ。

ピータース氏も指摘しているように、イギリス軍は当初比較的平穏だったバスラの警備を完全に怠り、バスラ警察や地元政府がシーアの民兵に乗っ取られていくのを指をくわえて見ていた。もし当時イギリス軍がアメリカ軍のように厳しい取り締まりやパトロールを行っていればイラク南部でおきたシーア派民兵による暴走を防げたかもしれない。そういう失態を棚にあげて、自分らのぶざまで臆病な態度を顧みず、アメリカだけを責めるイギリスの政治家やメディアたち。アメリカの民主党より質が悪い。

ピータースもミスター苺と同意見でこの任務に当たっていた海軍の司令官らは敵を前にして臆病な行動をとった罪で軍法会議にかけられるべきであると語る。そしてこの「ワンカーども」が所属している王立海兵隊はさっさと任務からほどかれ解散しちまうべきだ!と手厳しい。カカシも全く同意見だ。

April 3, 2007, 現時間 2:24 PM | コメント (6) | トラックバック (0)

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April 1, 2007

フランス政府に学ぶイラク戦争に負ける方法

イラク関係

前回のフランス軍に学ぶイラク戦争に勝つ方法に引き続き歴史家アーサー・ハーマン氏によるHow to Win in Iraq. And how to lose.から、今度はイラクで負ける方法についてお話ししたい。

無論カカシは何もイラクで負けたいと思ってるわけではないが、どういうやり方をすれば勝てる戦争に負けてしまうのか、フランス政府の失態を教訓にしてイラク戦争でも十分にあてはまる部分を研究してみよう。

前回にも書いたようにフランス軍は2年足らずで反乱軍ゲリラのFLNにはほぼ全面的に勝利を納めていた。だが、圧倒的な軍事勝利にも関わらずフランスは戦争そのものには負けてしまった。あれだけの栄光を納めたフランス軍はそのたった2年後にアルジェリアから完全撤退してしまったのである。

いったい何がおきたのか? それはフランス軍がアルジェリア戦地で反乱軍ゲリラ相手に一生懸命になっている間、フランス国内では左翼による政治反乱軍がフランス政権を蝕みはじめていたのである。彼らは今のアメリカの民主党や左翼メディアと同じで、軍事成功そのものをあたかもフランスによるアルジェリア市民弾圧や迫害であるかのようにフランス市民に訴えはじめたのである。

フランス軍はFLN打倒の目的で、諜報のために多少の拷問は許可した。ところがフランス左翼はこれに噛み付いた。フランス市民は特に常日頃から捕虜の目玉をくり抜いたり男性性器を切り取ったりするような残虐な拷問をしているゲリラに対して特にこれといった同情心などもっていたわけではないが、50年後のアブ・グレーブがアメリカの反戦左翼に利用されたように、フランス内部の反政権勢力によってこの問題は反戦運動に多いに活用された。

反戦派のジョン・ポール・サルテル(Jean-Paul Sartre)に率いられ、フランス軍弾劾運動が始まった。左翼たちはフランス軍がフランスの宿敵ナチスとかわらないといって攻撃した。アメリカの左翼がブッシュ政権をナチスとしょっちゅう比べるのと全く同じだ。サルテルの同士シモン・デ・ブビエーなど(Simone de Beauvoir)などはフランス軍の制服は「スワスティカがかつて与えたのと同じ印象を与える」とまで言った。反戦派の先導者はほとんどが共産主義者や左翼だったが、なかにはフランス市民が尊敬する中庸派の人々も含まれていたため、フランスではだんだんと反戦ムードが高まっていった。反戦派が常に繰り返したメッセージは「アルジェリア紛争の元凶はFLNではなくフランス軍の存在だ、フランス軍が撤退してはじめてアルジェリア人は自分たちの運命を決めることができるのだ」というものだった。まさにアメリカ左翼の連中が唱えている「イラク問題はアメリカ軍にあるアメリカが撤退することでイラク人にイラク再建が出来るようになる」というメッセージと瓜二つである。

フランス軍も当時のフランス政権もこの左翼反戦派からの攻撃には面食らった。まるで予期せぬ攻撃だったのである。彼等に対してはどれだけ軍事行使の正当性を訴えてみても無駄だった。拷問を許可したもともとの命令が撤回されても全く効き目がなかった。このフランス内部の政治的混乱を利用してFLNはアルジェリア各地で爆弾を爆破させた。アメリカ国内で民主党支配の議会がイラク撤退期日決定やイラク増兵反対の議決案を通す度にアルカエダのテロリストが奮起してイラクで自爆テロを増加させるのと全く同じ状況である。 これによって1956年現在でフランス市民のほとんどが「アルジェリアを見捨てるなどもってのほか」という考えでまとまっていた団結が完全に崩壊してしまったのである。

フランス国内の分裂は政権崩壊につながり、後継のフランス政権はその存続のため軍事的に惨敗したアルジェリアの独裁政権にみすみすアルジェリア統治の権限を与えてしまった。その結果起きた悲劇は無惨であった。アルジェリアの白人層は大量にアルジェリアから避難、フランス政府に協力したアルジェリア人たちは何万何千という単位でFLNによって虐殺された。フランス軍と並んで戦ったアルジェリア軍人たちは処刑の前に勲章を飲みこまされてから射殺された。

これはアメリカ軍が撤退した後でのベトナムでも繰り返された。そしてアメリカがイラクから撤退すればアメリカ軍に協力したイラク人たちがサドル民兵やアルカエダのテロリストに全く同じ目にあわされることは火を見るよりも明らかである。

イラク戦争の最初の三年間はイラク軍がアメリカ軍が制覇した土地を継続して守ることができなかったという問題があった。アメリカ軍の数が足りていないという批評家の批判にも一理あった。だが、フランス軍の例でもわかるように戦況は作戦変更で短い時間にあっという間に成功を遂げることも可能なのである。だからカカシはイラクは軍事的に十分に勝利の可能な状況にあると主張しているのだ。

しかしアメリカ国内の内政となってくるとカカシは同じような確信を持つことができない。もし民主党がイラク戦費の差し止めに成功したならば、いくらブッシュ大統領ががんばってみても必然的にアメリカ駐留の期間は制限される。今のところ共和党議員たちが一人二人の裏切り者以外はほぼ団結しているため、上院下院の両方で議決案が通っても大統領の否決を倒して議案を成立させることはできない。

また、民主党は戦費完全差し止めを強行するにはまだまだアメリカ世論がついてこないことを承知している。だからアメリカの反戦左翼はアメリカ世論を反戦にもっていくべくそのキャンペーン運動をさかんに行っている。

たとえば、「作戦的撤退」と称する書類で the left-liberal Center for American Progressという左翼団体はイラクにおける暴力の原因となっているのはテロリストでも反乱ゲリラでもなくアメリカの『占領軍』であるという立場を明らかにしている。これによるとイラクは放っておけばシーアもスンニも必然的に妥協し平和共存する選択に迫られるというものだ。

現にノースキャロライナ大学の中東専門家サラ・シールド女史などは今日のジハーディストたちは「占領軍に対抗して戦っている最新の例である」とし我々が撤退する時期が早ければ早いほど、「我々の占領と関連したとして不利になる人々の数がすくなくてすむ」と書いているほどだ。

これはまさしくフランス左翼やアメリカ左翼の負け組がアルジェリア紛争やベトナム戦争で唱えた議論とそっくりそのままだ。これらの声に耳を傾け駐留軍が戦地から撤退することで、結果どのような悲劇を生んだか歴史が顕著に語っている。

もともとアメリカがイラクを攻めた理由はなにか? それはイラクがテロ軍団の温床となってイラクを拠点としてアメリカ本土に攻撃をしかけてくるのを防ぐための先制攻撃であった。フセイン政権打倒も、WMDの処置も、その手段だったのであり、一番大切な目的はイラクをアルカエダのようなテロリストの手に渡さないことにあった。だとすれば、いくらフセイン政権を倒してみても我々を威嚇する危険なWMDが存在しなかったとしても、イラクが内乱状態となってアルカエダが自由気ままにテロを起こせる場所にしてしまったら元も子もない。イラク戦争そのものが完全に無意味だったということなってしまうのだ。

これを考えたなら我々がイラクから絶対に撤退してはならないということは子供でも分かる理屈である。撤退は選択に含まれない。イラクでは軍事的にも政治的にも絶対に勝たなければならない。敗北は断固許されないのである!

April 1, 2007, 現時間 7:03 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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アメリカ兵はイラク任務遂行を望んでいる!

アメリカ内政 , イラク関係

イラク駐留のアメリカ兵が今一番聞きたくない言葉は「私はアメリカ軍を支持します」という反戦バカサヨ政治家の偽善的な発言だろう。軍隊を支持するといいながら軍隊に必要な予算を削り、敵のテロリストを元気づけるような議案を次々に提案し議会を通す民主党の議員たち。アメリカ軍人たちは、こんな応援なら要らないよ。ほうっといてくれ!と叫びたいのではないだろうか。

アメリカメディアは現役やイラク帰還兵のなかに存在する反戦兵士たちを探し出してきては、アメリカ軍人ですらイラク戦争には反対している、即撤退を望んでいると騒ぐのに忙しい。ここでも一度紹介したが、イラク即刻撤退を訴える草の根運動といううたい文句で登場したAppeal for Redressという団体は現役および退役軍人らによって発足一か月ですでに1000以上の署名を集めたといってメディアが大騒ぎしたのもいい例だ。(発足2か月の現在はほぼ1600程度。実は草の根とは名ばかりの組織力抜群の左翼団体の看板団体であることはすでにここでもお話した通り)

だが実際には軍人たちの本心はどのようなものなのだろうか? 実は反戦署名運動に対抗してAppeal for Courageという賛戦署名運動が現役軍人らの間で行われている

発足者はジェイソン・ニコラス中尉。33歳の海軍企画将校で今年の一月からバグダッド勤務をしている。中尉は(署名運動)の目的は議員たちに軍隊がイラクでの任務遂行を達成することに焦点をあて、常時失敗を宣言するのをやめてもらうことだと語る。

「ベトナムで学んだ最大の教訓は、戦地で勝つことはできても本土で負けるということだ」と中尉はスターズアンドストライプ紙(軍隊新聞)へのメールで語った。「我々は今後も難かしい日々は続くとはいえ、イラクに駐留し最後まで仕事をさせてもらえるなら、イラクでは勝てると考えている。」

この訴えは...議会に「我々の任務を完全に支持しイラク撤退宣言を停止すること」と訴えるものである。我々はイラク戦争は必要で正当な戦争であり「敵に英気を与え本国アメリカ市民の支持を衰えさせるようなメディアの運動」に積極的に反対して欲しいと訴える。

私のネットスケープではホームページにいかれないので確認できないのだが、ミネアポリス州兵でイラク駐留のデイビッド・スル軍曹によると、始まって一か月足らずですでに1500以上の署名が集まったと言う。そうだとすれば反戦署名運動よりも署名の集まり方は早いことになる。反戦署名運動に集まった1000の署名を特集する暇があるなら、もっと多くの署名が集まった任務遂行を訴える署名運動についても主流メディアは報道すべきではないのか? むろん反戦まるだしのアメリカメディアが戦争支持の報道などするわけないが。

パワーラインでは現役軍人及びその家族から議会が押している即撤退議案についてどう思うかという意見をつのっている。パワーラインに届いたほとんどの手紙は任務遂行まで撤退すべきではないという内容だった。ここでもそのふたつみっつ紹介しよう。

まずは前出のソル軍曹。ソル軍曹はほとんどの軍人は任務途中の即刻撤退を望んでいないと語る。どうしてそんなことが分かるのかというと、、、

私が一緒に毎日働いている男子や女子から聞いている話からです。私はイラクからアメリカ軍が即刻撤退することで中東の状態が長い目でみて良いことだと考える兵にあったことがありません。我々の多くは疲れてますし不満もありますし家族が恋しく早く家に帰りたいと思っています。でも家に帰るのは我々の義務をすべて代わりの部隊に完全な引き継ぎをしてからです。それがアメリカ軍であろうとイラク軍であろうと。持ち場を放棄したくありません。ーミネソタ州兵デイビッド・ソル軍曹

スティーブン・クルーガー軍曹などは議会が次々に通す反戦議案にたいしてカンカンに怒っている。

アメリカ軍が撤退する期日を決める法案を通すなど、いったいどうすれば考え付くんだ!お前らはこれがどれだけおれたちの敵を元気づけるかわかってるのか?お前らのやってることはアメリカ軍男女の命を危険にさらしてるんだってことが分かっているのか?お前ら民主党はアルカエダが援助する反乱分子におれたちやイラク軍にもっと危険な攻撃をさせることになるんだぞ。...

脇でみているだけだったスンニ派市民が我々と一緒になって政府と共にアルカエダを倒そうと立ち上がっている。しかし彼等は我々の援助をひつようとしている。我々の駐留を必要としている。...俺はイラク市民が武器を持って民兵を組織しイラク警察や軍隊と協力するのを見てきた。普通の人々が戦い死ぬのを見てきた。だがそれも我々が彼等の横で一緒に戦っていればこそだ。切り捨て退散の話などしていないからだ。...

少なくとも俺はこのひとたちを見捨てるようなことはしない。俺の部隊の海兵隊員たちも同じ気持ちだ。- 海兵隊スティーブ・クルーガー軍曹

匿名の陸軍兵はイラク軍訓練には時間がかかると書く。

国を統括できる軍隊を訓練するのは時間がかかる。イラク軍に我々と同じレベルの技術をたった数年間で学べると期待するほうがおかしい。世界でもアメリカ軍と並んで戦えるのは英国とオーストラリアくらいなものだ。それでも両方とも移動戦闘の時には我々に遅れをとる。我々が彼等を見捨てないと保証できない限り、イラク軍やイラク警察が両足で独り立ちすることなどありえない。彼等も我々が去った後の自分や家族の安全を心配しているのだ。我々が今撤退すればイラク反乱がおき虐殺がはじまり、我々がくる前以上にひどい状態になってしまうだろう。アメリカ軍も司令官も現状に適切な反応をしない間違いを犯した。しかし軍隊レベルの間違いなど議会が今わが国に対してやっていることがおこす打撃と比べたらどれほどのものでもない。

戦地で命がけの戦いをしている人々の声にアメリカ市民も政治家たちも耳を傾けるべきだ。イラクは対テロ戦争の前線だ。前線から撤退すれば戦闘はより本土に近付くのだということをアメリカ市民は忘れるべきではない。

April 1, 2007, 現時間 1:41 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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March 31, 2007

フランス軍に学ぶイラク戦争に勝つ方法

イラク関係

過去から学ばない者は必然的に過去の過ちを繰り返す、とはどっかの有名な歴史家が言ったのだろうか、今は誰とは思い出せないが。

以前にイランをどう攻めるかという話をした時にもちょっと紹介した歴史家アーサー・ハーマン氏がHow to Win in Iraq. And how to lose.(イラクで勝つ方法、そして負ける方法)というエッセーでアメリカはフランスとアルジェリアとの戦いから多いに学ぶことがあると語っている。

以前に私は別の歴史家、ドナルド・ストカー氏の『ゲリラはめったに勝たない』という意見を紹介したことがある。

ゲリラ戦というとアメリカではどうしてもベトナム戦争の記憶が新しい。しかしストカー氏はアメリカはベトナム戦争からゲリラには勝てないという間違った教訓を学んだという。氏はゲリラは常に勝つどころか、めったに勝たないと断言する。だから、イラクでもアメリカ軍を増派し作戦を変更することで十分に勝利をおさめることが可能だというのである。しかし、イラクでアメリカが勝とうというのであれば、アメリカは過去の間違いから学ばなければならない。なぜならゲリラ撲滅は辛抱強く時間をかけてやる必要があるのだが、ブッシュにはあまり時間がないからである。

ハーマン氏も軍事的にはゲリラ戦に勝つことは十分に可能だが、政治的に勝つこととなるとこれは別問題だという。

事実歴史的な記録は明白だ。イラクでおきているようなゲリラとの戦いにおける失敗は軍事的なものではない。それどころか西側の軍隊は驚くほど非一般的な敵に対し勝つための貴重な技術を学び学び直し、難かしく慣れない戦闘にすばらしく勇敢に立ち向かっている。もしイラクが失敗するとしたら、その原因は他にある。

ベトナム戦争の時も、アメリカは軍事的な戦闘にはことごとく圧勝した。しかし国内の世論が反戦ムードに極端に傾き、議会が戦費の割り当てを拒否したため軍隊は撤退を余儀なくされた。今のイラクの状態と非常によく似ている。しかしハーマン氏は歴史上の似ている状況を比べるのなら、ベトナムよりも50年前にフランスが元フランス植民地だったアルジェリアと戦った時の状況がイラク状況に酷似しているという。

そこで今日はまず、フランス軍によるアルジェリア反乱軍との戦いからイラクにおいて軍事的に勝つ方法を考えてみたい。

50年前のアルジェリアでもイスラム過激派を中心とする反乱ゲリラが地元政府とフランス軍を悩ませた。興味深いことに1954年の11月に本格的にフランスが攻撃をはじめたこのイスラム教過激派グループ、the National Liberation Front (FLN 全国解放前線)は現在のアルカエダの直接の前身であり、戦い方も酷似していた。当初フランス軍は普通の戦闘でないゲリラ戦に十分な対応ができずゲリラたちに上手を取られた。

ゲリラのリーダーたちは国粋主義というより反西洋(特に反ユダヤ教ではなく)の思想によって導かれていた。彼等は最初からフランス正規軍にたいして軍事的な勝利を得られるなどとは考えていなかったし、それが目的ではなかった。それよりも、彼等はアルジェリアの支配層であった白人たちに対してイスラム教徒による反乱をおこさせ全面的な内乱をおこさせようとしたのである。イラクでアルカエダの連中が圧倒的軍事力のあるアメリカ軍に直接攻撃をかけずイラクシーア派に攻撃をしかけてシーア対スンニの内乱をおこさせようとしているのと全く同じやり方だ。

この目的のため、彼等は穏健派イスラム教徒やアルジェリアのビジネス上層階級を標的にして驚異的な爆破攻撃、拷問、残虐な殺人を行った。「スーツを着たひとつの死体は制服を着た20のそれに値する」とひとりのFLNリーダーは語った。最初からゲリラが影響を及ぼそうとしていた観客はアルジェリアではなくフランス本土そのものだったのである。 アメリカで対ゲリラ戦専門のブルース・ホフマンが書いているようにアルジェリアの反乱分子は「戦争が長引けばフランス人の疲労と無関心が戦争の風向きをかえるのに役立つと賭けていた。」これは知能的な作戦だった。

今日イラクにいるアメリカ軍同様、フランス軍は次々に起きる危機にそのつど反応するしかなくその間に司令官が次々と入れ替わり、作戦や資源がぽつぽつと循環する状況に立たされていた。2007年現在のイラクの半分にも満たない人口を14万の兵をもってしてもフランス政府は戦況を好転させることに全く無力だった。急速に崩壊していくこの状況にあってアルジェリアの白人層は政府に反感を持つようになった。1956年の終わりには首都で起きた爆破テロにより49人が殺されもっと多くが負傷しストレスや疲労がたまっていたフランス警察や軍隊はタオルを投げる用意ができていた。

ところがここで英雄の登場である。1956年8月、フランス軍のデイビッド・ガルーラ中佐(David Galula)がゲリラの棲息する山岳地帯の司令官として任命されると、中佐はゲリラたちの不規則な戦闘に型破りなやり方で応戦した。このやり方は大成功を納めたため、即座にアルジェリア各地のフランス司令官らに広く取り入れられた。イラクのアメリカ軍総司令官として任命されたペトラエウス将軍はこのガルーラ作戦を広範囲で応用しているといわれている。

1957年の一月にはすでにフランス軍ジャック・マスー将軍らによって市街地でも中佐の作戦は取り入れられるようになっていたという。この新しい作戦によってほんの数週間のうちにマスー将軍らの部隊は市街地のゲリラを追い出し、一地区ごとにゲリラから奪い返していった。また地元市民による協力を訴え、ゲリラの居場所を通告してくれるよう説得した。これはまさに現在アメリカ軍がスンニ地区でやっているのと同じ作戦だ。イラクでも地元スンニ派がアルカエダに味方するよりもアメリカ軍やイラク軍に協力しようとする動きが目立ってきている。

1959年にはガルーラ中佐の作戦はアルジェリア全国に広まり、全国に600の特別事務所が設置された。この事務所では地区ごとの民間および軍事的な管理がおこなわれ、やっとフランス軍は15万という圧倒的な兵数を効率良く生かすことができるようになった。1960年になると三年前には不可能と思われた反乱軍鎮圧はほぼ成功を遂げていたのである。

さてそれでは、ガルーラ中佐の対ゲリラ・テロリスト作戦の教訓をまとめてみよう。

    1)兵を一地区に集中させること。テロリストは自動車爆弾などを使って少人数で大規模なダメージを起こすことができるが、政府軍は大人数の軍隊を使っても広範囲に散らばっていてはとてもとても市民ひとりひとりを監視することなどできない。そこでガルーラは守る地域を、白、ピンク、赤という地区に分けた。白とは政府の統括下にある地域、ピンクはゲリラと政府が競争している地域、赤は完全にゲリラが制覇している地域。対反乱作戦を成功させる鍵は、ピンクを白に、赤をピンクへと、一区画づつ地道に変えていくことにかかっている。
    2)継続的で目立つ軍事的防御体制。地元市民が常に安心してたよりにできる民間および軍事的な施設の存在は反乱軍を牽制し地元民の信用を得るための必要不可欠な要素である。正規軍が常に監視に目をひからせパトロールを継続させゲリラの潜入を絶対に容認しない。テロリストは厳しく処罰し、市民の協力を報酬などを使って奨励する。これによって地域は安定を保つことができるようになる。
    3)勝利は確実と市民に確信させること。地元の人々は政府と政府軍が結果的には勝つと確信しなければならない。そのためには地元軍の存在は必要不可欠である。なぜなら駐留軍がいなくなった後でもこの平和は継続される、生活の基盤は崩れないという信頼感がなければ市民は安心して政府に協力などできないからだ。

現在のバグダッドにおける新作戦はまさにこのガルーラ作戦を教科書どおり遂行しているといえる。バグダッドでは50マイル直径の場所で80%の暴力沙汰が起きている。この赤地帯をピンクおよび白へと変えていくことがまず教訓の第一歩だ。

批評家たちは今回の作戦など一時的なものだというが、その一時的な状態を長期にわたって継続し、それがいつのまにか永久的な状況へと変化していくことが最終的な目的なのである。一挙に全地区を安定させるなどという無謀な野心は失敗を招くもとだ。「この考えは最初にはじめたときより日ごとに敵の数がじょじょに減っていくことにあります」とペトラエウスは語る。

ペトラエウスはガルーラの二番目の教訓を生かす方法として「失うものが多い人の数を増やすこと」を強調している。例えば将軍はカビリア地区において部下たちに女子も含む1400人の生徒のいる学校を管理させ、道路建設などにも従事させた。またモスールでは第101空挺隊が大学再建に協力するなど地元民の生活に多大なる影響を与えた。「最良の武器は撃たないもの」と将軍は語る。

また将軍は地元リーダーたちと常に会合を開き地区の治安について話あっている。アメリカ軍がイラク軍と同じ釜の飯を食って共同訓練をおこなっているというのも、地元民のイラク再建に対する熱意を高めることに役立っている。要するにイラク再建はアメリカ駐留軍だけの問題ではなく、イラク国民全員にとって良いことなのだということをイラク市民に納得してもらうことが非常に大切だということだ。

歴史家のハーマン氏はペトラエウス将軍のこれまでの戦闘体験から、イラク全体にも当てはめられるとその能力を高く買っている。

こうしてみると軍事的にはアメリカ軍はイラクにおいて決して不利な状況にはない。自動車爆弾テロなどで大量な犠牲者が出ているとはいえ、その数は日ごとに減っている。ここで継続的な警備体制を保つことができれば、いずれはイラク戦争に勝つことができるとカカシは確信する。

だが心配なのはこの「継続的な警備体制を保つ」という点だ。アメリカ国内では主に反政権の民主党政治家たちが現地の司令官らの意見とは裏腹に撤退撤退を繰り返している有り様だ。このような状態でアメリカは本当にイラクで勝てるのだろうか?

ハーマン氏はこれについても、50年前のフランスから多いに学ぶことがあると語る。ただし、これは反面教師としてだが、、

その話は次回に続く。

March 31, 2007, 現時間 1:47 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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March 16, 2007

マフディ軍無抵抗作戦に亀裂

イラク関係

一月の終わりに私がサドルの計算違いで、サドルの無抵抗作戦、いわゆるイラク・アメリカ連合の警備作戦に抵抗せずほとぼりが冷めるまで潜伏するという作戦は、サドルが考えるほどうまくいくとは思えないと書いた。その時この作戦の問題点をいくつか挙げたが、そのひとつにこれがある:

いくらこれがサドル派の生き延びる作戦とはいえ、それを教養のないシーア派民兵連中に理解することができるだろうか?これまで「占領軍」と言っていたアメリカ軍に、媚びを売り警備に全面協力しろなどという呼びかけは、単にサドルが自分の皮だけを救おうとしている臆病な手段なのではないだろうか、逮捕されたシーア派民兵が後で釈放されるという保証はあるのだろうか、サドルはおれたちを犠牲にして自分だけ助かろうとしているのではないだろうか、などという疑いがサドル派の民兵連中の間で生まれる可能性は大きい。民兵たちは正規軍ではない、ただのギャングである。何か月もサドルのいうことをきいて大人しくしているとは思えない。

今日のAPの記事によると、サドルシティの警備について米軍およびイラク政府と交渉にあたっていたサドル派の高官が攻撃され重傷を負うという事件があった。どうやら私の予想は現実になってきているようだ。

BAGHDAD -(AP, Mar.16) サドルシティの高官への攻撃はシーア民兵の各位の間で緊張感を生んでいる。人によってはこれはアメリカ軍との協力に不満を持つ者たちの仕業ではないか疑っている、と地方の司令官は金曜日語った。

木曜日、東バグダッドにおいて銃を持った男たちがRahim al-Darrajiをつれた車の行列のなかに発砲し、氏に重傷を負わせ、ボディガード二人を殺したと、現地の警察と政府高官は語った。

Al-Darraji氏はアメリカ軍との交渉で主役となった人であり、交渉の結果サドルシティにおいて(マフディ軍)戦士を街頭から撤退させることに合意した。サドルシティはマフディ軍の本拠地であり、襲撃はこの合意に不満を持った一部の民兵の仕業という疑いがかかっていると地元マフディ軍司令官は語る。

「このグループはこの辺では多少勢力のあるグループですから」とマフディ司令官...

司令官はこの攻撃が民兵各位の間でサドルシティにおけるアメリカの掃蕩作戦中、全く抵抗せずにいることが果たして賢いことなのかどうか議論が再燃しているという。アメリカ軍の掃討作戦の目的はサマラのシーア聖廟の爆破があった2006年2月22日から続いている宗派間争いを終わらせることにある。

だが、一旦アメリカ軍をサドルシティに入れてしまった以上、いまさら「はてな、これははたしていい考えだったのだろうか?」などとやっても時既に遅しである。これも私が上記のエントリーで予測した通り。

意図的にしろ無理矢理にしろ一旦敵に占拠された領土を取り戻すとなると、もともとの領土を守るようなわけにはいかない。...サドル派民兵が留守の間に地元民による平和な自治が設立しイラク軍による警備が行われるようになっていたら、ただの愚連隊の民兵どもがそう易々とは戻って来れまい。

ブッシュのイラク警備新作戦はことのほか順調に進んでおり、反イラク戦争偏見丸出しのアメリカ主流メディアでされも、その良い経過発表をせざる終えなくなっている。おかげでアルカエダやその他の反米分子にとって唯一頼りの民主党はアメリカ軍撤退を実現させるどころか、ブッシュの増派を抗議する拘束力のない議案すら通すことが出来ないでいる。それにも増してブッシュは二万兵ではなく三万兵ちかくの増兵を提案しており、民主党の反対もなんのその、これも実現しそうである。

そこで私の三つ目の予測。

最後にここが一番の問題だが、アルカエダの勢力は昔に比べたら大幅に衰えている。シーア派民兵が抵抗しなければバグダッドの治安はあっという間に安定する。つまり、サドルの思惑はどうでも傍目にはブッシュの新作戦が大成功をしたように見えるのである。アメリカ議会が新作戦に反対しているのはこの作戦が失敗すると思っているからで、失敗した作戦に加担したと投票者に思われるのを恐れた臆病者議員たちが騒いでいるに過ぎない。だが、新作戦が大成功となったなら、奴らは手のひらを返したようにブッシュにこびへつらうだろう。そして勝ってる戦争なら予算を削ったりなど出来なくなる。そんなことをすればそれこそアメリカ市民の怒りを買うからだ。

結果アメリカ軍は早期撤退どころか、イラクが完全に自治ができるまで長々と居座ることになるだろう。

さて、この予測も当たるかな?

March 16, 2007, 現時間 12:16 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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March 13, 2007

イラク戦争支持率急落のアルカエダ

イラク関係 , 対テロ戦争

ビル・ロジオ(Bill Roggio)によると、バグダッドでの新作戦は非常にうまくいっているようだ。バグダッドでの攻撃が日ごとに難しくなってきていることに対応して、スンニテロリストたちは攻撃拠点をバグダッドの外、イランとの国境近くのディヤラ地区(Diyala)に移したらしい。

迷惑なのはディヤラ地元のスンニ及びシーアの部族たちである。アンバー地区の反アルカエダ部族と同じように、ディヤラ地区でもアルカエダはお呼びじゃないという結論に達したようだ。

アルカエダのディヤラにおける活動は地元市民によるテロ軍団への抵抗をかもし出している。アル・サバー紙によるとディヤラ地元シークらは「地区に腐敗を広めている」 アルカエダとそのイラク支部に組織的に対抗し始めている。 イラク政府もディヤラ地区への軍事行使作戦を練っている。ディヤラのシークたちは(アンバー地区にある)アンバーサルベーションフロントという対アルカエダ組織と似たような組織を結成しつつある。このグループは元反乱軍及び西イラクのアルカエダの存在に反対する部族のメンバーたちからなっている。

アルカエダがこの動きを心配している証として(アルカエダによる)反アルカエダ部族への攻撃が最近激しくなっている。マクダディヤ市ではスンニ及びシーアの部族民の家が次々に焼き払われた。未確認の報告によれば市内で放火された家屋は30軒から100軒ともいわれている。二日前ディヤラ地区のヒブヒブにて警察署が襲撃され警察官一人が殺害され3人が負傷、10人が行方不明になっている。

今年は、アルカエダから守られる立場にいるはずのスンニイラク人たちの間で、アルカエダ支持から拒絶への折り返し点となったといえる。アルカエダにとって地元からの支持と援助は必要不可欠なものだ。その支持がどんどん凍解していくなか、あせったアルカエダによるスンニ攻撃、いわゆるレッド・オン・レッドと呼ばれる内部抗争が激しくなっている。最近は単にアルカエダへの協力を拒むだけでなく、武器をとって積極的にアルカエダに抵抗するスンニ部族が日に日にその数を増している。

アメリカ軍はすでにこうした動きにすばやく順応すべく、残りの三つの旅団をディヤラやカーバラといったバグダッド衛星都市に回す用意ができている。今回の作戦はこれまでのように掃蕩後に去るではなく、掃蕩後に居座る作戦だ。

それからロジオによるとイラク・アメリカ合同警備基地(JSS)がすでに23ほどバグダッド付近に設立されているが、この基地が非常に効果をあげているため、当初の計画の35箇所の倍の70箇所を設立することになったそうだ。JSSでは、アメリカ兵とイラク兵が共同生活をする、同じ釜の飯を食ってお互いの親交を深めるという意味もあるが、イラク軍がアメリカ式の軍隊のあり方を学ぶのには好都合だし、いずれおきる任務の移行もスムーズに行くというものだ。

最後になるが、マリキ首相及びイラク政府は国の指導者たるやどういう態度をとるべきなのかということを序々に学んできているようだ。リーダーシップには権力だけでなくパフォーマンスも必要。 APによるとマリキ首相はバグダッドの西にあるスンニ反乱軍の本拠地ラマディに電撃訪問をした。という。 マリキ首相は地元の部族長たちと会談した後、イラク警備隊にも慰安訪問したという。

マリキ首相は使者をおくることもできた。スンニ派の副大統領もいることだし。だがそれをわざわざ反乱軍の本拠地に自分から出向いて行ったということは、イラク全体にマリキが代表するイラク政府がイラクを統括していると知らしめる意味がある。

最近イラクからは良いニュースがあふれている。どうりで民主党が慌てふためいているわけである。そろそろ下院議長のペロシ女史が泡を吹き出すのではないかな?

March 13, 2007, 現時間 5:29 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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March 11, 2007

イラク最前線アメリカ軍士気高し

イラク関係

イラク最前線にマイケル・ヨンとビル・ロジオという二人のアメリカ人ブロガーがフリーの従軍記者として行っている。二人とも元陸軍特別部隊兵だが、現役時代より記者としてのほうが戦闘を見てきているのではないかと思われるほどずっとイラクやアフガニスタンに行ったきりの体当たりジャーナリストたちである。

特にマイケル・ヨンは従軍記者としての経歴も長く本も出版しているが、彼は正直な人間で状況が良くないときには良くないと報道するので、彼からのニュースは主流メディアなどよりずっと信頼できる。そのマイケル・ヨンがイラク駐留のアメリカ軍兵の士気が高いと報告している。

(車の)走行距離計が多くの従軍記者の間で高まる中、メリンジャーは俺を4000マイルもイラクの道をあっちこっち連れて行ってくれた。北から南、東から西へ、各部隊を訪問する中、軍隊はいつも軍隊に粘り強くくっついてくる人間なら大手を広げて受け入れてくれる。軍隊は俺達のことを気に入っていなくてもいいのだ。俺と陸軍との衝突は周知の事実だ。なのに彼らはいつも門戸を空けてくれる。ここに教訓となる事実がある。俺は最初の選挙直後にイラクは内乱状態にあると書いた。俺は無能な司令官を批判した。イラク特別部隊なまっすぐ撃てないとさえ書いた。アフガニスタンの当初の勝利にもかかわらず、シゲの花で金儲けしたタリバンがまた台頭してきていることも書いた。それでも軍隊は俺を受け入れてくれた。

これが俺が俺の国を誇りに思う理由だ。そしてこれがどうしてほとんどの人たちがこの戦争を見捨てたとはいえ、俺達が同胞と団結しなければならないかという警告でもある。 俺はジャーナリストの立場は理解できる。特に吹っ飛ばされたりしょっちゅう撃たれたりしてる人たちの気持ちは。だがこの戦争の結果はどれだけ一般のアメリカ市民が戦争について情報を得ているかにかかっている。実際イラクやアフガニスタンの兵士たちは記者と接する機会などほとんどない。だから自然に見捨てられた状態になってしまうのだ...

アメリカ本国ではここでの兵士らの士気が落ちているという話を良く聞く。それでこれを書きながら、俺はバグダッドにいるニューヨークタイムスのリッチ・オペルに電話して彼の見解から兵士らの士気はどんな按配かと聞いてみた。リッチは多くの兵士らが任期を延長されたことに不満を述べていると言った。これは俺も兵士らの口からよく耳にした。俺は兵士らの士気に関して他の何よりも注意をして観察してみた。特定の隊の士気が低いのは大抵の場合リーダーシップが良くないことが原因だ。たとえば手紙が定期的に届かないとか。しかし士気の高い低いを判断するのには単に数人の兵士に意見を聞いただけでは解らない。記者がイラクのあちこちで隊と寝泊りを一緒にしてこそ(士気の高低が)わかるのである。 自分でそうした体験をしてみて全体的に兵士らの士気は高いというのが俺の意見だ。

今回のイラク一周で俺はアメリカやイラクの兵士らを状況の違ったあちこちの土地で訪問した。そして俺が見て、聞いて、臭いを嗅いだことのほとんどはどの特定の報告にも含まれていない。だがそれらに加えて背景になる山のような事実が形付けられる文脈のなか、俺はある程度の専門家として語ることが出来る。ほんのちょっとだが。もし士気がおちれば俺が最初に知る。兵士らが感じ取る以前に俺にはそれが解る。 そしてもし士気がおちてきたら、俺はそのように書く。

さてもうひとりの従軍ジャーナリスト、ビル・ロジオは今週のイラク状況について、イラク・アメリカ連合軍はサドルシティへの警備強化を先週に続いて行っていると報告している。 サドルは先日イラク内のカバラからと称してビデオ演説放送をしたが、地元のイラク人の話だとサドルがいれば周りに知れ渡らないはずがないとし、サドルはいまもイランの革命防衛軍に守られながらイランで潜伏中だというのがもっぱらの噂である。

サドルの勢力を弱めるため、イラク・アメリカ軍はマフディ軍への圧力を継続している。イラク特別陸軍隊は本日(3月10日)サドルシティにて「ジャイシュ・アル・マフディ」一部の数々のイラク市民の拉致や殺人に関与しているとされるはぐれ者連中に対して手入れをおこなった。彼らはまた路肩改良爆弾で国際連合軍やイラク軍を攻撃したという容疑もかかっている。手入れにより6人が拘束された。またアメリカ・イラク軍はフサイン・アル・アサディという「有力な司令官」が殺人軍団のメンバー数人と共に逮捕した。

マイケル・ヨンの報告にも、イラクで一番危険な場所検問所だとあったが、マイケル・ヨンの報告にも、イラクで一番危険な場所検問所だとあったが、ビル・ロジオも最近の自爆テロは検問で発見されたテロリストの最終手段で爆破されることが多いと書いている。

一方イラクのアルカエダはサドルシティを標的にし続け、去年イラクを蝕んだ宗派間争いを再燃させよう必死である。イラク陸軍兵は陸軍検問で自動車爆弾を止めたが、運転手は自爆した。爆破により10人が死亡43人が負傷した。最近のバグダッド内で三つの自爆テロがイラクと連合軍によって阻止されている。

どうやらテロリスト達は検問所の厳しい警備を抜けられなくなっているようだ。

おまけ

ブラックファイブというこれも元陸軍特別部隊兵が経営しているブログがアメリカ軍による空爆のビデオを掲載しているので紹介しておこう。対航空ロケット弾をうってくる車と、車から逃げて気の影に隠れるテロリストたちが吹っ飛ぶのがみられる。

March 11, 2007, 現時間 7:01 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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March 2, 2007

ブッシュのイラク新作戦-三週目の成績はまずまず

イラク関係

イラクにおけるブッシュの新作戦の経過を折々ご報告しているが、今回もそのシリーズを続けて行きたい。過去の関連記事は次の通り。イラク関係に興味のある方は右側の帯にあるカテゴリーからイラク関係を選んでいただければ、これまでの私のイラクに関するエントリーを読むことが出来るのでよろしく。

効果をあげるブッシュのイラク新作戦
イラクでの殺人減少の兆し、ブッシュ新作戦の効果か?

さて、この三週間のイラクでのイラク・アメリカ連合軍による警備活動は非常に大きな効果を挙げている。jules Crittendenがその総まとめをしているので、英語に自身のある方はそちらを読んでいただければ手っ取り早い. しかしそれでは私が日本語で書いている意味がないので、ここでそのいくつかをご紹介しておこう。

まずは三月一日付けロイターのこの記事によるとアンバー地区にてイラク軍は何十人ものテロリストを退治したとある。

バグダッド (ロイター) - イラク警備隊は水曜日、西アンバー地区の村を襲撃したアルカエダとの丸一日に渡る激しい戦いで、アルカエダの武装勢力を何十人と殺害したと警察当局は木曜日に発表した。

スンニの種族長たちによる同じスンニ派であるアルカエダとアンバー地区の統括を巡って勢力争いは激しくなるいっぽうだ。アンバーは膨大な砂漠地域でスンニアラブ反乱軍の本拠地である....

イラク内政省の報道官アブドゥール・カリム・カーラフ氏は地元民がアルカエダに反抗していたアミリヤットアルファルージャというアンバー地区の村での衝突でアフガニスンや他のアラブ人を含む外国人戦闘員を混ぜた武装勢力80名が殺され50名が拘束されたと発表した。

地元警察のアクメッド・アルファルージ氏は殺された武装勢力は70人で警察菅が三人殺されたと語っている。正確な数の確認はまだ出来ていない。

「あんまり多くの(テロリスト)が殺されたので、確実な死亡者数をお伝えできないのです」と警察はロイターに語った。

目撃者の話によると何十人というアルカエダのメンバーが村を襲撃したため、逃げた村民がイラク競売に助けを求めたことが警察とイラク兵士の動員となった。

この間から地元スンニイラク人と外国人テロリストであるアルカエダとの分裂が激しくなっているという話をここでも何度かしてきたが、スンニイラク人対スンニ外国人との戦いは今後ももっと激しくなると思われる。アルカエダがイラクで勢力を失ってきている証拠である。またイラク軍のお手柄にも拍手を送りたい。

昨日も産経新聞がバグダッドではシーア民兵を温存しているという批判的な記事が載ったのとは裏腹に、実際にはイラク・アメリカ軍の連合軍がシーア民兵マフディ軍の本拠地に徹底的な取り締まりを続けている。

サドルシティでは検問所をあちこちに設け、町の家々を一軒づつ捜索してまわる作戦が取られている。サドルシティ内部での厳しい取り締まり作戦はこれまでシーア派の政治家による反対が強く実施できないでいたが、今回はこれまでとは全く違った徹底したものになるという話である。

さて、問題のバグダッド市内だが、バグダッドはあまりにも静かなため、いつもイラク反戦の主流メディアですら静かだというニュースしか報道できないでいりう。jules Crittendenはそれ自体良いニュースに違いないとして、これまでイラク戦争についていい話しなどめったに書いたことがないAPの記事を紹介している。

バグダッド-(AP) バグダッドは木曜日、ここ数ヶ月において一番暴力事件の少ない日を経験した。二つの爆発で一人が死亡したと報告されている。

アメリカ・イラク連合のバグダッド警向上作戦三週目にしてバグダッドは比較的暴力の少ない日を迎えた。ブッシュ大統領は首都において個々の家々を回って捜索し民兵の非武装化にあたる警備に17,500人の米兵をあてがるよう命令した。

米軍は月曜日路肩爆弾の数も警備作戦が始まってから20%減ったと発表した。また、宗派間の殺人件数もここ一年間で最低の数になったという。

昨日ミスター苺がローカルニュースをテレビで観ていたら、イラクに関しては悪いニュースしか報道しないローカルニュースですらも、ブッシュの新作戦を評価する報道をしていたという。「増派といわずに警備作戦と呼ぶようになったみたいだ。」とミスター苺。そういえば、ロイターでもAPでも「増派」という言葉が聞かれなくなった。

無論アルカエダは今後もあの手この手で攻めてくるに違いない。自動車爆弾テロは成功すれば50人~60人といっぺんに殺すことが出来るので、まだまだ油断は許されない。だが、今のところ新作戦の成績はまずまずといったところだろう。

March 2, 2007, 現時間 11:56 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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イラク掃蕩作戦に悲観的な産経新聞

イラク関係 , 狂ったメディア

同じ状況をみていてもこれだけ見解の差があるのかという記事を読んだので、ちょっとコメントしたい。産経といえど主流メディアであることに変わりはないし、何とかブッシュの新作戦のあら捜しがしたいようだ。

「掃討作戦」開始から2週間 シーア派、民兵温存と題して村上大介記者はイラクでの掃蕩は殺人の数なども減り、一見うまくいっているかのように見えるが、これはサドルとマリキ首相が事前に打ち合わせておいた「一時的潜伏」作戦の結果であり、アメリカの作戦がうまく言っているという意味ではないとしている。

イラクのイスラム教シーア派民兵組織とスンニ派武装勢力を標的とした駐留米軍とイラク治安部隊の大規模掃討作戦開始から2週間たった。最大の目標とされていた宗派抗争による無差別殺人は激減したものの、これは宗派殺人の中心となっていたシーア派民兵が事前に潜伏したためだ。シーア派側にうまくかわされた形の今回の作戦では、宗派抗争の実行部隊は温存される一方、スンニ派武装勢力の仕業とみられるテロも続いている。...

汎アラブ紙アルハヤートなどによると、サドル師は、マリキ首相の密使として派遣されたジャアファリ元首相(シーア派)との会談で「マフディー軍潜伏」を決断したという。「掃討作戦の対象はシーア派、スンニ派を問わない」との公式な立場を取るマリキ首相も、マフディー軍の「一時的潜伏」により大規模掃討作戦の目標の半分が、実質的に空振りに終わることを、暗黙のうちに認めていることになる。

 イラクの多数派として政府、議会の主導権を握るシーア派勢力にとって、コミュニティー内部の権力闘争や思惑の食い違いはある。しかし、米軍の段階的撤退が視野に入ってきた現状で、その後も“シーア派覇権”を維持するために独自の軍事力の温存は宗派全体としての中・長期的な“戦略的利益”にかなう。

敵が攻めてくると、さあ~と退いて身の潜め、敵がいなくなったら再び浮上するというやり方は、アラブ人特有の戦闘方法である。 アラブ戦闘員はおよそ踏ん張って守りの戦をするということをしない。このやり方は相手の数が少なく侵攻した領土を相手側が守るだけの人員が足りない場合には成功する。だが、一旦明け渡した領土に敵が居座ってしまったらどうなるのか。以前にもサドルの計算違いで書いたようにサドルはアメリカ軍2万1千の増派の意味をきちんと把握していないように思う。

サドルはこの機を利用して自分が気に入らなかった部下を連合軍に売り渡したりしているが、拘束されていつまでも釈放されずにいるマフディ軍の連中がサドルの裏切り行為を悟るのは時間の問題だ。そうなったとき、彼らは自分らの知っている情報をアメリカ軍にどんどんしゃべり始める可能性がある。どこで路肩爆弾を製作しているとか、どこにアジトが集中してるとか、イランとどのように連絡を取っているとか、エトセトラ、エトセトラ。

また、カカシが予測した次のような可能性も考えていただきたい。

最後にここが一番の問題だが、アルカエダの勢力は昔に比べたら大幅に衰えている。シーア派民兵が抵抗しなければバグダッドの治安はあっという間に安定する。つまり、サドルの思惑はどうでも傍目にはブッシュの新作戦が大成功をしたように見えるのである。アメリカ議会が新作戦に反対しているのはこの作戦が失敗すると思っているからで、失敗した作戦に加担したと投票者に思われるのを恐れた臆病者議員たちが騒いでいるに過ぎない。だが、新作戦が大成功となったなら、奴らは手のひらを返したようにブッシュにこびへつらうだろう。そして勝ってる戦争なら予算を削ったりなど出来なくなる。そんなことをすればそれこそアメリカ市民の怒りを買うからだ。

結果アメリカ軍は早期撤退どころか、イラクが完全に自治ができるまで長々と居座ることになるだろう。

しかし産経新聞はアルカエダとの戦いもそう簡単にはいかないと悲観的である。

米軍とイラク治安部隊は、自動車爆弾の取り締まりに力を入れ、バグダッド市内の通行が不自由になっている。このため、米軍は、武装勢力側が従来以上に「自爆テロ」の手法を多用してくると予測しており、スンニ派武装勢力に限っても、掃討作戦成功へのカギはみえていないのが現状だ。

「掃討作戦成功のカギはみえていない」などと断言できるのは村上大介記者に想像力が無いからである。村上記者自身がイラクでの自爆テロは20%ほど減っていると書いている。これはいったい何が原因だと村上記者は考えるのか。まさかアルカエダまでが潜伏作戦を取っているわけではあるまい。

では何故アルカエダからの攻撃が減っているのか。その理由は簡単だ。イラク・アメリカ軍の対応が向上し、多くのテロが未然に防げるようになったからである。確かにアルカエダの連中はこれからも新しい方法でアメリカ軍やイラク人を攻撃してくるだろう。だがこれまでにも敵の動きにあわせて順応してきた連合軍が、これからも敵の作戦変更に順応できないという理由はない。それを全く考慮にいれずに作戦成功へのカギがみえていない」などとよく言えたものだ。

成功している作戦ですらここまでこき下ろす主流メディア。イラク新作戦の成功は文章の行間から読まなければならないようである。

March 2, 2007, 現時間 12:30 AM | コメント (1) | トラックバック (1)

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February 28, 2007

イラクでの殺人減少の兆し、ブッシュ新作戦の効果か?

イラク関係

本日イラク・アメリカ連合軍はいよいよシーア派民兵の本拠地であるサドルシティに攻め入った。この攻撃を報道したAPの記事には大事な点がかなりぼやけて表現されているので、ここで分かりやすく大事な箇所を青文字 で表して分かりやすく説明してみよう。(ミスター苺の分析を拝借した。)

  • アメリカ・イラク連合の特別部隊はサドルシティでの手入れにおいて16人の逮捕した。家族たちは彼等は無実だと主張している。警備作戦サドルシティ奥深くに侵入する。
  • イラク警察は昨日シーア派のアデル・アブドゥール・マフディ副大統領を殺そうとした容疑者を逮捕した。イラク警察は高度な捜索の技術を身に付けはじめている。
  • 警備作戦の始まりで暴力沙汰が不足しているのか、24時間でAPが見つけることが出来た死体はたったの28体。イラク・アメリカ連合軍による警備作戦によって殺人件数は減少の傾向をたどっている。

ここで注目すべきなのは作戦開始の前までは犠牲者の数は 一日100人だったのに作戦開始後は20-30人に減ったことだ。.

さらに今日のAPニュースでは、自動車爆弾や自爆テロなどによる犠牲者はまだ出ているが、シーア派得意の暗殺形殺人が極端に減っているという。

爆弾テロは減っていない。火曜日にはバグダッド近郊ですくなくとも10人が殺された。しかし、警備作戦の成功はしたい安置所で計ることができる。それは体中に民兵の犠牲となり体中に銃弾を打ち込まれた遺体が首都の町中で発見される例が急激に減っていることである。

バグダッドにおいて今月発見された遺体のなかで射殺され拷問の痕のあるものは一月の954体から494体へと50%近く減っている。APの収集した資料によれば去年の12月にはその数は1222体だった。

「過去三週間に渡って減少が見られます。非常に激しい減り方です。」とイラク、アメリカ軍司令官のナンバー2にあたるRay Odierno中将は語った。

多くのスンニは殺人のほとんどがマフディ軍のようなシーア民兵かシーア警察官の一部にいるならず者のしわざだと長いこと主張してきた。

まだアメリカ軍の増派は20%程度しか完成していないにも関わらず、戦闘規則を変えただけでこうも効果があがるとは驚きだ。この調子なら増派二万一千兵の動員が完了する頃にはバグダッドは結構平定されているかもしれない。まだ作戦が始まって二週間も立っていないのに、反戦主義のAPですらアメリカ軍の手柄話を報道せざる終えなくなったとすると、この作戦、イラクでも気の短いアメリカ国内でも成功する可能性が高まった。

February 28, 2007, 現時間 4:12 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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February 27, 2007

ブッシュ新作戦が生み出したそれぞれの思惑

アメリカ内政 , イラク関係

さっきホットエアを読んでいたら、これまでカカシが書いてきたことをうまくまとめているのでそれを参考に私自身の考えもまとめてみよう。ブッシュの新作戦はまだ2週間もたっていないというのに、イラクの各勢力やアメリカ国内で様々な波紋をよんでいる。

1. シーア対シーア

私はシーア派への連続爆弾攻撃はサドルの仕業? まさかねでサドルが、自分の支持するダワ党のライバル党であるイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)の有力者アデル・アブドゥール・マフディ副大統領を暗殺しようとしたのではないかと書いたが、サドルが抹殺しようとしているのはライバル党の政治家だけでなく、自分に忠実でないと思われるマフディ内部の幹部もその対象になっているようだ。

ご存じのようにサドルはイランあたりに隠れて影からイラクのマフディ軍に命令を下しているが、サドルは密かに信用できる幹部はイランなどの避難させ、気に入らない部下を連合軍に売り渡しているらしい。このやり方でサドルはすでに40人以上のマフディ幹部を中和してしまったという。

このようなサドルの対応はイランへの警告の意味もあったらしい。それというのもイランはサドルを通過してサドルの部下に直接援助をしていることが分かってきたからである。イランにとってはイラクが混乱状態にあればいいのであって、サドルなどいずれは用済みになる存在である。イラク・アメリカ連合軍による警備強化でサドルが我が身可愛さに戦わないのであれば、イランはサドルなどに構わずサドルに取って代わろうという野心家に手を貸して連合軍への抵抗を計ることも出来るというわけだ。

またイランが手を貸しているのはマフディ軍だけではない。サドルほどは親密でないとはいえ、ライバル等のSCIRIのなかにも反米でイランと通じている人間が何人かいる。マフディがだめならSCIRIがあるさ、、てなもんである。

サドルの、ほとぼりが冷めるまで大人しくしているという作戦は、案外裏目に出るかもしれない。(ついでにサドルがイランで暗殺でもされれば非常に都合がいいのだが、そうはうまくいかないだろうな。)

2. スンニ対スンニ

バグダッドでの増派が新聞の見出しを独占しているなか、4000の海兵隊員はアルカエダの影響力が強い西部のアンバー地区掃蕩に向かっている。スンニ反乱軍のグランドゼロであるラマディでの戦いは4月になるだろう。ペトラエウス将軍はサダムバース党の元将軍たちを戦闘に起用するつもりらしい。多くのスンニが「スンニを守る」はずのアルカエダを完全に、そして極度に憎むようになってきているおかげで、この作戦はうまくいくかもしれない。--ホットエア--

昨日もアルカエダに反抗的なスンニ派イラク人がアルカエダの自動車爆弾によって大量に殺されたという話をアルカエダ、スンニ派への攻撃激化の持つ意味でしたばかりだが、スンニの間でも強行派の外国人テロリストとバース党残党との間で亀裂がどんどん深まっている。アルカエダが暴力によってスンニ派の寝返りを防ごうとしてるなら、スンニ派は忠誠心よりもアメリカが後押しをしているイラク政府側につくのとアルカエダにつくのとどちらが自分達にとって有益かという選択をするだろう。やたらにスンニのモスクをふっ飛ばして信者たちを大量殺害しているようでは、アルカエダもスンニ派の支持を保つのは難かしいのではないだろうか?

3. 民主党対民主党

マーサ議員の馬鹿げた決議案のおかげで、民主党でもブルードッグと呼ばれる鷹派とムーブオンと呼ばれる反戦左翼との間で大きく亀裂が生まれている。

マーサ議員の失態で、先の選挙で多数派になったとはいえ民主党は党としての方針が統一されておらず、イラク政策についても全くまとまりがついていないことが顕著となってしまった。

お気に入りのマーサ議員の失態はペロシ議長でも弁護しきれないほどひどかった。マーサ議員をずっと押してきた彼女としてはかなりきつい立場に立たされたことになる。

ところで反戦左翼に押され気味の民主党は気をつけないと上院で多数議席を失う可能性が出てきた。鷹派の民主党議員として出馬し反戦左翼の陰謀で民主党候補の座を追われ無所属として立候補して見事当選したジョー・リーバーマン上院議員は、もし民主党の議会が戦費を拒否するようなことになれば今後は共和党と共に投票すると宣言しているからだ。そうなれば上院議会は一票差で共和党が多数派としてひっくりかえる。

それもまたおもしろいかも。

February 27, 2007, 現時間 12:50 PM | コメント (1) | トラックバック (2)

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February 26, 2007

シーア派への連続爆弾攻撃はサドルの仕業? まさかね

イラク関係

The English version of this entry can be read here.

今日はミスター苺のエントリーをそのまま紹介しよう。以下Big Lizards.net/blogより。

***********

ちょっとここ数日偶然にしては出来過ぎている事件がいくつも起きているので、ここでちょっと気になる点をあげてみた。

  1. モクタダ・サドルがイラク作戦変更と同時にイランへ遁走。
  2. サドルはマフディ愚連隊の仲間たちにもすみやかにイランへ避難しろと命令。あっと言う間にマフディ軍の姿はイラクから消えてしまった。
  3. 安全な場所からサドルはイラクに残っているマフディ軍のメンバーにほとぼりがさめるまで抵抗せずにじっとしてろと命令した。
  4. マフディ軍が街から姿を消したのと同時に、偶然にも大掛かりな自動車爆弾がシーア派居住地区で続けて爆発。しかも一つはシーア派の副大統領アデル・アブドゥール・マフディ氏の暗殺を狙ったものだった。
  5. サドルはすかさず「占領軍」が「スンニ」によるシーア攻撃をとめることが出来なかったと声明文を発表。「警備強化の真っ最中であるにも関わらず、我々は連続自動車爆弾によって我々の愛する罪のない市民が何千人と殺されるのを目の当たりにしている。」

    (無論この何千なんてのは大げさで、犠牲者の数は100人未満だろう。それに警備強化は真っ最中どころかまだはじまって二週間もたっていない。アメリカからの援軍もまだ予定の20%程度しかイラクに入国していない。こんな言い方はしたくないが、サドルはちょっと数字に弱いんじゃないだろうか?)

  6. 最後にブッシュの新しい作戦は完全に失敗だという見解が、サドルもイランもそしてアメリカメディアも全員で一致している。まだ計画のほんの一部しか実行されていないというのに!

このAP記事の巧みな結論に注目されたし。

サドルの声明文は、少なくとも42人が殺されたシーア派専門学校での爆発事件とほぼ時を同じくしてバグダッドにいるサドルの助手によって発表された。アル・サドルの手厳しい言語をつかった声明は今後の警備が難かしくなることの深刻さを示している。

ちょっと一歩下がって全体像を見てみよう。新作戦の前まで一般にいわれてきたことは、スンニとシーアのテロリストによって毎日平均100人のイラク人が殺されていたということだ。ブッシュの新作戦が始まって12日、この計算でいくと1200人のイラク人が殺されていなければならないはずだ。しかし1200人はおろか250人も殺されていない。ということは新作戦が始まってイラクでの死者の数は 80%も減ったことになる!新作戦が大成功だとは言わないが、少なくとも民主党がブッシュ大統領の政策をことあるごとに「無惨な大失敗」 とけなしているほど悪い結果ではない。

しかし昨日も今日もシーア地区で、あたかもサドルが予期したアメリカ軍による警備強化は大失敗するという事実を裏付けるかのように自動車爆弾が爆発した。マフディ軍なくしてシーアは安心できないというサドルの声明文が読まれたのと、まるで打ち合わせでもしたかのようにちょうどいいタイミングだった。

サドルはよっぽど運がいいのか、それともお〜? もしかして〜? ん? 僕の考え過ぎ?自動車爆弾を爆破できるのはスンニテロリストだけとは限らないからね〜。

もっともシーア派への自動車爆弾攻撃がサドルの仕業だなんてことを言うのは邪推というものだろう。まさかいくらサドルでも自分の政治勢力を有利にするために同族のシーアを殺すなんてことはしないだろう。いくらそれがアメリカ軍を追い出す結果になるからといって、いくらなんでもサドルにだって多少の愛国心はあるだろうし、、、

それにサドルがシーア派の副大統領を暗殺しようとしたりするだろうか? スンニ派の副大統領もいるというのに。アブドゥール・マフディはサドルにとっても仲間のはず, だよね?

いや...それがそうでもないんだなこれが。ウィキペディアによると アデル・アブドゥール・マフディ(Adel Abdul Mahdi)はSCIRIのメンバーである。首相の ノーリ・アル・マリキ(Nouri al-Maliki)はサドルの強い味方と噂されている。(口の悪いひとはマリキは、自分がイランの飼い犬であるサドルの、そのまた操り人形だとさえ言う。)そのマリキはダワ党の人間。

SCIRI とダワは宿敵だ。同じシーア派の支持を得ているとはいえ憎みあってるライバル政党なのである。しかもSCIRIはダワ党よりも強力でサドルにしてみれば邪魔な存在。

アブデル・マフディは長年隣国のイランに基盤をおいていた強力なシーア党であるイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)のリーダーで、アメリカ政府の政策には反対していたがクルドやイラク全国議会(Iraqi National Congress)を含むアメリカが支援しているサダム・フセインに対抗するほかのグループとは強いつながりがある。

現在サドルはダワを通じてイラク政府をコントロールしようとしてるわけだが、暗殺されそうになった副大統領はダワのライバル政党のSCIRIのリーダー。-- ただの偶然かなあ?.

これらシーア派への連続テロ行為がスンニテロリストの仕業だという証拠はまだ確定されてない。第一爆弾積んだスンニのトラックがシーア派市民が目をこらして見張っているシーア居住区に簡単に入り込めるというのも変な話だ。

でももちろん僕はこれがサドルの自作自演だなんていう気は毛頭ないよ。いくらサドルがイランの息がかかってるからってそんなことがあるはずないよな。トム・クランシーの読み過ぎかな?

February 26, 2007, 現時間 6:10 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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イラク増派阻止議案で大失敗、マーサ議員赤恥を掻く

アメリカ内政 , イラク関係

下院でイラク増派反対という拘束力はないが抗議としては意味のある決議案を通すことが出来民主党は気を良くしていた。この議決が上院でも通り国民の支持を得られれば、それを踏み台にこの次はいよいよ拘束力のあるイラク戦費停止議案も通せるかもしれないと意欲を燃やしていた。

しかし翌日の上院議会では可決に必要な賛成票を60票を集めることができず採決にすらもちこめずに議案は果てた。上院議会で可決できなかったことだけでなく民主党にはもうひとつ問題が生じた。

下院議会が反増派議案を通す直前、海兵隊出身で退役軍人としても申し分ない肩書きのあるジョン・マーサ議員がある議案を提案したのである。これはアメリカ兵が出動されるにあたって十分な休息期間をとっていなければならないとか、武器の安全性を確かめてからでなくてはならぬとか、一見アメリカ兵たちの身を守るかに見える提案だった。

民主党にとっては決して悪い議案とも思えないのだが、何故か民主党からは支持を得ていない。それどころか発案者のマーサ議員から距離を置こうとする動きさえ出ているのだ。そのことについてワシントンポストが詳しくかいている

民主党の新人ジョー・セスタック下院議員は退役海軍大将でイラク戦争反対派として政治力を得たひとだが、セスタック議員はマーサ議員の案はまだ救える部分もあるとしながら、反戦家として声高の議員もマーサ議員の軍隊の作戦に干渉する提案は「ちょっと不安」だと語る。「私はつい最近まで軍隊にいた身ですから、その経験から言わせてもらいます。」

どうもマーサ議員の独断的な行動は民主党内部でも問題なようだ。例えばマーサ議員はこの議案についてもほかの民主党議員達と、きちんと話あった上での発表ではなかったようだし、彼主催の反戦ウェッブサイトをはじめるにあたっても下院議長のペロシ女史にすら話しを通していなかったというのである。

マーサ議員の議案は実際には戦闘員の準備状態や武器の安全性など理不尽な条件をつけて大統領がいちいち議会にお伺いをたてないと軍隊が出動できないようにするという裏口から増派阻止をするという提案だったため、共和党からは戦費を削り取ろうとする陰謀だと激しい攻撃を受けている。にも関わらず民主党からマーサ案を弁護する声は全く聞かれない。

マーサ議員を援助してウェッブページをはじめた元下院議員で反戦運動家のトム・アンドリュース氏は激怒している。「問題は民主党にはどれだけ根性があるのかってことですよ。共和党がいくつもタッチダウンのパスをやってるというのに、民主党はフィールドにすら出てないんですから。」

それに間抜けなことに、マーサ議員はこの案の本当の目的がブッシュ大統領のイラク増派だけではなく、ブッシュ大統領の外交政策をことごとく阻止することにあるとべらべらウェッブサイトのインタビューでしゃべってしまったので、「軍隊を支持する」と主張してきたペロシ議長の足を踏み付ける結果となったのである。

民主党は全体的にイラク戦争には反対とはいうものの、必ずしも戦争をどう終わらせるかという点では意見が一致していない。

退役軍人やイラク帰還兵からなる議員たちの間では、動員されている軍隊の作戦に支障を来すような戦費差し止めは好ましくないという意見があるし、即刻撤退を望む左翼側は戦費を差しとめるなら差しとめるでさっさとやれ、とマーサの遠回しなやり方には多いに不満がある。

マーサ議員の勝手な一人歩きが民主党の間に深い亀裂をもたらしたようである。

February 26, 2007, 現時間 3:41 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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February 24, 2007

アルカエダ、スンニ派への攻撃激化の持つ意味

イラク関係

24日、バグダッド近郊のある聖廟でトラック爆弾が爆発し35人が死亡、60人が負傷するという事件があった。バグダッドで自動車爆弾が爆発したというニュースを聞いても、またか、と思われる方も多いだろうが、明らかにアルカエダの仕業と思われるこのテロの標的がスンニイラク人であることが興味深い。

外国人勢力であるアルカエダと地元抵抗勢力だったスンニイラク人とは、フセイン政権崩壊後米国及び同盟軍をイラクから追い出すという目的で当初は協力関係にあった。だが地元イラク人を卑下しているサウジ・ヨルダン系の外国人勢力とイラク人との間では最初からかなりの亀裂があった。特にザルカーウィのシーア派に対する残虐な行為は同じイラク人であるスンニ派イラク人からかなりの反感を買った。

すでに2004年の暮れあたりから外国人勢力に嫌気がさしたスンニ派部族のリーダー達が内々にではあるがアメリカ軍と和平交渉をおこなってきたことをご存じの方も多いだろう。アメリカ軍の新作戦が始まりテロリストへの取り締まりがより厳しくなるにつけ、無駄な抵抗は止めて安定したイラク政府を求めるスンニイラク人と、なんとしてでもイラクの混乱状態を保ちたいアルカエダ勢力との間の亀裂がさらに深まったものと思われる。

(攻撃を受けた)バグダッドから50マイルほど西にあるハバニヤーの聖廟のイマームはアメリカに支援されているイラク政府へのアルカエダを含めた武装勢力の攻撃に反対していた。

すくなくとも35人が殺され62人が負傷したと、ハバニヤーのアブドゥール・アズィズ・モハメッド少尉は語った。ハバニヤーは反乱軍の温床であるラマディとファルージャの中間に位置する。

犯行を認める宣言はまだ誰もしていないが、バグダッドの西にあるアンバー地区のスンニ同士の争いだという疑いが強い。武装勢力は最近政府を支持し暴力に抗議するスンニリーダーたちへの攻撃を強めている。

このようなテロ事件が相次ぐことで注意をしてみていないとイラクは混乱がさらに深まっているような印象を受ける。だが、アルカエダによるスンニイラク人への攻撃が増えているということは、それだけ反乱軍内部でのまとまりがつかなくなっているということを意味する。これがあともう少しで勝利をつかもうという勢力の行動だろうか? 長期に渡る戦争に疲れてきたのはアメリカ市民だけではないのだ。

アメリカのメディアも含め世界中のメディアはほとんど報道していないが、イラクではアメリカ兵ひとりが戦死するにあたり、その10〜20倍のテロリストが殺されているのである。アメリカ市民がアメリカ軍の犠牲で士気が弱まるのであれば、その十何倍の犠牲を出している敵側の士気消失も過小評価すべきではない。

スンニイラク人の立場に立って考えてみれば、これ以上の抵抗に何の意味があるというのだろう?フセインは処刑されてしまった。戦争によるバース党の再興は先ず望めない。外国からの助っ人は次から次に殺されてしまう。にも関わらず新イラク政府はくずれそうもない。アメリカメディアやアルカエダが繰り返しアメリカ軍は臆病者だからちょっと踏んばれば逃げ出すと繰り返しているにも関わらず、そんな気配は全くない。民主党が選挙で勝ったらアメリカ軍は退散すると聞いていたのに、アメリカ軍は撤退するどころか増派計画を進めている。いったいこんな戦いが何時まで続くのだろう? かといって自分達は外国人テロリストのように自爆する気などさらさらないし、「おい、もう駄目なんじゃねえのかこの抵抗ってやつさあ、この辺が潮時じゃねのかあ?」と考えているスンニ派も多いのではないだろうか?

またこのテロ攻撃がバグダッド市内で起きたことではないということにも注目すべきである。ファルージャ地域、特にアンバーはアルカエダテロ軍団の本拠地であるはずだ。自分達の本拠地で自分らへの犯行分子を処罰するような行為に出ているアルカエダの状態を考えてみよう。

イラクでテロがあったというニュースを聞いて、『アメリカの新作戦はうまくいっていない、イラクはこれまで以上に荒れている』と判断する前にテロ攻撃は何処で起きて誰が誰にやっているのか考える必要がある。

私はこれはアメリカの新作戦がうまくいっていて、アルカエダが追いつめられている証拠だと考えるが、みなさんはどうお考えだろうか?

February 24, 2007, 現時間 5:27 PM | コメント (2) | トラックバック (1)

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February 23, 2007

アメリカ軍がイラクで戦う意義

イラク関係

先日カカシはイラク戦争に勝つのは重要で70%近くのアメリカ人がイラク戦争に勝つことは重要であると考えていると書いたことに関して、いったいイラクで勝つとはどういうことなのか、という質問がアセアンさんからあった。それについてアセアンさんはご自分のブログで穏健派?タカ派?という題名で書いておられるのでこれについてちょっと返答してみよう。

軍隊は外交交渉が潰えた後に出番が回ってくる的な言説もある訳ですが、それをそのまま使用するならば現在のイラクの状況は「話し合い」という手段が尽きてしまった為に「軍隊」という武力組織が登場していることになります。

つまり、相手を脅しつけようとして”手を振り上げた”状態ではなく、「既に相手をぶん殴ってしまった状態」な訳です・・・そのぶん殴られた相手とはフセイン大統領であり、彼の政権、体制だったのですから、そういう意味ではブッシュ大統領が既に発表しているように「軍事的な勝敗は決した!(=米国が勝利した)」のは間違いがないと考えます。(結論を言うと、一旦、行使してしまった軍事力はその強弱に関係なく、最後迄使い切るしか終結させることは非常に難しい、が故にその行使の判断には重大な責任があり、抜いたからには重大な覚悟が必要だ!っということですが・・・

 問題はその後の「占領政策」にあったのは事実です(ラムズフェルドなんかは、実はその辺り迄は深く考えていなかったのではないか?という雰囲気ですが)。フセイン政権を打倒する為の”懲罰的攻撃”は米国流の理屈からすると「祖国(米国)を護る為の戦い」だったとは思いますがその後の地上軍(州兵を主体とした)の侵攻から彼らの活動(治安維持活動という名称が示すように)の全ては、新生イラク国民を”敵”とは認識することではなく、それこそ平安な生活をイラク国民へ取り戻すことを目的としていたはずです。

現在のイラクで米軍は一体何と戦っているのか?それは何の為なのか?が(多分)一般的な米国民も、共和党も民主党も実は良く分からなくなっているのではないか?っと思えて仕方が無い。 (強調はカカシ)

 上記でも書いたように「米国本土の安全保障の為」という理屈は、タリバン政権とフセイン政権を崩壊させた時点で決着が付いている訳です(報復攻撃、懲罰的攻撃という意味ですが)。

先ずブッシュ大統領はフセイン政権を倒した直後、イラク戦争に勝利したとは言っていない。何度も言うがブッシュ大統領がバカだと思っているひとたちはブッシュが不注意な言葉使いをしていると思う傾向があるが、反ブッシュ派が考えるのとは裏腹にブッシュ大統領は言葉を非常に選んで使うひとなのである。ブッシュ大統領は「主な戦闘は終了した」とは言ったが、あえて「勝利した」とは言わなかった。なぜならブッシュ大統領はイラク復興はそう簡単にはいかないだろうと最初から予期していたからである。ブッシュはそれがどのくらい難かしい作業であるかという計算違いはしたかもしれないが、イラク国内の反乱軍や外国からイラクに潜入してくるテロリストたちと激しい戦いが長期にわたって続くことは考慮に入れていた。それはラムスフェルド防衛長官にしても同じである。

だからイラクに外国人テロリストが集まる可能性について問われたとき、ブッシュ大統領は「Bring it on! (どんとこい!)」と答えたのだ。またラムスフェルド長官もアメリカ国内で戦争をするのではなく、戦争を敵側の陣地にもっていくのだと語っていた。

つまり、イラク戦争はテロリストによるアメリカ国内への攻撃を防ぐために必要不可欠な戦争なのだとブッシュ政権は言いたかったのである。しかし、ブッシュ大統領もラムスフェルドもイラク戦争が対テロ戦争の一貫なのだということをアメリカ国民に充分に説明できていないというのは事実である。私がブッシュ大統領に対して持っている不満があるとしたら、一重にこの「説明不足」にある。

アメリカがイラクで戦っている最終的な目的はイラクの治安維持でも民主化でもない。イラクの治安維持や民主化はアメリカの最終目的を達成するためのひとつの手段に過ぎないのである。アメリカのイラク戦争は対テロ戦争の一部なのだ。アメリカ軍はアメリカをテロ攻撃の脅威から守るために戦っているのである。イラク市民には気の毒だが、イラクはそのための最前線となってしまったのである。

しかしイラクでアメリカ軍がアルカエダのような外国人テロリストと戦うことは対テロ戦争だと言えるかもしれないが、何故イラク人であるスンニ反乱軍やシーア民兵を戦うことが対テロ戦争の一部だと言えるのか不思議に思われるひともあるだろう。

アメリカがアフガニスタンと戦争をしたのも、フセイン政権を倒したのも、911が原因ではあるが、911への報復が理由ではない。ブッシュ大統領はアフガニスタンを攻撃する際に、アメリカは今後一切テロリストもテロリストを擁護する政権も許さないと宣言した。我々と共にテロリストと戦わないのならテロリストの味方をすることになる、とも言った。

アフガニスタンのタリバンが攻撃されたのはアルカエダというテロ組織とその首領のオサマ・ビンラデンを匿っていたからだし、フセインが攻撃されたのもフセイン政権がアルカエダやハマスなどのイスラム教過激派を支援していたことが原因だ。だからイラクにフセイン政権がなくなったとはいえ、戦後の動乱でイラクがテロリストの温床となってしまうのであればイラク戦争の意味が全く失くなってしまうのである。アメリカ軍がスンニ反乱軍やシーア民兵と戦う理由は、これらの勢力が生み出す混乱を利用してイスラム教テロリストがイラクで繁栄してしまうのを防ぐことにある。イラクが民主化することによってテロリストの温床を拒絶するのが最終的な目的なのだ。

ブッシュ大統領がそのことを国民が納得できるほどきちんと説明していないので、イラクでいった何が起きているのか、アメリカは何をやっているのか、理解できていないアメリカ人が多いのではないかと思っていたのだが、今日パワーラインで発表された世論調査を読んでちょっと元気つけられた。

パブリックストラテジーによって行われた世論調査によると、57%のアメリカ人が「イラク戦争は国際的なテロ戦争として大事な鍵を握っている」と答えたという。また57%が「イラクでの任務を完了することを支持し、イラク政府がイラク市民のために警備維持をすることができるまでアメリカ軍を駐留させるべき」だと答えた。

さらに56%が「ブッシュの政策には心配な点も多くあるが、戦争中である以上アメリカ人は大統領のを後ろから支えるべきだ」と答えた。また53%が「民主党が大統領にイラクから塀を撤退させようと押しているのは行き過ぎであり時期早尚である」としている。

また同じ調査において60%がイラクは多分安定した民主主義にはならないだろうと予測し、60%がブッシュの仕事ぶりには不満であると答えている。しかしながら民主党とは違って回答者たちはこれらの問題とイラクにおいてどのように前進すべきかということは区別して考えているようだ。

もっともこの世論調査の対象となったのは大学出で40歳以上の大人がほとんどだったことが結論に偏った影響を与えていると考えられるため、この世論調査のみでアメリカ市民のほとんどがイラク戦争の意義をよく理解していると解釈するのはちょっと乱暴だろう。しかしアメリカの中年世代がカカシと同じように考えてくれていると知ったことは心強い。

February 23, 2007, 現時間 3:14 AM | コメント (1) | トラックバック (0)

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February 22, 2007

アメリカ、イラン空爆までの二つの条件

イラク関係 , イランが危ない , イランをどうするか

20日付けのニュースだがBBC放送がアメリカはいよいよイランを空爆するらしいと報道した。

米、イラン空爆計画を策定か=核・軍施設が攻撃対象に−BBC

2月20日15時0分配信 時事通信

 英BBC放送(電子版)は20日、米国がイランを空爆する非常事態計画を策定しており、空爆に踏み切った場合、標的は核関連施設にとどまらず、大半の軍事施設も攻撃対象になると報じた。軍事施設には、空軍と海軍の基地をはじめ、ミサイル関連施設や各種司令部も含まれる。
 外交筋によると、米フロリダ州にある中央軍司令部では既に、イラン国内の攻撃目標の選定を終えている。核施設には中部ナタンツのウラン濃縮施設や、同じく中部のイスファハン、アラク、南部ブシェールの関連施設も含まれる。
 一方、実際に攻撃開始となるには2つの状況が考えられ、1つはイランが核兵器を開発していると確認された場合。もう1つは、イラク駐留米軍が攻撃を受け、攻撃へのイランの関与が分かった場合とされる

このブログを愛読されている方々にはこの報道はニュースでもなんでもない。それどころか何を今さら、といったところだろう。しかしここで米国がイランを攻撃する状況として上げられている二つの条件には笑ってしまう。こんな条件はいつでも満たされるではないか。

先ず一つ目『1つはイランが核兵器を開発していると確認された場合』だが、IAEAの報告によればこの条件は早くも満たされているといえる。22日に提出された国際原子力機関(IAEA)の報告でははイランが国連安保理の決議を無視して濃縮活動を拡大させているとしている。以下読売新聞より。

報告によると、イランは昨年12月23日の安保理決議採択から60日間の「猶予期間」中も、中部ナタンツの地上施設で遠心分離器164個を連結した濃縮装置「カスケード」を運転し、低濃縮ウラン生産を続行。これまでに注入した濃縮ウラン原料の量は66キロ・グラムに達した。

報告によると、イランが産業規模を目指すナタンツの地下施設では、新たに遠心分離器164個で構成するカスケード2系列の設置を完了し、回転試験に着手。さらに2系列のカスケードも近く完成する。

となれば二つ目の条件「イラク駐留米軍が攻撃を受け、攻撃へのイランの関与が分かった場合」にかかってくるわけだが、アメリカ軍はすでにこの話をこの間から何度も繰り返している。先日もイラクでアメリカ軍によるイラン関与の証拠を陳列した報告会がひらかれたばかりだ。

アメリカがこんなすぐ満たされる、もしくはすでに満たされている、状況を戦争開始の条件とする理由はいったい何か? 英BBCの報道はアメリカの公式発表ではないが、これはアメリカがわざと流した情報なのではないかという説もある。このような報道をする一つの理由は無論イランへの牽制もあるわけだが、イランはアメリカの脅しなどあまり怖がっている様子はない。となればこれはイランへというより国連への警告だと言える。

ご存知のように現在国連安保理が行っている経済制裁は全く効き目のないものだ。だからもし国連がアメリカによるイラン攻撃を防ぎたいのであればもっと厳しい効果のある経済制裁を行えとアメリカは国連に促しているわけだ。

しかしイラクの時でもそうだったように、国連安保理の決議などあんまり当てにはならない。そうやってアメリカがイラン空爆を実際にはじめたら、国際社会は「イランが核開発をしていたという証拠は全くなかった、アメリカのつくりあげたでっちあげだ。」とまた騒ぐのであろうか?

February 22, 2007, 現時間 2:08 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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February 18, 2007

「イラク戦争に勝つのは重要」と七割のアメリカ国民、二月の世論調査

アメリカ内政 , イラク関係

民主党は昨年の選挙で民主党が圧勝したことで、アメリカ国民がイラク即撤退を望んでいると解釈し、ブッシュ大統領のイラク政策を何かと阻止しようと必死だが、今月行われたインベスターズ・デイリーの世論調査によると、七割近いアメリカ国民がイラクで勝つことは「非常に重要」もしくは「重要」と答えていることが分かった。

IBDの調査をまとめてみると、『イラクでアメリカが勝つことはどのくらい重要なことだと思うか』という質問に対して、42%が『非常に重要』とこたえ、24%『多少重要』と答えており、『あまり重要ではない』の17%と『全く重要ではない』の13%を大幅に上回った。またこの数字は去年の12月の調査に比べると『多少重要』と考えていた数が3%減りかわりに『非常に重要』の数が増えていることがわかる。

また、『アメリカのイラク政策が成功することにどのくらい期待しているか』という質問では、『非常に期待している』が35%(4%増)『多少期待している』が23%(8%減)『あまり期待していない』が21%(1%増)、『全く期待していない』が19%(2%増)となっており、期待している人が期待していない40%よりも18%も多いことが分かる。

これが党別の期待感になると、なんと80%の共和党支持者がイラク政策成功を期待していると答えているのである。(無所属は53%、民主党は43%)

こうしてみると、民主党が現在イラクに出動している軍隊の必要経費を削減したり補充戦費を拒否したりすれば、国民からかなり反感を買う恐れがある。また民主党と一緒になって援軍の出動に反対反対と決議案に投票している共和党議員は2008年の選挙で投票者からひどいしっぺ返しを受ける可能性が高まった。

私もミスター苺も、全国共和党委員会が裏切り者共和党議員に資金援助をするのであれば、党には一銭たりとも献金しないと決めた。献金はイラクに勝つ気のある議員の選挙運動に直接しようと昨晩話あったばかりである。

すでに、ロサンゼルスの人気ラジオDJのヒュー・ヒューイットなどが先頭となって勝利幹部会(The Victory Caucus)なるものを結成し、イラク増派反対に投票した議員たちの地区に次の選挙の予選で挑戦者を立てようという動きが起きている。

もっともイラク政策が選挙運動期間中になってもあまり成功の兆しをみせていなければ、世論は再び変動するであろうから、今のうちに反戦を唱えておくのも選挙運動の作戦としては正しいことなのかもしれない。だが、そうだとしたら、反戦政治家たちは本当に「アメリカの敗北に賭けている」といえる。

February 18, 2007, 現時間 2:34 PM | コメント (3) | トラックバック (0)

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February 17, 2007

なんとしてもイラク戦争に負けたい米民主党

アメリカ内政 , イラク関係

アップデートあり文章の終わりを参照ください。

イラク戦争の新しい進路がうまく進めば進むほど民主党は新作戦を脱線させようと必死である。彼等の行動を見ていればその動機はあきらかである。民主党はイラク戦争に負けることを恐れているのではなく、アメリカがイラク戦争に勝つことを心から恐れているのである。

なぜアメリカ人である民主党議員たちがアメリカが戦争に負けることを望むのかといえば、イラク戦争は共和党のブッシュによる戦争であるという考えから、イラク戦争が失敗すれば国民は共和党全体を罰して民主党が2008年の一般選挙で大幅に議席を増やし、大統領選にも勝ち、大勝利を迎えられるという思惑が根本にあるのである。

16日の金曜日、米国下院はブッシュ政権によるイラク増派反対の決議を通した。ブッシュの報道官であるトニー・スノー氏は記者会見で「民主党はアメリカの敗北に賭けている」と苦々しく語っていた。

 【ワシントン=山本秀也】米下院本会議は16日、ブッシュ大統領が表明したイラクへの兵力増派に反対する決議を賛成246、反対182で採択した。決議に拘束力はなく、ブッシュ政権はイラク新政策で表明した2万人以上の兵力増派を続行する構えだ。

 決議は民主党のスケルトン軍事委員長らに共和党の議員が加わって超党派議案として提出され、現行の米軍のイラク駐留には支持を表明しながらも、ブッシュ大統領がイラク新政策の目玉とした米軍増派を不支持とする内容だ。本会議での討論に4日間を要し、議員の9割に当たる392人が発言する本格的な論戦となった。この日の採決では共和党の17議員が賛成にまわった。

 民主党のペロシ下院議長は、「決議の採択は戦闘終結と駐留米軍の帰還に向けたイラクでの方向転換のシグナルとなる」と語った。民主党は戦費執行に制約を設ける法的措置なども検討しており、イラク政策をめぐって大統領と議会の対立は一段と強まりそうだ。一方、上院本会議も17日、同様の増派反対決議案の採決を予定している。

民主党議員たちはブッシュの新作戦が早くも実りを見せていることにうろたえて、ついこの間まで絶対にしないと誓っていたくせに与党リーダーのハリー・リード上院議員とナンシー・ペロシ下院議長があり得ないといっていたイラク戦争の戦費差し止め執行を振り回して真っ向からブッシュ大統領を脅迫しにかかっている

民主党はイラクへの増派とイランへの先制攻撃を阻止する方法を見つけたとしてブッシュ大統領の開戦権限に真っ向から挑戦している....

「わが国はイラク路線について劇的な変更をおこなう必要があります。そしてその変更を実現させるのは議会の責任であります」と下院において軍隊支出の監督にあたっている民主党のジョン・マーサ下院議員は下院議員は語った。

マーサ議員は兵士の戦線出動に一年の期間をおくなど戦闘員動員について厳しい規制をかける議案を準備している。最終的にはこの案によってブッシュが計画している16万兵を何か月にも渡って維持することは不可能になるであろうとマーサ議員は語った。

マーサ議員の決議案は要するに戦闘員を出動させるにあたり、何かについていろいろと理不尽な規制をつけて、大統領がいちいち議会にお伺いをたてなければ軍隊を出動させることができなくなるというもので、現実的には戦闘員の速やかな出動をほぼ不可能にすることになる。これはどう考えても三権分立の憲法に違反する。

例えば一旦イラクに出動した隊が帰国したら、どんな場合でも、少なくとも一年は戦場へ出動させてはいけないという規則がある。このほかにも、理不尽に高いレベルの訓練を受けていなければならないとか、戦士の任務期間を延長してはならない、軍需品が理不尽に高度なスタンダードに達していなければならないなどという規制がかけられ、しかもこれをいちいち大統領が確認し議会に提出し議会の承認がなければ出動できないとなっているのである。(この案はイラクだけに限られ、アフガニスタンにはあてはまらない。)

このような案が通ったならば、戦場での貴重な経験を得た戦士が数カ月後に新しく動員される戦士と一緒に出動して知識や技術を引き継がせることができなくなる。また戦況が変化し経験ある隊の任期を延長させたり、帰国して数カ月しかたっていない軍を援軍としておくることもできなくなるのである。

ムーブコングレス(MoveCongress.org)というウェッブサイトのインタビューでマーサ議員はこの案の本当の目的はイラク増派を阻止することであると意図を明かにしている。。(注:掲載した後でまずいと気が付いたのか、サイト経営者は内容を書き換えてしまった。下記は書き換える前の記事である。)

防衛費充当委員会は大統領の930億ドルの追加予算申請について審議をはじめた。この申請への行動が新しい議会がイラク戦争において「財布の紐を締める」ことのできる最初の機会である。.

マーサ会長は自分の作戦はイラクへの動員を制限するだけでなく、大統領の外交、国内警備政策をことごとく邪魔することにあると説明した。

しかし専門家の間ではこのような議案は下院すらも通らないだろうという見解だ。この議案は一見アメリカ兵に無理な出動をさせないという思いやりがあるようにもとれるが、実際にマーサ議員が裏口から増派阻止を行おうとしていることは一目瞭然であり、アメリカ市民はこのような卑怯な手段には騙されないであろう。

フォックスニュースの解説者はこの議決案は民主党にとって非常にまずい動きだと解説していた。その理由は:

  • 増派に反対している人でも、一旦出動している軍隊に必要な資金を断ち切るという考えには非常な抵抗がある。
  • このような行為は民主党は国防に弱いという先入観を強化することにつながり、民主党は戦争を嫌うあまり、勝利よりも敗北を望むと思われる。
  • そこまで思わないひとでも、議会が出動する軍隊の規模や場所まで規定するのは行き過ぎだと考えるだろう。
  • 2007年の予算は9月分まで充当されており、議会は早くても10月までは戦費を差しとめることはできない。
  • しかし10月までには民主党が最も恐れているブッシュの新作戦の成功があきらかになり反戦のメディアでも隠しきれなくなっている、という可能性がある。

つまりマーサの作戦は失敗が目に見えているということだ。であるから下院の民主党議員ですらこの議決案には投票しないであろう。また、金曜日に増派反対の議決案が下院を通ったとはいえ、当初予測されていた共和党議員による大幅な寝返りは見られなかった。この議決案には拘束力はないが下院議員のイラク戦争に対する意見が反映する。共和党議員が多数投票していたならば、戦費差し止めの議決案を検討する意味もあったが、たった17人の寝返りでは共和党は民主党が期待したほど戦争反対の意識はないということになり、戦費差し止めの議決案が通る見込みはまずない。

それでも民主党が戦費差し止め議案を提案するならば、国民には共和党は必死にイラク戦争に勝とうと努力しているのに、民主党は自分らの勢力を強めるために、なんとかしてイラク戦争に負けようとしているという印象を与えてしまうだろう。

アップデート: 上院議会イラク議決案を否決

わざわざ土曜日に出頭してきた上院だが、昨日下院で通ったイラク増派反対の議決案は上院で否決された。賛成56、反対34、可決に必要な60票には満たなかった。

「軍隊への支持に関する投票で戦費について沈黙しているのは両方の道をとろうとする試みだ。」とケンタッキー代表で共和党リーダーのミッチ・マコーネル氏は語った。「だから我々はもっと正直な公の討論をしようと要求しているのだ。」

民主党は戦費差し止め案をあからさまにだして国民から軍隊を支持していないと思われるのは嫌だが、反戦派にいい顔を見せたいので増派には反対だという拘束力のない意思表示だけをしておこうという魂胆である。マコーネル議員が抗議しているのは、戦争に反対なら反対で戦費差し止め執行を提案するぐらいの根性をみせろ、双方で良い顔をしようなどとは卑怯だ。正直に討論しろと要求しているわけだ。

February 17, 2007, 現時間 4:13 AM | コメント (1) | トラックバック (1)

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February 16, 2007

効果をあげるブッシュのイラク新作戦

アメリカ内政 , イラク関係 , イランをどうするか

English version of this post can be read here.

先日もカカシはブッシュの新作戦が早くも効果をあげているという話をしたばかりだが、ミスター苺がここ数日の米・イラク軍の活躍について書いているのでこちらでも紹介しておこう。以下、Big Lizards より。

APの記事によるとここ数日のアメリカ・イラク連合軍によるシーア民兵の本拠地であるサドル市を塞ぎ各家を一軒一軒回って武器や民兵を探索する手入れはかなり効果をあげているようだ。またアメリカ軍はバグダッドのスンニテロリスト本拠地でもさらに厳しい取り締まりを行っているらしい。

米・イラク軍は木曜日バグダッドのスンニの本拠地に深く潜入した。両軍は爆弾の仕掛けられた乗用車数台によって迎えられた。一方イギリス軍先導の隊はイラク南部において輸送用のコンテナを使ってイランからの武器流入の道を塞いだ。またイラク内政省は前日のバグダッド北部においてイラク軍との衝突の際、イラクのアルカエダのリーダーであるアブ・アユーブ・アル・マスリが負傷し側近が殺されたと発表した。

本日になってアユーブ・マスリが負傷したという情報は確認できないと内政省はいっているので、実際何があったのか今のところちょっとはっきりしていない。しかしイラク軍とアルカエダ勢力の戦闘において重要人物が殺され負傷したことは確かなようだ。

米・イラク連合軍はテロリストによる数回に渡る待ち伏せにあったが、味方側の負傷や戦死はなかった。ただアンバー地区で海兵隊員が名誉の戦死をした。

ミルブロガーのビル・ロジオ(Bill Roggio)によると連合軍はモクタダ・サドルのマフディ軍への攻撃も激しく続けているようだ。

連合軍はサドルへの圧力を維持しており、サドルがイランに避難している足下からマフディ軍解体のため積極的に働きかけている。バグダッドではマフディ軍、(別名ジャイシ・アル・マフディ)のメンバー二人が24時間前から拘束されている。バグダッドではイラク特別部隊が「武器供給や資金援助をしていたジャイシ・アル・マフディ組のならず者」を他の「参考人」と共に捕らえた。また別のマフディ軍のメンバーで「イラク市民や警察官を誘拐、拷問、殺人などをしてきたとされる」人物もイラク特別部隊員によって捕らえられた。

イラク連合軍によるとイラク軍が捉えた二人はマフディ軍のなかでもかなりの重要人物のようである。

まだイラクにはアメリカ軍の増派は起きていないにも関わらず、新作戦を取り入れたことによって早くも多大なる効果が生まれていることはうれしい限りである。実際私はちょっとおどろいているほどだ。これに米・イラク兵合わせて9万の兵が増加される(アメリカ兵21,500兵に加え残りはイラク兵)ことで、この作戦は成功すると私はかなり期待している。

2008年の選挙の際にはイラク状況は2006年の時よりもずっと向上しているものと思われる。イラク状況は選挙に多大な影響を与えるであろう。もし私の予測が正しければ多くの民主党議員と民主党と一緒になってブッシュ政策に抗議する拘束力のない議案に投票したような少数の裏切り者共和党議員などは大きな代償を支払わされることとなるだろう。

イラク状況が今よりもずっと良好な方向に進んでいれば、共和党の有力大統領候補の三人は誰もこれを利用して選挙運動に挑むことができる。イラク戦争は泥沼だ絶望的だと言ってアメリカ軍の作戦を妨害するような行動ばかりとっていた民主党はイラク戦争を持ち出せなくなる。

とにかく全てがブッシュ新作戦の成功にかかっているわけだが、この調子で進んでくれることを願う。

February 16, 2007, 現時間 11:58 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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February 13, 2007

イランの飼い豚サドル、イランへ蓄電!

イラク関係 , イランが危ない

イラクでのアメリカ軍によるシーア民兵取り締まりが厳しくなるなか、なんとカカシがイランの飼い犬ならぬ飼い豚と読んでいた、シーア民兵軍マフディ軍の親玉サドルが数週間前に家族のすむイランへ遁走していたことが発覚した。

「サドル師、2週間イランに滞在」と米高官

2007.02.14
Web posted at: 09:42 JST
- CNN

(CNN) 米高官筋は13日、CNNに対して、イラクのイスラム教シーア派の反米指導者ムクタダ・サドル師が、ここ2─3週間イランに滞在していると述べた。同師がイラクを出国した理由や、イラン滞在予定期間は不明とされる。

ただ、イラク関係筋はサドル師の出国を確認していない。また、同師に近い関係者は、同師のイラン滞在は「うわさ」だとして全面否定した。同師事務所は8日CNNに対し、同師がイラク中南部ナジャフに滞在中だと語っていた。

米当局者らは、ブッシュ大統領の指示による米軍イラク増派で、身の危険を感じたサドル師が出国したとの見解を示した。同師がイラク国内に不在の場合、同師を支持する民兵組織「マフディ軍」にどのような影響があるかは不明。

こうしたなか、イラク治安部隊のカンバル将軍はテレビ演説を行い、首都バグダッドの治安強化を目的に、イランおよびシリアとの国境を72時間閉鎖すると発表した。政府関係者がAP通信に語ったところによると、国境閉鎖は2日以内に実施される予定。また、イラク当局者はCNNに対し、検問所に爆弾検知装置などが設置する予定だと語った。

バグダッド市内の夜間外出禁止令は延長される見通し。また、イラク治安部隊は、民間人の武器・弾薬保有免許を一時停止する計画という。

APの記事によるとサドルの家族はもともとイラン在住だということだがイラン滞在は一時的なものだという見解が大きいようだ。

しかしサドルの出発はイラク政府が近隣のイランとシリアとの国境を72時間ほど塞ぐという発表をしたのと時期を同じくしていることから、国境が塞がれる前にイランへ渡ったものと思われる。しかし親分のサドルがイランに逃げたとなるとイラクに残されたマフディ軍の連中はどうするのだろうか?

イラクがサドルの帰国を許可しないという方法もあるが、この先どうなるのか注目される。

February 13, 2007, 現時間 8:17 PM | コメント (6) | トラックバック (1)

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バラク・オバマの最初の失言 『アメリカ兵は無駄死にした』を謝罪

アメリカ内政 , イラク関係

リアル・クリア・ポリティクス(Real Clear Politics)において、バラク・オバマが大統領選挙出馬表明から一日もたっていないうちにイラクで戦死した米兵の命は「無駄死にだった」と失言した、即座にオバマは集まった記者たちの前で戦死した軍人の家族に対して失礼なことを言って「全く申し訳なかった」と謝罪した。オバマ氏は「言ってるそばから失言したと気が付いた」と語った。

オバマにとってはこれが最初の失言かもしれないがおそらく最後ではないだろうとRCPは書いている。オバマが期待の新人である理由はまだ投票者がオバマという人間がどういう政治家なのかを理解していないからである。以前にも書いた通りオバマは政治家となってまだ間がないため、特にこれと言った功績を残していない。 であるから過去に色々問題のある言動をしていないという利点もあるが経験不足から色々間違いをおかす危険性もあるといえる。

よく大統領とは見習いのやる仕事ではないといわれるが、選挙が近付くにつれて民主党の投票者はオバマが大統領としてやっていけるだけの器かどうかを見守っている。今後もこのような失言を続ければ彼への期待も薄れること間違いない。

しかしヒラリー・クリントンの人気はオバマをかなり上回っているので、今後もこのような間違いをおかしていてはとてもヒラリーには追い付けないだろう。

ところで、もう一人の有力候補ジョン・エドワードは過激派左翼で反カトリック教のブロガー、メリッサ・マーコッテをついに首にした。一度は保守派の圧力には負けないといっていたエドワードだが、その直後にマーコッテが再びカトリック教を下劣に攻撃する記事をブログに書いたため、さすがにエドワードも自分の間違いに気が付いたらしい。こんなに判断力のない人間が本気で大統領を目指すというのも恐ろしい限りである。

February 13, 2007, 現時間 7:11 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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イラク: 積もるイラン関与の証拠

イラク関係 , イランをどうするか

昨日もイランによるイラクへの関与の話をしたが、アメリカ軍はどのような証拠をもってイランがイラクに関与しているというのか、その記事を紹介し、どうしてブッシュ政権がずっと過小評価してきたイランの関与について、最近突然大々的な発表をはじめるようになったのか考えてみたい。

まずはCNNのニュースから、

「爆弾攻撃にイラン関与」とイラク駐留米軍

2007.02.12
Web posted at: 12:43 JST
- CNN/AP/REUTERS

バグダッド──イラク駐留米軍は11日、少なくとも米兵170人が死亡したイラク国内の爆弾攻撃に、イランの最高指導者ハメネイ師から指示を受けている精鋭部隊が関与しているとの見解を示した。

米軍がイラン関与の証拠として挙げたのは爆発成形弾(EFP)で、製造法にイラン起源の特徴が見られるという。また、同じくイラク国内で攻撃に使用されている81ミリ迫撃砲弾は、イランからイラク国内に直接持ち込まれたとみられている。

米軍によると、こうした弾薬類はハメネイ師が直轄するイラン革命防衛隊のアルクッズ部隊によって、イラク国内のイスラム教シーア派グループに供給されている。ここ数週間内に北部アービル市内で拘束された数人のイラン当局者の中に、同部隊の関係者1人が含まれていた。

さらに、昨年12月にバグダッド市内で拘束された他のイラン当局者らは、イランがイラク国内の有力政治組織を武装していると供述した。当局者らは、イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)の指導者アブドゥル・アジズ・ハキム氏の施設の家宅捜索で拘束され、米軍はこの際に武器取引の証拠文書を押収した。

政治組織の関係者は、武器調達が自衛目的であると説明。ただ、米軍側は、迫撃砲や狙撃用ライフル銃といった調達武器が自衛には使用されないと反論している。

この狙撃銃について今日新しい情報がはいった。下記はPowerline紹介のDaily Taragraphの記事より。

デイリーテレグラフはイランに輸出されたオーストリア製の狙撃ライフルがイラクテロリストの手にわたっていたことが判明したことを学んだ。

100丁以上におよぶ.50 カリバーの防弾チョッキを貫く威力のある武器がアメリカ軍による手入れの最中に発見された。

発見されたのはスタイヤーH550(Steyr HS50)で長距離先鋭ライフルである。

これらのライフルはオーストリアのスタイヤー・マンリッカー社(Steyr-Mannlicher)製造のもので去年合法にイランに輸出された800丁のライフルの一部であるという。

この販売については、これらの武器が反乱軍によってイギリス兵やアメリカ兵に対して使われる恐れがあるとして、ワシントンとロンドンから激しい抗議があった。

H550のイラン出荷わずか45日目してスタイヤー・マンリッカー製ライフルはイラク反乱軍戦闘員の手にわたり、アメリカ人将校を狙撃し殺害した。

アメリカ軍は今後もイランのイラクへの関与についてもっと多くの証拠を陳列するものと考えられ、これらの証拠はそのごく一部であろう。昨日もちょっと書いたが、イラクにイランが関与していることはもう2年以上も前から現地の兵士やイラク人たちの間で周知の事実だったにも関わらず、なぜいまになるまでアメリカ政府はその事実をあまり公開せず、突然最近になって記者会見をやってみたり派手な発表をしているのか、いったいアメリカ政府の意図はなんなのだろう。

国際メディアの間ではアメリカはイランを挑発しているという考えが一般的らしい。国際メディアの傾向に詳しい妹之山商店街さんが某掲示板でこんなことを書いている。

BBC,PBS,そしてあの CNN でさえも、「ブッシュ政権はイランを挑発している。イランへの限定的攻撃の口実を手に入れようとしている」と堂々と放送しています。 BBCは「何故、今なのか」と分析しています。ということで、イラン製兵器の存在という報道は、
    ・イラク政策破綻の聞き苦しい言い逃れであり、
    ・イランへの限定的攻撃=空爆の口実を得る為のミエミエの挑発

まずこれが『イラク政策は単の聞き苦しい言い逃れ』であるという説について、左翼の反戦派の間でそういう意見があるのは理解できるが、カカシが何度も繰り返しているようにイランの関与は現場の兵士たちは伍長以上の立場にいた人たちならもう2年以上も前から知っていた事実。これまでそれに関してアメリカ政府がとりたてた政策をとってことなかったことのほうが不思議なくらいなのだ。言ってみればイラク戦線が苦戦に陥っているのもイラン関与にもっと早い時期に取り組まなかったことが起因しているとさえ言えるのである。

さて、では何故いまになってアメリカ政府はイランの関与を公表しはじめたのだろうか。昨日私は、アメリカがこれまでほのかなもっていたイランとの平和的な外交が、全くうまくいかないことをやっと悟って、軍事的な強行手段を取る、もしくは取るつもりがあるという姿勢を見せてイランを牽制するのが目的なのではないかと書いた。

しかしそのことについてミスター苺はブッシュ大統領の意図はイラン牽制というよりヨーロッパ諸国への警告だという。

私はそのことについてここ数日ずっと考えてきた。そして私が思うにブッシュ大統領はヨーロッパに対して次のような最後通告をする計画なのである。

この状況に対応するため重く意味のある効果的な経済制裁をイランに与えよ、さもなくば我々が軍事行使によって対処する!これ以上の議論はしない。国連の承認も要らない、だからおふらんすもロシアも中国も否決などできない。これは国連の行動でもなければNATOのものでもない。

つまり私はコソボスタイルの空爆がおきると考える。

だとすれば、イランがアメリカから攻撃を受ける受けないはヨーロッパのイランとの交渉にかかっているということになる。無論その間にイランがアメリカに下手に手を出せばアメリカには対応する用意があるというわけだ。

さてここで妹之山さんの第2の点『空爆の口実を得る為のミエミエの挑発』だが、アメリカは決して偶発的な戦争は望んでいないはずだ。戦争をするならするでアメリカの都合のいい時にアメリカの決断でやりたいはず。アメリカがイランと戦争をするつもりなら、なにもイランを挑発する必要などないだろう。

February 13, 2007, 現時間 3:16 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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February 11, 2007

アメリカが国際社会でイランのイラク関与を批判する意味

イラク関係 , イランをどうするか , 対テロ戦争

な〜んか、イラク戦争前夜と似たような雰囲気になってきたなあ〜。

我々保守派の間ではイラクにおけるイランの関与をなんとかすべきではないのかという意見がもう2年以上も前から議論されていた。しかし以前にもここで話たように、アメリカはイランの関与についてあまり表立った批判をしてこなかった。その理由はイランの関与を表だって批判しないことで、アメリカは内々にイランの協力を得ようという思惑があったからなのかもしれない。だがイランの最近の行動は目にあまるものがあるため最近アメリカ政府は方針をかえ、大々的にイランを批判すうようになった

イラクで使用の爆発物にイラン関与の証拠と、米国防長官

スペイン・セビーリャ——ゲーツ米国防長官は9日、イラクで武装勢力が使った爆発物にイランが関与したことを示す製造番号や刻印が発見された、と述べた。セビーリャでの北大西洋条約機構(NATO)の国防相理事会後の会見で述べた。

イラクの武装勢力に兵器もしくは技術を供与していることの物的証拠としている。これらの爆発物の数は全体の中で大きな比率を占めないが、「殺傷能力は極めて高い」と指摘した。路上に仕掛けられる爆弾攻撃などで米兵は大きな犠牲を強いられている。

長官はまた、「イランがイラク情勢に関与していることは驚きではないが、米軍などの家宅捜索でイラン人が実際に見付かったことは驚きだった」とも述べた。米政府はイラン政府が影響力を拡大するためにイラクに干渉していると主張している。

アメリカ軍がわざわざNATOの理事会でこのようなことを発表したとなると、アメリカ政府はいよいよイランに本格的な圧力をかける覚悟ができたということだろう。ブッシュ大統領はイランへの「侵略」はあり得ないと言っているが、この言葉使いに気をつける必要がある。ブッシュはイランと戦争をするつもりはないとも、イランに軍事攻撃を仕掛けるつもりはないともいっていない。ブッシュがあり得ないといったのはイランへの「侵略攻撃」だけである。

よくブッシュ大統領をバカにしている左翼連中はブッシュが舌がよく回らないのをおちょくってあたかもブッシュが言葉使いには疎い人間であるかのような批判をするが、実はブッシュ大統領は言葉使いには非常な神経を使っている。だからブッシュがわざわざ「侵略は」あり得ないと言ったことには十分に注目すべきである。

以前にアセアンさんがアメリカがイランとの外交をうまくやって来なかったからアメリカはイランとの戦争に追い込まれているのではないかといっていた。だが私はそうは思わない。アメリカはイランと交渉をしようとしているのである。だが、イランはアメリカと交渉をして得をすることはないと考えているはずだ。つまり、アメリカにはイランと交渉をするための札を持っていないので、アメリカが今やっていることはイランに交渉を強制させるための切り札作りをしているといえるだろう。ま、平たくいえば脅迫である。(笑)

アメリカはイランには「戦争を仕掛ける可能性がある」という姿勢を見せて脅かしながら、諸外国には経済制裁のような政治的な圧力をかけていこうと呼びかけるわけだ。そうやってイランがイラク関与をやめてくれればいいし、それが駄目なら軍事行使となるのかもしれない。


関連過去エントリー
イラクに伸びるイランの魔の手

February 11, 2007, 現時間 4:40 PM | コメント (1) | トラックバック (0)

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ゲリラには勝てないという神話

イラク関係 , 対テロ戦争

先日歴史家のドナルド・ストカー氏が書いた「ゲリラはめったに勝たない」("Insurgencies Rarely Win – And Iraq Won’t Be Any Different (Maybe) By Donald Stoker)という記事を読んで、イラク戦争も多いに歴史に学ぶことがあるなと思って感心した。

ゲリラ戦というとアメリカではどうしてもベトナム戦争の記憶が新しい。しかしストカー氏はアメリカはベトナム戦争からゲリラには勝てないという間違った教訓を学んだという。氏はゲリラは常に勝つどころか、めったに勝たないと断言する。だから、イラクでもアメリカ軍を増派し作戦を変更することで十分に勝利をおさめることが可能だというのである。しかし、イラクでアメリカが勝とうというのであれば、アメリカは過去の間違いから学ばなければならない。なぜならゲリラ撲滅は辛抱強く時間をかけてやる必要があるのだが、ブッシュにはあまり時間がないからである。

ゲリラや反乱軍は不滅であるという神話はアメリカの南ベトナム敗退についてアメリカ人が集団的に誤解したことからはじまる。この敗北は一般にパジャマ姿のベトコンによる卓抜さと軍事力によるものだと思われている。ベトナム人はタフで辛抱強かったかもしれないが、彼等は卓抜ではなかった。というより彼等は単にアメリカという自らの間違いから学ぼうとしない敵に面するという幸運に恵まれただけなのである。ベトコンが面と向かってアメリカ軍と戦った1968年のテット襲撃ではベトコンは惨敗した。1975年に南ベトナムが遂に墜ちた時も、南ベトナムはベトコンによっておとされたのではなく、北ベトナムの正規軍の侵略によっておとされたのである。ベトコンのゲリラはアメリカ民衆の戦う意志を崩壊させる要因となったが、それをいうならリンドン・ジョンソン大統領の戦争のやり方も民衆の士気を弱めた。 ハノイ勝利の鍵は北ベトナムの意志とアメリカの失敗にあるのであり、ゲリラの戦略にあるのではない。

氏はソビエトのアフガニスタンでの敗北についても同じような誤解があるという。これにしてもムジャハディーン(アフガニスタンの反ソビエト反乱軍)がソビエトを追い出したというよりも、ソビエト内部の経済および内政の混乱が原因だったのだと言う。

カカシはここでもうひとつアフガニスタンの反乱軍が勝った理由を付け加えておきたい。それはアメリカや諸外国が反乱軍に武器供給を惜しみなく与えたということだ。

ストカー氏も書いているが、反乱軍が一般的に成功しない理由は、組織力と資源に乏しいからである。あっちで一発、こっちで一発、といった散発的な攻撃をいつまでもやっていれば、いずれは弾も人間も乏しくなり戦闘は尻つぼみとなる。資源も人員も豊富な一国を相手にこのような方法ではいずれ負ける。だから反乱軍が勝つためにはこの二つの点をどうにかして確保する必要がある。

であるからイラクでの問題はイラクの反乱軍を倒すことができるかどうかということではなく、アメリカがその機会を逃してしまったかどうかにかかっている、とストカー氏は語る。

私はもうずいぶん前から、アメリカ軍がスンニ派反乱軍のアジトなどで何百という武器を発見したとか、フセインがイラク各地に隠しておいた爆弾だの銃器だのをトン単位で破壊してきたことでもあり、もうそろそろ反乱軍は人も弾も足りなくなっているはずだと考えていた。

現に2005年くらいには、テロリスト攻撃はかなり弱体化しており、アメリカ軍や保守派の間でも希望的な気持ちが高まっていたのである。それが2006年になって再びおかしな状態になってきた。私はいったいイラクの反乱軍はどこから武器弾薬や人員を補給しているのだろうと不思議に思ったものである。

最近になってその原因がイランにあることが明らかになってきた。アメリカがイラクで勝つためにはこのイランからの供給ラインを切断することが最優先されなければならない。まずイラクとイランの国境を固めること、そしてイランに政治的、経済的、軍事的な圧力をかけ、イラクの反乱軍を援助することがイランのためにならないことを思い知らせることが大切だろう。

ストカー氏はイランの話はしていないが、増派による新作戦はゲリラ反乱軍を倒す可能性を非常に高めたと語る。だが氏が一番心配しているのはアメリカがすでに反乱軍を倒す機会をのがしてしまったのではないかということだ。

一つ確かなことは時間が迫っていることだ。ゲリラとの戦いは普通8年から11年はかかる。だがブッシュ政権はアメリカ民衆の世論にあまりにも無関心であったため、このような戦争に関する説明を全くしてこなかった。それで市民の戦争を支持する気持ちはほとんど使い果たされてしまったのである。イラクでの一つの悲劇は反乱軍に対する勝利をおさめるには作戦変更がおそすぎたかもしれないということにある。

アメリカはアメリカとイラクのためだけでなく、自由を愛するすべての社会の安定のためにもこの戦争には勝たねばならない。なぜならこの戦争に負ければ戦争が終わるのではなく、新たな戦争が始まることになるからだ。その時はアメリカもそして欧州も日本も恐ろしい戦争に巻き込まれることだろう。

新作戦の成功を切に願うものである。

February 11, 2007, 現時間 2:49 PM | コメント (1) | トラックバック (1)

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February 9, 2007

脱走兵ワタダ中尉の軍法会議は無効審理へ

アメリカ内政 , イラク関係

イラク戦争が始まった直後の2003年に陸軍に入隊し去年初めてのイラク出動を拒否して軍法会議にかけられていたハワイ出身のワタダ中尉の軍法会議が本日無効審理となり、今年の4月に審理がやり直しされることになった。

イラク派遣拒否の中尉、軍法会議が「無効」…再審理へ

 【ロサンゼルス=古沢由紀子】米ワシントン州フォートルイス陸軍基地で行われていたイラク戦争への派遣を拒否した日系3世アーレン・ワタダ陸軍中尉(28)に対する軍法会議で、担当判事は7日、事前の弁護側と検察側による事実認定手続きに問題があったとして、「審理無効」を宣言した。
Click here to find out more!

 軍法会議は3月以降に再審理が行われることになった。

 AP通信によると、ジョン・ヘッド判事は、ワタダ中尉が訴追内容をよく理解しないまま無罪を主張しており、事実認定に矛盾があると判断した。

 中尉は「イラク戦争は根拠がなく、違法行為だ」として派遣を拒否。軍の命令を無視し、将校として不適切な行為をとった罪に問われ、軍法会議にかけられた。有罪なら最高で4年の禁固刑の可能性がある。
(2007年2月8日12時1分 読売新聞)

ワタダ中尉はアメリカ人将校としては唯一人出動を拒否した軍人である。ワタダ中尉はイラク戦争は違法だと言い張っていたが、すでに戦争が始まっていた2003年に、しかも出動する可能性が非常に高い陸軍にわざわざ入隊して三年間ずっと黙っていた人間が出動する段になって突然「違法云々」を言い出すのはおかしいという意見がミルブログを中心に交わされた。

ワタダ中尉は最初から反戦運動をする目的で軍隊に入ったのではないかという話もあるが、これはちょっと変だろう。もし現役軍人であることで反戦運動に博をつけたかったのなら、陸軍よりも海軍か空軍に入隊すれば実際に戦地へ送られる可能性はかなり低い。

話はずれるが、現役軍人が創設したというAn Appeal for Rederssというイラク戦争反対運動がある。創設者も参加者も現役もしくは元軍人で最初は草の根運動だということになっているのだが、これがどうもうさん臭い団体なのだ。草の根運動とは建前だけで、実は左翼のプロ団体が背景にあり組織力も資金力も抜群の団体なのだ。(詳細はMudville Gazetteを参照されたし)が、その話はちょっとおいといて、、

先ず創設者というのが海軍の水兵二年目のジョナサン・フトーという男性。フトー兵は自分の反戦ウェッブサイトで「無収益団体, NPO」に何年かつとめ小学校の教師を目指したが失敗し、2004年の1月に海軍に志願入隊したと書いている。しかしフトー兵が働いていたというNPOとはアムネスティーインターナショナルというおよそ親米とは言えない団体で、2001年には社会主義労働者党という過激派左翼のメンバーと並んで反警察運動をしていたこともある。2002年には同団体の大西洋地域部のプログラムコーディネータをしていた。

そしてきわめつけは2003年にフトーはイラク反戦運動に参加していたのである。

そういう人間がどうしてわざわざアメリカ海軍に入隊したのか。そして入隊後たった2年で再び反戦運動をはじめた理由はなにか? これは最初から軍隊内部で現役軍人として反戦運動をするつもりだったと考えるべきだろう。だから彼は海軍を選んだのだと私は考える。海軍ならば職種を選べば、特別部隊にでも入らない限り軍艦をあちこち乗り回す程度でイラク戦地でライフルもって歩き回る可能性はほとんどないからだ。

一般市民が反戦運動をすれば、軍隊に入る勇気がないからだろうといわれかねないが、実際に現役の軍人が反戦ということになれば話は別である。

さて、ここでワタダ中尉に話を戻そう。もしもワタダ中尉が最初からイラク戦争に反対で現役の軍人として反戦運動をするのが目的だったのだとしたら、出動の可能性が非常に高い陸軍に入隊するのはおかしい。実際にイラクへいって帰ってきてからなら話は別だが、出動拒否ではお話にならない。

思うにワタダ中尉は何の考えもなく陸軍に入隊したのだ。3年間の任期があと半年で終わるという時までずっとだまっていたのも、このまま戦地へいかずに除隊できるかもしれないと考えたからだろう。だが出動命令が出てはじめて恐怖におののいたのである。そこで自分の臆病心に直面する勇気もないから戦争が違法だのなんだのとこじつけを考えたに過ぎないのだ。

みじめな男だ。ワタダ中尉。

February 9, 2007, 現時間 4:41 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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February 6, 2007

イラク反増派議案、採決ならず

アメリカ内政 , イラク関係

や〜っばりね。採決するには票が足りないとカカシが予測した通りだった。まずはこの記事から。

イラク増派反対決議案、共和党が上院で採決阻止

ワシントン(CNNー2007.02.06) ブッシュ米大統領が先月発表した米軍イラク増派に反対する超党派決議案の本格審議が5日、米上院で始まったが、共和党議員らが採決を阻止した。上院の規定により、審議および採決の動議可決には60票の賛成票が必要だが、賛成49反対47と、共和・民主両党の議席数でほぼ割れる結果となった。

反対決議案は、共和党のジョン・ワーナー上院議員(バージニア)と民主党のカール・レビン上院議員(ミシガン)が各自の決議案を一本化したもの。ミッチ・マコーネル少数党院内総務(共和党、ケンタッキー)は、共和党側が作成した2つの代替案についても審議と採決を行うべきだと主張したが、ハリー・リード多数党院内総務(民主党、ネバダ)がこれを拒否。両者は先週末に協議したものの、行き詰まりは打開できなかった。

5日の本会議では、リード同総務がイラク新政策をめぐる「審議をつぶそうとしている」として共和党を非難。これを受けてマコーネル同総務は、共和党は「審議の用意がある」ものの、過程の「公正さ」求めて審議に反対している、と反論した。

マコーネル同総務が採決を求めている代替案は、ブッシュ大統領の戦略を支持する案と、イラク戦費の拠出継続を盛り込んだ案。共和党指導部は動議採決に強硬に反対しているものの、同党はイラク政策について一枚岩ではない。

民主党は多数派になって少数党の切り札が身にしみただろうか。なにせ民主党はこの手を使って何度もブッシュ大統領推薦の裁判官承認の採決を阻止していきたのだから文句は言えまい。戦争反対といって戦争予算を削るほどの度胸はないくせに、全く拘束力のない議決だけ通して立派に反戦運動やってる気分なんだからあきれる。

ところで、この議案の草案者であるへーグルとワーナーの両方の議員が採決に反対する票を入れたのには笑ってしまった。アルファベット順だったので共和党で来期の選挙では苦戦が予想されるミネソタのノーム・コールマン議員は最初のほうで採決に賛成の投票をして完全にバカを見てしまった。私がミネソタ住民なら次回はかなり考えるだろう。だが、彼のライバルはなんと反ブッシュの本を何冊も出版している人気コメディアンのアル・フランケン。ミネソタは大変だわな。

February 6, 2007, 現時間 7:46 PM | コメント (2) | トラックバック (0)

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February 5, 2007

米軍ヘリ4機を撃ち落としたミサイルはイラン製

イラク関係 , イランをどうするか

ここ2週間で米軍の攻撃ヘリ4機が連続してイラクで墜落するという事件が発生している。

バグダッド(CNNー2007.02.03) イラク駐留米軍は2日朝、バグダッド北方のタジ近郊で米軍の攻撃ヘリコプター「アパッチ」が墜落、乗員2人が死亡した、と発表した。米軍ヘリの墜落は過去2週間で4機目。

墜落原因は不明。砲火を浴びる中で落ちた、との目撃証言がある。米軍は、乗員の遺体を収容した。

国際テロ組織アルカイダ系を名乗る組織が犯行声明をイスラム系ウェブサイトに載せたが、真偽は不明。米軍機を撃墜する新たな方法を得たとも主張している。米統合参謀本部のペース議長はワシントンで、武装勢力による米軍ヘリへの地上砲火は過去数週間、命中精度が向上したと認めた。

中部のイスラム教シーア派の聖地ナジャフでは1月29日、武装組織との交戦で同じアパッチ型ヘリコプターが墜落し、2人が死亡。23日には米民間警備会社のヘリが墜落。

アルカエダの連中はこれまでにも肩がけ対航空機ミサイル(Sholder Fired Anti Aicraft Missile)を使って戦闘機を狙っていたがその命中度は悪かった。それなのに最近になってその精度があがったというのは何故だろうか?必然的に誰かが性能の高い武器をアルカエダに供給しているからだと考えられる。

アメリカ軍当局はこれはイラン政府だと考えているようだ。アルカエダの連中はこれまでにもSA-7ミサイルを使っていたが、最近の一連の攻撃はもっと性能の高いSA-18と考えられる。イラクのアルカエダは最近になって「神が新しい道をお導きになった」と宣言していることから、「新しい道」とはイランから供給された新型対航空機ミサイルのことではないかという話もある。

これがもし本当にイラン製のミサイルで、イラン政府がイラクのテロリストに武器や戦闘訓練を供給しているとしたら、これはイラン政府によるアメリカ軍への攻撃ととれる。にも関わらずアメリカ軍はイラン政府に対して何もしない態度をとるのであれば、今後イランからの攻撃はイラクのテロリストを通じてまずます激化することだろう。

もともとアメリカがイラクのフセイン政権を倒したというのも、イラクがテロリストの温床となって、フセインがテロリストを手先にしてアメリカやアメリカ関係の対象を攻撃するのを防ぐためであった。それがフセインは倒したものの、イラクがイランによってテロリストの温床となってアメリカを攻撃するのであれば、せっかくフセインを倒した意味がなくなってしまうではないだろうか。

February 5, 2007, 現時間 12:33 AM | コメント (2) | トラックバック (0)

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February 3, 2007

戦争を反対して軍隊を支持できるのか?

アメリカ内政 , イラク関係 , 狂ったメディア

最近よく、「イラク戦争には反対だがアメリカ軍は支持する」と言う人がリベラルの、特に政治家の中で増えている。民主党のジョン・ケリー議員が「勉強にしないとイラクへいくはめになる」とアメリカ軍人をバカにした発言をして以来、人気急下降で希望していた大統領選挙への出馬を断念せざるおえなくなったのでも分かるように、アメリカ人はアメリカ軍人をバカにされるのが大嫌いである。

アメリカリベラルの間では軍人を嫌うのが日常茶飯事になっている。自分達の内輪ジョークではしょっちゅう軍人の悪口を言っているから、つい公式の場でもうっかり軍人の悪口をいってしまうのだろう。だが、賢い政治家になってくるとそんなへまはやらない。下院議長のナンシー・ペロシもことあるごとにイラク戦争の批判をしながら、演説の最後にアメリカ軍を支持すると付け加えることを忘れない。2008年の大統領選挙希望の星、ヒラリー・クリントンもアメリカ軍への予算を削ってはならない、とアメリカ軍への支持を強調している。

しかしアメリカ軍人がやっていることを真っ向から反対し、現場の軍人が必要だと訴えている援軍の出動に異議を唱え、アメリカ軍人の仕事がやりにくくなるような決議案を通し、アメリカ軍人をより危険な状況に陥らせるような行為ばかりをとるリベラル政治家の口先だけの「軍隊支持」にはいい加減アメリカ軍人もうんざりしている。

この間アメリカのテレビ局NBCで、リチャード・エンゲル特派員がそうした軍人へのインタビューをし、戦地で戦う兵隊さんたちが祖国の偽善者たちに口々に不満を漏らす映像が放送された。

エンゲル:新しい兵士らが慣れなければならないのは新しい任務だけではありません。彼等には他に心配なことがあります。それは祖国において高まっている戦争討論です。ここにいる兵士らは口々にアメリカ市民の戦争批判に関して不満がつのっているといいます。兵士の多くが自分達が戦っていることへの批判は自分達への個人攻撃であると受け取っています。21歳の技術者、タイラー・ジョンソン兵は今回初めてのイラク任務です。彼は戦争に猜疑心のある人たちは批判する前にここへきて現場を自分の目で確かめてみてはどうかといいます。

タイラー・ジョンソン兵(Specialist Tyler Johnson):..人が死んでんですよ。分かります? 俺のいってること? あんたたちは軍隊を支持するとかいうかもしれないけど、軍隊が汗水たらして血流して命落としてがんばってることを支持しないっていってるわけですよ。そんなの俺に言わしたらおかしいっすよ。

エンゲル:マヌエル・サハガン伍長はアフガニスタンでも勤務し、イラクは4回目の任務です。彼は祖国の人々は両方を支持することはできないといいます。

マヌエル・サハガン伍長:(Staff Sergeant Manuel Sahagun): ひとつ私が一番嫌いなのは軍隊を支持するといいながら戦争を支持していないということです。支持するなら全て支持してほしいです。

エンゲル:ピーター・マナ兵は人々は戦争がどれだけ大変なものか忘れているといいます。

ピーター・マナ兵(Specialist Peter Manna): もし人々がおれたちがちゃんとした仕事をしてないって思うなら、おれたちがやってきた全てが無駄だったっていってることになる。

リチャード・エンゲル:アパッチ隊は二人の兵士を失いました。兵士たちは同士が命を捧げた任務を捨てざる終えなくなるのではないかと心配しています。NBCニュース、リチャード・エンゲルがバグダッドからお伝えしました。

この番組を見ていて腹がたったのはワシントンポストのコラムニスト、ウィリアム・アーキン(William Arkin)だ。彼は早速翌日のコラムにアメリカ軍人は文句をいうどころか、『反戦でありながらアメリカ軍を支持しているアメリカ市民に感謝すべきだ、アメリカ軍人は志願者だけの傭兵のようなもので、市民から唾を吐きかけられないだけでもありがたいと思え』という内容のコラムを書いた。リンクはすでにつながらないので私が保存しておいた元記事から抜粋する。

これらの兵士らは、世論調査では圧倒的にブッシュ大統領のイラク戦争のやり方を支持していないアメリカ市民が、それでも軍隊を支持し尊敬していることに感謝すべきである。

アルグレーブだの、ハディーサだの、強姦や殺人が起きる度にアメリカ市民は一部の不届きものによるしわざだとか、政権や司令部の責任だといって軍事を赦免してきた。

そりゃ確かに下っ端兵隊は監獄送りになる。だが反戦運動ですらその焦点はホワイトハウスの方針だ。近頃では制服組のひとりとして「赤ん坊殺し!」などといわれて唾を吐きかけられるなんてことはめったに聞かない。

そのうえ我々は兵士にまともな給料を払い、家族の面倒をみて、家裁だの医療費だの社会保障をし、戦地で必要とされる訳の分からない必需品まで供給している。我々は軍隊をできる限りのやり方で援助しているというのに、彼等はその上にさらに、我々に地べたにはいつくばって死んだふりをしろというのだ。軍人たちは自分達が社会の掟を超越しているのだから軍隊に道を譲り将軍たちに戦争をさせろ、そして我々の権利や言論の責任を放棄しろというのである。

アーキンは911以後のアメリカ政府の対テロ戦争の意味が理解できないという。本当にイスラムテロリストによる脅威などあるのだろうかとさえ問いかける。

NBCのこの放送はアメリカが傭兵、おっと失礼、志願兵軍、を持つことの代償を思い知らされる。汚い仕事というのは、洗濯と同じで誰もやりたがらない。しかしイラクは汚い洗濯物を洗うのとは違って誰かがやらなければならない仕事ではない。もう誰もそんなことは信じていない。

兵士らが仕事をするためには、自分らが大事な防御壁を守っているのだと信じなければならないというのは分かる。そこから彼等の不満が生まれるのだということも理解できる。彼等は若く無垢で自分らの仕事が全く成果をあげず、何の変化もない状況に不満を持っているのも理解できる。世間から遮断され常に誰もが彼等を支持すると聞かされてるのに祖国での討論で混乱するのも無理はない。

アーキンは、アメリカ兵は世間知らずの教養のないバカばっかりで、自分らの戦っている戦争が意味のないものであることすら知らずに戦争を批判する人間に八つ当たりをしている、とでも言いたげだ。実際にはアメリカ兵はイラクでもインターネットで世界のニュースを知ることができるし、その上に現場の状況を把握しており、アメリカでパジャマを来たままソファに座ってパソコンたたいてる我々なんかよりよっぽども正しい判断のできる立場にいるのだ。

これを読んで怒ったのは現役軍人だけではない。記事は軍人の家族、親戚一同はもとより、保守派ブロガーや軍隊を支持している一般市民の逆鱗に触れた。ワシントンポストへはよっぽど大量の苦情が寄せられたとみえ、元記事はオンラインからは削除され、本日アーキンはネット上で謝罪を余儀なくされた。(元のリンクへいってみるとたちまちのうちに600以上のコメントが寄せられたため、サイトは一時閉鎖されたと注意書きがあるほどだ。)

もっとも昨日ラジオのインタビューで彼は『発言を撤回するつもりはない、アメリカは負けている、アメリカ軍は教養が低い』などと息巻いていたから、謝罪文は編集部に言われて仕方なく書いたもので心のこもったものでないことは明白である。

アーキンのように軍人は黙って戦争やってろというような奴に限って自分が批判されると言論の自由を迫害しているといってごねるのは常だ。しかしアーキンは決して軍人が文句を言う権利がないとか、唾をはきかけられるべきだとか言ったのではなく、軍人も反戦でありながら軍隊を支持しているアメリカ市民に感謝すべきだといいたかっただけだと強調している。私には全くそうは読めないけどね。とにかくこの謝罪文の一部を読んでもらいたい。

私が今日のアメリカ兵を傭兵と表現したことは明かに誤りであった。

(軍隊の)男女はお金のために国家おざなりに働いているのではない。現状はもっとひどい。制服を着ている非常に多くの人々が自分らこそが本当の国家だと思い込んでいる。彼等は憲法と国旗の影に隠れ反民主的、反リベラル、反ジャーナリズム、不寛容、多少でもアメリカに反する考えを否定する姿勢をとっている。

私が「軍隊もアメリカ市民を支持すべきだ』が火曜日に掲載されて以来、多くの人々から私は黙って他者が私のために犠牲になっていることに感謝しろと言われた。

これが謝罪?謝罪どころかアメリカ軍人を傭兵などといったのは生易しすぎた、アメリカ軍人は自由も民主主義も信じない暴君だと言い直しただけではないか、なんというごう慢さだろう。

私は戦争そのものを支持できなくても軍隊を支持することは可能だと考える。私はクリントン大統領政権下で行われたコソボ・ボスニアの戦争には大反対だった。しかし出動した軍人たちの任務が失敗すればいいなどとは思ったこともないし、戦地へ行った人々には「がんばってね、無事にかえってきて下さい」と激励の声をかけた。戦争そのものが間違っているとしても戦っている兵士らに責任はないではないか、彼等に八つ当たりしてどうなる?

アメリカ軍人が文句をいっているのは、アーキンのように戦争に反対なだけでなく、その戦争で戦っている軍人を軽蔑している人間が、社会からつまはじきにされるのを恐れるばかりに口先だけで軍隊を支持しているなどとでまかせを言っている人間に対してのものだ。家族と別れて危険な場所で感謝もされない仕事をしている兵隊さんたちのことを一度でも真剣に考えたならば、こんな下らない記事はかけないはずだ。アーキンのようなバカが自由にものがいえるのも、我々の勇敢な軍人たちが命がけで戦ってくれているからだ。

すこしは感謝しろ!

February 3, 2007, 現時間 3:55 AM | コメント (3) | トラックバック (0)

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February 2, 2007

イラク、アメリカ兵拉致殺人事件、イランの関係を追う

イラク関係

私は先日イラン工作員がイラク国内で紛争促進の工作を行っているという話をしたばかりだが、この間カルバーラで起きたアメリカ兵拉致殺人事件はイランの特別部隊ウォード(Qod)の関連についていよいよペンタゴンも調査に乗り出したらしい。

イラクの軍施設襲撃事件、米当局がイランの関与を調査

バグダッド(CNNー2007.01.31) イラク中部カルバラで1月20日、米軍とイラク治安部隊の共同施設が武装勢力に襲撃され、米兵5人が死亡した事件で、米国防総省は容疑者がイラン人か、イランで訓練を受けた活動家であるとみて調査を進めている。米当局者が30日、CNNに語った。

犯行グループは米軍風の制服で変装し、米軍で使用されている種類の車に乗り、英語を話すなど、用意周到だった。米軍は当初、死亡した米兵らが武装勢力に抵抗していたと説明していたが、後日犯行グループが検問所を難なく通過したうえ、米兵らを施設から連れ出し殺害したことを認めた。こうした手口は、武装勢力や外国人過激派には見られないという。

イラクでは1月11日、米軍主導のイラク駐留多国籍軍が、北部アービル市内のイラン領事館を強制捜査し、職員を5人を拘束した。米誌タイム電子版が30日伝えたところによると、カルバラの事件はイラン革命防衛隊による報復攻撃との見方がある。

米当局者が1月26日に明らかにしたところによると、ブッシュ米大統領はイラク駐留米軍に、イラク国内のイラン人工作員を殺害あるいは拘束する権限を認めた。また、タイム電子版によると、イラン革命防衛隊は敵に対して容赦ない報復攻撃を実行することで知られる。

アメリカ政府はイランによるシーア殺人軍団及びスンニ反乱軍やイラクのアルカエダへの援助について詳しい説明会を開く予定だったがイランへの気兼ねから遅らせることになったらしい。いまさらイランに気兼ねもないだろうが、裏取り引きがあるのかもしれないので、詳しいことは分からない。この説明会では、イラクで使用されている爆発物や武器にイラン製のラベルがついているとか、シリアル番号まで入っているといった詳細な証拠が提示されることになっている。

ところで、アンサーアルスンナというアルカエダ系スンニ派のテロリストが、イラクではイラン人工作員による暴力行為があちこちで行われているという告発プロパガンダビデオを発表した。

ビデオでは反乱軍がライバルのシーア民兵にイランから密輸入された武器にペルシャ語で「イラン内政省」と書かれたラベルを見せている図がある。

テロリストのプロパガンダビデオだから内容は100%信用できるわけではないが、ペンタゴンからの情報と同じものであるのは興味深い。

February 2, 2007, 現時間 8:50 PM | コメント (3) | トラックバック (1)

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米議会の腰抜け反増派議案

アメリカ内政 , イラク関係

アップデート:訂正のお知らせ。最後をご参照のこと。

民主党と共和党の双方から草案が出ていたイラク増派反対決議案だが、今日になって口調のきつい民主党の案は反故になり、比較的柔らかい口調の共和党の案ひとつに絞ることで議決案が決定した。

ワシントン──共和党のジョン・ワーナー上院議員(バージニア)と民主党のカール・レビン上院議員(ミシガン)は1月31日、新イラク政策に基く米軍増派への超党派反対決議案を提出した。

レビン議員は1月、ワーナー議員の後任として上院軍事委員会議長に就任。両議員は各自の決議案を競い、厳しい表現が少ないワーナー議員案の方が共和党の支持を集めていた。

超党派となった新たな決議案は、増派反対に関するワーナー議員案の表現を尊重したうえで、米軍のイラク駐留費を守る方針を盛り込んだ内容。レビン議員案の「増派は国益に反する」といった表現や、ワーナー議員案で一定規模の増派支持を示唆する部分は削除された。

決議案の一本化で共和・民主両党の支持は一層拡大し、可決の可能性が高まる見通し。リード上院多数党院内総務(民主党)は軍事委員会での審議を経ずに、2月5日から本会議で決議案の討論に入る意向を示した。

ヒューヒューイットのサイトに決議案の全文が載っている。長ったらしくぐたぐた書いてはあるが、どこにも「増派絶対反対」とか新作戦がうまくいかなかったら「即刻撤退すべき」といった文章は出てこない。多少きつい言い方があるとしたら、イラク市民が率先して治安維持と復興に取り組まなければ、アメリカ国民からの支持を失うであろう、といった部分くらいだろうか。

具体的にイラク政府がしなえければならないこととして11の項目が挙げられており、その結果をイラク政府はイラク大使を通じて月毎にアメリカ議会に報告することとある。

はっきり言ってこんな議決通してなんになるのだろうか? 単にブッシュ大統領の新作戦がきちんといくかどうかちゃんと報告して下さいね、イラクさん、いつまでもアメリカに頼ってばかりじゃ駄目よ、程度の内容であり、ブッシュ批判にも増派反対にも全くなっていない。しかも投票阻止にあわないための60票が集まる可能性はほとんどなく、この議決は投票にも持っていかれずに消え去るだろうというのが今の見方。

全く騒いだ割には意味のない腰抜け内容になったようだ。

アップデート:私がウォーナー議員提案としてヒュー・ヒューイットのサイトへのリンクを張った提案は、ウォーナー議員のものではなく、マケイン(共和)・リーバーマン(独立)議員が主催となって提案した議決案でした。訂正します。しかし、ウォーナー氏は自分の提案からは辞退し、新しく提案されたマケイン・リーバーマンのほうに投票するかもしれないという意志を示しはじめている。となるとウォーナー議案が通る可能性はかなり低まった。本文でも説明したようにマケインの発案は単にイラクが復興の経過をアメリカ議会に定期的に報告せよというもので、別にブッシュ新作戦への批判ではないから、この議決案、はっきりいって何の意味もないものになりそうだ。

February 2, 2007, 現時間 1:40 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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January 30, 2007

イラクに伸びるイランの魔の手

イラク関係 , イランが危ない , イランをどうするか

English version of this post can be read here.

私がしょっちゅうサドルがイランの飼い豚だという話をしているので、ブログ仲間のアセアンさんからそんな証拠はあるのか、あるとしたら、サドルのマフディ軍はレバノンのヒズボラのような存在だとカカシが考えているのかどうか、というご質問を頂いた。私はサドルがヒズボラのような立場を望んでいるとは考えていない。奴はイランを利用できるだけ利用してイラクの混乱に乗じて自分の勢力を広げようという魂胆だろう。イランはイランで利用できる人間はシーアのサドルであろうと、スンニのアルカエダであろうと利用してやろうという魂胆だと思う。

イラクへの増派が始まるまでもなく、イラクではイラク・アメリカ連合軍による戦闘が勢いを増している。最近起きている激しい戦闘にはスンニ派にもシーア派にもイランの指紋がべったりとついているのだ。

イラクで起きる数々の暴力沙汰にイランの魔の手が関与していることは、もうかなり前から疑われていた。しかし、去年の秋頃までは無駄にイランを刺激しないことで、イランからの協力を得られるかもしれないというかすかな希望にでもすがっていたのか、アメリカ軍はイランの影響力を公の場では過小評価してきた。しかしこの方法は全くイランの強行な姿勢を変えていないどころか、イランの核開発はどんどん進んでいる。そこでどうやらやっとアメリカはイランの関与について暴露する方針に変えたようだ。

さて28日にナジャフで起きた戦闘についてちょっと考えてみよう。

ナジャフで戦闘、武装勢力の死者300人と イラク

イラク・ナジャフ(2007.01.29- CNN/AP/REUTERS)─イラク中部のイスラム教シーア派聖地ナジャフで28日、イラク治安部隊と同国駐留米軍が600人近い武装勢力と交戦し、武装勢力側の推定250─300人が死亡した。内務省関係者が明らかにした。地元警察幹部によると、戦闘は29日朝まで続いたが、その後ほぼ沈静化した。...

地元警察幹部が国営テレビ局アルイラキアに語ったところによると、イラク治安部隊は、ナジャフの北方約10キロのザルカ付近に武装勢力が集結しているとの情報を得て出動した。その後、兵士や地元警官ら6人の死者が出たためいったん撤退し、米軍の援護を求めたという。

ザルカでは戦闘中に米軍のヘリコプターが墜落し、米兵2人が死亡した。米軍は墜落原因を調査中としているが、イラク当局者は武装勢力のミサイルに撃墜されたとの見解を示した。

武装勢力は、イスラム暦新年に行われるシーア派の宗教行事「アシュラ」に合わせ、ナジャフへ向かう巡礼者らに紛れて南進したとみられる。

この記事には書かれていないが、英語版のAPの記事によれば、さらにスダン人を含む外国人戦闘員など100人が拘束されたとある。

また、28日の段階では反乱軍がスンニなのかシーアなのかはっきりしていなかった。それもそのなず、「天国の兵士」と名乗るこの軍団はこれまで全く知られていなかったカルト集団で、アルカエダが主体とはいえ、シーアの民兵もかなり含まれいたらしい。しかも彼等の武器整備はすごいもので、少なくとも二機の対航空機スティンガー形ミサイルを使用し、重量型マシンガンも使われたという。

本日の ニューヨークタイムス にもっと詳しい情報が載っている。NTTimesによれば、敵側の戦死者は470人は下らないという。しかも味方イラク軍の戦死者はたったの25人。これは圧倒的なイラク・アメリカ連合軍の勝利である。

しかし、そこは反米NYTimesの記事。味方の大勝利を素直には喜べない。なんとか悲観的な見方をしようと必死だ。そこでNYTimesはイラク軍の戦いかたに「困惑する疑問」が湧くとしている。

イラク軍は整地ナジャフ付近でこの週末に起きたよく知られていない与太者民兵軍と激しい戦いに驚かされもう少しで圧倒されそうになった。イラク軍は当初発表されたような単なる後方援護よりももっと大規模な援護を必要としたと米軍とイラク軍の要員は月曜日語った。

関係者の話によるとイラク軍は自らを「天国の戦士」と名乗る何百人もの戦闘員の強さを危険なほど過小評価しすぎ、アメリカ軍は空からだけでなく、地上隊も出動してイラク軍を援助するに至った。...

イラク軍とアメリカ軍は最後には戦闘になんとか勝った。しかしイラク軍の反乱軍の強さとその意図に関する誤算にはイラク軍の脅威を把握し処置する能力に関して 困惑する疑問が湧いた。

まったくこれだけの圧倒的な勝ち戦でここまでこき下ろされるんじゃ、負け戦だったら何と言われることだろう。現実にはイラク軍は反乱軍の規模の大きさに気が付かなかった。それというのも、反乱軍はアシュラの参詣者に紛れ込んでナジャフに数日前から潜入していたからだ。だが、ここで注目されるべきは圧倒的多数の敵に面してイラク軍は怯まず、2004年の最初のファルージャ戦闘の時のように制服を脱ぎ捨て退散するようなことはしなかった。それどころか、周りを敵に取り囲まれながら堤防を築き、空と陸からの援軍が来るまで味方を大量に失わずに勇敢に戦ったのである。本来ならばそのことが讃えられるべきなのだ。

ま、それはともかく、この綿密に計画を立てられた用意周到な戦闘は、最近カバーラで起きたもうひとつの事件 を思い出させる。

去る1月20日(2007)地元のイラク人と会議中のアメリカ兵が攻撃に合い、1名がその場で死亡、4名が手錠をかけられ拉致された上、数十キロ先で銃殺されるという事件があった。警備にあたっていたイラク軍の話では12人の何者かがアメリカ兵の制服を着用し、アメリカ軍が常用する乗り物に乗り、アメリカ軍の持つ兵器を所持して関門を通り抜けたという。しかも「兵士」の一人は英語を話し、一人は金髪だったという証言さえある。

この非常に巧妙な手段はアルカエダの乱暴な自動車テロなどとは全く異質のものであるし、シーア派の民兵などによる能のない撃ち合いなどよりずっと高度な作戦がとられていた。これはただのテロリストやギャングの仕業ではなく相当な訓練を受けたイランでも特に凶暴な特別部隊、クウォード隊(Qods)の仕業ではないかという見方が強まっている。

事実イランはイラク国内でずっと以前から秘密工作をおこなっていた。イランはなんとスンニとシーアの双方に武器調達、戦闘訓練などを提供してきていたのだ。最近アメリカ軍によるイラン勢力アジトへの攻撃の際、アメリカ軍は ある書類を発見した。 それはなんとイラン軍によるイラク紛争促進の青写真だったのである。

アメリカ諜報部員によると、新しく発見されたこの書類の信憑性は諜報専門家の間で調査済みだという。 これによって「イランはシーア民兵軍とスンニ聖戦軍の両方と密接に活動している」ことがはっきりした。...

同じ書類を調査した別のアメリカ要員は、この書類は「煙の出ている銃」だとし、「攻撃計画、スンニ関係者の電話番号などあらゆること記されており、今まで何をやっているのか、空白だった部分が相当埋められました。」と語った。

どうやらイランにも独自の「イラク調査委員会」があったようで、彼等の「推薦」はイラクに内戦をおこさせることだったようだ。皮肉なことに月曜日, イランはイラク「援助」の計画を発表した。 :

ハサン・カゼミ・クミ( Hassan Kazemi Qumi)大使は「治安維持の戦い」のため イランはイラク政府軍を訓練し、武器援助やアドバイザーを送る用意がある。と発表した。また経済面でもイランは4年前にフセインを倒してい後アメリカが失敗している部分において、イラク復興のため主な責務を果たす用意があると語った。

「我々は戦後の復興には経験があります。」とクミ大使。1980年代におきたイラン・イラク戦争をさして語った。「この経験を生かしてイラクの復興に役立てたいと思います。」

またクミ大使は、先月アメリカ軍が一時的に拘束し解放したイラン人が、アメリカが主張していたように軍事要員であったことを初めて認めた。しかし彼等はイラクでイラク政府と話あうために正当な活動をしていたのであり、拘束されるべきではなかったと語った。

イランは親切にもアメリカが足りないところを補ってイラクの復興に手を貸してくれるというのである。なんとありがたいことではないか? 無論、奴らの企みはかなり明白である。最近アメリカが公にイランのイラクへの関与を暴露し批判しはじめたため、イランも圧力を感じているのだ。イランはアメリカが一旦責めはじめたら、ヨーロッパやイスラエルのようには簡単に引かないことを承知している。だからアメリカからの攻撃から一時的に話をそらすために白々しい言い訳をしているのである。

しかしこのイランの態度を見る限り、イラクがアメリカと誠実な交渉などする気がないことは明白だ。ベーカー・ハミルトンが代表したイラク調査委員会の推薦がどれほど馬鹿げたものだったのかこれではっきりした。

January 30, 2007, 現時間 11:19 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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January 26, 2007

サドルの計算違い

イラク関係

イランの飼い豚サドルがアメリカとの衝突は避けマリキ政府と協力すると発表した。LATimesはサドルの動きにアメリカは驚いたとしているが、私は予想どおりの結果だと思う。先日私がラストチャンスという神話で、モハメッド君の話を紹介したのを思い出してもらいたい。

バグダッドに話を戻そう。サドルのマフディ軍は正面きってのアメリカ軍との戦闘は避けるつもりのようだ。マフディの司令官らはマフディ戦闘員に黒い制服を脱いで一般市民の間に紛れ込み、しばらくほとぼりが冷めるまで大人しくしているようにと命令したらしい。そしてアメリカ軍の捜査活動には全面的に協力し逮捕されても一切反撃してはいけないと厳重に注意したという。すでに高位の司令官らはイランに逃れたり、近隣都市に分散したりしてしまったようで、サドル派の本拠地であるサドルシティに残っているのはただのちんぴらだけという可能性もある。

すでに、サドル派はアメリカ軍への表立った抵抗は止めている。これまでアメリカ軍を「占領軍」と呼んでいた彼等もアメリカ政府と協力する姿勢をみせている。では本日のLATimesでは何が新しいニュースだと報じているのか、本筋はこれだ。

木曜日、バグダッドの本拠地にあるサドル運動のひとつのリーダーが、公にブッシュの新しい警備作戦を承認すると発表した。すくなくとも数人のアメリカ要員は作戦をサドルと戦うのに使うと公言していた。

「我々はこの作戦がうまくいくように出来る限りの協力をします。」サドル市近隣のシーア派系地区のリーダー、アブドゥール・フセイン・カーバイ(Abdul-Hussein Kaabai)氏は「イラク政府によって行われる計画なら自分達は協力する。」と語った。

どうやらサドル派は必死でアメリカ軍に自分らに抵抗の意志はないと訴えているように見える。だが、サドルが本気で政府に協力して暴力をあきらめるなどと考える人はいないだろう。サドルはアメリカ国内で何が起きているか十分に知っているのだ。ブッシュ大統領が新作戦を実施できる時間はブッシュが議会に新しく戦争予算の提案をするまでの数カ月であることをサドルはわきまえている。彼の計算ではその間おとなしくしていれば、アメリカ議会が予算を切り、ブッシュはイラク撤退を余儀なくされると踏んでいるのである。そうなったらまた兵を挙げればいい。増強された軍隊と真正面に戦ってやたらに人数を失う必要はないという考えだろう。サドル派はアルカエダと違って自殺願望ではないらしい。だが、この作戦にはいくつかの大きな問題がある。

まず第一に、意図的にしろ無理矢理にしろ一旦敵に占拠された領土を取り戻すとなると、もともとの領土を守るようなわけにはいかない。特に今回はアメリカ軍は完全に治安維持が保てるまで占拠した領土を数カ月はアメリカ軍で押さえ、その後にイラク軍に治安維持を受け渡すという作戦をとっている。バグダッド付近の警備に増派されるのは2万人のアメリカ兵だけではない。数万というイラク兵のことも忘れてはならない。

反戦派が何と言おうとアメリカ軍は野蛮人ではないので、占拠した市街地の市民を厳しく取り締まりはしても、理不尽な扱いはしない。地元民から金品を巻き上げるようなこともしなければ、婦女子を冒涜するようなこともない。それどころかアメリカ軍は一旦占拠した土地に学校をたてたり病院をたてたりするだろうし、地元のリーダーたちと協力して自治が可能な体制をつくるだろう。LATimesによれば、サドル派が占拠していた界隈でも民兵らの横暴な態度に市民からの不満が高まっていたという。サドル派民兵が留守の間に地元民による平和な自治が設立しイラク軍による警備が行われるようになっていたら、ただの愚連隊の民兵どもがそう易々とは戻って来れまい。

また、いくらこれがサドル派の生き延びる作戦とはいえ、それを教養のないシーア派民兵連中に理解することができるだろうか?これまで「占領軍」と言っていたアメリカ軍に媚びを売り、警備に全面協力しろなどという呼びかけは、単にサドルが自分の皮だけを救おうとしている臆病な手段なのではないだろうか、逮捕されたシーア派民兵が後で釈放されるという保証はあるのだろうか、サドルはおれたちを犠牲にして自分だけ助かろうとしているのではないだろうか、などという疑いがサドル派の民兵連中の間で生まれる可能性は大きい。民兵たちは正規軍ではない、ただのギャングである。何か月もサドルのいうことをきいて大人しくしているとは思えない。

自分勝手に暴れた民兵たちが大量にアメリカ軍やイラク軍に殺されるのは目に見えている。

そして、一般のイラク人たちはどう思うだろう? サドルが後に勢力を復活させるための「負けるが勝ち」という賢い手段だと解釈して感心するだろうか? バグダッドの地区が次々にアメリカ軍によって占領され治安が何か月も保たれたならば、はたしてイラク人はサドルの作戦を巧妙だと考え続けるだろうか?

最後にここが一番の問題だが、アルカエダの勢力は昔に比べたら大幅に衰えている。シーア派民兵が抵抗しなければバグダッドの治安はあっという間に安定する。つまり、サドルの思惑はどうでも傍目にはブッシュの新作戦が大成功をしたように見えるのである。アメリカ議会が新作戦に反対しているのはこの作戦が失敗すると思っているからで、失敗した作戦に加担したと投票者に思われるのを恐れた臆病者議員たちが騒いでいるに過ぎない。だが、新作戦が大成功となったなら、奴らは手のひらを返したようにブッシュにこびへつらうだろう。そして勝ってる戦争なら予算を削ったりなど出来なくなる。そんなことをすればそれこそアメリカ市民の怒りを買うからだ。

結果アメリカ軍は早期撤退どころか、イラクが完全に自治ができるまで長々と居座ることになるだろう。その間にアメリカ軍はなんとかサドルを殺す口実を作る必要がある。だが、サドルは所詮犯罪者だ。いずれ間違いを犯す。その時こそサドルを退治するチャンスである。

サドルの作戦は裏目にでるかもしれない。

January 26, 2007, 現時間 7:38 PM | コメント (2) | トラックバック (4)

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私が決断者だ!議会ではない、ブッシュ大統領が断言

アメリカ内政 , イラク関係

今朝のニュースでは二つほどブッシュ大統領の決断に関する記事があった。先ずはブッシュ大統領がイラクへの増派について、決断をする権限があるのは大統領である自分だと断言したという記事。

ブッシュ大統領は新作戦に反対する決議案が民主共和の両党から提案されていることに関して、「私は一番成功する可能性のある計画を選んだ」「作戦がうまくいく暇も与えずに批判しているひとがいる」などと強い口調で反撃。そこまでいうなら自分達で成功する方法を提案してみろ、とまで言っている。

リベラル連中はすでにこのブッシュのきっぱりとした口調をあざ笑っているが、普通のアメリカ人はこういう強気の大統領を頼もしいと思うのではないかという気がする。大統領は国のリーダーであり、軍隊の総指揮官である。そのリーダーが権限もない議会の決議案で右往左往しているようでは戦争に勝てるはずがない。こうしてきっぱりと議会に挑戦状を叩き付けるとは、さすがジョージ・W・ブッシュ。

ホワイトハウスの芝生で記者からイラクにいるイラン戦闘員に対する扱いが厳しくなっているが、それがかえって暴力を激化させているのではないかという質問に対してブッシュは自分の方針を弁護しながらも、イランに戦争が拡大するという可能性については「そのような考えは正しくない」と答えた。「我々の方針は我が軍を守ることにある。理屈にあっている。」と付け加えた。

さて、そのイラクのイラン戦闘員の話だが、それが二つ目の記事だ。

イラクのイラン人工作員の「殺害承認」

ワシントン(2007.01.26、 CNN/REUTERS)米紙ワシントン・ポストは26日、ブッシュ大統領がイラク駐留米軍に対し、同国内で活動するイラン人工作員を殺害もしくは捕そくする権限を昨年秋に与えていたと報じた。この権限付与を直接知り得る立場にある政府やテロ対策当局者の情報として伝えた。...

同紙は、イラン人工作員の殺害承認について、一般人や外交官が対象ではなく、イラクの武装組織と関係するイラン革命防衛隊や情報機関の要員が主な狙いとも報じた。米軍は殺害承認を受け、特殊部隊を投入してはいないが、米政権高官は同部隊を使うよう促しているという。

イラクでは先月、米軍の3度にわたる捜索で複数のイラン政府関係者が拘束されている。カリルザード駐イラク大使は24日、拘束の容疑については近く発表するとの方針を示していた。ただ、米軍の捜索は、イラクへのイランの関与を示す治安要員のネットワーク追及の目的があったとしている。

イラク国内で戦闘員の訓練や武器、資金の援助などの工作をしているイラン人やシリア人は容赦しないというのもブッシュの新作戦の一部である。だからアメリカメディアが今さら驚くほどのことはないはずだ。

ブッシュ大統領は国境を越えてイランまで戦闘を拡大するつもりはないと言っているが、私はそれはちょっと疑わしいと思う。ブッシュのイラン工作員に対する新しい方針はイランへの牽制であると考えることも出来るが、イランのイラクでの介入があまりにもあからさまになった場合、ブッシュはその行為をそのままイラク内での工作員退治だけに留めておくだろうか?

もっともイランにそのような猜疑心を持たせておくのも悪くない。イランがアメリカ攻撃を真剣に心配するようになれば、核兵器開発への野心も鈍る可能性があるからだ。

January 26, 2007, 現時間 1:50 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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January 25, 2007

ブッシュ大統領一般教書演説は好評

アメリカ内政 , イラク関係 , イランをどうするか

先日火曜日のブッシュ大統領一般教書演説は、民主党が期待していたような「イラクは負けてる撤退しよう」といった弱気な演説ではなく、ここで負けてたまるか、がんばろうという感じの演説だった。

ブッシュ米大統領が23日行った一般教書演説は、対テロ戦争やイラク問題での成果を声高に叫んだ昨年までと打って変わり、順調な経済運営や福祉政策の充実を冒頭で訴える内政重視の内容となった。政権への逆風が続くなか、残り2年の任期で多くの成果は期待しにくい事情を映した格好だ。対テロ戦については「武力衝突を超えたイデオロギー闘争」であり長期戦であるとして、イラク増派など、これまでの指針をあくまで貫く考えを表明した。...

対テロ戦に関しては、(1)米中枢同時テロなど米側の被害を繰り返し指摘(2)テロ抑止の実績を強調(3)対テロ戦にここで失敗すれば、より大きな被害を受けると警告(4)戦いの本質はイスラム教原理主義の独裁思想とのイデオロギー闘争であり、世代を超えた長期戦を予告−という構成。イラク政府がその責務を果たすためにも2万人以上の兵力増派を含むイラク新政策の実行が必要だと訴えた。論法は変わっても任期中はあくまで、この政策を貫く考えが読み取れる

産経の記事はかなり悲観的ではあるが、生で見ていた私には決して大統領が悲観的であるようには見えなかった。かえって元気がでる内容だったと思う。国民の感想も結構好評なようだ。演説直後に行われたCNNの世論調査によると、

演説を見た370人の大人のうち41%が「とても好意的」な反応を得たと答えた。 また37%が「どちらかといえば好意的」と答えた。2006年の時は「とても好意的」が48%、2005年では60%だった...

昨晩演説をみた67%の人々がブッシュの政策が国を正しい方向に進ませていると答えた、ブッシュ政権中で最低の数値となった。2006年では68%、2005年では77%だった。

また53%がこの演説によってブッシュと議会をコントロールする民主党とがもっと協力するようになると答えた。43%が演説によって双方がよけいに反対しあうだろうと答えた。

演説を見た51%がとても、もしくはどちらかといえばイラクにおいてアメリカが目的を達成できる自信があると答えた。ブッシュ大統領の2004年の演説の後ではこの数字は71%だった。

まったくCNNはこれまでの年と比べて、イラク戦争への支持が減っていると強調したいようだ。しかし、反戦メディアが日がな夜がな「泥沼、ベトナム、撤退、内乱」と騒いで、これだけイラクは失敗だとあらゆる場所で繰り返されているにも関わらず、まだ過半数のアメリカ人がイラクでは勝てると自信をもっているというのはこれだけでもすごい思う。

しかし比べるべきなのはこれまでの演説の結果ではなく、ブッシュの演説前と演説後の人々の気持ちの差である。演説前の世論調査ではブッシュの新作戦が成功すると考えていた人の数は25〜29%だった。ところが演説の後になるとその数は51%にあがったのである。ということはブッシュの演説は多くのアメリカ人にあらたな自信を与えたことになるのだ。演説とはこうあるべきだ。

普通のアメリカ人はテレビの前に一時間も座って大統領の演説など聞かないと思う。だから多くの人たちはまだ大統領の新作戦が具体的にどういうものなのかわかっていないだろう。ブッシュの演説が演説をきいた人たちの間でこれだけ良い影響があったのであれば、ブッシュ大統領を初め報道官のトニー・スノーや、副大統領、国務長官、防衛長官などがテレビのトークショーなどに出演してどんどん説明にあたれば、もっと多くのアメリカ人が新しい作戦を支持するようになるはずだ。

アメリカは今よりもっとひどい状態になったことが何度もある。古くは南北戦争、第二次世界大戦、朝鮮戦争などでも、イラクなど比べものにならないほど大量に兵士を失い勝てる見込みが薄い時があった。しかしアメリカはそれらを乗り越えて勝利を得てきた。ブッシュ大統領はアメリカ市民に辛抱を求めた。この新しい作戦がうまくいく時間を求めた。過去にもっとひどい苦境を乗り越えてきたアメリカ人にならそれができる、この演説は改めアメリカ人にそう思わせる演説だったと思う。

イラク戦争は何もかも思いどおりにいっているかといえば、無論そうではない。だが戦争というものは得てしてそういうものだ。どんなに綿密に作戦をたてても、100%計画どおりにいく戦争など存在しない。しかし計画が多少失敗しても、うまくいかないから撤退を考えるのではなく、どうやってうまくいってない箇所を調節できるのか、どうやったら失敗を糧にして勝利に結び付けるのか、それを考えるべきである。

私はこの戦争には勝てると信じている。より多くのアメリカ人がそれを信じ大統領を支持すればその可能性はもっと高くなる。この大事な時に新作戦には反対だなどと下らない決議案をとおしている場合ではない!

January 25, 2007, 現時間 8:46 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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イラク、アメリカ軍訓練チームが面する難関

イラク関係

アメリカ人ブロガー(Bill Roggio, The Fourth Rail)でフリーランスジャーナリスト、元陸軍特別部隊のビル・ロジオがまたまたイラクで従軍報道をしている。ここ2年くらい彼はしょっちゅうイラクやアフガニスタンに行っているので、彼がアメリカにいることの方が珍しいくらいだ。

今回ロジオはアメリカ軍のイラク軍訓練チーム(Military Transision Team, MTT)に従軍している。それで今日はこのチームが直面している難かしさについて紹介したいと思う。ここでロジオが強調している点は、これはけっして失敗例をあげているのではなく、アメリカ軍はこうした問題を解決していなかければならないということを示しているに過ぎないということだ。どんな企画にも難関は存在する。戦争をしている以上それがどんなものなのか知っておく必要がある。

陸軍と海兵隊、見解の違い:訓練チーム、3/3-1 MTT 隊はいま5人の海兵隊員と9人の陸軍兵による合併チームになっている。同じ軍隊でも海兵隊と陸軍では文化が違う。それでどうやってイラク軍を訓練するかということで意見の違いが生まれるわけだ。

チームリーダーのオーウェン・ウエスト少佐によると、陸軍はスタッフを育て訓練プログラムを確率することに焦点を当てるが、海兵隊はイラク軍と共にパトロールしたり抵抗軍と戦うことに焦点をあてるという。

「実をいうとどちらも正しいのです。」とウエスト少佐は言う。しかし両方の方法を効果的に取り入れるための十分な資源はない。結果、海兵隊の見解がほぼ勝った形になっている。この難しさにも関わらず、 3/3-1 MTT 隊はイラク大隊の発育と住居環境を非常に向上させた。

MTTの任務は訓練と警備にある。以前には人が足りずどちらか一つを選ばなければならなかったが、今はそのどちらも出来るようになった。3/3-1 MTT チームは近いうちに海兵隊だけのチームになる。陸軍兵たちはスティーブ・シルベスター少佐に率いられバグダッドでイラク警察の訓練にあたることになっている。

司令部と現場の衝突:一般の会社でもそうだが、現場の人間が経営側が現場の状況を正しく把握しておらず、必要な支援をしてもらってないと感じることはよくあることだ。イラクでも危険な前線で訓練を行っているMTTやPTT(警察訓練隊)は比較的安全な場所にいる前衛司令部(Forward Operating Bases、FOBs)から十分な援護がないと苦情を漏らす。表面的には訓練チームの任務が最優先ということになっているのだが、現場のものからすると彼等はFOBから最低限の援護しかもらっていないと感じるようだ。

ウエスト少佐によると空からの援護にしても、アメリカ軍の海兵隊一隊のほうがイラク軍三隊よりも多く援護がもらえるという。また防御に必要なメッシュや食料などの生活必需品もしょっちゅう足りなくなるという。ロジオ自身もフォビットと呼ばれる訓練チームの待遇と前衛司令部施設とでは全く違うことを体験している。FOBにはネットカフェあり、食堂にはサラダバーあり、贅沢品がいくらでも存在する。FOBは大掛かりな防御フェンスに囲まれており、多額の資源が無駄遣いされているという。ロジオはFOBよりもずっと危険な最前線にいるMTTやPTTにこそこれらの資源が回されるべきなのではないかと語る。

バカサヨ戦闘規制: ロジオは「政治的に正しい(PC)」という言葉を使っているが、カカシに言わせればこれは「バカサヨ政策」である。つまり、アメリカ兵たちは後になって敵に対して非人道的な行為をしたといって責められるのを恐れて十分な戦いができなくなっているのだ。相手は女子供も容赦なくぶっとばすようなテロリストだというのに、こっちは相手の人権を尊重した戦いをしなければならないなんて、はっきりいって馬鹿げている。

「PCのおかげで我々は間違った恐怖心に満ちています。」ウエスト少佐は語る。「我々は囚人たちを私の大学で同室した同級生より大切に扱ってますよ。」

「我々があまりにも神経質に文化的な問題をあつかうのをイラク軍は笑ってます。」

特に女性を逮捕する時などの気の使い用は異常で、外国人テロリストを匿っているとはっきりしている場合でも、司令部からの許可がなければ現場の判断で女性を逮捕できないという規則は、イラク兵たちは信じられないという顔でみているそうだ。

敵の心ではなく頭を: 我々は反乱軍との戦いをするに当たって、非常な誤解をしているとウエスト少佐は語る。

「アンバーでは、平均的な男性が我々の敵なのです。彼等の心を勝ち取ることはできません。しかし彼等の頭脳を勝ち取り常識的な判断ができるようにすることならできます。」彼等がアメリカ軍やイラク軍、そしてイラク警察を攻撃しないようにするためには、「多くの(戦闘員年齢の)男性を捕らえて釈放しないことです。」捕らえては放つというやりかたは、既知の反乱軍が釈放後再び戦うという状態になっている。つまりかえってこれが敵による攻撃をより促進しているのである。

ウエスト少佐は「壊れた窓理論」式のやり方でどんな些細な犯罪も見逃さず厳しく取り締まる必要があるという。イラク兵たちの目から見るとアメリカ軍のこの異常なまでの反乱軍への「合法な扱い」が信じられないようだ。これは戦争である。にもかかわらず我が軍はテロリストを普通の刑事犯罪の容疑者のように「疑わしきは罰せず」などという態度で扱っているから、誰の目からも有罪なテロリストが完璧な証拠がないという理由で釈放され、再び同じ人と何度も何度も戦うはめになっている。こんなやり方をずっとやってきてアメリカ軍の犠牲がせいぜい3000人ということのほうが驚きだ。イラク兵があきれるのも無理はない。

今回のブッシュ大統領の新作戦はこのような馬鹿げた規制を改正することに焦点を当てている。二万程度の増派などよりこうしたバカサヨ規制を取り除くことが最優先だろう。ロジオの最前線からの報告のおかげでカカシは現在の戦闘規制(ROE)の改正がどれだけ大切かがよくわかった。

ところでオーウェン・ウエスト少佐は別のミルブロガー(米軍関係者の経営するブログ)Black Fiveの仲間で、確かブラックファイブにもエントリーを書いていたように記憶している。軍隊に入るのは他に何もできない無能な人間ばかりだというジョン・ケリー議員のような偏見とは裏腹に、ウエスト少佐はエリートで、スタンフォードとハーバードの両方を卒業。少佐は一旦は海兵隊将校の任務を終えて除隊した後、ゴールドマン・サックスという一流証券会社に勤めていた。またすごい運動家でエコチャレンジやエベレスト登山に挑戦したりしている。そのままエリートビジネスマンとして平和に暮らすこともできたのにわざわざ再入隊して危険な場所でイラク軍の訓練に当たっているというすごい人である。

ウエスト少佐からのメールをブラックファイブで読むことができるので、英語に自信のある人は読むことをおすすめする。

January 25, 2007, 現時間 4:28 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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ケリー議員大統領選出馬断念の持つ意味

アメリカ内政 , イラク関係

前回の大統領選挙で民主党候補だったジョン・ケリー上院議員は昨日2008年の大統領選出馬はしない意志をあきらかにした。ケリー議員が出馬を断念した大きな理由が数カ月前の勉強しないとイラクへいくはめになるといったあの失言にある。

 ケリー氏は04年大統領選で現職のブッシュ大統領に敗れたが、08年大統領選に向けて出馬の機会をうかがっていた。ベトナム帰還兵で、イラクからの米軍撤退について具体的な日程を定めるよう要求するなど早期撤退の旗振り役だが、昨年11月の中間選挙直前には学生を前に「勉強しないとイラクに行って苦労するはめになる」と発言、批判を浴びた

ケリー氏の報道官もあの発言以来ケリーの支持率は下降の一途をたどったと認めている。しかし、みなさん、ここで考えていただきたい。もし主流メディアがいうようにアメリカ市民のイラク戦争支持がどんどん下がっているのだとしたら、どうして反軍隊のケリー氏の人気が落ちるのであろうか?

私は民主党もそして一部の共和党員もこの間の選挙結果を間違って解釈していると思う。確かにアメリカ人はイラク情勢に苛立ちを覚えている。だがそれはイラク戦争そのものへの不満ではなくアメリカが勝っていないことへの不満なのだ。アメリカ人は勝者が好きなのである。

民主党は何かとアメリカを膝まずかせようとする。あたかもアメリカが世界のスーパーパワーであることが恥かしくて仕方ないかのように。だが一般のアメリカ人は自分達が世界一であることを恥じるどころか誇りに思っている。アメリカが強いのだという意識を確認するニュースを歓迎するのだ。だからアメリカの力を象徴するアメリカ軍を侮辱するような言動を許さないのである。

ということは、もしブッシュがイラク戦争に勝つことができたならアメリカ国民のイラクに対する気持ちも変わるだろう。特に共和党支持者にはその傾向がある。アメリカ議員たちはケリーの出馬断念から学び、アメリカ市民がこの間の選挙で議会に何を求めたのか明確に判断する必要がある。

それができなければ2008年にひどいツケを払わされることになるだろう。

January 25, 2007, 現時間 2:06 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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January 24, 2007

米共和党の負け犬たち

アメリカ内政 , イラク関係

昨日の演説でブッシュ大統領はイラク戦争への大事さを再び訴えた。しかし、民主党のみならず、共和党の議員のなかにも今回のブッシュ大統領の作戦変更に自信のない負け犬精神をもった臆病者が結構いる。まずはこの記事から。

イラク増派反対決議案、共和党主導で提出へ…米上院

【ワシントン=五十嵐文】米上院のジョン・ウォーナー前軍事委員長ら共和党議員3人と、民主党のベン・ネルソン議員は22日、記者会見し、ブッシュ大統領が提唱したイラクへの米軍2万1500人増派に反対する決議案を提出する方針を明らかにした。

 上院では、すでにジョゼフ・バイデン外交委員長、カール・レビン軍事委員長ら民主党議員を中心とする超党派の増派反対決議案が提出されているが、共和党主導の決議案は初めてとなる。増派反対論が、共和党内でも強まっていることを示している。

 ウォーナー議員によると、決議案は2万人規模の増派への反対を明確にした上で、大統領に対し、「2万1500人より少ない兵力で戦略的目標を達成するため、あらゆる選択肢を検討するよう促す」としている。

 先の民主党主導の決議案と同様、法的な拘束力は持たない上、小規模な増派の容認に含みを持たせているのが特徴だ。23日夜の大統領の一般教書演説や、民主党主導の決議案を巡る議論の行方などをみた上で、提出時期を検討するとしている。
(2007年1月23日10時25分 読売新聞)

ここではっきりと読者の皆様に言っておくが、こうした議決には全く施行能力はない。アメリカの憲法によって軍の動きや規模は大統領のみに決断の権限がまかされており、議会が口を挟む権利は全くないのである。だからこれらの決議は議会が大統領を支持していないという形だけの意思表示でしかない。ではどうして議会がそんな無駄なことをするのかといえば、個々の議員たちが自分の地区の投票者に向かって自分が戦争に反対であるという意思表示をすることで再選に備えようという動機からくるのである。

しかし、施行力がないとはいえ、この政治家たちの思惑による決議が戦況の及ぼす悪影響は計り知れない。議会の決議は大統領の政策変更には全く結びつかないとはいえ、最前線で戦う兵士らの士気には響くだろう。また我々の敵も我々が一致団結して戦争にとりくんでいないということを十分に理解し、アメリカ軍や民間人の犠牲を増やせば増やすほど我々が撤退する可能性が高まると奮起を起こすだろう。

民主党の決議案が即刻撤退決議案とするなら、こっちは「ゆっくり撤退組」とでもいうのだろう。 最初からイラク戦争に反対をしていた民主党議員やチャック・ヘーグルのような共和党議員がこのような決議案に署名するのはまあしょうがないとしても、このワーナー(読売の発音ではウォーナー)発案では数名の戦争支持派が含まれていることにがっかりさせられる。

  1. サム・ブラウンバック (カンザス州、100%)
  2. スーザン・コリンズ (メイン州、32%)
  3. オリンピア・スノー (メイン州、32%)
  4. ノーム・コールマン (ミネソタ州, 64%)
  5. チャック・ヘーグル (ネブラスカ州、 96%)
  6. ジョージ・ボイノビッチ (オハイオ州、 68%)
  7. ゴードン・スミス (オレゴン州、58%)
  8. ジョン・ワーナー (バージニア、88%)


括弧ないの何%という数字は、その議員がどれだけの割合で党の政策に同意してきたかという数値である。共和党のなかでもRINOと呼ばれる共和党はこの数値が低い。スーザン・コリンズやオリンピア・スノーなどがこの部類に入る。チャック・へーグルは保守派ではあるが、もともとイラク戦争は反対だった。だからこの人たちが作戦変更に反対でも別にいまさら驚くことではない。

問題なのは他の面では共和党政策一筋できていた共和党議員が自分の地区がリベラル化し反戦ムードが高まったことから自分の信念を捨てて反戦決議案に同意しようという動きである。共和率100%のサム・ブラウンバックは大統領選に出馬予定だ。どうやら彼はアメリカ市民がイラク戦争から尻尾を巻いて退散するのを望んでいるという主流メディアの主張を完全に信じ切っているようだ。彼には信念も根性もないらしい。

ジョン・ワーナーの場合は80という高齢なので年とって弱気になっているとしか思えない。全く年はとりたくないもんだ。しかし年とってきちんとした判断能力を失っているのなら早く引退するくらいの良識があってもよさそうなもんだ。

しかしこの中で一番残念なのはミネソタのノーム・コールマンだろう。ミネソタの保守派はずいぶん彼の後押しをしてきたので、これはひどい裏切りといえる。彼の代表地域はどんどんリベラル化しているので、再選のことも考えての行動なのかもしれないが、自分の政治生命が大事で信念を窓から放り投げようとは全く見損なったとしかいいようがない。

ほかにも数人、心が揺らいでいる共和党議員たちがいるが、残りの共和党員が結託すれば賛成派は58人であり、共和党リーダーのミッチ・マコーネルが根性をみせて議事妨害を行ったなら、それを押しのけて投票に持っていくには2票足りない。ということは共和党次第でこの二つの侮辱的で臆病な決議案を完全に潰してしまうことができるのである。

私はここで保守派共和党議員の人たちに訴えたい!この戦争は勝てる。だがそのためには我々が心を一つにして大統領の政策を支持しなければならない。我々は戦争中なのである。個人の政治生命よりも国がこの戦争に勝つことが最優先されるべきだ。すくなくとも共和党の議員たちにはそれを理解してもらいたい。

第一考えてもみよう。この決議案に賛成して、ブッシュ新作戦がうまくいった暁には同意した共和党議員らはばかをさらけだす。もし新作戦が失敗したら裏切り者と呼ばれるだろう。どっちにしても共和党議員がこれらの決議案に賛成して得することはありえない。

共和党の議員さんたちにどうかそのことを十分に考えてもらいたい。

January 24, 2007, 現時間 5:18 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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January 21, 2007

アメリカで反米運動をするイラク人ブロガー

イラク関係

親米のイラク人ブロガーの話をしたことでもあり、今度は反米イラク人ブロガーの意見を取り上げようと思い、二年ぶりくらいにRaed In the MIddleを訪れてみた。

ラエドは母親がシーア、父親がスンニ、自分は真ん中といって「真ん中のラエド」というブログを作ったらしいのだが、アメリカを「占領軍」と呼びイラク人による抵抗は正当だと非常に過激なことを書いていた。それで私は今頃はどっかの民兵軍にでも参加してアメリカ軍と戦っているのではないかとおもっていたのだが、、、

久しぶりに訪れたブログをみてびっくり! な、な、なんと、ラエド君は一年前からアメリカにすんでいるというのである!あんなにアメリカを憎んでいたはずの人間が自分の国に侵略し占領した敵国に移住するというはどういうことだ!バグダッドに残ってアメリカ軍と戦うべきではないのか? バグダッドが宗派間争いで危ない時に自分だけがアメリカへ逃げ出して戦いはほかの人たちに任せるラエド。なんたる卑怯者。なんたる臆病者。

しかもラエドはアメリカで何をやっているかといえば、もちろん、反米運動!!!!!!

ラエド君は自分が命の危機にさらされずに好き勝手なことが言えるアメリカのありがたさが全然わかってないようです。

それにしてもアメリカはこんな反米過激派運動家をなんで入国させたのだ? アメリカの移民局はなにをやっとるんだ!

January 21, 2007, 現時間 7:43 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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ラストチャンスという神話

イラク関係

さてここで、今度のブッシュの新作戦をイラク人はどう受け止めているのか、イラク・ザ・モデルのモハメッド君の意見をちょっと紹介しよう。(私がモハメッドを君呼ばわりする理由は長年読んでいて親しみを感じているというカカシの勝手な思い込みによる。個人的な知り合いでは全くない。ははは、、、、)

モハメッド君にいわせると、今回のブッシュの新作戦をブッシュにとって、イラクにとって、「ラストチャンス(最後の機会)」だなどという考えは基本的に間違っているとする。ラストチャンスという考えはこれまでのイラク政策は完全な大失敗であり、今度こそ成功しなければ何もかもおしまいだという前提に基づいての考えだからだ。

イラクの複雑な状況はバース党時代の何十年間にも渡る悪政によって作られたもので、複雑に入り込んでいる経済、民族、宗派の問題が軍事政策だけのほんの数年で完全に成功すると考えるほうがどうかしているというわけだ。モハメッド君はテロリストや民兵らの完全制圧など不可能だということは国内のテロリズムに長年悩まされきたスペインやイギリスを見れば明らかである。よって新作戦をラストチャンスと呼ぶ輩は、わざと成功の基準を非現実的に高くして絶対に成功させまいとしている、というのである。

さすが、モハメッド君は頭がいいね。アメリカメディアもアメリカの馬鹿サヨ連中も、イラクの成功など望んでいないということをモハメッド君はちゃんと理解しているのだ。

この間フォックスニュースの世論調査で非常に面白い質問があった。それは『あなたは個人的にブッシュ大統領が先週発表した計画の成功を望んでいますか? 』というのものだ。そしてその結果は次の通り。

    回答者全体:成功を望む 63% 、望まない 22%、分からない 15% 。
    民主党:成功を望む 51% 、望まない 34% 、分からない 15%
    共和党:成功を望む 79%、望まない 11%、分からない 10%
    無所属:成功を望む 63%、望まない 19% 、分からない 17%

アメリカ国民の22%が、民主党になると34%までが、ブッシュ新作戦の成功を望んでいないという結果は非常に興味深い。いくらブッシュ政権に敵意をもっているとはいえ、同じアメリカ人ではないか、それがライバル政党を敵視するあまり、自国が戦争に勝つことを望まない、イラクでテロリストや民兵が暴れまくって何万というイラク人が殺され、イラクがテロリストの温床となってアメリカはもとより世界中を脅かす結果になってもいいというのである!ブッシュへの敵意もここまでくると病気である。(カカシ注:保守派の間ではこのようにブッシュを憎むあまり現実が分からなくなっている人間のことを、ブッシュ錯乱症候群、Bush Derangement Syndrome, BDSと呼んでいる)

バグダッドに話を戻そう。サドルのマフディ軍は正面きってのアメリカ軍との戦闘は避けるつもりのようだ。マフディの司令官らはマフディ戦闘員に黒い制服を脱いで一般市民の間に紛れ込み、しばらくほとぼりが冷めるまで大人しくしているようにと命令したらしい。そしてアメリカ軍の捜査活動には全面的に協力し逮捕されても一切反撃してはいけないと厳重に注意したという。すでに高位の司令官らはイランに逃れたり、近隣都市に分散したりしてしまったようで、サドル派の本拠地であるサドルシティに残っているのはただのちんぴらだけという可能性もある。

またマリキがブッシュと会談した際からずっと議会へのボイコットを続けていたサドルはの議員や閣僚35人が議会に復帰したというニュースも入ってきた。ボイコットをしていたサドル派はシーア派党内の最大勢力だが復帰した理由として

マシュハダニ国会議長によると、米軍撤退日程の明示などサドル師派の要求を検討する委員会を設置することで議会側と合意したという。サドル師派のアラジ国会議員は「我々の要求に対する回答があったため」と説明した。

モハメッド君の紹介している新聞記事によると、サドル派は今回の手入れで逮捕された戦闘員は一旦バグダッドが鎮圧されたらすぐに釈放されると踏んでいるらしい。読売新聞も

マリキ政権は、治安対策強化を求める米政権の圧力を受け、サドル師派幹部や同派民兵組織「マフディ軍」の摘発を強化しており、サドル師派が、マリキ政権との協力姿勢強調を図った可能性もある。

以前にもうひとつのイラクのブログ、ヒーリングイラクでザイード君が、イラクでは昔から遊牧民の野党が収穫期になると砂漠からやってきて農村を荒らすのが常だったという。狙われた農村の人々は野党に立ち向かうなどということはせず、貴重品を持って一時的によそへ避難したという。村に残っていた農作物を奪って満足した野党がいなくなったら村民はまた戻ってきてこれまで通りの生活をはじめるというわけだ。アラブの戦士が侵略者に対して勇敢に戦わないのは、この伝統が下敷きになっている。

サドル派のマフディ軍もアメリカ軍やイラク軍との正面切っての衝突は愚かであることを十分に承知しているので、一連の攻撃がすむまでじっとしていて復活の機会を待とうというのだろう。サドル自身この手で何度も復活したから今回もこの作戦が成功する可能性は大きい。

そこでモハメッド君はマフディ軍のリーダー格の人間を次々に逮捕すべきだという。こういう人間はもともと犯罪者なのでどこかで間違いを起こすはずだという。そうしたら犯罪者として合法に裁判にかけることも可能だという。私はなにも彼等が間違いを犯すのを待つまでもなく民兵のリーダー格と知られている人間は徹底的に取り押さえるべきだと考える。特にサドルは今回こそ退治しなければならない。

シーア派民兵がイラク国民の支持を得た理由のひとつに、アメリカ軍とイラク軍が十分にバグダッドの治安を安定させることが出来なかったことにある。誰も自分の身を守ってくれないなら民兵に頼るしかないという気持ちになっても仕方ない。だが、今回の新作戦ではアメリカ軍とイラク軍による徹底的なスンニおよび外国人テロリスト退治が含まれている。もしこの新作戦が比較的成功して混乱の大きかったアンバー地域が比較的平穏になれば、地元市民はシーア派民兵の帰還を大手を広げて迎え入れるかどうかかなり疑問である。マフディ軍にとって、一旦敵に明け渡した領土を取り戻すのは、考えるより困難なことかもしれない。

January 21, 2007, 現時間 6:28 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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January 19, 2007

ブッシュ新作戦、早くも効果あり?

イラク関係

先日イラクザモデルでブッシュの新作戦を恐れてバグダッド付近のテロリストが近隣の都市に拡散しはじめているという記事を読んだばかりだったのだが、逃げ腰なのはアルカエダだけではない。シーアの民兵連中もブッシュの新作戦の威力を感じはじめたようである。

バグダッド、イラク (AP) -

シーア民兵軍の二人の司令官は木曜日、マリキ首相はワシントンからの圧力を受け過激派聖職者モクタダ・アルサドルのマフディ軍を保護するのを止めたと語った。民兵戦士らは彼等の本拠地であるサドル市に追いつめられていると語っている。

彼等によると組織は生きるか死ぬかの戦いをしているという。これはフェイントをかわすプロパガンダ作戦の可能性もあるが、民兵たちがどんどんとバランスを失っている証拠が積もっており、組織は戦士たちに市民の間に溶け込むようにと呼びかけている。 また逮捕を避けるために携帯の使用を禁止、戦士たち黒い制服を脱ぎ捨て日中は武器を隠して歩いている。

ついこの間までバグダッドの町中に好き勝手に関門をつくり、黒い制服をきて我が物顔で町を闊歩していたのとは大違いである。シーア派の民兵への攻撃はマリキ首相をはじめ多くの政府官僚の親戚や知り合いというコネでアメリカ軍による自由な攻撃が妨げられてきたからだが、その状況は明らかに変わったのである。

昨日、マリキ首相は400人あまりのシーア派民兵を逮捕したと発表。マフディ軍でも有力なサドルの側近がアメリカ軍の攻撃で二人殺された。マリキ首相はどうやらブッシュ大統領からの強いメッセージをやっと真剣に受け止める覚悟ができたようだ。

ここでも何度か話したように、イラクで必要なのは増兵よりもROE(戦闘規制)の緩和である。現地の兵隊さんたちが口をそろえていうことは、自分達はハンデをしょって戦争をしているということだ。全力投球で戦争して負けるならそれはそれだが、やれるだけのことをさせてもらえずに味方が危険にさらされたり、勝てる戦闘に勝てないほど苛立つことはない。

これはもう2年くらい前になるが、フリーランスの従軍記者、マイケル・ヨンがせっかく米軍が命がけで戦って捕らえたテロリストがたいした取り調べもなく数週間後には釈放され、また同じように米軍に戦いを挑んきて、同じことの繰り返しだと兵士らの不満を報告していた。

そのマイケル・ヨンも今度の新作戦についてラジオのインタビューでかなり楽観的な見解を示したようである。下記はインタビューの紹介文。英語のヒアリングに自信のある方は是非サイトにいって聴いてみることをおすすめする。

この週末、元グリーベレー(陸軍特別部隊)従軍市民ジャーナリスト、そして我々の友達マイケル・ヨンがイラクはモスールからパンディットレビューラジオに参加してくれました。

マイケルはイラクに戻って従軍したこの三週間で見たことについて驚くほどアップビートな観測を示しています。これは去年の春にマイケルが我々に語ってくれたどちらかといえば暗い見解とは非常に異なったものです。マイケルはイラク警備隊の士気と技術の向上をはなしてくれました。彼はイラクで現在勤務している男女の高い士気とすでに帰国して本国で勤務中の兵士らとの大きな違いを述べました。これは驚嘆というよりありません。また彼は「イラク人が十分に活躍していない」という、この戦争における一番面倒で危険な神話ついて分かりやすく説明してくれました。最後にペトラエウス将軍がどのようなひとであるか、そして俗にいう「増兵」計画についても語り合いました。

まだ新作戦の発表があって二週間足らずであり、マリキ首相がどれだけ真剣に民兵を取り締まるつもりかは分からない。だが、今後米軍はマリキ首相やイラク政府の許可なくしてシーア民兵を攻撃することができるので、マリキの責任は一旦逮捕した民兵たちをやたらに釈放しないことにある。

まだアメリカ軍の増兵は始まっていない。だがブッシュの新作戦は幸先のいい出発といえるだろう。

January 19, 2007, 現時間 12:00 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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January 15, 2007

イラク政策、民主党の新作戦

アメリカ内政 , イラク関係

先日のブッシュ大統領の新作戦が発表されて以来、民主党と一部の反戦共和党員の間からは非難轟々の嵐である。民主党がブッシュの政策を批判するのは当たり前だが、例によって彼等のやり方は汚い。

ここでも詳細にわたって説明したように、ブッシュの新作戦はこれまでとはかなり違うものである。確かに兵の増強はあるが、それは変更のごく一部であって全てではない。だが、ナンシー・ペロシ下院議長にしろ、ヒラリー・クリントンにしろ、皆声をあわせて「何のかわりもない」「これまでどおりの愚作」といった言葉を繰り返し、全く効果もなく希望もない作戦に兵だけ増やしてアメリカ軍の尊い命を危険にさらそうとしている、といった非常に不誠実な批判をあびせている。

これまでアメリカ軍隊や軍人のことなどひとっかけらも心配したこともなく、常に軍人に対する憎悪をあらわしに、ことあるごとにアメリカ軍の任務が安全に遂行されるのを阻止してきた人たちが、自分の都合のいい時だけ軍人の身の安全を持ち出してくる。まったく吐き気がする。特に下院議員のバーバラ・ボクサー女史などはライス国務長官への質疑応答で自分の息子たちは軍人になるには年が行き過ぎているし孫は若すぎる、と自分の子だくさんを自慢し独身で子供のいないライス長官は失う人がいないなどという信じられない侮辱をぶつけた。

こんなことを共和党の男性議員が民主党の女性議員にでもいった日には、女性蔑視だの人権損害だのと大騒ぎになって進退問題にすらなりかねない。だが民主党の議員が共和党の女性政治家にいう分にはメディアも黙認するこのダブルスタンダード。

ま、それはともかく、いまのところ民主党のペロシ議員はイラクの米軍に対する経費削減を行う気はないらしい。去年12月の世論調査でも国民の59%がイラク経費削減には反対しているし、いくら民主党でもそんなことをすれば国民から民主党はアメリカ軍を支持していないと非難を受けることは承知している。では民主党の狙いはなにか。

それは、ブッシュの新作戦がこれまで通り新しい案など全くないただの増兵だけだと何度も繰り返すことによって弱まっているイラク戦争への国民の支持をさらに弱まらせようというものだ。現在イラク戦争にあてがわれている予算は今さら変更できない。それで民主党はブッシュ大統領が増兵に必要な新しい予算案を出すまでの間に世論を増兵絶対反対、イラク即刻撤退に変えていこうという魂胆なのである。

しかし、この作戦には二つ三つ問題がある。イラクでの作戦変更は議会の同意を待つまでもなくブッシュの一存で実現できる。戦場での戦闘作戦変更は総司令官であるブッシュに権限があるからである。また、増兵にしてもすでにクェートに待機している軍隊をイラクへ動員すればいいだけのことで、新しく予算は必要ないしこれもまた議会の承認を要さない。

ブッシュが議会の協力を必要とするのは現在イラクにいる軍隊の引き継ぎの軍隊を動員する際に必要経費の予算案を議会に提出する時である。それまでにはまだ数カ月ある。もしこの間にブッシュの新作戦が全く効果をあげず、今と同じ状態なら議会が予算増強を拒否しても国民による民主党への批判は少ないだろう。だがもしも、ブッシュの新作戦が少しでも成功し6か月後にはイラクが良い方向へ向かっている場合には民主党が軍事予算をごねるのは難かしくなる。しかもこの予算案の通過がごたごたして時間がかかり過ぎると2008年の選挙運動に突入してしまい、共和党議員から民主党は自分達の政治的野心のためにアメリカ軍の任務を妨害して勝てる戦争に負けようしていると批判されかねない。

私は民主党は作戦を誤っていると思う。ブッシュの新作戦をできる限り阻止するのではなく、ここはブッシュのお手並み拝見といけば良いのだ。ブッシュの新作戦が成功するという自信は全くないが、ブッシュはアメリカの大統領であるから我々議会も同じアメリカ人としてブッシュ大統領の作戦を支持するとしておけば、失敗した場合でも、我々はブッシュに十分成功の機会を与えたが駄目だったのでイラク戦争はこれで終わりにしよう、ということができる。またブッシュが成功した場合には民主党は政党の違いを超えてアメリカの国益のために大統領を支持した、民主党の協力があったからこそブッシュは成功したと大威張りできるのである。

私はアメリカがこの戦争に勝つことができるのであればその評価がだれに行こうとかまわない。民主党が戦争に勝ったといって議会で議席を増やしてもそれはそれでいいだろう。大事なのは今ここでイラク戦争に勝つことなのだから。

しかし、今の民主党のやり方では戦争に勝っても負けても民主党が国のことを考えているというふうには見えない。それでも民主党はいいのだろうか?

January 15, 2007, 現時間 10:34 PM | コメント (3) | トラックバック (1)

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January 14, 2007

大爆笑! イラン、アメリカ軍のイラン政府ビル攻撃に抗議! 

イラク関係 , イランをどうするか

この間アメリカ軍がイラン政府のビルを強制捜査した話をしたが、ミスター苺がそれについてミッシェル・モルキンの留守番エントリーに書いてるのでちょっと。

ついに先日クルド地方のアービルでアメリカ軍が捕まえた5人のイラン人はイラン軍特別部隊のクォード隊のメンバーであることが正式に発表された。

『拘束されている5人はイラン革命軍クォード特別隊(IRGC-QF)であることが初期の調査結果で明かになった。この組織は資金、武器、改良爆弾技術、訓練などを過激派グループに提供することによってイラク政府を不安定にしアメリカ軍を攻撃しようとしている組織である』とアメリカ軍当局は発表した。

まったく予想どおりの結果だが、これについてイランの外務大臣の報道官モハメッド・アリ・ホセイニ氏は怒りもあらわに声を震わせての抗議である。

ホセイニ氏は5人の職員が働いていたアービルのイラン政府施設は1992年にクルド人のビジネスマンや病人などがイラクからイランへ渡る手続きをするために設置されたと語っている。

「両国でこの施設を領事館の格に引き上げることで同意ができていた。」と氏は語る。「イラン領事館設立の同意は今年(イランのカレンダーで)交わされていた...」

ホセイニ氏はアメリカがイラクの安定化に失敗したことを認めたくなかったのでわざと「イラクの近隣国に対して敵対心と衝突」を起こしたのだと責めている。

「アメリカは5人の収容者をすべて釈放し、今後一切このようなことを防ぎ、損害賠償をすべきである」とホセイニは言う。

ちょっと待てよ〜。これは一考の価値ありだ。イランはアメリカ軍によるイラン人拘束に対してアメリカが「領事館の外交特権の尊厳を侵した」とほとんどヒステリー状態で反応しているわけだ。(大爆笑)

自分で言ってて歯がうかないのかね。

注:1979年以降に生まれたお若い方々にはこの皮肉さがお分かり頂けないかもしれないのでここで歴史をふりかえってみよう。

現在イランとアメリカの間には正式な外交関係はない。その理由は1979年にイランで宗教革命があり、テヘランにあったアメリカ大使館にイランの武装集団が押し入り占拠し、数人を殺害した後、外交官及び職員52人を444日に渡って拘束したからである。当時の大統領だった腰抜けカーター大統領は二回の救出作戦に大失敗して世界に恥の上塗りをしたあと、一期で落選。1980年に新しくレーガン大統領の代になってからやっと人質はかえってきた。ちなみにこの大使館攻撃に参加したメンバーの一人が、当時大学生だったアクマネナジャド大統領であることは意外と知られていない。

January 14, 2007, 現時間 3:24 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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January 13, 2007

番組のおしらせ! 14日『911への道』放映

イラク関係 , 映画

おしらせです。

日本時間14日20時よりWOWOWにおいて911同時多発テロがどのようにしておこったかを描いたテレビドラマが全編と後編にわかれて報道されます。詳細はこちら

真実を知りたいひとは是非御覧下さい。

この番組に関するカカシの意見は下記に書いていますのでご参考にどうぞ。

911ドラマ、『911への道』を観て、、

January 13, 2007, 現時間 7:03 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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January 11, 2007

ここが知りたい! ブッシュ大統領のイラク新作戦質疑応答

イラク関係

さてアメリカ時間で昨晩6時、ブッシュ大統領はテレビ放映でアメリカ国民に今後のイラク政策を発表した。まずはCNNの日本語ニュースから:

ブッシュ大統領「兵力不足だった」 イラク新戦略で2万人増派

ワシントン(CNN) 米国のブッシュ大統領は10日夜(日本時間11日午前)、ホワイトハウスでテレビ演説をし、イラクにおける新戦略を発表した。これまでの戦略は兵力面で欠陥があったとの認識を示し、今後数カ月のうちに約2万人の米兵をイラクに増派する方針を打ち出した。

ブッシュ氏は、特にバグダッド周辺で治安が保たれていないことについて、「イラクと米国の兵士の数が、治安維持のためには十分ではない」と説明。また、部隊の活動に規制がかけられ過ぎているとの認識も明らかにした。

米兵の即時撤退については、断固として否定。直ちに撤兵すれば「イラク政府の崩壊を招きかねない」とし、「そうした方針は結局、米部隊がイラクにより長い期間駐留し、より強力な敵と直面しなければならないことになる」と述べた。

内戦状態との指摘もあるイスラム教宗派間の武力衝突については、イラク国民だけが終わらせることができると強調。すでにイラク政府が積極的な取り組みを進めていると述べた。

ブッシュ氏はまた、「イラクに成功をもたらす魔法などない」とする一方で、イラクにおける失敗は「米国にとって災難となるだろう」との考えを表明。イラク情勢が悪化すれば、「イスラム教過激派が力と人数を増す」ことになり、地域の政情が不安定になり、ゆくゆくは「原油による収入が野望実現のために使われる」可能性もあると述べた。さらに、イランの核開発を加速させることにもつながるとの見解を示した。

ま、概要はそういうことだが、実際これがどういう意味を持つのかミスター苺が質疑応答の形で分析しているのでここに提示しよう。

以下ミスター苺の質疑応答:

問: ブッシュは昨晩ちょっとあがってみえましたが

答: ちょっとそんな感じはあったが、非常にというほどではなかった。私の想像ではスタッフが土壇場まで演説を書き直していたのではないか思う。だから大統領は十分にリハーサルする暇がなかったのではないっか。

しかし大事なのは大統領の話し方どうこうよりも中身。その点では新しい作戦は古いそれよりもずっと改善されている。

問: どうしてうまくいくと思うのですか。増兵は過去にもやりましたけどうまくいかなかったじゃないですか。

答: たしかに新聞の見出しはこぞって「増兵」としか書いてない。アメリカの主流メディアはブッシュの計画は単なる「増兵」だと思わせたいようだ。だが昨晩明らかにされたことで重要なのは兵起用の作戦変更にある。

昨晩の演説への反響は共和党の間での失望感から民主党の間での泡を吹くような怒りといった報道ばかり。 AP-Ipsosの世論調査ABC/Washington Post の調査によればアメリカのほとんどの市民が「イラクにもっと兵を送り出すことに反対」しており増兵はうまくいかないという意見だと発表している。これらの世論調査には根本的に問題があるのだが、単に21,500人ほど兵を増加させるというだけならこれまでと何もかわらない。だが、昨晩ブッシュ大統領は増兵よりももっと重要な作戦変更を発表した。

その重要な変更を箇条書きにしてみよう。:

  • 兵士らの再出動 -- 18 のイラク旅団 (6万兵以上)そしてアメリカ軍5旅団( 17,500 陸軍兵と海兵隊員)イラク国内において攻撃制覇するためバグダッドに関門を設置。さらに4000の米兵とイラク兵(未定数)をアンバー地区に導入。 アルカエダを含むスンニテロリストの家々を最近アルカエダに反旗を翻した地元の族長らと協力して攻撃する。
  • 占拠した領土をこれまでより長期に渡って制覇する。少なくとも18か月は保持し敵が舞い戻ってくるのを防ぐ。これによって大事な中央部を敵から奪い取り長期にわたって敵の動きを阻止できる。安定したら地元のイラク軍に治安をまかせる。
  • イラクのマリキ首相にバーダー旅団やマフディ民兵軍などのシーアの民兵も含みどの武装集団も例外なく, 攻撃すると一筆書かせて約束させた。
  • 攻撃規制(ROE)を大幅に緩和し、米軍及びイラク軍が武装集団と戦闘しやすいようにする。

これらの変更が行われなければ兵の数だけ21,500人増やしてみても何の意味もない。単に標的を増やすのが関の山である。 米民主党がどう思おうと軍事アドバイザーは 全くの アホではない。

問: 戦闘規制 (ROE) とはなんですか?

戦闘規制というのは軍隊や警察などが状況によってどの程度の武力行使が出来るかという規則である。ROEには1983年のベイルートでの平和維持の時のように関門をつっこんでくる車にさえ発砲できないような非常に厳しいものから 「自由発砲地域」といって上官から特に許可をもらわなくても個々の兵士が独自の判断で敵兵に発砲することができる緩い規則まで色々ある。

これまで我が軍は非常に厳しいROEに従って行動してきた。例えば民兵軍と知られている連中が単に重装備をして町中を歩いているというだけでは攻撃できなかった。彼等がなにか悪さをするまで待っていなければならなかったのである。しかもその時でさえイラク政府からの許可を仰がなければアメリカ軍は身動きがとれなかった。

今回の変更によってこの規制がどのくらい緩和されるのかは不明だがブッシュ大統領はこの間の 2時間に渡るビデオ会議で: かなりきつい口調でマリキ首相に圧力をかけたものと思われる。マリキが首相としての政治生命を保ちたいのであれば、モクタダ・アルサドルとの親しい関係を断ち切り、我が軍に本格的な戦争が出来るようにしろと言い渡したのであろう。

軍隊の「増強」には少なくとも一か月はかかるしかし ROEの緩和は即座に実行できる。

この先数日のうちにスンニテロリストとの戦闘が激化したというニュースと共にシーア民兵との戦闘のニュースを多く聞くようになれば、これはよい徴候といえる。

問: ROEが変わったからといってどんな効果があるというのですか?我が軍はすでにアメリカ軍やイラク市民を攻撃する敵には攻撃してたんじゃないんですか?

答:いや、それが実はそうでもない。現在のROEでは我々はどのような攻撃にもあらかじめイラク政府からの許可が必要とされている。ブッシュ政権のトニー・スノー報道官がラジオ番組で説明していたのだが、ひどい時は例えばサドル市を取り囲んで家から家への捜索作戦の真っ最中に突然司令官がイラクの内政省の高官から「近所から苦情がでているので攻撃をいますぐ中止するように」とか「逮捕した戦闘員は俺のいとこだから釈放しろ」などという電話がかかってくるというのである。そして我が軍はそれに従わねばならなかったのだ。

だがこの規制はこれで終わりだ。我々はマリキ首相にどのテロリストも戦闘員も犯罪者も特別扱いしないと同意させた。サドル自身すら例外ではないのだ。そして我が軍はいちいちイラクの許可なくとも攻撃ができることになった。マリキが後になって約束をやぶろうとしても我々は単に彼にしろ内政省の役人にしろ無視するだけである。なぜなら 我々にはすでに合意を取り付けているからだ。.

問: でもこの「新作戦」というのは本当にうまくいくのでしょうか? ブッシュの計画なんてうまくいった試しがないじゃないですか。

この作戦が絶対にうまくいくと断言することは私にも出来ない。だがこれまでの作戦よりは成功する可能性がずっと高いということだけはいえる。

我々はA作戦を試みた。そしてそれはうまくいかなかった。だからB作戦に切り替えたが、それもうまくいかなかったからC作戦に変更した。今我々はD作戦に取り組もうとしている。だがこれまでの作戦がすべて失敗したからこれからも失敗するという考え方は単純すぎる。先の作戦が失敗したから今後も失敗するとは限らない。

今回の作戦はこれまでとは全く違うものである。この作戦はこれまでの失敗を十分に見直した上での 作戦だ。これまでよりも成功の可能性はずっと高い。

問: でもそれならどうしてこれを最初からやらなかったんですか?なんでブッシュは効果のないAだのB, Cだのって作戦で時間を無駄にしていたんですか?

答: なぜならやってみるまでは作戦がうまくいくかどうか解からなかったからだ。 後になってあの作戦もこの作戦も失敗だったじゃないかと言ってみても意味がない。 未来を予知できる魔法の水晶でもない限りそれは無理だ。これまでの作戦が失敗だったということも実際にやってみてこそ わかったことなのだから。

問: ちょっと待ってください!ということは今度の作戦だってこれまでよりうまくいくとは限らないってことじゃないですか?

答:その通り。先のことは解らない。しかしながら、我々が失敗すればどうなるかという予測はおおよそつく。ほかにこの戦争に勝つためのより良い方法があるというなら是非ともお伺いしたい。

問: この戦争は最初から最後まで完全なる失敗じゃないんですか? この際敗北を認めて兵士たちを帰還させるべきなのでは?

答:ここである政治家の言葉を借りてブッシュのこれまでの功績を述べさせてもらおう。

我々はイラクのために色々してきた。我々は 独裁者を倒し、奴を穴から引きずり出し、 国民による裁判で裁きをうけさせた。我々はイラクの人々に憲法の草案をする機会を与え、自由な選挙を実現させ、自分たちの政府創立を可能にさせた。 .

我々アメリカ人と同盟国数カ国は 他のどの国も助けにこない時にイラクを守ってあげた。.

この政治家は元来ブッシュ支持者とは言い難い人なのだが、まさに彼のいう通りである。(注:実はこれ民主党の上院議員ダービン氏のブッシュ演説への返答 の一部。しかし氏が掲げたすべてが、民主党が絶望だと言っていた戦争でブッシュがもたらした勝利なのである。

にも関わらず今もなお民主党はお先真っ暗の絶望論を唱えている。だが民主党の予測が現実になったことはこれまでに一度もないのである。間違いだらけの予測をしている人間がいるとしたら、それはブッシュ大統領ではなく民主党Democratsのほうなのだ。

問: ミスター苺、あなたはいつからヒットラーブッシュの雇われ者になったんです?

おととしの10月11日にはじめてのお手当もらってから毎月ずっともらっている。しかしこの間の選挙の後から支払いが滞っている。おい、ヒットラーブッシュ、早く払え!

カカシ: ちょっと!そんな話きいてないわよ。どこにへそくり隠してるの!だしなさ〜い!

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January 11, 2007, 現時間 9:45 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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イラク多国籍軍イラン政府ビルを強制捜査

イラク関係 , イランをどうするか

ラジオではイラクの多国籍軍がイラクにあるイランの領事館に攻め入ったという話だったのだが、米軍の話ではこれは領事館ではなく、単にイラン政府の所有しているビルであって外交官特権のある場所ではなかったそうだ。もしこれが正式な領事館だったらイラクはイラン領土に攻め入ったことになるので、もっと深刻な問題となる。

CNNのニュースから抜粋:

バグダッド──イラク国営テレビ局アルイラキアは11日、米軍主導のイラク駐留多国籍軍が、北部アービル市内のイラン領事館を強制捜査したと伝えた。

現場はクルド人居住地区で、多国籍軍は複数の領事館職員を拘束したうえ、事務機器を押収した。

この事務機器のなかにはコンピューターや多種の書類が含まれている。また建物につとめていたイラン人職員も数人拘束された。APの記事ではイラン側からスイス領事を通して問い合わせと抗議がきていると報道している。

テヘランではイランの外務大臣がイラクとスイスの外交官を呼び寄せ、事件に関する「説明を要請」しているという。イランにはアメリカの大使館がないため、スイスがアメリカ政府の代行をしている。

イラン外務大臣の報道官、モハメッド・アリ・ホセイニ氏は国営ラジオにおいて「アービル市内でのイラン人職員の存在は合法であり」強制捜査は「合法な施設」にたいする「外交上違法行為である」と述べ連合軍の行動はイランに対する「圧力の続行」でありかえってイラクと近隣諸国の間に「緊張を深める」ことになると述べた。

昨日の演説でブッシュ大統領はイランやシリアからイラクに入ってくる援助を阻止すると宣言したばかりのことであるから、この捜査の結果次第ではアメリカ軍によるイランへの強行手段がとられる可能性は十分にある。どうやらブッシュ大統領は外国からのテロ資源流入をやっと真剣に止める政策にはいったようである。

January 11, 2007, 現時間 6:40 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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January 1, 2007

今度こそサドルを退治せよ! イラクブロガーは語る

イラク関係

イラク人のファディール三兄弟が始めたイラク・ザ・モデルというブログがある。スンニ派でありながら親米で、アメリカではずいぶんと有名になり、三兄弟のうち二人がアメリカに来てブッシュ大統領と対面するなど結構人気者である。モハメッド、オマー、アリの三兄弟はそれぞれ歯医者と医者で、そのうちの一人は日本自衛隊が駐留していたサマワの診療時に出張勤務していたこともあり、日本軍のおかげで水がきれいになったと感謝の意をブログで評していたこともある。(最年長のアリは後にこのブログから独立して自分だけでブログをはじめたが、今は更新してない模様)

その三兄弟のうちの一人、オマー君がウォールストリートジャーナルに記事を書いているので紹介したい。(Hat tip Mike Ross)

オマーは、イラクの紛争状態を解決するには政治上と軍事上の解決手段が必要だとし、なぜ政治上の解決がこうも難航しているのかを分析する。オマーにいわせると、イラクの一部の政治家は自分らが政治家になった時支持してくれた過激派勢力とのしがらみでがんじがらめにされているため、思うように正しい方向へ進めないのだという。言ってみれば、イラクはこうした宗派勢力の人質になっているというわけだ。

私が言わんとすることは現時点での軍事作戦はこれまで米軍とイラク軍がしてきたような一遍とおりの軍事作戦をやっていたのでは駄目だということだ。

新しい軍事作戦は政治家たちが過激派に脅迫を使わずに友好的に交渉して同意に到達できる状態をつくりあげる要素をとりいれるべきである。

であるからさらに兵が加えられるのだとしたら、その任務にはノーリ・アル・マリキやタリーク・アル・ハシミ(それぞれダワ、イスラミック党)といった政治家と政党を縛り付けているモクタダ・アル・サドルや一部の危険なスンニ政治体の紐からといてやることが含まれなければならない。

今がまさにその時である。おそらく最適な時なのではないか。なにしろすでに過激派勢力に反論しようとする大きな動きが設立されつつあるのだから。

そしてオマーは、「前進への道」を達成するためにはマリキおよび彼の政党をサドル勢力から守ってやると約束するか、この際だからサドル派を一斉退治するかして、彼等をサドルの手中から解放してやるべきだという。だが、マリキを説得するやり方は全く効果をあげていない。となれば、イラクの安定に最大の障害物となっているサドルを取り除く以外に前へ進む道はない。

しかしイラクの民兵は分散しており、どれもがサドルの配下にあるというわけではない。サドル派を退治しただけでは民兵の暴力を完全に取り除くことはできないという見方もある。だがこれはかえって都合がいいのだとオマーは言う。彼等はサドルに忠誠心を持っているわけではないから、サドルのために戦うということもしないだろう。

多くの民兵軍が経営していけるのは、中央リーダーからの資金が物を言っている。民兵の最大の武器はなんといってもお金と恐喝である。彼等が地元民の協力を得られるのは地元への物的な援助と脅しがあるからだ。失業率の高いイラクでは民兵軍に参加すればものが食べられる、乱暴して威張っていられると思って参加している若者が多いはず。理想や信念で参加した人はごくわずかだろうとオマーは語る。であるから中央のリーダーシップが崩れればおのずと地方の民兵軍もくずれるというのである。アメリカ軍とイラク軍はこの少数の過激派とイラクに居るイラン人やヒズボラを対象に戦って取り除けばいいのだ。

我々は共にイラクの安定と治安維持に最も脅威を及ぼすとされたアルカエダの勢力を減衰させることができた。今度は共にサドルとその一派の暴力団に同じことをしてやることができる。我々は問題も理解できている、診断もした。いまこそ治療の時である。

2004年の4月と8月にサドルがまるでザルカーウィのファルージャ紛争とうちあわせたかのように奮起したナジャフでの戦いの時、ファディール兄弟はサドルは今のうちに退治しておくべきだと何度も書いていた。私も当時トピ首をしていた某掲示板で毎日のようにサドルが退治されるのを今か今かと待ち望む意をあらわしていた。

当時はシーア派の大教祖シスタニ師がサドル個人を嫌いながら、それでもシーアは一致団結していなければならないと頑固にがんばったため、サドルを殺すことができなかった。今もまた同じシスタニがサドル退治の障害になっている。2年半前に、いや、もっと前2003年にサドルが反米新聞を経営したいた時点でアメリカはサドルを拘束するなり殺すなりしておいたら、今になってこのような大問題にならずにすんだのである。

今回もシスタニ師や他の聖職者らに遠慮してサドル退治を怠れば、イラクの安定化は全く望めない。アメリカ軍が一時的にイラク人に嫌われてもそれはかまわない。多くのイラク人がサダム時代を懐かしむような状態ではせっかくのフセイン処刑が意味をなくす。ここは断固としてサドル派民兵を完全退治すべきである。我々の無行動が今回の問題を起こしたのだ。同じ間違いを繰り返すのはやめよう。

January 1, 2007, 現時間 1:52 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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December 31, 2006

サダム・フセインの最期

イラク関係

昨日から今日にかけてテレビではサダム・フセインの処刑模様が何度も報道された。さっきミスター苺がインターネットで実際にフセインが死ぬ場面の映像があるというので見せてもらった。(残酷なシーンなのでリンクはつけません。)私は普通こういうビデオは見ないことにしているが、フセインの場合は奴の死を自分の目で確かめたいという気がしたので、最後まで見ることにした。

サダム・フセインは冷戦時代にアメリカがコントロール出来ると考えていた独裁者の一人だ。先の防衛長官であるラムスフェルド氏が民間人だった頃イラクを訪れフセイン大統領と握手をしている写真を見た人は多いと思う。当時のアメリカはイランの脅威を牽制するために、イランの宿敵イラクを援助していた。これは決してアメリカがサダム・フセインが話の分かるやつだと思っていたからではなく、イランがイラクとの戦争で忙しければアメリカにちょっかいを出す余裕はないだろうという下心があってのことだ。それに、イラクがソ連と仲良くするのを防がなければならないという思惑もあった。

だが、自分達に比較的友好的だというだけで独裁者と仲良くすることの弊害を我々は後から後から思い知らされた。フィリピンのマルコスしかり、パナマのノリエガしかり、イランのシャーしかり、、例をあげたら切りがない。アメリカが自分らの都合で独裁者を支持すれば、その国の庶民はアメリカがいるから自分らが独裁者のために弾圧されるのだ思い込む。そうした独裁国家からはテロが生まれやすい浄土となり、テロリストは国の独裁者とその共犯者のアメリカを憎むようになる。

2001年の911事件がなければ、アメリカ人もそして世界の諸国もイスラム教過激派の脅威に気が付かなかったかもしれない。911がなければアメリカは国益のために独裁者を支持する行為がいずれは自分の首を締めることになるのだということを認識できなかっただろう。そういう意味で911はウエイクアップコール(目覚まし用の電話)だったといえる。

ブッシュ大統領がイラクを民主化したいという一見気違い沙汰に見える野心をもったのはこれが理由だ。たとえフセインイラクを倒しても、アメリカがたてた傀儡政府の独裁でイラクを牛耳れば、結局はイラク市民の反感を買いテロリストがイラク市民の身も心も蝕む状況を作ってしまう。そのようなことを起こさないためにもイラクはイラク市民の手で統治できる民主主義にしなければならない、というのがブッシュ大統領の見解だ。

フセインイラクの独裁政治にはアメリカも少なからず加担した。そしてアメリカは高い値段でその代償を払った。フセインの死でイラク戦争がどうかわるのか分からない。だが、フセインが生きている限り、バース等の再来が可能だと思っていた残党はかなり気落ちしていることだろう。これによって最後の最後まで希望を失わなかったスンニ抵抗軍の気もかわるかもしれない。

これを期に、イラクが独立国家として宗派間争いなどという無意味なことをやってないで、イラク国建設に力をいれてくれることを切に願うものである。

December 31, 2006, 現時間 12:56 AM | コメント (2) | トラックバック (0)

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December 29, 2006

サドルの挑戦、受けて立とうじゃないの!

イラク関係

English version of this story can be found here.

モクタダ・アル・サダル派の連中は激怒している。なぜかというとアメリカ軍がサドルの片腕をぶっ殺した からである。殺されたサドルの幹部はアメリカ軍のいうところの「路肩改良爆弾の製造者」で10月に警察署長を殺したとされる容疑者だった。

マフディ軍は殺されたサヘブ・アル・アミリ(Saheb al-Amiri)はマフディ軍のメンバーではなかったとしながら、彼の死を報復すると息巻いているのだから訳がわからない。ロイターなどはマフディ軍の脅迫を真に受けてはアメリカ軍がマフディ軍の爆弾製造者を殺すのは危険だなどと警告している。まったくロイターときた日には我々にアメリカ軍の公表よりサドルのプロパガンダを信じろといいたいらしい。

シーア聖職者上層部でアメリカ軍に対抗するサドルの民兵2004人が待機するナジャフ。サドルはバグダッドにも勢力の基点がある。

サドルのマフディ軍による再度のアメリカ軍対抗紛争はアメリカ軍にとって非常な頭痛の種となるだろう。 国中に散らばる13万5千からなる(マフディ軍のメンバーは)シーア対スンニの争いを握っている。

だがこれは本当だろうか? 本当にこれは我々にとって「頭痛の種」だろうか? いや、これはむしろ我々にとってこの上なく好都合な出来事なのではないだろうか。何しろ相手がこっちに報復すると豪語しているのだからこちらからマリキ首相のお伺いなどたてずにマフディ軍を蹴散らす絶好の機会となるからだ。

もし、サドルが勇敢なる麻薬漬けマフディ軍に命令してアメリカ軍を攻めたならば、ナジャフの戦い三度目の正直で今度こそ奴らがアラーと面会する夢を実現させることができる。マリキ首相はとっくの昔にサドルとの親密な関係で公平な判断などできなくなっている。そんなマリキはすでにナジャフを占領してイラク政府なんぞ屁でもないといってるマフディ軍をアメリカ軍に無視しろなどと言える立場ではない。特にシーア派最大の政党SCIRIがマリキがサドルの、ひいてはイランの言いなりになっているとしてマリキ首相の辞任を強く要請 してるような状態を考えれば、まず無理である。

議会に30議席を持ち6つの省の大臣を持つサドル派はマリキ首相がブッシュと先月会見して以来マリキ政権をボイコットしている。
マリキ首相にできることといったら、サドルとその男たちが陽炎のような存在となるのを黙って見守ることくらいしかない。

こうしてみると、我々の立場は11月の時よりかなり向上しているといえる。


  • もっとも暴力的で破壊的なシーア民兵の勢力を著しく弱めることができる。
  • マリキのパトロンを傷つけることで彼自身に大打撃をあたえることができ、彼を政権から追放しやすくなる。
  • サドルを殺すことでイランに大きな損害を与えることができる。

残念なことに、すべてのプレーヤーが同じことを考えているだろうから、サドルがアメリカ軍やイラク軍を攻めてこちらから反撃する口実をやすやすと与えるとは思えない。しかしポーカーに例えるならば数カ月前に比べてアメリカの手中にあるカードはかなり良くなってきているといえる。

我々のもともとのカードは決して悪かったわけではないが、アメリカ軍はまたまた良いカードを拾ったといえる。アメリカ軍がイラクで大勝利する可能性はここ数日で急上昇したといえる。

December 29, 2006, 現時間 4:46 AM | コメント (2) | トラックバック (0)

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December 27, 2006

イラク米兵に完全無視されたジョン・ケリー

アメリカ内政 , イラク関係

カリフォルニアの大学で学生たちに勉学の大事さを演説した時、勉強しないとイラクへいくはめになると語って米軍陣から総すかんを食ったジョン・ケリー民主党議員元大統領候補。2008年の再出馬に備え傷付いた関係をなんとか取り繕おうこのクリスマスシーズン、イラクまで出かけていって軍人たちのご機嫌とりをしようとしたが誰にも相手にされずひとりさみしくクリスマスの夕飯を食べることになったようだ。

ハーバード大学教授で今は陸軍キャプテンとしてイラク勤務中のブロガー、 Ben of Mesopotamiaのベンがケリーのイラク訪問の詳細を書いている。

ベンによるとケリー議員がくる前から前線基地の司令官たちはこぞってケーシー将軍にすでに別の特別ゲストが訪問中でそちらの接待で手があかないからケリーの接待はできないと申し出たらしいという噂でもちきりだった。

こちらのイラク勤務の別のブロガー、ブラックファイブのマットはこう語る。(Hat tip Ben)

おい、今、司令官、どの司令官でもいいからグリーンゾーンでじょ〜ん・け〜り〜の接待を誰かにやらせようっていう会議からかえってきたとこだ。

冗談抜きで「おいおい、お前ら全員同時に用があるってこたあないだろうが、頼むよ!」とCG(ケーシー将軍)はいっていた。

糞ケリーはエンバシーアネックスの宮廷で俺たちが無視するなか、ひとり座り込んでコーヒーすすってインゲン豆を食べるはめになりそうだぜ。

俺は一緒に写真とるつもりだ。

ケリーの乗ったヘリコプターでは行き先の暗号が「むじな(臆病者の意味)61番」と名付けられたとか、操縦士がケリーをおちょくった写真にサインしてもらったとかいろいろな噂が流れた。土曜日の21時、ケリーが演説をするという連絡を受けたベンが指定された場所にいくと、メディアは全くきておらず、いたのは義務で来ていた空軍テレビネットワークだけ。格好つけてパイロットが着る上着を着て訪れたケリーは「だ〜めだこりゃ〜」と出ていってしまった。

翌日の日曜日、ケリーは兵士らの食堂で食事をした。普通はアメリカから議員がきた場合にはその議員の出身地の兵士らが議員をかこって同じテーブルに座るのが慣習だ。しかし、グリーンゾーンの警備担当の憲兵はケリーが代表するマサチューセッツ州からの隊であったにもかかわらず、誰一人としてケリーと一緒に座ろうとしなかった。これとは対照的にフォックステレビ局の人気司会者ビル・オライリーが来た時は400人以上の兵士が集まって大騒ぎになったそうだ。



ジョン・ケリー

ひとりさみしく食事をするケリー議員


December 27, 2006, 現時間 4:07 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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December 26, 2006

イラクにてイラン軍高官4人を米軍が拘束

イラク関係 , イランをどうするか

シーア派のマフディ民兵軍の親玉はサドルは、イランの飼い犬ならぬ飼い豚(どうみても豚にみえるな、あの顔は)であることは周知の事実。イランはアルカエダと民兵のどちらも煽ってイラクの宗派間争いを企んでいる。陰謀があるとすれば、まさにイランこそがその裏に潜む悪玉である。

その根拠となりそうな情報を昨日米軍は発表した。以下産經新聞の記事より:

12月26日8時0分配信 産経新聞

 【ワシントン支局】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は25日、イラクの治安部隊を攻撃する計画にかかわっていた疑いで、イラクの駐留米軍が少なくとも4人のイラン人を拘束したと報じた。拘束者の中にはイラン軍高官や外交官も含まれているという。

 ブッシュ米政権は、混迷するイラク情勢打開のため、超党派グループからイランを含む周辺国との直接対話を勧告されているが、イランが米国に反発を強めるのは確実で、米国のイラク戦略に何らかの影響を与える可能性もある。

 報道によると、米軍は21日夜、バグダッドのイラン大使館近くで、公用車を停止させ、イラク人護衛を含む同乗者全員を拘束した。イラン人外交官2人はイラク政府に引き渡された後、保釈された。また22日未明には、イラク連立政権を構成するイスラム教シーア派の「イラク・イスラム革命最高評議会」指導者、ハキーム師の施設内を捜索、イラン軍高官を拘束したとしている。

 イラン外務省スポークスマンは25日、「拘束は国際規範に反しており、深刻な結果を招くだろう」と米国を非難した。(強調はカカシ)

イラクで革命を起こそうという連中と会議をしておきながら、「高速が国際規範に反している」などとよくいえたものだ。ま、国連の条例など無視して核兵器開発をやってるならず者国家だからこの程度の反応は別に驚きはしないが。それにしてもニューヨークタイムスは、いったいイラン高官がシーアの政治家と一緒になって何をやっていたのかという質問をする前に、イランがアメリカに反発する可能性などを心配している。全く本末転倒だ。アメリカをぶっつぶすといっているイランがこれ以上アメリカを嫌ったからって何がかわるというのか、ばかばかしい。

ま、それはいいとして、これまでイランがイラクの内政に裏から口をだしていることはさんざん話題にはのぼっていたものの、確たる証拠が提示されたことはない。この拘束されているイラン人によってイランがイラクをどのようにコントロールしようとしているのかが明かになってくれるといいのだが。

しかし、この時期にアメリカ軍がイラン高官を拘束しているという事実をわざわざ公表したというのは興味深い。ベーカー氏のイラク研究会の推薦にはイランとの対話が含まれていたが、もしやアメリカはイランと交渉をするとして、その際上手にでられるような布石を投じているのかもしれない。なにやら緊張した空気を感じる。

December 26, 2006, 現時間 1:48 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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December 24, 2006

トンデモ陰謀説! イラク宗派間争いはCIAとモサドの企み

イラク関係 , 狂ったメディア

洋の東西を問わず馬鹿げた陰謀説を唱える人間はたえない。911同時多発テロがブッシュ大統領の陰謀だといまだに信じきっているかわいそうなひとたちがいるかと思えば、最近はイラク宗派間紛争はアメリカのCIAとイスラエルのモサドが計画したものだという馬鹿げた陰謀説をまことしやかに語る人々が出てきている。昨日も陰謀説大好きなネット上の知り合いボノボさんからの紹介で、北沢洋子なるひとのエッセーを読んだのだが、あまりのトンデモ説にコーヒーを吹き出して大笑いしてしまった。

こんなことをまじめな顔して書くのはどこのカルト信者かと思いきや、この北沢洋子というひと当人のHPを読む限り彼女は30年にわたるベテラン政治評論家だという。

国際問題評論家の北沢洋子です。私は、これまで30年に亘って、第3世界の解放運動の歴史や現状について、同時に南北問題、とくに日本と第三世界との経済関係について雑誌や本などを通じて、評論活動を続けてきました。

さて、ではこのベテラン政治評論家はイラク宗派間争いをどうみているのか、彼女のコラム『イラクは内戦』という神話 からご紹介しよう。

これは、スンニー派とシーア派間の反目と武力抗争のエスカレーションを狙ったものである。そして、これにはイスラエルのも軍情報部と秘密警察モサドが絡んでいる。彼らはイラクの内戦激化を企んだ一連の秘密作戦を展開した。その目的は、イラク国家を解体し、そして、米国がイラクを完全にコントロールし、その膨大な石油資源を手中に入れることにある。

米国防総省の計画の一部として、CIAとモサドはイラク国内で、クルドの訓練と武装を行ってきた。イスラエル情報部隊はイラクの反政府ゲリラの攻撃に対処する米特殊部隊を訓練した。それには、ゲリラのリーダー、有名な学者、科学者(すでに350人の核科学者が殺されたという)、教師(210人が殺され、3,000人が国外へ逃れた)、政治家、宗教界のリーダーなどの暗殺部隊の訓練も入っていた。...

 彼らが手がけた最初の作戦は、2006年2月22日、サマッラで起こったAskariya寺院(黄金のモスク)の爆破であった。...

 黄金モスクに対する破壊作戦はシーア派がスンニー派に対して暴力的な報復に出ることを目的としたものであった。スンニー派指導者によれば、シーア派がイラク全土、20以上のスンニー派のモスクを爆弾や迫撃砲攻撃、あるいは放火などの方法で攻撃した、...

 イラク南部のバスラでは、警察の発表によると、警官の服を着たガンマンが、刑務所に押し入り、12人のスンニー派囚人を連れ出した末虐殺した、という。これらのスンニー派に対する攻撃は、米国防総省のP2OGによる作戦であった、という。ペンタゴンは、黄金のモスク爆破事件はアルカイダの仕業であったというが、Abdul Zara Saidy師によれば、これは、占領者、アメリカ人、シオニストの工作であったと言っている。

こういう陰謀説を唱える人々が絶対にしないことは、「もしもこの説が本当であるならば、こういう状況がみられるはずだ」という科学的実験では基礎の基礎である検証をしないことである。アメリカのイラク侵攻目的が北沢氏のいうように『イラク国家を解体し、そして、米国がイラクを完全にコントロールし、その膨大な石油資源を手中に入れることにある。』であるならば、すでに三年もイラクに駐留しているにも関わらずどうしてアメリカはそれを実行していないのか、という基本的な疑問が生じる。

アメリカの目的が最初からイラクをコントロールすることにあったのなら、イラクを民主主義にしようなどという面倒くさいことをやらなくても、もっと簡単な方法がいくらでもあった。フセイン政権を倒した後、アメリカの言いなりになる独裁者をアメリカの傀儡政府として設立し、形だけの選挙で圧倒的な勝利を得させ既存のイラク軍を使って新しい独裁者にこれまで通りイラク庶民を弾圧させ、アメリカの都合のいい原油産出の契約を交わさせる。アメリカ側はイラク傀儡政権を見張る程度の「大使」を残してあとは撤退。めでたしめでたしである。

石油資源を手中にいれることだけが目的ならイラクを統括している政権がスンニでもシーアでもいいわけで、なにも新イラク軍などを訓練してスンニ派を殺す必要はないのである。いや、むしろ既存のインフラをそのままにして世俗主義のバース党を権力でつって味方につけておいたほうがよっぽども有利だ。

イラクが内戦になって一番損をするのはイラク人はもとよりアメリカである。アメリカにとってはイラクの状態が安定してアメリカに石油をどんどん送り出してくれた方が都合がいいはず。何を好き好んでイラク内乱などを企むというのだろう?

北沢氏はブッシュ大統領のイラクへの兵増強はイラクの治安安定化などというものではないと言い切る。

これらのことは、米軍の駐留こそが、イラクの国内の紛争を抑止するものだという幻想を、メディアの協力をもって振りまいている。これこそが、ブッシュの最大の嘘である。

もしそれが本当ならば、どうしてブッシュ大統領はもっと早期にイラクへの兵増強を実現させなかったのだ? イラク戦争は最初から兵数が不十分であるという批判があった。ブッシュ政権内でもパウエル国務長官などは当初から大量の軍隊を動員すべきだとして、兵数は最小限にするべきという防衛長官のラムスフェルドと常に衝突していた。

ブッシュ大統領は多方からの批判にも関わらず何度も提出されたラムスフェルド長官の辞表を退けてきた。北沢氏は全くご存じないようだが、アメリカ軍はイラク軍(シーア、スンニ、クルドを問わず)の訓練を2004年から着々と進めており、治安維持が可能と思われる地域からその指令権をイラク軍に移譲してきている。もし、アメリカ軍こそがイラク治安維持に必要だという「幻想」をイラク市民に持たせたいなら、なぜイラク軍を独り立ちさせたりするのだ? おかしいではないか。

北沢氏はアメリカ軍によるイラク軍訓練でイラク軍の数はほぼアメリカ駐留軍の数と同等になっているにも関わらず、イラクでの反乱は全くおさまっていない、それはアメリカ軍の存在こそがイラクの紛争を激化していることの証拠だという。だからイラクでの紛争を鎮圧させたいのであればアメリカ軍が撤退するしか道はないという。

だが、それが本当ならば、どうしてイラク内乱を望企むアルカエダのような外国人テロ組織はアメリカ軍の撤退を望むのであろうか? 北沢氏が無視している現実は、アメリカ軍とイラク軍の連合軍はアルカエダおよびスンニ抵抗軍の鎮圧には非常な成功をおさめているということである。もしイラクで問題を起こしているのがアルカエダとスンニ抵抗軍だけであったならば、イラクの治安維持はほぼ大部分で成功したといえるのである。

いま、問題になっているのはイランが援助しているサドルなどが率いるシーア派民兵の反乱である。2004年にファルージャ紛争と同時に奮起したサドルのマフディ軍によるナジャフ紛争で、アメリカ軍は奴らを十分に退治しなかったことや、警察などに潜入してきたシーア派民兵の実態をイギリス軍が取り締まらなかったことなどが仇となっている。 
 
シーア派民兵の取り締まりは、シーア派が多数を占めるイラク政府にはやりにくい。特にマリキ首相はサドルとはなかよしこよしだから質が悪い。

北沢氏はアメリカ軍がイラク紛争の原因となっているという事実をこう説明する。

...最も反米の町Tal AfarやRamadiでさえ、米軍がいないときは平和な町である。現地のゲリラと提携した現地指導者が統治している。ゲリラは、警察の役目をはたし、スンニー派、シーア派地域ともに原理主義的なイスラム法が、支配している。

これらの町は、中央政府の主権や米軍の占領を認めていない。したがって、米軍が、ゲリラの支配地域に入り、ゲリラを掃討しようとすると、町は抵抗する。路地裏で、米軍は民兵のリーダーを逮捕、あるいは殺そうとするとき、これをゲリラは地雷を埋めたり、狙撃したりして抵抗する。なぜなら、ゲリラは通常町の人びとに支持されており、一方米軍の攻撃は、破壊的である。したがって、米兵の“戦果”とは、友人や家族の死によって、より多くのゲリラが生まれる。米軍が撤退すると、町は、以前の状態に戻る。しかし、破壊された町は米軍に対する怒り、恨みに満ちている。...

北沢氏の論理は話が逆である。アメリカ軍がラマディやタルアファーに侵攻した理由はアルカエダがこれらの土地を拠点にしてテロ行為を行っていたからであり、アメリカ軍がラマディに侵攻したからラマディの治安が崩れたのではない。第一北沢氏は無視しているが、ラマディやタルアファー庶民はアルカエダのテロリストたちを大手を広げて歓迎したわけではなく、彼等の侵略によって人質になっていたのである。北沢氏のいう原理主義のイスラム法というのは極端なシャリア法であって、一般市民はテロリストに統治されていたのではなく虐待されていたのである。タルアファーの市長がアメリカ軍へ送った感謝状の話は記憶に遠くない。

アメリカ軍が増えると治安が悪化する例として北沢氏はサドルシティをあげ、民兵によって警備がされていたサドルシティはアメリカ軍の攻撃によって無防備にスンニジハードのえじきとなったという。

米軍は、サドルシティのサドル派の民兵、Balad のスンニー派ゲリラを掃討するという最初の任務以外には、対応しようとしない、あるいはできない。したがって、米兵が増えると、より多くの宗派抗争が起こることになる。

これも変な論理だ。米軍が一旦攻めた場所を守りきれないというのであれば、それこそ米兵の増加が必要だという理屈につながるはず。もし、北沢氏のいうように米軍が増えれば宗派抗争が激しくなり、米軍が攻撃を進めれば進めるほどイラクのゲリラの数が増えるのだとしたら、これがアメリカにとって都合のいい状態とはどうしても思えない。こんな状況にアメリカ軍を増強すればアメリカ兵の犠牲が増えるだけではないか。どうしてアメリカはそのような宗派紛争を望むのだ? なぜアメリカがそのような状況作り出したりしなければならないのだ?

最も恐ろしいことは、ブッシュ政権内に、「宗派間抗争が米国の目的を達成してくれるだろう」という考えが出てきていることだ。『ニューヨーカー』誌の最近号に、SeymourHarsh記者は、CIA情報として、「十分な規模の米軍がイラクに長く駐留すれば、(イラクの)悪い奴は、殺し合いで皆死んでしまうだろう、とホワイトハウスは信じているようだ」と書いている。

最も恐ろしいことは外交問題専門の政治評論30年来のベテランを気取る北沢氏が嘘つきで悪名たかい似非ジャーナリストのシーモア・ハーシのでまかせを鵜呑みにしていることだろう。ブッシュ政権内でイラクの宗派間抗争が都合がいいと考えているひとがいるというなら、名指しで提示していただきたいものだ。

政治評論家などと肩書きはついていても、陰謀説を唱えるカルト信者の中身はどこも同じだ。


December 24, 2006, 現時間 4:09 PM | コメント (1) | トラックバック (0)

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December 22, 2006

イラクへは兵増強で方針転換

イラク関係

私は先の中間選挙で民主党が勝ったことでかえってイラクへは兵増強が起きるのではないかと以前に書いたが、やはりブッシュ大統領はその方角へ方針を転換するようだ。以下産經新聞の記事より。リンクをなくしてしまったので抜粋を添付する。

米軍地上兵力を増強 イラク増派も視野 大統領言明

12月21日8時1分配信 産経新聞

 【ワシントン=山本秀也】ブッシュ米大統領は20日、ホワイトハウスでの記者会見で、「米陸軍、海兵隊の恒久的な兵力を増員する必要がある」と、米軍地上兵力の本格的な増強に踏み切る方針を表明した。イラク、アフガニスタンへの派兵など対テロ戦争の長期化を受けた措置だ。短期的にはイラク駐留米軍への部隊増派を含む中東・湾岸情勢への対処が想定されているが、地上兵力全体の兵力増は、在日米軍など再編の進む在外兵力全般の配置にも影響が予想される。

 混迷の続くイラク情勢について、大統領は...年明けの公表に向けて練り直しの進むイラク政策については、「部隊の増派を含むすべての選択肢を考えている」と述べた。

 大統領はイラク政策や兵員規模の増強に向けて、具体的な計画提示をゲーツ国防長官に指示したことを明らかにした。この任務のため、同長官は20日、イラクを訪問。また、新たな体制への人事刷新として、中東地域を管轄する米中央軍のアビザイド司令官は同日、来年早期に辞任することを表明した。

 地上兵力の増員目標について、大統領は言及しなかった。ミリタリー・バランス(2006年版)によると、米陸軍の兵力(予備役を含む)は現在約59万6000人、海兵隊は約18万7000人となっている...

 年明けに向けて練り直しが続くイラク政策では、6〜8カ月の期間を想定して1万5000〜3万人の部隊をイラクに増派する案が浮上している。超党派で作る「イラク研究グループ」(ISG)の報告書は、駐留米軍の役割を戦闘任務からイラク治安部隊の支援に転換することで、2008年3月までに戦闘部隊の削減をめざす方向を勧告していた。

この記事を読む限り、イラク研究グループの推薦はサンキュー、バット、ノーサンキュー(おおきにお世話様!)といったところだろうか。

イラクへの兵増強は実は撤退への布石ではないかという見方もある。確かに15万からいる軍を即座に撤退するなどということは不可能だから、表向きを繕うためにも一時的に兵を増強し撤退のために地域を安定させる必要があるというのである。

これがもし民主党大統領の率いる戦争であるならそういうこともあるかもしれない。だがブッシュ大統領においてはそのようなことはないと私は考える。ブッシュ大統領は来期があるわけではなくこの任期が終わった時点で政治家としての人生も終わるのである。だから今後のことも考えてここは穏便にすませておこうなどという心配をする必要がない。彼には誰に遠慮する必要もなく自分の信念を貫き通す強い意志があるのである。少なくともこれまでに彼は周りの反対を押し切ってその信念を貫き通してきた。いまさらその進路をかえるとは思えない。

ブッシュ大統領というのは政治家としてはまれにみるバカ正直者である。彼には裏に隠された作為とかいうものがない。ブッシュ大統領がイラクに民主主義を設立したいと言えば、これはイラクを植民地にしてイラクの石油を乗っ取りたい、という意味ではない。だから彼がイラクに兵を増強してイラクの治安維持を促進したいといえば、これはメンツを潰さす撤退したい、という意味でもないのである。

イラクには兵が増強されるだろう。そしてその率は一時的なものではなくかなりの長丁場になると予想される。ブッシュ大統領が指揮をとっている限り、目的未然での撤退はあり得ない。民主党勝利やラムスフェルド長官辞任で大喜びしたテロリストどもは今頃かなり困惑していることだろう。

December 22, 2006, 現時間 3:37 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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December 14, 2006

なんでいつもイスラエルなの?

イラク関係 , 中東問題 , 宗教と文化 , 対テロ戦争

ディケンズの著書、デイビッド・コッパーフィールドのなかでミスター・ディックという登場人物が出てくるが、この男性はチャールズ王の斬首刑に病的な執着をもっていて、何の話をしていてもなぜかいつの間にかチャールズ王の首の話になってしまう。

これと同じようなイスラエルへの病的な執着が国際社会にも存在するような気がする。この風潮にはカカシは前々から気が付いていたが、カナダのナショナルポストに載ったデイビッド・フラム氏のエッセーに私がいいたかったことがかなり書かれているのでカカシの感想も含めて紹介しよう。

この間、イラク勉強会(ISG、別名the Baker-Hamilton commission)という民主党と共和党のエリート元外交官らによる委員会がブッシュ政権にたいしてイラク対策をどうすべきかという推薦調査書を提出した。この調査書の内容はアメリカでは大騒ぎになったので、ここでも取り上げようかどうしようか迷ったのだが、だらだら長い割には中身のない調査書だったのであえて取り上げないでいた。

しかしこのISG調査書のなかにちょっと気になる部分がある。それはイラク戦争の話をしているはずなのに、なぜかイスラエル問題が出てくることだ。この調査書には

「合衆国が中東における目的を果たすためにはアラブ対イスラエル問題に直接関与する必要がある。」

とある。なんでイラクの話をしているのにイスラエルの話がでてくるのか? しかもイラクの未来をアメリカがシリアと交渉する際、イスラエルがゴーラン高原をシリアに返還することやパレスチナ人のイスラエル国内への帰還の権利を話あうべきだとかいうとんちんかんな変な話も出てくる。どうしてアメリカのイラク対策でシリアと交渉するのに、他国イスラエルの領土問題を持ち出す必要があるのだろう。だいたいイスラエルがアメリカのために自分らの領土を犠牲にするなんの義理があるというのか全く不思議である。ベーカーさんは昔からイスラエルを毛嫌いしているとはいえ、アメリカの外交問題でイスラエルを犠牲にすべきだと簡単に考えが出てくるところが恐ろしい。

しかし大抵の場合は尊敬できるイギリスのブレア首相でさえも、中東の平和はイスラエルが鍵だと思っているらしい。フロム氏によると、先月ロンドンで開かれた毎年恒例の市長宅での晩餐会において、ブレア首相は「イラクに関する答えの主な部分はイラク自身ではなく、イラクの外にあります...イスラエル/パレスチナからはじめるべきです。それが根源なのです。」と発言したそうだ。

(このような意見は)ブレアひとりだけではない。似たような意見は先進国のどの国の外務省、シンクタンク、新聞の社説からもきくことができる。

単純に繰り返すことによってこの説が真実になるというなら、パレスチナ問題とイラク紛争のつながりは、ニュートンの法則と同じくらい高いレベルで「確かな」ことと言えるだろう。

しかし我々の脳みそが黙従に打ちのめされる前にパレスチナとイラクの関係がどう作動しているのか説明をもとめても良いだろうか?

とフロム氏は問いかける。まさしくカカシもこの説を理解したい。アルカエダのテロリストが自動車爆弾を学校の子供たちが集まる場所で爆破させる、その仕返しにシーアの民兵どもがスンニ市民を誘拐する。こうした行為と600マイルも離れたところで起きているイスラエルとパレスチナ紛争とどういう関係があるのだ? イラクの市街でおきている宗派間暴力がイスラエルとパレスチナ間の和平交渉でどう解決するというのだ?

反米の民兵たちに武器を供給し、アメリカ軍をイラクから追い出し、中東で石油国家の有力勢力となろうとしているイランが、パレスチナが国連に席を置けばその野心を捨てるなどという保証は全くない。

トニー・ブレアがいう通り、パレスチナ問題が解決しないことが中東アラブ人をより過激にしているというのは本当かもしれない。だが、そうだとしても歴史上世界中で起きた紛争のなかで、どうしてパレスチナ・イスラエルだけがこうも執拗に解決できないままになっているのだろうか。

ドイツ人はポーランドがDanzigを支配していることに抵抗してGdanskの通りで自分らをふっ飛ばしたりはしない。ギリシャ人はSmyrnaの返還を要求してトルコの小学生の乗ったバスを乗っ取ったりしていない。ボリビアはチリにたいして太平洋戦争の結果を覆そうと終わりのない戦争など挑んでいない。

アラブ人たちは1949年以来イスラエルと有利な条件で和平を結ぶことはいつでもできた。だが彼等は頑固にそれを拒絶してきた。パレスチナはウエストバンクとガザに1967以来いつでも独立国を持つことが できた。彼等はその提案もつっぱねてきた。

だとしたらアラブ人の過激化はイスラエル・パレスチナ問題の結果というより原因だという方が正しいのではないだろうか? 平和がないのは多くのイスラム教諸国であるイスラエルの近隣国が、アラブ人でもなくイスラム教徒でもない少数民族が服従者としてでなく中東に存在することを容認できないせいではないのか。それこそがこの問題の本当の「根源」なのであって、交渉で解決できるようなものではない。

フロム氏はそれこそ西洋社会が性懲りもなくイスラエルとパレスチナの和平交渉をいつまでも続けることこそが問題を悪化させていると語る。そのいい例が2000年に行われたキャンプデイビッドでの交渉だろう。あの時パレスチナは前代未聞な有利な条件をイスラエルから提案された。にも関わらずそれを拒絶して第2インティファーダというテロ戦争をはじめた。2003年まで連続しておきた自爆テロ攻撃も結局パレスチナには何ももたらすことはなく、パレスチナは惨敗したのにあきらめきれずロケット弾をうち続け、いまだにイスラエルからのミサイル攻撃を受けている。

本来ならもうこの辺りでイスラエル・パレスチナ間の交渉は無駄だと人々は悟るべきである。私はもう長いことイスラエル・パレスチナの話が出る度に「イスラエルは放っておけ」といい続けてきた。繰り返しになるがイスラエルがどんなやり方でイスラエルの国を創立したにしろ、幾度にも渡るアラブ諸国からの挑戦に自国を守り続けてきた。それだけで普通の世の中ならイスラエルは勝者なのであり負けた側のパレスチナをどうしようが部外者の我々がどうこういう問題ではないはずだ。

それなのに、どうして欧米諸国は自分らが中東で困難に陥るとすぐさまよってたかってイスラエルを生け贄の羊にしようと企むのか。いやそれでももし、イスラエルを生け贄にすることによって自分らの問題が本当に解決するいうならそれも分かる。だが現実にはイスラエルが原因でない以上解決にもつながらない。

それなのに彼等はいつもいつもイスラエル、イスラエルと繰り返す。あたかも「イスラエル」がどんな問題も解決してしまう魔法の呪文ででもあるかのように。

December 14, 2006, 現時間 12:52 AM | コメント (6) | トラックバック (0)

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December 11, 2006

民主党イラクへ二万人増兵へ方針転換か?

アメリカ内政 , イラク関係 , 対テロ戦争 , 防衛

昨日ラムスフェルドの後任として大統領に任命されていたゲーツ氏が議会の承認を受け、正式に次期国防長官となることが決定した。 

ワシントン──米上院本会議は6日、ブッシュ米大統領から次期国防長官に指名されたゲーツ元中央情報局(CIA)長官を、95対2の圧倒的賛成多数で正式承認した。

反対票を投じた2人はともに共和党議員だった。民主党議員らは、米国がイラク戦争に勝利しているとは言えないと語ったゲーツ氏が、今後のイラク政策についてブッシュ米大統領に率直に助言することを期待し、同氏の指名を好感したもよう。ただ、米国民は国防総省のトップの交代以上に、イラク政策の包括的な転換を求めているとの指摘もある。

ゲーツ氏の指名は、前日の上院軍事委員会で全会一致で承認されていた。同氏は18日に宣誓就任する。

ゲーツ氏任命の際の公聴会でゲーツ氏が「米国がイラク戦争に勝利しているとは言えない」と発言したことがアメリカメディアでは大きく取り上げられているが、だからといって必ずしもゲーツ氏はいますぐアメリカ軍はイラクから撤退すべきであるとは言っていない。以下はAPの記事より

ゲーツ氏はアメリカ軍の撤退をいつ始めるかという質問に対してはっきりした返事をせず、「現地での事情による」とだけ答えた。また氏は確認でき次第イラクへ行って米指揮官たちと相談するつもりだと語った。

後に軍撤退の時期を特定して発表するかという聞かれたことに関して、そのような日程はアメリカの弱さを象徴するものであり「(敵に)どのくらい待てば我々が去るかを伝えるようなものだ」と語った。

これなら今までブッシュ大統領がいい続けてきたこととなんら変わりはない。民主党議員たちはゲーツ氏がイラクでアメリカが勝っているとはいえないといったことだけに喜んで、では実際にイラクでアメリカはどうすべきなのかという話には注目しなかったのだろうか? いや、いくら民主党といえどそこまで間抜けではない。

以前に私は民主党勝利=イラク撤退ではない!と書いた。むしろイラクで決定的な勝利をおさめるためには増兵すらあり得ると書いた。この予測をばかばかしいと一笑に伏した輩もいるが、実は新しく民主党ペロシ下院議長から下院諜報委員会の委員長に任命されたテキサス州下院議員(民主党)のシルベスター・レヤズ氏がイラクへ二万人の増兵を考えていることを公表した。レヤズ議員はイラクのスンニとシーアの民兵は崩されなければならないと語った。

イラク増兵を訴えているのは政治家だけではない。現地の将軍たちもその必要性を訴えている

前回の民主党の勝利と、ラムスフェルド長官の辞職によって、アメリカのイラク政策はイラクより軍隊撤退だと考えていた人たちは、かなり的外れな期待をしていたのかもしれない。

December 11, 2006, 現時間 6:13 AM | コメント (3) | トラックバック (1)

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December 9, 2006

どこまで本当? ねつ造を暴露されてひらきなおるAP

イラク関係 , ネット戦争 , 中東問題 , 狂ったメディア

昔からアメリカにしろ日本にしろメディアの報道には偏向があることは情報通のひとなら誰でも感じていたことだろう。だが事実に関する情報に記者の個人的な解釈が加わったとしても、あからさまなやらせねつ造にお目にかかることは先ずなかった。たまに記者による盗作や事実誤認の記事を読むことはあってもこれは例外中の例外という意識があった。

ところがここ数年、主流メディアの報道には非常に怪しげなものが多くなってきたように感じる。いや、というよりも我々が嘘記事を見抜く手段を得たというだけなのかもしれない。我々が知らなかっただけで、もう何十年もメディアは至る所で読者や視聴者をだましてきたのかもしれない。それで主流メディアはブロガーたちの出現により、これまでの嘘八百がそのまま通らなくなってきていることに対応できないでただうろたえているだけだ。 

架空の警察官を証人として過去2年にわたり60以上もの記事をねつ造してきたAPは、この期に及んでもまだ自分らの過ちをみとめないどころか、嘘を暴露したブロガー達に八つ当たりをしている。(Hat tip Hot Air)

AP国際記事の編集員、ジョン・ダニスゼウスキー( John Daniszewski)は火曜日、軍による記事の情報元に関する質問は「ハッキリ言って馬鹿げており、事件の真相をある意味で必死で反論したり隠ぺいしようとしているかに見える」と語った。

ダニスゼウスキー氏はさらに記事を再報道をしたと語り、バグダッドのハリヤー地区に送り返した記者により、さらなる承認を発見。証人は事件を証明できるだけでなく当日のつきつめた詳細を語りその内容が火曜日の午後の記事となったという。元の記事は11月24日の金曜日の掲載された...

その残虐な詳細にも関わらず、イラク内政省の報道官、アブドゥール・カリーム・カーラフ准将は、木曜日この事件はただの噂にすぎないと主張し続けている。

「わが軍を噂の現地に派遣させましたが、(市民が)焼きころされた事件があったという場所で何も発見することができませんでした。

というわけだから、ブロガーたちの疑問は深まるばかり。これにたいしてAP編集長キャサリーン・キャロル女史は、金曜日の夜の会議でAPは不確かな情報に関する質問について、何度も報道しなおすことで答えているとし、これ以上の報道は単に何を言っても納得しないブロガーたちをいきり立たせるだけだと語った。

またHot Airhによれば、キャロル女史は内政省にはシーア派民兵がかなり潜入しており、つい最近までその事実さえ隠していた組織であるから、ジャマール・フセイン警察署長の存在について疑問をなげかけているのも情報操作の一部であると言いたげだ。

しかし、嘘をついているのがイラク内政省であるというなら、APは証人であるジャマール・フセインを紹介すればいいではないか。実在する人物で過去に60以上にもわたるAP記事の情報源となったひとだ、喜んで顔写真の撮影に応じてくれるだろうし、どの警察署のどの事務所で働いているか、彼の同僚や部下の証言も掲載すればいいだけの話。いまのままでは、いったいフセイン警察署長がどの警察署の署長なのかさえ不明なのである。

私が思うに、このじゃミール・フセインなる男はストリンガーと呼ばれるイラク人現地記者の創造だ。欧米のメディアは自社の特派員を危険な戦場へ送り込まずグリーンゾーン付近のホテルに留まらせ、危険な場所からの情報はすべてストリンガーによって集めさせている。

だが、このストリンガーからの情報は確認のできないようないい加減な噂が多く、およそイラクの真の姿を映し出しているとはいえないのである。APは過去にもビラル・フセインという現地カメラマンをやとってテロリストキャンプの内部からの特ダネ写真を何枚も掲載したことがある。しかし、この男、テロリストと強いつながりがあるとして後にアメリカ軍に逮捕されている。この男は殺されたイタリア人記者の遺体の横でポーズをとってるテロリストの写真などをとったりしていた。詳細はミッシェル・モルキンが9月に特集している。(Associated Press and the Bilal Hussein case; by Michelle Malkin)



Bilal Hussein and his picture    Italian

テロリストと一緒に逮捕されたAPカメラマン、ビラル・フセイン(左)フセイン撮影イタリア人記者の遺体の前でポーズを取るテロリストたち(右)


The Jawa Reportによると、APニュースは一連の架空証人やテロリストカメラマンの起用といった所行を反省するどころか、ロイターが以前にとりあげて全く信用性がないことがあれだけ暴露されている緑ヘルメットの男の写真を復活させているという。(注:この緑ヘルメット男のブログはパロディ) 当ブログでも緑ヘルメットの男のことはかなり書いたので覚えておられる方も多いだろう。(ここへいくAP作成のスライドショーをみることができる。)

それではここで、中東発生の主流メディアによるねつ造記事を振り返ってみよう。

眉唾なイラク米兵による悪事報道: イラクはハディーサでおきたとされる米軍兵による強姦殺害事件。あれだけ騒がれたのに捜査の結果何の証拠も得られず誰も逮捕されなかった。今となっては事件が本当にあったのかどうかも不明。

ヒズボラの情報操作作戦! ロイターのやらせ写真を斬る: イスラエルによる爆撃後の損害写真の一連だが、同じ男が別人として何度も登場したり、違う橋が同じ名前で登場したりしている。

ニューヨークタイムスやらせ写真がばれて、苦しい言い逃れ: レバノン、タイヤー市にて遺体として写真をとられた人間は別の写真でぴんぴんしていたことが判明。ニューヨークタイムスはころんでけがをした男性と説明書きをつけるべきだったと苦し紛れの訂正。

イスラエル、ロイターの車を空爆の嘘: イスラエルのミサイルに撃たれたはずのロイターの車。しかしミサイルで開いたはずの穴には古いさび後が、、、

仏テレビやらせ映像を指摘され訴訟起こす: パレスチナによる連続テロ事件をあおるきっかけとなったアブデゥーラ親子の殺害事件。あとでやらせがばれて報道したフランステレビ局と暴露した批評家との間で裁判沙汰にまでなっている。

緑ヘルメット男の正体: 今や有名な緑ヘルメットの男。レバノンで被害があるとどこからともなく現れて子供のなきがらをだきながらポーズをとりまくる変態男の正体。

ほかにもいろいろあるので興味のある読者のかたがたは当ブログの「狂ったメディア」カテゴリーをご参照いただきたい。

こうしてみてみると、我々が得ている情報はいったいどこからどこまでが本当なのか全く分からなくなってくる。最近では主流メディアからの報道では飽き足らないと自ら腰をあげてイラクやアフガニスタンに赴くブロガーたちも出てきた。こうしたフリーランスの記者による報道は主流メディアよりはましかもしれないが、彼等には彼等なりのアジェンダがあるわけで、これとてそのまま鵜呑みにすることはできない。

ではいったい我々一介の市民はどうすればいいのだろうか?

情報過多の現代社会では雪崩のように流れ込む情報の濁流を泳ぎながら、真実を見極める力を養うことが未来に生き残るただひとつの道なのかもしれない。


December 9, 2006, 現時間 11:18 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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December 3, 2006

また暴かれたAPのねつ造記事

イラク関係 , 狂ったメディア

アメリカのニュースワイヤーサービスであるAssociate Press (AP)が、中東での情報を自社の特派員を使わずストリンガーといわれる地元民から得ていることで、これまでにも根拠のない怪しげなニュースがまことしやかに報道されてきたことは、7月のレバノン戦争の時に当ブログで何度か紹介してきた。

レバノンでは緑ヘルメットの男があちこちに現れてレバノン市民の被害を訴えていたが、今度はイラクでジャミール・フセインなる「警察官」がAPニュースの情報元としてあちこちで出没している。

ジャミール・フセインの名前が取りざたされるようになったのは、先月APがイラクでシーア派の民兵がスンニ派一イラク人6名をイラク軍が見守るなか焼き殺したという報道をしたのがきっかけだ。まずは11月25日付けのAPニュースより:

バグダッドは金曜日にくらべて静かだった。目撃者や警察の話では(金曜日)暴れた民兵らがハリヤー地区の主にシーア派の住宅街で4つの聖廟や数軒の家を焼き払ったり爆破したりした。近くにいたイラク兵たちはシーアマフディ軍のメンバーを思われる容疑者の攻撃や、それに続いた攻撃で25人にのぼるスンニ派の殺害を阻止することができなかったと警察のジャミール・フセイン警察署長は語った。

米軍側は土曜日、ハリヤー地区を警備しているイラク軍は焼かれた聖廟はひとつだけで、金曜日に6人のスンニアラブ人が祈祷中に引きずり出されて焼き殺されたという殺されたという情報は確認できなかったと発表した。

この記事を読んで「変だなあ」と感じたアメリカ人ブロガー、Flopping Acesの元アメリカ海兵隊員で警察官もやったことのあるカートは、グーグルでちょっと検索をしてみたところ、6人のスンニイラク人が殺されたという話の情報元はジャミール・フセイン警察署長ただひとりであることがわかった。

焼き殺された6人についてのどの記事にもこの男の名前が現れるので俺はかなり古い記事を掘り起こしてこの男の関わった記事を探さねばならなかった。

この4月の話:

昨日最悪の暴力、手錠をかけられ目隠しをされ拷問の後のある6人の男性の遺体がバグダッド付近のドラにて発見されたとジャミール・フセイン警察署長は語った。

これは5月の記事から:

引き続き土曜日にも自動車爆弾がバグダッド南部の込み合った交差点でおき、すくなくとも4人の民間人が殺され7人がけがをしたとジャミール・フセイン警察署長は語った...

これは6月:

月曜日の夕方、バグダッドの商店街で内政省のパトロールを二つの爆破が襲い、少なくとも7人が殺され16人が負傷したと警察は語った。最初の自動車爆弾は西バグダッドの内政省のパトロールを襲い4人の機動隊員が殺され6人が負傷したとジャミール・フセイン警察署長は語った。フセイン署長は30分後もう一つの爆弾がバグダッドから20マイルほど離れたマフムーディヤ商店街で爆発し3人が殺され10人が負傷したと語った。

7月:

銃をもった男たちは西バグダッドのスンニ住宅街でバスを待ち伏せし一人の女性を含めた6人の乗客と運転手を殺したとジャミール・フセイン警察署長は語った...

この後9月の事件と続くが長くなるのでここでは省略しておく。スンニが殺されるたびに新聞に登場するこのジャミール・フセイン警察署長とはいったいどういう人物なのだろう。

4つもの聖廟が焼かれ6人の祈祷者が焼き殺されたという話にもどるが、25日付けの米軍の公式発表によると焼かれたのは一つだけで、AP記事に載った事件の確認はできないという。バグダッドの地元消防隊および警察もそんな報告は受けていないとしている。

バグダッド地元警察も聞いていない? ではいったいAP記事に話をしたフセイン署長はどこの警察の署長なのだ? ブロガーのカートはCENTCOM(アメリカ軍中央司令部)に連絡してこの男の身元について質問したところ、CENTCOMからはこの男の身元は確認できないが、彼がイラク警察の正式な報道官でないことは確かだという返答があった。

その後27日になってCENTCOMはジャミール・フセインなる男はイラク警察官でもなければ内政省の人間でもないと発表した。そして24日のAP記事の事件は全く根も葉もないでっちあげであるとAPへ抗議の手紙を送った。この手紙のなかには、APが好んで引用しているヤーモーク地区の警察官と称するマイセム・アブドゥール・ラザーク警部(Lt. Maithem Abdul Razzaq)もイラク警察の人間ではなく、イラク警察を代表して声明文を出す立場にいる人間ではないとある。

また、イラク警察を代表してメディアを話すことが許可されているのはチーフ以上の地位にあるひとのみで、それ以下の警察官がメディアと話すことは禁じられているとし、身元の確認できない人間からの報道は匿名として報道されるべきであると忠告している。

6人が焼き殺されたという記事を信用できる情報元から確認できない限り、APはこの記事を撤回するか、もしくは少なくとも情報元の名前が本人がいうものとは違っているという訂正文を出すことを要請する...

このCENTCOMの要求に対してAPは自分らの情報は正しいと主張して撤回も訂正もする意志がないことをあきらかにしている。

「金曜日のことについてさらなる情報を得るためAPのリポーターはフセインに三度目の連絡をとり、報道に間違いがないことを確認しました。署長は過去2年にわたって警察の情報提供を定期的にしてくれているひとでAPのリポーターは彼の警察署に何度か訪れています。署長はフルネームのジャミール・ゴーレイム・フセインと名乗っており、6人は本当に火をつけられたと証言しています。」

ジャミール・フセインと同様CENTCOMが警察官ではないとしているマイセム・アブドゥール・ラザーク警部だが、CENTCOMによれば彼はイラクの内政省から参考人として出頭するよう二週間前から令状が出ているという。またFlopping Acesの読者が詳細な検索を行った結果、ラザーク警部の名前は2006年4月3日から11月13日まで23の記事に載っており、ジャミールにいたってはカートが当初みつけた12の記事を大きく上回る61の記事で名前が載せられていたことが判明した。しかも彼等の名前が出てくるのはAP取材の記事のみである。

ところでイラク警察も内政省もそんな人間は働いていないといっているのに、APの記者たちはいったいどこの警察署を訪れてこの男に会見したのだろうか? それにAPが2年前から情報元としてつかっているといっているのに、どうしてジャミールの名前は今年の4月以前には全くAPの記事に現れていないのだろうか? 

Flopping Acesの読者によるとジャミール「署長」とラザーク「警部」の証言を取り入れた記事には必ずAPのイラク現地記者アル・バシヤー記者の名前が出てくるという。カカシはこの名前には聞き覚えがある。それもそのはず、アル・バシヤーは2003年9月からイラク人記者として多々の新聞に記事を寄稿していたからである。バシヤーが書いた2003年の10月5日のバグダッドで数年ぶりに競馬が行われたという記事はカカシも読んだ覚えがある。その後もバシヤー記者の書いた記事はイギリスの新聞などに十数回掲載されているが、常に別の記者との共同取材ということになっていた。

このバシヤー記者がAPのおかかえ現地記者となったのは2006年5月のことらしい。APのでっちあげ記事にはこの記者の関わりがかなり重要な鍵となっているようだ。

しかしこうしてみると、少なくともAPの記事に関してはシーア対スンニのいわゆる宗派間争いの記事にはかなり多くのでたらめねつ造記事が含まれているということになる。APの記事はアメリカ全国、いや世界各国の新聞社が情報元として信頼して再掲載している。そのAPが身元の確認できないストリンガーのでっちあげ記事をそのまま報道していたのである。

イラクの不安定な状態が先の選挙に大きな影響を与えたことを考えると、APはあきらかにイラクテロリストの情報操作の手先となっていたことになる。知っててやっていたにしろ知らずにだまされていたにしろ、メディアとしての責任を完全に怠ったこの行動は許しがたい。


December 3, 2006, 現時間 10:15 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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November 27, 2006

これは宗派間戦争だ! サドル派テレビ局を占拠

イラク関係

25日未明サドルのシンパらがバグダッドのテレビ局を占拠し、二時間に渡ってシーア派イラク人にスンニ派に対抗して蜂起せよと宗派間戦争を呼びかけた

『これは生放送である。神のご意志あれば、皆よく聞け。我々は歩道や水道やほかのことなどどうでもいい。我々がもとめるのは安全だ。』匿名のサドルシティのある住民はテレビ放映された群衆が歓声をあげるなか演説した。『我々は役人を求める。彼らは宗派間戦争は存在していないという。否!これは宗派間戦争である!それが真実なのだ!』

先日、アルカエダがサドルシティを襲撃し、数回に渡る自動車爆弾などで200人のシーア派を殺したことへのシーア派による反応である。

今朝のラジオで以前アメリカのイラク政策の報道官をしていた人が、今のイラクの状態はもう内乱だといっていた。確かにシーア派の暴徒がスンニ派を殺し、スンニ派が復習するということが続いている以上、これはまさに内乱だといえるのかもしれない。だがイラクは内乱状態にあると断言んてしまうのはかえって問題を深刻化してしまうような気がする。

私は決して現状を無視しろといっているのではない。だがこれが宗派間戦争だといってしまうと、イラク人同士が好きで殺しあいをしているのに何故アメリカが中にはいる必要があるのだ、イラク人には勝手に殺しあいをさせてアメリカ軍は帰って来いという理屈になる。しかしイラクはシーアとスンニが完全に二つに別れてそれぞれが軍隊をもって戦争をやっているわけではない。少なくともまだそんな段階にまでは進んでいないのだ。

今のイラクの状況は協力な暴力団同士の縄張り争いといった程度のものだ。そんな一部の過激派の勢力争いのために殺しあいを望まない一般のイラク人を見捨てるのはあまりにも乱暴だ。

サドルのシンパ連中がテレビ局を占拠してわざわざ「これは宗派間戦争だ」などと宣言しなければならない理由は、多くのイラク人が内乱など望んでいないからである。アルカエダにしてもシーアの民兵らにしても、イラクが内乱状態になることを望んでいる。イラクが混乱すればするほど彼等は自分らの勢力を延ばす可能性が高まるからだ。彼等は政治力で勢力を得ることはまだできない。彼等にできることは暴力による国民制圧だけだ。

もっとも正直な話、サドルシティは軍事的な標的としては適当だろう。サドルシティはイランの白豚サドルの本拠地であり、ここを起点としての攻撃で数多くのスンニ市民が殺されており、その行為を市民の大半が支持している。だからサドルシティがテロリストの犠牲になってもあまり私は同情できない。アルカエダの連中がサドルをシンパを殺したいならどんどんやってちょうだいといいたいところだ。

ただサドルの民兵がアルカエダによる攻撃の復讐をするといって無関係なスンニへの攻撃を激化するのであれば、これは宗派間戦争を望んでいるアルカエダの思う壷であり、イラク全体にとってよいことではない。

それに多くのスンニ派有力部族はシーアとの宗派争いを望まないだけでなく、アルカエダとの絆も断ち切ろうとアルカエダアルカエダに反旗をひるがえし、いまやアメリカ軍と協力してアルカエダと戦っているのである。しかもスンニ派なのにイラク警察やイラク軍へ志願するものも多くでてきているのだ。そのような大事な時にイラク人同士には好きなように殺しあいをさせておけなどという意見はあまりにも無責任である。

せっかくスンニ派の多くがアメリカ軍を信用するようになってきているのだ、シーアの過激派にスンニ派を殺させていてはまた信用をなくしてしまう。アメリカ軍はなんとしてもサドルの白豚ひきいるマフディやバーダーといったシーア暴力団を撲滅しなければならない。そのために兵を増加する必要があるというなら、それも仕方ない。とにかく撤退だけはあってはならない。

November 27, 2006, 現時間 5:38 PM | コメント (2) | トラックバック (0)

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November 25, 2006

見苦しいアメリカ保守派のパニック状態

アメリカ内政 , イラク関係

この間の中間選挙で負けてからというもの、アメリカ保守派の間でのうろたえぶりは見るにたえない。アメリカの保守派層、特にネオコンと呼ばれる連中はやたら悲観的でちょっとのことですぐヒステリーを起こす。私は彼等の肩をゆすって顔を平手打ちしてやりたいね。全く。

私がネットアクセスのなかった先週に保守派ブロガーの間で根拠のない馬鹿げた噂が広まった。その噂とは、ブッシュ大統領はイラクの未来をイランとシリアに引き渡しアメリカはイラクから撤退する。ゲーツ防衛大臣はそのための起用であり、イラク政策の委員会代表ベイカー氏もそのやり方を助言するというもの。

ブッシュ大統領がイラクをあきらめる? しかもイラクをイランとシリアに任せる? いったいどこからこんな妄想が生まれたのだ?

ことの発端は11月12日にカンザスシティスターの載ったこの記事を、ネオコンブロガーとしては大御所のパワーラインが取り上げたのがきっかけ。この記事にたいしてパワーラインはこのような反応を示した。

私は本当に自分が間違っていればいいと思う。だがこれはまるでまぬけな外交専門チームのみが「現実的」といって考え出しそうな陰謀に聞こえる。なんだってこの神の緑の地球上で、個別にしろ一緒にしろ、イラクの平穏化にイランだのシリアなんてのの助けがいるんだ? 奴らの有利になるという理由で彼等こそが過去三年間にわたってこの力の限りイラクの混乱を招いてきたではないか。

カンザスシティスターの記事が正確ならばパワーラインの反応も理解できる。だが常々アメリカ主流メディアの偏向報道に批判的な発言をしているパワーラインが、自分達の被害妄想に沿った報道だとその信ぴょう性も吟味しないまま記事を鵜呑みにして騒ぎ立てるのはちょっとおかしいのではないか?

だいたいシティスターの情報源とは何だ? この記事を注意して読んでみるとおよそあやしげなソースばかりである。以下はシティスターの記事からの抜粋だが、私が黒字で強調した部分に注意をして読んでいただきたい。

ワシントン:合衆国諜報部員の上層部員らが中東のそれとベーカーイラク委員会から推薦されると予測される政策について話あうために会議をくりかえしていると、中東ソースはニュースデイに語った。

推薦提案にはイランとシリアに近付くことが含まれているとされる。これは委員会のメンバーであるロバート・ゲイツも推薦している政策である。元CIA長官のゲーツ氏はブッシュ家の長年の愛弟子であり、ブッシュ大統領からこの水曜日に辞任が発表されたラムスフェルド長官にかわって防衛大臣と選択された人である...

国家諜報部のジョン・ネグラポンテ長官は委員会の推薦の一部についてすでにベーカー氏と密接に計画を進めているという。

ネグラポンテ氏の考えに詳しいひとたちからの情報によると、氏はアメリカがイランに近付きイスラエル平行してシリアにも近付きイラク復興への援助を申し込むという、ベーカー氏のグループの推薦のなかでも一番話題を呼ぶこの提案に同意していると報告されている。金曜日コメントを求められたネグラポンテ氏の報道官はこの質問には答えなかった。

「中東ソース」「〜という」とか「考えに詳しいひとたち」とか訳の分からない情報ばかりでいったいどこの誰がこんなことを言ったのか全く定かではない。だいたい国際社会や国内での批判を押し切ってイラク戦争を始めたブッシュが、数々の批判を浴びながらイラク政策を全うしてきているブッシュ大統領が、突然イラクをイランやシリアに引き渡すなんてことが常識で考えられるか? この話どう考えてもおかしい。

何かとブッシュ政権の政策に批判的で常にわい曲した偏向報道を繰り返してきたメディアが中間選挙に民主党が勝ったからといって突然正直になるわけはない。だからシテイスターのでたらめ報道には今さら驚きはしないが、このでたらめ記事を鵜呑みにしてヒステリーを起こしている保守派の連中には失望する。

私も含め保守派の多くがCIAを信用していない。だから元CIA長官であるゲーツの選択には不満な人々が多いのも理解できる。私自身ゲーツが防衛大臣として適任なのかどうかかなり不安だ。

だがゲーツ氏は未知数である。ゲーツ氏が適任かどうか分からないという不安ではじまったことが、いつのまにかゲーツ氏は信用できない、ゲーツ氏はリベラルだ、ゲーツ氏はイラクをイランに売り渡す気だ、と被害妄想がエスカレートして膨れ上がってしまっているのは何故だろう? いったい保守派はなんだってこんなパニック状態におちいっているのだろう?

この記事が報道された翌日にもブッシュ大統領はイラクを時間制限で撤退する計画はないと断言している。またイギリスのブレア首相もイランとシリアはイラクの平穏化を脅かす行為は控えるべきであり、それに協力しないのであれば両国は国際社会から孤立する結果を招くであろうと厳しい発言をしている

つまり、アメリカもイギリスもイランやシリアにイラクを引き渡す交渉をしているどころか、イランやシリアにイラクにこれ以上手を出すなと強硬姿勢を崩していないのである。

アメリカの保守派諸君、ブッシュ大統領は我々を裏切ったことはない。どれだけの批判を浴びても自分の信念を貫き通してきたブッシュ大統領は中間選挙で共和党が破れたくらいで妥協して逃げるような臆病者ではない。これまでブッシュ大統領を信じて応援してきた我々ではないか、イラクが苦境にたっている今こそ建設的にイラク安定化を計る努力をすべきではないのか? リベラルメディアが何かいう度に一喜一憂していてはうまくいくものまでうまくいかなくなってしまう。

今こそ保守派は一丸となってブッシュのイラク政策を応援すべきである。ブッシュ大統領を信用して一緒にイラクの勝利を導こうではないか! 偏向メディアの無責任記事にパニクってる時ではない!

November 25, 2006, 現時間 3:26 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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November 22, 2006

アメリカがイラクで勝つ方法

イラク関係

English version of this post can be found atGood Hunting in Ramadi, Big Lizards.

先週からアメリカ・イラク同盟軍はラマディ付近でスンニテロリストに対して数々の攻撃を仕掛けており、同盟軍側の戦死者をひとりもださずに、何十人というテロリストを退治し同じように大人数のテロリストを捕らえた。Bill RogioのFourth Railの記事をまとめてみると、

カークック:イラク陸軍第1旅団第5師団とアメリカ題73騎兵隊と空挺隊82師団による合同攻撃において、連合軍は50人のテロリストを殺害、20人を逮捕した。さらに40万ラウンドの小銃弾、1万5千発のマシンガン用銃弾を押収。また爆弾製造の材料やプロパガンダ用のパンフレットやアメリカドルの大金も押収。

バグダッド:米・イ連合軍はスンニテロリスト18人を殺害、19人に負傷させた。さらに日曜日には9人のテロリストをさつがい、二人が逮捕された。

ラマディ: バグダッドの外でも一番危険な場所ラマディでは11月13日と14日の連続攻撃により、11人のテロリストが殺された。また土曜日にも連合軍は8人を殺害、二人を取り押さえた。

このようなアメリカ・イラク軍による圧倒的勝利はイラクでの戦闘においてはもう日常茶飯事である。でもカカシさんそれが本当ならどうしてスンニのテロリストたちはいつまでも戦いをあきらめないの、と読者のみなさんは不思議に思われるだろう。

その理由は大きく分けて二つある。

1 アメリカメディアが先頭にたってあともう少しテロリストが踏んばれば、アメリカはあきらめて退散すると報道しまくっていること。

2 イランの飼い犬ならぬ白豚サドルの民兵たちへの真剣な対策がとられていない。シリアやイランからの国境をきちんと守っていないため、シーア派のテロリスト及び武器弾薬が大量に流れ込んできている。彼等がイラクのスンニ派を大量に殺害している以上、スンニ派イラク人がシーアの味方だと解釈しているアメリカ軍に攻撃をしかけてくるのも理解できるというものだ。

私は国境を塞ぐことは可能だと考える。しかしそのためにはこれまでのようなやり方では駄目だ。シリアとイラク、イランとイラクとの国境線は何百キロと広がるわけで、現在いる兵数ではとてもパトロールをすることはできない。となれば偵察機を使った空からのパトロールが必要であり、侵入者は容赦なく空からのミサイル攻撃で殺すというやり方でなければ国境は塞ぐことはできない。つまりRule of Engagement (ROE, 戦闘時の規則)の見直しが必要なのだ。

歴史学者のビクター・デイビス・ハンソン氏はROEさえ改善されれば現在の兵数で十分にイラクを鎮圧することができると語る

ではもっと兵を出動させることや完全撤退やひどいニュース報道への苦情について考えてみよう。しかし現実は攻撃の際の戦略についてもっと余裕のある行動が許されさえすれば、敵意をもったメディアや凝視している敵ですら認めざる終えないような確実な勝利を獲得するに十分な兵士の数がイラクにはととのっているのである。ただこれは本国において最近我々の間でまたぶり返したヒステリー状態から立ち直ることができればの話だが。

今こそシーア派民兵を崩壊させる時である。サドルをいかしておいて将来のイラクに平和はない。

しかし「言うは安し行うは難し」である。シーア民兵との戦いにおいてアメリカ軍は2004年にファルージャはじめイラク各地で直面した難かしい問題と同じ問題に再び直面している。アメリカ軍は敵よりも圧倒的に優勢な戦力を有し領地を獲得することはできるが、その後の制覇ができない。それでアメリカ軍が去った後テロリストたちは再び舞い戻ってきてもとの木阿弥である。これはサダムフセインがアメリカとの戦いを前にしてあらかじめ考えていた作戦なのだが、アメリカ軍がこれに気が付くまでに2年という長い年月がかかってしまった。このモグラ叩きの状況を乗り越えるのはかなり難かしい。 それでもこの難関をアメリカ軍が切り抜けることができたのはイラク軍の起用である。 アメリカ軍が訓練をしたイラク軍がアメリカの勝ち取った領地を占領軍として守備にあたる。おかげでアメリカ軍は守りを心配することなく次の攻撃に神経を集中させることができたのである。

だがシーア民兵に対してイラク軍を守備にまわすには、まだ我々はイラク軍を完全に信頼できる状況にない。多くのシーア派を含むイラク軍には民兵のメンバーそのものや民兵のシンパがまだぞろぞろいる。これらの人員を排除できなければシーア派民兵撲滅は望めない。

ここで私はシーア派との戦いにおいて守備に回る占領軍としてアメリカ兵の増強が必要だと考える。いずれイラクの守備はイラク軍に任せなければならないが、イラク軍内部の清掃にはまだまだ時間がかかる。その間やはり守りはアメリカ軍が請け負うしかないだろう。

私はアメリカ市民の間にイラクの勝利を勝ち取ろうという強い意志があることを望む。キッシンジャー元国務大臣はアメリカ市民にこの意志はないという。アメリカ市民にはそこまで我慢できる粘り強さがないと悲観的だ。だがアメリカは南北戦争で何百万という犠牲を双方で出しながら双方とも圧倒的な勝敗が決まるまであきらめなかった歴史をもっている国民だ。私は今のアメリカ人にもその粘り強さがあると信じたい。

イラクにおいて軍事的勝利を勝ち取ることは可能だ。だがそのためにはここで新たにアメリカ市民の一人一人がイラク安定の大切さへの意志を新たにし勝利への道を望まなければならない。

November 22, 2006, 現時間 7:52 PM | コメント (2) | トラックバック (0)

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キッシンジャー元国務大臣「イラクで軍事的勝利は不可能」発言の真相

イラク関係

昨日喜多さんがキッシンジャーまで逃げたじゃんという題で、ワシントンポストに載ったユージーン・ロビンソンの記事を紹介していた。その内容は「保守派」のキッシンジャー氏ですらイラクではアメリカは勝てないといっている、アメリカは今すぐ撤退するしか道はないというもの。

大変じゃん。 ヘンリー・キッシンジャーですら、今じゃイラクの軍事的勝利は不可能だ、って言ってるならさぁ、ジョージ・W・ブッシュには本当に、ローラとバーニーしか残ってないって事じゃん...

でさぁ、キッシンジャーかよ(禿嗤)?
どーでも良いから気分が良くなるような事をテキトーに、でも定期的に大統領のお耳に入れる為にホワイトハウスにふらりと立ち寄ってた賢人様が?
まあ、最後まで頑張れや、って言ってた奴が?
2005年8月に「反乱軍に対する勝利が、唯一の意義ある撤収戦略だ」とか書いてた賢者がさあ、今じゃブッシュの撤収条件を「全イラクを統治し、暴力行為をコントロールする能力を持った、安定した政府」とかリストしてんだよ。
それでもってさ、それがムダムダムダー!って宣言してんの(大笑い)。
ヘンリーK様がもうすぐ、俺は最初っから愚行だと知っておったわい、とバラしても、驚く奴なんているかよ?

私はこの記事を読んでいて、キッシンジャー氏がそんなこと本当にいったのかあ?と不振に思っていたら、案の定、主流メディア特有の歪曲報道。キッシンジャー氏の「イラクの軍事的勝利は不可能だ」発言には前後の文脈というものがある。これを無視してここだけ取り上げるとキッシンジャー氏の本意とは裏腹の意味になってしまうのである。

ではキッシンジャー氏はいったい何と言ったのか、ニューヨークタイムスの「キッシンジャー氏、イラクでの軍事的勝利は不可能と発言」という記事には下記のようにある。

日頃からブッシュ大統領にイラク政策についてアドバイスしている元国務大臣のヘンリー・A・キッシンジャー氏は本日完全な軍事的勝利はもはや不可能であると語った。これで氏は戦争にたいして楽観的な見解をしめすブッシュ政権に挑戦する増え続ける保守派指導者たちに加わることとなった。

「『軍事的な勝利』とはイラク政府がきちんと設立されその統制が国全体に行き届き内戦も鎮圧され宗派間暴力も鎮圧されることが、民主主義の政治的な課程で支持できる時間以内に達成するという意味ならば、それは不可能だと思います。」 とキッシンジャー氏はBBCニュースに語った。

ここでキッシンジャー氏のいう「民主主義の政治的な過程で指示できる時間以内」というのはイラクの民主主義を意味するのではなく、アメリカの政治を意味する。つまりだ、アメリカ市民およびアメリカの政治が許容できる短い期間でイラクを統制することはできないだろうと氏はアメリカ市民の飽きっぽい性格を悲観的に見ているのである。イラク戦争が原因と思われる今回の選挙結果をみれば氏が悲観的になるのも無理はない。だが、アメリカ世論がついてこないだろうというのと、イラクでの軍事的勝利が不可能だということはまた別物だ。それをニューヨークタイムスもワシントンポストもわざと混合してわい曲報道をしているのは、いつものことながら汚いやりかただ。

November 22, 2006, 現時間 2:16 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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November 12, 2006

民主党勝利=イラク撤退ではない!

アメリカ内政 , イラク関係

English version of this entry can be found here.

私は先日、今後のイラク戦争、民主党勝利で激化の可能性でも述べたとおり、民主党が議会を制覇したからといってそれが自動的にアメリカ軍イラク撤退につながると考えるのは早計だと考える。 テロリスト諸君には申し訳ないが、いくら民主党といえどアメリカ人だ。アメリカ人はテロリストごときの脅しに怯んで逃げ出すほどやわではない。 むしろ戦争を早期に効果的に勝利に収めるために民主党は一時的にしろ戦況を激化する可能性がある。

テロリストどもも、昨日紹介したイスラム教諸国の政治家も、そして諸外国のメディアも皆誤解しているが、民主党は「イラク即刻撤退」を公約して選挙運動をしたのではない。 無論民主党の極左翼の連中が即刻撤退を約束していたことは確かだが、同じ民主党でも兵を増やすべきと唱える元将軍らもいて、中庸から右よりの候補たちのイラク戦争にかんする意見は決してイラク即刻撤退ではなかったのだ。 民主党候補者がただひとつ全員で意見がまとまっていたのは、ブッシュ大統領のイラク政策「進路を保つ」には絶対に反対だということだけだ。 だから民主党の公約はあいまいな「イラク戦争の進路を変える」というもっと微妙なものになったのである。

民主党候補らが、声を揃えてイラク即撤退を唱えなかったのは、自分らの間でも考えがまとまっていないということもあるが、アメリカ市民が即刻撤退を望んでいるかどうか確信がもてなかったというのもその理由のひとつ。 イラク戦争はすべきではなかったと考え、イラク戦争はうまくいっていないとしているアメリカ人も、始めてしまった以上はきちんと始末して帰って来いと考えている人が多い。 仕事を途中で放りだして負け犬のように退散すべしなどと考えるのは負けず嫌いなアメリカ人には似つかわしくないからである。

選挙運動中は便宜上極左翼のご機嫌取りをしてイラク即刻撤退を唱えていた候補者も、当選した今となっては今後責任ある対策を採らなければ2008年の再選は望めない。 だからハト派のプラットフォームで出馬した議員らが必ずしもイラク即刻撤退政策を打ち出すとは限らない。 

ブッシュ大統領はこの民主党の葛藤を利用すべきである。 ミスター苺は新しい議会が開会する来年の一月に、ブッシュ大統領はテレビネットワークを通じてひとつ大々的な演説をぶちかますべきだという。 下記は物書きであるミスター苺がブッシュ大統領のスピーチライターとして立候補して書いたブッシュ大統領がするべき演説。 (ブッシュさん、読んでね!)

我が同胞アメリカ市民の皆さん今晩は。 去る11月の選挙は多くの論争問題によって決められました。腐敗やスキャンダルの排斥といった誰でも同意できるものから、ほかはもっと複雑なものもあります。

イラク戦争問題がその複雑な問題のひとつです。 アメリカ人のなかには、善良なアメリカ人でこの国を愛しながらも、この戦争は勝てないと考える人がいます。 彼らは我々にできる唯一の方法は敗北してイラクを去ることであると信じています。なにしろ勝利を持って去ることは不可能なのだからと。 私はそうはおもいません。 ほとんどのアメリカ人がそうは考えていません。

そのほかに、アメリカ軍はイラク内部にある基地に退き、我々が援助して築いた新しいイラク軍に残りの戦いを任せるべきだという人もいます。彼らはこのままアメリカ兵がパトロールを続ければ、もっと多くのアメリカ兵が殺される、これ以上の犠牲はアメリカは我慢できないと心配します。 この意見にも私は同意できません。 我々はパトロールを続行しイラクの人々と近い接触を保たなければなりません。 なぜならそれがイラク市民からテロリストに関する諜報を集める手段だからです。 イラクの人々と日々の接触がなければ、イラクで悪行を犯す悪者をみつけることはできません。

しかし時には政権の内外に存在する先鋭な見解を持つ多くのアメリカ人が、イラクで、治安を安定させ、テロリストやジハーディストから勝利を勝ち取り、我々の考える形と違うとはいえ、中東の真ん中に民主主義を繁栄させるという仕事を完遂させるには、アメリカ兵の数が多すぎるのではなく、少な過ぎるのだと論じてきました。

私はアメリカ兵の大幅な増加には抵抗してきました。 なぜなら私はアメリカ兵の足跡が多くなればなるほどイラク人が自らの手で責任を負うことが難しくなると考えたからです。しかし兵力増加の訴えは良識となり、いまや戦地の将軍達のほとんどが同意しています。

私はこの戦争を始めた時から、先ず勝利を勝ち取る責任のあるプロの意見を聞くと繰り返してきました。 現場の指揮官から広範囲にわたる議論を聞き、また議会の新しいリーダーたち及び与党の議員とも相談した結果、私は間違っていたと気がつきました、そして私の批判者は正しかったと判断しました。 我々はサダム・フセインを倒すのに充分な軍隊を送ってその戦争には勝ちました。 しかし主な戦闘が終わった後、私は平和を保つのに必要な充分な軍隊を残しませんでした。

今夜、この場において私はさらに75000兵をイラクに出動させることを発表いたします。 司令担当者たちは早急に詳細にわたって何人の兵士が何処に必要であるか調査書を提出します。 しかしこの戦争に勝つためには次の三つの目的をはたさねばなりません。

イラクのイランとシリアとの国境を守ること。 この二つの国々は双方ともイラクに武器弾薬及びテロリストを潜入させています。 この穴を埋められない限り、ジハーディストに勝つことは出来ません。 なぜならイランとその手先のシリアがその穴からどんどん代わりを送ってくるからです。

我々はイラクの最前線を守らねばなりません。特にアンバー地区ですが、ここに多くのスンニテロリストのアジトがあるのです。

そして最後に、イラク人口の20%以上が住んでいるイラクの首都、バグダッドを平穏化せねばなりません。 これはイランが支配しているモクタダ・アル・サドルの民兵とバーダー旅団といったこちらもイランのムラーたちと親密な関係にあるシーア民兵軍を崩壊させることを意味します。 新しく出動する我が軍のほとんどがバグダッドに配置されます。

新しい部隊は少なくとも一年はイラクに駐留します。そして任務が完遂するまでは撤退しません。 彼らはそのためにこの危険な職務に立候補したのです、任務を遂行させ戦争に勝つために。

我々はイラクのノーリ・アル・マリキ首相と相談し、出来る限りの範囲でイラク政府の祝福を得ながらイラク軍と一緒に行動します。 しかし我々はイラクにある目的を持って侵攻しました。 それはイラク人を解放するというだけでなく、合衆国を守るという目的のためです。アルカエダや他のジハーディストテロ軍団がイラクを温床として、大量破壊兵器を開発し、イラクを拠点に世界中にいるアメリカ人やアメリカ国内へ戦いを挑むことが出来ないようにするためです。

アメリカ合衆国はこの目的を達成するまではイラクから退きません。我々は苦境に不動に立ち向かいます。我々は勇ましく戦います。 アメリカはイラクが今後二度と過激派やテロリストの味方とならず、アメリカ関係及びアメリカ本土そのものを含み他の諸国に対してあからさまな攻撃をしかけないと確信するまでは、は怯みません、負けません。我々は我々を守るためにせねばならぬことを成し遂げるのです、今もそして将来も。

私は議会において両党協力してこの一時的な兵力増加法案を通してくれることを呼びかけます。 上院多数派リーダーのハリー・リード議員、ならびに下院ペロシ議長、そして共和党上院少数派リーダー、ミッチ・ミッコネル議員そして下院少数派リーダーマイク・ペンス議員、らはすでに各党の議員たちと相談をしています。そして我々は全員この戦争に勝つためには一致団結して同じ方角にすすむ意外にはないと同意しました。

両党の多くの議員の方々からすばらしい貢献をうけ、ご支援をいただいたことを感謝します。 神の祝福を受けながら、アメリカ軍の陸軍兵、水兵、空軍兵、そして海兵隊の勇気と根性をもってすれば、我々はかならずや世界中にひろまるジハード戦争に勝つことができるでしょう。 そしてその一番重要な戦場イラクで勝つのです。

今アメリカ人の一人一人が、戦地で敵の弾や爆弾やロケット弾に面している兵士らと同じ勇気をもちさえすればいいのです。 イラクの爆破魔や首切り屋にアメリカ合衆国に面と向かうということがどういうことか教えてやろうではありませんか。 奴らは戦争を欲したのです。奴らは戦争を得ました。 奴らに合衆国アメリカに喧嘩を売った日を生涯悔やませてやりましょう。

ご清聴ありがとうございました。 我々すべてに神のお恵みあれ。

アメリカ人はイラク戦争においていくつかの求めていることがある。

  • 何か目に見えた状況改善の道を選ぶこと。

  • 共和民主が協力して行動すること。

  • そもそもどうしてこの戦争を始めたのかという明確な目的を提示すること。フセインを倒したのはいいが、それがアメリカにどういう関係があるのかが明らかではない。

アメリカ人がナンシー・ペロシ女史とはちがって、イラクで勝つことのほうがイラク撤退よりアメリカのためになると悟って、敗北よりも勝利を選んでくれるといいのだが。

(ところで75000という数はミスター苺が適当にだした数字であって、無論これは現場の将軍たちが決めることだ。)

もし民主党がこの考えに賛成すれば、新しい防衛長官ロバート・ゲイツ氏の任命承認もスムーズにいくだろう。

November 12, 2006, 現時間 8:13 AM | コメント (1) | トラックバック (2)

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November 10, 2006

今後のイラク戦争、民主党勝利で激化の可能性

イラク関係

私はブッシュ大統領は個人的に好きだし、彼の政策にもだいたい賛成している。 だが、彼の「やり方」は不器用だと常日頃から考えてきた。

今回のラムスフェルド辞任のタイミングにしてもそうだ。 これはさっきもコメント欄で龍之介さんに書いたことなのだが、選挙大敗直後にラムスフェルドを辞めさせるくらいなら、どうして数ヶ月前からラムスフェルドは選挙後の結果にかかわらず辞任すると発表しなかったのか? それどころか、ブッシュ大統領は選挙直前にラムスフェルド長官はブッシュ政権の任期が終わるまで辞めさせないと宣言すらしていた。リベラルは最初からラミー長官を毛嫌いしていたから別として、保守派の間でもラミーの人気はそう高くなかった。いや最近ではかなり保守派からラミーの辞任を唱える声が聞こえていたものだ。 

アメリカ市民はイラク戦争に対してかなり苛立ちを高めている。これはリベラルも保守派も同じである。 だが双方が同じように戦争状況に不満があるからといって、双方の不満が同じであると解釈するのは間違っている。 保守派の不満はイラクから兵を今すぐ引き上げないことへの不満ではなく、イラクでアメリカ兵が足りていないということに対する不満だ。つまり、多くの保守派はラムスフェルド長官の軍隊理想像である「強力な少ない数の特別部隊による戦争」のやり方に大きな不満をもっており、最初から「衝撃と感嘆」の物量作戦をすべきだったという意見が大半なのだ。

だからもし、数ヶ月前にブッシュ大統領がラミーの辞任を宣言し、イラク戦争が新しい方角に向かうという姿勢をあきらかにしていたならば、保守派も希望を持ってもっと選挙に積極的に参加したかもしれないのだ。 それをブッシュ大統領がラミーはブッシュの任期が終わるまで勤めると発表したことで、イラク政策は今後もかわりばえのしないもになるという失望感が保守派の間でひろまったことは否定できない。

しかし、おきてしまったことを今更言っても仕方ない。 今後のイラク政策だが、私はイラクからは兵が撤退するどころかイラク出兵の数は大幅に増えると予測する。 大量出動を嫌っていたラムスフェルドが居なくなった以上、地元の将軍たちはもっと多くの兵を要請するだろう。 そしてその要請によって出動命令をだすブッシュ大統領を民主党はそう簡単には拒絶することはできない。  

なぜなら民主党は公約どおり、この戦争を速やかに終わらせる必要がある。 しかし、ただ単にアメリカ軍を撤退させて世界中のテロリストに勝利宣言のお祭り騒ぎをされたり、アメリカ国内でテロをおこされたりしてはかなわない。 それこそ、「それみたことか、これだから民主党に国防は任せられない」ということで2008年の選挙は共和党に奪い返される可能性があるからだ。 民主党はさっさと戦争に勝ってイラクを引き上げためには一時的な兵数増加も止む終えないと判断するかもしれない。

それに、今回新しく議席を得た民主党議員の多くが民主党とは名ばかりの保守派が多いことも忘れてはならない。 民主党議員がかならずしも鳩派でイラク戦争から即刻撤退を望んでいると考えるのは間違いである。 保守派の民主党議員はイラク戦争そのもには反対でも、一旦始めたからには勝たなければならないと考えている人が多い。 彼らのイラク戦争批判は、「やるべきではなかったうえに、やり方を間違えている」というもの。 だからイラクに勝つための政策変更が彼らの意見と一致すれば、ブッシュ大統領は民主党議員を味方につけてイラク戦争を一時的に激化させる可能性は充分にあるのだ。

イギリスの鷹派政治評論家、メラニー・フィッリプス女史は今回の民主党勝利はアメリカが弱腰になっている証拠だという。 たかが三年の戦争で結果がでないからなんだというのだ、イギリスなど何年もかかってマラヤの抵抗軍を鎮圧してきたぞと。  

そう簡単にアメリカを見限って欲しくないなあ。


November 10, 2006, 現時間 6:28 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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November 8, 2006

ラムスフェルド米国防長官が辞任!

イラク関係

さっきテレビを見ていたら、突然のニュースフラッシュ! ラムスフェルド米国長官が辞任! しょっく~!

ワシントン(CNN) ブッシュ米大統領は8日午後(日本時間9日未明)、ホワイトハウスで記者会見し、ラムズフェルド国防長官(74)の辞任を発表した。大統領は「国防総省に新しいリーダシップをもたらす適切な時期だ」と説明し、後任にはロバート・ゲイツ元中央情報局(CIA)長官を指名した。

7日に投開票された中間選挙の出口調査では、有権者の57パーセントがイラク戦争に不満を示すなど、イラク政策をめぐってラムズフェルド国防長官に対する批判が高まっていた。

ブッシュ大統領は会見で「昨日の投票で、米国人の多くが(イラク国内の)進歩の欠如に不満を示した」との認識を示し、ラムズフェルド長官と進退について対話を重ねていたことを明らかにした。

ゲイツ氏は1991年から93年にかけてCIA長官をつとめ、現在はテキサス州のテキサスA&M大学の学長。

ラムズフェルド国防長官は、ブッシュ政権1期目の01年1月20日に就任。同氏はフォード政権時の75年から77年にかけても国防長官をつとめた。

ブッシュ大統領は「(ラムズフェルド氏は)変化の時代において素晴らしいリーダーだった。それでも、この戦争の大切な時期に、新しい視点をもたらす重要性について認識していた」と述べて、同長官の決断を評価した。

イラク戦争の大事なときにラミー長官が居なくなるのは痛いなあ。 しかし考えてみれば民主党が上下院をコントロールする以上、今後ラムスフェルド長官を忌み嫌っていた民主党員たちが、あることないことでっちあげて、ラミーを攻めまくってあっちの公聴会、こっちの捜査と、ラミーを引きずり回すのは目に見えている。 そんなくだらないことに巻き込まれるくらいなら、いまのうちに辞めてしまおうというのがラミーの本音なのかもしれない。

いやあ、初日からたいへんなことになったな。

November 8, 2006, 現時間 6:31 PM | コメント (4) | トラックバック (0)

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November 6, 2006

イラク:マリキ首相の微妙な立場

イラク関係

The English language version of this article can be found here.

サダムフセインの死刑判決が出たことはまことに喜ばしい。 しかしだからといって喜んでばかりもいられないのがイラクの難しいところだ。 まだまだ我々の上空には暗雲が立ち込めている。

しかし先ずはいいニュースから。先週、アメリカとイラクの連合軍がバグダッドで数々の手入れを行いサドルの率いるマフディ軍の幹部らを何人も取り押さえた。(Fourth Railより)

土曜日、イラク特別部隊はアメリカアドバイザーに見守れながら、サドル市内においてイランの手先モクタダ・アルサドルとそのマフディ軍のバグダッドアジトに手入れを行った。 この手入れで「殺人誘拐犯グループ」の三人のメンバーが逮捕された。 マフディ軍はイラク軍に小銃やロケット弾で攻撃しながら逃走した。

これはノーリ・マリキ首相が先週の火曜日、一週間にわたる封鎖を解除するよう命令してから、初めての攻撃作戦であった。 同日のサドル市内での作戦では三人のテロリスト容疑者逮捕の成果があった。 封鎖解除の命令はアメリカ軍からは強く反発が出、イラク大統領もこの決断には強く反対していた。 マリキ首相がサドル率いるシーアの死の軍団の武装解除にどれだけ真剣なのかという深い疑問が生まれている。

問題なのはマリキ首相はかなりサドル勢力に政治的に傾いている点だ。彼は前任の首相ほどサドルべったりではないにしろ、なにかとサドルの肩を持ちすぎる。 マリキ首相は最近とみに、アメリカ・イラク連合軍による宗派・部族争い鎮圧の努力を邪魔するようになってきている。

この間の封鎖解除における理不尽な要請がそのいい例である。 以下ニューヨークタイムスの記事より。

マリキ氏のサドル市封鎖解除宣言はアメリカ軍司令官達には当初不意を突かれた形になった。しかし夕方までにはアメリカ軍はバグダッド東部と中央部に一週間ほど設置してあった分離帯の位置を放棄した。これはイラク軍を含めて行われていた行方不明のアメリカ兵捜索の一部として設置されたものだった。 関門は交通を迂回させたため、東部では日常生活や商売の妨げになっていた。

この宣言の言葉使いがあたかもマリキ首相にアメリカ軍に指令を下す権限があるかのような表現であったため、マリキ首相はシーア派の支援者に迎合するため、自分の権限を踏み越えたと見られている。

この撤退は人口密度が高く反米意識も高いサドル市内では歓喜で迎えられた。アメリカ軍は捜索の焦点をここに絞っていた。

マリキ首相の微妙な立場はわからないではない。彼は自分の支援者の前でアメリカ政府に対して強気の姿勢を見せなければならないのだろう。 とにかくアメリカの操り人形だと思われては困るというわけだ。 しかし自分でシーアの民兵を退治できないでアメリカに頼っている以上、大きな口を叩ける立場にはないはずだ。またアメリカ軍もおめおめとマリキのいいなりになどなるべきではない。 マリキが独立国の首相として大きな口を叩くのは独立国の首相らしくきちんと自国の暴走民兵らを取り締まってからにしてもらいたい。

私が思うに、マリキ首相はアメリカ軍の駐留はもうそう永くは無いと考えているのではないだろうか。 いったい氏はどこからそんな考えを持ってきたのだろう? どうも彼はサドルがアメリカ軍が去った後、強力な政治勢力として生き残ると踏んでいるように思える。 だからアメリカ軍が去った後も自分の立場が悪くならないように今のうちからサドルにゴマをすっておこうという魂胆なのではないだろうか。

しかし、これまでにアメリカ軍の強さを過小評価してきた多くの勢力がそうであるように、マリキは間違っている。 明日の選挙でどうなろうとも、アメリカ軍はサドルとその手下のマフディ軍、そしてバーダー旅団を始末せずにイラクを撤退するなどということはあり得ない。 大統領には議会に対抗する非常に多くの権限がある。 ロナルド・レーガン大統領が多数議席を握る民主党議会に真っ向から対決して多々の政策を押し通したように、軍隊の総指揮官であるブッシュ大統領は軍隊を自由に操る権限があるのだ。 特に議会はすでにイラク戦争を承認しているのだから、戦争を続行するのは大統領の一存ということにもならない。

どうしてこう皆アメリカ軍を見損なっているのだろう。 確かにクリントン時代のアメリカ軍は途中で戦争を投げ出すことが多かった。しかしブッシュ大統領の代になってから、そのようなことは起きていない。 ならば前大統領時代の例よりも現大統領の実績からアメリカ軍は判断されるべきではないのだろうか? 

戦闘に次ぐ戦闘でアメリカ軍は圧倒的勝利を収めている。にも拘わらずあまりにも多くに人々が我々の敗北は間違いないと確信しているのは不思議でならない。 もっとも民主党や民主党の応援団と成り下がった主流メディアの話を鵜呑みにすれば、今度の選挙で民主党が上下議院をコントロールするようになった暁にはアメリカ軍は退陣にいそしむと考えるのも無理は無いのかもしれない、メディアは皆口を揃えてそういっているではないか!

アメリカメディアのプロパガンダを完全に信じきってるのが、アルカエダもサドル達だ。 彼らは本気で民主党が勝てば自分達が勝つと信じきっている。そして彼らは愚かにも自分らが人を殺せば殺すほど、恐怖におののいたアメリカ市民は退陣を訴える民主党に投票するようになると信じているのである。

だが、真実はその反対だろう。 アメリカ人は自分らの軍人が殺されたり自国が攻撃されて怯えて逃げる人種ではない。 かえって怒り来るって奮起立つ性分だ。 今アメリカ市民がイラクに関して消極的な姿勢を見せているのは、攻撃を恐れているからではなく、負け犬の連中が声を大にして繰り返す敗北間違いなしのシュプレヒコールを信じてしまっているからだ。 残念ながら、どんな嘘でも大声で何度も繰り返せば、だんだんと人々はそれを信じるようになってしまうのが現実だ。

2009年に新しい大統領になって、イラクで確実に勝利と言われる何かが起きるまでアメリカ市民は自分達の勝利を信じられないのかもしれない。 だがここでちょっと振り返ってそう遠くない過去に我々が成し遂げた輝かしき勝利を思い出していただきたい。以下ビクター・ハンソンのエッセーより。

とうの昔に忘れられてしまったのは三週間で悪徳独裁者を倒した輝かしい戦闘。 またアメリカが、ソビエトがアフガニスタンで負けた後や我々の前任がレバノンやソマリアでしたように戦後の動乱を見放したりせずに、民主主義の理想を貫くために努力していることも高く評価されない。 そして我々はシリアがレバノンから立ち退かざるおえなくなったことや、リビアが大量破壊兵器開発をあきらめたことや、パキスタンがカーン博士を潔くみとめたことや、湾岸の王国でわずかながらも選挙が行われるようになったことにも感謝していない。.

という事実があるにも拘わらず、マリキは自分の政治将来しか考えていない。 いったいなんだってイラクはこんな奴を首相にしたんだ? あ、前任のジャファーリを追い出すためだったっけ。

だがマリキは考え違いをしている。 サドルの命はそうながくない。 我々がイラクを去るまえに誰かがサドルを殺すだろう。そうなる前にマリキもシーア派も誰の側につくのか早く決めといたほうがいい。 そうでないとサドルが地獄へ堕ちるときまだサドルにくっついていれば彼らもサドルと運命を共にすることになるからだ。

ま、それも悪くないけどね。

November 6, 2006, 現時間 6:08 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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November 4, 2006

ケリーの弟子? 反戦イラク帰還兵のおかしな戦話

アメリカ内政 , イラク関係

先ほどケリー上院議員がベトナム戦争帰還後にあることないこと、(ほとんどないこと)をでっちあげて反戦運動をしたという話をしたばかりだが、新世代にもケリーのような帰還兵はいるらしい。 ミズーリ州上院議員選挙で民主党のクレア・マックカスキル(Claire McCaskill)候補の選挙運動テレビ広告では、ジョシュア・ランスデールというイラク帰還兵がイラクで負傷した足首を軍事病院で診てもらうのに6ヶ月もかかった、これというのも軍隊医療費増加法案を反対した共和党議員のジム・タレントのような政治家のせいだ、と言う証言をしている。

ランスデール君は実際にイラク帰還兵で軍医をしていて、2003年から2004年にかけてイラク戦争に参加していた。 同じランスデール君はまた別のテレビコマーシャルでも、「イラクのせいで世界はもっと危険になった。」という台詞でちょっと登場していた。 「していた」というのは実は今は登場していないからだ。 その理由はというと、

実はランスデール君がイラクで負傷した後診察を受けるまで6ヶ月もかかったという話がどうも胡散臭いのだ。 軍事病院がいくら能率が悪いとはいえ病院の話ではイラク帰還兵は最優先で治療を受けられることになっており、長くても30日以内に治療をうけられるはずだという。 この疑問に答えるためにマックカスキル候補はランスデールに診断書を提出するように要請したが、ランスデール君はマックカスキルからの電話に答えようとしないで逃げまくっているらしい。

この4月、ランスデール君は自分が足首を怪我した状況をこのように語った。

「かなり危険な場所でした。 私たちはたくさんのモーター弾や、路肩改良爆弾、自動車爆弾などの攻撃を受け、ヘリコプター墜落もたくさん目撃しました。 私たちは国連爆破時の救援にあたりました。 私は燃える建物やら、車やら、バイクなどの爆発から何人もひきずりだしました。」

しかしイラクでランスデールと同じ隊にいた別の帰還兵らの話によると、どうもランスデールが語ったこの勇ましい手柄話にもかなり後から尾ひれのついた自慢話になっているらしいのだ。

ランスデールの所属していたのは陸軍の予備隊487、エンジニア部でイラク出動は2003年5月から2004年4月までの一年間。同じ隊で消防隊チーフをしていたゲリー・クーエン(Gary Kuehn, SFC/AGR, Retired)さんの話では、、( Gateway Pundit

一度ヘリコプターのタイヤがパンクして一人の兵士が大怪我を負い、一人が死亡という事故がありました。 また一度バイクを運転していた兵士が臨設トイレ清掃車にぶつかって頭に大きなたんこぶをつくるという事故がありました。 それ以外には我々が居た間、飛行機やヘリコプターの墜落など一度もありませんでした。 我々はバグダッド近くには行きませんでしたし、大使館の建物もキャンプアナコンダへ行く途中に通りすぎだだけです。

モーター弾による攻撃は幾晩もありましたが、我々や消防署の付近まで届いたのはほんの1~2発で、しかもそれはほとんど最後のほうでした。 敵の撃った95%ははずれか不発でした。 私の部下の消防士で燃える建物から人を引きずり出した者はひとりもおりません。 二人ほど火事と戦っている最中に熱さから倒れるということはありましたが。

ジョシュア・ランスデールは確かにアメリカでは見られない色々なことを目撃したのでしょう。 しかし彼の話はあまりにも大げさ過ぎます。 私の部下に三人ほど彼など想像もつかないほど死に近づいた者達がいます。 彼の診断書をみるまではなんともいえませんが、私は彼が足首を怪我をしたことを思い出せません。 ねんざくらいはしたかもしれませんが、、

私は戦争体験者が自分の手柄話を誇張して友達や親戚に語る分には全く問題ないと思う。 たとえ自分自身危険な目にあっていなくても死ぬかもしれない戦場を覚悟で戦争に行ったというだけで帰還兵にはそのくらいの自慢話をする権利はあると考えるからだ。 しかし、それが講じて他人を傷つけるようなことになるとしたらこれはいただけない。 そのようなことをするのは自分のせっかくの栄誉に泥を塗るだけでなく、もっと危険な目にあった他の軍人達にも失礼である。

しかしこの地方選挙の泥試合、醜いものだな。

November 4, 2006, 現時間 12:08 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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October 28, 2006

イラク戦争には勝てるのか? 三つの段階を考える

イラク関係

日本の保守派ブロガーのなかでは日本内政情報についてのその知識の豊富さによって人気ナンバー1の極右翼評論の瀬戸弘幸さんが、なんと我がブログとアレックスさんのブログを並べてアメリカの中東政策情報の参考にしているとおっしゃってくださったので、新しく訪れた読者の皆様を失望させないためにも、ここはひとつイラク情勢について書かねばらないだろう。 (当ブログにおけるイラク関係の過去ログはイラク関係カテゴリーをご参考にされたし。)

のっけから瀬戸さんのご意見に異議を唱えるのも心苦しいのだが、私は瀬戸さんのイラク戦争は失敗だったとの分析にはちょっと賛成しかねる。 そこで私はアメリカのイラク政策は大成功したとは言わないが、完全に失敗したという状況ではないということを二回に分けてお話したいと思う。

フセイン旧政権が崩壊、新憲法が国民の圧倒的支持で承認されてから25日で一年が経過した。しかし、イラクは未だに武装勢力が国土の大半を支配している。

 この武装勢力は各宗派によって組織化されており、深刻な宗教対立、民族対立の中で、まさに行き場のない混沌とした状況下にある。どう見ても米国のイラク統治は失敗である...

世界中のメディアが全く認めようとしない事実に、イラク戦争において軍事的にアメリカは多大なる勝利を収めているということがある。 このようなことを書くと「え? 何が勝利なの?」と私の正気を疑うひともあることだろう。 だがちょっと振り返ってイラク戦争が経てきた三つの大きな段階に注目していただきたい。 

イラク戦争と一口にいってもこの戦争は2003年の開戦当時からいくつかの段階を通過してきた。 先ずはフセイン政権崩壊、アルカエダという外国人テロリストグループ及びスンニ親派との戦い、そして現在のイランの影響を強く受けているシーア過激派民兵との戦いである。 この三つの戦いのうち最初の二つにおいてアメリカ及び連合軍が圧倒的勝利を得た事実を皆さんに思い出していただきたい。

フセイン政権の崩壊はあっという間の出来事であったし、数あるフセインの銅像があちこちで引き倒されイラク市民がサンダルでフセインのポスターを殴りつけるシーンはいくらも放映されたので読者の皆様の記憶にも残っていることだろう。 だが、第2段階のアルカエダテロリストに対する大勝利はアメリカのメディアを始め世界メディアはほとんど無視した。 メディアの第2段階から第3段階への移行はあまりにもスムーズだったため、多くの人々がこれを見逃したとしても不思議ではない。 しかししイラク戦争の報道に注意を傾けていれば、新聞の紙面からアルカエダ、ザルカーウィ、スンニ抵抗軍、自爆テロ、自動車爆弾テロ、路肩改良爆弾(IED)という語彙がいつの間にか、宗派間紛争、民兵、サドルといった言葉に置き換えられたことに気がついたはずだ。

ではいったい連合軍はどのようにしてアルカエダ及びスンニ抵抗軍に対して勝利をおさめたのか。 イラクのアルカエダはザルカーウィを筆頭とした外国人勢力であり、その中堅部の指導者たちはイラク人ではなく外国人が占めていた。 当初彼らはアメリカ軍に対して真正面からの攻撃を試みたがこれは数十人のアルカエダ兵士の死者に対して一人二人の米兵の戦死という全く不均衡な惨敗の連続だった。 そこで彼らはスンニ居住区でのゲリラ戦を行ったが、これも2004年の二度にわたるファルージャの戦いなどでも解るようにアメリカ軍が圧勝した。 この頃(2004年2月ごろ)、ザルカーウィがアルカエダ本部へ当てて書いた手紙を持った使者が捕らえられ、ザルカーウィがアメリカ軍はどんな戦いにもひるまない、我々には新しい作戦がいる、支援を求める、といった内容の手紙が公表された。 ザルカーウィはアメリカ軍は臆病者だとののしった後で、それでもアメリカ軍はシーアを味方につけその勢力を増しており、一旦アメリカ軍に奪われた地域はアメリカ軍が去った後でも取り戻すのは難しいと語っている。

我々は荷物をまとめ別の場所を探しに出かける、悲しいながらも、我々が何度もこの聖戦において繰り替えしてきたことである。なぜなら敵は勢力を増し、その諜報能力も日ごとに増加しているからだ。 カバの主よ、この道で我々は窒息しつつあり疲れている。人々は宗教の王たちに従うであろう。彼らの心はあなた方と共にあり、彼らの剣はウマヤの力と勝利と安全にある。神よ御慈悲あれ。

イラクで勝つためにはシーアと戦わねばならないと判断したザルカーウィは作戦んを変えて、シーア派イラク市民を狙った自爆テロや爆弾テロ攻撃を増加させ、シーア派市民を捕らえては拷問斬首している姿をビデオにとってネットやメディアにばら撒くなどした。 しかしこの野蛮な行為はかえって逆効果を生み、それまでアルカエダに同情的だったスンニ派の部族すらも嫌気がさしてアルカエダと見放すという状況が出来てきた。

これに関しては2005年7月ごろに送られたと思われるアルカエダのナンバー2のザワヒリからザルカーウィへ宛てた手紙やザルカーウィが殺されたとき所持していた別の幹部からの手紙でも、ザルカーウィの野蛮なやり方はかえってイスラム教徒をアルカエダから遠ざけることになり、アルカエダがイラクをアルカエダのテロ国家として所持する目的には邪魔になるとたしなめてさえいた。

連合軍との戦いで中堅指導者を次々に失ったアルカエダは、ヨルダンやシリアから新しい指導員をどんどん呼び寄せたが、アルカエダを裏切ったスンニ派などの密告によりイラク入りしたアルカエダ幹部は次々と暗殺されてしまった。 外国人勢力であるアルカエダは地元スンニイラク人を信用しなかったため、イラクのアルカエダは指導者を失いザルカーウィだけを首領とする死のカルトへと変貌、ザルカーウィの死とともにアルカエダの威力は急激に弱体化した。

完璧な世界ならば、ここでスンニ派部族の多くがアルカエダを見放しイラク復興の政治に参加しようという気になって、一件落着、めでたしめでたし、で終わるところなのだが、そうは行かないのが中東の難しさである。 アルカエダ勢力が弱体化したことを利用し、今度は俺達の出番といって勢力を挙げてきたのがイランの飼い犬、白豚サドル(モクタダー・アル・サドル)とその手下の愚連隊マフディ民兵軍である。

サドルのマフディ軍がナジャフで蜂起したのはファルージャとの戦いと同時期でありこれは決して偶然ではない。 フセイン亡き後アメリカを追い出しイラク国内で勢力を得ようとしたサドルがアルカエダのザルカーウィと組んで同時攻撃を試みたとしても決して不思議ではない。敵の敵は味方という理屈である。

この当時アメリカ海兵隊はサドルをナジャフの聖廟に追い詰めており、一斉攻撃を仕掛ければ一日でサドルとマフディ軍を崩壊させることが出来た。だが、シーア派の大聖教者のシスタニがそれを許さなかった。シスタニは決してサドルの味方ではない。 だがサドルをシーア派の聖廟内で無信心者で野蛮人のアメリカ軍に聖廟を冒涜され信者を殺されることを容認すればシーア派の面子にかかわる。 またイラク人によるアメリカへの敵対心を煽ってイラクは余計に混乱に陥るという心配もあったのだろう。 私たちはシスタニがなんといおうとサドルを生かしておいては後でろくなことにならないと海兵隊一斉攻撃が中止されたときは多いに腹をたてたものである。

この第三段階の宗派間紛争の鎮圧において、アメリカ軍はアルカエダとの戦いから今度はシーア派過激派との戦いへと戦略を変更した。 ラマダン中に激しい闘争が繰り返されここ二年間で10月はアメリカ兵戦死者の数がこれまでで一番多いという悲しい状況が生じた。 しかし戦死者の数だけをみてアメリカ軍が戦争に負けていると判断するのは誤りである。 何故戦死者の数が増えたのかその背後にあるアメリカの戦略を考慮に入れなければ戦死者の数だけ数えてみても意味はない。

長くなるので、この現在の状況は次回に回すことにしよう。

October 28, 2006, 現時間 11:48 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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October 20, 2006

ブッシュ大統領、ベトナムとイラクを比較

イラク関係 , 狂ったメディア

昨日も私はああベトナムよもう一度でこの話はちょっとしたが、ミスター苺が同じ件についてもっと詳しい記事をBigLizards.netで書いていた。 さすが夫婦気持ちが通じるなあ。(笑)

実は私は今週はじめからバージニア州へひとりで出張にきている。以前にも書いたと思うが私は長期出張が多いため、一年のうち何ヶ月もホテル住まいとなる。 それでミスター苺との交流はメールや電話が主だが、仕事のいそがしさにかまけて自分の英語のブログはミスター苺に任せきりになっていてろくろく読んでもいなかった。「君ねえ、自分のブログに書かないだけならまだしも、たまには読むくらいしなさいよ」、とミスター苺に叱られそうだ。

というわけで私が取り上げた記事をミスター苺がどのように取り上げたか、こちらでも紹介しておこう。

****

ブッシュは正しい! イラクはベトナムのようだ 
ミスター苺著

...とは言ってもジョージ・スナファルパガスや民主党の奴らが騒いで言ってるのとはちょっと違う意味でだけどね。 僕が何の話をしてるかって? えっと、なんだっけ? あ、そうだ。 このインタビュー、ABCテレビで大統領と司会者のスナファルパガスとのやりとりの一部にこんなのがあったんだ。 (カカシ注:司会者の名前はGeorge Stephanopoulos, でステファノポロスと発音するが、ミスター苺はいつも間違って発音している。)

ブッシュ大統領はABCニュースでジョージ・ステファノポロスとの一対一のインタビューにおいて、ある新聞記事によるイラクの現在の戦況と1968年のベトナム戦争の岐路となったテット攻撃の比較は的確であるかもしれないと語った。

ステファノポロスは大統領はニューヨークタイムスにイラクの状況は40年前のベトナムでのテット攻撃に匹敵するものだと書いたコラムニスト、トム・フリードマンの意見に同意するのかと質問した。

「彼は正しいかもしれません。」と大統領は答えた。そして加えて、「確かに、選挙を前に暴力が増加しています。」

なんてこった! ブッシュがイラクとベトナムを比べている! ブッシュでさえも戦争は絶望的だと考えてるってことだ。だよね? 他にどう取り様があるんだよ?

実はあ~、 ジョージW・ブッシュはベトナム戦争の歴史をかなり良く知ってるって意味なのだ。 少なくともジョージ・スナファルパガスやハワード・ディーン、ナンシー・ポロシ、ハリー・「土地取得汚職事件」リードや馬鹿サヨブログの連中なんかよりはね。

先ず基本から始めよう。俺達はみんなすべてひっくるめて考慮してベトナム戦争には負けたってことで同意だよな。だが左右両方全員で同意できるのはそこまでだ。

民主党の連中とってはこれはすでに信仰のようなものだが、信じられないほど強力な北ベトナム軍(NVA)と南の同盟軍である無敵の南ベトナム解放戦線(ベトコン)がレニングラードやスターリングラドで強靭な赤軍に追い返され命からがら逃げ去ったナチス軍のように、アメリカ軍を破壊し完全崩壊したのだと深く信じ込んでいる。

言ってみれば民主党はきリスト教徒がイエスキリストの復活を信じているのと同じくらいの意味で、我々ファシストで帝国主義のアメリカ軍が人民革命に打ちのめされ、それが理由でベトナムでは負けたのだと信じている。

民主党の持っているベトナムのイメージは何百何千という臆病者のアメリカ兵がパニックに陥って遁走し、何千という単位で脱走し、背中から勝ち誇るNVAに後ろから撃たれながら逃げる姿だろう。これは大げさな表現なんかじゃない、民主党員のだれとでもベトナム戦争について話してごらん、だれでもすぐに彼らの脳裏にはこのイメージがくっきりと刻み込まれていることに気がつくはずだ。

この「証拠」は不思議なNVAとVCによるテット攻撃の幻想にある。以下ウィキペディア はこう説明する。:

テット攻勢とは (1968年、1月30日 - 1969年6月8日)ベトナム戦争中におきた連続攻撃作戦のことで、南ベトナム解放戦線(ベトコン) の強力な数部隊と北ベトナム軍(PAVN)の部隊が南ベトナム軍とアメリカ軍に対して計画的一斉に行った攻撃だった。(略)攻勢は旧正月の祝いのなかで輝かしくはじまり、1969年の6月まであちこちで分散的に続いた。

NVA の強力部隊が国境を越えてなだれ込み、同時にベトコンが激しい攻撃をベトナムの主要都市を一斉に攻撃した。彼らの思惑は(共産主義者はそう信じていたのだが)アメリカ人も南ベトナム政府もベトナムでは人気がないので、このような攻撃によって人々は蜂起し国を挙げての革命にまでつながり、資本主義の豚どもを海に追い込めるというものだった。

ここで民主党が「イラクは今世代のベトナムだ」というのはこのことを意味する。つまり、イラクはベトナムがそうであったように、「勝ちようがない」、そしてイラクの解放軍はファシストアメリカ軍に戦闘に次ぐ戦闘で大勝利を挙げているという考えなのだ。 もうあとすこしで、と民主党は熱烈に願う、アメリカは負け、(911でしたように)恐縮する。そして貧乏に生まれなかったことや、黒人でないことへの罪悪感に包まれるだろう。

悪いけど、本当のテット攻勢はアカの奴らが企んだような訳にはいかなかったんだよね。民主党の信仰ともちがってね。

テト攻勢は 共産主義勢力にとって軍事的には大惨敗だった, ベトコンも北ベトナム軍も作戦の目的を何一つ達成することができなかった。さらに、作戦の損害は多大で南ベトナム軍及び同盟軍によってベトコンは事実上機能不能となった。

しかし1968年には侮ってはならない大きな親共産主義勢力が存在していた。それがアメリカのエリートメディアだったというわけ。 彼らは北ベトナムと解放戦線にアメリカ軍が圧倒的に惨敗することを切に願っていた。ウォルトおじさんの指揮にしたがって、ニュースメディアは嘘をつきまくった。抵抗軍が同盟軍によるすさまじい攻撃で崩壊したという事実を報道するかわりに、敵側の攻撃は共産主義勢力の歴史的な勝利だったという大嘘を報道したのだ。

当時もそしてその後も、戦争一般、特にテト攻勢のアメリカメディアの悲観的な報道を批判する声は多くきかれた。アール・ウィラー氏、当時のChairman of the Joint Chiefs of Staff,はテット後の 「アメリカメディアの間でみられる絶望と失望」について不満をもらしていた。

アメリカメディアのなかで一番有名で影響力のあった反戦運動といえばウォルター・クロンカイド司会で行われた1968年2月27日放送のスペシャルニュース番組である。テット攻勢語の戦場を一回り見学し、 現場の落胆した兵士や将校らにインタビューした後、クロンカイド氏は直接軍上層部とジョンソン政権を批判した。「私たちはアメリカの指導者らによって、ベトナムでもワシントンでもこの暗雲の向こうに銀色の日差しが見えるという楽観的な見解に何度も失望させられました。」この引き分け状態を終わらすためアメリカは交渉[降参] すべきだと語った。

テット攻勢は共産勢力にとっては軍事的には悲劇的で圧倒的な大惨敗だった。 だがアメリカメディアはそれを共産主義の大勝利だったと執拗にプロパガンダを流し続けた。

テト攻勢がベトナム戦争と岐路といわれるのは、このメディアプロパガンダ宣伝により、それまで戦争を支持していた人々の心が反戦へと動いて、それがアメリカ軍撤退への道へとつながったからである。

この歴史を踏まえれば、ABCが選んで放映した部分だけみても、ブッシュ大統領はテト攻勢の意味を良くわきまえた上で、上記のような発言をしたことがわかる。

「ジョージ、私の腹の勘では敵はずっと、我々に充分な損害を与えさえすれば我々が引き上げると考えてきたのです。」ブッシュは言った。「アルカエダのリーダーたちはそれを明らかにしてきました。いいですか、私はこのように見ています。先ず、アルカエダはいまでも非常に活動的です。彼らは危険です。彼らは致命的です。彼らはできるだけ多くのアメリカ兵を殺そうしているだけでなく、イラク国内で宗派紛争も起こさせています。 彼らはイラクで充分な混乱を起こすことができれば、アメリカ人は嫌気がさしてイラク戦争に疲れて、アメリカ政府に(アメリカ軍を)撤退させることができると信じているのです。」

つまり大統領は敵がイラクで「勝っている」としたら、それは反米のアメリカメディアが執拗に繰り返すプロパガンダにおいてだけだと正しく把握しているのだ。そのいい例が元クリントン大統領の報道官だったジョージ・スナフルパガスなのだ。敵の勝利が可能なのはアメリカの馬鹿サヨメディアがアメリカ市民を脅かして恐怖におののかせ、目的未達成のままアメリカ軍を撤退させるような状態になった時だけなのだ。民主党はその時が来たらどのくらい早い時期にイラクをアルカエダに手渡そうかとテロリストと交渉したくてうずうずしている。

だからブッシュ大統領は全く正しい。イラク戦争という覆面をかぶったこの政治の裏芝居はまさにベトナムの時とそっくりだ。

October 20, 2006, 現時間 2:32 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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非国民CNNのテロリスト狙撃ビデオに怒る米兵達

イラク関係 , 狂ったメディア

昨日私はCNNがテロリストプロパガンダのPR会社と成り果て、テロリストがアメリカ兵を狙撃して殺す映像ビデオを放映し、そのウェッブサイトにビデオリンクまでつけているという話を書いたが、このCNNビデオに関してアメリカ兵の間から激怒の反響が起きている。(当たり前だ!)

私がよく読んでいるミルブログ(現役退役米軍兵及びその家族などの米軍関係の人たちが書いてるブログ)ブラックファイフでも米兵らからの怒りのメールが殺到しているという。ここでその一部を紹介しておこう。(元記事にはかなり激しい表現があるので、訳も多少乱暴な言葉を含むがご了承願いたい。)

以下Black Five, CNN - Plays Into the Hands of the Enemy (Knowingly)より。

CNNは狙撃者がアメリカ兵を殺すビデオを載せている。記事にはこのような前書きがある。

イラクではすでに2800人に及ぶアメリカ兵が殺されています。そんななかで抵抗軍による一番の危険な攻撃は狙撃です。CNNはイラクでも一番活動している抵抗組織、「イラクのイスラミック軍」から狙撃班がアメリカ兵を標的にしているビデオを入手しました。イスラミック軍はアメリカと話がしたいといっており、イスラム系インターネットにビデオを載せることでPRキャンペーンを行ってアメリカ市民に影響を与えたいとしています。 このビデオを見るのは不快ですが、CNNは衝撃的とはいえ語られる必要のある記事だと信じます。

ああ、そうだろうとも、CNNはテロリストがアメリカ兵を殺すビデオを放映するかどうか葛藤の苦しみだっただろうよ。

だが結論として、CNNは承知の上敵の手の内にはまったってことだよ。

ブラックファイブにはこの記事に関するコメントが100以上も載っているが、文中で引用されているコメントも含めここでいくつか紹介したいとおもう。 

共産主義(コミュニスト)ニュースネットワーク(CNN) の吐き気のするビデオに出くわした。 局はイラクの抵抗軍からビデオを入手したといっている。ビデオでは抵抗軍の狙撃兵がアメリカ兵を撃ち殺す映像が写っている。こういうのを抵抗軍の奴らは俺達に見せつけたいんだ。アメリカで誰かの両親や恋人がこんなもんを観る必要はない。これは牛の糞だ!!!これでまた主流メディアを信頼できない理由がひとつ増えたぜ。今度から記者とかかれてない車にのせて、ボケナスどもが好んでかぶる青ヘルメット抜きでイラクへ送り込んでやれ。(後略) -Staff Sergeant ,OIF III (イラク戦争体験者の准尉)
もう俺はこんなことでは驚いたり腹が立ったりさえもしないね。ため息をついて自分の仕事に戻るのみだ。なぜってこんなことはもう珍しくもなんともない。主流メディアが本国での戦争支持意識を崩させようとしてるのは既成事実だからだ。 主流メディアがイラクでの長期軍事作戦に反対だってことも、おやじや爺さんが使ってたベトナム時代の主流メディア手引きをつかってるってことも、泥沼だ、勝てない状態、 切捨て撤退、なんだかんだとやってることも、これもう常識。奴らは敵を援助することになってもかまわないんだ。奴らは兵隊や海兵隊員が死んでもかまわないんだ。もちろんこれは兵士の死をニュースハイライトで使って、戦争が「絶望的」だとアメリカ市民に訴えるとき以外はの話だが...ーSGT Torgersen
もう我々はニュースメディアが客観的だなどという前提は捨てるべきだ。奴らは積極的に抵抗軍を支持し我らの現政権に反抗しているのだ。 明らかに彼らは情報源ではなく我らの敵となったのだ。今後一切やつらを敵としてみなすべきである。すべての兵士が(記者の)質問に対して、「あっちいけ、くそったれ、おめえらは抵抗軍との戦いに邪魔なんだよ。」と答えれば奴らにもそれがわかるだろう。こっちの言い分など解ってもらおうとするな。どうせ奴らは報道しないんだから。ーMike O
CNN殿:どの神の名によってテロリストがアメリカ兵を狙撃するビデオなど掲載したのでしょう?イラクで負傷し帰国を余儀なくされた一兵士の母親として、また一水兵の母親として、私はこのアメリカ軍とその家族への無神経さに激怒し、テロリストのプロパガンダを宣伝するなどという常識を超えたその行為には完全にあきれます。単にテープを観たとだけ報道すればよかったのです。我々は見る必要などありません。テロリストにいくら払ったのですか? アメリカ兵の血でいくら金儲けをしたのですか? ー兵士の母 (カカシ注:文章からいってこの女性は二人のお子さんをイラクに送っているようだ。)

アメリカのメディアが、アメリカ兵が何人死んだとか、テロ爆発でイラク人が何人死んだとかいうニュースの代わりに、アメリカ兵がテロリストを何人退治し、イラク軍の能力がどれだけ進歩し、どれだけの地域が平穏化し、どれだけの病院や学校が建てられ、どれだけの子供たちが救われたかという話を報道していたなら、アメリカ市民が戦争から受ける印象はまったくちがったもになっていただろう。

あるテレビ局は一時期、アメリカ兵が死ぬたびに追悼と称して戦死した兵士のプロフィールを紹介していたが、いつも紹介するのは兵士になる前の若者がどんなふうだったとか、帰ってきてからどうするつもりだったとか、いかにもあたら若い命を無駄になくしたという印象を与えるものばかりだった。同じ戦死者への追悼でも、この兵士の勇敢な最後の戦いや、彼が戦時中にどのような立派な仕事をしたかを紹介したなら、名誉の戦死をした兵士の魂や家族がどれほど慰められるかわからない。観ているほうも悲しいがそれでも感謝の気持ちでいっぱいになるだっただろう。この兵士の死を無駄にしてはいけないという気持ちになっただろう。

私はミスター苺と共同で書いている英語版のブログ、Big Lizards.netで、戦場からのいいニュースシリーズを時々書いている。ある時いつものようにイラクやアフガニスタンでのアメリカ軍の功績を書いていたら、アメリカ軍中央司令部(CENTCOM)の広報部の人からメールが来て、いつもアメリカ軍について良いニュースを書いてくれてありがとう、ついてはアメリカ軍に関するニュースレターを定期的に送ります、とあった。我々のような零細ブログをアメリカ軍広報部は読んでいるとはちょっと驚いた。しかしアメリカには第二次世界大戦の時のような大本営放送はない。だから軍の広報部はこうした地道な活動で軍の功績をアメリカ市民に知らせるしかないのだろう。

アメリカのメディアがアメリカ軍に味方してくれれば軍もこんなに苦労しなくて済むものを。 全く嘆かわしい。

October 20, 2006, 現時間 11:10 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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October 19, 2006

ああベトナムよもう一度

イラク関係 , 狂ったメディア

アイゼック・アシモフが書いたファウンデーションというSF小説のなかにミュールという超能力者が出てくる。 ミュールには敵対する側の戦士や国民の戦意を戦わずして喪失させてしまう心理的操作の能力があった。 だから彼の率いる勢力に対抗する敵は圧倒的武力を所持していても絶望に陥り大敗してしまうのである。

今のアメリカメディアを観ていると、彼らは明らかにアルカエダのためにアメリカに大してこのミュールの役目を買って出たとしか考えられない。私はアメリカメディアの愛国心を疑ってはいない。彼らには愛国心などない。彼らは裏切り者であり、非国民である。彼らの目的はアメリカに敗北をもたらせることにある。 だから彼らはテロリストプロパガンダのPR会社としてせっせと働いているのだ。

このCNNの記事はまさにその典型だ。

「ビデオが捕らえた狙撃者の凍りつく所業」( Video shows snipers' chilling work in Iraq)と題されたこの記事ではCNNがテロリストから入手したというビデオテープの紹介がされており、ビデオのなかでカメラマンと狙撃者がどこから撃てばいいかとか相談しあっている声が入っているとある。そしてこのページにはアメリカ兵がテロリストによって狙撃され殺されるビデオへのリンクまでついている。

CNNはテロリストが人質を斬首するビデオは残虐すぎると放映しない。911事件直後タワーから人々が次々に飛び降りる姿も悲惨だといって放映しなかった。だがアメリカ兵が無残にも殺される姿を報道することには問題がないというのか? 
CNNにとって放映するビデオの内容が悲惨かどうかなどということは問題ではないのだ。アメリカ市民はテロリストが無実の市民を惨殺する姿や、テロ攻撃によって大量の市民が殺される姿をみれば、テロリストとの戦いに戦意を燃やすだろう。だが、アメリカ兵がいとも簡単にテロリストに狙撃される姿をみれば、アメリカ軍は勝てないのではないかと戦意を失う効果がある。CNNはそれを承知の上で、いやそれが目的でこのテロリストプロパガンダをわざわざ放映しているのだ。

アメリカがニクソン大統領とフォード大統領の時代にベトナムから屈辱の撤退をしたことで、アメリカ民主党及び左翼は共和党がアメリカを望みのない戦争に引きずり込んだとして30年以上も共和党バッシングに使ってきた。彼らは今回もイラク戦争に負けることで、再び政権を民主党のものに取り戻そうと考えているのだ。

我々は長い間アメリカはベトナムで大敗し引き上げざる終えなかったと教えられてきた。だが実際にはアメリカはベトナムで軍事的な勝利をあげていた。アメリカ軍は北ベトナム軍との戦闘で一度も敗れたことはなく、あの悪名たかいテット攻撃ですらも、アメリカ軍の圧倒的な勝利だった。

だがテット攻撃の直後、アメリカで一番人気だったニュースキャスターで「ウオルトおじさん」と国民に慕われていたウォルター・クロンカイド氏がベトナムから中継で「アメリカ軍はベトナムで大量に戦死している。戦況は悲惨でアメリカは大敗している。アメリカ市民は政府に騙されている」と報道したのがきっかけとなり、それまでベトナム戦争を支持していたアメリカ市民までが、戦争に背を向けるようになったのである。

イラクのアルカエダたちはこの歴史をよくわきまえている。だからアメリカは戦争が長引き血みどろの戦いが続けば戦意を失って絶望して撤退すると踏んでいるのである。そしてアメリカのメディアは血を求め残虐なニュース、(特にアメリカ兵が殺される)が好きだということをテロリスト達は知っているので、ジャーナリストの集まっているバグダッド付近、特にジャーナリストが泊まっているホテルの目の前で人殺しや自爆テロを行うのだ。 この間ラムスフェルド長官も話していたが暴力がひどいのはバグダッド周辺ほんの直径10キロ円周の中だという。

本日ブッシュ大統領もイラク戦争とベトナム戦争の共通点について述べた。だが、ブッシュはイラクがベトナムのように負けるという意味でいったのではなく、今年のラマダンでは紛争が激化したのは、アルカエダがベトナムのテット攻撃を再現させようというものではないかという問いに対して、それはそうかもしれないと同意した後、アメリカの中間選挙に向けてアルカエダは戦いを激化させて選挙に影響を与えようとしている可能性はあると述べた。 テロリスト達が「切捨て退散」の民主党に勢力を持たせようとしていることは言うまでも無い。

今度の中間選挙は現実などお構いなく、非国民メディアがどれだけアメリカ市民に悲観的な戦争像を売りつけることができるかそれを試す試験だといえる。もし共和党が圧倒的に議席を失い民主党が多数議席を獲得したならば、これだけブログやトークラジオががんばっても、まだまだ主流メディアの影響力には及ばないということが顕著になるからである。

October 19, 2006, 現時間 1:40 PM | コメント (1) | トラックバック (2)

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September 29, 2006

公開された米機密報告書、本当の内容はいかに?

アメリカ内政 , イラク関係 , 対テロ戦争

この間漏えいされたイラクに関する情報をまとめた機密報告書「国家情報評価」(NIE)の一部が昨日公開された。漏えい記事を書いたニューヨークタイムスは、この報告書がいかにもイラク戦争が世界をより危険にさせたと結論付けたように書いていたが、実際の結論はもっと微妙なニュアンスがある結論になっている。だが書類が公表された今でも反戦派はこの当初の報道の結論を引き合いにだし、まだ執拗にイラク戦争のせいで危険が増加したとの姿勢を崩さない。

ではいったいNIEの本当の内容とはどういうものだったのだろうか。CNNの記事を読みながら分析してみよう。

NIEは今年4月、イラク・アルカイダ機構のザルカウィ容疑者が米軍の攻撃で死亡する数週間前に発行された。国家情報長官のサイトに掲載されたNIEの要点によると、「聖戦活動」が拡散し、反米組織が各地に設立されるなか、イスラム過激派は国際テロ対策に順応しつつある。聖戦活動は世界戦略を欠いているものの、新たなテロ組織が出現する可能性が高いため、聖戦組織を捜索し弱体化させるのは一層困難となっている。

この間アフガニスタンのアルカエダ本部からザルカーウィ宛の手紙が公開された。それによると、本部はザルカーウィのやり方にかなり不満を持っており、ザルカーウィの乱暴なやり方ががスンニ派やバース残党などを遠ざけていると批判しているものだった。つまり、アルカエダはイラクというアフガニスタンからは比較的近くにある組織ですらも思うようにコントロールすることができなかったのである。ザルカーウィは自分をアルカエダからの直接な指揮下にあると考えていなかった証拠だ。ということは指揮者もはっきりしない、小さな組織が世界中に拡散するということはその勢力も拡散し効果も半減するということだ。

米国主導のイラク戦争は、聖戦に関与している勢力にとって「関心の的」であり、米国のイスラム社会への介入に対する深い怨恨とともに「世界的な聖戦運動の支持者を育成する」結果を生んでいる。イラクの聖戦活動家らが成功を収めたと認識された場合、過激思想はエスカレートする恐れがあるが、失敗したとみなされた場合、聖戦活動を継続する活動家は減少する見通し。

さてここが非常に大事な点だ。これはこの間ブッシュ大統領がいっていた通り、イラクでの勝敗が今後のテロリストの士気に多いに影響があるということである。たとえイラク戦争がアメリカへの怨恨により聖戦運動家を増やしたとしても、イラクでテロリストが負ければアルカエダへの勧誘はうまくいかなくなり、戦争に関わった人々も国へかえって恥さらしなテロ活動はしないだろうということなのだ。ということは今すぐイラクから撤退するということは対テロ戦争において完全な命取りになるということだ。

NIEは、米国主導のテロ対策がアルカイダの指導者らや活動に「重大な打撃」を与えたとする一方、アルカイダが米国にとって依然最大の脅威であると位置づけている。また、聖戦への関与を自称するイスラム教徒の増加傾向が続いた場合、米国内外の権益に対する危険が多様化し、世界各地で攻撃が増加するとの見通しを示している。

え? なんだって、『米国主導のテロ対策がアルカイダの指導者らや活動に「重大な打撃」を与えた』?こんな大事な部分がニューヨークタイムスの記事には載っていなかったとは、これはいかに。先日新しくイラクのアルカエダのリーダーとなったAbu Hamza al-Muhajir 別名Abu Ayyub al-Masri, がイラクでは4000人の聖戦者が殉教したと発表した。(The Belmont Clubより)アメリカ軍は正確な数を発表していないが、実際の数はその倍に近いだろうということである。

イラク戦争によって聖戦活動家、ジハーディストが増えたというなら、我々が殺している中から次から次へと生まれたということになるが、経験ある戦士が次々と死んだり捕まったりしているのに、入れ替わった新しい戦士らがより強力な勢力になるとは考えにくい。

聖戦活動の拡散を容易にする原因として挙げられているのは、▽汚職や不正、西側諸国による支配への恐怖といった根強い不満▽イラク国内の聖戦▽イスラム各国における経済・社会・政治改革の滞り▽イスラム教徒の間にまん延する反米感情──の4つ。事態解決にはアルカイダ指導者の拘束や殺害以上の方策が求められているが、アルカイダがオサマ・ビンラディン容疑者やザワヒリ容疑者といった大物を失った場合、小さなグループに分裂する恐れがある。

イスラム過激派によるテロの激化を食い止める方法としては、聖戦活動家らが掲げる過激なイデオロギーの公表や、尊敬を集めているイスラム聖職者を通じたテロ非難などがある。聖戦活動家らによる大量破壊兵器の入手や、インターネットを通じた通信やプロパガンダ活動、人員募集、訓練、各種支援の取得を阻止する必要もあるという。

アメリカの各情報部が集まって作った報告書にしてはずいぶんありふれた分析だ。イスラム過激派との戦いは戦場だけでなく、諜報と情報操作にも大いに力を入れなければならない。だからこそアルカエダのザワヒリが今日も今日とてビデオでせっせと勧誘運動を行っているのである。

ブッシュ米大統領はアルカイダの拡散を指摘したNIEに同意する一方、イラク戦争によって米国が安全でなくなったとする解釈を拒否する姿勢を示した。大統領はまた、海外のテロリストを打倒することが米国を守る最善の方法だと強調した。

まさしくその通りだ。この報告書で一番大切な結論は、今すぐイラク撤退などという愚かなことをしてはいけない、イラク戦争には断じて勝たねばならない、ということだ。実際の報告書の内容は最初に漏えいされた内容とはかなりくい違うものであったことが読者の皆様にもよくお分かり頂けたと思う。

やはり中間選挙に向けて民主党がより優勢になるよう計算づくの漏えいだったのだろう。だが、ブッシュ大統領が中身を素早く公開してしまったため、「切り捨て遁走」を唱えている民主党にとって、かえってこれは逆効果になってしまったのではないだろうか。

関連ブログ記事:

「イラク戦争の勝利が決め手」ブッシュの反撃記者会見!

イラク戦争はテロを悪化させたのか?

September 29, 2006, 現時間 10:40 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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September 28, 2006

「イラク戦争の勝利が決め手」ブッシュの反撃記者会見!

イラク関係

昨日のアメリカ情報機関報告書(NIE)が一部漏えいされ、ニューヨークタイムスなどが、イラク戦争がテロを悪化させたと結論付けていたことに対して、私は色々書こうと思っていたのだが、今朝のブッシュ大統領とアフガニスタンのカルザイ大統領との合同記者会見での発言で私がいいたことをすべて聞いたので、二人の大統領の発言をここでご紹介しよう。一般公開されたNIEの内容については後ほど詳しく報告させていただく。

記者:4月のNIE報告書によれば、イラク戦争が世界中でテロ増発の燃料となったと結論付けられていますが、イラク戦争それでもなおかつイラク戦争のせいでわが国がより安全になったと主張されますか?

ブッシュ大統領:私は無論NIEの判断を読みました。そしてその結論に同意しました。なぜならそれは我々の対アルカエダ作戦が成功したことで、敵は弱体化し孤立したとあったからです。敵がイラク情勢を利用してプロパガンダの道具にし人殺しの仲間を勧誘してるときいても特に驚きません。

人によっては報告書の内容を想像してイラク戦争が間違いだったと書いてあるかのように結論付けましたが、それには全く同意できません。 全く甘い考えだと思います。アメリカ国民を殺そうとしている人々を攻めることがアメリカをより危険な状態にしているなどという考えは間違っています。テロリストたちがイラクで戦っているのには理由があるのです。彼等はイラクの民主化が進むのを阻止しようとしているのです。彼等が同じようにアフガニスタンで民主化が育っていくのを阻止しようとしているように。そして彼等はこれらの戦争を勧誘の道具につかっているのです。なぜなら彼等には何がかかっているかがわかっているからです。その大切さが分かっているからです。彼等はイラクで負けければ何が起きるか知っているのです。

いいですか、我々がイラクに侵攻しなければ過激派が過激な運動に参加する可能性が低かったなどというバラ色のシナリオを考えるのは、過去20年の経験を全く無視してるとしかいえません。9月11日の攻撃当時、私たちはイラクにはいませんでした。何千というテロリストが(カルザイ大統領に向かって)あなたの国の訓練キャンプで訓練を受けていた時、我々はイラクにはいませんでした。1993年に貿易センターへの最初の攻撃があった時我々はイラクにいませんでした。 コールが爆撃された時も、ケニヤとタンザニアが爆破された時も、我々はイラクにいませんでした。我々がイラクに行っていなければ、彼等は何かほかの口実を探したでしょう。なぜなら彼等には野望があるからです。彼等は自分達の目的のためには誰でも殺すのです。

過去にオサマビンラデンは、サマリアを口実に使って彼等の聖戦運動に加わるように説得しました。また時にはイスラエルとパレスチナの紛争を口実にしました。彼等は聖戦運動にとって便利なようにあらゆる勧誘手口を使ってきたのです。

我が政府はどのような手段をつかってでも本土を守り抜きます。 我々はわが国の攻撃を阻止するどのような口実をも使わせません。アメリカを守る最善の手段は外国で殺し屋たちと立ち向かうことによって、本土で立ち向かわなくてもすむようにすることです。我々は敵の嘘やプロパガンダに我々の勝利を左右させるようなことはさせません。

さて、NIEについてですが、この報告書は4月に結論が出ていたものです。しかも結論の資料となったのは今年の2月の終わり現在の情報です。それなのにその発表がいままで延ばされて、この時期、中間選挙を目前にして新聞記事の第一面にでかでかと掲載されたというのは興味深いとは思いませんか? 誰かが 政治的な目的でこの情報を漏えいしたのです。

私は本日情報局(DNI)のジョン·ネグラポンテと話ました。政府が秘密情報が漏れる度に情報を公開するのは決して好ましいことではないのですよ。それをやると良い情報を集めにくくなるわけですからね。長年この仕事についてるひとなら分かるでしょうが。しかしまたしても誰かが大切な情報を漏えいしてしまいました。私はこれは選挙運動中にアメリカ市民を混乱させるための故意の漏えいだと判断します。

ですから、私はDNIにこの書類を一般公開するように命じました。どうぞご自分でお読みください。そして政治的な目的で誰かが敵の性質について混乱させようとしている意見や憶測を止めたいと思います。ですからDNIのネグラポンテに言ってなるべく早く秘密書類の指定からはずしてもらいます。氏が大事な点を公開しますからご自分で読んで判断してください。(略)

カルザイ大統領: 我が兄弟ムシャラフ大統領について語る前に申し上げます。テロリズムは9月11日のずっと前から我々を傷つけていました。大統領がいくつか例をあげられた通りです。これらの過激派勢力はアフガニスタンやその近隣で何年も人々を殺していました。彼等は学校を閉鎖し、聖廟を焼き、子供たちを殺し、ぶどうの房がついたまま、ぶどうを根から引き抜き、国民を貧困と悲惨な目にあわせてきました。

彼等は9月11日にアメリカにやってきました。しかしその前から彼等はあなた方を世界のほかの場所で攻撃してきました。 我々はアフガニスタンで彼等が何者で、どのように我々を傷つけるかを見た目撃者です。あなたがたはニューヨークの目撃者です。お忘れですか、飛行機が突入し、80階や70階から人々が飛び下りたのを。 あんな高いところから飛び下るのがどのようなことだったのか想像できますか? それを誰がやったのですか?  そして彼等に立ち向かう以外にどうやって彼等と戦うのですか、どうやって彼等を取り除くのですか。彼等がまた我々を殺しにくるのを待っていろというのですか? だから我々は世界中でもっと行動しなければならないのです。アフガニスタンで、世界中で彼等過激派とその仲間も一緒に敗北に追いやるまで、

我々の行動がテロリストの行動に影響を与えるのは当たり前だ。だが、だからといってなにもしないという姿勢が得策などであるはずがない。第一、テロリストの反応に踊らされて文明社会がびくびくと脅えながら暮らしていくなど私はまっぴらごめんである。

さてこれについてワシントンポストでロバート·ケーガンが良いことをいってる。(Mike Rossさん紹介)

ケーガン氏は、我々の行動が将来誰かをテロに追い込むとわかっていたとして、我々はどうすべきなのかと問いかける。そういう場合我々は常に行動を自制するべきなのだろうか、それともそのまま行動を進めるべきなのだろうかと。例えば1991年の湾岸戦争後アメリカ軍がサウジに駐留したことでオサマビンラデンがかなり怒ったことはよく知られている。それが彼のアルカエダを使ったアメリカへの攻撃につながったことは確かだろう。だが、だからといって我々はイラクのクエート侵略をみすみす指をくわえて見ているべきだったのだろうか? 1970年代から80年代にかけてアフガニスタンのムジャハディーンがソ連と戦うのを援助したことで、イスラムテロリスト勢力の土台を強化したことも無視できない。

しかしだからといって、これらの我々の行動は間違っていたといえるのだろうか。もし我々がソビエトをアフガニスタンから追い出す手伝いをしなかったら、世の中はより平和だったといえるのだろうか? フセインのクエート侵略を阻止しなかったならばどうだろう。

第一、どの行動が我々をより安全にするかという質問には単に新しいテロリストの数を数えるだけでは答えられないと氏は語る。

私はアメリカの外交が我々の行動がどのように怒りや過激化や暴力を促進するかという恐怖によって左右されることを恐れる。過去にそうであったように、我々が判断する際計算にいれるべきことは、何が我々をそして世界をより安全にするのかしないのか、それだけのはずだ。

ケーガン氏も述べている通り、イラク戦争によって多くの人がテロに走ったからといって、それが世界をより危険な状態にしたと結論付けることはできない。確かにイラクの戦場で経験を積んだテロリストがその技術を生かして自国で悪さをするという可能性はあり得る。だが、イラク戦争で技術を磨いているのはなにもテロリストだけではない。2003年の時点で世界最強といわれたアメリカ軍だが、2006年のアメリカ軍には到底およばないのである。

それにテロリストたちがイラクで成功したなら別だが、イラクで大敗したならば、自国へ帰るまえに多くのテロリストが殺されてしまうということのほかに、失敗した作戦をそのまま持ち帰ってテロを続行するかどうかも疑問である。イラクでの敗北に士気を失うという可能性も十分にあり得る。

単にテロに走る若者が増えたから世の中がより危険になったという考え方はあまりにも短絡的すぎる。もっとも公開された報告書の内容はそんな単純なものではないようだ。

次回は問題の報告書の内容について語りたい。

September 28, 2006, 現時間 12:10 AM | コメント (3) | トラックバック (1)

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September 26, 2006

イラク戦争はテロを悪化させたのか?

アメリカ内政 , イラク関係 , 対テロ戦争

アップデート!最後を参照!

この週末旅行をしていてブロギングができなかったので、コメントをいただいたみなさんに返答できなかったことをお詫びします。特にsouさんのコメントの承認が遅れたことをお詫びします。

さて、コメンターのsnoozyさんがご心配されている、イラク戦争がかえってテロを悪化させたというアメリカ情報機関NIEの報告書だが、このことについてはこちらでもニューヨークタイムスやワシントンポストが報道している。

まずは読売新聞の記事より。

「イラク戦争でテロ問題悪化」米情報機関が機密報告

【ワシントン=貞広貴志】中央情報局(CIA)など16の米情報機関が、国際テロの動向とイラク戦争の関係を分析した機密報告をまとめ、「イラク戦争は、全体としてテロの問題を悪化させた」と結論付けていたことがわかった。

24日付の米紙ニューヨーク・タイムズが報じたもので、ブッシュ政権の「対テロ戦争で世界と米国はより安全になった」という公式見解を情報機関が否定する形となった。

同紙によると、「世界規模でのテロの傾向」と題した機密報告は、政府機関内での激論を経て今年4月にまとめられた。国際テロ組織「アル・カーイダ」とその関連組織を核としていた勢力が、アル・カーイダ指導部とは直接のつながりを持たない「自己派生」の細胞組織へ変ぼうしてしまったと分析。

また、「イスラム過激主義は、衰退しているというよりも拡大している」と指摘した。
(2006年9月25日2時1分 読売新聞)

私はこの記事には二つの問題点があると考える。

先ず第一にNIEの報告書は秘密書類であるため報告書そのものは一般公開されていない。よってこの報告書の内容はNYTの説明に頼るしかなく、実際の内容をを確認することができない。これまでに何度も意図的に虚偽の報道をしてきた前科のあるNYTの記事なのでそのまま鵜呑みにするのは危険である。

第二に、もしNYTの説明が正しかったとしても、イラク戦争後にテロ活動が悪化したからといって、その原因がイラク戦争にあったという根拠にはならない。

ではNYTの記事から少し抜粋して考えてみよう。(訳:カカシ)

書類ではイラク戦争が世界的な聖戦運動に及ぼした影響についてはほんの少ししか述べられておらず、「イラクで進行中の自由への戦いはテロリストの戦意を奮い起こすプロパガンダとして歪曲されてしまった」とある。

報告書ではイラクで戦ったイスラム過激派がそれぞれの国へかえって「国内での紛争を悪化させる、もしくは過激な思想を設立させる」恐れがあると語る。

概要は過激なイスラム運動がアルカエダの中心から、アルカエダ指導層によって刺激され「自発的に生まれ」ながら直接オサマビンラデンや上層部との関連のない新しい部類のグループを含む提携した集団へと拡大したと結論付ける。

報告書はさらにインターネットがどのように聖戦主義思想を広める役にたったかを分析し、サイバースペースによってテロリスト工作がもはやアフガニスタンのような地理的な国々だけに限られないことを報告している。

テロリストの活動がアルカエダの中心からインターネットなどによってジハーディストの思想に共鳴する直接関係のないグループへと拡大したのは事実でも、それとイラク戦争とどういう関わりがあるのだろうか? イラク戦争によって反米意識が高まりジハーディストの士気があがったという理屈なら、911でアメリカがなにもしなければ、世界中のジハーディストたちが、アメリカの弱腰に元気つけられて活動が活発になったという正反対の理屈も可能だ。

イスラム過激派によるテロが悪化したことがイラク戦争のせいだというのであれば、イラク戦争がなかったらこれらの事態はおき得なかったということを証明する必要がある。だがNYTの記事ではそのような証明は記述されていない。それどころか歴史的事実がこの結論付けを完全に裏切っているといえる。

イスラム過激派の活動が活発になったのは、なにもイラク戦争開始の2003年に始まったことではない。1979年のイラン宗教革命以来、イスラム過激派によるテロ行為はあちこちで起きていた。特にジハーディストの活動が目立ってきたのはソ連によるアフガニスタン侵略以後だといえる。持ち前の資金を使ってアフガニスタンで武器調達などに貢献したビンラデンの権威があがったのもこの時期だ。

国連がイラクのクエート侵略を阻止したとはいえ、フセイン政権が存続したためクリントン前大統領の無行動によりフセインの勢力は湾岸戦争後完全に回復し、より手強い敵となってしまった。上院議会の報告書がなんといおうと、イラク国内でアルカエダがザルカーウィを筆頭にすでに訓練キャンプをつくっていたことはどの国の諜報機関も認めていることだ。アメリカがフセイン政権を倒さなければこれらのキャンプがイラク政府の協力を得てより手強いテロリスト養成所となっていただろうことは容易に想像できる。

しかもフセインは大量破壊兵器の開発への野心を全く捨てていなかった。国連による経済制裁は事実上終わりに近付いており、数年後には生物、化学兵器はおろか、核兵器ですら所持する国家になったであろうイラクにおいて、このようなテロ集団が自由に行動することを考えた場合、イラク戦争がなかったら、テロ活動が悪化しなかったと結論付けることなど絶対にできない。

第一、アルカエダのリーダーであるオサマビンラデン自身が911でアメリカ本土に戦いを挑んだ理由として、アメリカのそれまでのテロ行為に対する及び腰に勇気づけられたと語っているのである。アメリカは弱い、アメリカは反撃しないと、ビンラデンはテロ直後のアメリカ軍のレバノンやサマリア撤退、そして数々のテロ行為に対してアメリカの無策をあざ笑った。

つまりアメリカがテロ行為に反撃しなかったことが、テロリストの戦意を高めたともいえるのである。とすれば、イラク戦争がテロを悪化させたというこの理屈がどれだけ中身のないものかが分かるというものだ。

アメリカの中間選挙をひかえ、都合良くこういう報告書がNYTによって漏えいされるというタイミングも十分に考えるべきである。

アップデート:

今朝ブッシュ大統領はアフガニスタンの大統領との合同記者会見でNIEの報告書を一部公開することを発表。すでに発表されたので、後でコメントします。乞うご期待! 

September 26, 2006, 現時間 6:57 PM | コメント (3) | トラックバック (1)

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September 15, 2006

911陰謀説についてひとこと

どうでもいいニュース , イラク関係 , 対テロ戦争

私は世の中に陰謀が全くないなどとは思っていない。かくいう私もヒズボラの陰謀をここで何度か書いている。911などは前代未聞のアルカエダによる陰謀だった。

しかしみなさんもご存じの通り、911はブッシュ大統領とイスラエルの諜報機関モサドの陰謀だったなどというひとたちが絶えない。俳優のチャーリー·シーンなど政府は事実を隠ぺいしているなどと恥も外聞もなく公言している。「どうして第7棟がくずれたんだ!」「なんで南棟は自由落下の速度で崩壊したんだ!」など自由落下の方程式すら知らない人間がまことしやかに知ったようなことをいう。

だが、もし読者諸君がこのような陰謀説を唱えるひととの議論に巻き込まれたら、こういう枝葉末端につきあってはいけない。なぜなら貿易センターがどんな速度で崩れたかなんてことはアマゾンの大森林のなかで一枚の葉っぱの色がおかしいからここはジャングルではないと言っているのと同じくらい意味のない議論だからだ。

昨日紹介した911ドラマの話でも書いた通り、911の陰謀はブッシュ大統領政権発足と同時に始まったのではない。少なくとも1993年の2月以前から貿易センター破壊計画はラムジー·ユーセフというイラク人によって計られていたのである。クリントン大統領の就任が1993年の1月であるから計画はパパブッシュの時代にまでさかのぼる。1993年から2001年に至るまで911への計画は至る所で部分的に知られていた。アメリカ国内だけでもCIA, FBI, 移民局、農業局、関税、地方警察、地方空港の管制塔、民間の飛行訓練所、などなどで911に関わった同じ人間たちの名前がその不振な行動からあちこちで何年にもわたって取りざたされていた。これらの人間がビンラデン率いるアルカエダと絡んでなにか大掛かりなテロを企んでいることは世界中の諜報部が集めた様々な情報によって予期されていたことなのだ。

ただ当時のアメリカではそれぞれの諜報機関が情報交換をするということが法律上禁じられていた。911が起きるまでCIAとFBIが情報を共有していないという事実をブッシュ大統領は知らなかったというお粗末な展開があったほどだ。だからそれぞれの機関がもっていた一片一片の情報はそれだけでは意味のないものだった。911事件が起きて初めて、その片が膨大なジグゾーパズルのどの部分にあてはまるかがはっきりしたのである。その時無数の諜報機関がそれぞれ持っていた細い情報がやっと全体像のなかで意味のあるものとなったのだ。無論ときすでに遅しだったわけだが、、

ということは、もし911がブッシュ大統領の陰謀だったとしたならば、ブッシュ大統領は自分が大統領になる9年も前からこの同時多発テロの計画をたて、これらの細い証拠をアメリカ中、いや世界中にばらまいていたということになる。しかもジョージ·W·ブッシュはこの時大統領になれるという保証など全くないただの一般市民だった。一介のアメリカ市民が現政権に全く悟られずにイスラエルの諜報機関と共謀してアメリカ市民大量殺害の陰謀を企むことが可能だったはずがない。この時期クリントン大統領は動機はどうあれパレスチナとイスラエルの関係を正常化しようと多大な努力をしていた。こんな大事なときにイスラエルが二期に渡る政権をさしおいて前の大統領のどら息子のいいなりになる理由がない。第一、911事件がイスラエルにとって何の得になるというのだ? 
もしクリントンもこの陰謀に加担していたというなら別だが、そうなってくるともうこの話はファンタジーの世界だ。

こうして考えてみると911自作自演説は貿易センターがどう崩れたとか、ペンタゴンに突っ込んだのは旅客機ではなくミサイルだったとか、くだらない説を唱えるまえに、計画の段階で完全に不可能だったことがわかる。

昔、私の大学の教授がこんな話をしてくれた。時々春先になると自称発明家と名乗る人間が「永久作動機械」を発明したといって持ってくるという。そんな時教授はすぐさま出口を案内するが、発明家は決まっていう。「でも教授!まだ私の発明をみてないじゃないですか?!」教授は発明家の肩に手をまわし出口に促しながら微笑む。「そのとおり。その必要はありません。」

September 15, 2006, 現時間 2:46 PM | コメント (5) | トラックバック (0)

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September 14, 2006

911ドラマ、『911への道』を観て、、

アメリカ内政 , イラク関係 , 対テロ戦争

クリントン元大統領や民主党議員たちがABCテレビ局製作のPath to 911(911への道)放映を阻止しようと躍起になったにも関わらず、ABCは多少の編集をしただけでほぼそのまま放映した。

全編は四編に別れた5時間ものなので録画して三日に分けて観た。私はここ数年911について非常に興味があったことでもあり、ドキュメンタリーを見たり、関係書類を色々よんだりしているので、このドキュドラマで描かれた歴史的事実についてはほとんど全て知っていたが、それでも改めて驚かされる場面もあった。全体的に事実に基づいた正直な作品になっていると思う。

ただ、ドラマであるから主人公のFBI役員のジョン·オニールや若いCIA工作員のカーク(仮名)らが英雄的にかなり美化されている点はある。特にクリントンのテロ対策委員だったリチャード·クラーク氏はちょっとかっこ良すぎる。(笑)しかしクリントン大統領をはじめ、オーブライト官房長官や警備アドバイザーだったサンディー·バーガーなど、自分の政治生命を守ることに必死で国の防衛など後回し、彼等の優柔不断で無責任な態度をよくまあABCがあそこまで描けたものだと驚くとともに感心してしまった。

特にビンラデンの家を北同盟の戦士と一緒に囲んでいたCIA工作員たちが、ホワイトハウスからの最終許可を得られずみすみすビンラデンを取り逃がしたシーンなどはみていて歯がゆいったらない。北同盟のリーダーは「アメリカには最新の武器はあるが、誰も戦争をする度胸がない」とCIA工作員に食って掛かるシーンは印象的だ。

また別のシーンで、ビンラデンの隠れ家を無人飛行機に備えられたカメラでとった航空写真を北同盟のリーダーに見せるシーンでは、「我々が欲しいのはビデオでもミサイルでもない、ジープやヘリコプターだ。」アフガニスタンがソ連と戦っていた時はアメリカは何でも用意してくれたと彼は言う。「レーガンは解っていた」ABCのドラマが、当時メディアに目の敵にされていたレーガン大統領についてここまで言うとは驚きだ。(注:レーガン大統領、共和党、1980年〜1988年)

前半の終わりで1993年の第一貿易センターテロの首謀者で911テロ計画の首謀者だったラムジーユーセフが逮捕されるまでの過程はまるでスパイ大作戦でもみているようで興奮する。ユーセフを裏切った男が合図をしてCIAエージェントたちが一斉に建物に押し入る図などは見ていてすかっとする。もしこれがフィクションの映画なら、ここで悪者が退治され「めでたし、めでたし」で終わるところなのだが、実際にはユーセフの計画はすでに後戻りできないところまで進んでいた。現実の悲劇である。

前評判では後半はブッシュ大統領への批判がかなりひどくなるという話だったが、クリントンの8年と比べてブッシュはたった8か月。最初の頃はブッシュ政権のテロ政策はクリントンの政策をそのまま継続していただけなので、FBIがCIAから情報をもらえずに苛立つ場面などは、ブッシュへの批判というより融通の利かない組織への不満であるように受け取れた。

911が近付いてくるに従って、アルカエダ工作員たちの活動は盛んになった。彼等が動けば動くほどアメリカ各諜報組織はそれぞれ色々な情報を手に入れる。だがCIAは情報過多で盗聴した膨大な量のアラビア語の交信が英語に訳せなかったっり、とった写真の意味を分析する人間がいなかったり、なにかが起きると分かっていても予算不足で動きがとれない。FBIはFBIで、テロをおっていたジョン·オニールが組織内部の勢力争いに破れて辞任。移民局は違法滞在をしていた911テロリストの一人を一旦逮捕はするものの持っていたコンピューターの捜索許可が降りずみすみす証拠を手放す。民間の飛行訓練所の講師らがテロリストたちの態度がおかしいとFBIに連絡をとるが、それが上まで伝わらない。飛行場で関税の役員が怪しげなサウジ人の入国を拒否して送り返すが、このリポートはどこへもいかない。

とにかくあらゆる場所で点が無数に集められていたにもかかわらずこれらの点が結びあって線とならないまま、911が迎えられる。

あれだけ貿易センターのテロリスト追求に躍起になっていたオニール氏は、FBI引退後貿易センターの警備責任者としてあの日もビル内部で働いていて果てる。アメリカ国内でひどいテロが起きるのを防ぐために過去10年近くも働いていた彼にはさぞかし無念だったことだろう。

このドラマのメッセージは明白だ。我々は1993年以来、いやもっと以前からイスラム過激派のジハーディストらと戦争状態にあった。ただ我々は2001年の9月11日まで一部の諜報部員たちを除いて大統領から一般庶民にいたるまで全く気が付いていなかったのである。911は我々の無知と無策と油断のたまものだ。

911は我々には苦い薬だった。だがこの薬が911以後生かされたのかどうかは、保守派とリベラルでは完全んい見解が異なる。だがひとつだけ確かなことは、我々は常にジハーディストたちと戦争状態にあるということを忘れてはならないということだ。敵の目的はただひとつ、我々の世界を破壊しジハーディストの理想の世界を作ることにある。そのためなら彼等は手段を選ばない。そのような敵と戦っているということを我々は常に念頭において行動すべきである。

なぜなら我々が一時でもそれを忘れれば、そのときこそ911事件が繰り返されるからだ。

無策無能だったクリントン大統領が放映阻止をしたがったのも納得がいく。

September 14, 2006, 現時間 6:15 PM | コメント (6) | トラックバック (3)

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September 9, 2006

合点いかない米上院の戦前イラク情報全面否定

アメリカ内政 , イラク関係 , 対テロ戦争

私はイラク戦争が始まる前から、イラクには大量破壊兵器はある。フセインはアルカエダと深いつながりがあると主張してきた。だからこのような記事を読むと、絶対にそんなはずはない、何かおかしいと思ってしまう。とにかく先ずは今日の読売新聞から読んでみよう。

米上院報告書、イラク開戦前の機密情報を全面否定

 【ワシントン=貞広貴志】米上院情報特別委員会は8日、イラク戦争の開戦前に米政府が持っていたフセイン政権の大量破壊兵器計画や、国際テロ組織アル・カーイダとの関係についての情報を検証した報告書を発表した。

 報告書は「フセイン政権が(アル・カーイダ指導者)ウサマ・ビンラーディンと関係を築こうとした証拠はない」と断定、大量破壊兵器計画についても、少なくとも1996年以降、存在しなかったと結論付けた。

 ブッシュ政権が2003年当時、中央情報局(CIA)などの情報をもとに挙げた開戦理由がことごとく覆された形で、米軍イラク駐留の是非をめぐる論議にも影響を与えるとみられる。

 報告書によると、今年6月に米軍の攻撃で死亡したヨルダン人テロリスト、アブムサブ・ザルカウィ容疑者が02年5月〜11月にバグダッドに滞在していたことは確認されたが、元大統領フセインは保護するのでなく、逆に所在を突き止め、拘束しようとした形跡があるとしている。さらに、フセインはアル・カーイダを警戒し、幹部との会合を拒否していた事実も確認された。

 イラクの大量破壊兵器計画についても、パウエル国務長官(当時)が国連安全保障理事会で説明した移動式の生物兵器製造施設や、ウラン濃縮用とされたアルミ管の疑惑を全面否定した。

 報告書を受け、民主党のカール・レビン上院議員は「ブッシュ・チェイニー政権の民意を欺く偽計が明るみに出た」と政権批判を強めた。

 これに対し、ホワイトハウスのスノー報道官は「新しい事実は何もない」と静観の構えだが、報告書は、イラク戦争を最大の争点とする11月の中間選挙の論議に一石を投じることになりそうだ。
(2006年9月9日10時53分

読売新聞の記事はだいぶ決定的な書き方をしているが、実際の報告書はそこまで『全面否定』などしていない。ミスター苺が、上院の150ページからなる報告書を午後いっぱいかけて読んだとのいうので、彼の分析を借用させてもらおう。

上院の報告書はまるで木を見て森をみずというもので、一歩下がって全体像を見ようという姿勢が全くない。ザルカーウィとフセインの関係に関する部分はその典型である。

サダム·フセインがアルカエダと特にアンサーアルイスラムのムサブ·ザルカーウィがフセイン政権にとって「脅威」であると考えていたことは確かだ。だがそれはフセインがザルカーウィを取り除こうとしたという意味でもなければ、ザルカーウィを匿っていなかったという意味でもないし、ましてや機能的な協力関係がなかったという意味でもない。

1940年代にアメリカ人の多くが共産主義の脅威を感じながら、ルーズベルト大統領がヨセフスターリンの共産政権と手を結んでヒットラーと敵対するのを支援したではないか。友は近くに敵はもっと近くに保てというように、敵を脅威とおもうことと、敵と同盟を結ぶこととは必ずしも矛盾しないのである。

具体的に話そう。

2005年の10月にCIAが「(イラク)政権はザルカーウィやその仲間の行動を黙認したり、擁護していた事実はない」と報告書を提出したのは事実である。だが、だからブッシュ大統領が戦争をする際に国民や世界に嘘をついていたという結論は理論の飛躍も甚だしいというものだ。

この報告で、CIAは2002年に結論付けていたフセインがザルカーウィの北のクルド地方での存在を黙認していたとの自らの報告を覆すことになる。報告書には2002年10月、フセインはある外国政府から(多分アメリカから)ザルカーウィとその側近の4人を逮捕しアメリカに引き渡すようにと要求されたとある。アメリカからの占領をさけようと必死になっていたフセインはイラク諜報部に書面でアンサーアルイスラムのメンバー5人を逮捕するように命令したとある。

だが実際にこの命令が執行されたという記録はない。これはおそらく書類の命令は単に外国政府へのみせかけであって、口頭では真剣に取り扱うなという命令が同時にされたからであろう。低位の工作員が命令を受けたがこの工作員がアンサーアルイスラムのアジトへ行ったかどうかさえ定かではない。

もしフセインがザルカーウィのグループはイラクにとって危険な存在だと感じ全く関係ももっていなかったのだとして、本当にザルカーウィをとらえたかったなら、なぜイラク諜報部の工作員たちをつかってアンサーアルイスラムに潜入していなかったのだ? このような潜入の話は上院報告書でも取り上げられて入るが、ザルカーウィ捕獲になんらかの役目を果たしたことは全く記されていない。

いや、それをいうなら、どうしてフセインはアンサーアルイスラムに軍隊を送ってザルカーウィ探しにとりくまなかったのだ? もしフセインが本当に彼等を脅威とみていたなら、多少の軍事力を使って自国の民にしたように、皆殺しにするなり追放するなりすればよかったではないか?

後にザルカーウィはイラク東北を去りイランへ渡ったが、イラン滞在後、再びイラクの南へとかえってきた。しかし彼の仲間のひとりであるアブ·ヤシン·サイームがイラク政府によって逮捕された。イラクは彼は確かにザルカーウィと同じくアルカエダのメンバーであると判断した。しかし彼はアメリカに引き渡されることなく釈放された。ヤシン釈放はサダムフセインからの勅令だった。

ここで全体像をみてみよう。フセインの行動はザルカーウィとアンサーアルイスラムの連中を本当に取り除きたいと思っている暴虐な独裁者がする行動というよりも、アメリカからの侵略をさけ、お友達であるおふらんすやロシア、中国といった国々からの手助けで経済制裁を終わらせたいと思っている暴虐な独裁者の行動である。

だからフセインは最初から従われないと分かりきった命令をだして、あたかも忠誠な僕の体を装ったのである。

CIAのこのフセインとアルカエダ関係の見直しは逮捕された一人のイラク諜報部工作員の証言と、アンサーアルイスラム基地にいたアルカエダメンバーの証言だけに頼っている。双方共に互いに協力関係にあったこをを否定しているからだ。

しかし常識的に考えて、この結論には疑問が残る。

  • 下っ端のちんぴらメンバーがイラク諜報部にしろアンサーアルイスラムにしろフセインやザルカーウィの秘密関係を知っているだろうか?いったい仲間の何人がそんな情報持っていたのだろうか。

    ザルカーウィは熱狂的なワハビ派の仲間に世俗主義でワハビ教を禁止した悪魔と手を組んだなどと教えるだろうか。またフセインは諜報部の下っ端将校にそれでなくてもアメリカから戦争の口実として使われている世界一のテロリストと実は協力しているなどと言うだろうか? これは馬鹿げている。その程度の地位の人間は必要なこと以外何も知らされていなかったと考えるべきである。

  • たとえCIAが詰問した囚人のうち何人かが高位の人間だとしてフセインやザルカーウィに十分に信頼されていて情報を持っていたとしてもどうして真実をCIAに白状する必要があるのだ? そんなことをして熱狂的なバース党員やアルカエダのジハーディストに何の得があるというのだ?
  • ほとんどの囚人は事実関係を知らないだろうし、知っていても白状する理由がない。だからCIAがフセインイラクとアルカエダの関係はなかったと結論付ける情報源としては囚人の証言など頼りなさ過ぎる。それよりもフセインが真剣にザルカーウィをとらえようとしなかったことや、ザルカーウィの仲間を一旦はとらえながら釈放したという行動のほうがよっぽども意味を持つ。

    すくなくとも、フセインがザルカーウィらを「黙認」していたことになり、それは「擁護」や「協力」とほとんど同じ意味を持つ。CIAは潔く表にでてブッシュを責めず
    なんとなくやんわりと「ブッシュが嘘をついていた」と暗に示唆しているのである。

    この報告によって新しい情報などひとつも明らかにされていない。フセインとアルカエダの協力関係はあったようだが確たる証拠はないという今までの状態と何の変わりもない。だが、わざわざこうやって選挙前に意味のない報告書を提出することで、CIAがブッシュ大統領と共和党の選挙に悪影響を与えようとした作為は丸見えである。


    September 9, 2006, 現時間 2:46 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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    September 7, 2006

    イラク戦争と米共和党

    アメリカ内政 , イラク関係 , 対テロ戦争

    イラク戦争は今度の中間選挙では重要視されそうだ。最近の世論調査ではかなりのアメリカ市民がイラク状況に悲観的な考えをもっているらしい。

    オピニオン・リサーチ社が8月30日─9月2日、成人1004人を対象に実施した調査の結果によると、ブッシュ政権の政策を支持した候補者に投票する可能性が「低い」は55%で、「高い」の40%を上回った...

    また、イラク戦争を「支持する」は39%、「支持しない」は58%。「支持しない」は先月調査の61%からやや低下したものの、イラク問題が共和党不支持の大きな要因であることが浮き彫りになった。

    イラクで勝利する勢力を問う質問では、「米国」が25%、「反政府勢力」が12%となる一方、「なし」が62%と圧倒的多数を占めた。

    イラクのフセイン元大統領が米同時多発テロに直接関与していたと思うかとの質問に対しては、「思う」が43%、「思わない」が52%。イラク戦争と米国が主導する対テロ戦争の関連については、「つながりがある」は45%、「ない」は53%だった。

    CNNの記事ではこの調査はイラク問題が共和党の「あしかせ」となるだろうと分析しているが、イラク問題は共和党候補にとってあしかせにも有力な武器にもなりうる。これはアメリカ国民がイラクの情勢が良くなっていると思うかどうか、そしてイラク戦争と国内のテロ対策とどういう関係があると考えるのかに寄るのである。

    変ないいかたではあるが、これは国民の持つ「印象」であって、事実関係とは必ずしも直接関係ない。

    先ず、イラク情勢は一般国民が感じているほど悪い状態ではない。民主党はブッシュ大統領も共和党議会も全く出口作戦がないと攻める。ブッシュ大統領は最初からイラク政府が独自に治安維持ができるようになれば、連合軍は撤退できるといい続けてきた。イラク戦争が始まる前からブッシュ大統領の出口作戦は大々的に公表されており全くかわっていないのだ。もしこの期に及んで民主党がブッシュ大統領の出口作戦が理解できないというなら、いったい今までどこで油売ってたんだといいたくなる。

    バグダッド地域を抜かせばイラクのほとんどの地域は比較的平穏である。そしてイラクでは少しづつではあるが区域ごとにイラク警備軍がアメリカ軍および連合軍から警備責任の引き渡しを受けてきているのである。

    つい昨日もイラクの海軍と空軍の一部が連合軍から警備責任を引き渡しを受けた。これは8月のカークック地域にアメリカ軍から、7月のDhi Qar地域にイギリス軍からの引き渡しなどに続いて4つ目の引き渡しである。

    連合軍によるイラク軍の訓練はゆっくりではあるが着々と進んでいる。いまやイラク軍は戦闘能力や武器装備の面でいえばアラブでは最強の部隊となった。今は兵えん(戦時の作戦を遂行するための軍需品の確保、管理、補給、表員の輸送、衛生、糧食などの供給)の訓練に力が入れられている。

    問題はこうした事実が大きく取り上げられず、イラクでアメリカ兵が戦死したとか、自爆テロでイラク人が何十人も死んだとか、悲劇的な話ばかりが報道されるので、イラクでは内乱状態になっているのではないかという印象をうけてしまうのだ。

    しかし主流メディアが民主党の選挙運動団であることは周知の事実であり、それに苦情をいっているだけでは共和党はこの選挙に勝つことはできない。ブッシュ政権にしても共和党議会にしても彼等の一番の落ち度は現状を国民に分かりやすく説明しないことにある。反対派の協力なキャンペーンと対抗するためにはこちら側ももっと積極的なアピールが必要である。

    ここ数日のブッシュ大統領による一連の演説は国民にブッシュ政権がどのようにテロに取り組んでいるか、アメリカの安全を守るためにどれだけ努力をしているか具体的に説明するという非常に意味のあるものである。ブッシュ大統領だけでなく、共和党候補者たちはなぜイラク戦争が大切なのか投票者に分かりやすく説明すべきだ。戦争が不人気だからといって戦争やブッシュ大統領から距離をおくような選挙運動をしたらかえって信念がないようにみえて逆効果である。

    自分らの意見に責任をもって国民を説得してほしい。

    September 7, 2006, 現時間 5:46 PM | コメント (1) | トラックバック (0)

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    September 4, 2006

    オサマビンラデンを何度も取り逃がしたクリントン前大統領

    アメリカ内政 , イラク関係 , 対テロ戦争

    911の記念日が近付き、アメリカのテレビ局ではいくつか特別番組が予定されているが、ABC局作成のThe Path To 9/11(911への道)という番組が保守派とリベラル派との間で結構話題を読んでいるようだ。(保守思想のマイクさん紹介)

    特にこの番組のなかで、アメリカのCIAがビンラデンの隠れがを囲んでいながら、クリントン大統領から突撃命令が出なかったため、せっかくのビンラデン逮捕作戦がおシャンになってしまった話や、CIAが911事件の犯人の名前を事前に知っていながらFBIと情報交換をしていなかったことからテロが防げなかったことなど、クリントン大統領のテロ対策への優柔不断ぶりが描写されているという。まずは保守派Frongpagemagより。

    まず最初にいわせてもらいたいのは、「911への道」は私がこれまでみたテレビ番組のなかで、最高のひとつであり、もっともインテリで、もっとも親アメリカのミニシリーズだ。保守派はこの番組を支持しできる限り積極的に宣伝すべきだ。

    この番組ではハリウッド製作では初めて正直にクリントン政権がどれだけビンラデンの捕獲を何度もしくじったかが描かれている。特にある場面ではCIAと北同盟のがアフガニスタンのビンラデンの家を囲んでいる。ビンラデン捕獲まであと一歩というところまできていた。だが、攻撃にはクリントン大統領からの最終命令が必要だった。彼等はクリントンに電話をしたが、クリントンのシニアスタッフはもしも作戦が失敗して一般市民の犠牲がでて政治的に不評を得るのを恐れ、ビンラデン捕獲を許可しなかった。 国家防衛アドバイザーのサンディー·バーガー はチームがビンラデンを捕まえたければ許可なくして独自にやれと告げた。そうすれば何かあってもチームの責任となり、バーガーの責任は問われない。驚いたアフガニスタン現場のCIA工作員はそれが政権の本心なのかと何度も質問した。バーガーは答えを拒否し最後には電話をきってしまった。CIAチームと北同盟はビンラデン捕獲まであと一歩というところで作戦をあきらめなければならなかった。ビンラデンとアルカエダはこの数日後タンザニアとケニアのアメリカ大使館を爆破、女子供を含む225人以上を殺害し、4000人以上にけがをおわせた。

    この話はクリントン時代の無責任さと不能さを完璧に物語る例である。

    これに関して左翼のブログ、デイリーコスの反応はといえば、、

    俺たちはこれが単なる牛の糞(でたらめ)だってことをしってる。だがABCはこのプロパガンダを報道する。そしてこの2週間宣伝に躍起になるに違いない。

    企業メディアに立ち向かって不利な活動するってすばらしいじゃないか? 嗚呼...民主主義!

    誰が民主主義にとって最高の脅威なのか? テロリストそれともメディア連中?

    自分らの主張がメディアに支えられている時はどんなでたらめ報道でもなにも言わないくせに、ちょっとでも自分らと反対意見が取り上げられるとヒステリーをおこすのだからしょうがない。自分らの言論の自由は保証されなければならないが反対派の意見は報道されるべきではないというのか? たいした民主主義だな。

    我々保守派がいつも左翼メディアの偏向報道にどれだけ苛立ちを覚えているか、たまには左翼連中も思い知るがいい。

    デイリーコスがリンクしているDemocratic Undergroundでウィリアム·ピット氏が(WilliamPitt)クリントン政権がどれだけ積極的にテロ対策をとってきたかということをまとめている。

    1995年にはじまってクリントンがテロリズムにたいしてとった行動はアメリカの歴史上前代未聞であった。彼は何億という金額を対テロ行動のため諜報部全体に注ぎ込んだのである...

    アメリカ国内では、このことを知った人々は少ない。クリントンの切羽詰まったテロ脅威の警告、クリントンによ秘密でもない大掛かりな作戦によってテロを防いだことなど、全くメディアによって報道されなかった。メディアはしみのついたドレスや、根拠のない麻薬使用のうわさ話で大忙しだったからである。

    クリントン政権が実際にビンラデンのテロ組織にたいして軍事行動をしたときも、メディアと議会は「犬を振る」作戦(無関係な話題をつくって本題から目をそらさせようとする行動)といって取り上げなかった.現にあるテレビ局などは映画の "Wag The Dog" (犬を振る)の場面の一部を報道しクリントン政権のすることはすべて偽物であるという印象を強調した。

    クリントン時代を生きてきた経験のある私には当時、クリントンがCIA局長との面接を何度も拒否したことや、イラクへの査察団からイラク政府の妨害で査察がうまくいかないという苦情がでているにも関わらずなにもしなかったこと、スダンからビンラデンの身柄引き渡しをオファーされたのに拒絶したこと、たまに全く無意味な空爆をしてらくだの尻をふっ飛ばす程度のことしかしていなかったことなど、さほど遠くない記憶としてちゃんとおぼえている。当時からクリントン政権へのテロへの無関心さ、もしくは不能さは悪名高かったのである。

    ピット氏は特にスダンの製薬工場爆破の一件について、化学兵器に使われる薬品が発見されたにも関わらず、メディアをはじめ議会からも意味のないパフォーマンスだと非難されたことを語っている。 だが、ピット氏が無視している大事な点は、クリントンがこのような派手な攻撃をする時は、決まってセクハラ事件の聴講の日であったりとか、何か別のスキャンダルでクリントンの評判が落ちている時と一致していたのである。

    クリントンのスキャンダルは共和党やメディアが作り出したものではなく、クリントン自身が作り出したものだ。選挙前に人格は関係ないといっていたクリントン支持者たちだが、彼が後から後から犯した個人的な失態により、彼の政権がまじめにとりあつかってもらえなかったのだとしたら、それは一重に彼の人格失格の結果ではないか。

    それにもしピット氏のいうとおり、クリントンがテロ対策に力を入れて大金を注ぎ込んでいたのだとしても、それならなおさらクリントン時代に起きた度重なるアメリカ人へのテロ攻撃は、クリントンの政策がどれほど不能であったかを物語る。ブッシュ大統領の対テロ作戦によって、戦場以外の土地では、911以後アメリカ人へのテロ行為は全く起きていない。

    とにかくこの番組は楽しみである。

    September 4, 2006, 現時間 4:44 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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    September 3, 2006

    イラクアルカエダのナンバー2逮捕される

    イラク関係 , 対テロ戦争

    シーア派イラク人にとって非常に大切なサマラの聖廟を爆破し現在おきている宗派争いに拍車をかけた。そのアルカエダのナンバー2といわれる男がイラク政府によって逮捕されていたことがあきらかにされた。

    【カイロ支局】イラクのルバイエ国家安全保障顧問は3日、テロ組織「イラクの聖戦アルカイダ組織」のナンバー2とされるハミド・サイディ(アブ・フマム)容疑者を逮捕したと発表した。AP通信が伝えた。数日前に逮捕したというが、場所は明らかにしていない。
     同容疑者は今年6月にイラク駐留米軍が殺害したザルカウィ容疑者の後継者アブアイユーブ・マスリ幹部の副官。今年2月、イラク中部サマラで起きたイスラム教シーア派聖廟(せいびょう)爆破事件に直接関与したという。イラクでは同事件をきっかけにシーア派とスンニ派の宗派間抗争が激化した。毎日新聞

    September 3, 2006, 現時間 1:49 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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    September 2, 2006

    イラク状況のそんなに悪くない実態

    イラク関係

    イラクからのニュースというのは、アメリカの主流メディアはまあ良いニュースを報道しない。最初の頃はアメリカ兵が殺される度にうれしそうに死体の数を数えるような報道が目立った。アメリカ兵および連合軍の犠牲者が減ってくると今度はアメリカ兵によるスキャンダルの注目。このあいだラムフェルド防衛長官が文句をいっていたが、アメリカではふしだらな行為をしたアルグレーブの犯罪者の名前のほうが勲章をもらった英雄の名前よりも有名だというのははなはだ嘆かわしい状態だ。

    最近のニュースはといえば、イラクでの宗派間の争いで、毎日のように自爆テロがイラク人を大量に殺し、7月などは一日100人以上のイラク市民がテロの犠牲として果てた。アメリカ軍はアルカエダなどの外国人テロリストやスンニ抵抗軍による攻撃はほぼ鎮圧することができたが、イランの後押しのあるシーア派のモクタダ·アル·サドルの率いるマフディ民兵軍と、スンニ派との内輪もめはアルカエダの攻撃よりもイラク市民にとっては危険なものとなった。

    昨日発表された米国国務省のイラク情勢に関する報告書でも、最近とみに激しくなった宗派間争いの状況が記されている。

    【ワシントン=貞広貴志】米国防総省は1日、今年8月中旬までのイラク情勢についてまとめた四半期ごとの報告書を作成し、連邦議会に提出した。

     治安情勢の悪化でバグダッドを中心にイラク市民が犠牲になるケースが急増しており、前期に比べ死傷者数で51%増、テロの件数でも15%の増加を記録した。

     報告書は、「暴力の水準と質における事態の悪化は、イラク復興などあらゆる分野に影響を及ぼしている」とした上で、「イラクが内戦にいたる条件は存在する」との悲観的な見方を示した。

     テロが横行する要因として報告書は、イスラム教スンニ派を中心とする国際テロ組織「アル・カーイダ」と、シーア派強硬指導者ムクタダ・サドル師の民兵組織「マフディ軍」との間で、市民を巻き込んだ報復合戦の様相を呈していることを指摘。7月にバグダッドの検視官事務所に運び込まれた1800の遺体のうち、90%までが処刑と見られる死因だったとしている。読売新聞) - 9月2日11時50分更新

    これだけ読んでいるとどうもイラク情勢は悲劇的だ、いますぐアメリカ軍を撤退させよという民主党の「切り捨て遁走」論が人気を得そうだが、実際はそんなに悲観するほどの惨状ではない。

    まず報告書の期間はマリキ氏がイラク首相に就任した5月末から8月11までとなっており、その後イラクでは暴力が激減した期間の事情が含まれていない。また、主流メディアは報告書に書かれているイラクの良い状況については全く報道していない。

    ペンタゴンのウェッブページを参考に、主流メディアが無視した良い点をいくつかあげてみよう。

    この時期にイラク政府は内閣の地位をすべて埋めた。またイラク政府は一般国民からの支持を得、新しいイラク軍と他のイラク警察を含む警備軍がイラク警備の指令と統制の役割をよく果たしていること。 イラク経済も好転している。去年のGDP成長率は4%だった。

    石油輸出も増加。電力の普及も向上。水の浄化、下水設備なども作動している。また国中のインフラも迅速に蘇っている。イラク戦争からの損害からだけでなく、何十年にもわたるフセイン政権下で崩壊したインフラも着々と再建されている。

    ただ一つ問題なのは治安である。むろんこれが一番やっかな問題なわけだが、それにしてもイラク人自身が対応にしっかり取り組んでいる。ペンタゴンの報告書にもどろう。

    イラク人によるイラク人への暴力、特にバグダッド周辺、は増加している。しかしほとんどの暴力は18府あるうちの4府で起きている。後の14府は比較的平穏である。そのうちのひとつムサナ府では連合軍は全く配置されていない。

    イラク軍の訓練と軍備は予定どおりに進んでいる。27万8千人のイラク警部兵がイラク軍、中央警察、地方警察として訓練を受け軍備を整えた。これは前期5月末の報告書よりも1万4千人の増加である。

    さらにイラク軍がこれらの地域の指揮をとっているため連合軍は援助としての役割を果たすことができるようになった。現在イラクの5つの師団、25の旅団、そして85の部隊がこれらの地域の指揮にあたっている。これは前期の報告書より32%の増加である。

    連合軍の訓練者たちは戦闘後方援助、医療、支給、修理などといった戦闘員援助への訓練に焦点をあてている。これはイラク軍が独立して任務につくことができるためである。また長期にわたって責任をはたすことになる内政省と防衛省の能力向上にも焦点があてられている。

    連合軍の作戦はうまくいっているのである。この最新の報告書直後のイラクでは一般市民の犠牲者が劇的に減っているのである。主流メディアはなかなか認めようとしないが、それでもこんな記事をみつけることができる。
    ロイターより、 訳:カカシ)

    イラク死者数減少、新しい大量殺人にも関わらず

    2006年9月1日 アラスター·マクドナルド記者

    今週にバグダッドにおいて70人もの犠牲者をだした一連の爆発にもかかわらず、暴力的なイラク市民の死亡率は先月末までの今期、統計的に減少している。

    保険省の統計をもとに、イラク内省によって公開されたこの小計は、まだ毎日何十人という死者が出ているとはいえ、アメリカ軍による首都での厳しい取り締まりが成果を見せているという自信を裏付けるものといえる。

    また同記事によれば、アルカエダの勢力もザルカーウィ亡き後かなり弱体しているとある。だが問題はイラクで内乱が起きるという懸念がどれだけ現実的なものなのかということだろう。しかしそれについても報告書に関する別の記事でロイターはしぶしぶその危険性が少ないことを認めている。

    同報告書には「イラクにおいて内乱に結びつく状況は存在する」とありイラク市民の間でも内乱への心配が増加していると書かれている。

    「しかしながら現在の暴力は内乱ではない。さらに内乱に結びつく動きは防ぐことが出来る」と報告書は加える。報告書では2003年3月に米軍の率いる連合軍がフセイン政権を倒した侵攻以来一番複雑な治安状況いなっていると述べている。

    またペンタゴンの記事でもあるように、イラク政府がきちんと機能しているということ事態、内乱など起きていないということの証明である。

    イラク状況をまとめてみると、、

    * バグダッドにおいて宗派間の暴力が激増している --

    * しかし内乱といえるほどひどくはない --

    * そしてアルカエダ弱体によるテロ戦争が崩壊したことによって解決に向かっている --

    * この状況は新政府設立によってはじまった...

    * しかし大掛かりな連合軍とイラク軍の最近の攻撃によって暴力はおさまりつつある--

    * これはここ数日のスンニ派によるいくつかの大きな攻撃を考慮にいれてもなのである。

    というわけだから、悲劇的な新聞の見出しだけみて、イラクの状況が絶望的であるなどと判断すべきではない。確かにイラクは難かしい状況におかれている。だが決して最悪な状況ではないし、イラク軍の力は日に日に強化されており、辛抱強く努力を続ければイラクは必ずや平穏化するであろう。

    我々庶民も、連合軍とイラク軍の活躍を辛抱強く見守ろうではないか。

    参考ブログ記事
    That (Not So) Gloomy Pentagon Report

    September 2, 2006, 現時間 4:10 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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    August 24, 2006

    米軍海兵隊志願者は本当に足りないのか?

    イラク関係 , 対テロ戦争

    昨日ラジオで米軍海兵隊の予備兵2500人が呼び戻されるという話をきいた。無論ワシントンポストはこれを、戦争への支持が大幅に減って若い男女が戦争へいく可能性の一番高い海兵隊へ志願する人間が極端に減っているせいだと解釈している。

    軍隊が若い男女を集められないことや、一般市民がイラク戦争を大幅に拒絶していることで、やっとアメリカは本当の変化を促すかもしれない。

    59000人いる海兵隊の予備兵のなかから、そのごく一部にあたる2500人が呼び戻されたのは予備軍から募ったイラク出動への志願兵の数が十分に集まらなかったからであって、海兵隊自体への入隊志願兵が減っているという理由ではないのだ。このへんのことをワシントンポストは完全に誤解しているのである。

    海兵隊の公式発表によると正規軍新規志願兵の数は過去13か月にわたってどの軍もずっと目標数を達成しているか目標数をこえているかしている。しかも志願兵のレベルも高く、皆高卒で、軍人適応試験(Armed Services Vocational Aptitude Battery test)において全員50%以上の点数をとっているという。

    特に戦場へ行く可能性が一番高い陸軍と海兵隊では6月の志願率は102%と105%と目標数を上回った。また海兵隊予備軍への志願兵も目標を1%上回った。

    つまり、海兵隊員になりたい若者は十分足りているのである。

    足りないのは戦闘経験のある兵士でまた自主的にイラクへ出動すると志願した人の数なのである。戦争が長引くにつれ、すでに海兵隊員のほとんどがイラクへ二度三度と出動している。戦争がはじまって三年間に三回も出動となると一年のうち半年はイラクにいっていることになり、これでは本人も家族も大変だ。そこでなんとかこのローテーションで本国にいる時間をのばすために、ローテーションに加わる人間の数を増やそうというのが今回の予備軍呼び戻しの意図である。

    たしかにアメリカ軍の規模が小さく、昔のようにみっつの戦争を同時にできる軍隊というわけにはいかなくなった。ということは現在存在する軍人の間ですべてまかなわねばならないという難かしさが生じる。だが軍隊の規模を拡大するしないは防衛費の問題であって、志願兵が足りる足りないという問題ではない。ましてイラク戦争が国民の間で人気があるとかないとかいうこととは全く関係がないのである。

    アメリカの主流メディアはなんとかイラク戦争を勝ち戦から負け戦に持っていきたいようだ。それでこういう意味のないことで軍隊を批判する。だがイラクで軍人の数が足りないとは報道しても、軍隊が小さすぎからもっと防衛予算を増やして軍を拡大せよなどとは死んでもいわない。

    彼等の本心は反アメリカ軍。それだけなのだ。

    August 24, 2006, 現時間 6:27 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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    July 23, 2006

    米軍バグダッド安定に武力強化

    イラク関係

    レバノンの戦争に気を取られている間に、イラクではかなりひどい暴力の連鎖が続いている。イラクアルカイダのザルカーウィが死んで、これでやっとイラクにも平穏が訪れると思いきや今度はシーア派でイランの飼い犬モクタダ·アル·サドル率いるマフディ軍がスンニ派の市民をやたらめったらに殺しはじめた。それでスンニの抵抗軍やアルカイダのテロリスト残党たちはアメリカ軍ではなくシーア派にその攻撃の的をうつし、自爆テロや自動車爆弾テロでシーア派を殺している。7月22日付けニューヨークタイムスの記事より。(訳:カカシ)

    「バグダッドにおける宗派間での暴力は非常に深刻です。」アメリカ軍中央司令部長官ジョンP·アビゼイド陸軍将軍は金曜日のインタビューで語った。「この国は抵抗軍のほうが宗派争いより容易に片付けられます。宗派間の争いはもっと断固とした処置が必要です。」

    アメリカ軍当局はバグダッドの警備を最優先とし、バグダッドの治安安定を第一目的として作戦をすすめている。特にアメリカ軍の標的はサドルシティに巣食うサドルの民兵たちである。以下AFPより。 (訳:カカシ)

    アメリカ/イラク連合軍によって先日行われ、9人の民兵が殺されたシーア派地区への手入れが、「シーアのザルカーウィ」と呼ばれる男が標的だったと、サドルシティそしてインターネット掲示板で評判になっている。去る金曜日の夜、サドルシティのまちはずれで米軍の手入れによって逮捕された匿名の「抵抗軍の幹部』という男が、シーア民兵のアブデラーと呼ばれる男ではないかという話がでている。

    最近のバグダッドにおける暴力はマフディ軍によるもののほうがアルカイダやスンニ抵抗軍よりひどいといわれている。22日の土曜日にもアメリカ軍はサドルシティーでシーア派の民兵軍と衝突し14人の民兵を殺している。7月23日AP記事によるとこの戦いで2人の人質が解放された。また、同記事によればイギリス軍が先週マフディ軍幹部を逮捕したともある。この人質とは誰なのかというと、ロイターの記事に詳細が乗っている。(訳:カカシ)

    モクタダアルサドルひきいるマフディ軍を代表する政党の国会議員は、日曜日ムサヤブの戦いで殺された14人はサドルの手下であったと発表した。

    バハアルアラジ氏はまたサドル派も所属しているマリキ首相の政府にたいし、スンニのテロリストをかくまっていると責め、自分らの派の要求が無視された場合には暴力も辞さないと警告した...

    公式発表としては珍しくサドル民兵たちは自分らの手で法を施行すると断言、アラジ氏は49人の「テロリスト」をムサヤブ付近のマフムディアで逮捕したと語った。しかしこれらの人々は土曜日の米軍との戦闘ですべて解放され、10人のサドル兵士が死亡した。

    どうもいろいろなことがいっぺんにおきているため、何がなんだかかなり混乱するのだが、要するにアメリカ軍とイラク軍の連合軍はバグダッドにおいて、サドル率いるマフディ軍への掃蕩に力を入れはじめたということだ。イラクの平和を乱すものはスンニであれシーアであれ許さないというのがアメリカの姿勢だからである。

    サドルの白豚が2004年に抵抗軍を立ち上げた時、私はこいつは今のうちに殺しておかなければあとで問題になるとはなしていたものである。やはり思った通りこいつは悪いニュースだった。今回は徹底的にマフディ軍を壊滅し、サドルは処刑すべきである。

    しかしどうやらサドル軍との衝突で味方の犠牲者はイラク兵ひとりということなので、1:14というこの調子でマフディ軍退治にがんばってもらえば、マフディ軍全滅も早期に望めることだろう。イラク軍とアメリカ軍の健闘を祈る。

    July 23, 2006, 現時間 10:04 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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    July 12, 2006

    置き換えられた人権擁護: アルカイダの米兵遺体冒涜に思う

    イラク関係

    アルカイダのテロリストたちはこの間拉致して拷問殺害したアメリカ兵の遺体を冒涜しているシーンをビデオに撮って公開した。(注:このビデオへのリンクではないのでご安心を)

    バグダッド(CNN) イラク中部ユスフィヤで武装勢力に拉致され、殺害された米兵2人の遺体とみられる映像が10日、イスラム系ウエブサイトに掲載された。また映像に伴って、中部マハムディヤで米兵がイラク人女性に暴行を加え、家族ら4人とともに殺害したとされる事件との関連を示唆する声明が出された。

    声明は「2人の米兵と同じ部隊の兵士に同胞女性が辱められたことへの報復として、このビデオを公開する」と述べている。

    このビデオがアメリカ兵らによるイラク家族4人殺害疑惑(真実かどうかかなり疑わしい)と関係があるなどというアルカイダのプロパガンダを信じるひとなどいないだろう。アルカイダはイラク戦争の前からアメリカ人ジャーナリストを拉致して斬首したビデオを公開した過去がある。イラク戦争中も日本人の若者、香田さんを含み何人もの無抵抗な非戦闘員の首をかっ切るなど残虐な所行をビデオに撮って公開してきた。同じイスラム教徒であるシーア派の人々を拉致しては拷問虐殺し続けているアルカイダ。そんな奴らがイラク女性が一人二人強姦されたからといって気にしたりするものか。これは明らかに文明諸国の反戦派を狙った宣伝行為だ。

    アルカイダの連中がこういう行為にでることは特に不思議でもなんでもない。野蛮なテロリストが野蛮行為をしたからといっても別に今さら騒ぎ立てるほどのことでもないだろう。だが問題はこのようなニュースを取り扱うメディアや、自称人権保護団体の反応だ。

    アメリカ兵やアメリカ政府がやったとされる行為は、まるで鷹の目のように鋭い目で監視する彼等は、テロリストの悪行にはあまり関心がない。キューバのゴンタナモ収容所での囚人への扱いが人権迫害だのジニーバ条約に違反するなどと大騒ぎする割には、ジニーバなんてどこにあるかも知らないようなテロリストが女子供もかまわず虐殺し、拉致した戦闘員を拷問の上虐待して遺体を冒涜するような行為にでてもアムネスティーインターナショナルがこれはジニーバ協定に反するなどと抗議することはない。それどころかCNNの記事など詳細がはっきりしていない米兵による『悪行』と結び付けることによってテロリストの行為と米兵との疑惑を同率に並べている。

    アルグレーブで米兵の看守らによる囚人への嫌がらせが大々的に問題になったとき、私は同僚とその話をしたことがある。同僚は米兵のやっていることを「虐待だ」といって強く批難していたが、私は囚人を裸にひんむいて写真を撮ったり犬をしかけるふりをしておどかした程度のことを「虐待」などと呼んで騒ぐのは行き過ぎだと反論した。なにしろアルグレーブの囚人たちはアメリカ兵を路肩爆弾でふっ飛ばしたり、イラク市民を自動車爆弾で大量殺害しているようなテロリストのあつまりだ。そんな奴らが多少看守からセクハラを受けた程度で騒ぐほどのことはない、というのが私の意見だった。

    誤解のないようにいっておくが、たとえテロリストといえども、アメリカ兵が囚人を不必要に虐待しても良いなどと私は考えていない。アルグレーブのけしからん看守どもが軍法会議の末禁固刑数年の罰をうけることになったのも、監視役の准将が不名誉の除隊をよぎなくされたのも政党な罰だと考える。

    どんなやり方をしても勝てばいいとおもっているテロリストらにしてみれば、西側諸国のこうした反応はきっと理解できないとおもう。そして我々が考える人権とか道徳というものを我々の弱さだと考えることだろう。さもあらん。彼等が侵略者の立場なら非戦闘員も抵抗軍も無差別に徹底的に虐待しているだろう。イラクの人々ももしアメリカ兵に本当に虐待を受けたとしてもアメリカメディアが騒がなければ特に驚かなかったろうと思う。

    私も英米や連合軍は片腕を後ろ手に縛られて戦争をしているような気がしてならない。皮肉なのはアメリカほど敵や非戦闘員の人権を尊重している国はほかにないだろうに、アメリカが一番責められているということだ。敵側がプロパガンダを利用して我々を責めるのは納得がいくが、どうしてアメリカのメディアや西側の市民団体が我々を目の仇にするのか不思議でしかたない。

    対テロ戦争に中立はあり得ない。英米の対テロ戦争をサボタージュするということは、テロリストの味方をすることになるのである。どれだけアメリカが嫌いかもしれないが、ここはテロリストのほうがよっぽども危険だということに重点をおいて、むやみやたらにアメリカを責めるのはいい加減にやめてもらいたい。

    July 12, 2006, 現時間 8:27 PM | コメント (1) | トラックバック (0)

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    July 7, 2006

    ワタダ米陸軍中尉の出動拒否に思う

    イラク関係

    先月22日にイラクに出動したストライカー旅団に所属して出動命令を拒否して国内に留まったワタダ米陸軍中尉は昨日出動拒否、将校としてあるまじき態度などの罪に問われて起訴された。有罪となれば7年の禁固刑のすえ、不名誉の除隊となる重罪である。それについて彼の母親が発表した手紙を読んだ方もおられるだろう。

    ワタダ中尉が命令に背いて出動拒否をした理由として声明を発表した。しかし彼の声明にはどうも腑に落ちないことがある。

    私はエレン・ワタダと申します。アメリカ合衆国陸軍中尉であり、3年間服務しています。

    合衆国陸軍の将校として、重大な不正義に対して声を上げることは自分の義務であると考えます。私の道徳と法的義務は、憲法に対するものであり、無法な命令を下す者に対して負うものではありません...

    米国軍隊の将校として、イラク戦争は道義的に過ちであるばかりでなく、合衆国の法をも手荒く侵害する行為であるという結論に達しました。私は抗議のために退役しようと試みましたが、にもかかわらずこの明白に違法な戦争に加わることを強制されています。違法行為に参加するようにという命令は、間違いなくそれ自身が違法です。私は、名誉と品性を重んじる将校として、この命令を拒否しなければなりません...

    ワタダ中尉の入隊は3年前というから2003年の6月頃だったということになる。ということはアメリカのイラク戦争はすでにはじまり、主な戦闘は終わったとブッシュ大統領が宣言した直後だった。もし彼の声明文のとおり、イラク戦争が「イラク戦争は道義的に過ちであるばかりでなく、合衆国の法をも手荒く侵害する行為である」と考えるなら、なぜそのような戦争をやっている真っ最中に最前線に行く可能性が非常に高い陸軍などに志願したのであろうか? そのような戦争を行っている軍隊に抗議のため反戦運動の市民団体にでも参加すべきだったのではないか? 

    イラク戦争はすでに3年半も行われてり、ワタダ中尉がこの戦争に反対だったのなら、そしてそれについて抗議することが自分の義務だと考えていたなら今まで黙っていたというのもおかしい。 今年12月には任期がおわり出動の危険が大きい陸軍に3年もいたのに戦闘経験をせずに除隊できるとおもっていたら、突然出動命令がでて、しかも任期が来年の中頃まで延長されるということになったのが、突然都合良く反戦意識に芽生えた理由だというのは私のかんぐりすぎかな? (笑)

    軍人は軍の規制に反する不法な命令を受けた場合命令を拒否する義務がある。だがその拒否のしかたにはきちんとした取り決めがあり、上官から違法命令を受けた場合部下は即座に当局へ訴え出る義務があるが、そのやりかたに一般メディアを集めて記者会見するというやりかたは含まれていない。これは私の勘だがこの行為は多分違法だろう。

    平常であれば、軍隊にいる人間も、自分の思うことを話し、自分の利益になるよう行動することは許されます。そうした時代は終わってしまいました。私は上官に対して、われわれの行動の意味するところを大局に立って判断するよう求めました。しかし、まっとうな回答は得られそうにありません。 私は将校に就任するとき、アメリカの法と民衆を守ることを宣誓しました。違法な戦争に参加せよとの違法な命令を拒むことにより、私はその宣誓に従います。

    アメリカ軍法、Universal Code of Military Justice (UCMJ) についてご存じない方も多いと思うが、軍人は軍隊に入隊した時、民間人にあてはまる憲法からの庇護から解かれ、軍の法律によって行動を規制される。であるから軍人が罪をおかした場合一般の裁判にはかけられず軍法会議にかけられる。 

    このなかで、特に現役軍人による政治活動は禁止されており、現政権の政策についての批判は公の場ではしてはいけないことになっている。つまりワタダ中尉がいうような「平常であれば、軍隊にいる人間も、自分の思うことを話し、自分の利益になるよう行動することは許され」た時代など過去にも存在していないのである。それどころかアメリカには三権分立の法則があり、軍隊は国の政策に口出しをしないことになっている。だから軍の総司令官は民間人なのであり、戦争をするしないの決定権は議会にあるのであり、軍隊にその否決権はない。だからワタダ中尉が個人的にどう思おうと、彼にこの戦争が違法か合法かを判断する権限はないのである。

    ワタダ中尉は将校であるので、彼の下には当然部下がいる。将校たるもの率先して部下を指揮して戦場の赴くのが普通であるにもかかわらず、彼はその任務を拒否した。はっきり言って、こんな臆病者がイラクにいったりしてくれないで助かったと私は思う。こんな指揮官に指揮される部下たちこそはた迷惑である。きっとワタダ中尉がこないでくれて助かったと息をついてる部下も多いのではないだろうか。

    私はワタダ中尉の母親のいいわけがましい手紙など読む気は全くしないのだが、その手紙を検索していておもしろいサイトに行き渡った。

    このサイトの名前uruknet.infoの下に、「占領下のイラクからの情報」と副題がありイラクのフセイン政権下の旗の写真が載っている。ワタダ中尉の命令拒否の話題はなんとイラクのバース残党抵抗軍のホームページでプロパガンダとして使われているのである!

    「将校に就任するとき、アメリカの法と民衆を守ることを宣誓」したはずのアメリカ将校が自分の部下が命がけで戦う敵に自分の行動がプロパガンダとして使われ、敵に勇気を与えたことをワタダ中尉はさぞかし誇りに思っていることだろう。

    そうやって軍の牢屋で冷や飯を長〜い間食ってもらいたいものだ。

    July 7, 2006, 現時間 1:23 AM | コメント (1) | トラックバック (1)

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    July 4, 2006

    もっとあった大量破壊兵器!!!

    イラク関係

    イラクで大量破壊兵器のひとつである化学兵器が2003年以降大量にイラクでみつかっていたという話はもうしたが、ここ数カ月の間にさらにもっと多くの化学兵器が発見されていたことが最近明らかになった。(訳:カカシ)

    さる木曜日、米軍によるとここ数カ月において当初ペンタゴンに報告された500の砲弾にくわえ、さらに多くの武器が発見されたと防衛庁諜報部の高官は語った。

    防衛庁諜報部部長のマイケル·メイプル中将は、新しく発見された武器が化学兵器の砲弾であるとは確定しなかったが、さらにもっと発見されることが期待されると語った。

    「すべての武器を発見したとは思えません」中将は下院議会軍事委員会で議員たちの前で行われる秘密会議の前におこなわれた公表会でことの詳細についていくつか発表した。

    メイプル中将の言葉使いは非常に注意深く、イラクで発見された砲弾は1980年代に製造されたもので、当初の目的のための使用は不可能であるとしながらも、もし炭疽菌などの薬品が砲弾からとりのぞかれ、再収納されてアメリカ国内などで使用されれば致命的な打撃を与えるであろうとも語っている。

    しかしあれだけ「大量破壊兵器はどこにあるのだ!」「ありもしない大量破壊兵器を口実に虚偽の理由でイラク戦争をはじめた」と大騒ぎをしていた反戦派たちはどういう反応を示しているかといえば、、彼等は発見そのものを否定できないので、「あ〜そんなのは数にはいらない。我々が探していたのはそういう武器じゃない。」と、化学兵器はあたかも大量破壊兵器には含まれないかのような言い方で片付けようとしている。

    カリフォルニアの民主党下院議員エレン·タウチャー議員は『この武器が我々が探していた差しせまった脅威とはいいがたい。』と語っている。

    再収納されて致命的な打撃を与えるような武器ならば、立派に大量破壊兵器ではないか。そのような武器がフセイン政権の手からテロリストの手に渡る前にフセインイラクを倒しておいてよかったではないか。

    また、ブッシュ大統領はフセインイラクのことを「差し迫った脅威」であるとは一度も言っていない。フセインイラクが差し迫った脅威になってから攻めたのでは遅いといったのである。差しせまった脅威になる前の攻撃だから先制攻撃といえるのだ。イラクが完全に差しせまった脅威であったなら、戦争をやるのは当然であり大統領がわざわざ演説をして国民を説得する必要などなかったではないか。

    ブッシュ大統領が言っていたようにフセインイラクは大量破壊兵器の備蓄を大量に隠し持っていた。ブッシュ大統領は正しかったのである。反戦派は発見された武器は我々の探していたものではないなどと苦し紛れのいいわけをせず、ブッシュが正しかったと認めるべきだ。

    関連記事:
    化学兵器は立派な大量破壊兵器
    やっぱりあった大量破壊兵器!!!

    参考記事:
    Finding Even More of the Wrong Kind of WMDs In Iraq


    July 4, 2006, 現時間 12:46 AM | コメント (3) | トラックバック (1)

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    June 30, 2006

    眉唾なイラク米兵による悪事報道

    イラク関係 , 狂ったメディア

    イラクにおいて、アメリカ兵がなにか悪さをしたという話が持ち上がると、事の是非を確かめもせずセンセーショナルにすぐ報道するアメリカを含め世界の主流メディアの無責任ぶりには本当に腹がたつ。

    アフガニスタンとイラク戦争が始まってからというもの、なにかあるごとに、疑わしきがアメリカとなると、この時とばかりに禿鷹のようにたかってくる世界のメディア。だがこうした事件はいざ掘り下げてみると当初の報道とは全く違ったものであったということが少なくない。

    2〜3年前だったか、シリア国境あたりで結婚式の最中にアメリカ軍に空爆された家族があったという話がおおげさに報道されたことがある。だが後の捜査で空爆をうけたのは地元でも悪名高い武器密輸業者であり、空爆された場所からも武器弾薬が大量に発見されたことが明らかになった。

    つい最近あったパキスタンの民家空爆の件でも、空爆されたのはタリバンの部落だったことが後ではっきりしているし、このあいだもイラクで非戦闘員を殺した容疑で軍法会議にまでかけられた米兵が正当防衛で無罪になったばかりでもある。

    ハディーサの件にしても、「証拠」だの「証言」だのが出てくる度に、どうもおかしな点があきらかになり、実際に虐殺などあったのかどうかさえ疑わしくなってきている。(ハディーサ疑惑: 怪しげな証言続く

    だから私は今回の米兵がイラク家族を襲って女性を強姦して家族を皆殺しにしたなどというこんな事件もかなり疑わしいと踏んでいる。

    イラク国内では、西欧の新聞社が自分らの特派員を現場に送って情報集めをするのではなく、ストリンガーといわれる現地人からニュースを購入するというやり方が普通になっている。もともとイラク戦争には反対の大手メディアはイラクにおいて悪いニュースにはプレミアをつけて高額の謝礼を出す。そうと知ってる地元ストリンガーはテロリストが張り切ってる姿や、アメリカ兵による人権迫害だの悪事だのといった記事を本当でも嘘でもどんどんメディアに売り付けるというわけだ。イラクの湿地帯で日本の自衛隊員が汚染された水の浄水にがんばってますなんてニュースは一文にもならないからね。

    ひどいのになってくると、テロリストがわざわざテロを演出してストリンガーに写真やビデオを撮らせて欧米メディアに売り付けたりするのもいる。モスルでのデモ行進やバグダッドでのイラク選挙管理委員の白昼暗殺などはそのいい例である。

    だから我々読者は、新聞に書いてあるからといって、なんでもかんでもすぐに鵜呑みにすべきではない。ましてやその記事を元にアメリカは鬼畜だなどと軽卒な判断をくだすべきではない。きちんとした捜査によって本当にアメリカ兵が悪事を働いたことが軍法会議で証明されたならば、その行為は糾弾だれるべきだし、有罪となったアメリカ兵はそれなりの罰を受けるべきである。だが詳細もわからないうちから、センセーショナルな報道に踊らされて大騒ぎをすべきではない。

    June 30, 2006, 現時間 9:45 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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    イラク軍と戦闘のシーア民兵にイラン人発見

    イラク関係

    アメリカとイラクの連合軍がイラク市街地で戦闘という話は最近しょっちゅうあるので、めずらしいことではないのだが、昨日のロイターの記事 (英語)の見出しは「アメリカとイラク軍シーア民兵と激突」とあったので目にとまった。しかも連合軍がとらえた民兵にはイラン人が混じっていたというのだから興味深い。(訳:カカシ)

    木曜日、イラクとアメリカ連合軍はバグダッドの東北にある村でシーア民兵と戦い、目撃者と警察当局によると米軍のヘリコプターから農園が空爆され隠れている暴徒らがいぶり出されたという。

    イラク警備当局はイラク軍の司令官とその他二人の兵士が狙撃された戦いで、捕獲された民兵のなかにイランの戦闘員が含まれていたと話した。軍当局は何故イラン人と確認できたのかを明らかにしていない。

    この事件で大切な点は二つある。まず第1にこの戦いがシーア派との戦いであるということだ。イラクでは今マリキ首相がスンニ抵抗軍に恩赦を提案し、武器を捨て平和的にイラク社会に融合するよう呼びかけているが、首相も大統領もシーア派というイラク政府をスンニ派は容易に信用できない。スンニ派が安心して武器を捨て抵抗をあきらめるためには、スンニ派を対象に悪事を働いているシーア派暴徒の取り締まりは必要不可欠である。であるから、イラク軍はシーア派が制服をきているだけだという印象を振払うためにも、今回のようにアメリカ軍とイラク軍が一体となり、シーア派の民兵の取り締まりに力をいれていく必要がある。

    第2にの点として、シーア民兵の間にイラン人が雑ざっていたということに注目されたし。連合軍が戦った相手は悪名高き白豚サドルのマフディ軍だ。これまでサドルがイラン政府の手先であるという話が出る度に、それがただのデマだと相手にしなかった人々にはよく噛み締めてほしい事実である。

    ロイターは発見されたイラン人が本当にイランの手先かどうか疑っているようだ。「軍当局は何故イラン人と確認できたのかを明らかにしていない」というところがいかにもロイターらしい。イラク人になら、イラン人とイラク人の識別など簡単にできるはず。イラン人は言葉からして違うのだから、多分アラビア語にペルシャ訛りがでるとか、服装が違うとか、そぶりが違うとか、地元のひとからみればイラン人のよそ者などすぐに分かるはずだ。それでもロイターは疑い深い。

    米国及び英国はイランのシーア派が親イラク政府のシーア民兵に軍事援助をすることで、イラク内政に干渉していると責めてきた。しかしイラン人がイラクで逮捕されたという例はほとんどない。

    イラク人のなかには、特にスンニ派になると、すぐにシーア戦士をイランの工作員だと決めつける傾向がある。しかしイラク民兵のなかにはイランの難民キャンプで生まれ育ち、イラン訛りのアラビア語を話、中にはイランの身分証明書を持っているひともいる。

    イランで生まれ育ち、ペルシャ語をしゃべり、イランの身分証明書をもってりゃイラン人だろうが! なんでそれがイラク人だってことになるのだ! イラク人の血を受け継いでいればすべてイラク人なのか? なんという人種差別的考えだろう。

    ロイターはさらに、イラク政府とつながりのある強力なシーア派民兵軍を解散するのは不可能だろうと書いているが、今回のようにイラク軍が率先してマフディ軍と戦い、さらにイラン人まで逮捕したいう事実は高く評価されるべきである。

    June 30, 2006, 現時間 6:40 PM | コメント (3) | トラックバック (0)

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    June 27, 2006

    イラク湿地帯の復興

    イラク関係

    イラクにはマーシアラブといわれるイラク南部の湿地帯に住む部族がいる。彼等の故郷は1990年代にサダムフセインによって破壊された。彼等のすむイラクマーシといえば中東で最大の湿地帯として、そして文明の発祥地としても、昔から有名だ。聖書に出てくるエデンといえば、まさにこの地のことをいうという説さえある。この豊かな水の恵みにはぐくまれ、一時は多くの野生生物が生息していた。

    しかし、1950年代からバース党はスンニ派の住まいへ水を供給するため、組織的に湿地帯から水を引いてきたが、1991年の湾岸戦争後のフセイン政権下でこの政策はエスカレートし、いたるところにダムが作られ湿地への水は遮断され、このあたりは完全な枯れ地になってしまった。おかげでここで何世代にも渡って生活を支えていたマーシアラブたちは故郷をおわれることとなったのである。

    2003年にアメリカ率いる連合軍がフセイン政権を倒した直後、地元民は無数のダムを破壊し、湿地帯に水を引き戻しはじめた。この湿地帯復興に一役買ってでて、かなりの資金援助もしているのが、誰あろう日本政府と日本の自衛隊である。日本政府はすでにこの復興企画に2百万ドルの資金援助をしており、あと1千万ドルほど援助する計画になっている。

    またこの水が戻ってきたとはいえ、長年にわたるフセイン政権の垂れ流した公害により水は汚染されているため、その汚染された水の清浄作業に携わってきたのが自衛隊というわけだ。

    おかげで去年の8月現在、イラク湿地帯の水は37%ほど戻ってきたと国連は発表している。

    最近の復興状態を主流メディアとしては珍しく、イギリスのBBCがこの過程をずっと追っているので、その記事を紹介しよう。(訳:妹之山商店街さん提供)

    イラクの水資源省大臣のアフドール·ラティーフ·ラシード氏によると、湿地帯はすでに60%復活しているという。

    BBCはイギリスのヘリコプターでバスラ市の西にある湿地帯の一つの上空を 飛びました。

    我々は以前の状態と比較する方法を持っていませんでした。
    けれども航空機から、我々は大きな広々とした水域を見ることができました。

    葦の草むらに沿って狭いボートをゆっくり動かしている漁師がいました。

    我々は所々で伝統的な湿地帯のアラブの村を見ました。
    そこでは葦の厚いマットの上に浮いて、水牛が一緒にごろごろしていました。

    故ウィルフレッド・セシガーのような探検家が、1950年代にマーシュアラブ人と
    一緒に住んでいました。同じ現場を記述し、写真を撮りました。

    なんとものどかな景色なのだが、むろんこれはBBCのニュースであるから全体的に楽観的な記事ではない。実際にはイラク湿地帯はいろいろな問題を抱えている。

    日本政府を初め国連がこのあたりの復興のためにあてがった資金で、湿地の復興だけでなく学校の設備や病院などもたてられるはずだったのだが、地方役員の腐敗が原因なのか、地元にはこれといった還元がされていないと地元民は嘆く。電気の配給や清浄水の供給などフセイン時代とたいしたかわりがないとぼやく市民もいる。(もっともフセイン政権下では彼等はこのあたりを追われていたのだから、かわりがないというのも変な話だが。)

    また、宗派間の争いやテロ事件などで悩まされることがないとはいえ、部族同士の暴力的な争いは後を絶たないようだ。

    ま、イラクのような国で何もかもがうまくいったらそれこそ奇跡なのだが、イラク政府にはこのあたりを自然公園にして自然を保存する考えや、産業を取り入れ地元民への就職にも役立てたいと、野心的な計画は多々あるようだ。また、湿地帯の下に眠っている油田の発掘についても考慮がされているようで、このあたりの発展は今後も注目されるべきだろう。

    June 27, 2006, 現時間 12:39 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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    June 26, 2006

    スンニ抵抗軍恩赦も考慮すると交渉開始

    イラク関係

    先日イラクのマリキ首相が、スンニ派の抵抗軍で、連合軍に対して戦ってきた団体に限って、いますぐ武器を捨て地道にイラク市民として暮らすならば、恩赦を出すという声明を発表した。この恩赦の対象にイラク人相手の犯罪は含まれない。それに対して、いくつかのスンニ抵抗軍がこの条件を真剣に考慮しはじめているようだ。

    ニューヨークタイムスによれば、スンニ抵抗軍のいくつかが、イラク政府に交渉の提案をしてきたという。まだどのような条件で降参するという話までにはいたらないようだが、少なくとも抵抗紛争をあきらめようという動きが抵抗軍の間で出てきたことは希望が持てる。

    スンニ派としてもいつまでもアメリカ軍やイラク軍の手入れを受けて何時撃たれるか、何時吹き飛ばされるかと恐れながら勝ち目のない戦争を続けたくはないだろう。スンニ派のなかには外国人勢力が牛耳るアルカイダの極悪非道なやり方に嫌気をさしている人たちが少なくないし、また外国人が幹部を独り占めしていることに関してかなりの不満も抱いている。

    だが一度はじめてしまった抵抗をそう簡単にあきらめることはできない。なにしろこれまで、通りかかるアメリカ軍を路肩爆弾でふっとばしてきた連中だ。へたに降参すれば厳しく罰せられるという恐れもあっただろうし、いままで協力してきたアルカイダへの義理もある。

    だが、恩赦となれば、罰を恐れずに降参が可能だ。これまでのことは水に流して新しく出直すことができる。ザルカーウィが死んだことで、スンニ抵抗軍が降参するのであれば今が絶好の機会である。ザルカーウィ亡きあとアルカイダへの義理はないとして縁を切ってもスンニ派はメンツを保つことができるからだ。

    大事なのはイラク政府が武器を捨てたスンニ派市民を法律上守るだけでなく、宗派争いを悪化させているシーア派暴徒の暴力からも守る保証をすることである。イラクの法律はスンニのみならずシーアにもあてはまるということをイラク警察並びにイラク軍隊がイラク治安を守ることによって、イラク市民全体にデモンストレートしなければならない。

    アメリカ軍としても、たちの悪い外国人テロリストとイラク愛国主義の抵抗軍とを振り分け、外国人のみを相手に戦うのであればずっと気が楽になる。女子供の間を迷路のようにくぐり抜けて戦う可能性も減るというものだ。

    マリキ首相に課された問題は大きい。だが首相はじめイラク政府にはがんばって交渉に携わってもらいたい。


    June 26, 2006, 現時間 10:47 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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    June 25, 2006

    化学兵器は立派な大量破壊兵器!

    イラク関係

    この間、すでに500体の砲弾に詰め込まれたサリンとマスタードガスがイラクで発見されていたという話を共和党議員が発表した話をしたが、まだ主流メディアはそれに反論するどころか報道すらしていない。やはり完全無視の体制をとり続けるようだ。

    ところで、コメンターのアセアンさんからこんな質問があった。

    化学兵器・・ってな話は何時頃から、特定されたんでしたっけ? 大量破壊兵器・・・ってだけ言ってませんでした? 化学兵器に関しては、経年劣化(なんてもんじゃない、もっと短期間で劣化したと思いますし、その程度の技術力だったのは自明なんですが)・・・

    アセアンさんの疑問は二つに別れる。

    1)化学兵器は大量破壊兵器に含まれるのか?
    2)劣化した化学兵器は危険なのか?

    イラク戦争反戦派が自分らの都合のいいように規則を書き換え続けるので、アセアンさんがこんな疑問を持つのも無理はない。だが、化学兵器はれっきとした大量破壊兵器であり、化学兵器が大量破壊兵器であるという規則は第一次世界大戦の時、ヨーロッパでマスタードガスが使われた頃から国際社会で規定されたものなのである。

    NBCR兵器

    * N (Nuclear) - 核兵器 A(Atomic)兵器とも呼ばれる。原子爆弾、水素爆弾、中性子爆弾など。 (中略)

    * B (biological) - 生物兵器 細菌兵器(細菌、ウイルス、それらを媒介する宿主生物を含む)など

    * C (chemical) - 化学兵器 毒ガス、枯れ葉剤等の薬物、薬品、毒物などこれはハーグ陸戦条約にて使用が禁じられている。

    以上をまとめて、NBC兵器もしくはABC兵器と呼ぶ。

    * R (radiological) - 放射能兵器 (略)

    以上をまとめて、NBCR兵器と呼び、大量破壊兵器という場合、通常はこれをさす。

    化学兵器が大量破壊兵器のなかには含まれないという見解は、2年くらい前だったか微量の炭疽菌を含む砲弾が発見された時にイラク戦争反対派がいい始めたことであって、これは発見されたものが大量破壊兵器などと呼べるような代物ではないといって笑に伏すために、彼等が言い出した偽りである。

    大量破壊兵器が何かということは国際社会できちんとした取り決めがあり、大量破壊兵器に含まれるのは、核兵器、化学兵器、生物兵器がある。2003年に行われたCIA査察団の報告書でも、カテゴリーはこの三つに別れて報告されている。今回発見された炭疽菌、マスタードガスは、れっきとした化学兵器であり、全く同一の武器で5500人のクルド人がいっぺんに殺されたことがある。その時使われたのはたった15砲弾。イラクで発見されたのはその33倍の量の500砲弾である。これは備蓄というにふさわしい数量である。

    同一の化学兵器で殺されたのはクルド人だけではない。シーア派や、イラン兵も、サリンやマスタードで何万人も殺害されているという事実を忘れてはならない。

    では、短期間で劣化するような科学兵器が危険なのかという疑問だが、この劣化というのがくせ者で、いったいどの程度の劣化なのかがはっきりしていない。また、発見された武器は温度や湿度の調整のされた場所に保管されていたものもあり、明らかにその性能を保つ努力がされていたことも分かっている。昨日も発見された化学兵器は一般家庭の納屋にあるような無害なものだとカリフォルニアの民主党議員がいっていたが、納屋にある殺虫剤を大量に砲弾に詰め込んで打ち込まれたとき、彼女が防御服なしてつったっていられるかどうかお聞きしたいものだ。

    問題は発見された武器が今の状態で危険かどうかということではない。またフセインイラクが化学兵器の性能を保つ技術を保持していたかということでもない。重要なのはフセインイラクがそのまま放置された場合、彼が自由世界に危険を及ぼす可能性があったのかどうかということだ。

    湾岸戦争が終わった段階で、国連は停戦条約のひとつとして、すでに所持している大量破壊兵器の全てを破棄し、今後も大量破壊兵器の開発を完全にあきらめることをフセインイラクに義務つけた。にもかかわらずフセインが核兵器開発を全くあきらめていなかったことはすでに発見された数々の書類や亡命者からの証言ではっきりしているし、それに加えて所持していた化学兵器を故意に国連査察団から大量に隠していたことも今回はっきりしたのである。

    つまり、ブッシュ大統領がフセインが国連の条例に違反していると公言したことはすべて正しかったのである。

    ではなぜブッシュ政権はこのことを大々的に発表しなかったのか? なぜ国家機密にしたまま今まで隠しておいたのか? 考えられるのは、ブッシュ政権はイラク国内にまだまだこのような生物/化学兵器が隠されていると考えている。だからその存在や発見された場所などをあまり詳細に発表してしまうと、隠されている兵器がテロリストや抵抗軍の手に渡る可能性があるという危惧があったからではないだろうか。

    何にしても、ことの詳細は追って明らかになることであろう。むろんアメリカのメディアは完全無視を決め込むだろうから、この問題が闇から闇へ葬られないよう我々ブロガーが常にこの話題を取り上げる必要がある。今後もいろいろな事実があきらかになるにつれ、ここでも読者の皆様に紹介したい。

    今回アセアンさんがして下さったように、みなさんからの質問をお待ちしているので、どうぞご遠慮なくコメントされたし。

    June 25, 2006, 現時間 9:57 AM | コメント (2) | トラックバック (1)

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    June 22, 2006

    やっぱりあった大量破壊兵器!!!!

    イラク関係

    いやはや長い間ブッシュ大統領の政策を支持して、反戦派に「ブッシュは嘘をついて我々をイラク戦争に導いた」といわれながら、「大量破壊兵器は絶対にある!」といい続けてきた甲斐あって、ついにイラクではすでに大量破壊兵器がイラク戦争以後大量に発見されていたという事実が明らかになった。

    昨日夜おそくアメリカ上院議員のリック·サントラム氏とピーター·フークストラ氏が記者会見をおこない、2003年からこれまでにかけて500体のサリンとマスターガスの入った砲弾が見つかっていたことが、今回国家秘密が解除された書類から明らかになったと発表した

    みつかった化学兵器は1991年以前のものと思われ、かなり崩壊して質のおちたものとなっていたようだが、湾岸戦争当時まで所持していた大量破壊兵器はすべて国連にその在庫を報告し破棄処分にするという、湾岸戦争の停戦条約をフセインイラクが完全にやぶっていたことがはっきりした。

    また、これらの化学兵器は、国連の二回にわたる査察によって発見されなかっただけでなく、戦後のCIAによる二回にわたる視察団によってすら発見されていなかった。これはパトロール中のアメリカ軍がイラク各地に散らばっていたものを偶然発見していたものだったのである。

    反戦派のアメリカ民主党がことあるごとに、大量破壊兵器はなかった、ブッシュは嘘をついていた、と騒ぐ度に私はいつも同じ疑問を投げかけていた。「一度存在していた大量破壊兵器が、破棄された痕跡もないのにイラクで発見されないのはなぜか?」

    この答えには三つの可能性があった。1)戦争直前に国外に移動された、2)国内のどこかに小規模に分散されて隠されている、3)1)と2)の両方。1)に関してはロシアの特別部隊がWMDをシリアへ移したという話がある。ブッシュ政権はこのことについてかなりの詳細情報を握っていると思われるが、イランの件でロシアの協力がいるためあえて情報を公にしていないという説もある。

    だが少なくとも今回の発表によって、2)が確実に行われていたことが判明したわけだ。

    にもかかわらず、大量破壊兵器はどこにあるんだあ! と大騒ぎをしていたアメリカメディアの反応はかなり冷たい。まずほとんどの主流メディアが記者会見の模様を報道しなかったということからしてあきれる。今日になってもAPも、ロイターも、ニューヨークタイムスも、ロサンゼルスタイムスも大手新聞は完全無視をきめこみ、わずかに報道した新聞でもこんなもの大量破壊兵器とはいえないとか、古すぎて話にならないとか、ほとんどまじめにとりあう気持ちがないようだ。

    この話は911がアメリカの自作自演だったなんてでたらめ陰謀説を唱えているようなブロガーたちから出た話ではない。かりにも諜報委員会の上院議員が公式発表しているのである。大量破壊兵器がイラク戦争の大義名分だったといいきっていたアメリカの主流メディアが完全無視ってやりかたはないだろう。

    これに加え、2003年以後イラクでCIA視察団が発見してずっと秘密になっていた書類が、最近一般公開されたが、アラビア語で書かれているため、アメリカのブロガーの間で必死に翻訳がされている書類などによると、イラクでは大量破壊兵器の開発はずっと続行されており、その隠避工作がされていたこともあきらかになってきている。それだけでなく、フセインイラクとアルカイダとの深い関わりを証明する書類もどんどん公開されてきている。

    これについてイラク戦争反対派の今後の戦略は、まず無視、それができなければ発見を過小評価する、といったやりかたで、主流メディアを味方につけている反ブッシュ派には不公平なほどの力がある。

    それにしても苛立つのはブッシュ政権ののんぴりした態度である。このような事実を持っていながら、なぜ今まで黙っていたのだ? なぜ反戦派が好き勝手なことを言って政権を侮辱し我々参戦派にみじめな思いをさせながら、これまで何もいわなかったのだ? 私にはどうもその辺のブッシュ政権のやり方が納得できない。

    アメリカの主流メディアが報道を拒絶しているから、日本のメディアも無視している。日本はアメリカに特派員はいないのか? 独自の調査はできないのか? 全く情けない。

    June 22, 2006, 現時間 10:00 PM | コメント (1) | トラックバック (2)

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    June 20, 2006

    戦争を知らない戦場記者たち

    イラク関係

    このイラク戦争では、世界各国から非常に多くの特派員がイラクへ送られている。大手メディアが派遣した記者もいれば、フリーのジャーナリストもいる。だがこれだけ多くの記者が現場にいるにも関わらず、イラクから聞こえてくる報道はどうも頼りない。イラクにいる海外特派員の多くが反戦派で米英軍に対して少なからぬ反感と偏見をもっているということも原因のひとつではあるが、もっと基本的な段階で記者たちが戦争や軍隊のなんたるやに関して全く無知であるということがいえる。

    日本は第二次世界大戦後、徴兵制度どころか軍隊そのものがなくなってしまったから、現在日本では全く戦争を知らずに育った世代がすでに三代目の時代になっている。アメリカでもベトナム戦争中から徴兵を避ける傾向が高くなり、大学へ行ったり一時海外へ脱出するなどして徴兵を免れた人が少なくない。ということは実質的に家族や親戚隣近所に必ず数人の軍隊体験者がいた時代は日本もアメリカもとうの昔に終わっているということだ。

    その結果、イラクへジャーナリストとして派遣された多くの記者が、自分自身に軍隊体験がないばかりでなく、親戚や友達のひとりとして軍隊など全く縁がない。だから軍隊がどのように作戦をたて、どのように任務を果たすか、闘争ひとつひとつがどのように関連があるのかなどということは全く理解できない。そんな記者の報道をみても我々視聴者が得る情報は、あっちで戦闘があった、こっちで戦闘があった、という部分的なことだけで、全く全体像を知ることができない。これではいったいイラク戦争で連合軍は勝っているのか負けているのか全くわからない。

    この間どっかの掲示板をロムしていて、「哀れな米兵」という題でアメリカ軍が日陰で休んでいる写真を紹介している投稿者がいた。この写真は4〜5人の米兵が砂まみれになって疲れきった様子でお互いの肩によりかかる体で座っている姿を写したものだった。私はこの写真をみて「哀れ』という印象を受けたこの投稿者こそ哀れなほど無知だなあと思った。いったいこの人間は戦争とはどんなものだと思っているのだろう? どこの世界の戦争で清潔な制服をきた兵隊が冷房のきいた事務所で「戦っている」と考えているだろう。ま、彼は一介の掲示板投稿者だからと片付けてしまってもいいのだが、米軍に従軍している記者ですら程度の差こそあれこれに似たようなひしゃげた米軍像を報道している。戦場で自分らのおかれた環境について文句をいってる兵士らを目にすると、すぐに士気が落ちていると報道してしまう記者は少なくない。

    だが私は知り合いの軍人がエアコンの効いたオフィスでコンピューターとにらめっこしながら、ぶつぶつ文句をいっているのをしょっちゅう耳にする。任期の終わりが迫ってくるとやめる日が待ちきれないといって指折り数えている兵士もざらにいる。ところがそういうひとたちに限って任期が切れると再入隊しているのである。今回の戦争でも戦闘体験のある戦士が戦場で再入隊するなどということがいくらも起きている。

    軍人には軍人の文化というものがあり、軍人同士にしか分からないブラックユーモアがある。これを民間人が普通にきいているとなんだか空恐ろしいことをいってるように聞こえたり、戦争には嫌気がさして士気が完全に衰えているなどという印象を受けたりするものだ。

    この間海兵隊員が作詞作曲で歌っていたハージガールという歌について、アメリカのイスラム教市民団体が悪趣味だといって大騒ぎをした。歌詞の内容は海兵隊員がかわいい地元女性の誘いにのって彼女の家まで出かけていくと、女性の父兄から待ち伏せ攻撃をうけたので、女性の妹を盾にして銃撃を避けたというもの。 確かに幼い子供を盾にしたなんて歌詞は趣味が悪い。しかし軍人らの話を聞いているとアメリカ本土での訓練中にジョギングの音頭取りに使われる歌のほうがよっぽども悪趣味だということだ。ミスター苺が海軍の基礎訓練の時に習った放送禁止用語だらけのわいせつな歌を歌ってくれたことがあるが、とても公に掲載できるような内容ではない。若い海兵隊員たちが冗談で作った歌を自分らの仲間同士で楽しんでいるだけなのに、それをいちいち悪趣味だ、人権迫害だどと騒ぎ立てる方が不粋というものだ。

    戦場へ派遣される特派員はこの程度の最低の予備知識ぐらい勉強していくべきではないのだろうか。どんな一流大学を卒業していようと、どんな記者クラブに所属していようと、戦争のなんたるかも理解できずにどうやって戦場記者が勤まるというのか、もっと謙虚な姿勢で取り組んでほしいものだ。


    June 20, 2006, 現時間 8:58 PM | コメント (2) | トラックバック (0)

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    June 16, 2006

    ハディーサ疑惑: 怪しげな証言続く

    イラク関係

    ハディーサ事件については私はここここに意見を書いてきた。
    今日になって毎日新聞の独自の調査による報道があったので、この記事をちょっと分析してみたい。

    この「<イラク虐殺疑惑>民間人の遺体から米海兵隊装備の銃弾』と題する見出しで始まる記事では:

    ...ハディサ病院のワヒード院長はこのほど、「被害者(民間人)の遺体から海兵隊が装備する銃弾が見つかった」と証言した。毎日新聞の依頼で現地入りしたイラクの「アルシャルキヤ・テレビ」のアフサン記者に語った。また別の医師は、海兵隊が医師らに「かん口令」を敷いていたことを明らかにした。

    ワヒード院長は「米軍とトラブルを起こしたくない」と当初は証言を拒んだ。しかし「これだけは言っておきたい」とした上で、複数の遺体から海兵隊装備のM4カービン銃の銃弾が発見されたと明らかにし、「これは事故ではなく犯罪だ」と強調した。

    米軍は昨年11月、海兵隊車両近くで路肩爆弾が爆発し、海兵隊員1人とイラク人15人が死亡、交戦で武装勢力8人を殺害したと発表した。その後疑惑が表面化し、現在海軍犯罪調査局が調査を続けている。

    米軍発表は武装勢力を殺害したとしているが、民間人の複数の遺体からもM4カービン銃の銃弾が発見されたとの証言は、米軍の虐殺を裏付けるものだ。同院長は米タイム誌に「ほとんどの被害者は至近距離から頭や胸を撃たれていた」と述べている...

    まずこの記事を読んでいて一番最初にしなければならない質問は、この医師の証言がどれだけ信用できるものなのかということだろう。彼はが反米のテロリストの仲間であったり、そうでなくてもおどかされたりして嘘をいっている可能性はないのだろうか?

    次の質問は医者は遺体から取り除いた銃弾はどうしたのだろうかということだ。米軍はこの件について今も調査中だが、このような物的証拠は非常に大切なものだ。調査官にきちんと渡したのだろうか。ジャーナリストたるもの、医者が銃弾をもっているなら、見せてくれと頼んで写真くらいとるべきだが、この記者はそれをしていない。つまり、本当にこの銃弾があったのかどうかさえ確認できないわけだ。

    それからこの医者は銃弾はM4カービン銃だと断定しているが、M4でもM16でも銃弾の型は全く同じ。それをあえてM4と特定する根拠は何なのだろうか。一介の田舎医者にこの銃弾がM16ではなくてM4から発砲されたものだなどということが判断できるのか? 海兵隊がもっているのがM4と知った上で想像でいっているだけなのでは? 

    この記事のなかで一番気になる点は、『民間人の複数の遺体からもM4カービン銃の銃弾が発見されたとの証言は、米軍の虐殺を裏付けるものだ』というところだ。この文章のひとつまえに毎日新聞は『(海兵隊は)交戦で武装勢力8人を殺害したと発表した』と記述している。海兵隊の報告では海兵隊との銃撃戦で犠牲者が出たということは明記されているわけで、この医者が検査した遺体が米兵と銃撃した武装勢力であった可能性は十分にある。また、現場にいた海兵隊員の証言では、武装勢力との交戦で一般市民が巻き添えになったとあり、この遺体は巻き添えになった市民のものであるという可能性もある。つまりこれだけでは毎日新聞が言うような『虐殺を裏付ける』ものとは決していえないのである。

    それから記事のあとのほうで、同病院の医師たちは海兵隊員2人から事件について口止めされたとあるが、その指示をされたという医師たちは匿名だし、指示を出したのが当事者のキロ中隊なのか、別の部隊なのかさえ確認できていない。

    はっきりいって、この毎日新聞の記事には、全く内容がない。ただ単に病院の医師が確認できない証言をしているだけで、物的証拠も状況証拠も全くそろっていないのである。

    これが普通の犯罪取り調べならば、一番簡単で確実なやりかたは、遺体を掘り起こし遺体の何人が爆弾によって殺され何人が銃殺されたのかを確認し、銃殺された遺体の傷口を調べそれが至近距離からうたれたものなのか遠くから流れ弾にあたったものなのか、交戦の巻き添えになったものなのか確認することだ。傷口への角度などからそのような調査は容易にできるはずなのである。

    そして実際に医師が取り出した銃弾が犠牲者の体から出たものなのかどうかDNAで鑑定し、それが本当に海兵隊員が所持する特定のM4から至近距離で発砲されたものであるということが確認できたら、そこで初めて海兵隊員による虐殺が裏付けられるのである。

    そのくらいの常識を毎日新聞が分からないはずがない。にも関わらず疑わしい医師の証言だけをもとにして、米軍兵を有罪扱いする毎日新聞の報道のしかたには強く憤りを感じる。

    June 16, 2006, 現時間 1:18 AM | コメント (1) | トラックバック (5)

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    June 15, 2006

    ザルカウィ退治から得たもの

    イラク関係

    この間のザルカーウィ退治の前から始まったアメリカ軍とイラク軍によるテロリストへの掃討攻撃作戦は凄まじいものがある。

    American and Iraqi forces have carried out 452 raids since last week's killing of terrorist leader Abu Musab al-Zarqawi, and 104 insurgents were killed during those actions, the U.S. military said Thursday. (訳:アメリカ軍は木曜日、アメリカとイラクの連合軍は先週のテロリストリーダーアブムサブ·ザルカーウィ殺害以後452件の手入れを行い、その間に104人の抵抗軍兵が戦死したと発表した。)

    Maj. Gen. William Caldwell, a U.S. military spokesman in Baghdad, said the raids were carried out nationwide and led to the discovery of 28 significant arms caches.
    (アメリカ軍バグダッドにおける米軍報道官のウィリアム·コールドウェル陸軍少将は、掃討はイラク全土に渡って行われ、28か所の武器庫が発見されたと語った。)

    He said 255 of the raids were joint operations, while 143 were carried out by Iraqi forces alone. The raids also resulted in the captures of 759 "anti-Iraqi elements."
    (コールドウェル少将によると、255件は米イラクの合同作戦で、143はイラク軍だけの単独行動だったという。また手入れによって759人の「反イラク勢力」が捕まえられた。)

    ということはここ数日で863人のテロリストが排除されたというわけだ。お手柄だね、イラク軍もアメリカ軍も。

    さてさてこれらの手入れで連合軍が奪った戦利品は武器弾薬だけではない。ザルカーウィが使っていたと思われるコンピューターのサムドライブも押収され、そのなかに非常に貴重な情報がぎっしりつまっていた。(このサムドライブ、ふっ飛ばされたテロリストのポケットに入っていたというから驚く。)

    そこで見つかったある書類によれば、ザルカーウィらは執拗なアメリカ軍による攻撃の標的を他へ移すため、アメリカでテロを行ってイランがやったという「証拠」を残すことでアメリカにイランを攻撃させようなどと企んでいたという。またアメリカがイランと戦争をはじめれば、イラク国内でのシーア派のアメリカとの信頼関係も悪化すると考えたらしい。これはナジャフで、イランの飼い犬サドルが行った反乱からヒントを得ていたようだ。

    バグダッド(CNN) イラク政府の国家安全保障担当顧問、モワファク・ルバイエ氏は15日、記者会見し、テロ組織「イラク・アルカイダ機構」の構成員の潜伏先を複数急襲し、組織のネットワーク、幹部、武器秘匿、会合、作戦実施などに関する情報が含まれた重要なディスク、書類などを押収、「同組織の終焉(しゅうえん)が始まった」との見方を示した。

    コンピューターも押収したとしている。掃討作戦のことを考え、これら重要書類の内容は段階的に公表するとしている。入手した情報を基に、隠れ家などを急襲、同組織のメンバーはいずれも不意打ちをくらっていると述べた。

    同書類のなかには、アメリカ軍によるイラク軍の訓練がどれだけアルカイダに痛手をおわせていたかも綴られているという。つまり、ザルカーウィはイラクのアルカイダの敗北をひしひしを感じ、作戦を変更することによって生きのびようと躍起になっていたというわけだ。ブッシュ大統領が何度もいっていた、この道筋をそのまま突き進むという作戦は非常な効果をあげていたということになる。

    これからもこの戦争は山あり谷だろう。だが長いトンネルの先に少しづつながら希望の光が見えてきた。先日ブッシュ大統領の電撃イラク訪問でブッシュ大統領がいっていたように、アメリカ軍はイラクを見捨てない。はじめたことは最後までやりとおす。テロとの戦いには辛抱強さが必要だ。

    大統領は首脳会談でマリキ首相に対イラク支援継続を表明。首相は「我々はテロリストを打倒する」と述べて、治安の回復と復興への決意を示した。ホワイトハウスによると、大統領の滞在は5時間程度になる見込みで、米軍基地を訪問し、米兵士を激励する。

    June 15, 2006, 現時間 10:40 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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    June 13, 2006

    疑わしきは罰するメディア その2

    イラク関係

    昨日も話たように、どうもこのごろのメディアは事情がはっきりしないうちに、自分らの偏向やニュース価値といったものだけを考えて、事実は二の次で報道する傾向がある。昨日だしたガザの浜辺での出来事にしろ、まだ何かが爆発したというだけで、何が爆発したのかも分からない状態で、イギリス、アメリカ、そして日本などの主流メディアはイスラエルの砲弾によってパレスチナ市民が犠牲になったというテロリスト軍団のハマスのいい分をそのまま報道してしまった。

    ハディーサで起きたと報道された海兵隊員による一般市民の『虐殺』報道も、ことの詳細がだんだんと明らかになるにつれて、米タイム誌の最初の報道(3/19/06)がでっちあげである可能性がかなり強くなってきた。

    最初に誤解のないようにはっきりいっておくが、私はアメリカ軍が戦争中に悪行を絶対に犯さないなどときれいごとをいうつもりはない。イラクに出動したアメリカ兵の数は50万はいるはずで、そのなかに数人不心得者がいたとして全くおかしくない。毎日毎日路肩爆弾で命を脅かされている兵士が、同胞を目の前で殺されて怒り狂ったとしてもそんなに不思議な話ではない。だからもし、本当にアメリカ兵が非戦闘員を虐殺したのであれば極刑に処されるべきであると考える。

    だが、まだ事情がはっきりしないうちから、世界のメディアが確認できない目撃者や、自分なりの思惑のあるジャーナリストのいい分を鵜呑みにして、すでにアメリカ兵たちの有罪を決めつけた報道をしていることに私は憤りを感じるのである。

    最近になってやっと現場にいたことのある人々の間から、報道された内容は疑わしいという意見が聞かれるようになってきた。

    第一海兵連隊第三大隊のリマ中隊のジェームス·キンバー大尉によると、リマ中隊は事件の当事者であるキロ中隊の後任だが、ハディーサ事件については今年の2月に3月19日付けのタイム誌の記事を読むまで知らなかったという。一般市民の虐殺などという話はそれまで毎週行ってきた地元ハディーサ市民との会合でも全く話題にのぼらなかったという。『そんな大事件なら市議会を通じて我々の耳に入ってこないはずはないんですよ。』と大尉は語る。キンバー大尉は別の理由で現在指揮の職を解かれてカリフォルニアのキャンプペンダルトンにて勤務している。

    またこの付近で海兵隊に従軍していた記者のなかからも、海兵隊の虐殺行為は信じられないという声があがっている。ハディーサ事件の数カ月前に海兵隊に従軍していたCNNのアーワ·デイモン記者は2005年に何度も海兵隊に従軍してフセイバーからハディーサまで同行したがビルの屋上で飛んでくる銃弾のため身動きできない時でも、海兵隊員はどこから弾が飛んでくるかわかるまで反撃を控えていたという。

    I saw their horror when they thought that they finally had identified their target, fired a tank round that went through a wall and into a house filled with civilians. They then rushed to help the wounded -- remarkably no one was killed.

    (訳:標的が確認でき戦車から発砲した大砲が壁を突抜けた家のなかに一般市民がいたと知った時の海兵隊員たちの恐怖に満ちた顔を見ました。彼等は急いで駆けつけ、けが人の介護をしました。おどろくことに死者はひとりもでませんでした。)

    I was with them in Husayba as they went house to house in an area where insurgents would booby-trap doors, or lie in wait behind closed doors with an AK-47, basically on suicide missions, just waiting for the Marines to come through and open fire. There were civilians in the city as well, and the Marines were always keenly aware of that fact. How they didn't fire at shadows, not knowing what was waiting in each house, I don't know. But they didn't.

    (訳:私は彼等がフセイバーでドアに仕掛け爆弾が設置されていたり、ドアの影にAK-47をもった抵抗軍が自殺覚悟で海兵隊員が入ってくるのを待ち伏せしているような場所で、海兵隊が家から家へと捜査をするのにも同行しました。市内には一般市民もおり、海兵隊員たちはそのことをしっかり把握していました。各家で何が待っているかも分からない状態だったのに、なぜ動いた影に向かって隊員たちは発砲しなかったのか私には分かりません。でも発砲しなかったのです。)

    デイモンさんはハディーサにも行ったが、ハディーサは路肩爆弾がいたるところに埋められており、彼女がいた時もあちこちで爆発していたという。そして抵抗軍は米軍兵をみると一般市民の間に紛れ込んで潜み、米軍がいなくなるとまた顔をだすということを繰り返していたそうだ。自分が従軍していた時にあれだけ自制心をみせていた海兵隊が、突然数週間後に殺人鬼に変ぼうするとはどうしても思えないのだろう。彼女ははっきりとはそう断言してはいないが、まさか、という気持ちが紙面にありありと現れている。

    もちろんこれらの人々は事件当時その場に居合わせたわけではないから、まさかあの人たちが、という気持ちだけでは彼等を弁護することはできない。それでは当事者であるキロ中隊にいた海兵隊員はなんといっているのだろうか。当然のことながら彼等は虐殺の事実を否定している。

    ワシントン(CNN) 

    米海兵隊員らが昨年11月に西部ハディサでイラク民間人を殺害したとされる疑惑について、当時責任者だったウテリック二等軍曹が民間人殺害はなかったと述べ、海兵隊側に不正行為は一切なかったと主張していることが、11日分かった。

    同軍曹を担当しているプケット弁護士がCNNに語ったところによると、同軍曹は事件があったとされる昨年11月19日、海兵隊員らが交戦規則や標準作戦要領に従って民家を対象に武装勢力の捜索を行っていたと述べた。弁護士は、これまで報じられていない事実もあるとしている。

    この記事には詳しいことは書かれていないのだが、ブケット弁護士がラジオのインタビューで語っていた話によると、当日路肩改良爆弾(IED)によって海兵隊員ひとりと15人の市民が殺された。海兵隊員数名を含むけが人はすぐに避難したが、その後付近の民家から発砲されたため、残った隊員たちが手りゅう弾と小銃を発砲して最初の一軒に押し入ったが、そこにはテロリストはいなかった。隣のうちへテロリストが逃げ込んだ模様だったため、隣の家にも同じようにして入りこんだが結局テロリストは取り逃がした。この時9人の民間人が巻き込まれて死亡した。

    いろいろな報道が入り交じっていて混乱するのだが、私がきいた限り、隠ぺいされたという説の根拠になっているのは、海兵隊の当初の報告書では犠牲者はすべて路肩爆弾の犠牲になったとされているのに、タイム誌の記事で銃殺された遺体があったと報道された後、銃殺された犠牲者もいたという報告が発見され、つじつまをあわせるために二つ目の報告書があわててだされたのではないかという疑いだ。

    しかし、ウテリック二等軍曹はその場で銃撃戦で民間人が犠牲になったという報告を無線で上官したと証言している。これは報告書が路肩爆弾の爆破の直後に避難した一部の海兵隊員と銃撃戦に居合わせた別の退院とが両方で別々の報告書をだしているからで、別に隠ぺいの証拠でも矛盾でもなんでもないというわけだ。

    今の段階で誰のいっていることが正しいのかは分からない。私はタイム誌のでっちあげという説に傾いてはいるが、すべての事実関係がわからないのにそんなことを断言んするのはいくら私が一介のしがないブロガーでも無責任というものだろう。

    ましてや世論に影響をだす主流メディアならそのくらいの常識をもって報道してほしいのだが、それはとてものぞめないようだ。 彼等には真実など興味がない。彼等の目的はひたすらアメリカバッシングなのだから。

    June 13, 2006, 現時間 7:44 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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    June 9, 2006

    ザルカウィの死が意味するもの

    イラク関係

    何年にも渡ってアメリカ軍を悩ませ、イラク人を殺し続けてきたアルカイダのイラク支部の親分であるアブマサーブザルカーウィがついにアメリカ軍の空爆によって死亡した。

    記者会見したケーシー司令官によると、米・イラク軍は7日夕、バクバ北方8キロのディヤラ県ハブハブでザルカウィ容疑者らが潜んでいるとみられる民家を包囲し、同日午後6時15分ごろ空爆。捜索で発見した遺体の一人を指紋照合した結果、ザルカウィ容疑者と確認した。司令官はザルカウィ容疑者のほか7人の遺体を発見したとし、今後の捜索で死者数は増えるとの見方を示した。イラク政府のジバリ外相はAP通信に、今年4月25日に公表されたザルカウィ容疑者のビデオ声明が、潜伏地の特定に役立ったとしている。

    ザルカウィ容疑者は03年のイラク戦争後、駐留米軍への攻撃や自爆テロを実行・扇動し、イラク国内でのイスラム教シーア派とスンニ派の対立もあおってきた。04年に香田証生さんが誘拐・殺害された事件でも犯行声明を出した。

    ザルカーウィといえば、イラク戦争以前からイラクの北部で、アンサーアルイスラムというアルカイダ系のテログループを組織してフセイン政権の御墨付きをもらって近隣諸国でテロ行為をしていた男だ。イラク戦争が始まってからイラクにアルカイダが潜入したという人々がいるが、実はそうではない。イラク戦争以前からイラクとアルカイダとは深い関係にあった。

    ザルカーウィの死を聞いたイラク人たちは町にくりだしてお祭り騒ぎをしていたが、こちらアメリカ国内では、特に民主党が代表する反戦左派の間では、この喜ばしいニュースを過小評価する傾向が見られている。

    ラムスフェルド防衛長官の記者会見で、ある記者がザルカーウィの死は、象徴的なのもので実際にはあまり意味がないのではないかというような質問をしていたのにはあきれた。ザルカーウィはカリスマ的存在でビンラデンなんかよりよっぽども実力のある男だった。諸外国にコネがあり、外国人テロリストの志願者をあつめたり、武器弾薬などの調達、資金繰りなど天才的な指導者だった。彼なくしてイラクのアルカイダがこれまでどおりの行動がとれるとは思えない。

    しかし象徴としてのザルカーウィの価値も、彼の指揮者としての実力以上に大切だったのかもしれない。ビンラデンにしてもそうだが、イスラム過激派のテロ軍団はなにかとイメージにこだわる。ビンラデンも昔からしょっちゅうアルジェジーラなどをとおしてビデオ声明をだしてみたり、最近でも音声テープを発表したりしてい諸外国に散らばるテロリスト士気高揚の努力に余念がない。ザルカーウィの場合はさすがに世代が若いこともあって、インターネットの力をフルに起用してウェッブサイトで首切りビデオを発表したり、最近では自分の勇ましい姿を報道したりして、アルカイダ、イラク支部の実力を誇示していた。

    またザルカーウィの首にには2500万ドルという賞金もかかっており、過去三年間アメリカ軍からの執拗な追跡にも関わらず何度も後一歩という危機を乗り越えながら生き延びてきていた事実もわすれてはならない。彼がアメリカの手からこうやって逃れ続けられたというのも迷信深い過激派テロリストの間ではザルカーウィが神のご加護を受けているからだと信じられていたかもしれない。最近になってザルカーウィが自動小銃を撃っている映像をネットで発表したのも、実際には弱体化しているイラクのアルカイダのイメージを挽回するためだったことに間違いはない。

    それがついにアメリカ軍の爆弾によってあっけなく殺されてしまったのである。しかもアメリカ軍の発表によれば、この攻撃は他の17件の一斉攻撃の一部であったというし、ザルカーウィの居場所も手下の密告により明らかになったなどという発表もあり、象徴的な意味でもザルカーウィの手下どもに与えた打撃は大きいはずである。

    だが無論、ブッシュ大統領も認めている通り、ザルカーウィひとりが死んだからといって、イラクでのテロがこれで終わるわけではない。すでに仕掛けた爆弾はここぞとばかりにどんどん爆破されるだろうし、復讐心で手下どもが暴れまくる可能性はいくらでもある。しかしながら、私は第2第3のザルカーウィはそう簡単には生まれないと考える。

    なぜならばこのような野蛮な集団の頭首は常に下克上を心配しているから、頭のいいリーダーは跡継ぎの任命など総簡単にはしないものだ。特にザルカーウィのような若い男はナンバー2になりそうな者は早い時期に取り除いてしまっていたことだろう。アルカイダ内部にはザルカーウィ亡き後、我こそが首相になるべしと考える幹部格の男たちがうようよいるはずである。ということはイラクの内戦よりもアルカイダイラク支部内部での勢力争いが始まるはずだ。

    スンニ派で今までアルカイダに協力してきたひとたちも、これを機にテロ軍団から手を引き、イラク復興へと道をかえるかもれないし、新政府がスンニ派を防衛省の長官としたことも手伝って、テロリストへの取り締まりも厳しくなることだろう。それに内部争いなども加えれば必然的にイラクのアルカイダは勢力を失うはずである。

    アルカイダ、イラク支部との長い戦いにもやっと希望の兆しがみえてきたといえる。

    June 9, 2006, 現時間 12:06 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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    June 4, 2006

    ハディーサ事件:それぞれの思惑

    イラク関係

    アップデート: 2012年1月24日:2005年11月、イラクのハディーサで24人の一般市民を海兵隊が虐殺したとして8人が殺人や証拠隠蔽の罪に問われていた所謂(いわゆる)ハディーサ裁判。実際に犯罪が起きたという事自体が疑惑とされ、すでに8人の被告中7人までが無罪もしくは起訴棄却で全く罪に問われずに終わっている。最後に残った8人目の被告、フランク・ウーテリック一等兵曹(Staff Sgt.Frank Wuterich)がこの度「職務怠慢」の罪を認めることによりアメリカ軍人に対する最長の裁判の終幕となった。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    ここ数日、去年の11月にイラクのハディーサにて米軍海兵隊員が非戦闘員20余名を虐殺したという疑惑がメディアの間でさかんに取り上げられている。米軍当局はいまだ捜査中だが、私はなにかにつけてアメリカ軍を悪者にしたがるアメリカメディアをはじめ、その尻馬にのって騒ぎ立てる欧州や日本のメディアにはかなり苛立ちを感じている。ことの詳細が全く分からない状態で、すでに主流メディアはアメリカ軍の有罪を決めつけている。疑わしきは罰せずという民主主義の基本はどこへやらである。

    これまで報道された記事によれば、去年の11月ハディサをパトロール中の海兵隊の装甲車が路肩改良爆弾(IED)によって爆破され、海兵隊一人が死亡した。海兵隊の当初の報告ではその他の爆弾によって市民が犠牲になったとあった。しかしその後、タイムマガジンのイラク人記者が24人の犠牲者は爆弾によるものではなく、復讐にもえた海兵隊員によって銃殺されたもので、その証拠として銃殺された遺体のビデオテープがあると報道した。これに加えて米軍の捜査経過の詳細を研究したとして民主党の下院で反ブッシュのマーサ議員があちこちのテレビ局で海兵隊員が一般市民を虐殺した証拠があると発表した。下記はABCがおこなったマーサ議員のインタビューの記事を訳したもの。(翻訳:妹之山商店街さん)

    マーサ議員:IEDが爆発したんです...毎日外に出る度にIEDが爆発するんです...ですから毎回プレッシャーが高まっていく訳です。この場合はIEDが爆発し、海兵隊員一人が死亡。そこにタクシーがやって来て、中には四、五人が乗っていました。武装していなかったのですが、この人達を射殺しました。その後、民家を襲撃して人々が殺害したんです。女性の一人は、海兵隊の人から話を聞いた所、子供をかばって命を助けてくれと懇願したにも関わらず射殺したということです。更に気になるのはイラクの人達はこのことを知っていたということなんです。家族に補償金を支払ったからです。それに加え、隠蔽工作が行われたんです。間違いありません。最初この人達はIEDで死亡したと言ったんです。翌日調査の為に要員が派遣されました。ところがそれについて何の報告も行われず、三月になってタイム誌がこれを伝える時誰も何が起こったのかを知らなかったのです...

    質問:写真や画像証拠があるとのことですが、本当ですか

    マーサ議員:その通りです。捜査を担当した人とイラク側の証拠を入手しました。何が起こったかについては、疑いようがないんです。問題は、誰が、何故、隠蔽工作をしたかということなんです。何故明らかになるのに半年も掛かったんでしょうか翌日調査を行い、ニ、三日後にはこの人達が殺害されたことが分かっていたんです。

    まだ米軍による調査がすんでもいないのに、何が起きたかは間違いないとか、隠ぺいが行われたとか適当なことを良く言えたものだと思う。問題なのはマーサ議員があらゆるニュース番組にはしご出演してこのような発言をしていた時、マーサ議員はまだ軍当局から捜査結果の報告を受けていなかったということだ。マーサ議員はタイムスの記事を書いたイラク記者の報道をそのまま鵜呑みにして事実確認もせずに米海兵隊を有罪と決めつけ軍当局が隠ぺいしたと言い切っているのである。

    ところでこの問題の記事を書き、生存者のビデオインタビューをし、証拠となる遺体のビデオを撮ったというこのアリマシハダニ記者というのがどうもうさん臭い男なのだ。このアリマシハダニ記者は(Ali Omar Abrahem al-Mashhadani)はついこの間までテロリズムの疑いで五か月もアルグレーブ留置所に拘留されており、この1月に釈放されたばかりだった。彼が無実なのに拘留されていたのだとしたら、アメリカ軍に恨みがあるだろうし、有罪だったのならテロリストの仲間としてアメリカ軍を陥れるような記事を書いたとしても不思議ではない。どちらにしても彼のなかに何かしら作為があった可能性は大きい。

    しかも人権擁護団体名目で売り出しているハムラビという市民団体の創設者とこの記者は同じ名字でもある。このハムラビこそがハディーサで虐殺があったと最初に訴えはじめた団体なのだ。どうも偶然にしては不思議な話。

    またハディーサで犠牲者の遺体を検査したというオベイディ医師だが、(Dr. Walid Al-Obeidi)これまでにも自分が去年の10月に米軍に捕われて拷問を受けたと訴えた過去がある。実際に米軍に拷問を受けたとすれば米軍に恨みがあるだろうし、受けていないのにでたらめをいっていたとしたら、でたらめをいう前科のある医師だということになる。 (資料:Sweetness and Light)

    つまり、この話をはじめた記者にしろ、証言者としての医師にしろ、その話を根拠もないのにひろめているマーサ議員にしろ、どうも信用できない解説者ばかりなのである。このような頼りない事実をもとにして、海兵隊員を有罪と決めつけてしまうのはどうも早まり過ぎではないだろうか。

    もし本当に海兵隊員がこのような非人道的な行為をしたというのであれば、彼等は軍法会議の末極刑に処せられるべきである。しかし事実関係がはっきりするまでは、有罪無罪の判断をするのはまだ控えるべきである。だが、マーサ議員が隠ぺいがあったといいきってしまった以上、今後の捜査で海兵隊員が無実だったという結果がでても、隠ぺいの疑惑は根深く人々の気持ちに植え付けられてしまったことだろう。マーサ議員はアメリカの対イラク戦争をどうしても失敗させたいようだ。

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    June 4, 2006, 現時間 7:20 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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