November 10, 2006

今後のイラク戦争、民主党勝利で激化の可能性

私はブッシュ大統領は個人的に好きだし、彼の政策にもだいたい賛成している。 だが、彼の「やり方」は不器用だと常日頃から考えてきた。

今回のラムスフェルド辞任のタイミングにしてもそうだ。 これはさっきもコメント欄で龍之介さんに書いたことなのだが、選挙大敗直後にラムスフェルドを辞めさせるくらいなら、どうして数ヶ月前からラムスフェルドは選挙後の結果にかかわらず辞任すると発表しなかったのか? それどころか、ブッシュ大統領は選挙直前にラムスフェルド長官はブッシュ政権の任期が終わるまで辞めさせないと宣言すらしていた。リベラルは最初からラミー長官を毛嫌いしていたから別として、保守派の間でもラミーの人気はそう高くなかった。いや最近ではかなり保守派からラミーの辞任を唱える声が聞こえていたものだ。 

アメリカ市民はイラク戦争に対してかなり苛立ちを高めている。これはリベラルも保守派も同じである。 だが双方が同じように戦争状況に不満があるからといって、双方の不満が同じであると解釈するのは間違っている。 保守派の不満はイラクから兵を今すぐ引き上げないことへの不満ではなく、イラクでアメリカ兵が足りていないということに対する不満だ。つまり、多くの保守派はラムスフェルド長官の軍隊理想像である「強力な少ない数の特別部隊による戦争」のやり方に大きな不満をもっており、最初から「衝撃と感嘆」の物量作戦をすべきだったという意見が大半なのだ。

だからもし、数ヶ月前にブッシュ大統領がラミーの辞任を宣言し、イラク戦争が新しい方角に向かうという姿勢をあきらかにしていたならば、保守派も希望を持ってもっと選挙に積極的に参加したかもしれないのだ。 それをブッシュ大統領がラミーはブッシュの任期が終わるまで勤めると発表したことで、イラク政策は今後もかわりばえのしないもになるという失望感が保守派の間でひろまったことは否定できない。

しかし、おきてしまったことを今更言っても仕方ない。 今後のイラク政策だが、私はイラクからは兵が撤退するどころかイラク出兵の数は大幅に増えると予測する。 大量出動を嫌っていたラムスフェルドが居なくなった以上、地元の将軍たちはもっと多くの兵を要請するだろう。 そしてその要請によって出動命令をだすブッシュ大統領を民主党はそう簡単には拒絶することはできない。  

なぜなら民主党は公約どおり、この戦争を速やかに終わらせる必要がある。 しかし、ただ単にアメリカ軍を撤退させて世界中のテロリストに勝利宣言のお祭り騒ぎをされたり、アメリカ国内でテロをおこされたりしてはかなわない。 それこそ、「それみたことか、これだから民主党に国防は任せられない」ということで2008年の選挙は共和党に奪い返される可能性があるからだ。 民主党はさっさと戦争に勝ってイラクを引き上げためには一時的な兵数増加も止む終えないと判断するかもしれない。

それに、今回新しく議席を得た民主党議員の多くが民主党とは名ばかりの保守派が多いことも忘れてはならない。 民主党議員がかならずしも鳩派でイラク戦争から即刻撤退を望んでいると考えるのは間違いである。 保守派の民主党議員はイラク戦争そのもには反対でも、一旦始めたからには勝たなければならないと考えている人が多い。 彼らのイラク戦争批判は、「やるべきではなかったうえに、やり方を間違えている」というもの。 だからイラクに勝つための政策変更が彼らの意見と一致すれば、ブッシュ大統領は民主党議員を味方につけてイラク戦争を一時的に激化させる可能性は充分にあるのだ。

イギリスの鷹派政治評論家、メラニー・フィッリプス女史は今回の民主党勝利はアメリカが弱腰になっている証拠だという。 たかが三年の戦争で結果がでないからなんだというのだ、イギリスなど何年もかかってマラヤの抵抗軍を鎮圧してきたぞと。  

そう簡単にアメリカを見限って欲しくないなあ。


November 10, 2006, 現時間 6:28 AM

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