日付け → →December 30, 2007

イラク戦争新作戦が花を見た2007年を振り返る。裏目に出たサドル派の潜伏作戦

2006年の暮れにアメリカ軍の新作戦が発表されて以来、シーア派抵抗軍のリーダーであるモクタダ・アル・サドルはシーア民兵らにアメリカ軍に抵抗せずにしばらくおとなしくしているようにと命令した。サドルはアメリカ軍の新作戦はうまくいかないと踏んでいた。いや、例え多少の成果があったとしても、不人気なイラク戦争をアメリカ軍が継続することは不可能であるから、しばらく大人しくしておいて、ほとぼりが冷めたらまたぞろ活躍すればいいと考えたのである。カカシは1月26日のエントリー、サドルの計算違いで彼の作戦には三つの問題点があると指摘した。

  1. 意図的にしろ無理矢理にしろ一旦敵に占拠された領土を取り戻すとなると、もともとの領土を守るようなわけにはいかない。...アメリカ軍は一旦占拠した土地に学校をたてたり病院をたてたりするだろうし、地元のリーダーたちと協力して自治が可能な体制をつくるだろう。LATimesによれば、サドル派が占拠していた界隈でも民兵らの横暴な態度に市民からの不満が高まっていたという。サドル派民兵が留守の間に地元民による平和な自治が設立しイラク軍による警備が行われるようになっていたら、ただの愚連隊の民兵どもがそう易々とは戻って来れまい。
  2. いくらこれがサドル派の生き延びる作戦とはいえ、それを教養のないシーア派民兵連中に理解することができるだろうか?...サドルはおれたちを犠牲にして自分だけ助かろうとしているのではないだろうか、などという疑いがサドル派の民兵連中の間で生まれる可能性は大きい。民兵たちは正規軍ではない、ただのギャングである。何か月もサドルのいうことをきいて大人しくしているとは思えない。...自分勝手に暴れた民兵たちが大量にアメリカ軍やイラク軍に殺されるのは目に見えている。
  3. シーア派民兵が抵抗しなければバグダッドの治安はあっという間に安定する。つまり、サドルの思惑はどうでも傍目にはブッシュの新作戦が大成功をしたように見えるのである。...勝ってる戦争なら予算を削ったりなど出来なくなる。そんなことをすればそれこそアメリカ市民の怒りを買うからだ。結果アメリカ軍は早期撤退どころか、イラクが完全に自治ができるまで長々と居座ることになるだろう。

自分では部下達に迫る米軍の圧力に抵抗せずにおとなしくしていろと命令しておいて、2月13日になるとサドルは直属の部下と家族をつれてイランへ遁走してしまった。これによってそれまでカカシがサドルはイランの飼い犬だという度に、そんな証拠はどこにあるのだといっていた人たちをだまらせることになった。

サドルの遁走がイラクに残された部下たちをかなり不安にさせたのは言うまでもないが、2月後半になるとサドルはシーア派民兵の神経を逆なでするような行為をいくつも企んだ。

私はシーア派への連続爆弾攻撃はサドルの仕業? まさかねでサドルが、自分の支持するダワ党のライバル党であるイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)の有力者アデル・アブドゥール・マフディ副大統領を暗殺しようとしたのではないかと書いたが、サドルが抹殺しようとしているのはライバル党の政治家だけでなく、自分に忠実でないと思われるマフディ内部の幹部もその対象になっているようだ。

ご存じのようにサドルはイランあたりに隠れて影からイラクのマフディ軍に命令を下しているが、サドルは密かに信用できる幹部はイランなどの避難させ、気に入らない部下を連合軍に売り渡しているらしい。このやり方でサドルはすでに40人以上のマフディ幹部を中和してしまったという。

3月半ばになると私がした予測した通り、サドルシティのようなサドルシーア民兵の本拠地ですらも、シーア派市民がマフディ軍よりもアメリカ軍を信用し始め、市内警備に関する交渉を初めたりしていた。それに反感をもったマフディ軍の一部の過激派がアメリカ軍と交渉していたマフディ軍幹部の人間を暗殺するという事件が起きた。これも、マフディはギャングで正規軍ではないから簡単にコントロールなど出来ないだろうといっていた私の予測どおりの結果だった。

4月8日ナジャフにおいてこれまで米軍への潜伏作戦を呼びかけていたサドルは態度を一変させて反米デモ行進を呼びかけた。それというのも4月になるとサドルの無抵抗潜伏作戦が完全に裏目に出たことがサドルにもわかってきたからだ。

サドルの狙いに反してマリキ政権はシーア派取り締まりに真剣に取り組んだ。マフディ軍はバグダッド中心部から即座に追い出され南部へと追い込まれている。しかもバグダッドを退散した民兵たちはイラン国境近くのディワニヤ地域でアメリカ軍空軍による激しい攻撃を受けている。

また、...マフディ軍のなかにもイラク政府に本気で協力しようという勢力と断固協力できないという勢力との間で亀裂が生じてきている。ビル・ロジオのリポートによればイラク政府に協力する勢力はどんどん増えているという。

となってくるとサドルの潜伏作戦ではアメリカの新作戦が時間切れになる前にマフディ軍の勢力が大幅に弱体化し、アメリカ軍が去った後に戻ってくる場所がなくなってしまう危険性が大きくなったのだ。そこでサドルは今必死になって作戦変更。イラク軍にたいしてもマフディと戦わないでくれと嘆願書まで送り出す始末。

しかし数カ月前の2006年8月のデモ行進では少なくとも20万人を集めたサドルも、4月の行進に集まったのはたった5〜7千人程度だった。しかもサドルは何を恐れたのか自分が主催したデモ行進に顔もださず、集まった支持者たちをがっかりさせた。

自分がイラクにいないことで支持がどんどん下がっていくのを感じたサドルは5月に一時帰国している。しかしその結果がどうなったかカカシの7月11日付けのサドル、イランへ逃げ帰るを読んでみよう。

マリキ首相はサドルの期待に反して嫌々ながらも米軍とイラク軍のシーア派征伐に協力した。その結果バグダッド市内における宗派間争いによる大量殺人は40%以上も減り、マフディ軍はイランの援助を受けているにも関わらず、どんどん勢力を失いつつある。

あせったサドルは作戦を変えて米軍に対抗しろとイランから命令をだしたり、デモ行進を催したり、サドル派の政治家を政府から撤退させイラク政府に大打撃を与えようとしてたが、すべてが裏目にでた。

こうなったら自分から出ていってなんとか急激に衰える自分の人気を取り戻さねばとサドルはこの5月久しぶりにイラクに帰国した。帰国してからサドルは穏健派の国粋主義の指導者としての立場を確保しようとしたがこれもうまくいかず、切羽詰まったサドルはアンバー地区のスンニ派政党とまで手を結ぼうとしたがこれもだめ。マリキ政権からはすでに撤退してしまったことでもあり、サドルのイラクにおける勢力はほぼゼロとなった。

三度目の正直で7月5日にシーアの聖地アスカリア聖廟までデモ行進を行おうと支持者に呼びかけたが、参加者不足で立ち上がりすらできない。サドルはマリキ政府が十分な警備を保証してくれないという口実を使って行進を中止した。

すっかりイラクでの勢力を失ってしまったモクタダ・アル・サドルは最近なにをやっているのかというと、聖教者としては最高の資格であるアヤトラの資格をえるため受験勉強に励んでいるという話だ。以前にもイラク人のブロガーがサドルの話かたは非常に教養がなく、父親が有名なアヤトラでなければ誰も息子サドルのことなど相手にしなかっただろうと書いていた。サドル自身、今後シーア派のイラク人から尊敬をえるためにはやはりアヤトラの資格をとってハクをつける必要があると悟ったのだろう。

サドルの現在の肩書きは比較的低い位のhojat al-Islamだそうで、これだと部下たちは宗教的アドバイスをもっと位の高い聖教者からあおがなければならないのだという。だがもしサドルがアヤトラになれば、ファトワなどの命令を出すこともできるようになり、宗教的リーダーとしても権力を強めることになる、、というのがサドルの狙いである。

サドルのこの新しい作戦がうまくいくかどうかは分からないが、これまでにもサドルは何度もカムバックをしているので、ばかばかしいと一笑に付すわけにはいかない。だが、2007年において、アメリカ軍の新作戦に対抗しようとしたサドル派の潜伏作戦は完全に失敗した。サドルの行動はなにもかも裏目にでたのである。

December 30, 2007, 現時間 10:22 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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イラク戦争新作戦が花を見た2007年を振り返る。裏目に出た米民主党の反戦政策

イラク戦争は今年にはいって新しい局面を迎えた。それはこれまでのようなラムスフェルド防衛長官とケーシーやアビゼイド将軍が取り入れていた、『アメリカ軍の足跡をなるべく少なくする』作戦から、新しいゲーツ防衛長官のもとペトラエウス将軍のアメリカ軍の存在を全面に押し出して戦う、対反乱分子作戦(Counter Insurgency)いわゆるCOIN(コイン)作戦が取り入れられた。

これに関して私は今年のはじめに「こうなるのではないか」という予測をかなりたてたが、それがどのくらい現実となったかここでちょっと一年を振り返ってみたい。

しかしその前に、一般的に『増派』と呼ばれたこの新作戦がそれまでの作戦とどのように違うのか、もう一度おさらいしてみよう。下記は1月11日のエントリー、ここが知りたい! ブッシュ大統領のイラク新作戦質疑応答で私が説明したものだ。

  • 兵士らの再出動 -- 18 のイラク旅団 (6万兵以上)そしてアメリカ軍5旅団( 17,500 陸軍兵と海兵隊員)イラク国内において攻撃制覇するためバグダッドに関門を設置。さらに4000の米兵とイラク兵(未定数)をアンバー地区に導入。アルカエダを含むスンニテロリストの家々を最近アルカエダに反旗を翻した地元の族長らと協力して攻撃する。
  • 占拠した領土をこれまでより長期に渡って制覇する。少なくとも18か月は保持し敵が舞い戻ってくるのを防ぐ。これによって大事な中央部を敵から奪い取り長期にわたって敵の動きを阻止できる。安定したら地元のイラク軍に治安をまかせる。
  • イラクのマリキ首相にバーダー旅団やマフディ民兵軍などのシーアの民兵も含みどの武装集団も例外なく, 攻撃すると一筆書かせて約束させた。
  • 攻撃規制(ROE)を大幅に緩和し、米軍及びイラク軍が武装集団と戦闘しやすいようにする。

さて、これに対する米民主党の反応はといえば、『ナンシー・ペロシ下院議長にしろ、ヒラリー・クリントンにしろ、皆声をあわせて「何のかわりもない」「これまでどおりの愚作」といった言葉を繰り返し、全く効果もなく希望もない作戦に兵だけ増やしてアメリカ軍の尊い命を危険にさらそうとしている、といった非常に不誠実な批判をあびせている。』というものだったので、私は1月15日のイラク政策、民主党の新作戦で、ブッシュの新作戦が失敗するに決まっていると決めつけるのは民主党にとってよくないことなのではないかと書いた。

米民主党に関するカカシの予測:『民主党の反イラク戦争政策は新作戦の成功によって裏目にでる』

ブッシュが議会の協力を必要とするのは現在イラクにいる軍隊の引き継ぎの軍隊を動員する際に必要経費の予算案を議会に提出する時である。それまでにはまだ数カ月ある。もしこの間にブッシュの新作戦が全く効果をあげず、今と同じ状態なら議会が予算増強を拒否しても国民による民主党への批判は少ないだろう。だがもしも、ブッシュの新作戦が少しでも成功し6か月後にはイラクが良い方向へ向かっている場合には民主党が軍事予算をごねるのは難かしくなる。しかもこの予算案の通過がごたごたして時間がかかり過ぎると2008年の選挙運動に突入してしまい、共和党議員から民主党は自分達の政治的野心のためにアメリカ軍の任務を妨害して勝てる戦争に負けようしていると批判されかねない

思った通りイラク新作戦は4月頃になると、まだ基盤作りの段階で増派も完全に行われていなかったにもかかわらずかなりの効果をあげはじめた。そこで困った民主党のハリー・リード党首は、なんとか新作戦の邪魔をしようと我々は「イラク戦争に負けた」という敗北宣言をし、さらに10月から米軍を大幅に撤退すべきだという議案まで提案した。

このリード議員の降伏運動はこの発言にとどまらない。同議員は数日中に民主党が多数派を占める議会において米軍のイラク撤退を10月1日から6ヶ月かけておこなう議決案を通すと宣言した。

無論このような議案は上院でも下院でも通るはずはない。だが大事なのは議案が通るかどうかではなく、アメリカ国内及び国外へアメリカ議会はイラク撤退を考えていると提唱することに意義があるとリード議員は考えているわけだ。(イラク及び中東を混乱に陥れようというならこれはいい考えと言える。)

この議案が通らなかったのは言うまでもないが、民主党はこの後も拘束力のないイラク戦争批判議案をとおしたりしていた。5月26日になると肝心のイラク戦争予算案はブッシュ大統領の提案に民主党は完全に折れてしまった。民主党はごちゃごちゃ文句をいっている割には、結局どれだけブッシュ大統領に権力があるのかを証明してしまったようなものだった。

さて新作戦が本格的に開始され反戦ムード一色だったアメリカの主流メディアでさえイラクからのいいニュースを報道しはじめると、民主党はさらに苦しい立場に追い込まれた。それに加えて、イラクを視察訪問した民主党の議員たちが帰国後、次々にイラクは良くなっていると報告したことからそのうろたえぶりは見苦しいものがあった。8月5日にはサウスカロライナ代表民主党下院幹事のジェームス・クライバーン議員がイラク戦争の成功は民主党にとっては問題だなどとうっかり本音を漏らす事件すらあった。私はこの民主党のうろたえぶりを8月23日付けのイラク新作戦の成功にうろたえる民主党反戦派でこのように書いた。

民主党としてはイラクでのペトラエウス将軍の新作戦がうまくいきすぎて反戦派でも否定できないほどの成果をあげてきた今となっては、いくら民主党にとっては都合が悪くても、いつまでもイラク戦争は大失敗だったなどと繰り返していては国民からの信用を失う。なんとか国民の信用を保持して勝っているイラク戦争に負ける方法を考えなければならない。

そこで下院幹部会長のラーム・エマヌエル議員は昨日、イラク視察から帰ったばかりで、イラクからのいいニュースを報告した民主党の新人議員を対象に電話をかけまくり、民主党の新しいメッセージを指導した。この新しいメッセージとは、「イラクでの新しい軍事作戦は今のところ多少成果をあげている、、しかしイラクの中央政府はまだまだまとまりがない、中央政府のまとまりなくしてイラクでの成功はあり得ない」というものだ。

なにしろ民主党はイラク戦争を批判しながらもアメリカ庶民から人気のあるアメリカ軍を批判することは出来ない。その上に今度はイラク新作戦の成功まで考慮にいれて、それでも戦争反対を正当化する演説をしなければならないのだから、これは大統領に立候補している候補者たちとってはかなり難かしい綱渡りになっている。

9月11日にイラク戦争の総司令官であるデイビッド・ペトラエウス将軍による議会での質疑応答があったが、ヒラリー・クリントンをはじめ民主党議員たちは、イラク情勢は向上しているという将軍の証言に猜疑的な意見を述べたばかりでなく、特に大統領に立候補しているヒラリー・クリントンなどはペトラエウス将軍の報告は「意図的に不信感を棚上げにしなければ信じられない」などと遠回しに将軍及びアメリカ軍は嘘つきであると軍全体を侮辱した。

11月も後半になってくると、新作戦の成功は誰にも否定できなくなった。それで反戦いってんばりでやってきた民主党や民主党の大統領候補たちもこの状況の変化にあわせた選挙運動をするべく作戦変更にやっきになった。カカシの11月25日のエントリーでは、主流メディアのニューヨークタイムスによる民主党大統領候補たちへのアドバイスを紹介した。

ヒラリー・ロダム・クリントン上院議員とバラク・オバマ上院議員の選挙アドバイザーたちは、増派後のイラクにおいて警備状況が良くなっているという事実を見てきた以上その成果を認めないのは間違いだと結論づけている。しかし同時にアメリカ軍の死傷者はまだ多すぎること、早急な撤退こそがこの戦争を終わらせる唯一の方法であり、いわゆる増派はイラクの政治過程には成果をあげていないことを強調している。

つまり、アメリカ軍の努力は認めながらも、まだまだ十分ではないという主題で貫こうという作戦のようだ。なにしろイラク戦争の失敗を振り上げてブッシュ政権並びに共和党を攻撃してきた民主党だけに、戦争に勝てそうだなどという現状は非常に都合が悪いわけだ。

しかしニューヨークタイムスは、民主党候補たちは気をつけないと共和党候補者らに、勝てる戦争を時期尚早な撤退によって負けようとしている、民主党は敗北主義だ、と攻撃されかねないと指摘する。

攻撃されかねないもなにも、実際敗北主義なのだから仕方ないではないか。選挙に勝つためになんとかアメリカにはこの戦争に負けてもらわなければならない連中なのだから。

「イラクの希望的な状況が続く限り、一般選挙におけるイラク関係の政治は劇的な変化を遂げるでしょう。」とブルッキングス・インスティトゥーションのマイケル・E・オーハンロン氏。氏はクリントン女史の支持者であり、軍隊増派賛成派でもある。「もしイラクが少しでも救いようがあるなら、候補者としてどのように救うのかを説明することが大事です。どうやって戦争に負けずに軍隊を撤退させるのか、民主党は何と言うか自分らを追い込まないように非常な注意を払う必要があります。」

結局民主党は私が今年初めに予測したように、イラク戦争を阻止するための予算削除をすることも、イラクから米軍を撤退させることもできないうちに今年の議会は終了してしまい、問題は何の解決もみないまま来年の一般選挙へと持ち越されてしまったのである。

民主党は先の中間選挙で多数議席を獲得した理由が国民の反戦意識を反映するものだったと勘違いしたが、私は当初から、これはアメリカ国民がイラク戦争で勝っていないことの不満の現れなのであり、戦況がかわれば国民意識も変化すると書いていた。

この国民意識なのだが、実は11月27日にビューリサーチセンターの世論調査が発表されていた。そのことについて書くつもりだったのだが、忙しくて今まで取り上げることができないでいた。この調査によるとかなり久しぶりに約半分のアメリカ市民がイラク戦争について楽観的な見解をもつようになったという結果が出ている。アメリカ軍による作戦がイラクで功をなしていると答えたひとが増え、さらにそれ以上の人が、アメリカ軍によってイラク人の犠牲が減り、敵が打ち負かされ、イラクの内乱が阻止されたと答えたという。

というわけで、私が今年の一月当初に予測した、『民主党の反イラク戦争政策は新作戦の成功によって裏目にでる』という私の予測はあたったようである。

December 30, 2007, 現時間 3:32 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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日付け → →December 27, 2007

カナダ:イスラム批判は人権迫害? その2

先日カナダ:イスラム批判は人権迫害?で、カナダの人権擁護審議会(HRC)が新聞やブログなどの記事を対象に言論弾圧を行っているという話をしたばかりだが、実は今日になってイスラム教徒の法律学生数人がマクリーン誌を相手にHRCに苦情を申し立てたきっかけとなった記事は、私がこのブログでも何度か取り上げたマーク・スタインというカナダの作家の書いたThe Future Belongs to Islamであったことを知った。

当のマーク・スタインのブログによると、ことのきっかけは2006年10月にスタインが書いた欧米に増えつつあるイスラム教徒の人口に関する記事に数名のイスラム教徒法律学生が記事を載せたマクリーン誌に反論を載せたいと申し出て断られたことから始まる。(スタインのコラムの内容は私が以前に紹介した彼の著書の内容を短くまとめたものだ。)

これについて、HRCに訴えた学生たちのいい分はこうだ。自分らは言論の自由を重んじるため、スタインの記事を掲載したマクリーン誌の編集者と合ってスタイン氏の示すイスラム恐怖症見解の内容への反論をお互いに同意できる著者によって書くことを話しあった。

マクリーン誌はそんな反論をのせるくらいなら破産したほうがましだと答えたため、我々は人権擁護審議会に苦情を申し出た。これは少数民族が自分達に関する議論に直接異論を唱える言論の自由を持つのか、それとも迫害されるのかという問題だ。我々の調査によればマクリーンは過去に2005年の1月から2007年の7月にかけて18件にもわたるイスラム恐怖症内容の記事を掲載している。イスラム教組織からの反論は何回掲載されているかといえば全くゼロである。

しかしマクリーン誌側のいい分は原告のそれとはかなり食い違っている。

当事者の法律学生たちは記事が掲載されてから5か月も経ってから我々に合いにきた。彼等は反論する機会を与えてほしいと言った。我々はすでに多くの反論を投書欄で掲載したが、穏当なものであれば掲載を考えてもいいと答えた。彼等は5ページにわたる記事を彼等の選んだ著者にかかせ、つづりや文法の間違い以外の編集は認めないことを要請した。また彼等は反論が表紙のアートで紹介されることを要求した。我々はそれはとても穏当な要求とは考えられないと答えた。彼等がその要求を主張し続けたため、外部の人間に我々のやり方や雑誌の内容を逐一口出しされるくらいなら破産した方がましだと答えた。いまでもその気持ちは変わらない。

むろん学生たちの目的はもともとマクリーン誌に反論を載せることにあったのではない。それが目的ならマクリーン誌に拒絶された時点で、リベラルなライバル紙にでも「マクリーン誌のイスラム教恐怖症を暴く」とでもいって原稿を提出すればどこかの新聞が取り上げてくれたことは間違いない。いや、それをいうなら、マクリーン誌も指摘しているように穏当な条件で反論を提出すればよかったのである。

だが、彼等の目的はもともとスタインの記事に反論することではなく、マクリーン誌のような保守派の雑誌や新聞がイスラム批評をするのを阻止することにあったのだ。つまり、彼等はもともとわざとマクリーン誌が受け入れられない無理難題を要求してそれが断られたら人権を迫害されたといって人権擁護審議会に訴える計画だった。カナダのHRCは親イスラム教で反保守派なので、彼等が原告の訴えに同情的な判決をくだすことは十分に期待できたし、そうでないまでも訴えられたマクリーン誌は弁護のために多額の金額を浪費しなければならなくなる。

この訴えに勝っても負けてもマクリーン誌がうける損害は多大だ。となれば、今後マクリーン誌のみならず、他のメディアもHRCへの訴えを恐れてイスラム批判の記事を掲載できなくなる。学生たちの狙いはここだ。カナダのメディアからいっさいのイスラム批評を弾圧させようというのだ。彼等は自分らの言論の自由が迫害されたの何のといいながら、彼等の最終目的はイスラム批判をする人々の言論を弾圧することにある。自分らの人権が迫害されといいながら、本当の目的は他者の人権を迫害することにあるのだ。

そしてカナダの人権擁護審議会はその人権迫害言論弾圧の共犯者と成り果てているのだ

これについてスタイン自身はこのように語る。

結論からいうならば、私は自由にカナダで生まれた市民がカナダ政府の許可なくして私のコラムを読めないという考えそのものを拒絶する。腹立たしいのは(苦情を提出した)エルマスリー教授やその仲間たちの苦情ではなく、カナダの似非裁判所が彼等の訴えを真剣に聞き入れたことだ。私は判決など全く興味がない。ただ無実に終わることはかえって民間経営の雑誌の編集長として政府が口出しする行為を正当化することになる害があると思うが。 デイビッド・ワレンも指摘しているように罰は判決そのものではなくその過程にあるのだ。何千万ドルも使って自分らが正しいと議論することは言論の自由に何の役にもたたない。これは新聞の編集者や書籍の出版社や本屋の経営者たちに、この種の本を出版したり掲載したり販売したり掲示したりするのはやっかいなだけで何の得にもならないという合図をおくることになり、カナダにおける言論の自由を弾圧することにつながるのだ。

これは政治的起訴なのであり政治的に反撃すべきなのだ。「原告」は明らかにそのことを承知している。彼等が(編集長の)ケン・ホワイトに合いに行ってマクリーンから賠償金を要求した時から承知していたのだ。私は憲法上においてこの過程自体を転覆させたい。そうすることでカナダ人がアメリカやイギリスやオーストラリアの読者と同じように(自分達で)私の著書の善し悪しを判断し、市場がその価値の有る無しを決めるようになってほしい。ノルウェーのイマームがノルウェーについての発言ができるというのに、カナダの雑誌がその発言を掲載することが「憎悪犯罪」になるなどというのは、すべてのカナダ人にひどい恥をかかせることになる。

皮肉なことに、スタインはトルコやインドネシアのイスラム教出版社からコラムの掲載を打診する話がきているという。イスラム国の出版社よりもカナダの人権擁護審議会は偏狭だとは全く嘆かわしいとスタインは語る。

December 27, 2007, 現時間 4:13 PM | コメント (0) | トラックバック (3)

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護衛艦「こんごう」の写真

海上自衛隊のお友達から護衛艦「こんごう」の先の実験成功の時の写真をもらったので掲載しておく。



SM3-Reduced

「こんごう」から発射されるスタンダードミサイル3



USSLakeErie-Reduced

アメリカのイージス艦USSレイク・エーリー(手前)と「こんごう」(後ろ)



JSKongo-Reduced

空から見た護衛艦「こんごう」


浮雲日記さんとこでも、真珠湾の港にとまっている「こんごう」の写真が見られる。

また実験成功のビデオはこちらどうぞ。

December 27, 2007, 現時間 12:58 AM | コメント (0) | トラックバック (1)

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日付け → →December 26, 2007

CIAが拷問テープを破棄していたって、だからなんなのさ!

喉元過ぎれば熱さ忘れるとはよくいったもので、最近のアメリカ議会は一度は容認していたテロリストへの拷問に後ずさりしはじめている。テロ攻撃直後には多少乱暴な扱いをしてもテロリストから重要な情報を得られればかまわないとCIAによる尋問を容認した政治家や裁判所も、911のショックから時間がたつにつれて、どうやら国内でのテロ攻撃はおこりそうもないとなってくると、その安全をもたらす要因となった水攻めは非人道的だからやめるべきだと言い出し、その拷問をおこなったCIAを責めはじめるという有り様だ。アメリカ国内で911に次ぐテロ行為が起きていないのも、CIAの水攻めによってテロリストから絞り出した情報が重要な要因となっているのだということなど左巻きの政治家や裁判所は完全無視である。

最近Central Intelligence Agency(CIA)という組織そのものへの信頼感は薄れているが、CIAがテロリストを尋問した際の記録テープを秘密裏に処理していたという話には、私はそれほど怒りを感じない。いや、それどころか、そんなものは破棄してもらって助かったとさえ思っている。

いまのアメリカの内政を考えれば、こんなテープが存在していれば、CIA内部でブッシュ大統領に反感をもっている工作員がテープを漏えいし、アルジェジーラだのYouTubeなどで放映されるなんてことは想像に難くない。そうなったらこれは反米意識をあおるプロパガンダになるだけでなく、テロリストたちに諜報部員の顔やアメリカの諜報部の尋問方法がばれて暗殺や訓練材料として使われるのが落ちだ。そのようなテープは用がすんだらさっさと破棄するのが妥当である。

はっきり言って、こちらの人間を拉致しては目ん玉くり抜いたり首をかっ切ったりしてるテロリストを相手にやわな方法で情報が得られると考えるほうが甘い。

これについて2004年に行われた911調査委員会の調査中に、CIAがアルカエダのテロリストを拷問していたテープの存在を意図的に隠していた可能性があるとして、それが連邦法に違法となるかどうか現在吟味されていると数日前のニューヨークタイムスが報じている。

CIA側はテープを調査委員会に提出する用意はあったが、特別に要求されなかったので提出しなかっただけで、意図的に隠していたわけではない。また委員会の調査中はテープ提出の要求を考えて破棄せずに保存してあったともしている。はっきり言って、CIAが意図的に隠していようといまいと、問題なのはCIAがテロリストを拷問して得た情報がアメリカの警備に役に立ったのかどうかということであって、テロリストをどうやって尋問したかなど私はあんまり興味がない。

諜報部高官によると、破棄されたテープには2002年にアブ・ズバイダーとアブド・アル・ラヒム・アルナシリという二人のアルカエダ容疑者が同年CIAに拘束された際の何百時間にわたる尋問の様子が記録されていたという。

げんにアブ・ズバイダーを2002年3月にパキスタンで捕まえたチームのリーダーだったCIA元工作員のジョン・C・キリアーク(John C. Kiriakou)氏によれば、水攻めをされるまで堅く口を閉じていたズバイダーも、水攻め後たった35秒で何もかも白状しはじめたという。

キリアーク氏自身は水攻めは非人道的であり今後はされるべきではないとしているが、彼自身、大事な情報を得るためには必要な方法だったと認めている。

これはCIA工作員だけに限らず軍隊などでもいえることだが、政治家のなかには必要な時に一般市民が尻込みしてやりたがらない汚い仕事を腹の座った特別な男女にやらせておいて、危険が去って汚い仕事が不必要になってくると、その汚い仕事をやった人間を忌み嫌い、場合によっては罰っせよなどという輩がいる。いったい現在の平和や安全は誰がもたらしたと考えているのだ?誰もやりたがらない汚い仕事を誰かがやってくれたからこそではないか!

私はこういう傾向は非常に危険だと思う。必要な時には合法だといって促進された方針が、いったん不必要になると違法行為だといって過去にさかのぼって罰せられるとなったら、いったいどんなお人好しがCIAや軍隊に入って国の安全のために戦おうなどという気になるというのだ?

政府や裁判所が一旦は必要だと考え合法とした方針は、たとえ状況がどんなふうにかわっても、過去にさかのぼってそれを施行した人間を罰するようなことがあってはならない。過去の法律での合法行為は現在の事情で違法行為とみなされてはならない。政府の方針が一貫しないと世の中は乱れる。特に汚い仕事を率先してやってくれる特別な人間たちは、敵にまわしたらこわいことになる、、ということを左巻きの平和ぼけ政治家たちは考えるべきだ。

December 26, 2007, 現時間 9:21 AM | コメント (1) | トラックバック (0)

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日付け → →December 24, 2007

カナダ:イスラム批判は人権迫害? 

以前に人権保護という言論弾圧でイギリスにおける人権保護とか擁護とかを口実にした言論弾圧について書いたことがあるが、今回はカナダの例をご紹介しよう。

カナダではイギリスや他の欧州諸国ほどひどくはないとはいえ、イスラム教市民団体による横暴がかなり幅を効かすようになってきている。これについては過去にも何度か述べてきた。


不公平なバンクーバー市内禁煙法、イスラム教徒には特別許可!

カナダの教育界を乗っ取るイスラム過激派
北米キャンパスを乗っ取る聖戦主義のユダヤ弾圧

今回はカナダのマクリーンマガジンがカナダイスラム議会(The Canadian Islamic Congress, CIC)という市民団体から人権擁護審議会に苦情を申し立てられいるという ナショナルポストに載ったこの記事からご紹介しよう。

CICがマクリーンマガジンを訴えている理由というのが、同誌が掲載したイスラム教移民に関する記事への、CICによる5ページにも渡る抗議文掲載を同誌が拒否したというだけというのだからひどい。しかもこの記事の著者、Ezra Levantによれば、多分マクリーンマガジンは負けるだろうというのである。

いくらカナダでも雑誌の編集者に自分の下らない投書を載せろと強制するのが人権保護などであるはずがない。しかしイスラム議会はそうは見ていない。ブリティッシュコロンビアの連邦人権保護評議会に苦情を訴えたイスラム議会のいい分は、マクリーン誌は「明らかにイスラム恐怖症」であり、「カナダのイスラム教徒を憎悪と嫌悪の対象としている」というものだ。「私は個人的に被害にあった。」と最近の記者会見でCICのKhurrum Awan氏は述べた。しかし、CICが怒っている理由となったマクリーン誌の記事とは単に西洋諸国でイスラム教徒の数が増えているという人口分布に関するものだったのだという。

実はカナダのイスラム議会は過去にも数々の新聞社を名誉毀損で訴えてきたがすべて敗訴で終わっている。カナダの民事では、原告側は実際に自分達が明らかな被害を受けたことを証明しなければならず、これには弁護士を雇ってめんどうくさい裁判を経なければならない。そこまでして負ければ、かえってイスラム議会は恥をかく。また負けた側が買った側の弁護費用も負担しなければならないため、やたらな訴訟は害あって益なしである。(こういう点はアメリカも見習って欲しいものだ)

民事訴訟がうまくいかないと悟ったイスラム議会は今度は極端な悪質な差別用語や一部の人間への暴力を促進するような演説に限られて作られたヘイトスピーチ取締法という刑事裁判も試みたが、これは民事よりもっと証明が難かしく最初から無理。

そこでCICが考え出したのが人権保護審議会への苦情申し立て。これなら弁護士を雇う必要はないし、一旦苦情が取り上げられれば後の審議は税金がまかなってくれるので、訴えた側の経費はゼロ。しかし訴えられた側のマクリーンは弁護士を自腹を切って雇ってCICの苦情が根も葉もないことを証明しなければならない。審議会では一般の裁判や法律で取り決められた証拠は必ずしも取り上げられない。しかも審議会はおよそ中立とはいえないのだ。審議会のメンバーの多くは弁護士だが、それでもカナダの言論の自由を保証する憲法を理解しているメンバーは少ないとナショナルポストの記事は述べている。

この審議会が課す罰というのがまた不思議なのだ。政府と原告への罰金もさることながら、被告は許容できない政治的もしくは宗教的な意見を持ったとして「謝罪」を強制される。

これはハッキリ言って罰金よりもひどい。なぜならこの罰は、政府がよしとしない思想をもったことを悔い改め、個人や雑誌の個人的意見を弾圧して、政府の決めた思想を発表せよと命令するものだからだ。カナダの人権保護審議会はマクリーン誌が正しかろうがどうしようが「謝罪」を強制することができる。同誌の編集者であるケン・ホワイトに「自分は人種差別者だ」と無理矢理言わせる権限があるのだ。ひどい時になるとホワイトは強制的にイスラム教の勉強をさせらえる可能性もある。

私はもともと人権保護だの擁護だのの目的で作られた政府機関など頭から信用していない。こういう機関は最初の意図はどうあれ、絶対に一部の団体を保護するためにほかの団体が弾圧されるという悪結果をもたらすからだ。声が大きく政治力のある少数民族が政府に取り入り、彼等のいい分はどんな理不尽なことでも通るが、彼等を批判すればそれが「人種差別だ」「人権侵害だ」と騒ぎ立てて政治的に対立するグループの言論の自由が奪われる。人権保護機関がそうでない理由で使われることなど稀なのだ。

カナダの場合も例外ではない。カナダの人権保護審議会が設立されたのは1960年代で、当初の目的は人種などによって住宅を拒絶されたり就職できなかったりといった差別を阻止するために作られた。しかしそれはすぐに、なんらかの理由で仕事を首になった従業員による苦情申し立てや、くだらないセクハラ苦情受付の機関へと変化してしまった。(セクハラそのものが下らないと言う意味ではない。これは何かあるとすぐセクハラといって大げさに騒ぐ下らないケースのことを指している。)

人権保護審議会が設立当初審議すべきだとしていた「出版物」とは、「ユダヤ人お断り」とか「白人のみ入場可」といった差別的な看板などであり、マクリーン誌の掲載したような人口分布調査などがあてはまるはずがないことは常識的に考えて明白だ。しかし今やカナダの人権保護審議会は新聞や雑誌が自由に意見を述べらるのを規制する、いわゆる言論弾圧の道具となりはてている。

げんに以前に審議会のメンバーだったリチャード・ワーマンという弁護士は、審議会に26件もの苦情をうったえており、その苦情は半分以上も受け入れられ、多額の「賠償金」を勝ち取っているという。ワーマンはリベラルな政治活動家で、弁護士など雇って反論できないような個人的な零細ブログを対象に苦情を申し立てている。

もっと恐ろしいケースでは、キリスト教神父が新聞に寄せた投書において、神父が「同性愛は道徳上の罪で」であり同性愛者には社会的な「目的」があると書いたのを、地元の教師が反論を新聞に投書するかわりに人権保護審議会に訴えた。審議会ではたった一人の離婚独身の弁護士によってこの手紙の「掲載によって同性愛者に対する憎悪と嫌悪は言論の自由を逸脱するものである」と結論つけられた。つまり神父の信教は人権迫害だというのである。

この結論こそが、まさに言論の自由と宗教の自由を迫害するものではないのか?これこそ自由社会の基礎となる自由な思想を弾圧する人権迫害ではないのか?

自分の気に入らない意見や思想の公表を容認してこそ本当の意味の言論の自由は保証されるのだ。気にいった意見だけはきいて他を弾圧する人間に人権云々の議論をする資格はない。

December 24, 2007, 現時間 11:46 AM | コメント (0) | トラックバック (3)

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日付け → →December 23, 2007

ニューヨークフィルは北朝鮮でコンサートなどするな!

先日来年の2月にニューヨークフィルハーモニックが北朝鮮でコンサートを開くことになったというニュースを読んだばかりだが、それについて、ウォールストリートジャーナルのコラムを書いている演劇評論家のテリー・ティーチアウト(Terry Teachout)の批判が的を射ていると思う。

ニューヨークフィルといえば、アメリカでもっとも古い由緒ある交響楽団である。そのNYフィルの会長が北朝鮮の国連大使パク・ギル・ヨンと肩を並べてピョンヤンでの公演の予定を発表したのを聞いてティーチアウトは恐ろしくて背筋がぞっとしたという。150万人という市民が奴隷労働を強いられている国の金正日という独裁者の前で、自由の国アメリカの交響楽団が公演するなど言語道断だ。しかもこの公演はブッシュ政権の国務庁がNYフィルにかなりの圧力をかけて実現したというのだから信じられない。いったいブッシュ大統領の「悪の枢軸」云々はどうなったのだ?

ティーチアウトは、このような公演は北朝鮮の政府を正当化する猿芝居だという。私はブッシュ大統領が北朝鮮に迎合しているとは思いたくないが、何故米国国務庁が北朝鮮のご機嫌取りをしなければならないのかさっぱり理解できない。

先日私は北朝鮮が日本へミサイル攻撃する可能性について書いたが、北朝鮮が直接日本を攻めてこないまでも、北朝鮮の核技術がイランやシリアに渡り、それがヒズボラなどのテロリストの手に渡れば、世界がどういう状態になるか想像がつくというもの。イスラエルがたたいたシリアの核兵器開発施設は北朝鮮の技術を使ったものだったという噂もあるし、この間もレバノンのヒズボラを北朝鮮が武装しているかもしれないという話がでたばかり。

マコーマック米国務省報道官は13日の記者会見で、北朝鮮がレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラなどに武器支援を行っていたとの情報を米議会調査局が指摘したことについて、「情報を確認する立場にはない」としたうえで、北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除にあたっては、「すべての入手可能な情報が考慮に入れられる」と述べ、この疑惑が解除の際の検討項目となる可能性も示唆した。

北朝鮮はテロリストに武器を売る条件として日本をせめて欲しいとほのめかすかもしれないし、テロリストも手っ取り早いところで東洋で一番経済力のある日本を叩いておこうと考えるかもしれない。

そういう危険な国にたいして、アメリカが北朝鮮のテロ支援国家指定解除をするかもしれないという話は非常に困惑する。

私は日本にはアメリカとの安保があるから日本が武装しなくてもいいという人に常々いうのだが、アメリカが日本を守るのはアメリカの都合でやっているだけであって、アメリカの国益に直接結びつかなければ日本など簡単に見捨てられる。アメリカがいまのところ北朝鮮のご機嫌取りをすることでアメリカは安泰だと考えれば、アメリカは日本の拉致問題になど親身になってくれないだろうし、それが日本を危険に及ぼすことになったからといって積極的にアメリカが守ってくれるという保証など全くない。安全保障条約なんて紙に方餅同様意味のないものだ。

だから私は日本は自国の防衛をアメリカに頼っていてはいけないと口を酸っぱくして言っているのである。

何にしてもNYフィルが国務庁のプロパガンダに加担する必要はないはず。それが北朝鮮の独裁政権を正当化するというならなおさらだ。

December 23, 2007, 現時間 5:48 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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日付け → →December 22, 2007

海自のBMD装備は税金の無駄使いなのか?

このあいだの海上自衛隊護衛艦「こんごう」による日本の防衛にとって岐路ともなりうるBMD迎撃実験の成功で、またぞろ海自のBMD装備が一発20億円で金がかかり過ぎるとか、北朝鮮には600発ものノドンミサイルがあるのに、たかが八発くらいしかミサイル装備できない護衛艦など装備しても無駄だとかいう議論がまたぞろ頭をあげてきた。

しかし私にいわせてみれば、ノドン一発が日本本土に撃ちこまれた場合の被害を考えたら、SM3ミサイル一発くらい安いもんだろうと思う。それに相手の武力がこちらより勝っているから無駄な抵抗はするなという考えには全く賛同できない。相手が強すぎたらそれに見合う防衛を装備すべきだと考えるのが常識ではないのか? 護衛艦が二隻で足りないのなら、もっと多く備えればいいではないか。相手が手強ければ守りをさらに固めるのが理屈だろう、それを相手が手強いから戦わずしてあきらめろとは大和魂は何処へ行ったのだとききたい!

ところでBMDは実社会では全く役に立たないという人がいるが、いったい彼等はなにを根拠にそんなことをいうのだろう。下記などはその典型的な意見だ。

これは、予めイージス艦「こんごう」が飛んで来る標的ミサイルに届く位置で待ち構え、標的ミサイルが何時頃どの辺に飛んで来るか知っていたから出来たことだ。

しかも、実験用の標的ミサイルは北朝鮮や支那の弾道ミサイルよりも大きくてスピードが遅い。

こういうことをいう人は科学的実験というものを全くしらないとしか考えられない。中距離ミサイルが撃ち落とせるかどうかを調べる実験で標的ミサイルに届かない位置で待ち構えて何の実験になるというのだ?実際に飛んできたミサイルを察知し最後までトラックして撃墜することができるかどうかという実験をしているのだから、ミサイルの届く位置で待機しているのは当たり前だ。

これがうまくいったのだから、北朝鮮のノドンが飛んできそうな場所に一隻、二隻などといってないで、もっと多くの護衛艦を配置すればいいではないか。護衛艦一隻では守りきれないから全く守らないというのは本末転倒だ。

それにテスト用の標的が実際のミサイルよりも遅いというのはいったい何を根拠にしているのだろう?標的は北朝鮮のノドンを模擬したミサイルのはずでスピードも本物と同じはずだ。そうでなければこんな実験は意味がない。

北朝鮮がもしも本気で日本を攻めた場合、北朝鮮の経済力と日本の生産力を考えれば長丁場の戦いでは敵に勝ち目はない。ということは、日本がアメリカの真珠湾攻撃で狙ったように、最初の攻撃で相手に圧倒的な打撃を加えて相手の戦意を落として早急に占領してしまう以外に手はない。それが日本のBMD迎撃によって当初のミサイル攻撃の出鼻をくじかれれば、北朝鮮はそれ以上の攻撃を日本に仕掛けてくることは不可能になる。

戦略的に考えても北朝鮮が自分らの持っているミサイルを最初の段階で全てほとんど同時に日本に撃ち込むなどということは不可能である。経済力のない北朝鮮にとってミサイル一発撃つのも慎重なはず。それがやたらに撃っても撃ち落とされるとなっては、そう簡単に日本を攻めようなどという気もなくなるだろう。

もともと軍隊というものは保険のようなもので、使わないですむならそれに越したことはない。だが、以前にも書いたように戦争というものは敵側が勝てると思うから攻めてくることが多いのだ。北朝鮮が日本相手の戦争に勝つためには当初の攻撃で圧倒的な勝利をおさめる必要がある。それができなければ日本からだけでなく、アメリカからも報復攻撃が即座に行われるからだ。しかし当初の攻撃がBMDによって迎撃されるかもしれないとなれば、北が日本を攻める可能性は極端に減るのである。

BMDは税金の無駄使いだという輩はそうしたことを先ず考えるべきだろう。

アップデートミサイル防衛、本格稼働へ 対処要領改正を閣議決定(12/24 10:57)

 政府は24日の閣議で、イージス艦に搭載する海上配備型迎撃ミサイル(SM3)が先の実験成功で配備可能になったのを受け、他国が弾道ミサイルを発射した場合の対応を定めたミサイル防衛(MD)計画の緊急対処要領改正を決定した。

 主な改正は(1)弾道ミサイルの破壊方法にSM3を追加(2)MD関係部隊の行動範囲を首都圏に限定しない(3)原子力発電所の被害に備え、弾道ミサイル発射時などに連絡を取る省庁に経済産業省を追加−の3点。これで陸上配備の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)に加え、SM3も法的に迅速な運用が可能となり、MD計画は本格稼働する。

 これまでの緊急対処要領は、首都圏をカバーする航空自衛隊の第1高射群・入間基地(埼玉県)などのPAC3に対応していた。

 政府は2005年の自衛隊法改正でMDの法的枠組みを整備。首相の承認を得る余裕がない緊急時は、緊急対処要領に従い防衛相があらかじめ迎撃を命じ、発射されれば現場指揮官の判断で迎撃できるようにした。

December 22, 2007, 現時間 2:27 AM | コメント (1) | トラックバック (1)

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日付け → →December 18, 2007

日本発のBMD実験成功!

まずは18日付けの朝日新聞のニュースから。

海上配備型ミサイル、初実験成功 宇宙空間で標的を迎撃

 弾道ミサイル防衛(BMD)の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載した海上自衛隊のイージス艦「こんごう」は17日正午すぎ(日本時間18日早朝)、米ハワイ沖で初の実射訓練を実施し、標的のミサイルを大気圏外で迎撃するのに成功した。ハワイ・カウアイ島の米軍施設で防衛省が発表した。米国以外の国が、SM3の実射実験をしたのは初めて。

 こんごうは来年1月上旬、海自佐世保基地(長崎県佐世保市)に実戦配備される。地対空ミサイルとイージス艦による日本のBMDは、新たな段階に入った。

 米軍が現地時間の17日午後0時5分、標的となる模擬弾道ミサイルを発射。その4分後、カウアイ島沖のこんごうがSM3を発射し、0時12分、上空100キロ以上の大気圏外で命中させた。

 日本のBMDは、まず、SM3を搭載したイージス艦で敵のミサイル迎撃を目指し、撃ち漏らした場合は、地上に配備した地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)で再び狙う仕組み。防衛省は10年度末までに、SM3搭載のイージス艦計4隻を配備する一方、首都圏や中京・京阪神地区など計16カ所でPAC3の配備を進める。

 実験に立ち会った海上幕僚監部の河野克俊防衛部長は「これで、上層と下層という多層で弾道ミサイルに対処する態勢ができた。日本の防衛の結節点だ」と実験の意義を強調した。

 実験後に米軍施設内で会見した江渡聡徳防衛副大臣は「この成功は、日米両国が今後も継続する技術・運用面の協力の成果だ」と述べた。同席した米ミサイル防衛局のオベリング局長は「日米の協力のうえでとても重要なできごとだ。日本は大きな一歩を踏み出した」とした。

 こうした整備には1兆円を超す費用がかかる見通しだ。実験は初期段階に入ったばかりで今後も続く。米軍は新装備の開発で日本にも負担を求めており、出費はさらにかさむ。このため、巨額な負担を伴うBMD整備をどこまで続けるのか、疑問視する声もある。

さすが朝日新聞、おめでたいニュースでも「巨額な負担を伴うBMD整備を何処まで続けるのか、疑問視する声もある。」とまとめるところがなんともいえない。

本当は色々言いたいことはあるのだが、今回は一応「こんごう」の乗組員並びにテストチームの皆さんに「おめでとう!」とだけ言わせていただく。

皆さんご苦労様でした! SM3, 第一回発射成功おめでとうございます!

December 18, 2007, 現時間 7:24 PM | コメント (0) | トラックバック (1)

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日付け → →December 17, 2007

永遠の愛を皮肉なく語る「魔法にかけられて」

きょうはディズニー映画のEnchanted (放題は「魔法にかけられて、日本公開は来年の3月)を紹介しよう。

これはおとぎの国のお姫さまや王子様が現在のニューヨークへ送り込まれたらどうなるかというお話。おとぎの国にいる時は登場人物はすべてアニメーションだが、マンホールを通じてニューヨークへ訪れるとすべて実写になってしまう。

物語はおとぎ話のある王国を支配する魔女のナリサ王妃(スーザン・サランドン)が、継子のエドワード王子(ジェームス・マースデン)が結婚したら自分から支配者の権限を奪い取るのではないかと心配しているところから始まる。王妃の心配をよそに王子は怪物退治中に森で出会ったジゼル姫(エイミー・アダムス)に一目惚れしてしまう。木から落ちるところを王子に救われたジゼル姫も翌日結婚しようという王子の言葉を当然のように受け入れ、二人は永遠の愛を歌いながら白馬に乗って城へ向かう。これを魔法の鏡でみていた魔女の王妃はジゼルを騙して21世紀のニューヨークへ送り込んでしまう。それを知ったエドワード王子は従僕のナタニエル(ティモシー・スパル)とチップモンクのピップと一緒にニューヨークへジゼル姫を救うべくやってくる。

現実の社会でジゼル姫が出あう人々は、おとぎの国の人々のように親切ではない。城の絵が描かれた看板によじ上って落ちそうなところを通りがかりの子持ち弁護士ロバート(パトリック・デンプシー)に救われたジゼル姫は「私がこれまであった人たちは、あまり善いひとたちではありませんでした。」と言う。皮肉たっぷりに「ようこそニューヨークへ」と言うロバートの言葉に純粋に「ありがとう」と答えるジゼル姫に何かを感じるロバート。

この手の映画ではおとぎ話の道徳観をおちょくるものが多いが、この映画ではジゼルの純粋な感情をおちょくる気配は全くない。それどころかジゼル姫の誠意が一見シニカルにみえるニューヨーカーの心を動かす。それというのも、ニューヨークにきて実写になってるジゼル姫はおとぎの国にいた頃の不思議な力を失っていないからだ。姫が森で白雪姫さながらに鳥や動物たちをソプラノの声で呼び寄せる力はニューヨークの高層ビルからでも鳩や溝鼠やごきぶりに通用するし、ロバートが5年間つきあっている恋人のナンシーに最近愛していると言っていないという言葉に「言わなければ、彼女はあなたに愛されているとどうしてわかるの?」と言って歌い出すシーンでは、姫の歌声に魅せられてセントラルパークにいる普通のニューヨーカーがつられて歌い出し道路工事現場の労働者が踊り出したりして大規模なミュージカルナンバーになってしまう。

現実の社会に住むロバートは、離婚専門の弁護士で醜い離婚裁判をさんざんみせつけられ永遠の愛など信じていない。だからエドワード王子との愛を語るジゼル姫もどっかねじがはずれたかわいそうな女性くらいにしか考えていない。しかし前妻に逃げられて男手一つで6歳のモーガン(レイチェル・コーベイ)を育てるロバートは現実の愛に失望しているとはいえ決して悪い男ではない。それどころかおとぎ話の理想を追い求めて娘のモーガンが傷付くのを恐れている娘思いの父親なのだ。この当たりがサンタクロースなど信じるなといっていた34丁目の奇跡の母親に似ている。ロバートがシニカルなのは傷付くのを恐れるためだ。

さて、ロバートにジゼル姫がすくわれたとは知らないエドワード王子は一足遅れてニューヨークへやってくるが、ハンサムで誠実で勇気満々だがおつむの方は空っぽなのでやることが完全にとんちんかん。自分の婚約者をニューヨークへ送り込んだのがまま母であることも、従僕にみせかけているナタニエルの醜い本性も見抜くことができないで、やたら勇気を振り回して歌いだすから厄介だ。

だが、この王子を憎めないのは、彼のやることには全く裏腹がなく常に誠実だということだ。この王子を演じているジェームス・マースデンは確かヘアースプレイでもきれいなだけ軽薄な男を演じていたが、不自然に美形なだけにこの手の役が似合うのかもしれない。

ロバートがジゼル姫から永遠の愛が存在することを教えられるのと同時に、ジゼル姫もまたロバートのおかげで恋に落ちるということは、単に美男美女が白馬にまたがりながら愛の歌を歌うことではないのだと学ぶ。

物語の結論はおとぎばなしのように予測は付くが、それでも終わったときに感激の涙と笑顔で、「めでたし、めでたし」とつい拍手喝さいを送りたくなってしまう映画だった。

December 17, 2007, 現時間 8:18 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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日付け → →December 15, 2007

予告編の域を出ない「ライラの冒険、黄金の羅針盤」

日本では三月半ばに公開されることになっているファンタジー映画、Golden Compass, 邦題「ライラの冒険、黄金の羅針盤」を観てきた。日本語の予告編はこちら

ミスター苺が原作のライラの冒険を読んで非常に気に入ったので、映画にも期待を寄せていた。しかし、こんなことはいいたくないがちょっと失望したというのが本音である。

この映画の原作はフィリップ・プルマン著の同題の小説三部作の第一部にあたる。あらすじを説明したいのだが、複雑すぎる上に説明不足でいったい何がなんだかさっぱりわからないというのが正直な印象だ。

***あらすじ****

私なりに映画を見ただけで理解したあらすじを述べるならば、先ずこの世界には似通ってはいるが少しづつ違う多数の次元が存在するという設定だ。この映画の舞台となっている次元では人々の魂がディーモンと呼ばれる動物の形をして体の外に現れる。このディーモンは精神的にも肉体的にも母体である人間と深く結びついており、動物の形をしているとはいえ母体の人間と普通に会話を交わすことができる。ディーモンが傷つけられれば人間も傷付き、人間とディーモンが切り離されると母体の人間は魂の抜けたごとく恍惚の人となってしまう。

この世界を統治しているのは中世ヨーロッパのカトリック教会さながらのマジェスティリアンと言われる組織である。マジェステリアンは人々の私生活から思想にいたるまで細かく支配している。

主人公のライラ(ダコタ・ブルー・リチャード)は、物心ついた時から大学に預けられて教育を受けている多感な少女である。ちまたでゴブラーと呼ばれる怪しげな組織に子供たちが次々と誘拐されているという噂を耳にしても、ライラは親友のロジャー(ベン・ウォーカー)に「あんたがさらわれたら絶対助けにいってあげる」と断言できほど決断力も勇気もある少女だ。

ライラの保護者であるアスリアル伯爵(ダニエル・クレイグ)は冒険家でしょっちゅう危険な場所を旅しているが、今回は北極において別の次元への糸口となるダスト(埃)と呼ばれる不思議な現象を発見したと大学の教授らの前で発表する。伯爵はこれをさらに研究するため大学から研究資金を出してもらうべく帰国して嘆願する。しかし別次元の窓口への研究は自分達の権力に脅威を及ぼすと考えるマジェステリアはこの伯爵の研究に懸念を抱く。

マジェステリアの意向に背き、伯爵に研究資金を提供した大学の学長(ジャック・シェファード)だが、危ないからと伯爵には置いてけぼりを食ったライラを、自分の助手にして北極探検旅行につれていきたいという不思議な女性、コルター夫人(ニコール・キッドマン)の要請を断ることができない。学長はライラに夫人を「学校の友人」として紹介するが、その口ぶりから何らかの形で夫人が大学の方針にかなり口出しできる権力者であることがわかる。

もともとアスリアル伯爵について北極旅行をしたいと思っていたライラはこの機会に飛びつく。夫人と旅立つ前夜、学長はライラに「真実を示すものだ」として黄金の羅針盤を渡す。この黄金の羅針盤がライラの人生を大きく変えることになろうとはこの時のライラには知る由もなかった。

******
とまああらすじはこの程度にしておこう。予告編を見てもらえばわかるが、後にライラはコルター夫人と別れて北極での冒険にディーモンを持たないが人間と同じ頭脳を持つ鎧を着た白熊を雇ったり、マジェステリアを敵にまわしているジプシャンといわれる地下組織の仲間になったりして冒険を繰り返す。コンピューターアニメーションで描かれているシロクマの声は「ロードオブザリングス(LOTR)」でガンダルフを演じたイアン・マケオンの声だ。またマジェステリアのリーダーとして、シェークスピア役者のデレック・ジャコービが顔を出すが、その会議の席に座っている幹部の役柄でカミオ出演しているのは同じくLOTRでサルマンを演じたクリストファー・リー。魔女役で登場するのは先の007のボンドガール、エバ・グリーンと、豪華絢爛な配役なのだが、映画そのものの出来はというといまひとつ物足りない。

まず原作ではこれが三部作の一部目なので、話が完結しないのはしょうがないのだが、映画としては三部作だといって作っていない限り、一応話しの筋がまとまるようにしておくべきだ。冒険が次に続くのはかまわないのだが、一応この冒険はこれで終わりという一段落をつけてもらいたい。

第二に、この映画の主題はいったい何なのかがわからない。最初にこの世界以外に別の次元があるというナレーションが入るわりには、その筋がいまひとつ煮つまらない。どうして別の次元との交流があると現次元の支配者が困るのか、どうしてアスリエル伯爵はそんなに一生懸命別の次元に行きたいのか、そのへんの説明がほとんどない。

また子供が何者かによって拉致されているという話も、ライラは子供たちを救う目的で冒険を始めたというより、たまたま冒険に出合ったという感じで、どうして彼女が危険を承知で冒険に出かけるのかその動機がどうも頼りない。

人間とディーモンとの深いつながりが充分に説明されていないため、どうして子供をさらって組織がその関係に拘っているのかよく理解できない。

それに非常に大事なものだとして渡された黄金の羅針盤が、あまり活躍しないし、ライラがしょっちゅう眺めている割にはこの羅針盤がどういう意味を持つのか、ライラが学ぶ過程がまったく描かれていない。またライラがこの羅針盤を解読できるのは、ライラがこの世界で言い伝えられている不思議な才能を持つ魔女だからではないのか、という話も尻切れトンボになっている。

つまり、この映画は登場人物と、この次元の仕組みを説明するだけで終わってしまっており、なにやら二時間に渡るなが~い予告編をみさせられた感じがした。いったい何時になったら肝心の話が始まるのだろうと思っているうちに映画は終わってしまった。

人気が出たら、二部三部と続けるつもりだったのだろうが、週末の入りはかなり悪かったらしいから続編は無理だろう。

December 15, 2007, 現時間 8:42 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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日付け → →December 14, 2007

国防を他人任せにする危険

The Englsih version of this entry can be read here.

先日私はずっと以前からのネット知り合いで東南アジアでNGO活動をしてらっしゃるアセアンさんと日本の護衛艦が日本の商船を守るべきなのではないかという話をしていた。その時彼が言ったことがきになったので、アセアンさんのご了承を得てここにそのやり取りの一部を掲載する。しかしその前にちょっと寄り道をさせてもらう。関係ないようだが後でちゃんとつじつまを合わせるのでご心配なく。

私の好きな小説のひとつにJ.R.R.トールキンの「指輪物語」がある。ピータージャクソンが映画化したロードオブザリングス三部作は、小説の映画化としては稀にみる良い出来だった。しかしただひとつ私が失望したのは、ジャクソン監督が「ホビット庄の掃蕩」という章を完全に省いてしまったことだ。原作ではサウロン相手の戦争が終わって、英雄たちがそれぞれの故郷に帰ったところで話がめでたしめでたしと終わるかというと実はそうではない。

物語のはじめに描かれているホビット庄は非常に平和で、もう何世代も戦争をいうものを体験したことがない。ずっと昔にはひどい戦争があって、何人もの村人が戦って死んだという歴史はあるにはあるのだが、あまりにも遠い昔のことなので、村人たちの記憶にかすかに残っているに過ぎない。なんにしても今の平和主義のホビットたちには全く無関係な話である。外部から戦争が近づきつつあるという噂を聞いても、それはどこか遠いところで起きていることで、自分達には関係ないと思っているホビットたち。たまに外部からの怪しげな男達を境界線の村の宿で見かけることがあるが、ホビットたちは汚れた服を着て厳しい顔つきのこの男たちには気味悪がって近づかない。

しかし実はこのレンジャーと呼ばれる怪しげな男達こそが、ホビット庄を守るべく村に迫ってくる悪の軍隊たちと日夜命がけで戦っているのだ。ホビットたちはレンジャーに感謝するどころか、彼らの存在にすらほとんど気が付かない。ホビット庄が平和ならそれでいいのだと考えている。

さてここで話をアセアンさんとの会話に戻そう。

アセアン: 「米国が(この際ですから、ハッキリ言いますが)米国一国だけが「世界平和(爆笑:此処が嘘で、米国本土の安全保障のため”だけ”)の為に汗をかいている時に、責任も果たさす金儲けに走るのか?」式の”難癖”もハッキリ言って難癖以外の何物でもない。

何せ、日本はその金儲けで得た世界第二位のGDPの中から、膨大な金額を米国に対して米軍とか言う傭兵組織のレンタル料金として支払っている(あははは)..... 世界中の海域で海上警備行動なんて馬鹿げた活動が出来るのは米国しかないんだからその費用を出して上げるから頑張ってね!でいいんじゃないですかね?(笑) 早い話が金をしっかり払ってんだから、キッチリ警備してよねっ!ってことですかね。。。。。。

カカシ:言っちゃ悪いですが、こういう言い分がアメリカでは非常に悪評を買いますよ。つまりですね、自分らは金だけ出して危ないことはアメリカ任せっていう姿勢はアメリカ人には徹底的に軽蔑されます。

軍事強化して極東守って自分らのタンカー守って、対テロ戦争にも直接参加してれば、アメリカがどうのこうのいってきたからって一銭も払う義理なくなるんですよ。...はっきり言って、アメリカ人からしてみたらそういう態度のほうがよっぽども尊敬できます。

アセアン:日本の大多数の国民はですね(多分)、米国から(国際社会からかな?)尊敬されなくなって戦争するよりはヨッポドまし!・・・って思ってるんですよ。。。多分ね。憲法9条とか言う話は、まぁ”言い訳”ですよ、言い訳。

いいじゃないですか!米軍を派遣する、駐留する、移転する、戦争する経費を払ってくれる奇特な国家(?)なんて世界中探しても日本くらいなもんですよ...

日本の安全保障に関する基本概念はどんなに世界中から蔑まされようが、日本本土が攻撃を受けさえしなければ良い!っと言うのは、太平洋戦争の苦い経験があるからですよ!

もしもアセアンさんのような考え方が日本人の一般的な考え方なのだとしたら、私は非常に残念だ。これが侍魂を持って降参するくらいなら戦って死ぬと言っていた誇り高い日本人の成れの果てだとしたら、これは本当に情けない限りである。現代人はいったいご先祖さまにどうやって顔向けできるのか不思議でしょうがない。

しかし金だけ払って傭兵に国を守ってもらおうという考え方は、単に情けないだけでなく非常に危険な考えで、決してうまくはいかない方法なのである。この傭兵政策にはいくつか問題がある。

  • 先ず第一に、自分らが防衛の戦いさえも拒絶するという態度は戦争を避けるどころか かえって戦争を招いてしまう

    イランのアメリカ大使館が占拠されたとき、当初過激派学生たちは人質を4~5日拘束する計画だった。ところが当時のカーター大統領がイランへの報復はしないと公言してしまったため、過激派たちは人質を444日も拘束するに至った。

    サダム・フセインが湾岸戦争後国連の停戦条約をやたら破って傲慢な態度をとっていたのも、クリントン大統領が本格的な戦争をやるつもりがないことをフセインは充分に心得ていたからだ。

    オサマ・ビンラデも1998年のインタビューで、「アメリカは弱い、アメリカは戦わない」と言っていた。そのアメリカの逃げ腰な態度が2001年の911事件を招いたのである。

    弱いと見られれば攻められる。強いと見られれば敬遠される。

  • 第二に傭兵の忠誠心は雇い主の日本にあるわけではない。彼らには彼らの都合がある。.

    アセアンさん自身が指摘しているように、アメリカは世界平和のためなどと奇麗事をいってはいるが、実は自国の国益を最優先に考えている。私個人としてはアメリカの平和は世界平和につながると考えているため、この考え方には全く矛盾を感じない。ただ、もし日本を守ることがアメリカの国益と矛盾した場合に、アメリカは日本などためらいもなく見捨てるだろう。そうでなくても、アメリカは全治万能の神ではない。アメリカだけで全世界の警備ができるわけでもなし、アメリカの手の届かないところで日本が攻められたらこれはどうしようもない。

  • 第三に、この作戦が失敗する最大の原因は「壁の上の男達」現象だ。

    「壁の上の男達」とは、ロブ・ライナー監督の1992年製作映画"A Few Good Men"での、ジャック・ニコルソン扮するジョセップ大佐のことばだ。 (実はジョセップ大佐は映画では悪役だが、彼のこの演説は軍人には非常に気に入られており、映画自体はあまり覚えられていないが、この台詞だけがよく軍事基地のオフィスなどに張られているのを私は目にする。)

    自分達が戦争をせずに傭兵に頼って戦争をしてもらっていると、だんだんと一般市民は戦争の必要性を忘れてしまう。なぜ傭兵を雇ったのか、なぜ傭兵に家を提供し必要経費を払い給料まではらっているのか、その根本的な原因を忘れてしまうものだ。それでいつの間にか、傭兵なんか必要ないんじゃないだろうかと考え出す。あの壁の上で行ったりきたりしている番兵はいったい何の役にたっているのだ、邪魔だからとっととグアムあたりに引っ越してもらおう。国民の血税でアメリカの経済支える義理はないよってなことになる。

    それじゃあアメリカがいい加減に頭にきて、「さよでござますか、じゃあ、どうぞご勝手に」と言って何もしてくれなくなったら日本はどうするのか?日本にはアメリカの加護を受けずに自分らだけで国を守る能力など持ち合わせていないではないか?


いま日本人が米軍基地にかかる費用とか、日本が言い出したグアム島移転の引越し代を払うのを渋っているのも、みなどうしてアメリカ軍が日本に駐留しているのかを忘れてしまったからだ。

日本の血税無駄使いして家賃も払わねえでいすわってるこいつらは誰なんだ? と日本市民は問いただす。しかしこれは「ただ」ではない。アメリカ軍は日本にいることで日本を守っているのである。日本は自分らが戦わない代わりにその経費を払うんじゃなかったのか?戦わないで済むならそのぐらい安いもんだと思ったのではなかったのか?一時は価値があると思った人々が、いまやこの値段は高すぎると文句をいっているのである。(ところで米軍基地は家賃を払っていないわけではない。米軍側は日本にかなり高額な土地代を払っている。日本の方々はそのことをご存じないようだが。)

日本人が日本駐留のアメリカ軍に対してこのような感情を持つのは当たり前だ。なぜなら現代の日本人は全く戦争というものをみたことがないからだ。彼らにとって戦争など存在しないのだ。どうして壁の上に男達が立つようになったのか完全に忘れてしまったのである。(アメリカの古いことわざに、最初に壁が建てられた理由を確かめずに壁を壊してはいけない、というのがある。)

私が指輪物語の「ホビット庄の掃蕩」が大事だといっているのはこの点だ。戦争はついにホビット庄に訪れる。故郷のホビット庄を出て冒険の旅を終えてもどったホビットたちを待っていたのは、よそ者によってすっかり乗っ取られて見る影もなくなっていた故郷ホビット庄だった。

すでにこれまでずっと頼りにしていたレンジャーたちも、魔法使いも、エルフ達もそれぞれ故郷へ帰ってしまい頼れるものは自分達だけになったホビットたちは、これまでの平和主義を捨てて自分達だけで侵略者たちと戦わねばならない。

ここでホビット庄を悪者からとりかえすべく、ピピンとメリーという二人のホビットたちが中心になってホビット庄を侵略者から取り戻す。二人は外地で戦争を見て体験してきた。彼らはどうやって戦えばいいかを知っていた。この掃蕩こそが、指輪物語をまとめるうえで非常に大事な要となっているのである。

日本人が非戦闘員としてでも平和維持作戦に参加して、アメリカ軍や他国の戦士たちの戦いぶりをみれば、彼らも戦争という日本人が失った人間の伝統を思い出すかもしれない。こうして本当の戦争を体験した日本人が国に帰って日本人に戦争の何たるかを思い出させることができるかもしれない。そうして日本人に再び名誉、義務、規律といった、概念を思い出させてくれるだろう。なにしろ日本にはもともと武士道というものがあったのだ。日本の若者がそれをきいたことがないのは非常に残念だが。

テロリストはこれまでにもバリ島での爆破事件でオーストラリア人及び日本人を大量に殺している。エジプトでも日本人を含む観光客がテロリストの乱射によって殺された事件があった。ソマリアはイスラム系の国であり、アルカエダのようなイスラム系テロリストがソマリアの海賊を使って海賊行為で金儲けと同時に世界に脅威感を与えようとする可能性は大いにある。彼らにとて旗がアメリカであろうが日本であろうがおなじことだ。日本だけがテロの標的から見逃してもらえるなんて考えているなら甘いとしかいいようがない。

無論これは決して日本だけの現象ではない。ヨーロッパなどもっとひどい。いったい何度テロ攻撃にあったり、過激派による暴動を経験すれば彼らは目覚めるのだ?

日本もヨーロッパもそろそろ自分らの庄を掃蕩する時期が来ているのではないか?

下記にジョセップ大佐のスピーチを掲載しておく。難しいので翻訳できないが、英語に自身のあるかたは是非読んでみていただきたい。

We live in a world that has walls, and those walls have to be guarded by men with guns. Whose gonna do it? You? You, Lt. Weinburg?

I have a greater responsibility than you could possibly fathom. You weep for Santiago, and you curse the Marines. You have that luxury. You have the luxury of not knowing what I know: That Santiago's death, while tragic, probably saved lives.

And my existence, while grotesque and incomprehensible to you, saves lives. You don't want the truth because deep down, in places you don't talk about at parties, you want me on that wall, you need me on that wall.

We use words like honor, code, loyalty; we use these words as the backbone of a life spent defending something. You use them as a punchline.

I have neither the time nor the inclination to explain myself to a man who rises and sleeps under the blanket of the very freedom that I provide, and then questions the manner in which I provide it. I would rather you just said "thank you," and went on your way. Otherwise, I suggest you pick up a weapon and stand a post.

Either way, I don't give a damn what you think you are "entitled" to.


December 14, 2007, 現時間 10:51 AM | コメント (2) | トラックバック (0)

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日付け → →December 10, 2007

イギリス諜報部、アメリカはイランに一杯食わされたと指摘

The English version of this entry can be read here.

イランが2003年後期に核兵器開発を停止していたというNIEの報告はどうも疑わしいと感じているのはカカシだけではない。どうやらイギリスの諜報部もこの報告書はかなり眉唾だと感じているようだ。 英国のテレグラフ紙によると、

イギリスの秘密工作員たちはアメリカの諜報報告が先週発表したイランが核兵器プログラムをお釈迦にしたという話は非常に疑わしいとし、CIAはテヘランに一杯食わされたと考えている。

先日カカシがここここでも書いたように、イギリス諜報部もNIEが元にしたという新しい情報とは、イランが意図的に流した偽情報なのではないか考えているらしい。

先日紹介したワシントンタイムスの記事で、アメリカ諜報部の幹部は新しい証拠がイランの情報操作による偽情報あるという可能性はみとめたが、多分そんなことはないだろうと語ったとあった。しかし同じ諜報幹部はイランがウラニウム濃縮をしていることを認めておりイランが始めようと思えばいつでも核開発を始められる体制にあることは多いにありうると認めたとあった。

次に紹介したロサンゼルスタイムスの記事で、我々は新しい情報とはイラン軍部高官同士の盗聴された電話での会話と、後にみつかった軍人の日記だということを学んだ。.

素人目でみても、イラン政府が経済制裁や軍事行使の危機を防ぐため、自分らが敵に対して驚異的な存在ではないことを証明する偽情報を流し、必ず見つかる場所においておくなんてことはすぐに思いつく。これ、情報操作の常識。NIEは諜報分析の専門家なのであるから、これが偽情報である可能性についてもっと深い分析が必要なのではないか?

前述のテレグラフでもイギリスの分析者によってその点に焦点が当てられている。

関係者の話によるとイギリスの分析者はイランの核兵器開発スタッフは自分らの電話が盗聴されていることを承知のうで意図的に偽情報を流したと考えているという。「我々は非常に疑っている。我々はこの情報がいったい何を基にしているのか、いったいどこからきたのか、これは亡命者から得たじょうほうなのか、盗聴した内容が基本なのか、知りたい。彼らは電話が盗聴されていることは知っている。こちらを混乱させるためにどんなことでもいうだろう。」

「だいたいアメリカの諜報部はあのあたりではあまりたいした仕事をしていない。イラクの件でもかなり痛い目にあってるし。」

どうやらイギリス諜報部はアメリカのCIAを高くかっていないようである。

ジミー・カーターやビル・クリントンの時代に、アメリカは実際にスパイを敵地に送り込む、いわゆるヒューマンインテリジェンスを極端に減らしてしまった。それで我々の諜報技術は衛星写真だの、盗聴だの、ネット監視だのといったものに頼りすぎる傾向がある。こうした情報はその国の非常網がどうなっているかといったことを調べるには格好の道具なのだが、敵側の意図を分析するには不十分である。こうして得た情報では、相手側が意図的に嘘をついているかどうかを分析することは出来ない。

敵側の意図を確かめるためには、どうしても生身の人間によるアメリカに忠誠心をもったスパイによる諜報が必要になってくる。この人間は敵国に長年普通の市民として住み着き、敵国の文化や宗教に慣れ親しみ、表向きの政権ではないく実権を握っている組織やその機構について充分に理解し、敵の言動の微妙なニュアンスを正確に捉えることができ、実際に敵がどのくらい真剣にわが国や近隣諸国を攻めるつもりなのかといったことをきちんと把握できる人間でなければならない。このような人材はちょっとやそっとでは育たない。敵国への諜報行為は長年にわたる長期計画でやっていかなければ駄目なのである。

まさにイギリスやイスラエルが何十年もかけてやってきた諜報作戦がそれである。イギリスに関しては帝国時代からすでに世紀単位で諜報活動を行ってきたし、イスラエルの場合は諜報が間違っていればイランのアクマディネジャド大統領の希望通り、この世から抹殺されてしまう恐れがあるのであるから、諜報にかけては真剣だ。

アメリカの諜報はスパイによる諜報ではなく単なる盗聴だけだ。才能ある人材を駆使してアメリカよりもずっと諜報網が優れているイギリスとイスラエルの諜報部が、NIEはイランに一杯食わされたといっている以上、ブッシュ政権はNIEの報告をもう一度真剣に見直す必要がある。もしもこの情報が偽情報でNIEが本当にイランに騙されていたとしたら、そしてこの情報をもとにイランへの圧力を緩和してしまって二年後にイランに核兵器完成なんてことになったら目も当てられない。

もっともアメリカのスパイのなかにも、この問題をかなり心配している人たちがいる。上記の記事によれば、CIAの中間層の工作員の間でもイランは核兵器開発を続けていると考えている人たちが多いようだ。ただ残念なことにCIAは2004年にイラン国内での大事なコネを大量に失ってしまったため、その確認がとれないのだという。

どうして2004年なのかというと、2004年はイランで選挙があり、当時テヘランの市長だったアクマディネジャドが大統領に選ばれた年で、彼の党が圧倒的多数議席を取り、ハシミ・ラフサンジャニ前大統領とその配下のものが一世に取り除かれてしまったのである。どうやらアメリカのコネはアメリカ人スパイではなくて、すべてイラン人高官だったらしく、彼らが勢力を失ったとともに、アメリカもコネを失ってしまったというわけだ。

イスラエルもイギリスも自国民をスパイとしてイランに送り込んできた。両国とも多くの才能あるスパイをその正体がばれて暗殺されるという犠牲を払ってきた。アメリカは賄賂を使ってイラン高官を買収することと、盗聴や衛星写真での諜報に力を入れてきた。どのやり方も諜報には重要な役割を果たす。しかしアメリカは、(特に民主党は)短期的な目でしか物事を見ることが出来ず、長期的に敵国の様子を探るスパイの育成を全くしてこなかった。アヤトラ・ホメイニによる宗教革命をCIAが全く予期できなかったのも、CIAがイランからスパイを一斉に引き上げてしまったことが直接の原因だ。

現在の世界は非常に危険な状態にある。このような非常時には非常対策が必要だ。北朝鮮、ベネズエラ、ロシア、中国など、スパイを送り込んでアメリカがじっくり観察しておかなければならない危ない国がいくらもある。アメリカ市民はアメリカ政府によるスパイ活動を反対したりはしないだろう。だが、問題は民主党ならびに、共和党とは名ばかりのRINOと呼ばれる政治家達である。CIAがテロリストを尋問するときに多少手荒な真似をしたというだけで大騒ぎをしている連中だ、アメリカのスパイがイランに潜入して任務のために人殺しもいとわないなどとなったらねずみを怖がるご婦人のように机の上にのっかって裾をまくって叫び出しかねない。

繊細な心の持ち主に諜報政策を任せていてもいい時代はとっくの昔に終わったのだ。我々にはラングリーにあるCIA司令部の壁にもっともっと多くの黒星(殉職した人は黒星で表される)が張られる覚悟ができるような根性の座った男女が必要なのである。アメリカには「非合法戦闘員」を敵国に潜入させるという誇り高い伝統が以前には存在した。いまやアメリカはその伝統に戻るときである。いや、もうとっくに戻っているべきだったのである。

December 10, 2007, 現時間 9:54 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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日付け → →December 9, 2007

信仰と政治の両立は可能か? ミット・ロムニー候補の演説を考える

共和党大統領に立候補しているミット・ロムニーマサチューセッツ元知事は、モルモン教徒であるということで、福音書右翼や世俗主義左翼から、大統領にふさわしくないという批判を多く受けている。

モルモン教はその始まりが過激思想のジョン・スミスとその妻エマによって創設されたが、そのあまりの過激さにジョン・スミスは暗殺され、教徒は追放の憂き目をみた。二代目のブリガミア・ヤングは自由の地をもとめて従者をひきつれ旅にで、ユタ州におちついた。しかしその後もモルモン教はテロリスト的な暴力行為を繰り返し、主流キリスト教徒たちからは「カルト」として忌み嫌われた。彼等の一夫多妻制度も長いこと批判の対象となっていた。

しかし時とともにモルモン教は主流化し、今ではごく普通のキリスト教の一宗派として受け入れられている。一夫多妻制度など、とっくの昔に破棄されており、ミット・ロムニーは二十何年前にめとった最初の細君といまだに円満だ。カトリック教徒なのに三回も離婚しているジュリアーニ元ニューヨーク市長とは大違いである。

にも関わらず、ロムニー候補に対する「モルモン教徒」批判は強まる一方である。そこで数カ月前から、ロム二ーは昔、ジョン・F・ケネディがアメリカで初のカトリック教大統領となるべく立候補した時にしたように、自分の信仰と大統領としての信念を国民にきちんと説明する必要があるといわれてきた。ロム二ーは最近ぱ浸礼派教徒の候補者マイク・ハッカビーに押され気味でもあり、1月のアイオワコーカスを前にここはひとつ演説をぶっておかねばならないと考えたようだ。

その演説が、先日パパブッシュの大統領図書館において行われた。上記のリンクからビデオをみることが出来るので、英語のヒアリングに自信のある方はぜひ演説を聞いていただきたい。

まずロムニー候補は先の大統領の紹介に感謝した後、パパブッシュが第二次世界大戦中に戦闘パイロットで活躍し、のちに敵に撃ち落とされたのを米潜水艦に救われたという話をし、先代はアメリカの自由を守るために常に立ち上がって戦ってくれたと讃えた。これが先の世代が「偉大なる世代」といわれるゆえんだとし、自分達の世代が直面するイスラム過激派テロリストによる脅威、国家の莫大な負債、石油の使い過ぎ、離婚問題といった問題をかかえ、先代に見習って自由を守るために戦わねばならないと演説をはじめた。

人によっては、我々の直面する脅威において宗教など特に真剣に考える必要はないといいます。しかし彼等のそうした考えはアメリカ国家創設者たちの考えと異なります。 国家創設者たちは国家の偉大なる危機に瀕した時、創造者の祝福を求めました。そしてさらに、自由な国の生存と宗教の自由を守ることが深くつながっていることを発見したのです。ジョン・アダムスの言葉ですが、「道徳と信仰によって、束縛を解かれた人間の情熱と戦うことができるほど、強く武装した政府は存在しません。我々の憲法は道徳的で信仰心の強い人々によって作られたのです。」

自由は宗教を必要とし、宗教は自由を必要とします。自由は心の窓を開け放ち、魂が神と一体となるためのもっとも重大な信仰を発見することができるのです。 自由は宗教と共に耐え、宗教なくして滅びるのです。
....

50年ほど前、マサチューセッツ出身のもうひとりの候補者が、彼はアメリカ人として大統領に立候補しているのであり、カトリックとして大統領に立候補しているのではないと説明しました。彼と同じように、私もアメリカ人として大統領に立候補しています。私は自分の候補性を私の宗教で形作るつもりはありません。人は、宗教が理由で選ばれるべきでもなければ、宗教ゆえに拒絶されるべきでもありません。

私の協会も、いやそれをいうならどの協会も、私の大統領としての決断に影響を及ぼすことはないと保証します。彼らの権限は彼らの協会内部にのみあるのであり、彼らの権限の境界から国の政が始まるのです。
.....

人によってはそのような保証だけでは不十分だと言います。彼らは私が単に私の宗教から遠ざかるべきだといいます...私はそのようなことはしません。私はモルモン教を信じ、その教えに従って生きるつもりです。
.....

私の信仰に対するこのような告白は私の候補としての立場を危険にさらすことになるという人がいます。もしそれが正しいのであれば、それは仕方ありません。しかし私は彼らはアメリカ市民を見損なっていると思います。アメリカ市民はたとえ世界を得るためでも、自分の信じるものをおざなりにする者を見飽きているのです。

ここでロムニーはイエス・キリストをどう考えるかという説明を始める。モルモン教と福音書ではこのあたりでかなり違った教えがあるからなのだろう。しかしロムニーは自分がモルモン教の教えをつぶさにせつめいする義務はないと語る。なぜならば、そのようなことをするのは国の創設者たちが憲法で禁じた宗教の試験をすることになるからだ。ロムにーが、「どんな候補も彼の宗教の報道官になるべきではありません。そして彼が大統領になったときは彼は人々のすべての信仰によるお祈りを必要とするのです。」と言ったところでは、会場から一斉に歓声が沸いた。

ロムニーは宗教こそがアメリカ国家の基盤だとしながらも、どの宗教を個人が選ぶかは個人の自由だとしている。そして政教分離の大事さを唱え、どのような宗教も政府を独裁してはいけないし、宗教の自由を迫害してもいけないと語った。しかし最近の公の場での宗教関係のシンボルがことごとく取り除かれている傾向については、これはアメリカ国家創設者たちの意図に反するものだと主張した。このような行為は世俗主義という宗教の押し付けであり間違っているとロムニーは言う。また、大統領となった暁には保守派の裁判官を任命するという意志を次のようにあらわした。

創設者たちは、国家宗教の設立は禁じましたが、公共の場から宗教を取り除けなどとはいっていません。私たちは「神の元に」そして神の中にある国家で神を信頼しています。私たちは創設者がそうしたように創造者の存在を認めるべきです。神は私たちの貨幣にも、私たちの宣誓にも、歴史の教えのなかにも、そして祝いの季節のあいだも、残るべきです。キリスト降誕の図やマノラは公共の場で歓迎されるべきです。わが国の偉大さは憲法の元となった信仰の基盤を尊敬する裁判官なくしては長くは持ちません。私は政府の政と宗教の分離に関してはきちんと計らいます。しかし、私は自由をもたらした神から人々を離すようなことは致しません。

宗教保守がこれを聞いて気分が悪いはずがない。なにしろリベラルな裁判官によって何かと宗教が迫害されている今日この頃、公共の場での宗教シンボル掲示は政教分離の精神に反さないという裁判官を多く任命してもらえるかどうかは非常に大切な問題だ。

ロムニーは大事なのは大統領が宗教を基盤にした、平等、助け合い、自由の保護といったアメリカの価値観をもっているかどうかなのであり、このような価値観はどの宗派を信じていても同じだという。この宗教の価値観によってアメリカはまとまってきたのだと語る。

アメリカ人は皆自由は神からの贈り物であることを知っている。アメリカほど自由のために自らを犠牲にして戦ってきた国はないとロムニーは言う。このアメリカの価値観と道徳的伝統はロムニー自身の宗教にも他の宗教にも共通するものだ。

現在のアメリカ人は常に宗教の自由を経験してきたので、そういう自由が無かった時代を忘れてしまったのかもしれないとロムニー。ヨーロッパから宗教弾圧を逃れるために新世界へ逃げてきた人たちが、今度は自分達が異教徒を迫害する立場になったりした歴史を振り返り、ロムニーはアメリカの創設者こそが、フィラデルフィアで「自由とは何か」という画期的な定義付けをしたのだと語る。

ロムニーは自分が欧州を訪れたとき、国教のあった国々には美しい教会がいくつもあったが、礼拝者がいずに空っぽのところが多かったという。これは一重に国が国民に宗教を押し付けたことが原因だという。宗教を国民に押し付けることも悪いが、それ以上に悪いのは過激派聖戦主義者が暴力で人々を改宗させようと言う行為だ。我々はこれまでには無かった偉大なる危機に瀕しているとする。ここでロムニーは対テロ戦争にも真剣に取り組むつもりだと国民に約束しているわけだ。

アメリカの創設者たちは、イギリスとの独立戦争に面して、宗派の違うもの同士がアメリカの愛国者として心をひとつにして祈った過去をもう一度語りかける。

この精神を、神聖な自由の著者に感謝し、一緒にこの国が常に自由の聖なる火にともされ神に祝福されるよう、祈ろうではありませんか。

神よアメリカ合衆国にご加護を与えたまえ!

このような演説を聴くと、日本の読者の皆様は何か神がかりすぎて変な印象を受けるかもしれない。だが、ロムニーが今捕らえなければならない投票者は世俗主義のリベラルではなく、信心深い宗教右翼なのである。ロムニーの最大のライバルであるマイク・ハッカビーは、ロムニーの宗教は本物のキリスト教ではないとでも言わんばかりに、自分は「キリスト教徒の候補だ」とテレビでビデオコマーシャルを流しているほどなのである。

ロムニーは今の時点で無所属やリベラルの支持を得る必要は全くない。大切なのはアイオワとニューハンプシャーで保守派の票を稼ぐことにある。だから自分が信心深い人間であり、アメリカの基盤となっているイエス・キリストが救世主であることを信じていると主張することで、他のキリスト教宗派にこの人間は安全だと信用してもらうことが大事なのだ。私はロムニーはこの演説でそれをやり遂げたと思う。

December 9, 2007, 現時間 9:51 PM | コメント (0) | トラックバック (1)

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日付け → →December 8, 2007

影響力減るアメリカのユダヤ系、ユダヤ教徒相手の豚ハム宣伝が意味するもの

実はこの記事、アメリカのブログで2〜3日前に読んで大笑いしたのだが、陳さんの感想が面白いのでちょっとここで載せてみたい。しかしその前に事件の詳細。

【12月7日 AFP】米ニューヨーク(New York)のグリニッジビレッジにある高級食料品店が、ブタ肉を原料としたハムを、同教宗教行事ハヌカ(Hanukkah)用の「おすすめ品」として売り出していたことが分かった。ブタは、ユダヤ教の戒律で食べることが禁じられている不浄な食べ物の1つである。

同店でハヌカ用おすすめ品として売られていたハムに、ユダヤ教の戒律に即した適性食品を意味する「コーシャ」の印がないことに気がついたある女性が、店側に注意はせずインターネットにそのハムの画像を投稿した。

自身は厳格なユダヤ教徒ではないというその女性は、ニューヨーク・ポスト(New York Post)の取材に対し「おもしろいと思っただけで、別に怒っているわけではない。ただ、ユダヤ人の食べる物について何も知らない人がいると思ったの」と語った。
女性がハヌカ初日の4日に再び店を訪れたとき、「ハヌカ用おすすめ品」の文字はなくなっていた。店長によると、あの宣伝文句は店員が勘違いをして記載したものだったという。

これに関する陳さんの感想はこちら。

★まずこのニュースがなぜ深刻な内容を含んでいるかというと、アメリカにおけるユダヤ系市民の影響力低下を如実に示す内容だからです。...

★そもそも、これがアラブ人向けに同じ事をしていたら、今頃はテロが起こっていた筈です。発見したユダヤ人女性は「おもしろいと思っただけで、別に怒っているわけではない」などと言っていますが、これがレーガン大統領の頃なら、A○Lなんかが糾弾会をして、スーパーは倒産に追い込まれていたでしょう。そればかりか、マスコミを巻き込んでの大騒ぎになっていたはずです。そもそもユダヤ人がブタ肉を食べないなどというのは...常識であったはずなのです。そしてもともとユダヤ人が多い街で、その常識が通用しなくなったということが事態の深刻さを表しているのです。

★それにしても、ユダヤ人がこの手の深刻な人権侵害を「笑って済ませるようになった」となると・・・それもニューヨークで・・・こうした、ユダヤ人としてのアイデンティティーを喪失した単なる白人系のアメリカ人が増加しているというのは、アメリカが今後どのような方向に向かうのかを象徴しています。そして、アメリカの保護を受けることが期待できなくなるイスラエルの将来も。...

うちも世俗主義のユダヤ系で、ミスター苺は豚まんもトンカツも平気で食べるし、宗教らしいことは冠婚葬祭の時のみで、この記事を読んだ時も写真を撮った女性同様「面白いと思った」クチだ。アメリカのユダヤ系はうちみたいな世俗主義が非常に多いので、(大抵がリベラルなのだが)こういった風潮はそれほど新しいとは思えない。

ただ陳さんも指摘しているように、グリニッジビレッジといえば、ユダヤ系アメリカ人が非常に多いところで、地元の人たちもユダヤ系が豚肉を食べないことくらい常識として知っているはずだが、それがこんな大間違いを仕出かすというのは確かに不思議だ。

陳さんがいう通り、これが「ラマダンにぴったり」なんていう広告だったら、この店がイスラム教徒らによって爆破されていた可能性は大きい。そしてCAIRとかACLUなんていうお節介市民団体が乗り込んできて、この店はつぶれてしまっただろう。

ただユダヤ系は確かに訴訟好き(なにしろ弁護士が多いので)ではあるが、こと宗教にかんしてはあまりうるさくいわない主義だ。これは宗教によって差別され迫害されてきた歴史が長いことから、ユダヤ系はあまり宗教の面で社会的に目立ちたがらないせいではないかと思う。

しかし私が陳さんのいう、アメリカのユダヤ系はユダヤ系としてのアイデンティティーを失っているとか、イスラエルへの支持が低下しているというのはちょっと違うという気がする。

昔は反ユダヤ教徒といえば、右翼のキリスト教徒が多かったのだが、最近は同じ「聖書の人々」ということで、右翼キリスト教の間でユダヤ教徒やイスラエルを支持するひとたちが増えてきている。皮肉なことに、世俗主義ユダヤ系が多く所属しているリベラル派の間で、最近とみにあからさまな反ユダヤ教偏見が見られるようになった。

リベラルのモットーは「寛容」ということになっているため、表向きは彼等は人種差別を徹底的に糾弾するが、実はこれ、彼等の心の奥底にある強い人種差別意識の現れだと私は思う。だから保守派や右翼が何気なくする言動が常に人種差別意識からくるものだと我々を責め立てるのも投影というやつで、彼等は自分らの言動が常に人種差別意識から動かされているものだから、我々もそうに違いないと考えてしまうのだ。

リベラルのなかには、もともと反ユダヤ意識がいくらも存在していた。しかし口に出していうのははばかられるのでこれまで遠慮していたにすぎない。ところが、リベラルの宿敵である保守派やネオコンや宗教右翼がイスラム系テロリストと戦いはじめると、敵の敵は味方という意識でイスラム教徒への同情が強まった。そうなれば必然的にイスラム教の宿敵ユダヤ教が迫害の対象となるわけだ。元民主党議員でユダヤ教徒のジョー・リーバーマン上院議員がイラク戦争を支持したというだけで、先の選挙でリベラル派から攻撃されたが、その攻撃の仕方は彼の政策よりも彼がユダヤ人であることに集中されていた。こういうところで左翼の汚い本性が出るのだなと私は非常に嫌な気持ちになったものである。

イスラエル・パレスチナ政策でみられるように、アメリカのリベラルの間で増えているあからさまなユダヤ差別はアメリカの世俗主義ユダヤ系リベラルを複雑な立場に追い込む。一方で彼等は保守派の政策とは完全に相容れないが、もう一方でリベラルによるユダヤ差別は直接自分らの身の安全を脅かすことを知っている。彼等は宗教心など強くなく完全な世俗主義としてリベラルに融合してきた。しかし、異教社会に完全融合することが身の安全を保証しないことは、地元文化と完全融合していた彼等の祖父母たちがナチスドイツ及びヨーロッパでユダヤの血を引いているというだけで人種浄化の憂き目にあったことが証明している。

だから最近とみに力をみせてきているムーブオンなどという市民団体のあからさまなユダや差別がこれらのユダヤ系リベラルを不安な気持ちにさせているのは当然だろう。こうしてみていみると、今回のハム事件が「ユダヤ系市民の影響力低下を如実に示す」という陳さんの意見もまんざら的外れとはいえないのかもしれない。

December 8, 2007, 現時間 11:40 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

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NIEはイランの情報操作にまんまとのせられたのか?

English version of this entry can be read here.

昨日も疑問点多いNIEのイラン核開発停止報告で書いたように、今回のアメリカの国家情報評価(NIE)による、イランは2003年秋に核兵器開発を停止していたという調査報告には腑に落ちない点が多すぎるのだが、アメリカ主流メディア各紙の反応を読み比べてみよう。

まずはウォールストリートジャーナル(WSJ, 登録有料)の社説 からよんでみると、WSJはカカシが昨日指摘したように、この報告書が2年前の報告書を完全に覆しているという事実そのものがNIEの信用度を落としていると書いている。:

ほんのつい2005年までは「国際的な義務や圧力にも関わらず」「イランは現在核兵器開発を行っていると確信している」というのが一般的な見方だった。これはNIEによる「高度の自信を持った」判断だった。ところが新しいNIEはイランが「国際社会の圧力に反応」して2003年に核兵器開発プログラムをあきらめていたという。そしてこれもまた「高度の自信を持った」結論だという。とすれば二つの結論のうちどちらかが間違っていることになり、根本的な分析過程の信用度そのものがかなり疑わしくなってくる。

...

NIEの主要な著者たちが「極度にブッシュ政権に反対していた」元国務庁の役人たちであると知って、我々は報告書に高度な「自信」をもつことができない。彼等はトム・フィンガー元国務庁諜報調査部、バン・バンダイパン国家諜報大量破壊兵器部、ケニース・ブリル元国際原子力機関(IAEA)アメリカ大使である。

またWSJは2003年にイランに圧力をかけた事件といえば、イラク戦争しかないことを指摘している。ジョージ・W・ブッシュのイラク戦争は単にパパブッシュやクリントンのやった戦争のように、短期間にやって「よくやった」とお互いの肩をたたきあってさっさと撤退し、後の混乱には全く無頓着などという戦争ではなかった。ジョージ・Wの戦争では、フセインを倒しバース党を崩壊させた後の反乱分子との戦いにアメリカは苦戦して歯を食いしばって居座った。ジョージ・Wは内外からの批判をよそに全く方針をかえる気配もなかった。これはそれまでイスラム諸国がアメリカ軍にたいして持っていた印象とは正反対の反応だった。もしイランがジョージ・Wの態度に圧力を感じて核兵器開発を一時停止したのだとしたら、これはブッシュ政策の大勝利と考えるべきではないのか?

だがNIEはこれを「国際的な圧力」としている。国際社会のどのような圧力のことをいっているのか報告書は特定していない。 2003年にあった国際的圧力とはいったい何だ?当時アメリカはヨーロッパにイランと核兵器開発について交渉してほしいと説得している最中で、まだとりたてた圧力がかけられていた時期ではない。

WSJ はもっと大事な点はイラン核プログラムにあるという。イランはいまだに核爆弾の燃料となるうるウラニウム濃縮作業を工業並みのスケールで継続している。そしてこれは明らかな国連条例違反である。しかもIAEAはイランにはすでにウラニウムを核兵器の核形に製造する設計図を持っていることを確認しているというのだ。それに加えてイランには弾道ミサイルを武装する技術的な知識があることはすでにアメリカ諜報部は知っているのである。またイランの革命防衛隊はすでに点火の技術すら開発中だという。だとすれば、単に核兵器製造をおこなっていないというだけであって、イランの核開発プログラムは健在だということになるではないか?

ロサンゼルスタイムスによるとNIEが2005年の結論を完全に覆した理由は新しく取得された証拠によるものだという。

その新しい証拠というのは、現職ならびに退職した合衆国諜報部の関係者によると、この夏にアメリカの諜報部がイラン高官同士の核兵器プログラムに関する電話での会話内容を取得したというところからはじまる。どうやって取得したかという詳細は載ってないが、多分衛星電話などの会話を途中で捉えたのだろう。またこれと共に高官同士の会話が記載された核兵器開発に関する日記がみつかったのだそうだ。

この新しい情報がきっかけとなって、これまでの諜報が大幅に見直しされたのだとロサンゼルスタイムスは伝えている。

しかしここで注意しなければならないのは、諜報というものは最終的な絵がわからない点の集まりだ。この点をどう結び付けるかは分析者の判断に頼らなければならない。星座などでも柄杓だといわれるからそうかなという気もするが、見る人によって見える絵は違う。NICは2005年にはこの点のかたまりを「高度な自信」を持って核兵器開発がされていると判断したが、今回は全く同じ点と新しくできたふたつみっつの点をあわせて、同じく「高度な自信」をもってイラン核兵器開発を停止したと判断していることになる。

NIEはイラク戦争の前イラクに大量破壊兵器の備蓄があるという誤った結論を出してしまったことから、その教訓を生かしてもっと慎重に今回の分析にあたったという。ひらたくいうならば、アメリカはイラクの大量破壊兵器について1990年に過小評価しすぎていた。そして2002年には過大評価していた。そして2004年にはイランの核兵器開発を過小評価していたので、2005年には過大評価し、2007年には過小評価して調節しているということだ。

そうだとすれば、今回の結論も極端な過小評価である可能性が非常に大きいということになる。しかも著者三人が極端にブッシュ政策に批判的であるということも考慮にいれると、今回の報告書がいったいどこまで信用できるものなのか、ハッキリ言ってカカシには「高度の自信」がもてない。(笑)

ニューヨークサンはNIEは明かに外交政策に影響を与えようとしていると書いている。

この報告書の正しい読みはワシントンにいる選ばれた政権にたいして諜報組織が長年に渡って挑戦してきた葛藤の結果だということだ。彼等はずっとブッシュ大統領の主な政策決断に反対してきた。 彼等はイラク国会に反対だったし、イラクの選挙にも反対だった。彼等はI. Lewis Libbyにも反対だったし、イランへの強硬路線にも反対だった。

言ってみればこれは役人の復讐のようなものだ。著者の重要なひとりであるバン・バンダイペンはアメリカにイランのウラニウム濃縮をみとめさせようと過去5年にわたって働きかけてきた。バンダイペンがこの見積もり報告を組織のなかで押し進めることによってワシントンでの政策に影響を及ぼすことが出来ると考えていることはあきらかだ。役人たちは自分らの手で次の戦争をとめようとしているのかもしれない。

しかしこの危険なゲームはブーメランのように戻ってきて、かえって戦争が起きる可能性を高めてしまう可能性がある。外交官たちは今月中になんとか安全保障委員会でイランに関する三つ目の条例を通過させたいと望んでいた。すでにタートルベイ(国連ビル)の中国代表はそのような書類を支持するのはやめたいと騒ぎはじめている。...

イランが差しせまった脅威ではないということになれば、国際諸国はイランへの経済制裁だの条例だのに控えめな姿勢を示すようになるのは必定だ。国際社会からの圧力によってイランに核開発をやめさせようとアメリカ民主党が考えているなら、この報告書のおかげで国際社会からの圧力など全く見込みがなくなってしまった。

さて前述の「新しい証拠」だが、これについてはニューヨークタイムスがもっと詳しく説明している。

入手されたノートに2003年後期に核兵器の複雑なエンジニアリングデザイン企画を差しとめたことについて、軍幹部の人間が苦々しく文句をいっている会話が記載されている....

ニューヨークタイムスはこのノートの内容は別の幹部によって確認されており、別に取得された会話の内容とも一致していることから、このノートの中身は信用できるとしている。しかしこのノートも衛生電話の内容もイランが故意に流した嘘情報であるという可能性は多いにある。イランはCIAがイラン国内で電話の盗聴をしていることは十分承知しているはずだ。だとしたらこちらを惑わすために偽情報を盛り込んだ会話をわざわざ軍隊幹部にやらせるなど朝飯前だろう。同じ内容の情報が別々に集められたからといって、その情報が正しいということにはならない。

ニューヨークタイムスによるとCIAはこれがイランが経済制裁から逃れるために意図的に流した偽情報ではないかという意見は拒絶している。しかしCIAはそのことについてどうしてこれが偽情報ではないと思うのか、二週間前に大統領、副大統領ならびに政府高官の前で説明したそうだ。

その会議に是非出席したかったな。

December 8, 2007, 現時間 12:14 AM | コメント (1) | トラックバック (1)

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日付け → →December 7, 2007

疑問点多いNIEのイラン核開発停止報告

Ehglish version of this entry can be read here.

先日、アメリカの国家情報評価(NIE)が、イランは2003年秋に核兵器開発を停止していたという調査報告を発表したが、それについてミスター苺がカカシより一足先に詳細に渡る分析をしているので、今日はミスター苺のエントリーをそのまま紹介したいと思う。

まずはこの国家情報評価の報告内容について読売新聞の記事から。 

【ワシントン=坂元隆】米政府は3日、イランの核問題に関し、米国のすべての情報機関の情報をまとめた国家情報評価(NIE)を発表し、イランが2003年秋の段階で核兵器開発計画を停止していたとの分析結果を示した。

 ただ、ウラン濃縮活動は継続しているため、2010〜15年に核兵器製造に十分な高濃縮ウランを生産することは可能だとも指摘。ハドリー国家安全保障担当大統領補佐官は同日、イランの核問題は依然、「きわめて深刻」として、外交的手段を通じてイランに国際的圧力をかけていくこれまでの政策に変化はないと強調した。

 米情報機関は2005年の同様の報告では、イランは「核兵器開発を決断している」と述べていた。今回のNIE報告は米政府がイランの核問題に関する認識を転換したことを意味している。ブッシュ政権内では、大統領自らが今年10月に「第3次世界大戦を回避したければイランに核開発させてはならない」と発言するなど、イランに対して武力行使も辞さない強硬論が出ていたが、今回の報告で強硬論は沈静化しそうだ。

米民主党のいうことを信じるなら、NIEのイラクの核兵器開発プログラムに関する調査書にはイランには最初から全く心配することなど何もなく、ヒラリー曰く「剣を振り回す」行為は今すぐやめて、イランに今後アメリカの安全を脅かさないでもらうよう賄賂を検討する平和的な交渉を初めるべきだと書かれているかのような印象を受ける。 (俗な言い方をすれば、イランの恐喝に従えということだ。)

NIEの調査結果が本当だとしても、実際に調査書の指摘する重要点は四つある。

  • パキスタンの核兵器科学者A.Q.Khanから買い求めた知識によりイランは核兵器開発プログラムを所持していた。
  • イランは核兵器開発を2003年の後期に(中止ではなく)停止したが、これはすぐお隣のイラクを侵略するという、ブッシュ大統領の「剣を振り回す行為」への直接的な反応だった。

    核兵器開発停止が起きたとされているのは2003年の秋である。これはアメリカがイラクに攻め入ってバース党を倒した直後ではなく、イラクでアルカエダやイランが支援しているシーア派の反乱分子との戦いがすでに始まってからのことだ。ビンラデンやアラブ諸国の予測に反してアメリカ軍は逆境に立たされても怯む様子を全く見せていなかった。

    アメリカ軍によるイラク占領がイランに安堵感を与えていたはずはない。ということはこのまま核兵器開発を進めていては「悪の枢軸」とブッシュに名指しされている自国がブッシュにいつ攻められるか分からないと心配したイランが核兵器開発の一時停止を考えた可能性は大いにある。

  • イランは核兵器に必要なウラニウム濃縮プログラムは継続している。
  • イランはアメリカ政権がバラク・オバマやヒラリー・クリントンのようなイラン政策穏健派に代わってイランへの圧力が減り次第、核兵器開発プログラム再開する機能を保持している。

注意すべきなのはイスラエルの諜報部もイランが2003年に核開発を一時停止したことは確認しているが、すでに再開されているとしている点である。 (hat tip to Hugh Hewitt):

イスラエルのエクード・バラク防衛長官によるとイランが2003年に軍事的な核開発を停止したというのは「本当らしい」とのことだ。

「しかし我々の見解では 以来プログラムを継続している模様だということです」 とバラクは陸軍ラジオで語った。「世界の諜報組織によって意見の違いが見られます。誰が正しいのかは時とともに明らかになるでしょう。」

ミスター苺の見解は、NIEの情報が正しいとするならば、 イランは核兵器開発をジョージ・W・ブッシュの任期中は一旦差し止め、民主党の候補者が2008年の選挙で勝利して彼等の公約通り、イランへの圧力を減らすという状況になってからプログラムを再開させようと考えているのではないかというものだ。なにしろ米民主党はイランをイラクの安定化に協力してもらおうと考えているくらいだから。

NIEも認めているとおり、イランは核開発施設を解体したわけではない。 ウラニウム濃縮施設はそのまま残っているし、核兵器開発知識も保持している。彼等は単に見張りの交代を待っているにすぎないのだ。

ところで、ミスター苺がいちいち、NIEのリポートが本当ならば、と注釈をつけている理由はケニース・ティマーマンというイラン関係に詳しいジャーナリストが、これは国務庁の妥協派のでっちあげだと主張しているからだ。ティマーマンの記事はニュースマックスにて掲載された。普通ミスター苺はニュースマックスの記事はあまり信用できないと感じているのだが、ティマーマン自身が中東の大量破壊兵器プログラムについて少なくとも1990年から研究している人であること、彼の著書Poison Gas Connection: Western Suppliers of Unconventional Weapons and Technologies to Iraq and Iranにおいてはイランとイラクの化学兵器についてかなり詳しい研究が発表されている。また、最近ではフランス政府とフセインイラクの癒着やイランの核兵器開発について、またCIAがそれを容認してきたことなどに関していくつかの著書がある。

過去のティマーマンの著書からティマーマンの分析は信用できるとミスター苺は考える。であるからミスター苺は彼がCIA並びその背後の国務省がイランの核兵器開発の危険性について過小評価しているという批判は真剣に注意を払う必要があると言う。

イランの核開発プログラムにおける国家情報評価(NIE)の150ページに渡る非常に問題の多い報告書は、元国務庁の諜報分析者らによって書かれたもので、もっと経験をつんだ諜報部員によって書かれたものではないことをニュースマックスは学んだ。

イランが国際社会からの圧力によって核兵器開発を2003年に閉鎖していたという最も劇的な結論はたったひとつの確認できない情報源を元にしており、これは外国の諜報組織から得た情報でアメリカによって直接尋問はまだ行われていない。

テヘランのニュースマックスの情報元はワシントンはイラン革命防衛隊による「意図的は情報操作」に嵌っている と感じている。これは革命防衛隊の諜報部員がヨーロッパの外交官に扮してアメリカの諜報部へ送り込んだねつ造情報ではないかという。

ティマーマンによれば、新しいNIEは国家情報審議会(NIC)の会長であるトーマス・フィンガー(Thomas Fingar)という典型的なペルシャ親派によって仕切られているらしい。彼等はもと国務庁の中東専門家だったのだが、とっくの昔にアメリカのことより中東優先の姿勢をとるようになっている役人だ。もしフィンガー会長がイランの情報操作に騙されているとしたら、それは彼がもともとイランのムラー達とまともな外交交渉ができるという偏見があるからで、 国務庁の多くの役人がそうであるように、ジョージ・W・ブッシュ こそがイランの核兵器よりも国家にとって危険だという考えているからに他ならない。

フィンガー会長は国務庁の諜報分析のベテランであり、長年に渡る民主党支持でブッシュ政権批判家だという。フィンガー氏こそが民主党と協力してボルトン国連大使を引退に持ち込んだ責任者だ。フィンガー氏は国務庁や国家情報審議会でベネズエラのチャベズやキューバのカストロとも深い関係のあるイランがアメリカに脅威的だという分析結果を出すアナリストを次から次へと首にしてきた歴史がある。

もしそれが本当だとすれば、お世辞にもフィンガー氏は中立な分析者とはいえなくなる。 フィンガー氏の愛弟子のケニース・ブリル(Kenneth Brill, Director of the National Counterproliferation Center, 国家対増殖センターの責任者)、とバン・H・バンダイペン(Vann H. Van Diepen, 大量破壊兵器および増殖対策専門の国家諜報委員)はNIEにイランと交渉する政策を強く押しているという。

さてここでカカシから、ブッシュ政権対国務庁及びCIAの対立についてちょっと説明しておく必要があるだろう。読者の皆様のなかには国務庁もCIAもブッシュ政権の統治下にあり、すべて政権の言いなりになっていると感じておられる方が多いのではないかと思う。

国務庁やCIAの長官は大統領の任命によって決まるが、その下で働く人々は政権をまたがって働いているただの役人である。彼等にはそれぞれの政権に対する忠誠心などというものはない。彼等にとって一番大切なのは自分らの権力を維持していくことなのであって、国家安全や愛国心など二の次という役人意識の人が多い。

だから、イランやイラクが国家にとって驚異的であるとすることで、諜報活動が活発に取り入れられ、自分らが国家政策に大きな影響を与えることができる時は敵の危険度を割高に評価するが、敵が危険すぎて軍隊(防衛庁)が乗り出して来て自分らの権力が弱体すると判断した途端に敵の脅威度を過小評価するという傾向がある。イラク戦争直前まではイラクは核兵器開発間近だとか、化学生物兵器の完成品の備蓄が大量にあると主張していたCIAが、いざ戦争となると、それまでの自分らの報告をそっちのけにして、本来ならば大量破壊兵器、すくなくともその成分や部品であると解釈されてもいいような発見までWMDとは無関係であると判断してブッシュ大統領に恥をかかせ、国家警備に関わる秘密情報を漏えいしたりする有り様だ。

今回のイランの件にしても、イランの核兵器開発が危険だとして、外交交渉やCIAのイラン国内での活躍が活発に行われると判断した時期には、イランの核兵器開発の脅威を誇張し、それが戦争に結びつくかもしれないとなると、とたんにイランは危険ではないと報告する。そうだとすれば、2005年にNIEがイランは危険だと報告した内容と、今回イランは差しせまった危険ではないと判断した報告内容とどちらが正しいといえるのだ?

ティマーマンが参照しているこの ワシントンタイムスの記事においてビル・ガーツ記者は2005年の結論を覆すこととなったNIEのいう「新しい情報』とは元革命護衛隊から今年の2月に亡命したアスガリ将軍(Gen. Alireza Asgari)の証言からではないかという。

アスガリはイラクやレバノンにおけるイラン革命護衛隊の活動に関する詳細な知識を持っているとされる。それというのも自分がその訓練にあたったからだという。またアスガリはイランの核兵器など秘密兵器についても必要物資の調達にあたっていたためよく知っているとされる。しかし、アスガリは核兵器開発の任務には当たったことがなく、開発プログラムについては何も知らないとイランのコネはニュースマックスに語っている。

ガーツ記者のリポートはティマーマンの説を裏付けるものだが、アメリカの諜報部も記者たちの説をいまのところ否定していない。アメリカ諜報部の高官もこの報告がイランからの意図的な情報操作という「可能性はある」と認めている。

イランが核兵器開発を続行しているという情報が間違っていたとしても危険ではないが、イランが開発を続行しているのに停止したと思い込んで政策を変えたらそれは非常に危険だ。この問題は早急に真実を突き止める必要がある。NIEの新しい情報とはどこから得たものなのか?もしこれがアスガリの証言だとしたら、アメリカ側はすでにアスガリを尋問しているのか?していないならなぜなのか?

もしNIEが国家警備のことよりも自分らの政治的権力保持を望むペルシャシンパの集まりで戦争を避けたいばかりに情報をねつ造したとしたらこれは由々しきことだ。

むろんこのニュースに米国民主党は大喜び。「だからいったじゃないの... イランには優しく褒美でつればいいんだって。」:

剣を振り回すのはやめるべきだったのです。最初かはじめるべきじゃなかった。」とバラク・オバマ上院議員。ニューヨーク代表ヒラリー・ロダム・クリントン上院議員はブッシュ大統領は「この機会を利用すべき」としながら、アメリカからの圧力が効果があったとし、ライバルのデルウェアー出身ジョー・バイドン上院議員の発言とは異論をとなえた。

ブッシュは報告書の内容については先週ブリーフィングを受けたばかりだとしているが、この点について民主党は信用していない。

「大統領は知っていたにもかかわらず『大三次世界大戦』なんてことを言ってたのです。」ウエストバージニアのジェイ・ロックフェラー議員。「知っていたのです。知っていたのです。 ブリーフィングを受けていたのですから」

「ブッシュ大統領はアメリカ市民からの信用度を落としました。 民主党委員会のハワード・ディーン会長。「我々は イラクでもだまされ、今度はイランです。 私たちは真実を知る必要があります。外交問題ではタフであるとともに賢くなければなりません。」

しかしカカシにいわせるならばだ、2005年に報告したNIEのイランの核兵器開発は間近だという内容を信用できないと言っていた民主党は、いったい何の根拠があって同じ組織による別の内容は信用できると判断しているのだ? 2005年にそんな大幅な間違いをおかしている諜報機関なら、今回の調査報告にしてもどれほど信用できるかわからないではないか!

それにたとえNIEの調査報告が正しいとしても、それはブッシュ大統領の強行作戦にイランが恐れをなして核開発を一時停止したにすぎない。そうだとすれば、イランが穏健派のオバマ、エドワーズ、ヒラリーの到来を心待ちして核兵器開発の準備を着々と進めているということにある。国防に弱いとされている民主党にとってこの事実が国民に良い印象を与えるとは思えない。

無論そのことを、共和党がきちんとアメリカ市民に説明できるかどうかはまた別問題。なにかとつまづきの多い共和党なので、あまり当てにはならないが、、

December 7, 2007, 現時間 12:02 AM | コメント (0) | トラックバック (1)

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日付け → →December 4, 2007

米フェミニストの偽善を暴いたモハメッドという熊のぬいぐるみ

最近イスラム圏の二つの国で女性を虐待する二つの事件が起きた。そのひとつはスーダンで小学校の教師をしていたイギリス人女性が生徒たちがマスコットにしているぬいぐるみの熊に「モハメッド」という名前をつけることを許可したことが、イスラム教を冒涜するとして15日間の禁固刑を受けたこと。そしてもうひとつはサウジアラビアで集団強姦された女性が強姦された際、親族でない男性と外出していたという理由で反対にむち打ちの刑にさらされることになったという事件だ。

まずはスーダンのイギリス人女性教師の事件

ハルツーム(CNN) スーダンの学校での授業中、ぬいぐるみのクマにイスラム教の預言者ムハンマドの名を付けたとして有罪判決を受け、バシル大統領から恩赦を与えられた英国人教師ジリアン・ギボンズさん(54)が、スーダンを出国した。英外務省関係者が3日明らかにした。

ギボンズさんはスーダンを訪問した英上院のイスラム系議員を通じて声明を発表し、「わたしはイスラム教を尊重しており、他人を傷つける意図はなかった」と述べ、自身の行動が苦痛を与えたことについて謝罪を表明した。

ギボンズさんは裁判所から国外退去を命じられた数時間後、旅客機でスーダンを離れた。ドバイ経由でロンドンに向かっており、4日未明にヒースロー空港に到着する予定。空港でマスコミ向けに声明を発表するとみられている。

この記事には詳細が述べられていないが、スーダン政府の15日禁固刑に不満をもったスダーン市民たちギボンズさんの処刑を要求して町で暴力的なデモンストレーションを行っていた。スダーン政府がギボンズさんを国外退去したのも、イギリス政府への遠慮と国内のイスラム市民への配慮との間をとった苦肉の策だったといえるだろう。

そして二つ目のサウジアラビアの事件

サウジアラビアの裁判所はこのほど、集団強姦罪で有罪とされた被告らの上訴審で、被害者の女性側の主張を受け入れて被告らの刑を重くする一方、女性の刑も加重する判決を言い渡した。女性の弁護士がCNNに語った。

集団暴行を受けた女性(19)は昨年の裁判で、親族ではない男性と会ったとして、むち打ち90回の刑を言い渡された。それが、14日の上訴審判決では、6カ月の服役とむち打ち200回の刑に加重されたという。

女性と友人男性を拉致・暴行した7被告に対しては、裁判所が昨年、10カ月〜5年の服役刑を宣告。女性側は死刑が妥当として、この判決への不服を表明していた。上訴審では、7被告に2年〜9年の服役刑が言い渡されたという。

女性の弁護士は「被告だけでなく、被害者の刑まで変えられたことに衝撃を受けている」と話している。裁判所はこの弁護士資格を取り消し、司法省の調べに応じるよう命じたという。

英字紙アラブ・ニューズは情報筋の話として、女性側がメディアを通じて裁判所に影響を与えようとしたことが、刑の加重につながったと伝えた。

カカシがイスラム教が嫌いな一番の理由が女性虐待の方針だ。これは単に女性蔑視などという概念では片付けられない。強姦の被害者が辱めをうけて世間に顔向け出来ないと感じるというのならまだ理解できるが、裁判所が被害者を罰するなど言語道断だ。これでは強姦の被害者が訴え出るなどということは絶対に出来なくなる。本来ならば親族の男性に復讐をしてもらいたいところだが、イスラム社会ではやたらに被害者が親族に訴えようものなら、親族を辱めたといって反対に実の兄弟に殺されかねない。要するに女は男の冒涜に黙って耐えよというのがイスラム教の教えなのだろうか?

さて、このような男尊女卑の裁判に対してアメリカではなにかと女性の人権問題で口うるさいフェミニストたちはどれほどの抗議をしているかというと、これが完全なる沈黙を守っている。

元全国女性協会(National Organization of Women, NOW)のテキサス支部長だった、タミー・ブルースがこのアメリカのフェミニストたちの偽善について書いている。(私の記憶が正しければ、先の大統領ビル・クリントンのセクハラ事件を巡ってタミー・ブルースはNOWがクリントンを批判するどころか、クリントンを弁護し、かえって被害者を攻める姿勢をとったことでNOWを辞任した。)

どうやら(スダーンでは)かわいい熊をモハメッドと名付けるのは予言者への冒涜だが、モハメッドと名乗る男が大量殺人を犯すのはイスラムへの冒涜にならないらしい。

少なくとも過去14年間にわたって、特に1993年にオサマ・ビン・ラデンが西洋文化に宣戦布告をして以来、私たちはイスラム原理教の狂気に直面してきた。そして同時に、いかにアメリカの左翼が臆病かということが暴露された。 その通り、ぬいぐるみの熊をもってして敵の精神異常性に焦点が当てられたと同時に、(アメリカの)フェミニストのだらしない実態が明らかにされたのだ。

国際社会のほとんどからギボンズへの仕打ちに適切な怒りが向けられた、ただしアメリカのフェミニストは例外だ。イギリス国内の数々のイスラム教団体がこの判決を批判した。ギブソン先生のクラスで人気者の男の子ですら先生の弁護に出て、熊は自分の名前からつけたと説明している。

しかし、フォックスニュースからコメントを求められたNOWの代表者は「このことについて見解を述べるつもりはない」と答えている。

これほどアメリカの左翼は堕落してしまったのだ。スダーンの幼いモスリムの男の子のほうがワシントンにいる「女性人権の代弁者」と自称する女性集団よりもよっぽども攻撃を受けた女性を守ろうという勇気と信念を持っている。

もう何年もアメリカのフェミニストの体制は便宜上フェミニストを名乗って民主党左翼のサクラと成り果てていることはあきらかだった。NOWやエレノア・スミールのフェミニストマジョリティーなどというグループは過去五年間に渡るイスラム教テロリストの女性への暴力に完全沈黙を守ってきた。女性問題は彼女たちにとって政治的勢力を得るためにがなり立てる便利なスローガンに過ぎない。

彼女らの悪意に満ちた沈黙はギボンズさんの事件に留まらない。サウジアラビアでは集団強姦された犠牲者が200回のむち打ちと6か月の禁固刑という判決を受けている。なぜかといえば、それは彼女が(強姦された時)親族でない男性と外出というシャリア法に違反する行為をとっていたからだ。彼女が生意気にも控訴したことで彼女の刑はより加算されたのだ。

このような奇怪な暴行にNOWやフェミニストマジョリティーの反応はどうかといえば、ジリアン・ギボンズの時と同様、全く同じく無反応。何故ならば(神よ禁めたまえ)戦うに値する邪悪な敵が存在するなどと認めるわけにはいかないからだ。そして(神よ禁めたまえ)一人の女性のためにアメリカが邪悪な帝国主義ではないかもしれないなど人々に気が付かれては困るからだ。

これは決してフェミニスト団体だけのことではないが、1960年代に創設されたアメリカの人権擁護市民団体はことごとく共産主義者や左翼主義者に乗っ取られてしまった。いまや彼等は人権擁護も女性問題も人種問題も興味がない。あるのはどれだけこれらの問題を悪用して自分達の政治的勢力を得られるかということだけだ。彼等は常に自分達こそが弱いものの味方だと言って、平等と公正を求める保守派を冷酷だとか男尊女卑主義だの人種差別者だのといって批判してきた。

だが、彼等こそが体制のみを重んじ、イスラム圏で野蛮人に教養をつけようと出かけていった善良なギボンズおなご先生や、か弱い19歳の乙女が冒涜されたことなど、自分らの政治勢力獲得に役に立たないものはことごとく無視するか邪魔になるものは敵視するかしかしない冷酷な人間どもなのだ。

タミー・ブルースはここ数年に渡ってアフガニスタンやイラクで婦女子虐待の悪を駆除するため感謝もされず認識もされずにひたすら戦ってきたのはNOWやリベラルや左翼が忌み嫌うアメリカ軍隊そのものだという。アメリカの海兵隊が自称フェミニストから命令を受けていたなら、彼等がこれまでに解放した何百万という女性たちがいまでも奴隷生活をしいられていたことだろうとタミー。

まさしくその通りだ。本来ならば女性虐待のイスラム教過激派の冒涜を真っ先に糾弾し、その過激派の悪と戦うブッシュ政権を率先して支持すべきアメリカのフェミニストたち。しかし彼女等の本性は女性人権擁護でもなんでもない。彼女たちの本来の目的は共産主義の促進だ。女性人権問題など単なる道具にすぎないのである。

無邪気なこどもたちのマスコット熊のぬいぐるみがアメリカフェミニストたちの偽善を暴くことになったのだ。

December 4, 2007, 現時間 12:22 AM | コメント (0) | トラックバック (2)

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日付け → →December 2, 2007

度重なる中国の米艦香港寄港拒否、今度はクリスマスを台無しに?

この間キティホーク戦闘群の香港寄港許可をドタキャンして乗組員や家族たちの感謝祭の休暇を台無しにした中国は今度はクリスマス休暇を香港で楽しもうとしていたフリゲート、ローベン・ジェームズの寄港要請を拒否した。

 【ワシントン=山本秀也】米中間の軍事緊張を招いた米海軍艦艇の香港寄港拒否問題で、米国防総省は11月30日、太平洋艦隊所属のミサイル・フリゲート、ルーベン・ジェームズ(4100トン)が、新たに寄港申請を拒否されたことを明らかにした。中国政府が米艦の香港寄港を拒否したのは、11月以降3件連続となり、米中の確執がより深まったかたちだ。

 国防総省によると、ハワイの真珠湾を母港とするルーベン・ジェームズは、乗員の年末休暇のため香港寄港を申請していた。艦艇のほか、香港の米国総領事館の支援業務にあたる米空軍のC17輸送機についても、同省は中国政府が11月22日に「次回の着陸を認めない」と米側に通告していたことを公表した。

 1997年の香港返還後、米艦艇の香港寄港は年平均約50回。中国政府は11月21日に寄港を求めた休暇目的の空母キティホーク戦闘群のほか、これより前に荒天回避と給油を求めたガーディアンなど掃海艦2隻の香港寄港も拒んでいた。

 寄港拒否で感謝祭の休暇を棒に振ったキティホーク戦闘群は、横須賀基地への帰途、台湾海峡を通過する事実上の報復に出るなど、米中の対応は、これまでの寄港問題を越えるエスカレートぶりをみせ始めた。

平和時に他国の船を寄港させるのは国際社会では常識的な礼儀だ。それを拒否するということはかなり問題である。なぜならば平和時においての寄港拒否ほど攻撃的な行為はないからだ。これはまかり間違えば戦争行為と取られても仕方ないほどの過激な行為なのである。アメリカはことがエスカレートしないように冷静な対処を中国に促しているようだが、私には今の時期に中国がアメリカの神経を逆撫ですることの意図がいまひとつ理解できない。

フォックスニュースによると日本はアメリカ側に同調して横須賀を訪問中の中国駆逐艦に乗船しないことを決定したとある。しかしオーマイニュースによると海上自衛隊が訪問したとあるので、中国艦を訪問しなかったというのは誰をさすのか良く分からない。

ところで中国のメディアが11月25日に海上自衛隊の横須賀基地を訪問した際、対岸の米軍基地をビデオ撮影するという狼藉をはたらいていたそうではないか? となると今回の中国艦による日本訪問も友好目的とはいうもののスパイ行為が目的なのではないかと勘ぐられても仕方あるまい。

先に中国メディアのけしからん振る舞い、アメリカ艦への度重なる理不尽な行為などをあわせて、日本政府は訪問中の船を訪問するとかしないとかいう以前に中国艦の入港を許可すべきではなかったのではないか?

当のアメリカだが、アメリカには中国からの商船がいくらも入港してきていることでもあり、中国がこのような行為を悔い改めないというのであれば、こちらも中国船の入港をかたっぱしから拒否すればいい。中国製不良製品のこともあることだし中国製品のアメリカ流入を防ぐ意味でも一石二鳥かもしれない。

December 2, 2007, 現時間 1:32 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

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海上自衛隊は原油航路をパトロールすべき

先日、10月の終わりに日本のタンカーがソマリア沖で海賊船にシージャックされ、アメリカの護衛艦が海賊船を撃墜していたという話を兎に風さんのところで読んで驚いた。しかも3年前の2004年にもペルシャ湾で同じような事件がおき、その時はアメリカの海兵隊員二人と湾岸警備隊員の一人がテロリストの撃ち合いで命を落としていたということまで知ってもっと驚いてしまった。

実は最近、海上自衛隊の幹部の人と話をする機会があり、その人の話だと海上自衛隊は日本の商船を守りたくてもペルシャ湾まで出かけていって警備をする権限がないのだと嘆いていた。それで日本の商船が海賊やテロリストに襲われた場合、頼りになるのはアメリカの船だけというていたらく。

日本は原油の9割を中東に依存している。しかもその警備を全面的に米海軍に頼っているにも関わらず、日本政府は日本が世界の対テロ戦争にかかわれる最低の任務であるテロ対策特別阻止法を期限切れにしたままインド洋から補給艦をひきあげてしまった。このような恩を仇で返すような行為が今後の日本の防衛に役にたつとは思えない。

先の自衛隊幹部の方もおっしゃていたが、日本人には日本が世界で危険にさらされているという自覚がほとんどない。テロとの戦いはアメリカが勝手にやっていることで、日本とは関係ないと考えている人が多すぎるのだ。これは最近海上自衛隊の人に見せてもらった2〜3年前の日本のニュースで、アメリカと合同演習をしている海上自衛隊に対して、海上自衛隊はアメリカ軍の一部に成り果てたなどと批判的ないい方をしていたのと重複する。

しかし現実に日本の石油タンカーなど重要な商船がテロリストや海賊たちに脅かされているのだ。それを海上自衛隊が十分な武力を備えていながら憲法上の理由で自国の商船を外敵から守れない状況がはたして日本にとって好ましいことなのだろうか?これが独立国たるものの姿であろうか?

ところで10月の末に起きたソマリア沖合でのシージャック事件だが、去年の3月にもアメリカの護衛艦二隻がソマリア沖合で海賊たちと撃ち合い になっている。実はこの戦いに巻き込まれた二隻、ケープセントジョージ(USS Cape St. George)とゴンザレス(USS Gonzalez)のうち、ゴンザレスのほうに私の同僚が乗っていて、この時の話をしてくれたので私はよく覚えている。

12月1日付けのAPニュースによれば、ソマリアでは今年だけですでに31件の海賊による攻撃がおきており、10月に日本のタンカーを攻撃した小型ボートはどこかの母船から派遣されたものではないかという疑いが強まっている。

この記事によれば、当初日本のタンカーは化学物質を輸送する船だったことから、テロリストがテロ行為に利用するのではないかと懸念されたが、乗っ取り犯人から身代金要求があったことからただの海賊による乗っ取りだったことが分かって、関係者はほっとしたという。

しかし、今後海賊を利用してテロリストが科学製品や原油を自分らのテロ行為に悪用しないという保証は全くない。ソマリアはイスラム圏国であることを我々は忘れてはならない。

それにしても、このような重要な問題がソマリア沖合で起きているにも関わらず、ほとんどの日本人がその事実を知らないのはどういうわけだろうか? これは一重に平和ぼけした日本メディアがこうした重大事件を過小評価してほとんど報道しないことに問題がある。日本メディアは日本がどれほど危険な状態にあるのかを日本人が本気で悟ったら、日本の軍事強化は避けられない事実を十分に承知しているのだろう。だからそれを阻止するためになら本当の危険からすら目をそらそうというのだ。

アメリカがイラク戦争に負けることで国内での勢力を取り戻そうとしている米民主党のやり方となんらかわりのない非国民的背信行為だ。

しかし今はネットの時代。いつまでもメジャーなメディアの新聞やテレビが事実を隠しとおせるものではない。実際に私はこれらの事件をネットブロガーたちのおかげで知ることができた。日本にも自衛隊幹部の人々だけでなく、実際に日本の将来を憂う愛国者たちが大勢いる。テロ対策特別阻止法も、もう一度見直され、インド洋での補給活動もいずれは再開されるだろう。

ソマリア沖合では海賊に対抗すべく、すでにアメリカが率先して諸外国の有志同盟が結成されつつある。日本は自分らのタンカーを守るという直接的国益がかかっているのだ。この際アメリカに協力して自国の原油航路くらい自国で警護してはどうだろうか? 日本がアメリカのポチだのなんだのと批判するやからでも、日本が自国の商船を守るのであれば文句あるまい。

日本は先進国として日本の安全を国内でも国外でも守る責任をとるべきである。それには主流メディアの平和ぼけにいつまでもつきあっている余裕はないのだ。

December 2, 2007, 現時間 2:36 AM | コメント (1) | トラックバック (0)

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