June 9, 2006

ザルカウィの死が意味するもの

何年にも渡ってアメリカ軍を悩ませ、イラク人を殺し続けてきたアルカイダのイラク支部の親分であるアブマサーブザルカーウィがついにアメリカ軍の空爆によって死亡した。

記者会見したケーシー司令官によると、米・イラク軍は7日夕、バクバ北方8キロのディヤラ県ハブハブでザルカウィ容疑者らが潜んでいるとみられる民家を包囲し、同日午後6時15分ごろ空爆。捜索で発見した遺体の一人を指紋照合した結果、ザルカウィ容疑者と確認した。司令官はザルカウィ容疑者のほか7人の遺体を発見したとし、今後の捜索で死者数は増えるとの見方を示した。イラク政府のジバリ外相はAP通信に、今年4月25日に公表されたザルカウィ容疑者のビデオ声明が、潜伏地の特定に役立ったとしている。

ザルカウィ容疑者は03年のイラク戦争後、駐留米軍への攻撃や自爆テロを実行・扇動し、イラク国内でのイスラム教シーア派とスンニ派の対立もあおってきた。04年に香田証生さんが誘拐・殺害された事件でも犯行声明を出した。

ザルカーウィといえば、イラク戦争以前からイラクの北部で、アンサーアルイスラムというアルカイダ系のテログループを組織してフセイン政権の御墨付きをもらって近隣諸国でテロ行為をしていた男だ。イラク戦争が始まってからイラクにアルカイダが潜入したという人々がいるが、実はそうではない。イラク戦争以前からイラクとアルカイダとは深い関係にあった。

ザルカーウィの死を聞いたイラク人たちは町にくりだしてお祭り騒ぎをしていたが、こちらアメリカ国内では、特に民主党が代表する反戦左派の間では、この喜ばしいニュースを過小評価する傾向が見られている。

ラムスフェルド防衛長官の記者会見で、ある記者がザルカーウィの死は、象徴的なのもので実際にはあまり意味がないのではないかというような質問をしていたのにはあきれた。ザルカーウィはカリスマ的存在でビンラデンなんかよりよっぽども実力のある男だった。諸外国にコネがあり、外国人テロリストの志願者をあつめたり、武器弾薬などの調達、資金繰りなど天才的な指導者だった。彼なくしてイラクのアルカイダがこれまでどおりの行動がとれるとは思えない。

しかし象徴としてのザルカーウィの価値も、彼の指揮者としての実力以上に大切だったのかもしれない。ビンラデンにしてもそうだが、イスラム過激派のテロ軍団はなにかとイメージにこだわる。ビンラデンも昔からしょっちゅうアルジェジーラなどをとおしてビデオ声明をだしてみたり、最近でも音声テープを発表したりしてい諸外国に散らばるテロリスト士気高揚の努力に余念がない。ザルカーウィの場合はさすがに世代が若いこともあって、インターネットの力をフルに起用してウェッブサイトで首切りビデオを発表したり、最近では自分の勇ましい姿を報道したりして、アルカイダ、イラク支部の実力を誇示していた。

またザルカーウィの首にには2500万ドルという賞金もかかっており、過去三年間アメリカ軍からの執拗な追跡にも関わらず何度も後一歩という危機を乗り越えながら生き延びてきていた事実もわすれてはならない。彼がアメリカの手からこうやって逃れ続けられたというのも迷信深い過激派テロリストの間ではザルカーウィが神のご加護を受けているからだと信じられていたかもしれない。最近になってザルカーウィが自動小銃を撃っている映像をネットで発表したのも、実際には弱体化しているイラクのアルカイダのイメージを挽回するためだったことに間違いはない。

それがついにアメリカ軍の爆弾によってあっけなく殺されてしまったのである。しかもアメリカ軍の発表によれば、この攻撃は他の17件の一斉攻撃の一部であったというし、ザルカーウィの居場所も手下の密告により明らかになったなどという発表もあり、象徴的な意味でもザルカーウィの手下どもに与えた打撃は大きいはずである。

だが無論、ブッシュ大統領も認めている通り、ザルカーウィひとりが死んだからといって、イラクでのテロがこれで終わるわけではない。すでに仕掛けた爆弾はここぞとばかりにどんどん爆破されるだろうし、復讐心で手下どもが暴れまくる可能性はいくらでもある。しかしながら、私は第2第3のザルカーウィはそう簡単には生まれないと考える。

なぜならばこのような野蛮な集団の頭首は常に下克上を心配しているから、頭のいいリーダーは跡継ぎの任命など総簡単にはしないものだ。特にザルカーウィのような若い男はナンバー2になりそうな者は早い時期に取り除いてしまっていたことだろう。アルカイダ内部にはザルカーウィ亡き後、我こそが首相になるべしと考える幹部格の男たちがうようよいるはずである。ということはイラクの内戦よりもアルカイダイラク支部内部での勢力争いが始まるはずだ。

スンニ派で今までアルカイダに協力してきたひとたちも、これを機にテロ軍団から手を引き、イラク復興へと道をかえるかもれないし、新政府がスンニ派を防衛省の長官としたことも手伝って、テロリストへの取り締まりも厳しくなることだろう。それに内部争いなども加えれば必然的にイラクのアルカイダは勢力を失うはずである。

アルカイダ、イラク支部との長い戦いにもやっと希望の兆しがみえてきたといえる。

June 9, 2006, 現時間 12:06 PM

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