May 16, 2008

またまたオバマの失言、アフガニスタンでアラビア語の通訳が足りないって?

私は何度もヒラリーが賢く見えるオバマの失言の話はここここなどで書いてきたが、今回もまたまたバラク・オバマがおかしなことを言った

ミズーリ州で選挙運動中のオバマはアフガニスタンの戦況がうまくいっていないことの理由として、アフガニスタンに充分なアラビア語通訳がいないことがあると語ったのである。下記はレッドステートから引用。

「特定の数の(通訳)しかいないのに、それが全員イラクにいってるので、アフガニスタンの我が軍は困っています。」とオバマは語った。もちろん事実はアフガニスタンではアラビア語ははなされておらず、通訳はほぼ100%地元市民が使われている...ことを考えると間違いを通りこしてお笑い草である。

オバマは続けて、「我々にはアフガニスタンに農業の専門家が必要です」と語った。「ヘロイン用の芥子ではなく、他の作物を生産できるように援助する人員が必要なのです。なぜならアフガニスタンの麻薬取引がテロリストネットワークの資金源となっているからです。ですから農業専門家が必要なのです。」

「でも専門家をすべてバグダッドへ送っていてはアフガニスタンに行く人がいません。」

イラクとアフガニスタンでは自然環境が違いすぎる。イラクの専門家をアフガニスタンに連れて行っても意味ないだろう。レッドステートはオバマの文化や産業の無知に加えて、アメリカ軍がひとつところに出動したら別の場所へは出動できないと思い込んでいる軍事的な無知さ加減にも呆れている。現状はアフガニスタン出動軍の規模はイラク戦争以前も以後も全く変化がないのである。次期大統領を目指そうという人がこんなことも知らないなんて信じられない。しかもアフガニスタンの状況は決して悪化していない。

以前から私はタリバンがアフガニスタンで春の総攻撃を予告しておきながら、冬の間にNATO軍にこてんぱんにやられて来た話はしているが、オバマはそうした事実すら知らないらしい。

でもカカシさん、アフガニスタンの状況はあまり話題にならないし、オバマが知らなくてもそれほどおかしくないんじゃありませんか、ブッシュ大統領だって以前にパキスタンのムシャラフ大統領の名前を思い出せなかったこともあることだし、、とおっしゃる読者もいるかもしれない。

だが、ブッシュがムシャラフの名前を知らなかったのは、パキスタンではクーデターが起きた直後で、しかもアメリカにとってパキスタンが大事な国になるという前触れが一切なかった時のことである。しかもそれまで当時のブッシュ大統領候補はパキスタンのパの字も語ったことが無かったのである。

それに引き換えオバマ上院議員は何度となくイラク撤退の理由としてアフガニスタンの状況をやたらに引き合いに出してきている。しかもオバマは上院議会でNATO監督の管轄権があるヨーロッパ委員会の会長なのである。これについては同じ民主党候補ライバルのヒラリー・クリントンが2月の討論会でこんな指摘をしているのである。

オハイオ州のクリーブランド市での討論会でヒラリー・クリントンは民主党候補ライバルのオバマに対して「NATOはアフガニスタンの任務に対して不可欠である」しかるにオバマ氏はアフガニスタンにおけるNATOの存在をどう強化するかについて一度も審議会を開いたことがないと批判した。

これに関してオバマは自分が委員会の会長に任命されたのは大統領選挙運動がはじまった2007年の初めだったと言い訳をした。つまりオバマは図らずも自分は選挙運動に忙しくて肝心の上院議員としての仕事を怠っていたと白状してしまったのである。

オバマのこの無知蒙昧な発言を聞いていると、NATO管理の立場に居ながら、オバマはアフガニスタンの治安維持はアメリカではなくNATO軍の管轄なのだということすら知らないのではないだろうかと疑いたくなる。

ところで現在イスラエル訪問中のブッシュ大統領の演説でおもしろいものがあった。それに対するオバマの反応が傑作なので是非それを次回紹介しよう。

May 16, 2008, 現時間 11:36 AM

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コメント

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下記投稿者名: hatch

ご無沙汰しております、hatchです。
オバマ氏の失言はカカシさんの仰るとおりでしょう。
アラビア語がアフガニスタンでは話されていないという件ですが、ウィキペディアでアフガニスタンの言語を調べると下記の通りでした。
---------------
言語
パシュトー語 30%
ダリー語ペルシャ語 55%以上

大体のアフガニスタン人は皆ダリー語(ペルシア語)がわかる。
テュルク諸語 11%
など
---------------
いやー、便利な世の中ですね。
オバマ氏の不勉強ぶり、とそれが案外とアメリカの国内ではカカシさんがあえて指摘しないと普通の人には通ってしまうという海外情勢には無知な普通のアメリカ人のノー天気ぶりが真に微笑ましいお話でした。
あ、以上は非常に悪意に満ちたコメントです。
さて、次はもう少しまともですが、やっぱりアメリカ人の傲慢さを指摘したコメントです。
これは、以前にもこのサイトで私が話したと思いますが、現地人の通訳に100%頼っているのは、英語国民の欠点の一つですね。
日本人なら、自国語が他国ではマイナーと自覚していますから、現地人の通訳など最初から期待していません。ですから、当然日本人の通訳を用意せざるを得ませんし、その結果、日本語しか話せない自衛隊員も現地化するよう努力せざるを得ません。だから、イラクに派遣されたヒゲの隊長がイラクの部族長から差し出された食べ物をさもおいしそうに食べて、後で死にそうな下痢に襲われたという話があるわけです。
アメリカ人が現地で部族長の接待を笑顔で受ける状況が想像できますか?
自分たちの文化が上だから、遅れた国に学ぶべき事はない。遅れた国の食べ物を食べる必要はないし、逆に彼らにコークを差し出てやるのが親切だ。
彼らの言葉は下等だから当然ながら覚える必要はないから、現地人の中では英語を話せる人間を通訳に雇えばよろしい。英語を話せるから彼らはきっと他の現地人に比べれば上等な人間だから、きっと信用できるに違いない、という訳です。英語国民の陥りやすい罠ですね。
いやー、その昔ベトナムでよりにもよって少数派のキリスト教徒であったゴ・ディン・ジエムを、キリスト教徒(カソリック)であるから信用できるとベトナムの初代大統領に担ぎ上げたアメリカ人が陥りやすい罠です。
カカシさん、あなたは忘れています。
現地人の通訳は自国民に信用されないし、それに頼る傲慢なアメリカ人は信用されないと言うことをです。
これが理解できないほど、カカシさんは馬鹿ではないでしょう。つまり、100%あり得ないですけど、アメリカがイラクに占領されたとして、その時のアメリカの傀儡政権がイスラム教徒のアメリカ人だとしてその政権が国民に支持されますかね。
以上、非常に悪意に満ちたコメントですがその意味を察してください。

上記投稿者名: hatch Author Profile Page 日付 May 18, 2008 8:30 AM

下記投稿者名: Sachi

hatchさん、

アメリカ兵は地元の部族から接待を受けて地元の食事をしています。地元の部族にアルカイダなどよりも信用してもらうにはそういう交流が必要ですし、実際にMREなんかよりおいしいという話です。アメリカ兵はあなたが思うほど馬鹿じゃありません。

英語が話せる地元民をやたらに信用するのは危ないというのはご指摘の通りです。アメリカ軍はラテン系とかアジア系の言語は結構堪能な人が多いですが、まだまだ中近東の言葉が追いついていない。

アメリカ軍が地元の通訳を雇う理由は、アメリカ兵のなかに現地の言葉を使える人がほとんどいないからですが、これは別にアメリカ人の優越感からくるものではなく、単に軍人への言語教育が足らないだけです。今後中近東との付き合いが増える以上、アメリカ軍はアラビア語、ペルシャ語、パシュトン、その他の言葉を勉強する必要があるでしょう。軍隊だけでなく諜報機関は特にそうですね。CIAなどアラビア語が出来るというと優先的に採用されますよ。

ところでイラク政府は傀儡政府ではありません。きちんと選挙で選ばれた政権です。マリキ首相はシーア派ですが、シーア民兵の取り締まりを厳しく行っており、スンニやクルド族からも最近では信用されつつあります。

カカシ

上記投稿者名: Sachi Author Profile Page 日付 May 18, 2008 10:55 AM

下記投稿者名: hatch

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アメリカ兵は地元の部族から接待を受けて地元の食事をしています。地元の部族にアルカイダなどよりも信用してもらうにはそういう交流が必要ですし、実際にMREなんかよりおいしいという話です。アメリカ兵はあなたが思うほど馬鹿じゃありません。
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とのことですが、なにか文献かビデオでソースを示してもらえるとより信用できます。
というのは、日本で2004年に放送された「州兵派遣」と2006年に放送された「州兵帰還」では州兵達は週休1日でその1日もキャンプから出られず、部屋でテレビゲームをしてだべっているのが日常とされていました。
笑ってしまったのは、州兵が帰還前にクウェートの基地でミニアメリカゲットーとでもいう施設でショッピングやファーストフードで楽しむという場面です。
さて、マリキ政権が傀儡政権ではないというのは、カカシさんの言われるとおりです。ここでベトナムの傀儡政権の話を持ち出すのは卑怯でした。お詫びします。

上記投稿者名: hatch Author Profile Page 日付 May 19, 2008 7:34 AM

下記投稿者名: mhgt

はっきり言いますと、私の意見ではドラッグ大国のアフガ二スタンに、アメリカのモラルは通用しないべ~。って事だよ。
 彼自身コカ使用の時期があったのなら、その時期を反省して、ちゃんと勉強しましょうね!って言うますゴミがあってもいいのにね~。アフガンとコカの関係知らないでコカ使用してそれで政治家かよ~。ぎゃ~と笑ってしまいますけどね。

 全く、それでも彼を支援したい政治家や民衆が後を絶たないのは、みんなコカ中毒? コカ中毒じゃなくても、なんかドラッグ後遺症で脳味噌の回転チョッと遅いんじゃない? 彼見てると、なんか、巷のドラギーが職を得ようとして、上品な屁理屈を言ってるようにしか聞こえないのは、私だけでしょうかね?

上記投稿者名: mhgt Author Profile Page 日付 May 19, 2008 8:30 AM

下記投稿者名: mhgt

>アメリカ兵はあなたが思うほど馬鹿じゃありません。

 カカシさん、これだけは、チョッと反論。
中東に送られたアメリカ兵だけじゃなく、日本にだってアメリカ兵はいるわけですよね? まず、アメリカ兵のその土地の勤務人数から犯罪を起こす%を考えた時、少ないのは分かりますが、やはり悪事をしてしまう兵はいるもので、主に、国務としてきてる兵ですから、もうチョッと自覚が必要であるとは思いませんか? 
 ただ、それ以外にも、アメリカのモラルが道徳心である=世界共通ではないか?との思い込みは、タブーだと思います。それが、もしかしたら、ブッシュが言いたかった破片ではないでしょうかね? ある国の基準はある国には通用しませんよ。って事で、話し合いで済ませようって言ってる奴は甘いんだよ。って。それに釣られたオバマ氏。これを全体で考えた時、ますますオバマ氏は奇麗事、ま庶民が好む事しか言わないわけで、どの位のアメリカ人が、アメリカの道徳観が世界に通用するか、と言う残骸を計算するには良い方法ですよ。今現在、アメリカ兵として戦場に立ってるアメリカ軍又は家族の中に、ロンポール支持者が多いのは、メディアでは余り伝わってきませんね。
 
 海外で住む人や他国籍の人と結婚する人が、これを私生活で体験する人は多いと思います。

上記投稿者名: mhgt Author Profile Page 日付 May 19, 2008 9:00 AM

下記投稿者名: scarecrowstrawberryfield

hatchさん、

2007年の初めに始まったCOIN新作戦によってアメリカ軍の地元市民との関係はかなり向上しました。2004年頃はInsurgencyが一番ひどかったときですからパトロールをしていないときは基地内から出られないという実態があったことは確かです。

しかしペトラエウス将軍の新作戦は地元の庶民にアメリカ軍がイラク市民の味方であることを説得することが非常に大事な要素となっており、イラク部隊と寝起きを共にし同じ釜の飯を食うというやり方をし、市民の家にもお茶に招ばれたりと、地元との交流は深まっています。おかげで地元市民がアルカイダやサドル派の勢力よりもアメリカ軍やイラク軍を信用するようになってきたのです。おかげでイラク情勢は2006年に比べてずっと良くなっています。

これは新作戦が始まって数ヶ月目のイラクで従軍記者をしていたマイケル・トットンによる記事です。地元有力者の家へアメリカ兵が会合に行き一緒にお茶をのんでる様子が書かれています。

カカシ

上記投稿者名: scarecrowstrawberryfield Author Profile Page 日付 May 19, 2008 6:09 PM

下記投稿者名: scarecrowstrawberryfield

mhgtさん、

外国で勤務する軍人や政府関係の人間は普通の観光客よりもその国の顔ですから、やはりもっとしっかりして欲しいと思います。でもアメリカの兵隊の平均年齢は若いですからね、高校卒業したばっかりの多感な若者に常にまじめにしていろといっても無理でしょう。それでも他の国の人に比べたらかなり行儀はいい方だと思いますけどね。

昔は日本の観光客も行儀が悪くて非常に評判が悪く、地元に住む日本人には非常に迷惑だったり、ロサンゼルスあたりで飲んだくれて大騒ぎして地元から顰蹙かってる日本人留学生が居ました。(あ、私もその一人だった!)

オバマみたいに誰とでも話せばわかるなんて考えは甘いとしかいいようがないですね。ヒットラーと話ができなかったのと同じでテロリストと話など不可能ですよ。

カカシ

上記投稿者名: scarecrowstrawberryfield Author Profile Page 日付 May 19, 2008 6:21 PM

下記投稿者名: mhgt

>オバマみたいに誰とでも話せばわかるなんて考えは甘いとしかいいようがないですね。

そうですね。それでそれに共感しちゃう人もナイーブなのでしょうかね? 金を出せば話もわかるかもしれませんが。(笑)。

>でもアメリカの兵隊の平均年齢は若いですからね、高校卒業したばっかりの多感な若者に常にまじめにしていろといっても無理でしょう。

 確かに。はちゃめちゃ遊びたい時期でしょうね。
ただリクルーターからの話だと、やはりラインは落ちていると言ってました。30後半の勤務暦20年近くの軍人と新米が違うのは分かりますが、なんかこの時期の年齢差は、軍あれこれよりも、子供の育て方自体から大きなギャップがあるような気もします。

上記投稿者名: mhgt Author Profile Page 日付 May 20, 2008 5:24 AM

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