日付け → →May 29, 2008

カナダ:マーク・スタインの人権擁護裁判始まる

このブログではカナダやイギリスで起きている人権擁護法による人権迫害についてずっと追ってきているが、来週からカナダのジャーナリストで作家のマーク・スタインの「ヘイトスピーチ」裁判が始まる。

ヘイトスピーチとは要するに「悪意を持って相手を侮辱する発言」のことである。私は自由社会においては、偽りで相手を陥れ、相手の名誉を激しく毀損するような発言以外は許されるべきだと主張してきた。単に相手の気持ちを傷つけたという程度のことでいちいち訴えられていたのでは言論の自由など保つことは出来ない。

この裁判を直前にしてスタインがバンクーバーのフレージャーインスティトゥートで行った演説をベルモント・クラブが掲載している。スタインは冒頭の挨拶で、彼がカナダの人権擁護審議会に訴えられたことを知ったのは、アメリカのラリー・クレイグ議員がミネアポリス空港の男子トイレで隣の個室の男性に合図をしたとして話題になっている時だったと語り、その後クレイグ議員の弁護士が議員のジェスチャーはアメリカの言論の自由で保証されていると弁護したのを聞いて、「なんてすばらしい国なんだ」と思ったという。

カナダでは、カナダイスラミック議会は「言論の自由」私の著書や新聞のコラムには保証されないという。しかしアメリカではクレイグ議員の便所でのしぐさは憲法補足法第一条によって守られているという。今後は過激派イスラム教徒のことを書く代わりに、公衆トイレでイマームを誘惑するだけにしようと思う。

裁判の背景は詳しくこのエントリーで説明しているが、簡単に説明すると、このブログでも紹介した「アメリカアローン」という著書の中で、スタインはカナダや欧州において地元市民の少子化が進む中、イスラム教移民による人口増加は変わらないので、いずれ北アメリカや欧州はイスラム教徒に人口でも文化でも乗っ取られてしまうだろう。その波にただひとり立ち向かっているのがアメリカだと書いた。

この内容にスタインと出版社のマクリーン社に対し、「あからさまなイスラム恐怖症」だといちゃもんをつけたのがカナダのイスラム議会。ブリティッシュコロンビアの人権擁護審議会はこの苦情を取り上げて、スタイン及びマクリーン社を「侮辱罪」で訴えているというわけだ。

ベルモントクラブのレチャードも指摘しているが、過激派イスラム教徒がイスラム教徒以外の人間に対してなにかといちゃもんをつけるのは何も今にはじまったことではない。彼らが大騒ぎするたびに相手はへいこらして謝る状況続いている以上、彼らが苦情を申し立てるのは当たり前だろう。

コメンターのマニーさんも日本の映画会社や出版社がイスラム過激派の言いがかりに屈した例を紹介してくれている。

日本の人気アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」の中に、悪役がイスラム教の聖典コーランを読みながら主人公らの殺害を命じる場面があり、アラビア語圏のウェブサイトで批判が高まっていることが21日分かった。原作コミックスの出版元でアニメ製作も主導した集英社(東京)は同日までに、問題のアニメのDVDや原作コミックスの一部を出荷停止とする方針を固めた。

中東では「コーランを読めば悪者になるという趣旨か。イスラムへの攻撃だ」などとの書き込みが300以上のサイトに広がっており、イスラム教スンニ派教学の最高権威機関アズハルの宗教勧告委員長アトラシュ師は「イスラム教に対する侮辱で受け入れられない」と非難した。

アレキサンダー・デュマの「三銃士」では、最大の悪役はフランスカトリック教会の最大権力者ラシュルー枢機卿だが、それでも出版当時にカトリック国のフランス人が小説に抗議して暴動を起こしたという歴史的事実はない。それどころか当時のフランスでこの小説はベストセラーになっていた。

東洋の映画や小説でも生臭坊主や悪役の仏教徒などいくらでも出てくるが、それに抗議して世界中で暴動になるなんてことは聞いたことも無い。なんでイスラム教徒だけは、こうユーモアのセンスがないのかねえ。

しかし問題なのは被害妄想のイスラム教徒の理不尽な苦情ではなく、それを取り上げたカナダの人権擁護審議会の方である。この裁判は人権擁護法が考慮されている日本としては決して他人事ではない。

カナダや欧州で起きているのはイラクやアフガニスタンで起きているような熱い戦争ではなく、言ってみれば冷たい戦争だとスタインは言う。この戦争では旅客機がミサイルとしてビルに突っ込むこともなければ、自爆テロや路肩改良爆弾も爆破しないかもしれない。だが明らかに我々の自由を脅かす恐ろしい敵との戦いだ。

我々の敵は多様文化主義だの人権擁護だの男女共同参画だの四角だの色々な名前で呼ばれているが、皆同じ穴の狢だ。この敵はリベラルファシズムという独裁主義である。彼らは手を変え品を変え日がな夜がな、我々の自由を奪おうと戦いを挑んでくる。ここで負けたら自由社会はおしまいだ。

我々は断じてこの敵と戦わねばならない。

人権擁護法絶対反対!

May 29, 2008, 現時間 6:28 PM | コメント (2) | トラックバック (1)

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ホワイトハウス元報道官の裏切り暴露本にみる主流メディアの二重基準

先日私は元国防次官のダグラス・ファイス氏著のイラク戦争前夜において、ブッシュ政権は戦争をするにあたり緻密な事前計画を立てていたという回顧録が主流メディアからそっぽを向かれているという話をした。メディアが氏の著書を取り上げない口実は特にニュース性がないからだ、ということになっているが、その際に、もしもこれがブッシュが無計画に戦争に突き進んだというような批判の回顧録なら主流メディアは競争で話題に取り上げるだろうとも書いたが、まさにその通りだった。

昨日ブッシュ米大統領の元報道官のスコット・マクレラン氏がブッシュ批判の暴露本を出版したが、もうすでにそのことが日本のメディアも含め、あちこちで取り上げている。

【ワシントン28日AFP=時事】当地の報道によると、ブッシュ米大統領の元報道官のスコット・マクレラン氏が、同大統領をコースを大きくそれて必要のないイラク戦争に突進していったなどと厳しく批判する書物を著した。

 27日発売の政治誌「ポリティカ」に掲載された新著の抜粋によると、かつてブッシュ大統領の側近だった同氏は、2005年のハリケーン、カトリーナの襲来の際のホワイトハウスの無様な対応も非難し、最初の1週間のほとんどを「ステート・オブ・ディナイアル」(都合の悪いことに目をつむる)状態で過ごしたと述べている。

 マクレラン氏はまた、「我が国の歴史上で最悪の災厄の一つが、ブッシュ政権の最大の災厄の一つとなった」と書き、ブッシュ大統領はイラクに対して率直で偏見のない気持ちを持たず、計画や事後の準備が不十分なままに戦争に向かって突き進んだと批判している。(強調はカカシ)

こんな話は当時からアメリカメディアが嫌というほど報道したもので、今更騒ぐほどの『ニュース性』があるとは思えない。それをアメリカの左巻き主流メディアがこぞって取り上げるのは、この著書の内容が自分たちの偏見を確認する内容であるからに他ならない。ニュース性や事実などとは完全に無関係なのだ。主流メディアの恥知らずなダブルスタンダード(二重基準)が丸見えである。

マクレラン氏の著書には特に新しい証拠があるわけではなく、イラク戦争にしても、ハリケーンカトリーナにしても、そしてCIA職員の身元漏洩とカール・ローブの件にしても、すべて左巻きメディアやブロガー達が書き綴った嘘八百を何の根拠もなく繰り返しているに過ぎないのだ。

マクレランは非常に無能な報道官であったため、短期ですぐに首になった。そのことを未だに逆恨みしているのか、でなければオバマが大統領になった暁にはオバマの報道官として雇ってもらおうと自己ピーアールをしているのか、なんにしても氏の動機はうさんくさい。

May 29, 2008, 現時間 7:35 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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日付け → →May 26, 2008

共産主義と戦うインディアナ・ジョーンズ最新作

日本では6月21日にロードショー開始のインディ・ジョーンズ、クリスタル・スカルの王国を一足先に観てきたので、本日はそのお話から。

なぜ日本では主人公のヘンリー(ハリソン・フォード)をインディアナと言わずにインディと呼ぶのかわからないが、まあもう1981年に公開されたレイダース/失われたアーク(聖櫃)の時からそう呼んでいるのだから今更変えるのも不自然だろう。

今回の最新作はオリジナルの1930年代のナチス台頭の時代から20年後の冷戦中の1957年が舞台となっている。それで必然的に悪役もナチスドイツから共産主義者へと変わった。ハリウッド映画がソ連共産党と戦うのは久しぶりではないかな。

スターリン主義の悪役イリーナはロード・オブ・ザ・リングスで年齢不詳のガラドリエルを演じたケイト・ブランシェット。彼女自身も年齢不詳の冷たい美しさを見せているが、黒いボブカットの髪型や不自然なアクセントは、冷戦時代から使われてきたソ連スパイのステレオタイプそのもので、ちょっと滑稽な感じがする。

もっともインディ・ジョーンズの特徴はまじめぶらないところにあるので、こういうステレオタイプも決して場違いではない。なにしろ映画の最初のシーンは、穴から顔を出したモグラが、走ってくるジープに驚いて穴に引っ込むというもので、これからして、この映画全体の音程が察知できるというもの。

このジープの列はテキサスの砂漠で行われている原爆実験現場を通っているのだがこの冒険についてあんまり書くとネタバレなので、共産党スパイによって売り渡されたインディ・ジョーンズは奇跡的に原爆実験現場から命からがら逃げおおすとだけ書いておこう。(はじまりでインディが死んじゃおしまいだから当たり前だが、、)

しかし、当時はアメリカ政府や大学にソ連スパイがはびこっていたため、かなり神経質になっていたCIAは、ヘンリーがトップシークレットの実験現場に何故居たのか、ヘンリーが教授を勤める大学にまで取り調べに来る。これを理由に大学側はジョーンズ教授を解雇。それに抗議した学長(ジム・ブロードベント)も辞任する。

大学から出て行くために荷造りを始めるヘンリーに学長は「最近わしはこの国が理解できんよ。誰も彼も共産党のスパイ扱いで、被害妄想にかられている。」という。しかしこの台詞ははっきりいってストーリー展開から矛盾している。

この映画の最大の悪者は共産主義者であり、しかも冒頭シーンでインディは共産党スパイにひどい目にあわされるのである。そのことを学長はよく知っているのだ。だから政府や大学が共産党スパイに神経質なのはあたりまえ。被害妄想でもなんでもない。

スピルバーグ監督は有名なリベラルではあるが、リベラル=共産主義ではない。だから共産主義者が悪者でも問題はないはず。この台詞は不自然で場違いなので、多分元のシナリオにはなく、後から左巻きの脚本家が挿入したのだろう。

もちろん共産主義者を相手にしているとはいっても、インディ・ジョーンズのことだからそれほど政治色が濃い訳ではない。映画の本題は政治的な紛争ではなく、インディが巻き込まれる不思議な冒険にある。

大学を首になったヘンリーは、若き日のマーロン・ブランドを思わせる革ジャンを着てハーリーデイビッドソンを乗り回すマット・ウィリアムス(シャイア・ラブーフ)に出会う。マットと彼の母親は、ヘンリーの親友で考古学者のオクスリー教授(ジョン・ハート)に世話になったものだという。マットは南米にいる自分の母親から手紙で、オクスリー教授が行方不明になったので、ヘンリーに助けを求めるように言われたのだという。

実はオクスリー教授が発見したのはクリスタル・スカルという頭蓋骨で、何世紀も前に墓から盗まれたものだった。この頭蓋骨を元の墓に返したものには偉大なる力が与えられると伝えられている。問題は誰もこの墓が南米のどこかにあるという以外には確かな場所を知らないということである。

そこでインディ・ジョーンズはマット青年と一緒に先ずはオクスリー教授の行方を探し求め、ひいてはクリスタル・スカルを元の墓に戻すという冒険を始めるのであった。

無論ソ連のスパイ達に後を追われているので、南米のジャングルでは手に汗逃げる追跡格闘シーンはあり、小舟に乗って逃げるシーンではナイアガラの滝さながらの滝に落ちたりもする。遺跡ではレイダースの冒頭のようなからくりのある建物を走るまくるシーンもあって、インディならではの冒険が楽しめる。

ハリソン・フォードは60歳を超すと思われるが、どうしてどうして、まだまだ格好いい。二作目で父親を演じたショーン・コネリーも格好よかったが、フォードの渋みのきいた、それでいてコメディータイミングを失わないおちゃめな点も魅力的である。

若い観客のために二枚目青年俳優ラルーフを起用したのは解るが、カカシが中年だからなのかもしれないが、やはりラルーフではフォードの魅力にはかなわない。もっともラルーフのマットも最初はヘンリーが年寄りだと思って馬鹿にしているが、悪者との格闘でヘンリーが非常にタフであることを知って感心する。ここでスピルバーグが特に胸焼けするような青年と中年男の友情など表現しないでくれるので観客としては非常に助かる。

第一作目でヘンリーの恋人マリオン・レイヴンウッド(カレン・アレン)がマットの母親として登場するが、一作目ほどの存在感はない。ま、カカシの他人のことは言えないが女性は27年も経ってしまうと腰回りが気になるな。

ところで、ミスター苺が「インディ・ジョーンズは共和党支持だったんだな」と言うので、「え、なんで?」と聴いたら、イリーナに銃を向けられ「最後に言いたことはあるか?」と聞かれたときに、「俺はアイクが好きだ」と答えたからだという。アイクとは時の共和党の大統領候補指名のドワイト・アイゼンハワーのことだ。若いひとのどのくらいがこの台詞の意味を理解できたのか興味深い。

May 26, 2008, 現時間 8:22 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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日付け → →May 25, 2008

同性結婚は文明社会を破壊する、その2

以前に私は同性結婚は文明社会を破壊するというエントリーで、同性結婚を合法にしたスカンジナビア諸国で、結婚制度そのものが崩壊状態にあるという事実を紹介したことがあるが、今回はさらにもっと詳しい調査をミスター苺がしてくれたので、それを紹介しよう。

ヨーロッパ諸国ではすでに結婚する人々の数が激減している。同性結婚が合法であるベルギーやオランダだけでなく、結婚の宗教的価値を往々に見放してきているヨーロッパ全体にこの傾向が強い。結婚の価値が見下されれば結婚そのものの数が減るというわけである。結婚する人の数が減るにつれ、すでに深刻な少子化問題を抱えていたヨーロッパでは出産率の低下は進む一方である。

CBSの調査では、オランダの場合1995年から200年にかけて結婚率はゆっくりではあるが上がりつつあった。しかし同性結婚の合法化運動が置き始めた2000年から実際に合法化された2001年の中頃から上がりつつあった結婚率は急激なUターンをし、その数は急降下してしまった。2005年になると結婚率が最低だった第二次世界大戦当時同率まで落ちてしまったのである。

もうひとつのCBSの表を見てみると、1995年から2000年までは一年間で結婚した人の数は1000人のうち平均5.5人だった。しかし2001年からその数は減り始め、2006年には4.4人というなんと20%の減少となった。

その間の出産率(一人の女性が一生のうちに生んだ子供数)は多少増加し1.53人から1.73人となった。しかしこの増加はすべてモロッコやトルコ生まれのイスラム教徒の移民の女性のおかげである。オランダ生まれのオランダ女性の出産率は2000年から2005年まで、1.7人と全く変化がなく、人口維持に必要な2.1人を大幅に下回る。

無論ヨーロッパに置ける結婚率や出産率の低下をすべて同性結婚のせいにするわけにはいかない。同性結婚をみとめていないフランスでもこの傾向はあるからだ。

しかしヨーロッパ全体で結婚率が減っている理由として次のことが上げられる。

  • どちらの落ち度も問われない、簡単な離婚法
  • 神前結婚を拒絶し世俗式結婚をするカップルが増えていること
  • 同棲や婚外出産への大幅な許容
  • より左翼的社会主義的政府による伝統的な宗教や道徳観の迫害
  • ヨーロッパ全土でおきている一般的な宗教拒絶の姿勢

つまりヨーロッパ人は伝統的な道徳観の大事さを忘れつつあるので結婚が特別な制度であるという考えも失いつつあるのである。だから結婚の定義に同性を含むことに何の抵抗もなくなってしまったというわけだ。

喜ばしいことに、いまのところアメリカではまだ結婚率も出産率も減少の傾向はない。ロサンゼルス・タイムスの世論調査によると、この間州最高裁で同性結婚を一夫一婦制のみに認めるという法律を違憲という判定が出たカリフォルニアは、州民の過半数が同性結婚合法化を阻止するための憲法改正案を支持していると発表している。カリフォルニアはアメリカ国内でも非常にリベラルな州で、州民のほとんどが同性愛そのものには特に問題がないと考えている。そのカリフォルニア州民ですら同性結婚を拒絶しているくらいだから、近い将来アメリカ全土でそのような法律が通るなどということは先ず考えられない。

同性結婚を認める法律が存在しているのは、アメリカではマサチューセッツだけだが、これも決してマサチューセッツ州民が選挙で決めたことではなく、マサチューセッツの法廷が勝手に決めたことなのだ。マサチューセッツの民主党議会はこの問題を市民に問いかけることを徹底的に拒絶している。それは州民投票を行えば州民が同性結婚を拒絶すると知っているからに違いない。

しかしヨーロッパでは、イスラム教移民による横暴のバックラッシからなのか、最近カトリック教が再び人気を挽回しつつある。トーマス・野田神父のサイトでフランスへの巡礼の模様が報告されている。ヨーロッパ中から集まった若いひとたちの姿が多いのは喜ばしいことだ。ヨーロッパ崩壊を防ぐためにも、ぜひともヨーロッパの人々に結婚の大事さをもう一度見直してもらいたいものだ。

May 25, 2008, 現時間 9:32 PM | コメント (1) | トラックバック (1)

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存在していたイラク戦後処理作戦

2001年から2005年にかけて、ブッシュ政権の副防衛長官を勤めていたダグラス・フェイス氏が最近イラク戦争についての回顧録War and Decision(戦争と決断)を発表し、意外な事実を紹介している。

それは2003年の5月にブッシュ大統領が「主な戦闘は終わった。」と宣言した後のイラクの戦後処理作戦は詳細に渡って準備されていたというものだ。我々は戦後のテロリストの台頭やスンニ派による抵抗運動でアメリカ軍が長年苦戦したことから、ブッシュ大統領は戦後処理を全く考えずに何の計画もないまま浅はかに戦争に突入したような印象を持たされてきたが、実はそうではなかったというのである。

事実この回顧録についてインタビューをした記者たちも、皆フェイス氏の話に驚いたと語ったという。例えば、ブッシュ大統領は何が何でも戦争をやると最初から決めていて反戦の意見を聞こうとしなかったなどということは全くなかったという。事実はその反対で戦争をすることによる悪影響を深く追求した分析報告をしたのは誰あろうラムスフェルド防衛長官だったというのである。一般に穏健派で用心深いと言われていたコーリン・パウエル国務長官ではなかったというのだ。

私はまだ読んでいないのだが、著者自らがパワーラインで著書を紹介しているので本日はそれを紹介したいと思う。

ところで、余談だが、この本はイラク戦争に開戦までブッシュ政権がどのような決断をしたのかという過程が詳細によって綴られているというのに、アメリカの主流メディアはこぞって評論記事を載せることを拒絶している。彼らの言い訳は特に評論に値するようなニュース性がないからだ、というものだが、もしもこの著書の内容がブッシュ大統領があらゆる専門家アドバイスを無視して考えもなしにカウボーイ精神で安易に戦争を始めていた、などという内容だったら、どのメディアも競争で取り上げたに違いない。

イラクからの悪いニュースは毎日毎日第一面で報道しておきながら、イラク情勢が良くなってくると、イラクからのニュースはハタっと止まってしまった。サドルシティでのイラク軍の大成功すら過小評価して嫌々報道している。

11月の総選挙でも戦争が大事な要素になると大騒ぎをしていたメディアだが、今や戦争が起きてることすら信じられないほど、新聞の紙面はガソリンの値上がりや不動産のサブプライムローンの話ばかりで埋め尽くされている。戦争がうまくいっていないことがニュースだったなら、うまくいってきたらそれもニュースではないのか?

それはともかく、著者による著書紹介に話を戻そう。

防衛庁の民間職員たちがサダム政権崩壊後のイラク復興計画を全く建てていなかったという批判は正しくないと著者は語る。著者は国務庁の計画を防衛庁が拒否して破棄したという説がいかにまちがっているか、ラムスフェルドやアドバイザーたちが亡命中のアクメッド・チャラビに惑わされてチャラビをイラクの指導者として任命したなどという考えも完全に間違いだったことを著書のなかで説明している。

著書ではこれまで秘密にされていた、ラムスフェルド、パウエル、ライス、テネット、マイヤー将軍、チェイニー副大統領、そして大統領らが交換した書類から広域にわたって引用が掲載されている。著書のなかで数々の会議の様子が再現されているが、これは事後のインタビューなどで、当事者が都合良く覚えていた話をしてもらったものではなく、情勢進行中に会議に出席していた著者自らが記録にとっていたものをもとにしている。

著書において取り上げられている主なトピックとして著者は、911直後に対テロ戦争作戦がどのように立てられたかその経過を述べている。これは単に911の犯人を罰するのもならず、今後このようなテロを未然に防ぐためにどうすべきかが考慮された。

政権がサダム政権崩壊後に犯した多くの間違いや計算違いにも関わらず、911事件以後6年半のうちあのようなテロ攻撃が一度も起きていないということは、上記の作戦に多いに関係があるものと考える。

また、なぜイラク戦争をしたのかについて、著者は大統領を始め幹部の役人達がどのように理由付けをしたのか、なぜイラクが問題だったのか、我々はフセインが911に直接責任があったとは考えていなかったことなどを述べる。

またフェイス氏は著書のなかで、戦前の諜報についての問題点について、防衛庁とCIAとの対立は、実際にイラクとアルカエダが関係があったかどうかとか、CIAの情報が正確かどうかということではなく、防衛庁によるCIAの行き過ぎた政治活動への批判だったことなどを説明する。

そしてもちろん、この著書の一番重要な部分は、実際にサダム亡き後のイラク復興政策がどのようなものであったか、実際にきちんとした計画が立てられていた事実について詳細に渡って説明しているという点だ。

フェイス氏はイラク復興の計画は防衛庁がきちんと建てていたのに、それを遅らせたり変更させたりしたのは、国務庁のパウエル長官やアーミテージ副長官のほうだったのだと主張する。アメリカによる統治機関を短縮するためイラク政権になるべく早期に主権を移譲することなど、きちんと立てられていた計画を台無しにしたのは国務長のポール・ブレマーだったと言う。考えてみればイラク軍を解散してしまったのもブレマー氏の考えだった。

カカシはフェイス氏のラジオインタビューを聴いたが、非常に聞き苦しいのは、イラク戦争というアメリカにとっての大事な局面を迎えながら、アメリカ政権の内部では、防衛庁、国務省、中央諜報機関(CIA)による勢力争いが繰り広げられていたという点だ。お互いが自分らのメンツを最優先させて、どういう方法がイラク戦争と戦後の復興に一番良い方法であるのかという大事な点が二の次にされてしまったことは非常に残念だ。

無論フェイス氏は防衛庁の人間であるから、防衛庁はきちんとやろうとしていたのに、国務庁やCIAから邪魔されたと言いたいのは当たり前だろう。だからフェイス氏の言っていることを100%鵜呑みには出来ない。だが、大量破壊兵器発見の事実にしてもCIAはどれだけWMDであると確認できるものが発見されても、それをWMDであると認めたがらなかった事実や、戦争前はあれだけイラクとアルカエダの関係を主張しておきながら、いざブッシュ政権が戦争に踏み込むと、突然関係は無かったと言い出したり、国家機密を漏洩したりしてブッシュ政権に何かと逆らった事実を考慮に入れると、フェイス氏の言っていることはまんざら嘘ではないと思えるのである。

パウエル国務長官とラムスフェルド防衛長官が意見が合わなかったのはよく知られていることではあるが、ラムスフェルドの方がパウエルよりも用心深かったという事実は読者の皆様には意外なのではないだろうか。私は当時からの様子をかなり詳しく追ってきているので、ラムスフェルドの用心深さについては多少の知識があったからつもりだが、この事実は非常に興味深い。

ブッシュ大統領の一番の欠点は主流メディアが意図的に流した間違った情報を但ちに正そうとしなかったこと。CIAや国務省がなにかとブッシュ政権の政策を阻止しようとしたことにういて徹底的に抗議し制裁しなかったことだ。イラクでいくらも発見されたWMDについて、CIAの判断は間違っていると主張せずに、ブッシュ大統領は正しいと信じていたイラク戦争支持者を落胆さえたことだ。いくらブッシュ政権の政策が正しいと信じていた支持者でもブッシュ自身が弁護できない立場をいつまでも我々だけで弁護していくのは難しい。どこかでブッシュが後押しをしてくれなければ我々はどうすればいいのだ?

フェイス氏の著書が主流メディアのどこでも評論として取り上げないことでもわかるように、アメリカ左巻きメディアは徹底的に共和党政権を敵にまわしている。マケインはブッシュのこの間違いから学んで、徹底的に主流メディアの情報操作と立ち向かってほしいものだ。

May 25, 2008, 現時間 3:32 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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日付け → →May 24, 2008

失言を今更引っ込められず苦悩するバラク・オバマ

この間のブッシュ大統領のあてつけ演説以来、バラク・オバマの譲歩政策が何かと取り沙汰されている。主流メディアはブッシュが名指しでオバマを批判した訳でもないのに、こぞってブッシュがイスラエル建国60周年の場を悪用して汚い政治活動をしたと批判的だ。

しかしこの間も書いたように、オバマにしても主流メディアにしても、ブッシュの演説がオバマへの当てつけだと大騒ぎしたことがかえって逆効果となっている。何故ならこれまでオバマの譲歩外交政策などほとんど知らなかった有権者までが突然オバマの外交政策に興味をもってしまったからだ。

オバマは今年2月の民主党討論会で司会者の「敵国のリーダー達と無条件で会合するか」という質問に「します!」と断言してしまった時、これが後になって自分の外交政策としてまつわりついてくるとは思いも寄らなかったのだろう。同時に敵国のリーダーとやたらに会合などして相手に不必要な正当性を与えるべきではないとしたヒラリー・クリントンやジョン・エドワーズの反論にもオバマは沈黙していた。

その事実をブッシュ大統領や共和党候補者のジョン・マケインに批判されて、バラク・オバマは今更あれは言葉の彩でとか、討論の熱気に押されてとか言い訳が効かなくなってしまった。それで単なる失言から始まったバラク・オバマの外交政策は今やオバマ政策として形を固めようとしている。

チャールズ・クラウトハンマーの鋭い分析から読んでみよう。

大統領は敵と会見すべきだろうか? そういう場合もあるだろう。だがそれはアメリカの目的の最小限を満たしてからという条件付きである。上海条約はリチャード・ニクソンが中国訪問するずっと以前にほとんどが書かれていた。だがオバマはニクソンが中国訪問したという事実が自分の一年生独裁政権訪問を正当化する理由になると考えているのだ。

世界で一番の有力者であるアメリカの大統領はやたらに敵国のリーダーと会見したりしない。その理由はそんなことをすれば何の利益もないどころか、かえって敵国のリーダーに指導者としてのステータスを与えてしまうからで、それを口実にこれまで敵国を避けていた諸外国が正式な貿易を始めたりする可能性があるからである。

それにジョン・F・ケネディのソ連書記長との会見が証明するように無条件で敵のリーダーと会ったりすれば相手にこちらの弱さを暴露してしまう危険性もある。

無論正式に会合しないからといって、アメリカが敵国と全くなんの交流も無いのかと言えばそんなことがあるはずはない。オバマがその事実を全く知らないはずはなく、それを無視してブッシュ政権がシリアやイランと正式な会合を開かない政策をカウボーイ外交などといって批判するのは不誠実このうえない。しかしクラウトハンマー氏はオバマの不誠実を批判する前にオバマの無知さ加減に呆れている。

オバマはフランク・ルーズベルトとハリー・トゥルーマんが敵と会ったと主張する。オバマは歴史を知らないのだろうか?ルーズベルトもトゥルーマンも日独伊枢軸の指導者と会ったことはない。オバマはルーズベルトとスターリンがヤルタ会議で合った写真やトゥルーマンとスターリンのポツダム宣言の話をしている様子を語っているのかもしれない。だがオバマはスターリン(のソ連が)が(第二次世界大戦)戦時中同盟国だったことをしらないのだろうか?

その後に起きた冷戦中、トゥルーマンは一度もスターリンや毛沢東や金日成とも会ったことはない。トゥルーマンは愚か者ではなかった。

オバマはさらにジョン・F・ケネディが当時のソ連共産党書記長のニキタ・クルシュチェフと会見したことを無条件で会見した成功例として上げているが、アメリカの歴史家の間では、このウィーン会見は経験不足の大統領の生んだ悲劇的な歴史的事実として考えられている悪名高い例なのである。大統領になって数ヶ月の経験不足の若いケネディ大統領が全く下調べも根回しもせずに無条件で経験豊富な古狸ソ連のクルシュチェフと会った会合で、九種チェフ古狸はケネディの弱さを見抜いた。これが数ヶ月後のキューバ危機を招いたことはいまや歴史上の事実として知らない歴史家はいない。(オバマは知らないようだが。)

外国との首脳会議では意味のある結果が期待される。会ってなんの効果も得られないような会議は害あって益なしである。だからこそ首脳会議には下準備や条件合意が必要なのであり、それ以外のやり方は愚弄とした言いようがない。

アクマディネジャドと無条件で会見してオバマはいったどんな結果を期待しているのだ?イランが核開発を止めることか?イランによるレバノン介入の停止か?イランのイスラエル攻撃をあきらめることか?アホちゃうか?

バラク・オバマは政治家一年生だけでなくその一年ですら落第生だ。何にもしらない愚か者だ。こんな無知蒙昧な馬鹿を大統領に選んだら、アメリカはおしまいだ。

カカシはヒラリーおばさんだけは勘弁して欲しいと何年も言い続けてきたが、バラク・オバマの愚か者に大統領を任せるぐらいなら、ヒラリーおばさんにやってもらった方がよっぽどもましである。少なくともヒラリーは無条件で敵国の指導者に媚を売るような玉じゃない。

オバマに比べたらヒラリーの方がよっぽど金玉じゃなかった肝っ玉のある女性だ!

May 24, 2008, 現時間 12:47 AM | コメント (2) | トラックバック (0)

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日付け → →May 23, 2008

レバノン紛争、ヒズボラ勝利の意味

これは全くうれしくないニュースだが、この間からレバノン政府のヒズボラ対策に武力抵抗をしていたヒズボラに対して、本日レバノン政府は完全に折れてヒズボラの要求を100%受け入れることで、ヒズボラに矛を収めてもらうという無様な結果になってしまった。

ヒズボラは言わずとしれたシリアの先鋭部隊。レバノン政府がヒズボラを鎮圧できなかったということは、今後レバノンは再びシリアの属国と成り下がってしまうということだ。シリアの後ろにはイスラエルを臭い屍と呼んではばからないイランがいる。レバノンを拠点に再びイスラエルへの侵略戦争が起きるのは時間の問題だ。

アメリカの主流メディアはレバノン政府があたかもアメリカに後押しされているかのように報道していたが、もしそれが事実であればヒズボラがレバノンで勝利を遂げるなどということはあり得なかった。

よくアメリカはやたらに外国の政策に口や手を出すという人がある。テロの原因はそういう傲慢で押し付けがましいアメリカにあるのだという人が後を絶たない。だが現実はその逆なのである。

ラムスフェルド前国防長官が戦争好きだのなんだのと批判されたが、実はラムスフェルドほどアメリカの外国への軍事介入を嫌ったひとも居ない。イラクへの侵攻が驚くほど少ない数の軍隊で行われたのも、主な戦闘後のイラク駐留軍の数が増派されなかったのも、ラムスフェルド長官の「小さな足跡」政策の賜物だ。だが今となってはラムスフェルド長官の消極的なやり方はテロリスト相手には逆効果であることが明らかになった。

アメリカが口を出さなければテロリストたちはいくらでも自分らの勝手気ままな行動を取り、地元政府は手足も出ない。アフガニスタンをタリバンが追われたのも、イラクからアルカイダが追放されたのも、そこにはアメリカがいたからだ。その奴らがパキスタンに落ち着いたのは、アメリカがパキスタンのムシャラフ政権に遠慮してパキスタン国内にはびこるテロリストに手をださなかったからだ。

レバノンのヒズボラにしてもそうである。レバノン政権は民主主義の選挙によって選ばれた政権である。アメリカがどうのこうのと言えた義理は全くないし責任もない。だがアメリカが黙っているとこの有様だ。国連など最初から当てにならないし、結局テロリスト退治にはミスターアメリカという英雄が登場しなければお話にならないのだ。

実は数日前レバノン紛争が始まった時、ブッシュ政権はこの情勢に介入すべきかどうか緊急会議を開いた。その時アメリカや国連が即座に介入しなかった場合レバノンはどういう状態になるのかたが討論されたのだが、はっきりした方針を決定することができなかった。これはブッシュ政権はこれまでもそうであったように国務庁と政権との間で合意を得ることが出来なかったからだ。

カカシはアメリカはもっと自分勝手になるべきだとう思う。自国の利益を最優先にし、アメリカの安全を脅かす諸外国には徹底的に圧力をかけ、アメリカに有利な同盟国には徹底的な軍事援助をすべきなのだ。アメリカは国際社会で好かれる必要などない。恐れられるか尊敬されるかそのどちらかしかないのだ。

アメリカが嫌われるのがアメリカが強いせいだというのならそれで良い。それで世界平和が保てるならそれに超したことは無い。

May 23, 2008, 現時間 11:44 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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日付け → →May 22, 2008

仏テレビやらせ報道訴訟:被告側逆転勝利!

本日2000年に起きたフランスの国営テレビ局フランセ2によるパレスチナ少年殺害やらせ映像を暴露したフィリップ・カーセンティ記者が、テレビ局から名誉毀損で訴えられていた訴訟で、第一判を覆して逆転勝利となった。

一応背景をもう一度ご説明しておこう。まず仏テレビやらせ映像を指摘され訴訟起こすに載せた一連の写真をみていただきたい。

2000年、第二インティファーダが始まったばかりの頃、ジャマールとモハメッドのアルドゥーラ親子はイスラエル兵軍に抵抗すべく投石攻撃に参加した。しかし親子はすぐにパレスチナ戦闘員とイスラエル軍との撃ち合いの真ん中に挟まってしまった。

父親はとっさに物陰にかくれて息子を守ろうとイスラエル兵に向けて武器を持っていないことを示すように必死に手を振る。それが最初の写真だ。しかし攻撃が止まないので父親は自分の体で子供を守ろうとする。それが二枚目の写真。

三枚目ではなぜか父親はカメラを直視しているが、四枚目でピント外れがあったと思うと五枚目の写真では二人とも撃たれてぐったりしている姿がある。この攻撃で父親は重傷を負い、息子のジャマール君は即死した、、、

というのが最初にこの映像を放映したフランス国営テレビ局チャンネル2の話だった。この映像が報道されたとたん、イスラエル軍は武器をもたない親子を冷血に惨殺したという批判が世界中にひろまり、イスラエルへのテロ攻撃が激増した。いわゆる第2インティファーダ激化のきっかけとなった。ところが後になってこの映像がやらせだったことが判明した。

このやらせを暴露したフィリップ・カーセンティ氏はテレビ局のプロデューサーから名誉毀損で訴えられ、2006年9月の裁判では原告側が勝利していた。その訴訟の詳細は下記のエントリーで紹介した通りである。

仏テレビやらせ報道訴訟:経過報告 その1
仏テレビやらせ報道訴訟:経過報告 その2

問題だったのは、フランセ2はフランスの国営テレビであることから、国営テレビのやらせ報道を暴露した記者が名誉毀損で訴えられ有罪になったということは、フランスには言論の自由がないということになる。

今回はこの判定を控訴していたものだが、名誉毀損の事実はなかったとの判定がでたことは非常に喜ばしいことだ。

しかし上記のやらせ報道のおかげで、インティファーダが起き、何万人という人々が双方で殺されたことを考えると、フランセ2の責任は重い。

今日は時間がないので一応アップデートのみ。週末に詳しい分析をしたいと思う。

May 22, 2008, 現時間 12:02 AM | コメント (1) | トラックバック (1)

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日付け → →May 17, 2008

過激派イスラム教徒に蝕まれる英国警察

先日放送協会へ訴えられていた英国のチャンネル4制作部は、訴えが棄却され、訴えていた英国警察側が制作部に謝罪と慰謝料を要求されるという出来事があった。

訴えられていたのはチャンネル4で、英国内の聖廟における暴力的なお説教を暴露したドキュメンタリー「Undercover Mosque(聖廟覆面捜査)」の制作部のメンバー達で、訴えていたのは聖廟のある地元警察の、 ウエストミッドランド警察と検察庁(West Midlands Police and the Crown Prosecution Service)だ。

このドキュメンタリーでは、ある聖廟では聖教師たちが同性愛者やイギリス兵を殺す話や非イスラエル教徒への暴力などを訴えている姿がありありと隠しカメラで撮られていた。警察は暴力を促進している聖廟の関係者を摘発するどころか、反対にその事実を暴露したテレビ局を訴えたのである。原告側のいい分は偏向した編集によって地元の平和を乱そうとしたというもの。まったく話が逆さまではないか。ま、イスラム教暴力団の悪行を暴いたブロガーを逮捕するような国だから不思議でもなんでもないが。

英国ではOfcomと呼ばれる放送業界を監視する審議会のようなものがあるようで、今回Ofcomは原告側の訴えを根拠が全くないものであるとして棄却。さらに原告側に謝罪と慰謝料の支払いを求めた。

以前にも当ブログで、チャンネル4のドキュメンタリーについてや、イギリス警察がイスラム系暴力団への取り締まりに消極的であるという事実はイスラムの横暴に腰抜けなイギリス協会でも紹介している。

イギリスでイスラム教の暴力団が麻薬売買をし未成年の少女たちを売春に追い込んでいるという話は大分前から問題になっている。しかしこうした少女たちの親たちが地元警察に訴えでても警察当局は少数民族の異文化に十分な理解を示していない と責められるのではないかと懸念し、しかもやり過ぎれば人種暴動になりかねないと恐れてイスラムやくざを取り締まろうとしない。

問題なのは今回の事件だけではない。英国の中部や北部のイスラム教移民が多いところでは、地元警察はイスラム教の暴挙をみてみない振りをするのが普通になっているが、最近では警察官のなかにイスラム暴力団メンバーが潜入しているため、家庭内暴力の犠牲となったイスラム教の女性らは警察に被害届を出すのをためらうという。特に警察官がパキスタン系の男性だったら最初から話はしないと言う女性が増えている。パキスタン系の警察官は暴力をふるった男性を取り調べるどころか、かえって夫の暴力から逃げている女性の居所を家族に知らせるというようなことがあるからだという。

女性救済運動をしているあるグループによると、特にウエストミッドランド警察ではこのような傾向が非常に強かったという。

去年紹介されたデイリーメールの記事によると、イギリスの諜報機関MI5の調査で英国内で8人に及ぶ警察官と民間スタッフがアルカエダを含む過激派グループとつながりがあることが疑われている。中にはパキスタンかアフガニスタンのテロリスト訓練キャンプに参加していた者もいるという。にも関わらず、これらの人物はテロリストとして逮捕されるどころか警察を首にもなっていないというのだ。

イギリスでは警察官に少数民族を多く起用しようという方針がここ数年できたらしいが、イギリス在住のイスラム過激派やテロリストがこの方針を多いに利用してイギリス警察内に潜入しつつあるというわけだ。

これじゃ、バスラの警察がシーア派民兵に乗っ取られたのと何ら変わりはないではないか。そういえばバスラはイギリスの管轄で完全崩壊したいい例だった。その後始末を現在マリキのイラク軍及びアメリカ軍がやっているのである。

自国内でこのざまでは、イラクなどうまくいかないのも当たり前だ。しかし、イギリスはいいのか、このままで?

May 17, 2008, 現時間 9:31 AM | コメント (2) | トラックバック (0)

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日付け → →May 16, 2008

ブッシュ名演説への過激反応でみせたオバマの未経験ぶり

The English version of this entry can be read Biglizards.net/blog.

昨日ジョージ・W・ブッシュ大統領は、イスラエル議会の前ですばらしい演説を行った。

世の中には暗黒を把握できず言葉で説明しようする善良な人々がいます。これは自然です。でも致命的な間違いです。過去の悪の目撃者として我々は彼ら悪者の言葉を真剣に受け止める重大な責任を負っています。ユダヤ人もアメリカ人も憎悪を表現する指導者の言葉を無視したことの結果を見てきました。21世紀の世界はこの間違いを二度と繰り返してはなりません。

人によってはテロリストや過激派と交渉すべきだと信じる人がいます。あたかもなんらかの巧みな話術によって彼らが間違っていることを説得できるかのうように言います。このような愚かな幻想は以前にみたことがあります。ナチスの戦車がポーランドに侵略した1939年、アメリカのある上院議員は「ああ、ヒットラーと話をすることさえ出来れば、こんなことは避けられたのに」と語りました。 我々にはこのような発言は、そのものずばり、譲歩(appeasement)による偽の安心感であると断言する義務があります。 このような行為は歴史のなかで何度も失敗してきました。

これに対して即座にバラク・オバマは譲歩や妥協策と言う意味の「appeasement」政策への批判は自分への批判だと思い込み、過激反応した。:

伝統的に米大統領が異国の土地に居るときは、政党間争いは停止するのが慣習となっているが、ブッシュの発言に対してオバマは即座に反則だと批判した。イリノイ代表第一期目の上院議員はあたかもこれらの発言が合衆国がならず者とみなしている国の政権の指導者たちとも個人的に会う意志があるという姿勢を持っている自分への批判であるかのように反応した。

「ブッシュ大統領の演説はイスラエル独立60年の場を借りた、誤った政治攻撃だ」とオバマ関係者が配った声明文でオバマは語った。「ジョージ・ブッシュは私がテロリストとの交渉を一度も支持したことがないことを知っています。大統領による外交の過激な政治化や恐怖の政治はアメリカや同盟イスラエルの安全保障に何の役にもたっていません。」(ミスター苺注:オバマをホワイトハウスに入れさえしなければアメリカや同盟イスラエルの安全保障に非常に役立つとおもうけどね。)

カカシ注:上記のオバマの発言については読売新聞の記事にあった翻訳を一部引用させてもらった。

さて、このやりとりについてもうすこし詳しく吟味してみよう。

1: 疾しい者は追われずとも逃げる

ブッシュは譲歩策を批判した。そしてオバマは即座に自分のことを言われていると気がつき、怒って自己弁護するべく反応した。つまりオバマ自身、無条件でマフムードや金正日やラウールやウーゴと会う行為は限りなく譲歩に近いということを認識しているということだ。

しかしオバマはイランや北朝鮮やキューバやベネズエラよりもアメリカこそが、世界の問題の根源だと考えているわけだから、我々が改めるべきなのだと信じているのだ。我々こそ我々の「カウボーイ外交」で「テロリスト」の汚名を着せられ長年「犠牲者となった」人々(ハマス、ヒズボラ、アルカエダなんかがこれに入る)に会うべきだというのである。我々は謙虚になってこした犠牲者たちと会見し許しを請い、我々への攻撃をやめてくれるよう嘆願するべきだというのだ。なにしろこれはそもそも共和党による誤った政策が原因だったのだから。

(オバマは20年間聞かされてきたジェラマイアー・ライト牧師のお説教に感化されたのだろう。)

しかしオバマはそんなことを表立って発言できないことは知っている。そんなことを言ったら絶対に当選しない。オバマは多分これはアメリカ人が真実に直面するのを恐れているからだと考えているのだろう。何にしろオバマはこの自分の本心を必死で隠そうとしている。

オバマには疾(やま)しい心があるからジョージ・W・ブッシュの口から自分の本心が放たれた時、オバマは自分のことを個人的に攻撃されたものと決めつけた。感情的になったあまりオバマはブッシュがオバマを名指しで批判していなかったことにも気がつかなかったのだろう。

2: 誰のことを言ってるのか私にはわかる!

無論ブッシュはオバマのことを言っていたのだということは明白だろう。そしてブッシュは演説を聞いた誰もが、特にオバマ自身が、オバマのことを考えるという事実も知っていたのだ。つまりこれはブッシュ大統領がオバマに仕掛けた罠だったのであり、政治的に未経験なオバマはそれにまんまと嵌ってしまったのである。

これに対してホワイトハウスのデーナ・ペリノ報道官はイスラエル議会での発言はオバマに向けたものではないとし、あのような表現はブッシュ大統領の演説では頻繁に使われているとした。また国土安全保障のゴードン・ジョンドロー大統領報道官も長期にわたって「広域に渡ってハマスやヒズボラや彼らの援助国家と交渉すべきだと示唆する人々がいた」と語った。

最近ではカーター元大統領がその一人で、ハマスと会見してブッシュ関係者及びオバマやマケインからも批判を浴びている。

ホワイトハウスがブッシュは民主党に向かって批判したわけではないと説明しながらも、ペリノ氏はちょっとした諌(いさめ)の言葉を忘れなかった。

ペリノ大統領報道官は、ブッシュ発言はオバマ氏を念頭に置いたものではないとした上で、「選挙を戦っていると、世界が自分中心に回っているように思えるものだ。しかし常にそうだとは限らない。今回はまったく真実ではない。」 と語った。

バラク・オバマは全く馬鹿を見た。「appeaser」という譲歩をする者というのが、誰も自分の名前など言ってないのに自分のことだと思い込み、大騒ぎして自分中心の性格を世間に暴露してしまったのだ。なんたるナルシスト!

これはホワイトハウスによるおごり高ぶって有頂天になっている尻の青い新人を諌める功名な作戦であった。

3: 罠に嵌ったオバマ

どんな分野でも新人が最初に職場につくと、経験豊かな先輩が新人をからかって不可能な仕事をいくつも言いつけることがある、この作戦は新人の無知と未経験を利用するのがミソだ。 今回のオバマの過激反応はまさにオバマの無知と未経験をさらけだす恥さらしな結果を招いた。

これがビル・クリントン元大統領のように、経験豊で賢い政治家ならこんな手には乗らずに、こんなふうに応えていただろう。

、、演説を聞きましたが、全く同感です。ブッシュ大統領のおっしゃることはもっともです。テロリストや過激派と交渉など絶対にすべきではありません。大統領がそれを理解していると知ってうれしいですよ。ただ政権の指導者のなかにはどうしても会って話さなければならない人がいるということもわかってほしいですね。つまり、私が大統領だったころは常に、、、 [とビルの自慢話へと続く.]

つまり、ブッシュ大統領の批判作戦が成功するためには批判された本人がそれが自分に向けられたものだと気がついてこそ効果がある。もし当人が気がつかないか、または気がつかない振りをすれば、批判した側は批判の対象人物の名前を上げるわけにはいかないから、作戦は失敗する。

だが尻の青いオバマはこの罠に全然気がつかずにまんまと嵌ってしまい、両手をふってもがいているわけだ。今回のことでオバマがどれほど愚かに見えたか有権者が気がつけばオバマの支持率にも影響がでるだろう。

4:無知と未経験をさらけ出したオバマ

今回の騒ぎで明らかになったことが二つある。ひとつは、バラク・オバマがテロリストやイランのようなならず者国家の指導者と交渉できるというナイーブな、まさにブッシュ大統領のいうところの譲歩政策を持っていることと。二つ目には大統領の巧みな批判に乗ってしまうほど判断力が貧弱であり感情的になってすぐ怒り騒ぎまくるという点だ。

どちらも大統領としておよそふさわしくない性質である。

このことがすぐにオバマの支持率に悪影響を与えるという保証はない。なにしろ主流メディアはなんとしてでもオバマの失態を隠そうとするだろうから。しかし11月に向かって選挙運動中のオバマによる度重なる失言や失態の蓄積はいずれその影響を及ぼすはずである。 時がたつにつれて、まだ誰に入れるか決めていない有権者の間では、オバマのような新人に大統領の仕事を任せていいのかどうかかなりの猜疑心が生まれてくることは間違いない。

May 16, 2008, 現時間 2:12 PM | コメント (5) | トラックバック (0)

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またまたオバマの失言、アフガニスタンでアラビア語の通訳が足りないって?

私は何度もヒラリーが賢く見えるオバマの失言の話はここここなどで書いてきたが、今回もまたまたバラク・オバマがおかしなことを言った

ミズーリ州で選挙運動中のオバマはアフガニスタンの戦況がうまくいっていないことの理由として、アフガニスタンに充分なアラビア語通訳がいないことがあると語ったのである。下記はレッドステートから引用。

「特定の数の(通訳)しかいないのに、それが全員イラクにいってるので、アフガニスタンの我が軍は困っています。」とオバマは語った。もちろん事実はアフガニスタンではアラビア語ははなされておらず、通訳はほぼ100%地元市民が使われている...ことを考えると間違いを通りこしてお笑い草である。

オバマは続けて、「我々にはアフガニスタンに農業の専門家が必要です」と語った。「ヘロイン用の芥子ではなく、他の作物を生産できるように援助する人員が必要なのです。なぜならアフガニスタンの麻薬取引がテロリストネットワークの資金源となっているからです。ですから農業専門家が必要なのです。」

「でも専門家をすべてバグダッドへ送っていてはアフガニスタンに行く人がいません。」

イラクとアフガニスタンでは自然環境が違いすぎる。イラクの専門家をアフガニスタンに連れて行っても意味ないだろう。レッドステートはオバマの文化や産業の無知に加えて、アメリカ軍がひとつところに出動したら別の場所へは出動できないと思い込んでいる軍事的な無知さ加減にも呆れている。現状はアフガニスタン出動軍の規模はイラク戦争以前も以後も全く変化がないのである。次期大統領を目指そうという人がこんなことも知らないなんて信じられない。しかもアフガニスタンの状況は決して悪化していない。

以前から私はタリバンがアフガニスタンで春の総攻撃を予告しておきながら、冬の間にNATO軍にこてんぱんにやられて来た話はしているが、オバマはそうした事実すら知らないらしい。

でもカカシさん、アフガニスタンの状況はあまり話題にならないし、オバマが知らなくてもそれほどおかしくないんじゃありませんか、ブッシュ大統領だって以前にパキスタンのムシャラフ大統領の名前を思い出せなかったこともあることだし、、とおっしゃる読者もいるかもしれない。

だが、ブッシュがムシャラフの名前を知らなかったのは、パキスタンではクーデターが起きた直後で、しかもアメリカにとってパキスタンが大事な国になるという前触れが一切なかった時のことである。しかもそれまで当時のブッシュ大統領候補はパキスタンのパの字も語ったことが無かったのである。

それに引き換えオバマ上院議員は何度となくイラク撤退の理由としてアフガニスタンの状況をやたらに引き合いに出してきている。しかもオバマは上院議会でNATO監督の管轄権があるヨーロッパ委員会の会長なのである。これについては同じ民主党候補ライバルのヒラリー・クリントンが2月の討論会でこんな指摘をしているのである。

オハイオ州のクリーブランド市での討論会でヒラリー・クリントンは民主党候補ライバルのオバマに対して「NATOはアフガニスタンの任務に対して不可欠である」しかるにオバマ氏はアフガニスタンにおけるNATOの存在をどう強化するかについて一度も審議会を開いたことがないと批判した。

これに関してオバマは自分が委員会の会長に任命されたのは大統領選挙運動がはじまった2007年の初めだったと言い訳をした。つまりオバマは図らずも自分は選挙運動に忙しくて肝心の上院議員としての仕事を怠っていたと白状してしまったのである。

オバマのこの無知蒙昧な発言を聞いていると、NATO管理の立場に居ながら、オバマはアフガニスタンの治安維持はアメリカではなくNATO軍の管轄なのだということすら知らないのではないだろうかと疑いたくなる。

ところで現在イスラエル訪問中のブッシュ大統領の演説でおもしろいものがあった。それに対するオバマの反応が傑作なので是非それを次回紹介しよう。

May 16, 2008, 現時間 11:36 AM | コメント (8) | トラックバック (0)

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日付け → →May 15, 2008

カリフォルニア最高裁、同性結婚禁止法は違憲と判決

今年の3月8日のエントリーで、カリフォルニア最高裁で同性結婚を禁止する州法が合憲かどうか審議されているという話を紹介したが、本日この法律は違憲であるという判決が下った

この判決は2000年に通った州法22条を覆すものだが、この州法とは、すでに1978年に取り決められた結婚は一夫一婦制という言葉をさらに強調するべく「カリフォルニアにおいては一夫一婦の間でのみ結婚が正式に認められる」というもので、61%の圧倒的な州民の支持で通過していた。

民主党が独占するカリフォルニア州議会において、この法律を覆す議案が二回通っているが、知事のシュワちゃんは二回とも拒否権を使って拒絶してきた。その理由は「州民に意志を尊重する」というものだった。ところが、これを最高裁が違憲としたということは、法廷が州民の意志をふみにじったことになる。

この判決には二つの問題がある。ひとつは言わずと知れた同性結婚の合法化による弊害だが、もうひとつは法廷による独裁だ。

同性結婚の弊害については前に同性結婚は文明社会を破壊するで書いているが、一つの州で結婚が認められれば、別の州でも認めざる負えなくなるのでこれはカリフォルニア州の問題だけでは済まされない。

また法廷が気に入らない法律をきちんとした理由もなく違憲としてしまう弊害はこのことだけでは収まらない。アメリカは三権分立を基本としており、法廷に立法権はないはずだ。それが州民の意志を無視して法廷が強引に特定の法律をおしつける行為は非常に問題だ。

では、カリフォルニア州民はこのまま意に反した同性結婚をみとめざるおえないのかというとそうではない。州民には州憲法改正という最後の手段がある。

すでに保守派や宗教グループが協力して憲法改正案を11月の選挙時の項目に入れる運動が起きている。州務長官は6月の終わりまでに選挙項目に入れるだけの署名が集まったかどうか判断を下すことになっている。すでにこのような州憲法改正法は26の州で通過している。これによって憲法が改正されれば、今回の法廷判決は無効となる。

この判決は実は英語で言うところの「偽装した祝福」というものだという見方もある。つまり、11月の一般選挙を前にして保守派が政治に関心を持つ大事な問題が持ち上がったとなると、リベラルが多いカリフォルニアでは普段はあまり元気のない保守派層が何が何でも憲法改正案を通させようと投票に現れるからである。せっかく投票にいったのだから、地元の共和議員にも票を入れておこうということになり、保守派議員には有利な結果が生まれる可能性がある。

また、大統領の大事な役割に裁判官の任命があるが、もし次の大統領が民主党から出れば、連邦政府の裁判官は必ずはリベラルが任命される。特に最高裁ではすでに高齢の二人がおり、次大統領が新しい最高裁判官を二人任命しなければならないことは確実だ。裁判官がリベラルであれば、今回のカリフォルニアの同性結婚のように法廷からリベラルな方針が国民に強制される可能性大である。

全国の保守派がカリフォルニアを見て、次期大統領は絶対に民主党に渡してはならないと考えて、マケインはバリバリの保守派ではないと支持に消極的だった有権者もオバマよりはよっぽどましと気がついてくれるかもしれない。

リベラルの性質はおごりの行き過ぎ。今回はカリフォルニア法廷はリベラルに権限を渡せばどういうことになるかを顕著に表す例であった。そしてこれは保守派の取るべき道をはっきりさせたものと言えるだろう。

May 15, 2008, 現時間 7:23 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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日付け → →May 12, 2008

マフディ軍、ほぼ全面的に降伏だが、、NYTの不思議な報道

昨日ニュースでイラクで政府軍にこてんぱんにやられているイランの飼い豚モクタダ・アル・サドル率いるマフディ軍がやっと政府が要求していた停戦条件を受け入れたという記事を読んだのだが、マフディ側の報道官がノーリ・アル・マリキ首相が主張していた武装解除には応じないと言っていたことや、イラク政府側はいつでもサドル・シティへ攻め入れられると書かれていたことなどから、いったいどういう条件がまとまっての停戦なのかさっぱり理解できなかった。

今日になってニューヨークタイムスの記事を読んでみると、余計にわけが分からなくなった。アメリカの主流メディアを読む場合はかなり行間を読む技能を身につけておく必要がある。

この取り決めによって大事な地方選挙を数ヶ月に控え不人気な混乱状態から双方が後退できることとなった。どちらが勝ったのか明らかではなく、停戦までどれだけかかるのか、停戦をどれだけ保持できるのか定かではない。 しかし少なくともいまのところシーア間での戦闘は終わりを告げた。

この間までイラク政府がマフディ軍に押され気味だと言っていたニューヨークタイムスが「どちらが勝ったのか明らかではない」と言っているところをみるとイラク政府が勝ったと読むことができる。後の方の文章を読んでみよう。

合意条件の元でノーリ・アル・マリキ首相の政権は現在無法状態となっているサドル市の統括権利を獲得し、そのかわりサドル氏の民兵軍で直接戦いに参加していないメンバーを逮捕しないことが保証された。

停戦交渉を行う決断は双方がお互いに地盤を失っていると気がついたことから始まった。サドル市の市民は自分たちの被害について双方を責めている。

戦いが始まる前は、サドルシティはマフディ軍の連中が思うままに牛耳っていたのに、停戦後は政府軍が市を統括する権利があるというなら、どっちが勝ったのか明白ではないか。

だいたい戦闘をやっている双方が地盤を失うというのはどういう意味だ?お互い競り合って引き分けならお互いに土地を失うはずはない。どちらかが土地を失ったならどちらかがその分を獲得しているはず。この文章全く意味をなさない。

またサドルシティの住民はほぼみなマフディ軍の仲間かサドルの支持者のはずで、その住民が自分らの苦労の原因がマフディ軍にもあると責め始めたということは、住民によるマフディ軍への支持が減っているということになる。

この後もNYTはサドル派が政治的な支持を失い孤立してしまっていること、マリキ政権には他党からの支持があることを記載している。そしてマフディ軍がどれだけ痛手を負ったかということについても認めざる終えない。

シーア民兵たちも損失は上がる一方だ。彼らはより多くの犠牲者を出しており、戦闘に真っ先に巻き添えになる市民の死亡についても責任を問われている。木曜日からすでに30人以上が殺されている。(カカシ注:おなじみのビル・ロジオによるとマフディ軍は3月25日の戦いが始まって以来すでに合計562人を殺されている。)

NYTの複雑な書き方で混乱しないようにここで整理してみよう。

  • サドル市はマリキ政権の統治下となった。
  • 政府は戦闘に参加したマフディメンバーの逮捕は続行する。
  • マフディ軍は政府軍側より多くの犠牲者を出している。
  • マフディ軍はサドル市民からの支持を失いつつある。
  • サドル派は政治的に孤立し、マフディ取り締まりについて他党がマリキ政権を支持している。

これでもどっちが勝ったか明らかではないのは反米の主流メディアくらいだろう。

ここでさらにわかりやすくするために、ビル・ロジオに実際の停戦条件がどういうものだったのか説明してもらうことにしよう。

  • イラク政府とマフディ軍は4日休戦する。
  • 休戦後、イラク軍はサドル市に入り令状があるか、もしくはマフディ軍が中武器及び重武器(ロケット弾、ロケット、モーターなど)を所持している場合の逮捕を続行する。
  • マフディ軍とサドル派はイラク政府が警備統括をすることを認識し法の施行のため警備軍を運用させる権限を認める。
  • マフディ軍は国際ゾーンへのモーターやロケット攻撃などの一切の攻撃を止める。
  • マフディ軍はサドルシティ市内の路肩爆弾をすべて取り除く。
  • マフディ軍は「違法法廷」を閉鎖する。
  • イラク政府はサドルシティへの入り口を解放する。
  • イラク政府はサドルシティ住民への人道的救済を行う。

マフディ軍は武装解除には応じないと息巻いているが、イラクは危ない国なので一般人でも自動小銃やライフルの所持は合法とされている。だから中もしくは重武器の没収を認めるということは、事実上武装解除を認めるということになる。またこうした武器を持っている人間をイラク軍は令状無くして逮捕出来るのであれば、結果的にイラク軍はマフディ戦士の逮捕は自由に出来るということだ。イラク政府がサドルシティ住民への救済を行うという点は非常に重大だ。すでにサドルシティ市民はマフディ軍に今回の戦災を責めているなか、イラク政府が現れて市民への救済を始めたら市民はいったいどう感じるだろうか?一般市民にとって自分たちの生活を守ってくれる方こそ自分らの味方のはずである。マフディ軍がイラク政府にその役割を受け渡したということは自分他たちにその能力がないことを認めたことになる。

これでもどちらが勝ったか明らかではないかな、NYTさん?

さて、この先がNYTとビル・ロジオの間で食い違う点なのだが、ロジオによるとイラク政府はサドル派に停戦に応じるように圧力をかけたわけではなく、内部からの圧力によって停戦に合意する動きがあったのだという。ダワ党のアリ・アル・アディーブ氏は、「サドルシティ市内の市民からの圧力が彼らにもっと責任もった行動をさせたのです。」と語っている。

しかしNYTの記事ではイランからイラク政府に働きかけがあったと書かれている。

停戦条約の三人の関係者によると、イラク議会のシーア派メンバーが今月の初めイランを訪れた後、イランが引き分け状態にその影響力を及ぼしたとのことである。

カカシが思うに、イランにはイラク内政に影響を及ぼすような力はない。だいたいイランがイラクに影響を及ぼしたいならイランからイラクへ使者が送られてくるはずで、イラクからイランへシーアメンバーが訪問するというのは話が逆だ。

NYTはイラクのシーアメンバーがイランに対してサドル派に政府への抵抗を止めるよう説得して欲しいと嘆願に行ったと言いたいのだろうが、もしサドル派が勝っているならイランが何故イラク議会メンバーのそんな嘆願を聞く必要があるのだろうか?イランにとって民主主義のイラクなど目の上のたんこぶである。イラクがイランに同調するシーア派連中によって牛耳られればそれに超したことは無い。もしサドル派がイラクで勝利をおさめつつあるならば、イランがサドル派援助の手を緩める必要がないどころか、ここぞとばかりにサドル派援助を強化させるはずである。

ではイラクシーア派の使者たちはイラン政府に何を告げたのであろうか?

イラン政府は馬鹿ではない。もし正式にイラク政府と戦争をするとなれば背後にいるアメリカにイラン攻撃の正式な口実を与えることになるのは充分に了解している。イランは秘密裏にイラク内部の抵抗組織を援助してイラク政府の安定を崩しアメリカ軍に痛手を負わせたいだけなのだ。面と向かってイラク・アメリカ同盟軍と戦う意志もなければ能力もない。

となればイラクの使者がイラン政府に告げた内容は自ずと明白になる。もしカカシが壁の蠅ならこんな話を聞いただろう。

イラク使者「イランさん、あんさんがたイラン政府がサドル派をそそのかしてイラク政府に盾をつかせてるっつうのは周知の事実でござんす。表立っておやりじゃねえんで今のところアメリカさんは無視してやんすけどね。しかしこれ以上サドル派が抵抗を続けるなら、こちとらとしてもあんさんがたのやり方をおおっぴらにしねえわけにはいかねえんでござんす。そうなりゃアメリカさんも黙っていねえでしょう。あんさんらもアメリカさんと正面切っての戦はやべえはず。どうです、このへんで手を打ってサドル派を撤退させてはいかでやんすか?」

てな具合での説得というか脅迫が行われたと考える方が自然だろう。

こうやって読んでみると、今回の停戦条約の実態がかなり明らかになったと言える。それにしてもアメリカ主流メディアの新聞記事解読に要する技能は半端じゃないな。

May 12, 2008, 現時間 10:08 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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日付け → →May 10, 2008

謎につつまれる聖火エベレスト登頂

昨日のエントリーで紹介したぼやきくっくりさんのエントリーでも、中国登山チームによる聖火登頂の秘密めいたやり方にはいくつかの疑問が残るというご指摘があった。登山チームの全員が無事生還したのだろうかというのもその一つだ。

...気がかりなことがあります。「全員」が無事にチョモランマ(エベレスト)山頂にたどり着いたのでしょうか?

...チョモランマでは通常の登山でも毎年死者が出ており、(アルピニスト・野口健)さん自身、昨年登頂した際に仲間を一人亡くされているそうです。

 日頃から訓練している登山家であっても死と隣り合わせの危険が伴うのに、聖火ランナーたちは日にちが厳命されているから、悪天候の中でも決行せざるを得ない。そういう厳しい条件下での登頂となったわけです。

 1960年代にチベット側からのチョモランマ初登頂を達成したのは中国隊でした。実はこの時、死者が出たのではないかと登山関係者の間で言われているそうです。公式記録には全く載っていないが、「初登頂記録」を輝かしいものにするために公にしなかったのではないかと、野口さんは言います。

 今回の聖火リレーで死者が出れば大変な騒ぎになります。...入山禁止の理由を中国側は「チベット側から入山したチベット人がネパール側に出てそのまま亡命することを防ぐ」としましたが、本当の理由は、聖火隊が遭難した場合に隠すためであろうと、野口さんは見ています。

 近くに別の登山隊がいれば、万一死者が出たらばれてしまう。そうなれば当然、世界中から非難を浴びることになるからです。

全員生還したのかという疑問もそうだが、その前にそもそも本当に登頂できていたのかさえかなり疑わしいと、カカシとは数年来のネット仲間、ハミッシュ・エディさんが指摘している。

聖火をエベレスト山頂に灯すというたいそう派手なイベントもその派手さのわりには、ずいぶんと分かりにくい。

登山隊は本当にエベレスト山頂に到達したのだろうか?

というそもそものところから失礼ながらも疑問を抱く人が少なからずおりまして…。国際的な宣揚という意味では、この聖火のエベレスト登頂はそれほどうまく目的を達成することができなかったのではなかろうかなどと心配になるわけです。

エディが紹介している4月30日ヘラルド・トリビューンの記事によると(翻訳はエディ):

中国国営テレビは、ベース・キャンプから世界最高峰のエベレスト登頂までの聖火リレーを生放送するという、技術的に極めて難しい初の番組を組む準備に取り掛かり始めた。同テレビによると、登山隊は出発地点から8,300メートル(27,390フィート)上を目指し、頂点の8,850メートル(29,035 フィート)を登頂するための準備を終えたという。

しかしながら、31人で構成されているという登山隊がエベレスト頂点のどこで聖火を灯すのか。登山隊はどこにいるのか。そして、いつ頂上に到達するのかなどについての情報がまったくもたらされてこない。北京デイリーのウェブサイトは、この情報の欠如を「ベース・キャンプを覆う不可思議なヴェール」とたとえた。

...新華通信はベース・キャンプにいる天気予報士のYang Xingguo氏が水曜日の遅くに、強い吹雪のため3日は登山できそうにないと語っていたことを紹介している。

中国側はオリンピック100日前を記念して連休中に登頂を達成させたかったようだが、結局達成のニュースがあったのは8日になってからだった。

【北京=竹内誠一郎】北京五輪の聖火を携えた中国の登山隊は8日午前9時(日本時間10時)過ぎ、世界最高峰チョモランマ(英名エベレスト、8848メートル)の登頂に成功、チベット族女性隊員の手で、頂上で聖火が掲げられた。

国営中央テレビが登山隊に同行し、実況生中継で伝えた。

中国チーム以外に目撃者が居ない以上、生中継とかいってもどこから映しているかなんてはっきり言ってわからない訳だし、かなり怪しいものだ。

私は二年連続してエベレスト登山のドキュメンタリーを観たが、サミットへの挑戦は並大抵のものではない。一歩一歩歩くだけでマラソンを完走したかのような疲労を感じるという。標高が高いため空気は薄く、酸素ボンベなくしてはたいていの人は歩けない。頂上で居られるのはほんの数分で、それ以上長居をすると脳に異常をきたすそうだ。だからこんな場所で聖火妨害なんてとてもとても出来るものではない。亡命をするにしてもわざわざ危険なエベレストなど登らずとも他に方法があるはずだ。

中国側のいい分は単なる言い訳に過ぎないことは明白。いったい中国は何を隠しているのだろうか?

May 10, 2008, 現時間 1:45 PM | コメント (1) | トラックバック (0)

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いつからレバノン政府にアメリカの後押しが付いたわけ?

レバノンにおいて反政府側のシーア派と政府側のスンニ派との宗派間争いが続いている話は先日もした通りだが、それに関するアソシエートプレス(AP)の記事を読んでいて不思議な表現に気がついた。

イランに支持されたヒズボラとその仲間がベイルート政府のイスラム居住区を占拠し、その武力の強さを見せ、合衆国に支持された政府側と戦った。レバノンの1975-1990に起きた内乱以来最悪の事態となった。

ヒズボラはイランの工作員であり、イランから資金、人員、訓練を受けたイランの先鋭部隊である。しかしレバノン政府は民主的な選挙によって選ばれた正規の政府であり、アメリカとは無関係だ。レバノンの選挙にアメリカはなんら関与していない。

アメリカがレバノン政府を支持するとしたら、それは単にレバノン政府が正規な政府であると認めるということに過ぎず、それならフランスやイギリスも同じように現政府を独立国の正規政府として認めているのとなんら変わりはない。それなのに何故APは、あたかもレバノンがアメリカの統治下にあるかのような書き方をするのか。

その理由はレバノンのおける紛争はイラン対アメリカの代替え戦争だという印象を読者にもたせたいからだろう。イラクではイランの手先のモクタダ・アル・サドル率いるマフディ軍がイラク・アメリカ連合軍によってこてんぱんにされているので、無関係なレバノン紛争を持ち出してきて、イラクが収まってもレバノンではアメリカが押され気味だと言いたいのだろう。

そこまでしてアメリカの通信社がアメリカをこき下ろしたいというのも不思議でしょうがない。

May 10, 2008, 現時間 12:11 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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日付け → →May 9, 2008

聖火エベレスト登頂の「オリンピック精神」

私の英語版のブログBiglizards.net/blogのほうで、いかに中共の留学生が長野や韓国で暴挙を働いたかということを紹介したが、その際に今回の聖火エベレスト登頂について冒頭に書いたところ、親中共のコメンターから、どこからも妨害されずに聖火が登頂できて良かったというコメントがあった。

OK…カカシ、君もミスター苺も反中国側を支持してることは知ってる。だからエベレスト山に関することだけコメントさせてもらう。

個人的に反中国(「親チベット」)の暴徒がオリンピック「精神」に対してやったことをみてきた後で(特に英国やヨーロッパの各地で)オリンピック聖火が邪魔されずにエベレスト頂上まで上るのを見られたのは気持ちよかったよ。

あ、そう。エベレスト登山のために大金かけて何週間も地元で訓練積んで、いざサミットへと挑もうとする登山家を9日間も足止めしておいて、「聖火が邪魔されず」に良かっただって?「チベット解放」という旗を持っていたアメリカ登山家がネバールから追放されたそうだが、中国国外での言論の自由まで圧力かけて阻止しておいて、何がオリンピック精神だ!

このコメンターは以前にもオリンピック聖火を政治に利用するなとチベット支持者達を批判していた。だが聖火を政治に利用しているのはいったい誰なのだとこっちが聞きたい。

ぼやきくっくりさんが紹介している登山家の野口健さんによるとエベレスト登山の現地の様子はこんな感じだ。

自然現象よりも人間社会のほうがよほど怖く、またたちが悪い。なにしろエベレスト街道には中国から私服に化けた公安、または情報機関などのいわゆる工作員ら約50人が潜んでいるとのこと。そしてベースキャンプにも中国大使館員と思われる人物がテントを張り監視活動を行っていた。メラピーク登山最中にもダークグリーンに塗られた軍用機がエベレスト上空を何度も旋回しているのを目撃した。

 やれ5月10日まで上部キャンプに上がってはならないだとか、信じられない事に登山隊付きの医師までもが「ベースキャンプから退却せよ」とのお達しがネパール観光省からあったとのこと。そして山頂を目指していたアメリカ人登山家が「フリーチベット」(チベット解放)と書かれた旗を持っていただけなのにエベレストから追放されてしまったとか。なにゆえに中国は越境までしてネパールにそこまで圧力をかける必要があるのか。そこまでしてなにを隠したいのか。中国はチベット問題を「内政干渉」と表現されるが、ネパールで行っている行為はどのように説明されるのだろうか。内政干渉どころかネパールを完全に支配下におき属国扱いしているではないか。

 「言論の自由」が一切許されない、まるで戦時中の日本の憲兵による、またはナチのゲシュタボのような異常な監視体制化下の中で山頂を目指さなければならない全ての登山隊がまことに不憫でならない。聖火リレーを走った日本人選手の中に「スポーツと政治は別ですから」とのコメントがあったそうな。いかにも綺麗な「正論」でしょう。しかし、もしチベットでの悲劇を目の当たりにしたら、その「正論」が通用しない世界があることを知るに違いない。なにしろ「ヒマラヤ登山」という「スポーツ」が中国の政治によって弾圧されているのだから。(強調はカカシ)

中国国内で自国民を弾圧するのは中国の自由かもしれない。100歩譲ってチベットが中国の一部だという理屈が通って、チベット独立の言論が中国国内で許されないとしてもそれを我々がどうこういうのは内政干渉かもしれない。

だが、今回の聖火リレーで中国の見せた態度はどうだ?中国は世界のどこでも反中共の批判は断固許さない。中国から聖火防衛隊のような暴力団を送り込むか、出なければ地元の中国人暴徒を勧誘して外国で暴れさせ、中国への批判は世界中どこであろうと暴力で対処すると全世界に知らしめたのである。これはまだ度合いは違うとはいえイスラム過激派テロリストのやることと何の変わりもないではないか。

ところで12人の中国登山チームの8人までもがチベット人だったという。多分エベレストでガイドをやっている経験豊かな地元の人間を中国人として起用したのだろう。彼らも中国のプロパガンダに利用されてさぞかし悔しかったことだろう。

こんな国でオリンピック協会はオリンピックをやることを許可したのだ。そんな大失態を犯しておいて、今更政治とオリンピックは別だなんてきれいごとはいってられない。

May 9, 2008, 現時間 2:11 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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二つに一つじゃないんだけど、、、インテリジェントデザイン対無神論

アップデートあり:下記参照

先日ベン・スタインという俳優で保守派政治評論家が監督した、マイケル・ムーア風の進化論批判ドキュメンタリー、Expelled: No Intelligence Allowedという映画を見た。実はこの映画に関する評論はしようかどうかちょっと迷っていたのだが、本日、偶然にも左翼フェミニストの小山エミさんが無神論者について書いていたのを読んで、関連のある話題なのでちょっとお話することにしよう。

先ずはベン・スタインのExpelled...の映画評論をする前に、アメリカにおける進化論に関する問題について説明しておく必要がある。アメリカはユダヤ・キリスト教の信者が非常に多い。以前からアメリカは非常に宗教心の強い国だと書いているが未だに旧約聖書の「創造説」を文字通り信じている人が少数とはいえ結構な数居るのである。そういう人たちは進化論を受け入れることは神への信仰を捨てることにつながると誤解している。

困ったことに無神論者で科学作家のリチャード・ドーキンスなどが、進化論に代表されるように科学と信仰は相容れないと断言してしまっていることから、本来ならば対立する理由のない進化論受け入れ側と創造説側の二つのグループが不必要な争いを行う結果となっている。

しかし創造説側は最近、といっても20年くらい前だが、科学説である進化論に打ち勝つためには、旧約聖書を持ち出してきてもそれは宗教だと片付けられてしまい、説得力がないことに気がついた。そこで彼らは創造説に科学的根拠があることを説明するために新たに「インテリジェントデザイン(ID)」という説を紹介した。

これは自然哲学で神の存在を証明する論理としてウィリアム・ペイリーの「盲目の時計職人」という説をもとにしている。複雑な構成を持つ時計が荒野に落ちていたら、それを作った時計職人がどこかに存在するように、他の複雑な実態も意図的に作った誰かが存在するはずだという理論である。地上に存在する生物、特に人間は、あまりにも複雑すぎる生体であり、誰かの意図的な設計なくしては説明できないというわけだ。無論この理論にはかなり穴があいているが、ベン・スタインの映画はこの理論を元にしている。

Expelled...はマイケル・ムーアも真っ青になるほど不公平で理不尽な構成になっている。先ず映画は冒頭のテーマソングでベルリンの壁を映し、東側の共産主義が進化論側で西側の自由主義がID側であると象徴。

スタインは進化論説者をダーウィニストと呼び、あたかも進化論がダーウィンという教祖によって創設されたカルトか何かのような表現をしている。しかも進化論を受け入れたら単に無神論者になるだけでなく、ユージェニクスを推進したナチスや共産主義者になるとさえ示唆しているのである。

これほど根拠もなく相手側を侮辱するやり方もないだろう。私は保守派評論家としてスタインのことはこれまで尊敬していたが、今回の映画を見てその卑怯なやり方に非常に失望した。根拠も示さずに感情のみに訴えるなら、左翼やリベラルと何の変わりもない。スタインはムーアより頭がいいだけ質が悪い。

スタインのやり方が卑怯な例のひとつとして、スタインはドーキンスのような進化論説者のなかでも過激な無神論科学者だけを集めてきて、「神など存在しない」と何度も繰り返させる。スタインは敬虔なクリスチャンであり克つ進化論を受け入れている遺伝子学の第一人者であるフランシス・コリンズのような科学者がいるにも関わらず、そういう人を一人も紹介しない。

映画の中でも進化論と宗教は矛盾しないと唱える人を紹介しておきながら、その人たちがどういう説を持ってして矛盾でないことを説明しているのかを紹介せず、あたかも彼らが信仰者をだまして進化論を受け入れさせようとしているかのようなコメントを入れている。皮肉なことにその一番の手助けをしているのが、進化論を信じる者は無神論者であると言っているドーキンスなのである。

はっきり言ってドーキンスのような無神論者とスタインのようなID論者は一つの硬貨の二つの顔だと言っていい。

科学を信じたら神を信じられないなど一体誰が決めたのだ?種の進化という真実を学ぶことによって神の力を信じられなくなるなどと本気で信じるなら、スタインこそ神への信仰に自信がない無神論者なのではないか?彼の信仰とはそんなにも軟弱なものなのか?

私は神の存在を信じる。科学を学べば学ぶほどその神秘さに驚嘆しない科学者はいないだろう。これこそ偉大なる神の創造であると信じることに何の無理があるというのだ?種族の進化こそ神の設計であると考えれば進化論と創造説に矛盾はない。何故ここに無意味な矛盾を見いだす必要があるのだろうか。これこそ信仰者を科学的に無知にしておきたい無心論者の陰謀を感じるのは私だけだろうか?

ところで、小山エミが無神論者たちが、無神論という宗教の信者になってしまっているのではないかと書いているがそれはかなり的を射ていると思う。

無神論者たちのふるまいは、信仰者のそれと何ら変わらないのではないかーーすなわち無神論者たちは、無神論という新しい宗教の信者であり、その他の宗教の信者と本質的に何ら変わらないのではないかーーという問いかけは、多くの人が直感的に感じるものだ。...

...ユートピア思想と選民思想(自分たちこそ最も優れた人間であるという思い込み)は、わたしが参加しているグループにおいても頻繁に感じた。かれらから見れば、宗教を信仰している人はそれだけでかれらより非理性的であり、冷笑するしかない対象なのだ。このままいくと、迷える子羊=信仰者を救うために無神論の布教活動でもはじめかねない。

進化論専門の科学者のなかに無神論者が多いことは確かだが、無神論を唱えるひとが必ずしも科学的な考えに基づいて無神になったというわけではない。進化論進化論と大騒ぎして創造説を馬鹿にする人々の間でも進化論が科学的に証明されているという事実だけを鵜呑みにしてその科学的な学説を何も理解せずにまるで信仰のように受け入れている人々がどれほどいることだろう。つまり、進化論そのものが信仰となっている人々が無神論を唱える人々のなかに少なからずいるのだということも念頭に置いておく必要がある。

科学は真実を求めるものにとってすばらしいものである。だが科学は中立だ。科学は道徳的判断を下さない。それを見誤ると無神論者も創造説者も同じ間違いを犯すのである。

神を信じるか信じないか、進化論では二つに一つの答えは見いだせないのだ。

アップデート: 本文中に引用した小山エミさんがこのエントリーへの返答をこちらでしている。それに対する私の返答はこのエントリーのコメント欄でさせてもらった。

May 9, 2008, 現時間 1:43 AM | コメント (7) | トラックバック (0)

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日付け → →May 8, 2008

レバノンでも、シーア対スンニの宗派間争い

シーア対スンニの宗派間争いといえば、イラクかと思うとそうではない。シリア系のシーア派ヒズボラがレバノンで地元スンニ派と熾烈な戦いを繰り広げている。

木曜日ベイルート市街地でシーアヒズボラはスンニ派レバノン政府軍によるシーア派武装解除に抵抗してロケット弾やマシンガンを使って応戦した。この戦いで4人が死亡、8人が負傷した。

スンニのリーダーであるサアード・ハリリはヒズボラの頭であるハサーン・ナスララに戦闘員を撤退させ「レバノンを地獄から救うよう」に呼びかけている。

今回の暴動のきっかけは、政府がヒズボラの取り締まりを強化すると発表し、その第一段階としてヒズボラ同士の交信ネットワークを違法と断定、ヒズボラとつながりがあるとされたベイルート空港の警備部長を交替させたことにある。

ナスララは全国放映のテレビ演説でヒズボラの交信ネットワークが2006年夏のイスラエルとの戦争の際に多いに役立ったとし、「対イスラエル・アメリカ抵抗運動への挑戦」だとして次のように宣言した。

「我々を逮捕しようとするものは我々が逮捕する。」「我々を撃つものは我々が撃つ、我々に上げられた腕は我々が切り落とす」

まったくいつもながらイスラム教過激派の言うことは勇ましい。やることはいつもお決まりの野蛮なテロ行為だが。

パレスチナでもイラクでもそうだが、中東で暴力沙汰が起きるたびに、常にイスラエルやアメリカが原因であるかのようにイスラム過激派は責任転嫁をするが、結局彼らのシーア対スンニという宗派争いに外部からの手助けなど必要ないのだ。彼らのぶつかるところ常に戦ありである。平和な宗教が聴いて呆れる。

とはいうものの、レバノンにおける宗派間争いにはシーア対スンニの勢力争いであることに違いはないが、その背後にはイランとサウジアラビアがいることも無視できない。

ヒズボラはシリア系のテロリストだが、その裏にイランがいることは周知の事実。イラクでサドルを使って宗派間争いを激化させようと色々工作をしているイランはレバノンでも同じようなことをやっているわけだ。

スンニ派のリーダーは近隣のスンニ派諸国に援助を訴えかけているが、サウジやエジプトは口は達者だが政府が直接介入することは先ずあり得ないだろう。ただしレバノンがシーア派国になるのはサウジやエジプトにとっても好ましいことではないので、対スンニテロ行為の資金援助くらいはしてくれるかもしれないが。

ヒズボラはいまのところベイルート空港を占拠しているが、レバノン政府軍は本格的な攻撃は始めていない。

May 8, 2008, 現時間 2:15 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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日付け → →May 7, 2008

エリート意識まるだし、ミッシェル・オバマの悲観的なアメリカ像

ジェラマイアー・ライトもさることながら、民主党大統領候補のバラク・オバマのミッシェル夫人の毒舌はかなりなもんである。

先日からロサンゼルスのラジオDJ、ヒュー・ヒューイットの番組でミッシェル夫人が先週から行っている選挙演説の抜粋を放送しているが、聴いていて信じられないような内容である。

先ずミッシェル夫人はオバマの民主党大統領候補指名が決定していない理由は常に周りの人間によって、目標の高飛びの棒が不当に上げられているからだと文句を言ったのにこじつけて、アメリカ庶民の生活も常に目標の棒が不当に上げられて人々は、どれだけ苦労しても目標に届くことが出来ないのだと語った。オバマ夫婦には庶民の苦労がよくわかる。何故なら自分たちも苦労している庶民だからだと言う訳だ。

ミッシェル夫人は自分たち夫婦が苦労人であることを強調したいらしい。

この間からバラク・オバマがペンシルベニアの有権者を卑屈になっているといって馬鹿にして以来、ライバルのヒラリー・クリントンがオバマをエリート意識に凝り固まり庶民の気持ちが理解できない人間だと言い続けているので、なんとかしてオバマ夫婦はこのイメージ打開をしようと必死なのである。エリート意識まるだしのヒラリーにエリート扱いされるんじゃオバマもおしまいだ。

バラク・オバマはケニアで白人のアメリカ女性とケニア男性の間に生まれた。両親はすぐ離婚し6歳まではハワイで育つ。その後母親の再婚相手のジャカルタの実家で4年間暮らす。その後はハワイへ戻って一流大学のコロンビア大学卒業後、これもまた一流のハーバード法律学校へ進み、弁護士となった。コミュニティーオーガナイザーとかいう訳の分からない仕事を数年した後、地方議員になり上院議員になりと、とんとん拍子で出世してきた人間である。

これがミッシェル夫人になると、もうエリートコースまっしぐらである。

ミッシェル・オバマ、1964年1月17日、イリノイ州シカゴ生まれ。 プリンストン大学を卒業後、ハーバード法律学校へ進み、シドニーオースティン法律事務所に勤務。年収楽に40〜50万ドルは稼いでいるエリート弁護士だ。

オバマ夫婦は二人の年収を会わせたら、楽に百万ドルは行くだろう。こんな金持ち夫婦の苦労とはいったいどんなものなのか、ミッシェル夫人の話を聴いていると思わず笑ってしまう。

ミッシェルは大学卒業後学生時代に借りたローンの返済額が月々の住宅ローン支払いよりも高かったと愚痴る。大学卒業した人間が借金だらけになる世の中は良くないと言いたいらしい。だが、一般家庭の人間はそんな借金してまで学費の高い名門校へなど行ったりはしない。何故ならそんなことをして卒業しても返せる当てがないからだ。ミッシェルがそこまでするからには返せる当てがあったということだ。それに普通の若い夫婦は大学卒業してすぐに百万ドルの住宅を購入するような余裕もない。

ミスター苺は学力ではプリンストンに受かったが、学費が高すぎてとうてい行かれなかったので、州立の大学へ行った。ミッシェルが借金したくなかったなら、無理して私立の名門校へなど行かず学費の安い州立のシカゴ大学へ行けばよかっただけの話。プリンストン大学へ行った人間が学生ローン返済に苦労したなんて、一般人にはばかばかしくて聴いてられない愚痴だ。エリート意識に凝り固まっているからこそ言える戯れ言である。

またミッシェルはバラク・オバマの母親の苦労話をする際に、彼女がカンザスの田舎町に生まれたにも関わらず大きな夢を持っていた、と語った。おいおい、カンザスの田舎町で生まれたら夢をもっちゃいけないのかよ、それってカンザスを馬鹿にしてないかえ?

ミッシェルは都会生まれなので常に地方の人間を馬鹿にする傾向があるが、こういうところにミッシェルのエリート意識が顔をのぞかせるのだ。この間のオバマのペンシルベニア州民への侮辱といい、今回のカンザス州民を田舎者扱いする態度といい、エリート意識まるだしだ。

しかもミッシェルはバラク・オバマが子供のころケニアやジャカルタといった第三世界に住んでいたことや、大学卒業後シカゴの貧民窟で住民救済活動をしていたことなどをあげて、バラクは「なにもかも見てきた」と自慢した。

ちょっとちょっと、ミッシェルさん、海軍の戦闘パイロットに志願して行かなくてもいい危険な任務に出かけていって北ベトナムの捕虜になり4年も捕虜生活をして拷問を受けたのに仲間を売り渡さずに帰ってきた人よりも、バラク・オバマは苦労人で何もかも見てきたって言うんですかえ?

ところでミッシェルはこの演説のなかで面白いことを言った

労働階級の庶民はどれだけがんばっても中々成功しない、自分も本来なら成功できない立場にあった。という文脈でミッシェルは自分は学校の成績は良くなく、全国の学力テストでも低い点数を取ったという。だから本来ならばプリンストンへも行かれないはずだったというのだ。ハーバードへも進めないはずだったと。

おかしいなあ。どうして点数が足りない人間が名門校に入れたのだろうか?もしかしてミッシェル・オバマは黒人優遇制度のアファーマティブアクションに救われたのでは?

そういえば、ミッシェルは学生時代にどうも自分が教授や同級生たちからよそ者扱いされてるように感じたと書いていた。自分はここに属しないという実感があったと。私はこれは彼女の被害妄想だと考えていたが、もし彼女が学力が足りないのにAA制度のおかげで身分不相応な大学へ進んだとすれば、周りから白い目で見られたとしても不思議はない。彼女が自分はこの大学に属しないと感じたのは実際彼女が属しなかったからなのではないだろうか。

ミッシェルが卑屈なのはアファーマティブアクションで不当に優遇されなければ成功できなかったという後ろめたさがあるからなのかもしれない。

May 7, 2008, 現時間 11:32 AM | コメント (2) | トラックバック (0)

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日付け → →May 2, 2008

イラク軍シーア派民兵との戦い、壊滅状態のマフディ軍

The English version of this entry can be read at Biglizards.net/blog

3月25日、イラクのノーリ・アルマリキ首相はバスラのサドル派民兵に向かって驚くべき抜き打ち攻撃をおこなった。そのあまりの抜き打ちさにマリキ首相は攻撃が始まって二日後になるまでアメリカ軍にシーア派退治を始めたことを知らせるのを忘れていたほどだ。

アメリカ軍はあわててイラク軍に追いつくべく近距離空援助や必要な後方援助を送り込んだ。当初はバスラの戦いはかなり危なっかしい状態に見えた。ケツの青いイラク軍の一隊など敵に圧倒されて退散するという一幕もあったが、マリキ首相は即座に援軍をおくりこんで開いた穴を塞いだ。バグダッドのスラム街であるサドル市で別の前線が展開されたが、そこではアメリカ軍が先導してマフディ民兵らに立ち向かい大勝利を得た。

熾烈な戦いが繰り広げられたが、イラク軍の指揮のもと、最終的にはアメリカ民主党がイラクが独立国として成立するに必要不可欠として挙げていた条件が満たされる結果となった。モクタダ・アル・サドル率いるシーア民兵に断固立ち向かうことによってシーア多数派はシーアだけでなくイラク全土を統治する資格があることを証明したのである。民兵軍をサドルが率いるとはいっても、サドルがイランに逃げ隠れしてからすでに一年近くなる。実際にサドルがどれだけマフディ軍に影響力をもっているのかかなり疑問だ。

一ヶ月以上になる戦いだが、マリキが賭けに勝ったことはかなり明らかになってきた。

  • サドル派はバスラをはじめ他の市や地区で完全に撤退状態で、サドル市では壊滅状態にある。
  • サドル派への攻撃によってマリキ首相をついに信用することにしたスンニ派のタリーク・アルハシーミ副大統領がスンニ派政党に政権に戻るように呼びかけた。
  • サドル自身は完全にその不能さをみせ、イラク政府に対して全面戦争の脅しをかけておきながら、マリキの騎士の突撃作戦の勢いが全く弱まらないのに腰を抜かして数日後には再び停戦を嘆願するという弱さをみせている。
  • マリキ首相は引き続き攻撃をすすめており、今や後片付けの段階にはいっている。イラク軍は兵站(へいたん)と近距離空軍の援助さえあれば独自に軍事作戦が行えるということを証明した。そして全党参加の政権統一も含め、アメリカの民主党がイラク政府に要求していたすべの条件が整いつつある。

その詳細を吟味してみよう。

ハシーミ副大統領の帰還非常に重要だ。スンニはイラク生誕に必要な半分の要素だからだ。

イラクの首相は日曜日、スンニの副大統領と会合しスンニ派政党をシーアが独占している政権に復帰させるべく話あった。一方バグダッドでは衝突と自爆攻撃で5人が死亡したと警察は発表した。(ミスター苺注:この二つのニュースにどういう関係があるってんだ? 「バラク・オバマとヒラリー・クリントンが弁論会をおこなった。一方アメリカ全土で47件の殺人事件がおきた。」なんて記事想像できるか?)

ノーリ・アル・マリキ首相とタリーク・アル・ハシミ氏との会合はスンニのリーダーであるハシミ氏が政治的ボイコットをおこなっていた(スンニ派政党)National Accordance Frontに政権に戻るように呼びかけた翌日におこなわれた。

アル・ハシミ氏はアル・マリキ氏のもっとも厳しい批評家で(首相は)シーア派贔屓をしていると非難していた。一方でマリキ首相は副大統領は重要な立法を妨害していると苦情を述べていた。しかしアル・ハシミ氏をはじめスンニのリーダーたちはアル・マリキ氏によるシーア民兵取り締まりにほだされた模様である。

これに対してサドルの衰退ぶりは見ていておかしい。まず4月19日現在の 強気のサドル

反米のシーア聖教師モクタダ・アル・サドル師はアメリカ・イラク軍による彼の従者への取り締まりが止まない限り、新しく挙兵すると脅した。

師はこれがイラク政府に対する最期の警告だとし、米国軍と協力するのを直ちにやめなければ「解放のため会戦する」と宣言した。

土曜日の声明はアル・サドルのウェッブサイトに掲載された。

7ヶ月にわたる停戦を解除するという警告はアルサドルのマフディ民兵軍とアメリカ・イラク軍がバグダッドのサドル市と南部のバスラで戦いを繰り広げる最中にされたものだ。

ノーリ・アルマリキ首相もまた、マフディ軍が解散しない限りサドル派は政治的に孤立するであろうと語った。

ところが数日後の4月26日になるとサドルは完全に尻尾を巻いて逃げ腰だ。

過激派聖教師のモクタダ・アル・サドル師は金曜日、流血を終わらせるよう呼びかけた。師は「会戦」の警告はアメリカ軍が指揮する外国軍のみにしたものであると説明し、従者への取り締まりを巡るイラク政府との正面きっての挑戦を取り下げた。

一方でノーリ・アル・マリキ首相はアル・サドルのマフディ民兵軍及び違法武装集団への厳しい取り締まりを強化し、武装解除を含む軍事行使中止の条件を整えた。

アル・サドルの新しい声明文は説教の中で述べられ、師のウェッブサイトに掲載された。これによって最近向上した警備体制を脅かす反米聖教師による8ヶ月近い停戦の解除は免れた。

「我が輩は警察や軍隊やマフディ軍の兄弟たちに呼びかける。流血を止めよ!」とアルサドルは声明の中で語った。「我々は正裁と安全を達成させる傍ら、あらゆるかたちの抵抗を支持すべきである。」

全体的にみてイラクの4月は民主主義にとって非常に良い月だったといえる。そして混乱と人命生け贄派のテロリストたちにとっては 悲劇的な月となった。このようなすばらしいニュースを主流メディアはどのように報道しているであろうか? 主流メディアがバスラやバグダッドでの戦いや南部でのマフディ軍の壊滅ぶりについてなんと説明しているかといえばこの通りだ。

イラクの米軍戦死者ここ7ヶ月で最高に

バグダッドで別々に起きた攻撃によりアメリカ兵5人が戦死、これで4月のアメリカ兵戦死者数は49人となり去年の9月以降で最高の死亡率となった。一人の兵士は乗っていた戦車が路肩爆弾に乗り上げ命を失った。二人目は小銃でうたれた傷が元で死亡したと水曜日、軍は発表している。どちらの事件も火曜日バグダッドの北西で起きた。

三人目は水曜日の早朝、首都北部の地区で徒歩パトロール中に爆弾にあたって死亡した。またバグダッド南部では路肩爆弾によって二人の米兵が死亡したと米軍は別々の声明で発表した。

米軍戦死者はサドル市やその他の地区ですでに一ヶ月以上おこなわれているシーア民兵と米・イラク軍との戦いが激化するにつれ増えている。

アソシエートプレス(AP)の合計によるとイラク戦争が2003年3月に始まって以来少なくとも4061人の米軍兵が戦死している。

「我々は、この戦いは厳しく、過激派と対抗する時期があり、これらの犯罪集団やアルカイダテロリストたちは復活しようするであろうことは、当初から言い続けてきました。」 と米軍報道官のケビン・バーガー少将はバグダッドで記者団に語った。

「ですから我が軍の犠牲や、イラク軍やイラク市民の犠牲はこの試練を反映するものであります。」バーガー少将はアメリカ兵の戦死者増加の背景に関する質問に対してこのように答えた。

アルカイダの数倍のイラク市民を殺害してきたイラクで最も暴虐的な犯罪グループであり、イラクの安全に一番障害を及ぼすシーア派民兵らとの戦いが、APにかかると単なる米軍戦死者数増加という記事になってしまうのだからひどい!

それだけではない。もっと質が悪いのは、APは報道官の声明文を文脈を無視してところどころ自分らに都合のいいところだけ引用することによって、あたかもシーア派民兵軍との戦いは敵側からもちかけられたような印象をあたえていることだ。まるでサドル派が「復活しようと」抵抗力のないアメリカ軍兵を殺し始めたかのような書き方なのだ。APの記者たちは自分らが戦闘テンポに無知なあまり現実とは正反対のことを報道していることに気がついているのだろうか?記者たちは民主主義の軍隊がテロリストに戦いを挑めばこちらの犠牲者が増えるという事実など考えも及ばないようだ。

ところで戦死者数といえば、これまで発表された数によれば4月中に戦死した英米味方側の戦死者数は45人だが、敵側マフディ軍はなんと400人から1000人を失っている。戦死率は15:1の割合で敵側が圧倒的な打撃を受けていることになる。ペンタゴンは戦死者数を発表したがらないが、これは味方側の圧勝ではないか!

もっとも2008年4月の戦死者数にこだわってるAPは、2007年9月の戦死者数を明らかにしていない。多分それは去年9月の数を発表してしまうといわゆる「増派」が成功したことを証明してしまうからだろう。

では9月の同盟軍戦死者数はどうだったのかというと、Iraq Coalition Casuality Countによると69人だった。(一日平均2.3人)つまり今年4月の戦死者数は去年の9月に比べて2/3に減っているのだ。そして去年の9月といえばすでに対抵抗軍作戦が中盤にはいり味方側の戦死者数が大幅に減少の傾向にあった時期である。2007年5月のピーク時では131人の戦死者が出た(一日平均4.23人)それに比べたら今年4月の戦死者はこちら側からの攻撃を行っているにも関わらず1/3に減っているのである。

iCasualitiesによれば4月のイラク市民の犠牲者数は565人とある。2007年9月の数は752人だったが、2007年の2月は2864人だった。これに比べたら2008年4月の死者数はたったの去年2月の22%にしか満たない。普通、市民の死亡率が78%も減ったら味方側による市民の安全保障作戦はうまくいっていると判断するのが妥当だ。しかしアメリカの主流メディアは市民の犠牲者数が78%も減ったというすばらしい事実は報道せず、味方軍の戦死者数が多少増えたことを強調するしか脳がないんだからしょうがない。

こんな戦争ジャーナリストなんて必要あるのかね。

May 2, 2008, 現時間 5:27 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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