November 27, 2006

これは宗派間戦争だ! サドル派テレビ局を占拠

25日未明サドルのシンパらがバグダッドのテレビ局を占拠し、二時間に渡ってシーア派イラク人にスンニ派に対抗して蜂起せよと宗派間戦争を呼びかけた

『これは生放送である。神のご意志あれば、皆よく聞け。我々は歩道や水道やほかのことなどどうでもいい。我々がもとめるのは安全だ。』匿名のサドルシティのある住民はテレビ放映された群衆が歓声をあげるなか演説した。『我々は役人を求める。彼らは宗派間戦争は存在していないという。否!これは宗派間戦争である!それが真実なのだ!』

先日、アルカエダがサドルシティを襲撃し、数回に渡る自動車爆弾などで200人のシーア派を殺したことへのシーア派による反応である。

今朝のラジオで以前アメリカのイラク政策の報道官をしていた人が、今のイラクの状態はもう内乱だといっていた。確かにシーア派の暴徒がスンニ派を殺し、スンニ派が復習するということが続いている以上、これはまさに内乱だといえるのかもしれない。だがイラクは内乱状態にあると断言んてしまうのはかえって問題を深刻化してしまうような気がする。

私は決して現状を無視しろといっているのではない。だがこれが宗派間戦争だといってしまうと、イラク人同士が好きで殺しあいをしているのに何故アメリカが中にはいる必要があるのだ、イラク人には勝手に殺しあいをさせてアメリカ軍は帰って来いという理屈になる。しかしイラクはシーアとスンニが完全に二つに別れてそれぞれが軍隊をもって戦争をやっているわけではない。少なくともまだそんな段階にまでは進んでいないのだ。

今のイラクの状況は協力な暴力団同士の縄張り争いといった程度のものだ。そんな一部の過激派の勢力争いのために殺しあいを望まない一般のイラク人を見捨てるのはあまりにも乱暴だ。

サドルのシンパ連中がテレビ局を占拠してわざわざ「これは宗派間戦争だ」などと宣言しなければならない理由は、多くのイラク人が内乱など望んでいないからである。アルカエダにしてもシーアの民兵らにしても、イラクが内乱状態になることを望んでいる。イラクが混乱すればするほど彼等は自分らの勢力を延ばす可能性が高まるからだ。彼等は政治力で勢力を得ることはまだできない。彼等にできることは暴力による国民制圧だけだ。

もっとも正直な話、サドルシティは軍事的な標的としては適当だろう。サドルシティはイランの白豚サドルの本拠地であり、ここを起点としての攻撃で数多くのスンニ市民が殺されており、その行為を市民の大半が支持している。だからサドルシティがテロリストの犠牲になってもあまり私は同情できない。アルカエダの連中がサドルをシンパを殺したいならどんどんやってちょうだいといいたいところだ。

ただサドルの民兵がアルカエダによる攻撃の復讐をするといって無関係なスンニへの攻撃を激化するのであれば、これは宗派間戦争を望んでいるアルカエダの思う壷であり、イラク全体にとってよいことではない。

それに多くのスンニ派有力部族はシーアとの宗派争いを望まないだけでなく、アルカエダとの絆も断ち切ろうとアルカエダアルカエダに反旗をひるがえし、いまやアメリカ軍と協力してアルカエダと戦っているのである。しかもスンニ派なのにイラク警察やイラク軍へ志願するものも多くでてきているのだ。そのような大事な時にイラク人同士には好きなように殺しあいをさせておけなどという意見はあまりにも無責任である。

せっかくスンニ派の多くがアメリカ軍を信用するようになってきているのだ、シーアの過激派にスンニ派を殺させていてはまた信用をなくしてしまう。アメリカ軍はなんとしてもサドルの白豚ひきいるマフディやバーダーといったシーア暴力団を撲滅しなければならない。そのために兵を増加する必要があるというなら、それも仕方ない。とにかく撤退だけはあってはならない。

November 27, 2006, 現時間 5:38 PM

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コメント

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下記投稿者名: asean

おはようございます、カカシさん(昨日はこのページの調子が悪かったみたいで、コメント出来なかったっすよ?)

”軍事的勝利”でも書いたように、この局面での米軍が先頭に出た介入・・・ってのはちょっと難しいんじゃないでしょうか?

サドルが言う所の”宗派間”はイスラム教的には「権力争い」を表明したモノですからねぇ。
(イスラム教内での宗派間は、相互に相手の教義解釈の違いには触れない:黙認した:ことを意味していますから
いわゆるキリスト教対イスラム教的な相手の殲滅を前提とはしていないですから)

問題なのは、イラク政府が「中立の立場(これもねぇ、欧米的な解釈でイスラム教国で中立は存在しない概念なので)」を明確に打ち出して、宗派間紛争とテロ行為ではなく
「犯罪行為」としてしっかり位置付けることが出来るか否か、だと思いますね。

多分、サドルの阿呆又は一派はスンニ派へのジェノサイドを考えている節があるんで(ナスララよりも程度が低い)
イラク政府は「国家反逆罪」を適応する!という位の姿勢がなければ駄目ですね。

で、米軍は「イラク政府の要請を正式に受けて、イラク国軍と治安維持部隊を支援する」という形式を採用しなくてはいけません。

現在のイラクの問題は、政府と閣僚、議員達が自分達の背後にある支宗派的な持母体の意向を気にし過ぎて
イラク全体という視点からの姿勢を明確に出来ないことなのです。

バース党員を放逐してしまった為に行政機能がマヒしてもいるので、政府部内や議会で復興に関する利権争いとして
所轄官庁への族議員化を狙っていることも議会や政府が一貫した姿勢を打ち出せない原因にもなっている。

つまりですね、既に正式な政府が発足している訳ですら仰る軍事的での解決は二次的な事柄になっているのです。

ですから、前のコメントでも述べたように米軍の交戦規則を変更又は緩和する・・という行為は不必要以前の問題なのです。
(正式な政府が存在していますし、米軍が直接的な攻撃に晒されてもいないのですから・・・)

現段階で既に米軍はイラクの国内問題に関する第一義の責任当事者ではなくなっていると考えるべきです。

見放せ、っと言うことでは決してありませんが、イラクの国内問題として正当な政府と国民が解決するのを
駐留している米軍が支援する・・・という立場でしかありません。

言うなれば”出しゃばる”場面は当に過ぎ去っているのです。

そうした段階でサドルシティへサドル一派掃討の為に米軍が先頭に立つ、というのは例えその方法が
サドルシティを抹消する又は現行交戦規則のまま駐留している米軍の大半を投入するのどちらであっても
その行為は現在のイラク政府にその当事者能力が無いことを証明してしまうことになってしまいます。
(そうすると、またぞろイラク戦争の根幹が揺らぐことになってしまいますよ)

既に軍事力の行使は、優先順位が下がったモノでしかないのです。

上記投稿者名: asean Author Profile Page 日付 November 27, 2006 7:34 PM

下記投稿者名: Sachi

aseanさん、

アメリカはイラク政府に自治の委譲を急ぎ過ぎたかもしれませんね。いったん委譲したものを取り上げるのは問題ですが、今のイラク政府が真剣に民兵を取り除く意志がない以上、アメリカが介入するより仕方ないでしょう。アメリカ軍が軍事的に介入しようとしまいとイラク政府が頼りないということを証明するという点では全くかわりません。

いまはとにかくイラクを安全な場所にすることが最優先であり、誰の顔がつぶれるとかなんとか言ってる場合ではないのです。

ちょっとこのコメント長くなりそうなので、あらためてポストとして明日続きを書きます。

カカシ

上記投稿者名: Sachi Author Profile Page 日付 November 28, 2006 12:01 AM

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