January 11, 2007

ここが知りたい! ブッシュ大統領のイラク新作戦質疑応答

さてアメリカ時間で昨晩6時、ブッシュ大統領はテレビ放映でアメリカ国民に今後のイラク政策を発表した。まずはCNNの日本語ニュースから:

ブッシュ大統領「兵力不足だった」 イラク新戦略で2万人増派

ワシントン(CNN) 米国のブッシュ大統領は10日夜(日本時間11日午前)、ホワイトハウスでテレビ演説をし、イラクにおける新戦略を発表した。これまでの戦略は兵力面で欠陥があったとの認識を示し、今後数カ月のうちに約2万人の米兵をイラクに増派する方針を打ち出した。

ブッシュ氏は、特にバグダッド周辺で治安が保たれていないことについて、「イラクと米国の兵士の数が、治安維持のためには十分ではない」と説明。また、部隊の活動に規制がかけられ過ぎているとの認識も明らかにした。

米兵の即時撤退については、断固として否定。直ちに撤兵すれば「イラク政府の崩壊を招きかねない」とし、「そうした方針は結局、米部隊がイラクにより長い期間駐留し、より強力な敵と直面しなければならないことになる」と述べた。

内戦状態との指摘もあるイスラム教宗派間の武力衝突については、イラク国民だけが終わらせることができると強調。すでにイラク政府が積極的な取り組みを進めていると述べた。

ブッシュ氏はまた、「イラクに成功をもたらす魔法などない」とする一方で、イラクにおける失敗は「米国にとって災難となるだろう」との考えを表明。イラク情勢が悪化すれば、「イスラム教過激派が力と人数を増す」ことになり、地域の政情が不安定になり、ゆくゆくは「原油による収入が野望実現のために使われる」可能性もあると述べた。さらに、イランの核開発を加速させることにもつながるとの見解を示した。

ま、概要はそういうことだが、実際これがどういう意味を持つのかミスター苺が質疑応答の形で分析しているのでここに提示しよう。

以下ミスター苺の質疑応答:

問: ブッシュは昨晩ちょっとあがってみえましたが

答: ちょっとそんな感じはあったが、非常にというほどではなかった。私の想像ではスタッフが土壇場まで演説を書き直していたのではないか思う。だから大統領は十分にリハーサルする暇がなかったのではないっか。

しかし大事なのは大統領の話し方どうこうよりも中身。その点では新しい作戦は古いそれよりもずっと改善されている。

問: どうしてうまくいくと思うのですか。増兵は過去にもやりましたけどうまくいかなかったじゃないですか。

答: たしかに新聞の見出しはこぞって「増兵」としか書いてない。アメリカの主流メディアはブッシュの計画は単なる「増兵」だと思わせたいようだ。だが昨晩明らかにされたことで重要なのは兵起用の作戦変更にある。

昨晩の演説への反響は共和党の間での失望感から民主党の間での泡を吹くような怒りといった報道ばかり。 AP-Ipsosの世論調査ABC/Washington Post の調査によればアメリカのほとんどの市民が「イラクにもっと兵を送り出すことに反対」しており増兵はうまくいかないという意見だと発表している。これらの世論調査には根本的に問題があるのだが、単に21,500人ほど兵を増加させるというだけならこれまでと何もかわらない。だが、昨晩ブッシュ大統領は増兵よりももっと重要な作戦変更を発表した。

その重要な変更を箇条書きにしてみよう。:

  • 兵士らの再出動 -- 18 のイラク旅団 (6万兵以上)そしてアメリカ軍5旅団( 17,500 陸軍兵と海兵隊員)イラク国内において攻撃制覇するためバグダッドに関門を設置。さらに4000の米兵とイラク兵(未定数)をアンバー地区に導入。 アルカエダを含むスンニテロリストの家々を最近アルカエダに反旗を翻した地元の族長らと協力して攻撃する。
  • 占拠した領土をこれまでより長期に渡って制覇する。少なくとも18か月は保持し敵が舞い戻ってくるのを防ぐ。これによって大事な中央部を敵から奪い取り長期にわたって敵の動きを阻止できる。安定したら地元のイラク軍に治安をまかせる。
  • イラクのマリキ首相にバーダー旅団やマフディ民兵軍などのシーアの民兵も含みどの武装集団も例外なく, 攻撃すると一筆書かせて約束させた。
  • 攻撃規制(ROE)を大幅に緩和し、米軍及びイラク軍が武装集団と戦闘しやすいようにする。

これらの変更が行われなければ兵の数だけ21,500人増やしてみても何の意味もない。単に標的を増やすのが関の山である。 米民主党がどう思おうと軍事アドバイザーは 全くの アホではない。

問: 戦闘規制 (ROE) とはなんですか?

戦闘規制というのは軍隊や警察などが状況によってどの程度の武力行使が出来るかという規則である。ROEには1983年のベイルートでの平和維持の時のように関門をつっこんでくる車にさえ発砲できないような非常に厳しいものから 「自由発砲地域」といって上官から特に許可をもらわなくても個々の兵士が独自の判断で敵兵に発砲することができる緩い規則まで色々ある。

これまで我が軍は非常に厳しいROEに従って行動してきた。例えば民兵軍と知られている連中が単に重装備をして町中を歩いているというだけでは攻撃できなかった。彼等がなにか悪さをするまで待っていなければならなかったのである。しかもその時でさえイラク政府からの許可を仰がなければアメリカ軍は身動きがとれなかった。

今回の変更によってこの規制がどのくらい緩和されるのかは不明だがブッシュ大統領はこの間の 2時間に渡るビデオ会議で: かなりきつい口調でマリキ首相に圧力をかけたものと思われる。マリキが首相としての政治生命を保ちたいのであれば、モクタダ・アルサドルとの親しい関係を断ち切り、我が軍に本格的な戦争が出来るようにしろと言い渡したのであろう。

軍隊の「増強」には少なくとも一か月はかかるしかし ROEの緩和は即座に実行できる。

この先数日のうちにスンニテロリストとの戦闘が激化したというニュースと共にシーア民兵との戦闘のニュースを多く聞くようになれば、これはよい徴候といえる。

問: ROEが変わったからといってどんな効果があるというのですか?我が軍はすでにアメリカ軍やイラク市民を攻撃する敵には攻撃してたんじゃないんですか?

答:いや、それが実はそうでもない。現在のROEでは我々はどのような攻撃にもあらかじめイラク政府からの許可が必要とされている。ブッシュ政権のトニー・スノー報道官がラジオ番組で説明していたのだが、ひどい時は例えばサドル市を取り囲んで家から家への捜索作戦の真っ最中に突然司令官がイラクの内政省の高官から「近所から苦情がでているので攻撃をいますぐ中止するように」とか「逮捕した戦闘員は俺のいとこだから釈放しろ」などという電話がかかってくるというのである。そして我が軍はそれに従わねばならなかったのだ。

だがこの規制はこれで終わりだ。我々はマリキ首相にどのテロリストも戦闘員も犯罪者も特別扱いしないと同意させた。サドル自身すら例外ではないのだ。そして我が軍はいちいちイラクの許可なくとも攻撃ができることになった。マリキが後になって約束をやぶろうとしても我々は単に彼にしろ内政省の役人にしろ無視するだけである。なぜなら 我々にはすでに合意を取り付けているからだ。.

問: でもこの「新作戦」というのは本当にうまくいくのでしょうか? ブッシュの計画なんてうまくいった試しがないじゃないですか。

この作戦が絶対にうまくいくと断言することは私にも出来ない。だがこれまでの作戦よりは成功する可能性がずっと高いということだけはいえる。

我々はA作戦を試みた。そしてそれはうまくいかなかった。だからB作戦に切り替えたが、それもうまくいかなかったからC作戦に変更した。今我々はD作戦に取り組もうとしている。だがこれまでの作戦がすべて失敗したからこれからも失敗するという考え方は単純すぎる。先の作戦が失敗したから今後も失敗するとは限らない。

今回の作戦はこれまでとは全く違うものである。この作戦はこれまでの失敗を十分に見直した上での 作戦だ。これまでよりも成功の可能性はずっと高い。

問: でもそれならどうしてこれを最初からやらなかったんですか?なんでブッシュは効果のないAだのB, Cだのって作戦で時間を無駄にしていたんですか?

答: なぜならやってみるまでは作戦がうまくいくかどうか解からなかったからだ。 後になってあの作戦もこの作戦も失敗だったじゃないかと言ってみても意味がない。 未来を予知できる魔法の水晶でもない限りそれは無理だ。これまでの作戦が失敗だったということも実際にやってみてこそ わかったことなのだから。

問: ちょっと待ってください!ということは今度の作戦だってこれまでよりうまくいくとは限らないってことじゃないですか?

答:その通り。先のことは解らない。しかしながら、我々が失敗すればどうなるかという予測はおおよそつく。ほかにこの戦争に勝つためのより良い方法があるというなら是非ともお伺いしたい。

問: この戦争は最初から最後まで完全なる失敗じゃないんですか? この際敗北を認めて兵士たちを帰還させるべきなのでは?

答:ここである政治家の言葉を借りてブッシュのこれまでの功績を述べさせてもらおう。

我々はイラクのために色々してきた。我々は 独裁者を倒し、奴を穴から引きずり出し、 国民による裁判で裁きをうけさせた。我々はイラクの人々に憲法の草案をする機会を与え、自由な選挙を実現させ、自分たちの政府創立を可能にさせた。 .

我々アメリカ人と同盟国数カ国は 他のどの国も助けにこない時にイラクを守ってあげた。.

この政治家は元来ブッシュ支持者とは言い難い人なのだが、まさに彼のいう通りである。(注:実はこれ民主党の上院議員ダービン氏のブッシュ演説への返答 の一部。しかし氏が掲げたすべてが、民主党が絶望だと言っていた戦争でブッシュがもたらした勝利なのである。

にも関わらず今もなお民主党はお先真っ暗の絶望論を唱えている。だが民主党の予測が現実になったことはこれまでに一度もないのである。間違いだらけの予測をしている人間がいるとしたら、それはブッシュ大統領ではなく民主党Democratsのほうなのだ。

問: ミスター苺、あなたはいつからヒットラーブッシュの雇われ者になったんです?

おととしの10月11日にはじめてのお手当もらってから毎月ずっともらっている。しかしこの間の選挙の後から支払いが滞っている。おい、ヒットラーブッシュ、早く払え!

カカシ: ちょっと!そんな話きいてないわよ。どこにへそくり隠してるの!だしなさ〜い!

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January 11, 2007, 現時間 9:45 PM

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