August 26, 2007

イラク新作戦はうまくいっている! イラク帰還兵が7人の駐留兵に反論

前回に紹介した空挺隊82部隊7人のイラク状況に関するコラムに対して、以前にも紹介したVets for Freedomの7人が反論しているので、今日はそれを紹介しよう。

お互いイラク戦地で危険な任務を体験した兵士同士、VFFの7人は空挺隊の7人に対して非常な敬意を示しながらも、彼等の考えは間違っているという。82部隊はまだ二か月しかたっていないCOIN作戦の効果を目の当たりにしていない。82部隊の7人が新作戦がうまくいっているように感じない理由は、彼等の駐留している場所では、まだ新作戦が起用される以前のバグダッドの状態が続いているからなのだとVFFの7人は語る。

82部隊が勤務している場所はイラク国内でもAdihamiyah と Sadr Cityという非常に危険といわれている場所である。この二つの地域はアルカエダとマフディの最悪の人間が集まっている場所であり、まだ始まって二か月しかたっていないCOIN作戦の効果が現れていないというのが現実だ。現在アメリカ軍とイラク軍はバグダッド南部の掃蕩に当たっており、それが済み次第82部隊のいる北側に目を向ける予定である。

これらの兵士らが体験した宗派間争いや無法状態や無差別殺人といったことはむろん正確で正直な状況表現ですが、これはどちらかと言えば増派前のバグダッドの状態といえます。

しかしイラクの他の地域やバグダッドの大半ですらも、もうこのような危険な状況ではなくなってきているとVFFの7人は言う。アメリカの増派は首都の周りから始まり自爆テロや自動車爆弾の犯人たちの温床を潰した。その結果、市民へのアルカエダによる攻撃は5割も減り、この六か月で最低の数となった。

アンバー地区の例をとって見てみましょう。2006年にはアルカエダがラマディの首都を占拠し海兵隊の諜報員は地区は事実上負けたと宣言しました。漏えいした海兵隊の報告書によれば、「西アンバー地区を安定させる希望は非常に暗く、米軍は政治的にも社会的にも状況を好転させられる希望は全くもてない。」とありました。

しかし今日、ラマディは平和となり、アンバーはもはやアルカエダの温床地ではありません。ラマディーとアンバーの部族はアメリカ軍によって治安安定が向上したことから、政治的な和解と安定によって目をさましつつあります。アメリカはラマディを掃蕩しただけでなく、65か所を占拠し保持しているのです。

ここで以前にも紹介した対反乱分子作戦、COINの原則を思い出してみよう。

  1. 兵を一地区に集中させること。テロリストは自動車爆弾などを使って少人数で大規模なダメージを起こすことができるが、政府軍は大人数の軍隊を使っても広範囲に散らばっていてはとてもとても市民ひとりひとりを監視することなどできない。そこでガルーラは守る地域を、白、ピンク、赤という地区に分けた。白とは政府の統括下にある地域、ピンクはゲリラと政府が競争している地域、赤は完全にゲリラが制覇している地域。対反乱作戦を成功させる鍵は、ピンクを白に、赤をピンクへと、一区画づつ地道に変えていくことにかかっている。
  2. 継続的で目立つ軍事的防御体制。地元市民が常に安心してたよりにできる民間および軍事的な施設の存在は反乱軍を牽制し地元民の信用を得るための必要不可欠な要素である。正規軍が常に監視に目をひからせパトロールを継続させゲリラの潜入を絶対に容認しない。テロリストは厳しく処罰し、市民の協力を報酬などを使って奨励する。これによって地域は安定を保つことができるようになる。
  3. 勝利は確実と市民に確信させること。地元の人々は政府と政府軍が結果的には勝つと確信しなければならない。そのためには地元軍の存在は必要不可欠である。なぜなら駐留軍がいなくなった後でもこの平和は継続される、生活の基盤は崩れないという信頼感がなければ市民は安心して政府に協力などできないからだ。

このなかでも2)と3)は地元の市民たちからアメリカ軍への協力を得るのに必要不可欠な条件だ。VFFの7人はスンニ部族たちがアルカエダにようやく立ち向かう決心んをしたのも、この状況が起きているからだと主張する。そしてこの状況はアンバー地区をこえてディヤラやバビル地方にも広がっているという。

第82空挺隊のメンバーはイラク人が「我々に必要なのはただ飯ではなく安全だ」と語ったと書いています。まさしくその通りです。そしてアメリカ軍やイラク軍が今していることはまさにそれなのです。この戦争において初めてイラクの地元レベルで反乱分子を追い出し継続的な治安維持を提供しているのです。

VFFの7人も空挺隊の7人と同じようにイラク政府の進展には不満を抱いている。そしてイラクでの政治が進展するのもイラク国内の武力紛争の解決があってのことだと言う点では空挺隊と全く同意見だ。

私たちは同胞兵士らの不満は非常によく理解できます。我々は皆、治安維持を基盤とした分かりやすい対反乱分子作戦が取られる「増派」前のイラクを経験しています。...

しかし私たちはほんの僅かでも対反乱分子作戦が起用されただけで何が可能となるかも知っています。敵は暴露され指導者たちが立ち上がり安定が訪れるのです。デイビッド・ペトラエウス将軍とライアン・クローカー大使は対反乱分子作戦の基本をよく理解し起用しています。...第82空挺隊がまだこの新作戦の恩恵を授かっていないのは残念です。しかし彼等の任務がこれを実現させ戦闘に散った同胞の死は決して無駄にはなりません。

第82空挺隊の戦火における勇気に拍手をおくり、彼等の国家への忠誠心に感謝の念をあらわしたいと思います。同時に負傷した著者の一人の早期回復をお祈り申し上げます。

先の欄を書いた空挺隊のメンバーに将校はいない。そして今回の記事を書いたVFFのメンバーは皆将校の位だ。現場で一番危険な目にあわされるグランツと呼ばれる下士官以下の位にいる兵士らと将校とでは同じ戦争をやっていても見方が違う。これは兵はいわれた通りのことをするだけだが、将校は全体的な作戦を考える立場にあるからだ。兵にはどうして自分らが特定の任務についているのかはっきりわからないことが多い。特に自分らの身に危険が及ぶ場合には実際に自分らのやっていることに価値があるのかどうか疑わしくなっても当然だろう。

危険なのは自分らのいる場所だけを見て、戦地全体がそうであると解釈してしまう点だ。これは私がイラク人のブロガーの書いていることを読んでいても感じることなのだが、イラク全体の状況を知るにはかえって一歩下がった場所にいた方がわかるといった場合も多々あるのである。

ところでVFFの反論は最初、空挺隊の意見を掲載したニューヨークタイムスに投書されたが、ニューヨークタイムスは掲載を拒否したためウィークリースタンダードが掲載した。反戦派に都合のいい兵士の意見は聞くが、戦争を支持する帰還兵の意見は無視というのはアメリカ主流メディアにはありがちなダブルスタンダードである。

August 26, 2007, 現時間 5:20 PM

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